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特開2015-137229新規エステル化合物ならびにこれを含む化粧料および化粧品
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  • 特開2015137229-新規エステル化合物ならびにこれを含む化粧料および化粧品 図000039
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-137229(P2015-137229A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】新規エステル化合物ならびにこれを含む化粧料および化粧品
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/24 20060101AFI20150703BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 1/04 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
   C07C69/24CSP
   A61K8/37
   A61Q1/06
   A61Q1/00
   A61Q1/04
   A61Q1/10
   A61Q19/10
   A61Q19/00
   A61Q17/04
   A61Q5/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-7962(P2014-7962)
(22)【出願日】2014年1月20日
(11)【特許番号】特許第5580947号(P5580947)
(45)【特許公報発行日】2014年8月27日
(71)【出願人】
【識別番号】391066319
【氏名又は名称】高級アルコール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】増野 麻吏
(72)【発明者】
【氏名】川合 清隆
【テーマコード(参考)】
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC212
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC512
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC792
4C083AC862
4C083AC932
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD212
4C083AD242
4C083AD282
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD662
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC06
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083CC14
4C083CC23
4C083CC31
4C083CC33
4C083DD11
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083FF01
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB12
4H006AC48
4H006BA66
4H006KA06
4H006KC12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】化粧料成分として用いることのできる新たなエステル化合物の提供。
【解決手段】式(I)で表されるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエステル化合物。

(式中、A〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、Yは、単結合または−CH−であり、A〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物
ただし、AまたはAのみがR−X−Y−であり、Xが−O−CO−であり、Yが−CH−である場合には、RはC3の直鎖または分岐鎖アルキル基ではない。
【請求項2】
式(I)
【化2】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物を含む化粧料。
【請求項3】
請求項2の化粧料を含む化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエステル化合物ならびにこれを含む化粧料および化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品の製造に用いられる化粧料成分として、エステル化合物が知られている。これらは例えば、炭素数6〜9の飽和分岐二価アルコールとネオペンタン酸とのジエステルが化粧料(化粧品)用油剤として報告されている(特許文献1)とおり、典型的には化粧料用油剤などとして用いられている。一方、化粧料以外の分野として例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−2−メチロールのエステルが香料として(特許文献2)、またトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンエステルの構造を有する化合物が、熱硬化性粘着剤組成物において用いられる化合物などとして(特許文献3および4)それぞれ知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−206573号公報
【特許文献2】特開昭58−121207号公報
【特許文献3】米国特許出願公報第2007/0155869号明細書
