【解決手段】第1蓄電器23からDCDCコンバータ21を介して冷却器27、高電力器28及び電気機器29に給電する。電圧検出部30は第1蓄電器23の出力電圧を検出する。制御部31は、電圧検出部30が検出した出力電圧が閾値電圧以上であるかを判定する。制御部31は、出力電圧が閾値電津以上であると判定した場合、冷却器27又は高電力器28を駆動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような従来の電源装置では、回生電力が発生している期間は車両が減速している短い期間であるため、回生電力を蓄える蓄電器として、急速充電に適した蓄電器、例えば電気二重層キャパシタが用いられる。このような蓄電器には、自身の温度が高ければ高い程、更には、蓄電率が高ければ高い程、充放電特性の大きな劣化、例えば静電容量の大きな低下が生じるという問題がある。
このため、蓄電器周辺の温度の上昇によって温度が高くなっている状態で蓄電器が多量の電力を蓄えている場合、充放電特性の劣化を抑えるため、蓄電器が蓄えている電力を素早く低下させる必要がある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓄電器が蓄えている電力を素早く低下させることができる電源装置及び負荷の駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源装置は、蓄電器から一又は複数の負荷に給電する電源装置において、該蓄電器の出力電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段が検出した出力電圧が閾値以上であるか否かを判定する電圧判定手段と、該電圧判定手段が前記閾値以上であると判定した場合に、前記一又は複数の負荷中の少なくとも1つを駆動する負荷駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電源装置は、前記蓄電器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段が検出した温度の高/低に応じて前記閾値を低/高に設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電源装置は、前記蓄電器の温度に対応付けて電圧を記憶している記憶手段と、前記温度検出手段が検出した温度に対応する電圧を前記記憶手段から読み出す読出手段とを備え、前記設定手段は該読出手段が読み出した電圧を前記閾値に設定するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電源装置は、電力を発生させ、発生させた電力を前記蓄電器に供給する発電機と、前記電圧判定手段が前記閾値以上であると判定した場合に前記発電機によって行われる電力の発生を停止する発電停止手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電源装置は、車両に搭載されており、該車両のイグニッションスイッチがオンからオフに切替わったか否かを判定する切替え判定手段を備え、前記電圧判定手段は、前記切替え判定手段がオンからオフに切替わったと判定した場合に判定を行うように構成してあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電源装置は、前記蓄電器の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段が検出した温度が所定温度以上であるか否かを判定する温度判定手段とを備え、前記一又は複数の負荷には、前記蓄電器を冷却する冷却器と、該冷却器よりも高い電力を消費する高電力器とが含まれており、前記負荷駆動手段は、前記電圧判定手段が前記閾値以上であると判定した場合に、前記温度判定手段が前記所定温度以上であると判定したときに前記冷却器を駆動し、前記温度判定手段が前記所定温度未満であると判定したときに前記高電力器を駆動するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電源装置は、前記一又は複数の負荷には、前記蓄電器を冷却する冷却器が含まれており、前記負荷駆動手段は該冷却器を駆動するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電源装置は、開閉可能な蓋によって覆われる車両の収容部に収容されており、該蓋が開放されたか否かを判定する開閉判定手段と、前記負荷駆動手段が前記一又は複数の負荷中の少なくとも1つを駆動している間に、前記開閉判定手段が開放されたと判定した場合、前記負荷駆動手段が駆動している負荷の動作を停止する動作停止手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電源装置は、前記蓄電器が蓄えている電力を放出する放電回路と、前記動作停止手段が前記動作を停止した場合に前記放電回路を駆動する回路駆動手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る駆動方法は、蓄電器によって給電される一又は複数の負荷の駆動方法において、該蓄電器の出力電圧を検出し、検出した出力電圧が閾値以上であるか否かを判定し、該出力電圧が前記閾値以上であると判定した場合に、一又は複数の負荷中の少なくとも1つを駆動することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電源装置及び駆動方法にあっては、一又は複数の負荷に給電する蓄電器、例えばキャパシタについては、蓄電率の上昇と共に出力電圧が上昇する。蓄電器の出力電圧を検出する。そして、検出した蓄電器の出力電圧が閾値以上であると判定した場合、一又は複数の負荷中の少なくとも1つを駆動する。
これにより、蓄電器が給電する負荷の数が増加するため、蓄電器が蓄えている電力が素早く低下する。
【0017】
本発明に係る電源装置にあっては、蓄電器の温度、具体的には、蓄電器の内部又は表面の温度を検出し、検出した温度の高/低に応じて閾値を低/高に設定する。蓄電器の温度に応じて、蓄電器が蓄える電力の許容量は異なり、蓄電器の温度が低ければ低い程、電力の許容量は大きい。
