【解決手段】光情報画生装置10は、参照光を照射してヘッダ情報を含む再生光を生成する再生光生成部と、生成された再生光をそれぞれ前記ヘッダ情報を含むように複数に分割する光東分割部と、分割された再生光をそれぞれ撮影する撮影部と、撮影された再生光のヘッダ情報を処理する制御部とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光情報再生装置および光情報再生方法の実施例について説明する。
【0012】
(構成の目的)
高速な撮像素子として代表的なCMOSカメラ素子の性能は、ウエハープロセスに依存するが、一般的に、同じ画素サイズであれば水平・垂直信号線一本当りの担当する画素の数が少ない程、フレームレートを高くできる。また、画素ピッチ(画素ピクセル間隔)が広いほど、水平・垂直信号線を太くして配線抵抗を下げられ、また複数本並列化でき、また高速化用のバッファを画素回路中に追加できるため、よりフレームレートを高くできる。一例として、縦横2000ピクセル角(4メガピクセル)程度で画素ピッチ10μmのCMOSカメラ素子では1500コマ/秒、縦横1000ピクセル角(1メガピクセル)程度で画素ピッチ30μm程度のCMOSカメラ素子では15000コマ/秒程度が可能となっている。ここで、総ピクセル数の比(4メガピクセル/1メガピクセル=4倍)以上に、フレームレートが向上(15000コマ/1500コマ=10倍)しているのは、画素ピッチを広く取れることによる上記高速化の効果である。
【0013】
そこで、これらの効果を利用した光学系と装置構成を取ることで、現状のプロセス技術で作製された撮像素子を用いて、より高解像度かつ高いフレームレートでの撮像処理ができる光情報再生装置の構成とした。
(光情報再生装置の構成例)
以下、
図1〜
図11を用いて、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
(装置全体構成例)
まず、
図2を用いて、本発明である光情報再生装置の全体構成(ブロック構成)を説明する。
【0015】
光情報再生装置10は、入出力制御回路90を介して外部制御装置91と接続されている。光情報再生装置10は外部制御装置91からの動作指令の信号を入出力制御回路90により受信する。再生時には、光情報再生装置10は再生した情報信号を入出力制御回路90により外部制御装置91に送信する。記録を行う場合は、記録する情報信号を外部制御装置91から入出力制御回路90により受信する。
【0016】
光情報再生装置10は、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及びスピンドルモータ215を備えており、ディスク214はスピンドルモータ215によって回転可能な構成となっている。
【0017】
ピックアップ11は、参照光と信号光をディスク214に出射照射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体から読出す役割を果たす。ディスク214に記録をする場合は、情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。ディスク214に照射する参照光と信号光の照射時間は、コントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御する。
【0018】
ディスク214に記録された情報を再生する場合は、レーザ光を所定の位置および角度で参照光を照射することで再生される再生光をピックアップ11内の後述する撮像素子によって検出し、信号処理回路85によって信号を処理して情報を再生する。
【0019】
キュア光学系13は、上記記録時に用いるもので、ディスク214のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、ディスク214内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、ディスク214内の所望の位置に情報を記録した後、追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。ディスク回転角度検出用光学系14は、ディスク214の回転角度を検出するために用いられる。ディスク214を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介してディスク214の回転角度を制御することが出来る。
【0020】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ光学系11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0021】
また、ピックアップ光学系11、そして、ディスクキュア光学系13は、ディスク214の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0022】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した再生および記録では、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0023】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報再生装置10内に備えることが必要となる。
【0024】
また、ピックアップ11、キュア光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0025】
また、アクセス制御回路81、光源駆動回路82、サーボ信号生成回路83、サーボ制御回路84、信号処理回路85、信号生成回路86、シャッタ制御回路87、ディスク回転モータ制御回路88、コントローラ89も、いくつかの回路または全ての回路をひとつに纏めて簡素化しても構わない。これらを併せて、次項以降の説明では、まとめて制御系と呼び、
