【解決手段】フロックを貯留する複数の貯留槽4と、各貯留槽4内でフロックを脱水することで脱水ケーキを形成させる脱水機構と、貯留槽4内で形成された脱水ケーキを回収するミキシングスクリュー7と、を備える。ミキシングスクリュー7は、複数の貯留槽4の下部に形成されたスペース内で、貯留槽4が並んでいる方向に移動可能であり、貯留槽4の底部4aが開状態となった貯留槽4の下部に位置し、その貯留槽4内で形成された脱水ケーキを、底部4aを通じて受け入れる。
前記脱水機構は、前記貯留槽内に設置された袋状の膜体を有し、該膜体内側の空気を排気することで前記貯留槽内の前記フロックを脱水して前記膜体の外表面に前記脱水ケーキを形成させ、前記膜体内側に空気を封入することで前記脱水ケーキを前記外表面から剥離させることを特徴とする請求項4に記載の脱水処理設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロックの脱水処理のスピードを向上させる目的から脱水処理装置を複数台備えることがある。つまり、各脱水処理装置では、フロックの受入、脱水、脱水ケーキの剥離及び排出という一連の工程を間欠的に行うことになるが、脱水処理装置が複数台あれば、一台の脱水処理装置で脱水ケーキの剥離を行っている間、他の脱水処理装置にてフロックの受入及び脱水を行うことが可能である。この結果、フロックの受入及び脱水が連続的に行われるようになる結果、処理速度の高速化を図ることが可能となる。
【0006】
一方で、各脱水処理装置から排出される脱水ケーキを回収するための機器を脱水処理装置別に用意しようとすると、その分、機器数が多くなり設備コストが嵩んでしまう。また、かかる構成では、脱水ケーキの排出を行っていない状態にある脱水処理装置用の回収機器については稼働しないので、機器の運転効率の面から考えても不合理である。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、フロックの脱水処理を高速化するとともに脱水ケーキを合理的に回収することが可能な脱水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の脱水処理装置によれば、(A)固形物を含有するフロックを貯留し、開閉自在な底部を有する貯留槽と、(B)該貯留槽内で前記フロックを脱水することで前記固形物の脱水ケーキを形成させる脱水機構と、(C)前記貯留槽内で形成された前記脱水ケーキを回収する回収器と、を備え、(D)前記貯留槽は、所定方向に並んだ状態で複数配置されており、(E)前記回収器は、複数の前記貯留槽の下部に形成されたスペース内で前記所定方向に移動可能であり、前記底部が開状態となった前記貯留槽の下部に位置し、該貯留槽内で形成された前記脱水ケーキを、前記底部を通じて受け入れることにより解決される。
【0009】
上記の構成(A)乃至(E)を備える本発明の脱水処理装置では、貯留槽が複数設けられていることで、フロックの受入及び脱水を連続して行うことが可能となり、フロックの脱水処理がより速く進行することになる。また、脱水ケーキの回収器は、貯留槽の間で共通の機器となっている。つまり、本発明の脱水処理装置では、回収器が複数の貯留槽の下部に形成されたスペース内を移動することで、各貯留槽の底部が開いて脱水ケーキが排出される際には、当該貯留槽の下に回収器を配置し、的確に脱水ケーキを回収することが可能となる。これにより、貯留槽別に回収器を備える場合に比して、設備コストが抑えられ、また、回収器の運転効率についても向上することとなる。
【0010】
また、上記の脱水処理装置において、前記回収器は、ミキシングスクリューであり、該ミキシングスクリュー内に固化剤を添加する固化剤添加装置を備え、前記ミキシングスクリューは、受け入れた前記脱水ケーキと前記固化剤添加装置により添加された前記固化剤とを混練すると、より好適である。
上記の構成であれば、回収器を貯留槽間で共通の機器とすることで得られる効果が、より有意義なものとなる。すなわち、脱水ケーキを所定の硬度に調整するための機器としてのミキシングスクリューは、比較的大型の機器であり、また、起動用の動力(電力)を要する。したがって、ミキシングスクリューを貯留槽間で共通の機器とすることにより得られる効果、すなわち、設備コストを削減するとともに運転効率を向上させるという効果が、際立って奏されることになる。