このため、蓄電器の温度の高/低に応じて閾値を低/高に設定することによって、負荷を駆動すべきか否かの判定に用いる閾値が、蓄電器の温度に適した閾値に設定される。
【0018】
本発明に係る電源装置にあっては、記憶部には、蓄電器の温度に対応付けて電圧が予め記憶されている。低い温度には高い電圧が対応付けられており、高い温度には低い電圧が対応付けられている。そして、検出した蓄電器の温度に対応する電圧を記憶部から読み出し、読み出した電圧を閾値に設定する。
このため、簡単な構成で蓄電器の温度に適した閾値が設定される。
【0019】
本発明に係る電源装置にあっては、発電機が発生させた電力が蓄電器に供給されている。検出した蓄電器の出力電圧が閾値以上であると判定した場合、発電機が行う発電を停止する。
このため、蓄電器が蓄えている電力がより素早く低下する。
【0020】
本発明に係る電源装置にあっては、装置が車両に搭載されている。車両のイグニッションスイッチがオンからオフに切替わったと判定した場合に、蓄電器の出力電圧を検出し、検出した出力電圧が閾値以上であるか否かを判定する。そして、検出した出力電圧が閾値以上であると判定した場合、一又は複数の負荷中の少なくとも1つの負荷を駆動する。
【0021】
イグニッションスイッチがオフである状況の代表例は、駐車している状況である。この状況では、電力が蓄えられた状態で蓄電器、例えばコンデンサを長期間放置することになる。このとき、蓄電器が蓄えている電力が多量である場合、充放電特性が大きく劣化する。
イグニッションスイッチがオンからオフに切替わった場合に蓄電器の出力電圧を検出する。そして、蓄電器の出力電圧、即ち、蓄電率が高い場合、蓄電器が蓄えている電力が素早く低下するので、多量の電力が蓄えられている状態で蓄電器が放置されることが防止される。
【0022】
本発明に係る電源装置にあっては蓄電器の温度を検出している。検出した蓄電器の出力電圧が閾値以上である場合において、検出した蓄電器の温度が所定温度以上であるとき、負荷として、蓄電器を冷却する冷却器、例えばファンを駆動する。このため、蓄電器が蓄えている電力が素早く低下すると共に、蓄電器の温度も低下する。
【0023】
また、検出した蓄電器の出力電圧が閾値以上である場合において、検出した蓄電器の温度が所定温度未満であるとき、負荷として、冷却器よりも高い電力を消費する高電力器を駆動するので、蓄電器が蓄えている電力がより素早く低下する。
【0024】
本発明に係る電源装置にあっては、検出した蓄電器の出力電圧が閾値以上である場合、負荷として、蓄電器を冷却する冷却器を駆動する。このため、蓄電器が蓄えている電力が素早く低下すると共に、蓄電器の温度も低下する。
【0025】
本発明に係る電源装置にあっては、装置が車両の収容部に収容されており、収容部は開閉可能な蓋によって覆われる。一又は複数の負荷中の少なくとも1つを駆動している間に、蓋が開放されたと判定した場合、駆動中の負荷の動作を停止する。このため、駆動中の負荷が人に接触して、接触した人を傷つけることはない。
【0026】
本発明に係る電源装置にあっては、収容部の開口を覆う蓋が開放されて一又は複数の負荷中の少なくとも1つが停止した場合、放電回路を駆動し、蓄電器が蓄えている電力を放電回路に放出させる。これにより、人を傷つけることなく、蓄電器が蓄えている電力を放出することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓄電器が蓄えている電力を素早く低下させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における車両の斜視図である。車両1には、エンジン10及び電源装置11が搭載されている。車両1の前方には収容部12が設けられており、エンジン10及び電源装置11が収容部12に収容されている。収容部12には開口12aが設けられている。開口12aは、蓋として機能する平板状のボンネット13によって開閉可能に覆われる。
【0030】
収容部12の縁部分には、車両1の上側に発光する発光部14aが設けられており、ボンネット13の一面には、発光部14aが発した光を受光する受光部14bが設けられている。
【0031】
ボンネット13が閉鎖された場合、受光部14bは発光部14aの上側に位置し、受光部14bは発光部14aが発した光を受光する。ボンネット13が開放された場合、発光部14aが発した光を受光することはない。受光部14bは、ボンネット13の開放/閉鎖を示す開閉信号を電源装置11に出力する。受光部14bは、受光している場合、ボンネット13の閉鎖を示す開閉信号を出力し、受光していない場合、ボンネットの開放を示す開閉信号を出力する。発光部14a及び受光部14bはボンネット13の開閉を検知するセンサとして機能する。
【0032】
なお、ボンネット13の開閉を検知する構成は、前述したセンサを用いた構成に限定されない。例えば、車両1内に設けられた図示しない操作部を操作することによってボンネット13を開閉するように構成してある場合、操作部が受け付けた操作に基づいてボンネット13の開閉を検知してもよい。
【0033】
図2は電源装置11の要部構成を示すブロック図である。電源装置11は、オルタネータ20、DCDCコンバータ21、電線22、第1蓄電器23、放電回路24、第2蓄電器25、スタータ26、冷却器27、高電力器28、電気機器29、電圧検出部30、制御部31、温度検出部32、報知部33及び記憶部34を備える。放電回路24はスイッチ40及び抵抗R1を有する。
【0034】
オルタネータ20の一端は、DCDCコンバータ21及び電線22夫々の一端に接続され、電線22の他端は、第1蓄電器23の正極と、放電回路24の抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端はスイッチ40の一端に接続されている。オルタネータ20の他端と、第1蓄電器23の負極と、スイッチ40の他端とは接地されている。
【0035】
DCDCコンバータ21の他端は、第2蓄電器25の正極と、スタータ26、冷却器27、高電力器28及び電気機器29夫々の一端とに接続されている。第2蓄電器25の負極と、スタータ26、冷却器27、高電力器28及び電気機器29夫々の他端とは接地されている。