図1においては制御系224と呼ぶことにする。
【0026】
(ピックアップの構成例)
次に、
図1を用いて、前記ピックアップ11の詳細構成を説明する。なお、ディスク214とスピンドルモータ215と制御系224については
図2と重複するが、位置関係および制御を明確にするため改めて図中および下記説明で記載する。
【0027】
レーザ光源200より出力されるレーザ光201は、ビームスプリッタ202にて、参照光203と信号光204へ分けられる。
【0028】
信号光204は、反射鏡205にて反射され、シャッタ206とビームエキスパンダ207と位相マスク208とリレーレンズ組209を通り、偏光ビームスプリッタ210により空間光変調器211へ照射される。空間光変調器211は、偏光板と駆動回路チップと液晶物質を組合せたものであり、入力されるパターン信号に応じて、液晶により2次元的に光の偏光方向を変調(回転)して反射する。空間光変調器211で反射された光は、偏光ビームスプリッタ210とリレーレンズ212を通過し、対物レンズ213によって、ディスク214へ照射される。ディスク214は、スピンドルモータ215上に取付けられており、回転により、ディスク上の照射位置を変えられるようになっている。
【0029】
一方、参照光203は、反射鏡220、第一ガルバノミラー221、第二ガルバノミラー222で順に反射されて、ディスク214上へ、信号光の照射位置と交わるように照射され、ディスク214を通過して、第三ガルバノミラー223にて反射され、往路とほぼ同じ角度でディスク214へ照射される。なお、各ガルバノミラーは、制御系224により角度が正確に制御できるよう構成されている可動ミラーである。
【0030】
ガルバノミラー223を反射してディスク214に入射した参照光203は、ディスク214に記録されているホログラムにより回折され、再生光を生成する。再生光は、対物レンズ213、リレーレンズ212を通過し、偏光ビームスプリッタ210にて反射され、第一像面位置225にて再生像を形成して、撮像光学系230へ入射される。
【0031】
撮像光学系230へ入射された再生光は、撮像系リレーレンズ231を経て、光束分割部232により、分割境界233を境に透過光234と反射光235へ分割される。透過光234は第一撮像素子236で受像され、反射光235は第二撮像素子237で受像される。なお、本
図1では、後述する光束分割部232の一例としてプリズムを用いた構成を示している。なお、撮像系リレーレンズ231のレンズ組は、入射側レンズの焦点距離よりも、出射側レンズの焦点距離を大きくすることで、入射した再生像に対し、出射側の像を拡大している(拡大光学系)。本構成では、出射側レンズの焦点距離を入射側レンズの焦点距離を2倍としている。拡大が不要の場合は、出射側レンズと入射側レンズの焦点距離を同じにすればよい。このリレーレンズ系は4F光学系とも呼ばれる。このリレーレンズ系を挿入することで、光束の分割に必要な、撮像素子前の光路長を確保することができる。このリレーレンズ系挿入により、偏光ビームスプリッタ210からの光路長は、空間光変調器側に対し撮像素子側は、光束径の4倍以上長くなる。
【0032】
第一撮像素子236と第二撮像素子237は、制御系224により同期制御されており、制御系224の発生する同期トリガ信号238によって露光同期して、同じタイミングで受像した再生像を、画像データ239a,239bとして各々出力する。出力された画像データは、制御系224内で信号処理され、
復号されることで、ディスク214に記録されたデジタルデータが復元される。
【0033】
なお、同装置にて、ディスク214へデータ記録を行う場合は、記録するとき、シャッタ206を開け、ディスク214からデータ再生を行うときはシャッタ206を閉めて、信号光の供給有無を切替える。
【0034】
なお、偏光ビームスプリッタ210に対する、空間光変調器211と撮像光学系230の方向は、偏光方向に応じて、配置は入替可能である。
【0035】
(記録パターンと撮像光学系の関係)
次に、
図3〜
図6を用いて、媒体へ記録される記録パターンと、撮像光学系の関係について説明する。
【0036】
(記録パターン)
まず、
図3を用いて、ディスク214へ記録される記録パターンについて説明する。
図3は、記録するときに空間光変調器211に与えられる記録データパターン100の例である。記録データは、上述の空間光変調器211に与えられて、ディスク214へ参照光と共に照射されることで、光の干渉を生じてディスク214へ記録される。
【0037】
図3(a)に示す様に、記録データパターン100は、円形の全体光束の上下を貫いて、中央に帯状のヘッダ領域101が配置されており、ヘッダ領域101以外の残りの領域に、記録するデジタル情報を符号化して2次元的に配列したデータ領域102が配置されている。ヘッダ領域101には、アドレス情報、クロック情報、シンク情報が含まれており、データ領域102に記録されているデータを再生するために必要な情報が記録されている。
【0038】
図3(b)は、
図3(a)の上部を拡大した図である。帯状のヘッダ領域101は、さらに詳細には、3列構成になっており、中央の列にクロックパターン103、左右の列にアドレスパターン104が配置されている。クロックパターン103は、アドレスパターンを読む際の像の基準位置を与える周期的パターンとなっており、アドレスパターン104は、記録データのページ番号情報や位置情報といったアドレス情報が符号化されたパターンとなっている。2列ある左右のアドレスパターン104には、同じ内容の情報が含まれている。クロックパターン103上には、シンクマーク105が配置されている。シンクマーク105は、ヘッダ領域101を複数の区間に分割し、各区間のデータの始点終点の同期をとるための位置基準マークであり、分割した区間上で各々データを読み出すことを可能にすることで、信頼性を向上することができ、また、ヘッダ領域101を複数の撮像素子で撮影した場合の、画像間位置合わせ用の位置基準マークとしても使用できる。
