特開2015-137150(P2015-137150A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-137150(P2015-137150A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】移動式クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/36 20060101AFI20150703BHJP
【FI】
   B66C23/36 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-8357(P2014-8357)
(22)【出願日】2014年1月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205KA01
(57)【要約】
【課題】ラチスブーム用とテレスコピックブーム用とに共通化できる上部旋回体を備えた移動式クレーンを提供する。
【解決手段】上部旋回体の左側に設けられたエンジン収納ハウス20の最後部に、主作動油タンク33を収納する主作動油タンク収納部34を形成し、上部旋回体の右側に設けられた機器収納ハウス21の最後部に、サブ作動油タンク52を収納可能なサブ作動油タンク収納部36を形成する。上部旋回体にラチスブームを装着した状態では、主作動油タンクのみを設置し、上部旋回体にテレスコピックブームを装着したときには、サブ作動油タンク収納部にサブ作動油タンクを収納し、主作動油タンクとサブ作動油タンクとを下部の作動油流通管と上部のエアホースとで連通させる。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を備えた下部走行体と、該下部走行体の上に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、該上部旋回体は、ブーム装着部と、ウインチ搭載部と、運転室と、パワーユニット、燃料タンク及び主となる作動油タンクを収納するハウスを備えている移動式クレーンにおいて、前記ハウス内に、前記主となる作動油タンクを収納する主作動油タンク収納部と、サブ作動油タンクを収納可能なサブ作動油タンク収納部とを形成するとともに、該サブ作動油タンク収納部の上方のハウス天板、及び、前記主作動油タンク収納部の上方のハウス天板の双方に、主となる作動油タンク及びサブ作動油タンクの各タンク上部に設けたエアホース接続部に対応する位置に、エアホース接続用開口部をそれぞれ形成し、前記上部旋回体にラチスブームを装着した状態では、各エアホース接続用開口部を、着脱可能な蓋部材によってそれぞれ閉塞したことを特徴とする移動式クレーン。
【請求項2】
請求項1記載の移動式クレーンにおいて、前記上部旋回体にラチスブームに代えてテレスコピックブームを装着した状態では、前記サブ作動油タンク収納部にサブ作動油タンクを収納して主となる作動油タンクの下部とサブ作動油タンクの下部とを作動油流通管で接続し、前記各エアホース接続用開口部に、前記蓋部材に代えて、エアホース接続用開口部を閉塞する鍔部を備えたエアホース接続部材をそれぞれ取り付け、各エアホース接続部材のハウス内側を前記主となる作動油タンクのエアホース接続部及びサブ作動油タンクのエアホース接続部にそれぞれ接続するとともに、各エアホース接続部材のハウス外側同士をエアホースにて接続したことを特徴とする移動式クレーン。
【請求項3】
前記主作動油タンク収納部は、前記上部旋回体の幅方向中央に設けられたウインチ搭載部を挟んで上部旋回体の一側最後部に設けられ、前記サブ作動油タンク収納部は、前記上部旋回体の他側最後部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の移動式クレーン。
【請求項4】
前記ウインチ搭載部に、前記主作動油タンク収納部と前記サブ作動油タンク収納部との間に設けられる前記エアホースの中間部を支持するホース支持部材が設けられていることを特徴とする請求項3記載の移動式クレーン。
【請求項5】
前記エアホース接続部材は、鍔部を外周に備えた本体部と、該本体部のハウス内側に連結される内側部材と、前記本体部のハウス外側に連結される外側部材とを備え、前記内側部材は、前記エアホース接続部に螺着される螺合部と、前記本体部のハウス内側部に設けられたソケット部に回転可能かつ軸線方向に移動可能な状態で挿入されるプラグ部とを備え、前記外側部材は、前記本体部のハウス外側部に設けられた雌ねじ孔に螺合する雄ネジ部と、前記エアホースを接続するホース接続部とを備えていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の移動式クレーン。
【請求項6】