【特許文献4】米国特許出願公報第2013/0187095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化粧品の製造に用いられる化粧料用材料のひとつとして様々なエステル化合物が存在するにもかかわらず、多様化する新しい化粧品へのニーズは益々増大するばかりであり、現存する化粧料用エステル化合物では必ずしもそれらすべてのニーズに応えられるとは言えない。例えば、従来のエステル化合物では、固形化粧品において発汗を惹起し、特定の化粧品には用いることができないなど必ずしもニーズに適わないなどの状況を生じている。そのため化粧料材料として様々なニーズに応えられるように様々な物性を有するエステル化合物を用意しておくことが極めて重要であるとの認識のもと、本発明者らは、様々なニーズに応じた化粧料成分のラインナップを揃えるべく、化粧料成分として用いることのできる新たなエステル化合物を探索することにより、優れた物性を有する化粧品の製造に資する化粧料成分を提供することを課題として研究に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、これまで化粧料の成分としては着目されることがなかったトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエステル化合物に着目したところ、化粧料成分として様々に優れた特性を有することを発見し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下[1]〜[3]に関する。
[1]
式(I)
【化1】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物
ただし、AまたはAのみがR−X−Y−であり、Xが−O−CO−であり、Yが−CH−である場合には、RはC3の直鎖または分岐鎖アルキル基ではない。
【0007】
[2]
式(I)
【化2】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物を含む化粧料。
[3]
[2]に記載の化粧料を含む化粧品。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、例えばリップスティックなどの固形状化粧品においては、保存安定性(発汗防止)、すべり性などの使用感、光沢性および付着性などの機能性を与え、シャンプーや化粧水などの乳液状または液状化粧品においては滑らかな質感や密着感などの使用感を与え、さらに、クレンジング料では洗浄力を向上させ、スキンクリームやマッサージクリーム、ヘアトリートメントなどの乳化物においては使用感の感触を改良するなど、様々な化粧品に用いることのできる新たなエステル化合物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エステル化合物の粘度およびすべり性の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
式(I)の化合物は、以下の式(I)で表される:
【化3】
【0011】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つはR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される。
ただし、AまたはAのみがR−X−Y−であり、Xが−O−CO−であり、Yが−CH−である場合には、RはC3の直鎖または分岐鎖アルキル基ではない。
【0012】
本発明の一態様において、A〜A10の1〜4つ、好ましくは1〜3つ、さらに好ましくは1または2つが、R−X−Y−であり、残りのA〜A10がHである。
本発明の一態様において、AおよびAがHであることが好ましい。
本発明の一態様において、A、A、AおよびAがHであることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様において、AおよびA10のいずれか1つまたは両方が、R−X−Y−であり、残りのA〜A10がHであることが好ましい。
本発明の一態様において、A〜Aのいずれか1つまたは2つが、R−X−Y−であり、残りのA〜A10がHであることが好ましい。
本発明の一態様において、AおよびA10のいずれか1つ、およびAのいずれか1つがR−X−Y−であり、残りのA〜A10がHであることが好ましい。
【0014】
なお、上記式(I)中、同一の記号が複数回現れる場合には、このような各記号は出現毎に独立して各記号中の定義が選択される。すなわち、式(I)中に現れる複数の同一の記号は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、本明細書中に記載される他の化合物の一般式においても同様である。
【0015】
上記式(I)で表されるエステル化合物の中でも、式(Ia)
【化4】
【0016】
式中
nおよびmは、それぞれ独立して、0、1または2であり、
n+mは、1、2または3であり、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される、
で表される化合物が好ましい。
【0017】
上記式(Ia)で表されるエステル化合物の中でも、式(Ia−1)
【0018】
【化5】
【0019】
式中、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−である、
で表される化合物、および
【0020】
式(Ia−2)
【化6】
式中、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
各R、XおよびYは、それぞれ独立して選択される、
で表される化合物が好ましい。
【0021】
上記各式中、Rが複数存在する場合には、互いに同一であっても、異なっていてもよいが、複数のRが同一であることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様において、においの観点から、RはC4〜C22であることが好ましい。
Rとしては、具体的には、これらに限定するものではないが、例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、エチルヘキシル、イソノニル、イソステアリル、ベヘニルが挙げられる。
本発明の一態様において、Rは、C4〜C22、好ましくはC4〜C18、さらに好ましくはC5〜18の直鎖または分岐鎖アルキル基である。
【0023】
本発明の一態様において、上記各式中、
Xが−O−CO−である場合には、Yが−CH−であることが好ましく、また、
Xが−CO−O−である場合には、Yが単結合であることが好ましい。