【0011】
また、上記の脱水処理装置において、前記スペース内で前記所定方向に前記回収器を搬送する搬送機構と、複数の前記貯留槽の各々の前記底部の開閉、及び前記搬送機構の運転を制御するコントローラと、を備え、該コントローラは、複数の前記貯留槽のうち、いずれか一つの貯留槽の前記底部を閉状態から開状態に切り換える前に、前記いずれか一つの貯留槽の下部に前記回収器が向かうように前記搬送機構を制御し、前記いずれか一つの貯留槽の下部に前記回収器が至ってから前記いずれか一つの貯留槽の前記底部を閉状態から開状態に切り換えると、より一層好適である。
上記の構成であれば、コントローラが搬送機構を制御することにより、回収器は、脱水ケーキが排出される貯留槽の下部に適切に配置されるようになる。また、コントローラが貯留槽の底部を開くタイミングは、当該貯留槽の下部に回収器が至った後となるように設定されているため、脱水ケーキが回収器に回収されずにこぼれ落ちてしまう事態を回避することが可能となる。
【0012】
また、上記の脱水処理装置において、前記貯留槽の架台をなし、伸縮可能な脚部を有するベース部材を更に備え、前記コントローラは、前記脚部の伸縮を制御し、前記回収器は、上方に突出したガイド部を上端部に備えており、該ガイド部の内側に前記底部の下端が位置した状態で該底部から排出される前記脱水ケーキを受け入れ、前記コントローラは、前記いずれか一つの貯留槽の下部に前記回収器が向かうように前記搬送機構を制御する前に前記脚部を伸ばし、前記いずれか一つの貯留槽の下部に前記回収器が至った後に前記脚部を縮めると、益々好適である。
上記の構成であれば、回収器が脱水ケーキを回収する際には、コントローラがベース部の脚部を縮めることで、回収器のガイド部の内側に貯留槽の底部の下端が入り込んだ状態となる。これにより、回収器が適切かつ確実に脱水ケーキを回収するようになる。また、回収器の移動時には、コントローラがベース部の脚部を伸ばすことで、回収器のガイド部の内側にあった貯留槽の底部の下端がガイド部外に出るようになるので、回収器の移動がスムーズに行われるようになる。
【0013】
また、上記の脱水処理装置において、前記脱水機構は、前記貯留槽内に設置された袋状の膜体を有し、該膜体内側の空気を排気することで前記貯留槽内の前記フロックを脱水して前記膜体の外表面に前記脱水ケーキを形成させ、前記膜体内側に空気を封入することで前記脱水ケーキを前記外表面から剥離させると、さらに好適である。
上記の構成であれば、脱水ケーキ回収時に回収器のガイド部の内側に貯留槽の底部の下端が入り込む構成がより有利になる。分かり易く説明すると、膜体内に空気を封入することで脱水ケーキを剥離させるので、剥離した脱水ケーキが飛散する可能性がある。このとき、回収器のガイド部の内側に貯留槽の底部の下端が入り込んでいれば、脱水ケーキが飛散したとしても、適切に回収器に回収されることとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の脱水処理装置によれば、フロックの脱水処理を高速化するとともに脱水ケーキを合理的に回収することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)について、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0017】
本実施形態に係る脱水処理設備10は、
図1に図示の濁水清浄化システムSに組み込まれており、同システムSの上流側で形成されたフロックを脱水するものである。
図1は、濁水清浄化システムSの概念図である。
【0018】
濁水清浄化システムSについて概説すると、金属粒子等の固形物を含有する濁水を送水している間に、凝集剤投入装置1が送水ライン中に凝集剤を投入する。これにより、濁水中の固形物が凝集剤と反応しフロックを形成する。フロックを含有した水が沈降槽2まで搬送されると、沈降槽2の底部にフロックが沈降して堆積し、沈降槽2の上層には、分離された清澄水が層状に貯留されるようになる。沈降槽2の底部に堆積したフロックは、適宜抜き取られ、スラリーポンプ3によって搬送される。そして、脱水処理設備10は、搬送されてくるフロックを貯留槽4にて受け入れ、その後、貯留槽4内でフロックを脱水する処理を行う。
【0019】