前記鍔部は、該鍔部をハウス天板に固着するためのボルトを挿通するための複数のボルト挿通孔を有し、該ボルト挿通孔は、互いに平行な長孔で形成されていることを特徴とする請求項5記載の移動式クレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーンに関し、詳しくは、ベースマシンにラチスブーム又はテレスコピックブームを備えた移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
大型のクローラクレーンは、一般に、クローラを備えた下部走行体と、該下部走行体の上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、該上部旋回体の前部に起伏可能に設けられたラチスブームとを備えており、上部旋回体には、一側方前端部に運転室を配置し、幅方向中央に複数のウインチを前後に並べて配置するとともに、両側部に設けたハウス内にパワーユニットや燃料タンク、作動油タンク、制御装置などを収納している(例えば、特許文献1参照。)。また、近年は、大型のクローラクレーンにおいても、ラチスブームに代えてテレスコピックブームを備えたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−95580号公報
【特許文献2】特開2006−273525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テレスコピックブームを備えたクローラクレーンは、ラチスブームを備えたクローラクレーンに比べてテレスコピックブームを伸縮させるための作動油を必要とすることから、テレスコピックブーム用の上部旋回体では、大容量の作動油タンクをハウス内に収納するようにしている。このため、ラチスブーム用の上部旋回体とテレスコピックブーム用の上部旋回体とではハウス形状が大きく異なるので、全体のデザインを考慮すると、各上部旋回体を別々に設計、製作しなければならず、上部旋回体の製作コストが嵩むだけでなく、設計、試作などを含めた開発に長時間を要することになる。
【0005】
そこで本発明は、上部旋回体の構造、形状をほとんど変更することなく、適当な量の作動油を貯留可能なサブタンクを追加可能な構造を付加することにより、ラチスブーム用とテレスコピックブーム用とに共通化できる上部旋回体を備えた移動式クレーンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の移動式クレーンは、走行装置を備えた下部走行体と、該下部走行体の上に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備え、該上部旋回体は、ブーム装着部と、ウインチ搭載部と、運転室と、パワーユニット、燃料タンク及び主となる作動油タンクを収納するハウスを備えている移動式クレーンにおいて、前記ハウス内に、前記主となる作動油タンクを収納する主作動油タンク収納部と、サブ作動油タンクを収納可能なサブ作動油タンク収納部とを形成するとともに、該サブ作動油タンク収納部の上方のハウス天板、及び、前記主作動油タンク収納部の上方のハウス天板の双方に、主となる作動油タンク及びサブ作動油タンクの各タンク上部に設けたエアホース接続部に対応する位置に、エアホース接続用開口部をそれぞれ形成し、前記上部旋回体にラチスブームを装着した状態では、各エアホース接続用開口部を、着脱可能な蓋部材によってそれぞれ閉塞したことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の移動式クレーンは、前記移動式クレーンにおいて、前記上部旋回体にラチスブームに代えてテレスコピックブームを装着した状態では、前記サブ作動油タンク収納部にサブ作動油タンクを収納して主となる作動油タンクの下部とサブ作動油タンクの下部とを作動油流通管で接続し、前記各エアホース接続用開口部に、前記蓋部材に代えて、エアホース接続用開口部を閉塞する鍔部を備えたエアホース接続部材をそれぞれ取り付け、各エアホース接続部材のハウス内側を前記主となる作動油タンクのエアホース接続部及びサブ作動油タンクのエアホース接続部にそれぞれ接続するとともに、各エアホース接続部材のハウス外側同士をエアホースにて接続したことを特徴としている。
【0008】
さらに、前記主作動油タンク収納部が、前記上部旋回体の幅方向中央に設けられたウインチ搭載部を挟んで上部旋回体の一側最後部に設けられ、前記サブ作動油タンク収納部は、前記上部旋回体の他側最後部に設けられていることを特徴とし、前記ウインチ搭載部に、前記主作動油タンク収納部と前記サブ作動油タンク収納部との間に設けられる前記エアホースの中間部を支持するホース支持部材が設けられていることを特徴としている。
【0009】