【0024】
<式(I)の化合物の製造方法>
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンのエステル化合物(以下、「TCDエステル」とも称する)は、公知のエステル製造方法を使用して製造することができる。
例えば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンアルコールとC4〜C22の直鎖もしくは分岐鎖の飽和脂肪酸とをエステル化反応させることにより、製造することができる。
または、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン酸とC3〜C22の直鎖もしくは分岐鎖の飽和脂肪アルコールとをエステル化反応させることにより、製造することができる。
【0025】
<化粧料>
本発明の化粧料は、以下の式(I)で表される化合物を含む:
【化7】
【0026】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される。
【0027】
本発明の一態様において、上記式(I)中、AまたはAのみがR−X−Y−であり、Xが−O−CO−であり、Yが−CH−である場合には、RはC3の直鎖または分岐鎖アルキル基ではない。
本発明の一態様において、上記式(I)中、においの観点から、Rは、C4〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
【0028】
本発明の一態様において、化粧料は、上記式(Ia)で表される化合物の少なくとも1つを含む。
本発明の一態様において、化粧料は、上記式(Ia−1)で表される化合物の少なくとも1つを含む。
本発明の一態様において、化粧料は、上記式(Ia−2)で表される化合物の少なくとも1つを含む。
本発明の好ましい態様において、化粧料は、上記各式で表される化合物の少なくとも1つを含む。
【0029】
本明細書において「化粧料」とは、化粧品に基本的な形状および性能をもたらす成分(ベース原料)、例えば油剤などが挙げられるが、香料のような、付加的な機能を付与する添加物はこれには含まれない。
本明細書において「化粧料」は、式(I)の化合物に加えて、化粧品に特定の形状をもたらすために通常用いられる他の化粧料成分を含む組成物であり得る。
他の化粧料成分としては、これらに限定されないが、固形油脂、液状油、シリコーンオイル、シリコーン誘導体、ゲル化剤、増粘剤、界面活性剤、水などが挙げられる。
【0030】
本発明の一態様において、化粧料は、式(I)の化合物のみからなっても、他の化粧料成分を含んでもよい。
本発明の好ましい態様において、化粧料は、上記各式で表されるエステル化合物の少なくとも1種に加えて、同時に用いることが好ましい他の化粧料成分を含む組成物である。
【0031】
本発明の一態様において、化粧料は式(I)の化合物に加えて、ゲル化剤を含む。例えば、透明固形化粧品の製造においては、特に限定されないが、ジブチルラウロイルグルタミドおよびジブチルエチルヘキサノイルグルタミドなどのアミノ酸系油ゲル化剤、エチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリル)コポリマー(商品名:UNICLEARTM 100VG)、ビスジアルキル(C14−18)アミド(エチレンジアミン/水添ダイマージリノール酸)コポリマー(商品名:SYLVACLEARTM A200V)などのポリアミド樹脂などが好ましい。
【0032】
本明細書において「化粧品」とは、とくに限定されないが、体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚、毛髪、唇などに塗布などする、あらゆる製品を意味する。具体的には、スキンケア製品、メイクアップ製品、ヘアケア製品、ボティケア製品などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
スキンケア製品としては、化粧水、クリーム、乳液、ジェル、美容液、パック、クレンジング、洗顔料、美白化粧品、UVケア化粧品などが挙げられるが、これらに限定されない。
メイクアップ製品としては、化粧下地、ファンデーション、リップカラー、リップスティック、リップクリーム、リップグロス、チークカラー、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、アイブローなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
ヘアケア製品としては、シャンプー、コンディショナー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、ヘアスタイリング剤、パーマ剤、ヘアカラーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ボティケア製品としては、ボディーシャンプー、ボディーローション、ハンドクリーム、ネイルクリーム、デオドラント化粧品などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
式(I)の化合物は、油剤との相溶性が優れていることから、油剤を含む化粧品における使用に適している。
式(I)の化合物は、すべり性が高いことから、スキンケア製品、メイクアップ製品の中でも特に口紅やリップグロス、さらにボディケア製品における使用に適している。
【0036】
化粧品の形状は特に限定されないが、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状などであり得る。
式(I)の化合物は、すべり性が優れていることから、唇、皮膚、毛髪などに塗布するためのあらゆる化粧品における使用に適している。本発明の一態様において、式(I)の化合物を化粧品のすべり性向上剤として用いることもできる。
式(I)の化合物は、保存安定性(発汗抑制力)が優れていることから、固形状の化粧品における使用に適している。
【0037】
化粧品における上記各式で表されるエステル化合物の配合量は、目的とする化粧品の種類、組み合わせる他の材料によって異なり、当業者であれば適宜調節することができる。
本発明の一態様において、化粧品は、上記各式で表されるエステル化合物を2〜50 重量%、好ましくは10〜30重量%含む。