貯留槽4内での脱水処理について説明すると、貯留槽4の内部には、
図1に示すように、袋状の膜体(具体的には濾布体5a)を不図示の枠体に複数支持して構成されたユニット(以下、濾布体ユニット5)が配置されている。より詳細に説明すると、貯留槽4内には、上下に並ぶように2つの濾布体ユニット5が配置されている。そして、各濾布体ユニット5に備えられた複数の濾布体5aの各々が真空ポンプ6に接続されている。この真空ポンプ6は、各濾布体5aの内側の空気を排気する排気動作を行う。
【0020】
以上の構成の下、貯留槽4内に貯留されたフロックに対して真空脱水方式にて脱水処理が行われる。以下、
図2A〜2Dを参照しながら脱水処理の手順について説明する。
図2A〜2Dは、脱水処理中の各時点における貯留槽4内の様子を示す図である。
【0021】
脱水処理は、先ず、
図2Aに示すように貯留槽4内にフロックが所定量貯留された状態で真空ポンプ6が排気動作を行うところから始まる。かかる排気動作によって各濾布体5a内が減圧されると、フロックが濾布体5aの外表面に引き寄せられる。そして、フロック中の水分が濾布体5aを通過する一方で、フロック中の固形物が濾布体5aの外表面上に留まるようになる。すなわち、真空ポンプ6が排気動作を行うことで、濾布体5aによるフロックの固液分離が実行されることとなる。なお、濾布体5aを通過した液状水、すなわち濾過水は、濾過水槽9に送水され濾過水槽9内に貯められる。
【0022】
真空ポンプ6が一定時間排気動作を行った後には、
図2Bに示すように、上下に並ぶ2つの濾布体ユニット5のうち、上段の濾布体ユニット5の濾布体5aに対しては排気動作を中断する。これにより、上段の濾布体ユニット5の各濾布体5aの内側には空気が封入される結果、濾布体5aの外表面に付着していた固形物が剥離される。一方、下段の濾布体ユニット5の濾布体5aに対しては引き続き排気動作が行われる。これにより、下段の濾布体ユニット5の各濾布体5aでは、その外表面に付着する固形物が徐々に増加し、層状に堆積していく。
【0023】
以降、
図2A及び
図2Bの状態が交互に切り換わるように真空ポンプ6による排気動作の実施及び中断(厳密には、一部分のみの中断)が繰り返される。これにより、上段の濾布体ユニット5では、濾布体5aの外表面における固形物の付着量が比較的少ない状態が続く。その一方で、下段の濾布体ユニット5では、濾布体5aの外表面に固定物の堆積物、すなわち、脱水ケーキが形成されるようになる。このように上下2つの濾布体ユニット5は、それぞれ異なる用途で用いられ、上段の濾布体ユニット5は、主に濾過水を確保する目的で用いられており、下段の濾布体ユニット5は、主に脱水ケーキを形成する目的で用いられている。
【0024】
そして、脱水処理を所定時間実行した時点で、真空ポンプ6による排気動作を続行しつつ、貯留槽4内の残留フロックを排出する。排出された残留フロックについては、例えば不図示の返送ポンプにて沈降槽2に向けて搬送するとよい。残留フロックの排出後、
図2Cに示すように貯留槽4の底部4aが開放され、底部4aの開放に連動する形で真空ポンプ6による排気動作が停止する。これにより、下段の濾布体ユニット5の各濾布体5aの内側に空気が封入されるようになり、結果として、
図2Dに示すように濾布体5aの外表面上に形成された脱水ケーキが剥離されるようになる。
【0025】
剥離した脱水ケーキは、開放された貯留槽4の底部4aを通じて槽外に排出される。排出された脱水ケーキは、貯留槽4の下方位置に配置されている回収器に受け入れられ、同回収器にて所定の処理を施される。具体的に説明すると、本実施形態では、回収器としてミキシングスクリュー7(厳密には、ミキシングスクリューコンベア)が設けられている。ミキシングスクリュー7は、貯留槽4から落下してくる脱水ケーキを受け入れ、スクリュー室内へと導く。一方、スクリュー室には固化剤添加装置8から固化剤が添加され、ミキシングスクリュー7は、受け入れた脱水ケーキと固化剤添加装置8により添加された固化剤とを混練して混練物を形成する。所定の硬度に調整された混練物は、ミキシングスクリュー7に設けられた排出口(不図示)から排出され、最終的に運搬車等によって所定の廃棄場まで搬送される。
【0026】
ところで、本実施形態では、