さらに、前記エアホース接続部材が、前記鍔部を外周に備えた本体部と、該本体部のハウス内側に連結される内側部材と、前記本体部のハウス外側に連結される外側部材とを備え、前記内側部材は、前記エアホース接続部に螺着される螺合部と、前記本体部のハウス内側部に設けられたソケット部に回転可能かつ軸線方向に移動可能な状態で挿入されるプラグ部とを備え、前記外側部材は、前記本体部のハウス外側部に設けられた雌ねじ孔に螺合する雄ネジ部と、前記エアホースを接続するホース接続部とを備えていることを特徴とし、前記鍔部が、該鍔部をハウス天板に固着するためのボルトを挿通するための複数のボルト挿通孔を有し、該ボルト挿通孔は、互いに平行な長孔で形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の移動式クレーンによれば、上部旋回体のハウス内に主作動油タンク収納部とサブ作動油タンク収納部とを形成し、上部旋回体にラチスブームを装着する場合は、サブ作動油タンクを使用せずに、ハウス天板のエアホース接続用開口部を蓋部材によって閉塞することにより、ラチスブームを装着した移動式クレーンとして使用することができる。そして、上部旋回体にテレスコピックブームを装着する場合は、テレスコピックブームを作動させるために必要な量の作動油を貯留可能なサブ作動油タンクをサブ作動油タンク収納部に収納し、両タンクの下部を作動油流通管で接続するとともに、エアホース接続用開口部に取り付けられるエアホース接続部材を介してエアホースで両タンクの上部を接続することにより、テレスコピックブームを装着した場合に必要な作動油の量を確保することができる。
【0011】
したがって、上部旋回体のハウス形状を同一にしても、上部旋回体にラチスブームとテレスコピックブームとを選択して装着することが可能となるので、上部旋回体の構造や形状を共通化することができ、上部旋回体の製作コストを大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の移動式クレーンの第1形態例を示す右側面図である。
図2】ベースマシンの左側面図である。
図3】ベースマシンの平面図である。
図4】上部旋回体の要部背面図である。
図5】エアホース接続用開口部を蓋部材で閉塞した状態を示す平面図である。
図6図5のVI−VI断面図である。
図7】本発明の移動式クレーンの第2形態例を示す右側面図である。
図8】上部旋回体の要部断面背面図である。
図9】上部旋回体の要部平面図である。
図10】エアホース接続用開口部にエアホース接続部材を取り付けた状態を示す平面図である。
図11図10のXI−XI断面図である。
図12】エアホース接続部材における本体部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図6は、本発明の移動式クレーンの第1形態例を示すもので、上部旋回体にラチスブームを装着するとともに、アースドリル用の機器を取り付け、アースドリルとして使用している状態を示している。
【0014】
この移動式クレーン(アースドリル)11は、走行装置としてクローラ12aを備えた下部走行体12及び下部走行体12の上に旋回ベアリングを介して回転可能に設けられた上部旋回体13からなるベースマシン14と、上部旋回体13の前部に設けられたブーム装着部15に起伏可能に装着されたラチスブーム16と、上部旋回体13の後方上部に設けられた折り畳み可能なガントリ17と、上部旋回体13の後部に設けられたカウンタウエイト18と、上部旋回体13の幅方向中央に設けられたウインチ搭載部19と、該ウインチ搭載部19を挟んで上部旋回体13の左側に設けられたエンジン収納ハウス20と、上部旋回体13の右側に設けられた機器収納ハウス21及び該機器収納ハウス21の最前部に設けられた運転室22とを備えている。
【0015】
また、ラチスブーム16の前方には、アースドリル用の機器として、複数のアーム23a及びシリンダ23bを介してケリーバ駆動装置23が保持され、ラチスブーム16の上端からは、ケリーバ駆動装置23を貫通したケリーバ24が垂下されており、ケリーバ24の下端には、拡底バケット25が取り付けられている。
【0016】
ウインチ搭載部19には、第1ウインチ(主巻ドラム)26,第2ウインチ(補巻ドラム)27,第3ウインチ(起伏ドラム)28及び第4ウインチ(予備ドラム)29が搭載され、エンジン収納ハウス20内には、前から順に、燃料タンク30,エンジン31,油圧ポンプ32が収納され、最後部には、主となる作動油タンク(以下、主作動油タンクという。)33を収納するための主作動油タンク収納部34が形成されている。
【0017】
また、機器収納ハウス21の最後部には、第3ウインチ28及び第4ウインチ29を挟んで対向する位置に、サブ作動油タンク収納部36が形成されている。主作動油タンク収納部34及びサブ作動油タンク収納部36は、略同じ外観に形成されたハウス天板37a、ハウス後壁37b、ハウス側壁37c,37c及びハウス底板37dに囲まれた空間であって、サブ作動油タンク収納部36は、所定容積のサブ作動油タンクを収納可能な大きさに形成されている。