【0039】
(撮像光学系の基本構成)
次に、
図4〜
図8を用いて、撮像光学系230の詳しい構造について説明する。
【0040】
上述の様に、撮像光学系230内では、光束分割部232によって、光束を第一撮像素子と第二撮像素子へ向け分割している。
【0041】
この光束分割部232として、具体的には、プリズムを用いた場合と、反射鏡を用いた場合があり、分割後の光束の出射方向を含めて、複数の構成が可能である。どの構成においても、光束分割部232の分割の境界線となる反射境界は、再生するときに、空間光変調器211に与えた記録データパターンの帯状のヘッダ領域101に重なるよう、位置を調整して配置する。この様子をまず
図4〜
図5を用いて説明する。
【0042】
図4に、光束分割部232による光束分割の様子を示す。再生されたホログラムの分割前再生像240は、劣化を除いて記録データパターン101と同じパターンとなる。光束分割部232の分割境界233は、
図4(a)の様に、記録データパターン100の再生像上の帯状のヘッダ領域101上に重ねるよう、光束分割部232の位置調整により調整されている。これにより、再生像は
図4(b)の様に左半分と右半分に分かれる。光束分割部232ではプリズムを用いているが、反射鏡を用いた場合でも、反射した光束は、鏡像反転により、
図5の様に左右反転する。具体的には、第一撮像素子236で受像される再生像は
図5(b1)の様にそのままであるのに対し、第二撮像素子237で受像される再生像は
図5(b2)の様に左右反転する。そのため、画像データ239a,239bを制御系224内で信号処理し復号する際は、この再生像の反転に対応して処理をする。
【0043】
図4(a)に戻って再び説明すると、分割する左右の像は、分割境界233を境に、像の光量が完全にステップ的に変化するわけではなく、再生光の光束の広がり角度分だけ、緩やかに(徐々に)上がる変化となる。具体的には、
図4(a)にて、位置250に対して分割後光効率251をプロットすると、左半分光効率252(点線)は、分割境界233の少し左側で低下しはじめ、分割境界の少し右側まで直線的に低下し、ゼロとなる。逆に右半分光効率253(実線)は、分割境界233の少し左側で上昇しはじめ、分割境界の右側まで直線的に増加し、100%となる。この理由について
図6を用いて説明する。
【0044】
図6は、広がり角度を持った再生光の光束を、反射鏡を使って分割した場合の、光路を示している。分割境界233で分離される中央の光束は、反射面254で半分に分割されている。光束の広がり角度分、位置に応じて、第一撮像素子236と第二撮像素子237へ到達する光量が変わるため、光効率は緩やかに変化する。広がり角度の典型値は0.5度〜3度である。
【0045】
この光束の広がり角度は、ホログラム光学系の設定により決まる。このホログラム光学系の設定に対応しないと、分割境界233の位置が帯状のヘッダ領域101上の中央からずれた際に、
図4(b)の様に、左右に分割したヘッダ領域101のパターンの分割もアンバランスとなる。ヘッダ領域101の分割がアンバランスになるとクロックマーク103やシンクマーク105が、一方のヘッダ領域101に含まれなくなり、アドレス情報を再生することができなくなる。これに対する対策構造は後述する。
【0046】
(光束分割部の複数の構成例)
光束分割部と撮像素子の配置の具体的構成は、
図1の構成以外にも色々と可能である。以下、光束分割部としてプリズムを用いた場合と、反射鏡を用いた場合の例を
図7〜
図9を用いて説明する。
【0047】
まず
図7〜
図8に光束分割部としてプリズムを用いた場合の構成例を示す。
【0048】
プリズムを用いた場合は、大きく、
図7(a)の様に、光束が互いに交差(クロス)しない方向へ半分の光束を反射する構成と、
図7(b)の様に、反射した光束が残り半分の光束とプリズム内部で交差(クロス)する方向へ内部反射する構成との、2通りがある。
【0049】
この際、
図8の様に、入射面260に対する反射面261の角度を反射面角262(θ)とする。光束が互いに交差(クロス)しない方向へ反射する構成(
図8(a))では、θを45度よりやや浅め(θ<45度:透過光側寄り(θ=42〜44度))とする。プリズム内部で交差(クロス)させる場合(
図8(b))は、45度よりやや深め(θ>45度:入射光寄り(θ=46〜70度))とする。この理由は、光学部品の角度ずれによるプリズム内部での乱反射を防ぐためで、角度で1度程度の余裕を持たせる。また、θが大きすぎると(θ≧70度)、広い反射面が必要となり、長い光路長が必要となることから、θは70度未満にするのが良い。
【0050】
プリズムの入射面260に対する出射面263の角度を出射面角264とすると、出射面角264は、上記に合わせて2θとする。これにより収差発生とビームのプリズム内乱反射を防ぎ、反射光像を正しくカメラ上に集光させることができる。
【0051】
(半反射領域を設けた構成)
分割境界233の位置が帯状のヘッダ領域101上の中央からずれると、
図4(b)の様に、左右に分割したヘッダ領域101のパターンの分割もアンバランスとなることを、上に述べた。信頼性の高いアドレス検出のためには、ヘッダ領域の中央にあるクロックパターン103、シンクマーク105が、分割後の両方の受像パターン上に含まれていることが望ましい。これに対する対策として、反射面261の反射境界233付近に、
図7(a)中の様に、半反射領域270を設けることができる。半反射領域は、光を半分程度(50%付近:30〜70%)反射、半分程度(50%付近:70〜30%程度)透過する、半反射鏡面である。半反射領域を境界付近に一部半反射領域を設けた構造とすることで、
図10(a)の様に、反射境界付近の、ヘッダ領域上での分割後光効率251に、半反射領域幅271だけ途中に小さな段差を設け、反射率の変化を実質、緩やかにすることができる。これにより、