図1に示すように、貯留槽4が複数、具体的には2器設けられている。また、スラリーポンプ3から延出したフロック搬送ラインは、2つの貯留槽4のそれぞれに向かって分岐しており、各分岐ラインには、それぞれ、電磁弁からなる切り換えバルブV1、V2が設置されている。この切り換えバルブV1、V2の開閉により、フロックが実際に搬送される経路及びその搬送先である貯留槽4を切り換えることが可能となる。
【0027】
そして、各貯留槽4では脱水処理中の一連の工程(具体的にはフロックの受け入れ、脱水、脱水ケーキの剥離及び排出)が間欠的に行われる。一方で、本実施形態では貯留槽4が2器設けられているため、脱水処理を連続して実行することが可能となる。すなわち、一方の貯留槽4で底部4aが開放されて脱水ケーキの剥離及び排出が行われている間、他方の貯留槽4にてフロックの受入及び脱水を行うことが可能である。これにより、本実施形態では、貯留槽4が1器のみである構成に比して、脱水処理をより高速に実行することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態では、貯留槽4が複数設けられているのに対して、貯留槽4から排出される脱水ケーキを回収するミキシングスクリュー7の設置台数は、1台のみとなっている。つまり、本実施形態において、ミキシングスクリュー7は、貯留槽4の間で共通の機器となっている。一方で、ミキシングスクリュー7は、比較的大型な機器であり、起動用の動力(電力)を要する。したがって、ミキシングスクリュー7の設置台数が1台のみとなっていることにより、設備コストの削減と運転効率の向上が図られている。
【0029】
以上までに説明してきた内容を踏まえ、以下、本実施形態に係る脱水処理設備10の構成について、より詳細に説明する。本実施形態に係る脱水処理設備10は、
図3に示す外観を呈し、同図に図示した脱水モジュール11と回収モジュール12とを有する。
図3は、本実施形態に係る脱水処理設備10の全体像を示す図である。なお、説明の都合上、
図3中、ミキシングスクリュー7については、その断面図を図示している。
【0030】
脱水モジュール11は、スラリーポンプ3の吐出口とフレキシブルチューブ等を介して接続される接続配管Pを備え、当該接続配管Pを通じて搬送されてくるフロックを受け入れて脱水する機構である。
【0031】
脱水モジュール11は、主たる構成要素として、2器の貯留槽4と、各貯留槽4内に設置された濾布体ユニット5と、真空ポンプ6と、濾過水槽9とを備えている。貯留槽4、真空ポンプ6及び濾過水槽9は、鋼材製の枠体であるベース部材20に固定支持されてモジュール化している。ベース部材20は、貯留槽4の架台をなす部材であり、ベース部材本体21と、ベース部材本体21から下方に延出した複数の脚部22と、を有する。ベース部材本体21は、貯留槽4、真空ポンプ6及び濾過水槽9を支持する土台をなしている。複数の脚部22は、それぞれ、その中途位置にジャッキ部22aを備えており、ジャッキ部22aの昇降動作に伴って上下方向に伸縮可能となっている。
【0032】
脱水モジュール11は、
図4に示すように、運搬車両Tの荷台に積載可能となっており、モジュール単独での運搬が可能となっている。
図4は、脱水モジュール11が運搬車両Tに積載された状態を図示している。なお、同図に示すように、モジュール運搬中、ベース部材20の各脚部22は、ジャッキ部22aが下降して縮んだ状態となっている。
【0033】
そして、脱水モジュール11を積載した運搬車両Tが目的地に到着すると、各脚部22のジャッキ部22aが上昇して当該各脚部22が伸びた状態となる。かかる状態になると、各脚部22の下端が地面に付き、さらに、ベース部材本体21が運搬車両Tの荷台から幾分浮き上がるようになる。その後、運搬車両Tが引き抜かれることにより、脱水モジュール11の設置が完了する。
【0034】
脱水モジュール11の構成機器について説明すると、貯留槽4は、固形物を含有するフロックを貯留する槽であり、本実施形態では、
図5に示すように2つのホッパ部を連ねた形状となっている。
図5は、貯留槽4の側面図である。貯留槽4を構成する2つのホッパ部の各々の内部空間は、互いに連通している。また、各ホッパ部の内部空間には、それぞれ、上下2段の濾布体ユニット5が設置されている。換言すると、貯留槽4内には計4個の濾布体ユニット5が設置されていることになる。
【0035】