【0018】
主作動油タンク収納部34及びサブ作動油タンク収納部36のハウス天板37aには、サブ作動油タンク収納部36内にサブ作動油タンクを収納したときに、主作動油タンク33の内部のガス相とサブ作動油タンク内部のガス相とを連通させるエアホースを接続するためのエアホース接続用開口部38がそれぞれ形成されるとともに、主作動油タンク33の天板33aには、エアホース接続用開口部38の中心に対応した位置にエアホース接続部39が設けられている。
【0019】
前記エアホース接続用開口部38は、ブームとしてラチスブーム16を使用するときには、サブ作動油タンクやエアホースを必要としないため、図5及び図6に示すように、円盤状の蓋部材40を各ハウス天板37aにそれぞれ取り付けて閉塞されている。また、エアホース接続部39も、図示しないキャップによって閉塞されている。
【0020】
また、主作動油タンク33には、通常の作動油タンクと同様に、下部には、油圧ポンプ32に接続される吸引管41やフィルタ42を備えた戻り管43が設けられており、上部には、主作動油タンク収納部34のハウス天板37aを貫通して天板上方に突出する給油口44が設けられている。
【0021】
このように、ラチスブーム16を使用する場合は、主作動油タンク33のみを設置すればよく、サブ作動油タンク収納部36を形成してサブ作動油タンクを収納可能にしておけばよいので、製作コストの上昇を抑えることができる。
【0022】
図7乃至図12は、本発明の移動式クレーンの第2形態例を示すもので、上部旋回体にテレスコピックブームを装着するとともに、アースドリル用の機器を取り付け、アースドリルとして使用している状態を示している。なお、以下の説明において、前記第1形態例に示した移動式クレーンの構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
本形態例は、前記同様に構成したベースマシン14に、前記ラチスブーム16に代えてテレスコピックブーム51を装着するとともに、サブ作動油タンク収納部36内にサブ作動油タンク52を収納し、主作動油タンク33とサブ作動油タンク52とを、下部の作動油流通管53と上部のエアホース54とで連通させた状態としている。また、本形態例に示すテレスコピックブーム51は、前記ラチスブーム16と同様に、基部が前記上部旋回体13の前部に設けられたブーム装着部に起伏可能に装着されるとともに、第3ウインチ(起伏ドラム)28からの起伏ロープ28aによって起伏するように形成されている。
【0024】
サブ作動油タンク収納部36内に収納されるサブ作動油タンク52は、天板52aが主作動油タンク33の天板33aと同一高さになるように、サブ作動油タンク52の高さに応じた高さを有するタンク支持台55によって支持されている。上部旋回体13の外観にほとんど影響を与えない作動油流通管53は、一般的な燃料タンクの下部同士を接続する通常の連通管と同様の接続構造で設けられており、主作動油タンク33とサブ作動油タンク52との間で、作動油が自由に流通可能な状態としている。
【0025】
サブ作動油タンク52の天板52aには、主作動油タンク33と同様に、前記エアホース接続用開口部38の中心に対応した位置にエアホース接続部39が設けられており、両タンク33,52の各エアホース接続部39へのエアホース54の接続は、図10乃至図12に示すエアホース接続部材56を用いて行われる。
【0026】
エアホース接続部材56は、鍔部57を外周に備えた本体部58と、該本体部58のハウス内側に連結される内側部材59と、前記本体部58のハウス外側に連結される外側部材60とを備えている。前記内側部材59は、前記エアホース接続部39に設けられた雌ネジ孔39aに螺着される雄ネジ部59aと、前記本体部58のハウス内側部に設けられた円筒状のソケット部58aに回転可能かつ軸線方向に移動可能な状態で挿入される円筒状のプラグ部59bと、該プラグ部59bの先端部に装着されたOリング59cとを備えており、前記外側部材60は、本体部58のハウス外側部に設けられた雌ねじ孔58bに螺合する雄ネジ部60aと、前記エアホース54を接続するホース接続部60bとを備えている。また、前記鍔部57の外周部には、長軸を互いに平行に配置した長孔からなるボルト挿通孔57aが周方向の4箇所に等間隔で設けられている。
【0027】
サブ作動油タンク52の設置は、まず、あらかじめ組み立てたタンク支持台55及びサブ作動油タンク52をサブ作動油タンク収納部36内に挿入し、タンク支持台55をハウス底板37dにボルトで固定するとともに、エアホース接続部39の雌ネジ孔39aに内側部材59の雄ネジ部59aを螺着する。また、エアホース54の両端を、外側部材60のホース接続部60bにそれぞれ接続するとともに、外側部材60の雄ネジ部60aと本体部58の雌ねじ孔58bとを螺着して両者を結合させる。