図10(b)の様に、光効率上のアンバランスが緩和され、第一撮像素子236上と第二撮像素子237の両方へ、ヘッダ領域101の信号をより確実に分割できる。これにより、再生光の光束と光束分割部232の相対位置ずれマージンが広がり、より確実にヘッダ情報を読み出せる。
【0052】
反射鏡を用いた場合も、
図9(a)の様に、光束が互いに交差(クロス)しない方向へ光束の半分を反射する構成と、
図9(b)の様に、反射した光束が残り半分の光束と光路上で交差(クロス)する構成との、2通りがある。
【0053】
反射鏡を用いた場合は、プリズムの様に部品内の内面反射の問題がなく、またプリズムの様に部品取付角度ずれによる非点収差発生がないので、反射面の角度(θ)は、自由で良く、広い角度範囲で出射方向を調整できる。また単にθ=45度とすることもできる。
【0054】
分割した光束が、透過した光束とクロスする構成(配置)とした場合、反射鏡の鏡端を鋭角加工する必要はないため(通常の直角のままでも良く)、低コストとなる。
【0055】
光束が互いに交差(クロス)しない方向へ反射する場合は、
図9(a)の様に、反射境界となる反射鏡の一辺(鏡端)を鋭角加工(<θ)し、透過光の境界付近が反射鏡の厚さで隠れることを防ぐ。このため、反射鏡を用いた場合はクロスする構成が作りやすいが、特にθ=45度付近(θ=30〜60度)として交差(クロス)しない構成とした場合は、反射鏡の直後直近に第二撮像素子を配置でき光路長が短くできるので、撮像光学系全体がコンパクトにできる利点がある。
【0056】
前述の様に、これら、プリズムを用いた場合と、反射鏡を用いた場合のどちらの場合でも、反射した分割光(反射光)は、反射によって像が反転しているため、反射光を検出する第二撮像素子237で撮影された像は、左右が反転した像となる。再生像は、撮像系リレーレンズ231を拡大光学系とすれば、拡大された像となるため、画素ピッチが広がり、画素領域中を縦横に配置される水平・垂直信号線の幅を広げることができる。このため信号線の配線抵抗が減ることで、走査線当たりのピクセル数が半分になることに加えて第一撮像素子236、第二撮像素子237での処理が速くなり、さらに好適となる。
【0057】
分割後の再生像は、
図5(b1)(b2)共、どちらの画像にもヘッダ領域が含まれている。アドレス情報は、第一撮像素子236、第二撮像素子237いずれかで撮影されたヘッダ領域101から読出せればよい。
【0058】
本構成では、ヘッダ領域101はS/N的に余裕があるパターンを用いており、分割して光量が減ってもヘッダは正しく読めるようになっている。またヘッダ領域101は左半分と右半分に同じ内容のデータを含むように分割されておりこれによって、データパターン100を複数台の撮像素子へ分けて受像しても、各撮像素子においてデータパターン100を再生するのに必要なヘッダ情報を読取りできる。また、2台の撮像素子で1つのデータパターン100を撮影するので走査線当りのピクセル数が半分で済むため、同じ加工プロセスのCMOSカメラやCCDカメラであれば、フレームレートを約2倍にでき、撮像素子を1つ増やすことで光情報再生装置の再生速度を約2倍にできる。
【0059】
なお、露光時間および休止期間は、パルスレーザ併用によってほぼゼロ近くまで短縮でき、本構成では、2台の撮像素子から同じピクセル転送速度で読出した場合でも、1台の撮像素子のみでデータを再生した場合に比べ、ほぼ2倍に情報読出し速度を向上できる。
【0060】
また本構成では、光束を分割する前段でリレーレンズを用いて、所定の長さの光路を確保しており、これにより光束分割部を挿入しても、配置の余裕マージンを確保することができる。
【0061】
また、拡大光学系を利用することで、同じ加工プロセスのCMOSカメラやCCDカメラであれば、画素ピッチが広がることで、画素領域中を縦横に配置される水平・垂直信号線の幅を広げることができ、信号線の配線抵抗が減ることで、走査線当たりのピクセル数が半分になるためフレームレートがさらに向上できる。フレームレートが向上すると、個々の撮像素子の処理速度が高速になり撮像素子の台数分以上に、装置再生速度を上げることができる。
【0062】
光束分割部としてプリズムを用いた場合は、プリズム挿入により光路長が変化するが、ホログラム光学系における再生光束のビームの広がり角度は小さく(<2〜3度)、光束径15mm程度として15mm厚のガラスプリズムを光路中に挿入した場合でも、プリズム挿入による収差は0.001λrms程度であり、プリズム挿入による像の劣化は無視できる。また光路長は、空気中に比べ屈折率分短くなるため、その分リレーレンズの焦点距離を短く設定することができ、その分撮像光学系230全体をコンパクト化できる利点がある。さらに、反射面がプリズムガラス中埋め込まれることで、機械的に堅牢な構造で、反射境界を守ることができ、経年変化に強くなる。
【0063】
(信号処理部構成)
次に、2台の撮像素子の受像データから、元のデジタルデータを復元するまでの信号処理回路の構成と具体的な処理の流れを、
図11〜
図21を用いて説明する。
【0064】
(2系統独立信号処理)
まず、2台の撮像素子の受像データを、各々別々に信号処理する場合の構成を、
図11〜
図17に示す。
【0065】
図11は、
図1において、第一撮像素子236と第二撮像素子237で撮像された画像データ239a・239bを、制御系224内の信号処理回路85で信号処理し復号し、コントローラ89を介して入出力制御回路90へ出力するまでの処理回路の構成を示している。第一撮像素子236と第二撮像素子237からコントローラ89手前までは信号処理回路85に含まれる構成である。以下順を追って構成を説明する。
【0066】