また、各ホッパ部にはシュータ状の底部4aが備えられ、当該底部4aは、開閉自在となっている。より具体的に説明すると、底部4aの下端は、開口端となっており、当該開口端には、
図6に図示したゲート4bが回動自在に配置されている。このゲート4bの回動動作に伴い、底部4aの下端の開閉状態が切り替わる。
図6は、貯留槽4の底部4aの構造に関する図である。
【0036】
なお、本実施形態では、前述したように2器の貯留槽4が設けられており、これら2器の貯留槽4は、
図7に示すように互いに隣り合った状態でベース部材本体21に固定されている。すなわち、本実施形態において、2器の貯留槽4は、所定方向(具体的には、貯留槽4の奥行方向と一致する方向であり、
図5において紙面を貫く方向)に並んだ状態で配置されている。
図7は、所定方向に並んだ2器の貯留槽4を示す図であり、
図5に図示した2器の貯留槽4を図中のA方向から見たときの図である。
【0037】
濾布体ユニット5(厳密には、上下2段のうち、下段の濾布体ユニット5)と真空ポンプ6とは、本発明の脱水機構を構成し、各貯留槽4内でフロックを脱水するためのものである。具体的に説明すると、真空ポンプ6が濾布体ユニット5中の各濾布体5a内の空気を排気することで、貯留槽4内のフロックが固液分離され、フロック中の液状水が濾布体5aを通過する。一方で、フロック中の固形物は、濾布体5aの外表面上に留まって脱水ケーキを形成する。また、真空ポンプ6が停止すると濾布体5a内に空気が封入されるようになり、当該濾布体5aの外表面に付着していた脱水ケーキが剥離するようになる。
濾過水槽9は、濾布体5aを通過した液状水である濾過水を一時的に貯めておくための容器である。
【0038】
回収モジュール12は、貯留槽4の底部4aの開放に連動して該底部4aから排出される脱水ケーキを回収し、当該脱水ケーキの硬度を所望の硬度に調整する機構である。回収モジュール12は、主たる構成要素として、ミキシングスクリュー7と、固化剤添加装置8と、後述する搬送機構23と、を有する。これらの機器をモジュール化して構成された回収モジュール12は、脱水モジュール11と同様、モジュール単独での運搬が可能であり、運搬車両Tの荷台に積載可能となっている。
【0039】
そして、回収モジュール12が目的地まで搬送されると、荷台から降ろされて所定位置にセットされる。より具体的に説明すると、荷台から降ろされた回収モジュール12は、
図3に示すように、貯留槽4の下部のスペース内にミキシングスクリュー7が位置するようにセットされる。
【0040】
ミキシングスクリュー7は、底部4aが開状態となった貯留槽4の下方位置に位置し、当該貯留槽4内で形成された脱水ケーキを回収する。ミキシングスクリュー7の構造を概説すると、
図8に示すように、スクリュー7aと、スクリュー室を構成する円筒状のケーシング7bと、ケーシング7bの上面から突出して設けられたガイド部7cと、を備える。
図8は、ミキシングスクリュー7の内部構造を示す断面図である。
【0041】
ここで、ガイド部7cは、貯留槽4の底部4aから投下されてくる脱水ケーキをスクリュー室内に導く目的でミキシングスクリュー7の上端部に備えられた部位であり、
図9に示すように、下方に位置するほど幅狭な形状となっている。
図9は、ミキシングスクリュー7のガイド部7cの説明図であり、
図8に図示したミキシングスクリュー7を図中のB−B方向から見たときの図である。
【0042】
そして、本実施形態では、底部4aが開状態となった貯留槽4の下方位置でミキシングスクリュー7が脱水ケーキを受け入れる際、ガイド部7cの内側に底部4aの下端が位置した状態(
図3に図示した状態)となっている。かかる状態でミキシングスクリュー7が脱水ケーキを受け入れるので、脱水ケーキは、適切かつ確実にスクリュー室へ導かれるようになる。特に、本実施形態では、濾布体5a内に空気を封入することで濾布体5aの外表面に付着した脱水ケーキを剥離させるため、剥離した脱水ケーキが飛散する可能性がある。このとき、ガイド部7cの内側に貯留槽4の底部4aの下端が入り込んでいれば、脱水ケーキが飛散したとしても、適切にスクリュー室に導くことが可能となる。
【0043】
なお、貯留槽4の底部4aの下端がガイド部7cの内側に位置するようになるには、底部4aの下端をガイド部7cの上端よりも下方に位置させることになる。かかる位置関係は、ベース部材20の各脚部22のジャッキ部22aを下降して当該各脚部22を縮めることにより達成される。