化粧品が口紅である場合には、口紅は、上記各式で表されるエステル化合物を5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上含む。
【0038】
化粧品が、固形状、特にスティック状である場合には、上記各式で表されるエステル化合物を5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%含む。
【0039】
化粧品は、公知の化粧品製造方法により製造することができる。例えば、化粧料成分を撹拌しながら溶解して、均一な混合物を得た後に、香料などの添加剤を加え、成形することにより得られる。
【0040】
以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的な思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書において、特に明示しない場合には、%は重量%を意味する。
【実施例】
【0041】
[合成例1]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルネオペンタノエートの合成
8−ヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(製品名:TCD-Alcohol M、サプライヤー:Oxea社)840gおよび十分な量のネオペンタン酸をトルエンに溶解し、これに酸触媒を添加して、加熱還流し常法のエステル化反応により、1200g(収率95%、純度99.7%)を無色の液状物として得た。
【0042】
[合成例2]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチル−n−ペンタノエートの合成
合成例1のネオペンタン酸をn−ペンタン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより、1162g(収率92%、純度99.2%)を無色の液状物として得た。
【0043】
[合成例3]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルイソブタノエートの合成
合成例1のネオペンタン酸をイソブタン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより、1075g(収率90%、純度99.3%)を無色の液状物として得た。
【0044】
[合成例4]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルイソノナノエートの合成
合成例1のネオペンタン酸をイソノナン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより、1455g(収率94%、純度99.6%)を無色の液状物として得る。
【0045】
[合成例5]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルイソステアレートの合成
合成例1のネオペンタン酸をイソステアリン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより、2076g(収率95%、純度99.7%)を無色の液状物として得た。
【0046】
[合成例6]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルベヘナートの合成
合成例1のネオペンタン酸をベヘン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより得られる。
【0047】
[合成例7]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチル−2−エチルヘキサノエートの合成
合成例1のネオペンタン酸を2−エチルヘキサン酸とする以外は、合成例1と同様に反応させることにより得られる。
【0048】
[合成例8]
3,8−ビス−(ネオペンタノイルオキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンの合成
3,8−ビス−(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(CAS:26896-48-0、製品名:TCD-Alcohol DM、サプライヤー:Oxea社)840g、および十分な量のネオペンタン酸をトルエンに溶解し、これに酸触媒を添加して、加熱還流し常法のエステル化反応により、1420g(収率91%、純度99.4%)を無色の液状物として得た。
【0049】
[合成例A]
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル−メチルアセテートの合成
8−ヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(製品名:TCD-Alcohol M、サプライヤー:Oxea社)50g、および無水酢酸とピリジンとの混合物(モル比1:1)50gを95から100℃で還流し常法のエステル化反応により60g(収率95%、純度99.5%)を無色の液状物として得た。
【0050】
合成例1〜5および8で得られたエステル化合物の物性値を以下に示す。
なお、本明細書において、各トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンエステル化合物を以下の略号を使用して表す。
合成例1 TCDNP ネオペンタン酸とTCD-Alcohol Mのエステル
合成例2 TCDP n−ペンタン酸とTCD-Alcohol Mのエステル
合成例3 TCDIB イソブタン酸とTCD-Alcohol Mのエステル
合成例4 TCDIN イソノナン酸とTCD-Alcohol Mのエステル
合成例5 TCDIS イソステアリン酸とTCD-Alcohol Mのエステル
合成例8 TCDDNP ネオペンタン酸とTCD-Alcohol DMのジエステル
【0051】
<光沢性(屈折率)>
アッベ屈折計NTR−2T((株)アタゴ)を用いて20℃で測定し、屈折率とした。
【0052】
【表1】
【0053】
ネオペンタン酸イソデシル:商品名 ネオライト 100P(サプライヤー:高級アルコール工業社)
イソノナン酸イソトリデシル:商品名 KAK139(サプライヤー:高級アルコール工業社)