まず、第一撮像素子236と第二撮像素子237で撮像された画像データ239a・239bは、まずフレームバッファ370a・370bへ各々記憶される。各フレームバッファは、各画像データを受取り、同期して各々バッファ後画像371a・371bを出力する。データ領域検出器394a・394bは、各々バッファ後画像371a・371bを受取り、ヘッダ領域を含むデータ領域の全体を検出し、その領域の画像を抽出し、各々データ領域画像395a・395bを出力する。ヘッダ検出器372a・372bは、各々のデータ領域画像を受取り、画像中のヘッダ領域101の位置を検出し、ヘッダ領域101より読出されるヘッダアドレス値373a・373bを出力する。アドレス比較選択器375は、各ヘッダアドレス値を受取り、有効アドレス値376とエラーフラグ信号377を出力する。また、画像反転器378は、データ領域画像395bを受取り、画像を左右反転して反転後画像379を出力する。画像補正器382aはフレームバッファ370aからデータ領域画像395aを受取り、画像補正器382bは画像反転器378から反転後画像379を受取り、各々画像の歪みと輝度をデータ領域102に含まれる基準となるマークを用いて補正し、補正後画像383a、383bを出力する。二次元復号器384a、384bは、補正後画像383a、383bについて二次元符号を復号することで、デジタルビットデータへの変換を行い、復号後データ385a、385bを出力する。インターリーブ解除器386a・386bは、復号後データ385a、385bを受取り、インターリーブ解除後データ387a、387bを出力する。誤り訂正器388a、388bは、インターリーブ解除後データ387a、387bを受取り、誤り訂正後データ389a、389bを出力する。スクランブル解除器390a、390bは、誤り訂正後データ389a、389bを受取り、復元デジタルデータ391a391bを出力する。コントローラ89は、復元デジタルデータ391a・391bと有効アドレス値376とエラーフラグ信号377を受取り、読出し要求ページ数とアドレス情報に含まれるページ数の一致を確認し、正しく両方の撮像素子のデータが読み出せていることを正常読出し通知信号396として出力して、入出力制御回路90へ通知する。入出力制御回路90は、正常読出し通知信号396と復元デジタルデータ391a391bを受取り、外部制御装置91との間でデータを送受信する。
【0067】
本構成では、第一撮像素子236で撮像された画像データ(右列)と第二撮像素子237で撮像された画像データ(左列)を別々に復号処理し、入出力制御回路90を介して外部制御装置91へ出力している。この構成では、各撮像素子の画像データの処理を独立化できるため、信号処理回路が小型になるとともに、1つの信号処理回路で処理を行った場合と比較して信号処理回路の負荷が低減され、処理が高速化される利点がある。
【0068】
次に、上記構成を用いた処理の概要を、
図12〜
図16のフローチャートを用いて詳細に説明する。
図12は、2台の撮像素子の各々で、ヘッダ領域101のアドレスパターン104に含まれるアドレス情報を読出す手順を示すフローチャートである。手順は、2台の撮像素子に共通である。
【0069】
処理開始を開始したら、まず、ステップS110で、第一撮像素子236、第二撮像素子237で撮影した画像データをフレームバッファ370a、370bから取得する。次に、ステップS111で、ヘッダ検出器372a、372bによって、フレームバッファ370a、370bで取得した画像からヘッダ領域101の座標値の検出を行う。次に、ステップS112で、取得したヘッダ領域101の座標が正しいかどうかを判定する。ヘッダ領域101の座標値が正しいかどうかの基準はシステムを設計したときに決まる。取得したヘッダ領域101の座標値が正しくなかった場合は(No)、ステップS118でエラーフラグをコントローラ89が備える記憶部(図示せず)に格納して処理を終了する。ヘッダ領域101の座標値が正しい場合は(Yes)、次のステップS113で、ヘッダ領域101に含まれるクロックパターン103を検索する。そして、クロックパターン検出判定314により、クロックパターン103が検索されなかった場合(No)はステップS118でエラーフラグをコントローラ89が備える記憶部(図示せず)に格納して処理を終了する。検索された場合は(Yes)、ステップS115へ進む。ステップS115では、ヘッダ領域101に含まれているアドレスパターン104を読み込む。読込んだアドレスパターン104には、アドレス値に検証用コード(チェックサム、パリティやCRCコードなど)が付加されている。次にステップS116で、検証用コードを用いて検索したアドレスパターン104のアドレス情報のチェックサム検査を行い、誤り訂正等を行って、ステップS117に進む。ステップS117では、アドレスチェックサム検査結果と誤り訂正等されたアドレス情報を、アドレス比較選択器375へ送り、アドレス情報を読み出す処理を終了する。
【0070】
上記処理は、第一撮像素子236で取得した半円形の撮像データと、第二撮像素子237で取得した半円形の撮像データと、に対して行う。
【0071】
次に、上記処理で得られた2つのアドレス情報について、アドレス比較選択器375にて判定を行う。この判定処理も、信号処理回路85内で行っている。
【0072】
図13は、上記処理で得られた2つのアドレス情報より、有効なアドレス値を決定する手順である。
【0073】
まず、処理を開始したら、ステップS130で、
図12の手順で得られたアドレス情報と検査結果から、第一撮像素子236で取得した画像データ239aから正しくアドレスパターン104が読めるかを判定する。もし正しく読めない場合は(No)、右列のステップS131へ進む。ステップS131では、第二撮像素子237で撮影した画像データ239bからアドレスパターン104が正しく読めるかを判定する。もしこちらも正しく読めない場合は(No)、ステップS134へ進んでエラーフラグをコントローラ89が備える記憶部(図示せず)に格納し、処理を終了する。正しく読める場合は(Yes)、ステップS136へ進み、第二撮像素子237で取得した画像データ239bに含まれるアドレス情報を有効アドレス値として入出力制御回路90が備えるメモリ(図示せず)へ格納して処理を終了する。
【0074】