【0044】
固化剤添加装置8は、ミキシングスクリュー7が脱水ケーキを回収した後に所定量の固化剤をスクリュー室内に投入する装置である。なお、本実施形態において、固化剤添加装置8は、ミキシングスクリュー7のケーシング7bの所定箇所に取り付けられた不図示の支持台に固定されている。
【0045】
搬送機構23は、2器の貯留槽4の下部に形成されたスペース内でミキシングスクリュー7(厳密には、ミキシングスクリュー7とこれに固定された固化剤添加装置8の双方)を搬送する機構である。ここで、搬送機構23による搬送方向は、2器の貯留槽4が並んだ方向と一致する。つまり、本実施形態において、ミキシングスクリュー7は、上記のスペース内で、2器の貯留槽4が並ぶ方向に移動可能となっており、具体的には、一方の貯留槽4の直下位置と他方の貯留槽4の直下位置との間を往復することが可能である。
【0046】
搬送機構23の構成については特に限定されるものではないが、一例を示すと、
図8及び
図10に示す構成が考えられる。
図10は、搬送機構23の説明図である。なお、
図10ではミキシングスクリュー7を幾分簡略化して示している。
【0047】
図8及び
図10に示す構成の搬送機構23について説明すると、ミキシングスクリュー7が載置される鋼材製の枠体24と、枠体24の下部に固定されたキャスタ25と、2器の貯留槽4が並ぶ方向に沿って配置されたレール26と、を有する。さらに、搬送機構23は、不図示の搬送モータ及び伝達機構を備えている。そして、搬送モータの動力が伝達機構を介してキャスタ25へ伝達されると、キャスタ25がレール26に沿って走行するようになる。この結果、枠体24とこれに積載されたミキシングスクリュー7が、2器の貯留槽4が並ぶ方向に移動するようになる。
【0048】
以上の搬送機構23が設けられていることにより、各貯留槽4の底部4aの開閉状態が切り替わると、これに連動してミキシングスクリュー7が移動するようになる。これにより、本実施形態では、底部4aが開状態となった貯留槽4(換言すると、脱水ケーキが底部4aから排出される貯留槽4)の直下にミキシングスクリュー7を配置し、上記の貯留槽4から排出される脱水ケーキを適切に受け入れることが可能となる。
【0049】
なお、ミキシングスクリュー7が貯留槽4から排出される脱水ケーキを受け入れる際、ガイド部7cの内側に底部4aの下端が位置した状態となっている。かかる状態のままミキシングスクリュー7を搬送しようとすると、ガイド部7cが底部4aと干渉してしまう。このため、ミキシングスクリュー7の搬送にあたり、
図11に示すようにベース部材20の各脚部22のジャッキ部22aを上昇させて当該各脚部22を伸ばすこととしている。これにより、それまでガイド部7cの内側に入り込んでいた貯留槽4の底部4aがガイド部7cの外(上方)に位置するようになる。この結果、ミキシングスクリュー7は、ガイド部7cが底部4aと干渉することなくスムーズに移動するようになる。
図11は、ミキシングスクリュー7搬送時における脱水処理設備10の状態を示す図であり、
図3に対応した図である。
【0050】
そして、ミキシングスクリュー7が一方の貯留槽4の下部から他方の貯留槽4の下部まで移動すると、上記のジャッキ部22aが下降してベース部材20の各脚部22が縮んだ状態に復帰する。これにより、ミキシングスクリュー7の移動後には再び、ガイド部7cの内側に貯留槽4(厳密には、移動先の貯留槽4)の底部4aの下端が位置した状態となる。
【0051】
ところで、本実施形態に係る脱水処理設備10では、脱水処理中の一連の工程がすべて自動的に行われることになっている。より具体的に説明すると、脱水処理設備10は、
図12に示すように、上述した各機器の動作を制御するコントローラ30と、操作者の入力操作を受け付ける操作パネル31と、を有する。
図12は、脱水処理設備10の構成を示す制御ブロック図である。
【0052】
コントローラ30は、脱水処理設備10中の各機器を制御し、特に本実施形態ではタイマー制御によって各機器を制御する。すなわち、本実施形態では、脱水処理中の各工程に対して予め実行時間が設定されており、コントローラ30は、脱水処理中の各工程が設定された実行時間だけ実行されるように各機器を制御する。なお、脱水処理中の各工程の実行時間の設定値をはじめ、コントローラ30による制御の条件値(すなわち、運転管理値)については操作パネル31を通じて変更可能である。