【0036】
第1蓄電器23の正極には電圧検出部30が更に接続されており、電圧検出部30は制御部31にも接続されている。電圧検出部30も接地されている。制御部31は、電圧検出部30の他に、温度検出部32、報知部33及び記憶部34に接続されている。
【0037】
オルタネータ20には、制御部31から、発電の停止を指示する発電停止指示と、発電の停止の解除を指示する停止解除指示とが入力される。オルタネータ20は、発電停止指示が入力された場合、停止解除指示が入力されるまで、発電を行わない。オルタネータ20は、発電の停止が解除されている状態で、回生電力を発生させることが可能である場合、車両1の運動エネルギーを回生電力に変換する。
【0038】
回生電力を発生させることが可能であるか否かは、車両1の図示しないアクセルペダル及びブレーキペダルの踏み込み量、並びに、車両1の速度の少なくとも1つを用いて判定される。例えば、アクセルペダルが踏み込まれていない状態で、ブレーキペダルが踏み込まれて車両1の速度が減速している場合に回生電力を発生させる。
【0039】
オルタネータ20は、車両1の運動エネルギーを交流の回生電力に変換し、交流の回生電力を直流の回生電力に整流する。このように、オルタネータ20は直流の回生電力を発生させる。オルタネータ20は、発生させた回生電力を、電線22を介して第1蓄電器23に供給すると共に、発生させた回生電力に係る直流電圧を、出力電圧として、DCDCコンバータ21の一端に印加する。オルタネータ20は発電機として機能する。
【0040】
第1蓄電器23はコンデンサ、例えば電気二重層キャパシタである。第1蓄電器の出力電圧はオルタネータ20の出力電圧よりも低い。このため、第1蓄電器23は、オルタネータ20が発電している場合、オルタネータ20から給電される。また、第1蓄電器23は、オルタネータ20が発電していない場合、電線22を介して、出力電圧をDCDCコンバータ21の一端に印加する。
放電回路24のスイッチ40は制御部31によってオン/オフされる。放電回路24は、スイッチ40がオンである場合、電流が第1蓄電器23の正極から抵抗R1及びスイッチ40の順に流れて第1蓄電器23の負極に戻り、第1蓄電器23が蓄えている電力を放出する。放電回路24は、スイッチ40がオフである場合、第1蓄電器23が蓄えている電力を放出することはない。
【0041】
DCDCコンバータ21は、オルタネータ20又は第1蓄電器23の出力電圧を変圧し、変圧した電圧を第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29に印加する。これにより、第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29は給電される。DCDCコンバータ21には、変圧の停止を指示する変圧停止指示が入力される。DCDCコンバータ21は、車両1のイグニッションスイッチがオフからオンになった場合に変圧を開始し、変圧停止指示が入力された場合に変圧を停止する。
【0042】
第2蓄電器25は、例えば鉛蓄電池であり、DCDCコンバータ21によって給電される。第2蓄電器25は主にスタータ26に給電する。また、第2蓄電器25は、DCDCコンバータ21が変圧を停止している場合、冷却器27、高電力器28及び電気機器29にも給電する。DCDCコンバータ21が第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29に出力する電圧は、第2蓄電器25の出力電圧よりも高い。このため、DCDCコンバータ21が作動している場合、オルタネータ20が発生させた電力、又は、第1蓄電器23が蓄えている電力が、第2蓄電器25が蓄えている電力よりも優先して消費される。
スタータ26は、エンジン10を作動させるためのモータであり、第2蓄電器25の電力を用いて作動する。
【0043】
冷却器27、高電力器28及び電気機器29夫々は車両1に搭載された負荷であり、DCDCコンバータ21を介してオルタネータ20及び第1蓄電器23から給電される。
冷却器27は、例えばファンであり、収容部12内に配置されているエンジン10、第1蓄電器23及び第2蓄電器25等を冷却する。冷却器27には、冷却を指示する冷却指示と、冷却の停止を指示する冷却停止指示とが制御部31から入力される。冷却器27は、冷却指示が入力された場合に冷却を行い、冷却停止指示が入力された場合、冷却を停止する。
【0044】
高電力器28は、冷却器27よりも高い電力を消費する機器であり、エアーコンディショナー又はデフォッガ等である。高電力器28には、作動を指示する作動指示と、作動の停止を指示する作動停止指示とが制御部31から入力される。高電力器28は、作動指示が入力された場合に作動し、作動停止指示が入力された場合に作動を停止する。
電気機器29は、車両1に搭載されるランプ又はワイパー等の機器である。
【0045】
電圧検出部30は第1蓄電器23の出力電圧を検出する。電圧検出部30が検出した出力電圧は制御部31によって取得される。第1蓄電器23の出力電圧は、第1蓄電器23が蓄えている電力の大/小に応じて、高/低となるので、第1蓄電器23の出力電圧の高/低に応じて、第1蓄電器23の蓄電率も高/低となる。電圧検出部30は電圧検出手段として機能する。第1蓄電器23が満充電である場合における蓄電量は、耐圧の所定率、例えば80%の電圧が印加された場合における第1蓄電器23の蓄電量である。従って、出力電圧が耐圧の所定率であることは、第1蓄電器23が満充電であることを意味する。
【0046】
温度検出部32は、第1蓄電器23の温度、具体的には第1蓄電器23の内部又は表面の温度を検出し、検出した温度は制御部31によって取得される。温度検出部32は温度検出手段として機能する。
報知部33は制御部31の指示に従って報知を行う。
【0047】
記憶部34は、第1蓄電器23の温度に対応付けて第1蓄電器23の出力電圧が記憶されている。
図3は記憶部34の記憶内容を説明するための説明図である。