ステップS130にて、正しく読める場合は(Yes)、左列のステップS132へ進み、第二撮像素子237で取得した画像データ239bに含まれるアドレス情報が読めるかを判定する。正しく読めない場合は(No)、先に第一撮像素子236で取得した画像データ239aに含まれるアドレス情報が正しく読めるので、ステップS135へ進み、第一撮像素子236で取得した画像データ239aに含まれるアドレス情報を、入出力回路90が備えるメモリ(図示せず)の有効アドレス値へ格納して処理を終了する。ステップS132で、正しく読める場合(Yes)、両方のアドレス情報が正しく読めるので、ステップS133へ進み、第一撮像素子236で取得した画像データ239aに含まれるアドレス情報と、第二撮像素子237で取得した画像データ239bに含まれるアドレス情報と、で比較してアドレス情報が一致しているかを判定する。一致していない場合は(No)、エラーフラグ格納334でエラーフラグをコントローラ89が備える記憶部(図示せず)に格納して処理を終了する。一致している場合は(Yes)、ステップS135へ進み、第一撮像素子236で取得した画像データ239aに含まれるアドレス情報を、入出力回路90が備えるメモリ(図示せず)の有効アドレス値へ格納して処理を終了する。
【0075】
本処理では、アドレス情報に検証用コードが付加されたアドレスパターン104を、2台の撮像素子236、237で撮影し、それぞれの画像データ239a、239bに含まれるアドレスパターン104の検証用コードでアドレス情報の検証を行う。このため、どちらかの画像データに含まれるアドレスパターン104で検証されたアドレス情報を有効なアドレス情報として採用することで、アドレス情報を読み出せる場合が増える。また、第一撮像素子236で取得した画像データ239aに含まれるアドレス情報と、第二撮像素子237で取得した画像データ239bに含まれるアドレス情報とを比較しているため、どちらかの撮像素子が間違ったアドレス情報の値を読み出した場合でもエラーとして判断できるため、ヘッダ領域101のアドレス読出しの信頼性を高めることができる。
【0076】
図14〜
図16は、記録データパターン100のデータ領域102から、記録されたデジタルデータを復号するまでの処理手順を示す。
【0077】
まず、第一撮像素子236で取得した画像データ239aから、デジタルデータを復号する手順を、
図14を用いて説明する。
【0078】
処理を開始したら、ステップS200では、予め決められた範囲に含まれる画像データ239aの座標範囲情報を得る。データ領域102の座標範囲は、2次元座標であり、複数の矩形領域に区切られている。区切られた矩形領域には、所定数おきに基準マークが付加されている。このステップS200の処理はデータ領域検出器394aで行い、得られた座標範囲情報を画像補正器382aへ送る。次に、ステップS202では、データ領域検出器394aで得られた座標範囲内の基準マーカの位置座標を得る。基準マーカは、データ領域102内に複数ある。次に、ステップS203では、今度は先ほど検出した基準マーカを用いてリサンプルを行い、画像の位置ずれや像歪を補正する。次に、得られた基準マーカの位置の画素より、明るさ(輝度)の補正の基準となる輝度レベルを得る。次に、ステップS204により、検出したマーカの輝度レベルを元に、画像の明るさ(輝度)を補正する。また、同時に等化(イコライザ)処理を行う。これらステップS202・S203・S204の処理は、画像補正器382aで行い、得られた画像を二次元復号器384aへ送る。次に、ステップS205では、画像補正器382aから得た画像を二次元復号器384aで二次元復号処理を行い、各画像の輝度パターンより、符号変調を解いて復号することで、デジタルデータを抽出し、インターリーブ解除器386aへ送る。次にステップS206で、インターリーブ解除の処理を行う。二次元復号器384aで得られたデジタルデータは、エラー耐性を高めるため、記録時にビット情報がデータ領域内の各部データとインターリーブ処理によって混ぜ替え(または入れ替え)られており、これをインターリーブ解除器386aで元に戻す。これにより再生像の一部が物理的要因で損傷した場合でも、損傷したデータを分散することができ、訂正能力の向上を図ることができる。そしてインターリーブ解除器386aで元に戻したデータを誤り訂正器388aへ送る。
【0079】
次に、ステップS207の誤り訂正処理では、インターリーブ解除器386aから送られたデータを、誤り訂正器388aで誤り訂正符号と主データの内容を比較し、データが正しく読み出せていない部分(ビット)について訂正処理する。そして、ステップS208では、誤り訂正処理が正しく訂正できたかを判定する。もしノイズが多くて訂正処理できない場合は(No)、ステップ209へ進む。正しく訂正処理できる場合(Yes)は、スクランブル解除器390aへ訂正処理後のデータを送りステップS210へ進む。ステップS209では、エラーフラグをコントローラ89が備える記憶部(図示せず)に格納して処理を終了する。ステップS210では、誤り訂正器388aで訂正処理されたデータをスクランブル解除器390aにより、スクランブル解除を行って、最終的に復元されたデジタルデータを得、処理を終了する。
【0080】
以上が第一撮像素子236からの画像データを復元する手順である。
【0081】
第二撮像素子237からの画像データを復元する手順は、最初に撮像素子上で得られる画像が、鏡像反転しているため、画像の反転処理が加わる。具体的な方法としては、
図15の様に、データ領域検出の前後で、ステップS201で、画像反転器378を用いて画像反転の処理を行う。以後の処理は
図14と同様である。
図15では、画像反転の処理をステップS200データ領域検出の処理の後に行っているが、ステップS200のデータ領域検出処理の前でも良く、又は画像反転処理に代えて、復号時に、二次元復号処理に代えて、ステップS211の反転像用二次元復号処理としても良い。この際は、画像反転器378を省き、代わりに二次元復号器384bに反転画像対応機能を持たせる。
図16の構成は、基準マーカとして左右対称な基準マーカパターンを用いている際に可能であり、多くの処理を、第一撮像素子の画像と第二撮像素子の画像とで共通化できる利点がある。