【0028】
そして、エアホース接続用開口部38の内部側に立ち上がった内側部材59のプラグ部59bを本体部58のソケット部58aに挿入するようにして本体部58を下方に押し込み、鍔部57の下面をハウス天板の上面に当接させ、鍔部57をボルト61にてハウス天板に固定する。また、エアホース54の中間部を、第2ウインチ27の後部に設けた前方が開口したチャンネル材からなるホース受け35に通し、ホース受け35のチャンネル材の開口側に適宜なホース保持部材を取り付けてエアホース54をホース受け35内に保持する。
【0029】
これにより、テレスコピックブーム51を伸縮作動させるための作動油を貯留可能なサブ作動油タンク52を、機器収納ハウス21の最後部に形成したサブ作動油タンク収納部36内に収納し、主作動油タンク33とサブ作動油タンク52とを連通させた状態にすることができる。
【0030】
このようにしてサブ作動油タンク52を設置することにより、ラチスブーム用とテレスコピックブーム用とで上部旋回体13のボディを共通化することができ、上部旋回体13の各部材の共通化によって製作コストの大幅な削減や製造工程の簡略化を図ることができる。さらに、サブ作動油タンク52をサブ作動油タンク収納部36内に収納するので、上部旋回体13の外観に悪影響を及ぼすことがなく、エアホース54の中間部をホース受け35で保持することにより、エアホース54がウインチに接触したり、点検作業の邪魔になったりすることもなく、外観も良好に保つことができる。
【0031】
また、エアホース接続用開口部38をあらかじめ設けておくことによって後加工が不要となり、エアホース54を接続する際に、エアホース接続用開口部38を閉塞可能なエアホース接続部材56を使用することにより、ハウス内への雨水の浸入を防止できるとともに、見映えの向上も図ることができる。特に、エアホース54をタンク天板に接続することにより、タンク高さ寸法に対するタンク容量を最大限利用することができ、各タンクの小型化を図ることができる。また、サブ作動油タンク52には、給油口や油圧回路に接続する配管を設けていないので、サブ作動油タンク52の製作や設置を容易に行うことができる。さらに、鍔部57のボルト挿通孔57aを長孔で形成することにより、サブ作動油タンク52の位置に僅かな誤差が生じても、鍔部57をハウス天板に確実に固定することができる。
【0032】
一方、エアホースを設けずに、主作動油タンク33及びサブ作動油タンク52の双方に加圧式のエアブリーザを設けた場合は、エアブリーザの個体差による加圧誤差により、両タンク33,52内から作動油を均等に吸い込むことができず、シリンダなどに供給する作動油が不足したり、両タンク33,52内に作動油を均等に戻すことができず、一方のタンクから作動油が溢れたりするおそれがあるが、両タンク33,52の上部を前記エアホース54にて接続することにより、両タンク33,52内の作動油を均等かつ確実に吸い込んだり、戻したりすることができる。
【0033】
なお、前記各形態例では、移動式クレーンをアースドリルとして用いた例を挙げて説明したが、クレーン単独で使用することもできる。また、下部走行体は、タイヤで走行するものであってもよい。
【符号の説明】
【0034】
11…移動式クレーン(アースドリル)、12…下部走行体、12a…クローラ、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…ブーム装着部、16…ラチスブーム、17…ガントリ、18…カウンタウエイト、19…ウインチ搭載部、20…エンジン収納ハウス、21…機器収納ハウス、22…運転室、23…ケリーバ駆動装置、23a…アーム、23b…シリンダ、24…ケリーバ、25…拡底バケット、26…第1ウインチ、27…第2ウインチ、28…第3ウインチ、28a…起伏ロープ、29…第4ウインチ、30…燃料タンク、31…エンジン、32…油圧ポンプ、33…主作動油タンク、33a…天板、34…主作動油タンク収納部、35…ホース受け、36…サブ作動油タンク収納部、37a…ハウス天板、37b…ハウス後壁、37c…ハウス側壁、37d…ハウス底板、38…エアホース接続用開口部、39…エアホース接続部、39a…雌ネジ孔、40…蓋部材、41…吸引管、42…フィルタ、43…戻り管、44…給油口、51…テレスコピックブーム、52…サブ作動油タンク、52a…天板、53…作動油流通管、54…エアホース、55…タンク支持台、56…エアホース接続部材、57…鍔部、57a…ボルト挿通孔、58…本体部、58a…ソケット部、58b…雌ねじ孔、59…内側部材、59a…雄ネジ部、59b…プラグ部、59c…Oリング、60…外側部材、60a…雄ネジ部、60b…ホース接続部、61…ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12