図3には、第1蓄電器23の温度と、各温度において許容される第1蓄電器23の出力電圧(以下では許容電圧という)との対応関係を示すグラフが示されている。
【0048】
第1蓄電器23について、蓄電量が多量であれば多量である程、及び、温度が高ければ高い程、充放電特性が大きく劣化する。充放電特性の劣化は、例えば静電容量の低下である。そして、第1蓄電器23の出力電圧は、第1蓄電器23が多量の電力を蓄えている場合に高く、第1蓄電器23が少量の電力を蓄えている場合に低い。このため、第1蓄電器23の温度が高い場合には第1蓄電器23の出力電圧を低い電圧に維持する必要があり、第1蓄電器23の温度が低い場合には第1蓄電器23の出力電圧が比較的に高くてもよい。
【0049】
許容電圧は、第1蓄電器23の温度の高/低に応じて低/高となっている。記憶部34は、
図3に示す許容電圧及び温度の対応関係を記憶している。記憶部34は記憶手段として機能する。
【0050】
制御部31には、外部からイグニッションスイッチのオン/オフを示すイグニッション信号が入力され、受光部14bから開閉信号が入力されている。制御部31は、電圧検出部30及び温度検出部32から取得した出力電圧及び温度と、入力されたイグニッション信号及び開閉信号が示す内容と、記憶部34の記憶内容とに基づいて、オルタネータ20、DCDCコンバータ21、放電回路24、冷却器27及び高電力器28の動作を制御する。
【0051】
図4及び
図5は制御部31が実行する動作の手順を示すフローチャートである。制御部31は放電回路24のスイッチ40がオフである状態で
図4及び
図5に示す処理を開始する。また、制御部31が
図4及び
図5に示す処理を行っている間、DCDCコンバータ21は変圧を行っている。
制御部31は、温度検出部32から第1蓄電器23の温度を取得し(ステップS1)、取得した温度に対応する許容電圧を記憶部34から読み出す(ステップS2)。その後、制御部31は、記憶部34から読み出した許容電圧を、冷却器27又は高電力器28を駆動するか否かを判定するための閾値電圧に設定する(ステップS3)。前述したように、許容電圧は第1蓄電器23の温度の高/低に応じて低/高となるので、ステップS3においては、制御部31は、ステップS1で取得した温度の高/低に応じて閾値電圧を低/高に設定する。制御部31は読出手段及び設定手段として機能し、閾値電圧は閾値に該当する。
【0052】
次に、制御部31は、電圧検出部30から取得した第1蓄電器23の出力電圧が、ステップS3で設定した閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS4)。制御部31は電圧判定手段としても機能する。
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上であると判定した場合(S4:YES)、発電停止指示をオルタネータ20に出力することによって、オルタネータ20が行う発電を停止する(ステップS5)。これにより、オルタネータ20は、回生電力を発生させることが可能である場合であっても発電を行わず、第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29には、第1蓄電器23が蓄えた電力がDCDCコンバータ21を介して供給される。制御部31は発電停止手段としても機能する。
【0053】
制御部31は、ステップS5を実行した後、ステップS1で取得した第1蓄電器23の温度が、予め記憶部34に記憶されている基準温度以上であるか否かを判定する(ステップS6)。制御部31は温度判定手段としても機能する。
【0054】
制御部31は、第1蓄電器23の温度が基準温度以上であると判定した場合(S6:YES)、冷却指示を冷却器27に出力することによって、冷却器27を駆動する(ステップS7)。
これにより、第1蓄電器23が蓄えている電力が冷却器27によって消費されて素早く低下する。更に、第1蓄電器23の温度は冷却器27が行う冷却によって低下する。
【0055】
制御部31は、第1蓄電器23の温度が基準温度未満であると判定した場合(S6:NO)、作動指示を高電力器28に出力することによって、高電力器28を駆動する(ステップS8)。
これにより、第1蓄電器23が蓄えている電力を、冷却器27を駆動した場合よりも素早く低下させることができる。制御部31は負荷駆動手段としても機能する。
【0056】
制御部31は、ステップS7又はステップS8を実行した後、報知部33に指示して、冷却器27又は高電力器28の駆動を報知させる(ステップS9)。ステップS7が実行されている場合には、制御部31は、冷却器27が駆動していることを報知部33に報知させ、ステップS8が実行されている場合には、制御部31は、高電力器28が駆動していることを報知部33に報知させる。報知部33は、図示しない表示部へのメッセージの表示、又は、図示しないランプの点灯等を行うことによって冷却器27又は高電力器28の駆動を報知する。
これにより、使用者に冷却器27又は高電力器28が故障していない旨を通知することができる。
【0057】
制御部31は、ステップS9を実行した後、温度検出部32から新たに第1蓄電器23の温度を取得し(ステップS10)、取得した温度に対応する許容電圧を記憶部34から読出し(ステップS11)、読み出した許容電圧を閾値電圧に設定する(ステップS12)。そして、制御部31は、電圧検出部30から新たに取得した第1蓄電器23の出力電圧がステップS12で設定した閾値電圧未満であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0058】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上であると判定した場合(S13:NO)、処理をステップS10に戻す。制御部31は、冷却器27又は高電力器28を駆動している状態で、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧未満となるまで、ステップS10〜S13の処理を繰り返す。