【0082】
本実施例を用いた場合の処理タイミングの様子を
図17に示す。
図17(a)は、本光束分割を用いず単一の撮像素子を用いた場合、
図17(b)は本構成の様に2台の撮像素子で分割して処理した場合の、撮像素子のデータ出力と画像信号処理のタイミングチャートである。この図では、横軸の時間400に対して、各信号と処理のタイミングを示している。一般に、ホログラム記録再生装置では、ガルバノミラーの動きと、撮像素子の撮像タイミングの同期を取っている。露光同期トリガ信号401が供給されると、露光を同期させたいタイミングである露光同期タイミング402aでパルスが起こり、撮像素子へ供給される。
【0083】
比較としてまず、単一の撮像素子の場合は、露光同期タイミング402aにより、ホログラム再生像が撮像素子上に露光され、単一撮像素子出力データ信号403が出力される。このデータ信号を元に、
図11〜
図16の様な信号処理を行って、復号後データ404が出力される。復号信号処理の終了後は、次の露光同期タイミング402bにて、露光が開始できる。
【0084】
次に、本実施例を用いた、2台の撮像素子を用いる場合、1台当たりの処理画素数が半分となるため、
図17(b)の様に、1台ごとの撮像素子からの画像データである、第一撮像素子出力データ信号405と第二撮像素子出力データ信号406の期間が、各々半分となる。また、各々に引続く復号信号処理である第一撮像素子画像復号後データ407と第二撮像素子画像復号後データ408も、本構成では並列処理できるため、
図17(a)の場合に比べ、半分の期間となり、全体としてのフレームレートは約2倍にまで速められる。
【0085】
(2系統連携信号処理)
次に、さらに、2台の撮像素子の受像データを、信号処理途中で合成して一つの合成データとし、合成データに対し信号処理することで、誤り訂正能力を上げた場合の構成について、
図18〜
図21を用いて説明する。
【0086】
まず、
図18を用いて、画像の段階で、2台の撮像素子の受像データを合成する場合の、信号処理部の全体構成を説明する。
【0087】
フレームバッファ370a・370bと、データ領域検出器394a・394bと、アドレス比較選択器375と、画像反転器378までの構成は、
図11と同様である。ヘッダ検出器372a・372bは、先程のヘッダアドレス値373a・373bに加えて、アドレス位置情報374a・374bを出力する。
【0088】
左右画像結合器380は、データ領域検出器394aの出力したデータ領域画像395aと、画像反転器378の出力した反転後画像379とを、シンクマークの位置座標を含むアドレス位置情報374a・374bを受取り、
図19の様に、シンクマーク105の位置座標を基準に、2つの画像を縦方向に位置合わせして結合し、結合後画像381を出力する。2台の撮像素子の相対位置関係が、機械的に固定されている場合、位置合わせのための座標は制御系224の図示しない記憶部に予め記憶しておくことができる。または学習し座標を更新しておくことができる。予め記憶しておくことで、初期化動作が高速化できる。また、学習により座標を更新することで、温度変化に伴う経時変化や、経年変化による機械的位置ずれが生じても、信頼性が保てる。
【0089】
画像補正器382は結合後画像381を受取り、画像に含まれる基準マークを基準として、画像の歪みと輝度を補正し、補正後画像383を出力する。二次元復号器384は、二次元符号を復号してデジタルビットデータへの変換を行い、復号後データ385を出力する。インターリーブ解除器386は、復号後データを受取り、インターリーブ解除後データ387を出力する。誤り訂正器388は、インターリーブ解除後データを受取り、誤り訂正後データ389を出力する。スクランブル解除器390は、誤り訂正後データを受取り、復元デジタルデータ391を出力する。コントローラ89は、復元デジタルデータ391a・391bと有効アドレス値376とエラーフラグ信号377を受取り、正常読出し通知信号396を出力する。入出力制御回路90は、正常読出し通知信号396と復元デジタルデータ391を受取り、外部制御装置91との間でデータを送受信する。
【0090】
本実施例では、複数台の撮像素子より得られる複数の画像より得たデータを、画像の状態で結合して、元の再生像全体を復元できるため、データ領域全体に対しインターリーブ処理を施した記録パターンで記録したディスクを再生できる。局所的に再生像が損傷した場合に、インターリーブ処理でより広い面積に拡散して、エラーの密度を薄められるため、より高い誤り訂正能力を持つ装置とすることができる。
【0091】
次に、
図20を用いて、画像の状態ではなく二次元復号器384a、384bで二次元復号処理が終わったあとに2台の撮像素子からのデータを合成する場合の、信号処理部の全体構成を説明する。
【0092】
フレームバッファ370a、370b、データ領域検出器394a、394b、ヘッダ検出器372a、372b、アドレス比較選択器375、画像反転器378、画像補正器382a、382b、二次元復号器384a・384bの構成は、
図11と同様である。二次元復号器384a・384bは、二次元符号を復号してデジタルビットデータへの変換を行い、復号後データ385a・385bを出力する。データ結合器392は、復号後データ385a・385bをデータ上でミキシングし、結合し、結合後データ393を出力する。具体的にはデータ上での結合であるので、2つのストリームデータをセクタ単位に交互に混ぜる、または、記録パターンの物理的な並びに従って、データを並替えながら混ぜてもよい。インターリーブ解除器386、誤り訂正器388、スクランブル解除器390は
図18の構成と同様である。スクランブル解除器390は、復元デジタルデータ391をコントローラ89と入出力制御回路90へ出力する。
【0093】