【0053】
コントローラ30による制御の対象について説明すると、
図12に示すように、スラリーポンプ3の運転(発停)、切り換えバルブV1,V2のオンオフ、真空ポンプ6の運転(発停)、各貯留槽4でのゲート4bの開閉、ミキシングスクリュー7の運転(発停)、搬送機構23による搬送動作、固化剤添加装置8による固化剤添加動作、及び、ベース部材20の脚部22におけるジャッキ部22aの昇降動作が挙げられる。ここで、各貯留槽4でのゲート4bの開閉は、2器の貯留槽4の各々の底部4aの開閉を意味する。また、ジャッキ部22aの昇降動作は、脚部22の伸縮を意味する。
【0054】
以下、脱水処理中の各工程におけるコントローラ30の制御の内容について
図13を参照しながら説明する。
図13は、脱水処理の流れを示すフロー図である。
【0055】
脱水処理の開始にあたり、コントローラ30は、沈降槽2の底部からフロックを抜き出して貯留槽4に向けて搬送するためにスラリーポンプ3を起動する(S001)。これと同時に、コントローラ30は、一方の貯留槽4にのみフロックが搬送されるように2つの切り換えバルブV1、V2の開閉を制御する(S002)。これにより、一方の貯留槽4においてフロックの受け入れが開始されるようになる。なお、この時点で、ミキシングスクリュー7は、他方の貯留槽4(フロックを受け入れていない方の貯留槽4)の下方に位置している。また、ベース部材20の各脚部22は、縮んだ状態にある。このため、他方の貯留槽4は、その底部4aの下端がミキシングスクリュー7のガイド部7cの内側に入り込んだ状態となっている。
【0056】
一方の貯留槽4においてフロックの受け入れが開始された後、コントローラ30は、貯留槽4に貯留されたフロックを脱水するために真空ポンプ6を起動する(S003)。このとき、貯留槽4内に配置された上下2段の濾布体ユニット5のうち、下段の濾布体ユニット5の各濾布体5aに接続された真空ポンプ6については、連続運転するように制御するのに対し、上段の濾布体ユニット5の各濾布体5aに接続された真空ポンプ6については、断続運転するように制御することとなっている。
【0057】
そして、一方の貯留槽4におけるフロックの受け入れを開始してから所定時間が経過した時点で(S004)、コントローラ30は、フロックの搬送先が一方の貯留槽4から他方の貯留槽4に切り換わるように2つの切り換えバルブV1、V2の開閉を制御する(S005)。これにより、一方の貯留槽4でのフロックの受け入れが終了し、その代わりに、他方の貯留槽4でのフロックの受け入れが開始されるようになる。
【0058】
また、コントローラ30は、上記のバルブ制御S005とともに、ベース部材20の各脚部22のジャッキ部22aを上昇させる(S006)。これにより、当該各脚部22が伸びる結果、ガイド部7cの内側に入り込んでいた貯留槽4の底部4aがガイド部7cの外(上方)に位置するようになる。
【0059】
その後、コントローラ30は、搬送機構23を制御して、他方の貯留槽4の下方位置から一方の貯留槽4の下方位置へミキシングスクリュー7を移動させる(S007)。ミキシングスクリュー7が一方の貯留槽4の下方位置に到達した後、コントローラ30は、ベース部材20の各脚部22のジャッキ部22aを下降させて、当該各脚部22を縮める(S008)。これにより、一方の貯留槽4の底部4aの下端がミキシングスクリュー7のガイド部7c内に入り込むようになる。
【0060】
以上までの工程が終了すると、コントローラ30は、一方の貯留槽4内に残っている残留フロックを排出するための制御を実施した上で、当該貯留槽4の底部4aに備えられたゲート4bを制御する(S009)。これにより、閉状態にあった一方の貯留槽4の底部4aが開状態に切り替わるようになる。
【0061】
その後、コントローラ30が真空ポンプ6を停止すると(S010)、濾布体ユニット5(厳密には下段の濾布体ユニット5)の各濾布体5aから脱水ケーキが剥離されるようになる。剥離された脱水ケーキは、開状態となった底部4aを通じて貯留槽4外に排出され、その下方に位置するミキシングスクリュー7によって受け入れられる。
【0062】