【0059】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧未満であると判定した場合(S13:YES)、冷却器27又は高電力器28の駆動を停止する(ステップS14)。制御部31は、ステップS7が実行されている場合、ステップS14で冷却器27に冷却停止指示を出力することによって冷却器27の駆動を停止する。制御部31は、ステップS8が実行されている場合、高電力器28に作動停止指示を出力することによって、ステップS14で高電力器28の駆動を停止する。
【0060】
制御部31は、ステップS14を実行した後、停止解除指示をオルタネータ20に出力することによって、発電の停止を解除する(ステップS15)。これにより、オルタネータ20は、回生電力を発生させることが可能である場合、回生電力を発生させ、出力電圧をDCDCコンバータ21の一端に印加すると共に、第1蓄電器23に給電する。
【0061】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧がステップS3で設定した閾値電圧未満であると判定した場合(S4:NO)、又は、ステップS15を実行した後、入力されているイグニッション信号に基づいて、車両1のイグニッションスイッチがオンからオフに切替わったか否かを判定する(ステップS16)。具体的には、制御部31は、イグニッション信号が示している内容がオンからオフに切替わったか否かを判定している。制御部31は切替え判定手段としても機能する。
イグニッションスイッチがオフである場合、エンジン10は停止して車両1は走行していないため、オルタネータ20が発電することはない。従って、第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29には、第1蓄電器23が蓄えた電力がDCDCコンバータ21を介して供給される。
【0062】
制御部31は、イグニッションスイッチがオフに切替わっていないと判定した場合(S16:NO)、処理を終了し、再びステップS1を実行する。制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧未満であり、かつ、イグニッションスイッチがオンである間、ステップS4,S16の判定を繰り返し、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上となるか、又は、イグニッションスイッチがオンからオフに切替わるまで待機する。
【0063】
制御部31は、イグニッションスイッチがオフに切替わったと判定した場合(S16:YES)、電圧検出部30から新たに取得した第1蓄電器23の出力電圧が、予め記憶部34に記憶されている基準電圧以上であるか否かを判定する(ステップS17)。基準電圧も閾値電圧と同様に閾値に該当する。制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S17:YES)、温度検出部32から新たに第1蓄電器23の温度を取得し(ステップS18)、新たに取得した第1蓄電器23の温度が基準温度以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0064】
制御部31は、第1蓄電器23の温度が基準温度以上であると判定した場合(S19:YES)、冷却指示を冷却器27に出力することによって、冷却器27を駆動する(ステップS20)。これにより、第1蓄電器23が蓄えている電力が消費されて素早く低下すると共に、第1蓄電器23の温度を低下させることができる。
制御部31は、第1蓄電器23の温度が基準温度未満であると判定した場合(S19:NO)、作動指示を高電力器28に出力することによって、高電力器28を駆動する(ステップS21)。これにより、第1蓄電器23が蓄えている電力を、冷却器27を駆動した場合よりも素早く低下させることができる。
【0065】
イグニッションスイッチがオフである状況の代表例は、車両1が駐車している状況である。従って、イグニッションスイッチがオフである場合、第1蓄電器23は、電力を消費されることなく、電力を蓄えた状態で長期間放置される。多量の電力を蓄えた状態で第1蓄電器23が放置された場合、第1蓄電器23における充放電特性は大きく劣化する。
【0066】
前述したように、制御部31は、イグニッションスイッチがオンからオフに切替わった場合において、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧以上であるとき、第1蓄電器23が蓄えている電力を低下させるので、多量の電力を蓄えた状態で第1蓄電器23が放置されることが防止される。また、第1蓄電器23が蓄えている電力は低ければ低い程、充放電特性の劣化は抑えられ、イグニッションスイッチがオフである状態で供給すべき負荷の数は、イグニッションスイッチがオンである状態で供給すべき負荷の数と比較して少ない。このため、基準電圧は、ステップS3又はステップS12で設定される閾値電圧よりも低い方が好ましい。
【0067】
制御部31は、ステップS20又はステップS21を実行した後、報知部33に指示して、ステップS9と同様に、冷却器27又は高電力器28の駆動を報知させる(ステップS22)。ステップS20が実行されている場合には、制御部31は、冷却器27が駆動していることを報知部33に報知させ、ステップS21が実行されている場合には、制御部31は、高電力器28が駆動していることを報知部33に報知させる。
【0068】
制御部31は、ステップS22を実行した後、入力されている開閉信号に基づいて、ボンネット13が開放されたか否かを判定する(ステップS23)。具体的には、制御部31は、開閉信号が示している内容が閉鎖から開放に切替わった場合にボンネット13が開放されたと判定する。制御部31は開閉判定手段としても機能する。
【0069】