本実施例の構成では、複数台の撮像素子より得られる複数の画像より得たデータを、復号後のデジタルデータで結合して、元の再生像全体の情報を復元する。復号後のデジタルデータで結合するため、結合処理が簡単である。そして、データ領域全体に対しインターリーブ処理へ対応でき、誤り訂正能力も、
図18の例のように画像補正器382で画像を補正処理する前に結合する場合と同様である。本実施例では、二次元復号器384a、384bでの復号処理のあとに結合処理を行うため、データの結合処理が簡単となり、より低コストな装置とすることができる。
【0094】
なお、本実施例の他、画像補正器382a、382bでの補正処理と、インターリーブ解除器386でインターリーブ解除の処理と、の間の任意の段階で左右のデータを結合する構成も可能であり、その場合の効果も同様である。
【0095】
次に、
図21を用いて、画像の状態で、2台の撮像素子の受像データを合成する場合の別の信号処理部の全体構成例を説明する。
【0096】
図18に比べて、アドレス比較選択器375がなく、代わりに、左右の画像を合成した結合後画像381を入力として、ヘッダ検出器372を設けている。このヘッダ検出器372は、先程のヘッダ検出器372a・372bと異なり、結合された画像上でヘッダ領域全体に含まれる全アドレスパターンを読み、一部のアドレスパターンに画像の損傷があった場合には、より強力な誤り訂正の処理を行って、多数決によるアドレス判定を行って、有効アドレス値376とエラーフラグ信号377を出力する。このため、よりアドレス検出(読み出し)の信頼性を上げることができる。なお、データ領域の復元デジタルデータの信頼性も、
図18や
図20の構成と同様の、高い誤り訂正能力を実現できる。
(十字パターンを用いた4分割時構成)
次に、ヘッダとして、
図22の様に、帯状ヘッダ領域を交差した、十字状ヘッダ領域280を設けた場合の記録データパターンを用いた場合の構成例を示す。この場合、光束はさらに4分割することができる。記録を行う場合はこの
図22の様なパターンを空間光変調器へ与えて、ディスクへホログラムを記録する。
【0097】
図23は、記録データパターンが前記十字状ヘッダパターンのときに用いられる場合の、光束分割部と撮像素子の構成例である。この構成では、3枚の反射鏡を用いて、4分割した光束を4台の撮像素子へ分割して検出できる。具体的には、光束入射領域281に入射された分割前再生像240は、まず光束分割部232aで、上半分の透過光と、下半分の反射光へ半分ずつ分けられる。続いて、上半分の透過光は、光束分割部232bで、右半分の透過光と、左半分の反射光に分けられる。右半分の透過光は第一撮像素子236で受像され、左半分の反射光は第二撮像素子237で受像される。
【0098】
下半分の反射光は、上方へ反射され、光束分割部232cで、左半分の透過光と、右半分の反射光に分けられる。左半分の透過光は第三撮像素子282で受像され、右半分の反射光は第四撮像素子283で受像される。
【0099】
図24は、記録パターンの再生像と、各光束分割部上の分割境界233a・233b・233cと、の配置関係を示す。各撮像素子で受像される分割境界233a、233b、233cは、ヘッダパターンに重なるように、配置されている。
【0100】
十字状のヘッダパターンと、4つの撮像素子と、を組合せて記録データパターンを受像する。ヘッダ領域には、
図3の時と同様、分割された状態でも各々アドレスを検知できるよう、十字の4方向のヘッダパターンの各々に同じ内容を含むアドレス情報を配置する。
【0101】
このようにすることで、撮像素子で受像した画像からのアドレス情報取得の信頼性を向上される。また、各撮像素子のデータを4並列で処理するので、復号までの信号処理が高速化される。そして各撮像素子で受像するデータが小さく済むため、画素領域中を縦横に配置される水平・垂直信号線の長さが短くなることで、信号線の配線抵抗が減りフレームレートが向上され、処理が高速化された情報再生装置を構成できる。さらに受像するデータが小さいことから各撮像素子の画像処理および転送処理に関するICチップのサイズを小型化し、転送処理を高速化することができる。これらにより、4並列処理による処理の高速化以上に、装置の総合的なデータ再生速度を向上できる。
【0102】
本実施例の信号処理については、記録データパターンを2分割したときの例(
図11〜
図21)と同様とすれば良い。
【0103】
具体的には、
図23において、第一撮像素子236は反射しないため非反転となり
図14のフローの処理、第二撮像素子237は反射するため反転され
図15または
図16のフローの処理、第三撮像素子282は反射するため反転され
図15または
図16のフローの処理、第四撮像素子283は反射しないため非反転となり
図14のフローで処理すれば良い。基準マーカについて上下左右対称なパターンを用いている場合、
図14のステップS205二次元復号処理までは同様の処理となり、二次元復号処理以降は
図16のステップS211と同様、鏡像反転の方向を考慮した処理とすればよい多くの処理を共通化できる利点がある。
【0104】
また、4台の撮像素子より得られる4つの受像データを、信号処理途中で合成して一つの合成データとし、合成データに対しインターリーブ処理と誤り訂正処理することで、全画像のデータ領域上のデータを対象として誤り訂正処理できる。このため、個々のデータを別々にインターリーブ処理と誤り訂正処理した場合に比べ、局部的な画像の損傷や光ノイズ対する誤り訂正能力を上げることができ、第一像面位置や分割前再生像といった光束全体を、1台の撮像素子で受像した場合と同様に維持することができ、信頼性が確保できる。
【0105】
また、
図23の配置とすることで、第一〜第四撮像素子の間隔を十分に離して配置でき、撮像素子が回路基板上に搭載された場合においても、基板を配置する空間が確保できる。
【0106】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0107】
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。