そして、一方の貯留槽4の底部4aが開状態に切り替わってから所定時間が経過すると(S011)、コントローラ30は、ミキシングスクリュー7を起動させるとともに(S012)、固化剤添加装置8を制御して所定量の固化剤をスクリュー室内に投入させる(S013)。これにより、ミキシングスクリュー7内では脱水ケーキと固化剤が混練され、所定の硬度となるように脱水ケーキ(厳密には、混練物)の硬度が調整される。そして、ミキシングスクリュー7が起動してから所定時間が経過した時点で(S014)、コントローラ30は、ミキシングスクリュー7を停止する(S015)。
【0063】
ミキシングスクリュー7にて脱水ケーキの回収及び硬度調整が行われている間、コントローラ30は、他方の貯留槽4に貯留されたフロックを脱水するために真空ポンプ6を起動する(S016)。なお、
図13では、図示の都合上、ミキシングスクリュー7の停止(S015)の後に真空ポンプ6を起動する工程(S016)が記載されているが、実際には、フロックの搬送先が一方の貯留槽4から他方の貯留槽4に切り換わる時点で起動する。
以降、コントローラ30は、前述の制御内容S004〜S016を繰り返し実施する。
【0064】
以上までに説明してきたように、本実施形態においてコントローラ30は、フロックの受け入れ及び脱水が連続して行われるようにスラリーポンプ3、切り換えバルブV1、V2及び真空ポンプ6を制御する。また、コントローラ30は、脱水ケーキが底部4aから排出される貯留槽4の下部にミキシングスクリュー7が配置されるように搬送機構23を制御する。
【0065】
特に、本実施形態において、コントローラ30は、2器の貯留槽4のうち、いずれか一つの貯留槽4の底部4aを閉状態から開状態に切り換える前に、当該貯留槽4の下部にミキシングスクリュー7が向かうように搬送機構23を制御する。そして、コントローラ30は、上記貯留槽4の下部にミキシングスクリュー7が至ってから、その底部4aに備えられたゲート4bを制御して当該底部4aを閉状態から開状態に切り換えることとしている。このように本実施形態では、貯留槽4の底部4aを開くタイミングが、当該貯留槽4の下部にミキシングスクリュー7が至った後となるように設定されている。この結果、貯留槽4の下部にミキシングスクリュー7が配置されていない状態のまま当該貯留槽4内の脱水ケーキを排出することで脱水ケーキが回収されずにこぼれ落ちてしまうような事態を回避することが可能となる。
【0066】
さらに、本実施形態において、コントローラ30は、ミキシングスクリュー7が移動先の貯留槽4の下部に向かうように搬送機構23を制御する前にはベース部材20の各脚部22を伸ばすこととし、ミキシングスクリュー7が移動先の貯留槽4の下部に至った後には再び脚部22を縮めることとした。これにより、脱水ケーキ回収時には、ミキシングスクリュー7のガイド部7cの内側に貯留槽4の底部4aの下端が入り込んだ状態となるので、脱水ケーキは、適切かつ確実にミキシングスクリュー7内に回収されるようになる。また、ミキシングスクリュー7の搬送時には、ガイド部7cの内側にあった貯留槽4の底部4aの下端がガイド部7cの外に出るようになるので、ミキシングスクリュー7の移動がスムーズに行われるようになる。
【0067】
ちなみに、本実施形態では、コントローラ30の制御がタイマー制御となっており、脱水処理中の各工程が設定された実行時間だけ実行されるようになっているが、これに限定されるものではない。例えば、脱水処理設備10中の各機器の状態を監視するためのセンサを設け、該センサからの出力信号を受信することをトリガーとしてコントローラ30の制御が実行されることとしてもよい。例えば、貯留槽4内に貯留されているフロックの水位(レベル)を監視するセンサを設け、当該センサからの出力信号をコントローラ30が受信した時点で、フロックを受け入れる貯留槽4を切り換えるように切り換えバルブV1、V2の開閉を制御することとしてもよい。また、脱水ケーキの形成量を監視するセンサを設け、当該センサからの出力信号を受信した時点で、脱水ケーキ回収に係る一連の工程を開始することとしてもよい。また、ミキシングスクリュー7内で固化剤と混練されている脱水ケーキの硬度等を監視するセンサを設け、当該センサからの出力信号を受信した時点で、ミキシングスクリュー7の運転を制御(停止)することとしてもよい。