制御部31は、ボンネット13が開放されていないと判定した場合(S23:NO)、電圧検出部30から新たに取得した第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満であるか否かを判定する(ステップS24)。制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S24:NO)、処理をステップS23に戻し、ボンネット13が開放されるか、又は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満となるまで、ステップS23,S24の判定を繰り返す。制御部31がステップS23,S24の判定を繰り返している間、冷却器27又は高電力器28は作動し続けている。
【0070】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満であると判定した場合(S24:YES)、ステップS14と同様に、冷却器27又は高電力器28の駆動を停止する(ステップS25)。ステップS25では、ステップS20が実行されている場合には冷却器27が停止され、ステップS21が実行されている場合には高電力器28が停止される。
【0071】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満であると判定した場合(S17:NO)、又は、ステップS25を実行した後、変圧停止指示をDCDCコンバータ21に出力することによって、DCDCコンバータ21が行っている変圧を停止し(ステップS26)、処理を終了する。その後、イグニッションスイッチがオフからオンに切替わった場合、DCDCコンバータ21は変圧を再開し、制御部31は再びステップS1を実行する。
【0072】
制御部31は、ボンネット13が開放されたと判定した場合(S23:YES)、ステップS25と同様に、冷却器27又は高電力器28の駆動を停止する(ステップS27)。
以上のように、制御部31は、ステップS23,S24の判定の繰り返している間、即ち、冷却器27又は高電力器28を駆動している間に、ボンネット13が開放されたと判定した場合、駆動している冷却器27又は高電力器28の動作を停止する。このため、駆動中の冷却器27又は高電力器28が人に接触して、接触した人を傷つけることはない。制御部31は動作停止手段としても機能する。
【0073】
制御部31は、ステップS27を実行した後、ステップS26と同様に、変圧を停止し(ステップS28)、スイッチ40をオンにすることによって、放電回路24に放電を開始させる(ステップS29)。これにより、放電回路24は第1蓄電器23が蓄えている電力を放出する。
以上のように、制御部31は、ステップS27で冷却器27又は高電力器28の駆動を停止した場合、放電回路24を駆動する。これにより、人を傷つけることなく、第1蓄電器23が蓄えている電力を放出することができる。制御部31は、回路駆動手段としても機能する。
【0074】
次に、制御部31は、電圧検出部30から新たに検出した第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満であるか否かを判定する(ステップS30)。制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧以上であると判定した場合(S30:NO)、処理をステップS30に戻し、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満となるまでステップS30の判定を繰り返す。
【0075】
制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧未満である場合(S30:YES)、スイッチ40をオフにすることによって放電回路24が行っている放電を終了し(ステップS31)、全体の処理も終了する。その後、イグニッションスイッチがオフからオンに切替わった場合、DCDCコンバータ21は変圧を再開し、制御部31は再びステップS1を実行する。
【0076】
以上のように構成された電源装置11では、ステップS4又はステップS17において、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上であると判定した場合、冷却器27又は高電力器28を駆動し、第1蓄電器23が給電する負荷の数を増加させる。このため、第1蓄電器23が蓄えている電力を素早く低下させることができる。
【0077】
図6は電源装置11が奏する1つの効果を説明するための説明図である。
図6には、電源装置11における第1蓄電器23の出力電圧の推移の一例が太線で示されており、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上である場合にオルタネータ20のみを停止させる電源装置における第1蓄電器23の出力電圧の推移が細線で示されている。2つの出力電圧の推移おける共通部分は太線で示されている。以下では、電気機器29が作動しているとする。
【0078】
第1蓄電器23の出力電圧が一定の電圧に維持されている状態で、第1蓄電器23における温度の上昇によって閾値電圧が低下し、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上となった場合、オルタネータ20の発電のみを停止させる構成では、第1蓄電器23が蓄えている電力は電気機器29のみによって消費される。このため、
図6の細線で示すように、第1蓄電器23の出力電圧は緩やかに低下する。これに対して、電源装置11では、同様に、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧未満となった場合、制御部31は、オルタネータ20の発電を停止すると共に冷却器27又は高電力器28を駆動するため、
図6の太線で示すように、第1蓄電器23の出力電圧を急速に低下させることができる。
【0079】
図7は電源装置11が奏する他の効果を説明するための説明図である。
図7には、冷却器27を駆動させた場合における第1蓄電器23の温度の推移が太線で示されており、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上である場合に第1蓄電器23から給電される負荷を駆動する機能を有しない電源装置における第1蓄電器23の温度の推移が細線で示されている。2つの温度の推移における共通部分は太線で示されている。
【0080】
第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上となった場合であっても第1蓄電器23から給電される負荷を駆動しない構成では、
図7の細線で示されているように第1蓄電器23の温度が低下することはない。これに対して、電源装置11では、第1蓄電器23の温度が基準温度以上である状態で、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上となった場合、制御部31は冷却器27を駆動する。このため、電源装置11では、第1蓄電器23が蓄えている電力を低下させると共に、
図7の太線で示すように、第1蓄電器23の温度も素早く低下させることができる。
【0081】
電源装置11では、制御部31は、ステップS3において、第1蓄電器23の温度の高/低に応じて閾値電圧を低/高に設定する。このため、冷却器27又は高電力器28を駆動すべきか否かの判定に用いる閾値電圧を第1蓄電器23の温度に適した値に設定することができる。更に、制御部31は、第1蓄電器23の温度に応じた許容電圧を記憶部34から読み出し、閾値電圧を、読み出した許容電圧に設定する。このため、制御部31は、簡単な構成で第1蓄電器23の温度に適した閾値電圧を設定することができる。
【0082】
電源装置11では、制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上であると判定した場合、オルタネータ20が行う発電を停止する。このため、第1蓄電器23が蓄えている電力をより素早く低下させることができる。
【0083】
(実施の形態2)
図8は実施の形態2における電源装置の要部構成を示すブロック図である。この電源装置5は、実施の形態1における電源装置11において、オルタネータ20及びスタータ26の接続位置を入れ替えた電源装置である。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
電源装置5は、実施の形態1における電源装置11と同様に、車両1の収容部12に収容され、電源装置11と同じ構成部を備えている。これらの構成部の中で、オルタネータ20及びスタータ26を除く他の構成部は実施の形態1と同様に接続されている。そして、スタータ26の一端は、DCDCコンバータ21及び電線22夫々の一端に接続されており、オルタネータ20の一端は、DCDCコンバータ21の他端に接続されている。スタータ26及びオルタネータ20の他端は接地されている。
【0085】
オルタネータ20には、実施の形態1と同様に、制御部31から発電停止指示及び停止解除指示が入力されており、オルタネータ20は、入力された発電停止指示及び停止解除指示に従って、実施の形態1と同様に動作する。オルタネータ20は、発生させた直流の回生電力を第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29に供給すると共に、回生電力に係る直流電圧を出力電圧としてDCDCコンバータ21の他端に印加する。オルタネータ20の出力電圧は第2蓄電器25の出力電圧よりも高い。
【0086】
DCDCコンバータ21は、オルタネータ20が発電している場合、オルタネータ20の出力電圧を変圧し、変圧した電圧を、電線22を介して第1蓄電器23に印加する。これにより、第1蓄電器23は給電される。DCDCコンバータ21が第1蓄電器23に出力する電圧は第1蓄電器23の出力電圧よりも高い。
【0087】
第1蓄電器23は、オルタネータ20が発電している場合、オルタネータ20からDCDCコンバータ21を介して給電される。また、第1蓄電器23は、オルタネータ20が発電していない場合、電線22を介して、出力電圧をDCDCコンバータ21の一端に印加する。
放電回路24は実施の形態1と同様に作用する。スタータ26は、第1蓄電器23が蓄えている電力を主に用いて作動し、実施の形態1と同様に作用する。
【0088】
DCDCコンバータ21は、オルタネータ20が発電していない場合、第1蓄電器23の出力電圧を変圧し、変圧した電圧を第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29に印加する。これにより、第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29は第1蓄電器23から給電される。DCDCコンバータ21が第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29に出力する電圧は、第2蓄電器25の出力電圧よりも高い。このため、オルタネータ20の発電が停止した場合、第1蓄電器23が蓄えている電力が、第2蓄電器25が蓄えている電力よりも優先して消費される。
【0089】
第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29は、オルタネータ20が発電している場合、オルタネータ20から給電され、オルタネータ20が発電していない場合、第1蓄電器23からDCDCコンバータ21を介して給電される。第2蓄電器25、冷却器27、高電力器28及び電気機器29は実施の形態1と同様に作用する。
【0090】
DCDCコンバータ21には実施の形態1と同様に変圧停止指示が入力される。DCDCコンバータ21は、車両1のイグニッションスイッチがオフからオンになった場合、前述した変圧を開始し、変圧停止指示が入力された場合に変圧を停止する。
【0091】
電圧検出部30、温度検出部32、報知部33及び記憶部34は実施の形態1と同様に作用する。
制御部31は、実施の形態1と同様に、
図4及び
図5に示す処理を行う。補足として、制御部31がステップS5を実行し、オルタネータ20が行う発電を停止した後、冷却器27、高電力器28及び電気機器29は、DCDCコンバータ21を介して第1蓄電器23から給電される。
以上のように構成された電源装置5は、実施の形態1における電源装置11と同様の効果を奏する。
【0092】
なお、実施の形態1,2において、冷却器27又は高電力器28を駆動している間にボンネット13が開放された場合に、冷却器27又は高電力器28の駆動を停止して、放電回路24に放電を行わせる処理を、イグニッションスイッチがオンである状態に行ってもよい。具体的には、制御部31は、ステップS10〜S13を繰り返し実行している間に、ボンネット13が開放されたと判定した場合に、ステップS27,S29〜S31を順次実行し、その後、ステップS15を実行してもよい。イグニッションスイッチがオンである場合に制御部31が実行するステップS30では、基準電圧を、ステップS10〜S13の処理で設定される閾値電圧に読み替える。
【0093】
(実施の形態3)
実施の形態1における電源装置11は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上である場合、冷却器27及び高電力器28のいずれか1つを駆動する構成である。しかし、電源装置11は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上である場合に、第1蓄電器23の温度に無関係に冷却器27を駆動する構成であってもよい。
以下では、実施の形態3について、実施の形態1と異なる点を説明する。実施の形態3における電源装置11の構成は、実施の形態1における電源装置11と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。以下では、制御部31が実行する処理を説明する。
【0094】
図9及び
図10は実施の形態3における制御部31が実行する動作の手順を示すフローチャートである。実施の形態3における制御部31が実行するステップS41〜S45,S46,S47〜S56,S57,S58〜S67は、実施の形態1における制御部31が実行するステップS1〜S5,S7,S9〜S18,S20,S22〜S31と同様であるため、その説明を省略する。
【0095】
制御部31は、ステップS45を実行した後、ステップS46,S47を順次実行する。従って、制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧以上であると判定した場合、冷却指示を冷却器27に出力することによって、冷却器27を駆動する。
これにより、第1蓄電器23が蓄えている電力が冷却器27によって消費されて素早く低下する。更に、第1蓄電器23の温度を冷却器27が行う冷却によって低下する。
【0096】
制御部31は、ステップS56を実行した後、ステップS57,S58を順次実行する。従って、制御部31は、第1蓄電器23の出力電圧が基準電圧以上であると判定した場合、冷却指示を冷却器27に出力することによって、冷却器27を駆動する。
これによっても、第1蓄電器23が蓄えている電力が素早く低下すると共に、第1蓄電器23の温度を低下させることができる。
【0097】
実施の形態3における電源装置11は、実施の形態1における電源装置11が奏する効果の中で、制御部31がステップS6〜S8,S19〜S21を実行することによって得られる効果以外の他の効果を同様に奏する。
【0098】
なお、実施の形態3において、ステップS46,S47が駆動する負荷は冷却器27に限定されず、高電力器28又は電気機器29であってもよい。以上のように構成された実施の形態3における電源装置11においても、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上である場合に第1蓄電器23が蓄えている電力を素早く低下させることができる。
【0099】
また、実施の形態2における制御部31が、実施の形態3における制御部31と同様に処理を実行してもよい。この場合、電源装置5は実施の形態3と同様の効果を奏する。
【0100】
なお、実施の形態1〜3において、制御部31は、ステップS5又はステップS45で、オルタネータ20の発電を停止する代わりに、オルタネータ20の出力電圧を低下させてもよい。この場合であっても、制御部31は、第1蓄電器23が蓄えている電力をより素早く低下させることができる。
【0101】
また、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上である場合に、制御部31が駆動する機器の数は1つに限定されず、2以上であってもよい。例えば、制御部31は、冷却器27又は高電力器28を駆動する場合に、電気機器29を同時的に駆動してもよい。
更に、高電力器28を1つの電気機器によって構成しなくてもよい。高電力器28を、例えば、冷却器27よりも消費する電力が少ない複数の電気機器によって構成してもよい。この場合、複数の電気機器が消費する電力の合計は冷却器27が消費する電力よりも多い。
【0102】
また、閾値電圧を設定する構成は、記憶部34から許容電圧を読み出すことによって閾値電圧を設定する構成に限定されない。制御部31は、例えば、第1蓄電器23の温度と許容電圧との演算式に、温度検出部32が検出した第1蓄電器23の温度を代入することによって許容電圧を演算し、閾値電圧を、演算した許容電圧に設定してもよい。この場合、前記演算式は、高い温度を代入した場合に低い許容電圧が算出され、低い温度を代入した場合に高い許容電圧が算出される演算式である。
【0103】
また、基準電圧を、閾値電圧のように、第1蓄電器23の温度の高/低に応じて低/高となるように設定してもよい。更に、第1蓄電器23の出力電圧が閾値電圧又は基準電圧以上である場合に制御部31は駆動する負荷は、冷却器27又は高電力器28に限定されず、第1蓄電器23によって給電される負荷であればよい。また、閾値電圧は一定の電圧であってもよい。
【0104】
更に、電源装置11,5夫々の構成は、第1蓄電器23がDCDCコンバータ21を介して冷却器27、高電力器28及び電気機器29に給電する構成に限定されず、第1蓄電器23が直接に冷却器27、高電力器28及び電気機器29に給電する構成であってもよい。第1蓄電器23は、コンデンサに限定されず、オルタネータ20が発生させた回生電力を蓄えることができる蓄電器であればよい。
【0105】
開示された実施の形態1〜3は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。