ネオペンタン酸イソステアリル:商品名 ネオライト 180P(サプライヤー:高級アルコール工業社)
テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル:商品名KAK PTI(サプライヤー:高級アルコール工業社)
【0054】
表1に示されるように、式(I)の化合物は、化粧料に用いられる一般的エステルと比較して、屈折率が高い。したがって、式(I)の化合物は、光沢性の求められる化粧品への使用に適している。
【0055】
<粘度、すべり性>
エステル化合物の粘度を、ブルックフィールド粘度計 DV‐II+ (スピンドルNo.2、12rpm、25℃)を用いて測定した。比較として、化粧料に用いられる一般的な油剤の粘度も測定した。
エステル化合物のすべり性を、摩擦感テスターKES-SE(カトーテック株式会社)と検出部用治具(該テスターの付属品、人間の指を想定し、凸凹を施したシリコーンゴム)及び人工皮革(人工皮革サプラーレ、出光テクノファイン社製)を用いて測定した。人工皮革上に、エステル化合物を0.1ミリリットル滴下した。上記治具を人工皮革の表面の油剤を滴下した部位に当てた。皮革、油剤及び治具の温度を恒温槽において25℃に調節した。次いで、該治具を1mm/秒の速度で同一部位を1往復し(治具の移動距離は1往復で約80mmである)、1往復の平均摩擦係数(MIU)及び平均摩擦係数の変動値(MMD)を測定した。該測定を3回実施しMIU及びMMDの平均値を求め、すべり性の指標とした。また、比較として、粘度測定に使用した各種エステル化合物のMIU及びMMDも測定した。
結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
粘度とすべり性(MIU)との関係を図1に示す。
TCDNPやTCDINは、同程度の粘度であるスクワラン(商品名:オリーブスクワラン、サプライヤー:高級アルコール工業社)、ホホバ種子油(商品名:エコオイル RS、サプライヤー:高級アルコール工業社)よりもすべり易さに優れている。式(I)の化合物は、粘度がある割にはすべり易いことが理解できる。
また、TCDNPは、ジメチコンと同等のすべり易さを有している。
したがって、スキンケア製品、メイクアップ製品やヘアケア製品などの幅広い処方への配合が可能である。
【0058】
<各種油剤との相溶性>
合成例1および8で得られたTCDNP、TCDDNPそれぞれと、各油性基剤とを重量比9:1または1:1で、80〜90℃の湯浴中で約30分間攪拌しながら溶解した後、50℃まで攪拌しながら冷却し、25℃の恒温室に保存した。1週間後の状態を目視により相溶性を評価した。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3に示されるように、TCDNPおよびTCDDNPは、グリセリン(商品名:トリオール VE、サプライヤー:高級アルコール工業社)以外との相溶性に優れる。したがって、処方設計する際に油剤選びが容易であり、スキンケア・メイクアップ・ヘアケアなど幅広い処方への配合が可能である。
【0061】
<紫外線吸収剤の溶解性>
化粧品において用いられる一般的な紫外線吸収剤であるユビナール N 539 T(化粧品の成分表示名称: オクトクリレン、サプライヤー:BASF社)、および難溶解の紫外線吸収剤として知られ、溶解する油剤の限られているチノソーブ S(化粧品の成分表示名称: ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、サプライヤー:BASF社)の溶解性について、各油性基材とを室温(25℃)にて攪拌しながら溶解した後、25℃の恒温室にて保存した。1週間後の状態を目視により評価した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
式(I)の化合物は、化粧料成分として、紫外線吸収剤の溶解性が高いと言われているアジピン酸ジイソブチル(商品名:KAK DIBA、サプライヤー:高級アルコール工業社)、コハク酸ジエチルヘキシル(商品名:KAK DIOS、サプライヤー:高級アルコール工業社)と同等の溶解能を持つ。したがって、紫外線吸収剤を用いる処方設計が容易となり、幅広い処方が可能となる。
【0064】
[実施例1]
下記表5の各組成からなるリップスティックの製造を、常法により行った。各成分を所定量で混合し、次いで約110℃で攪拌しながら溶解して均一な混合物とした。この混合物を約30℃に冷却して、実施例1および比較例1のリップスティックを得た。実施例1には、合成例1で得られたエステル(TCDNP)を用いた。
【0065】
[評価]
リップスティックの物性を以下のように測定した。結果を表5に示す。
<保存安定性>
所定のガラス容器の底へペーパーを敷き、その上にリップスティックを置き、45℃のインキュベータに24時間保管した。保管後、リップスティックのみを取り出し、発汗によりペーパーに浸み込んだ油剤の量と保存前の重量を計量し、下記の計算式にて発汗率を求め、3段階評価により評価した。
計算式:(ペーパーに吸収された油の重さ/リップスティックの重さ)X100=発汗率(%)
A:0.5%以下(発汗していない)
B:0.5%〜1.0%(やや発汗を確認するが、実使用に問題ない)
C:1.0%以上(明らかに発汗を確認でき、実使用に問題あり)
【0066】
<付着性>
摩擦感テスターKES-SE(カトーテック株式会社)の試料台に人工皮革を置き、センサーの治具にリップスティックを取り付け、稼働。1往復〜3往復と稼働し、リップスティックが付着した人工皮革の重量と稼働前との重量差を付着量とした。1〜3往復の付着量の平均値を以下の評価基準で評価した。
A:5mg以上 (良好な付着性)
B:4〜5mg (適度な付着性)
C:4mg以下 (付着性に劣り、実使用に不適)
【0067】
<光沢性>
パラフィン紙に一定の厚さ・面積になるよう試料を塗布し、Glossymeter GL200(Courage + Khazaka electronic GmbH 製)にて(入射角60°−反射角60°)測定した。光沢度は、3回測定した平均値とし、下記の評価基準に基づき評価した。
A:光沢度60以上
B:光沢度が50〜60
C:光沢度50以下
【0068】
【表5】
【0069】
表5に示されるように、比較例1のリップスティックと比較して、実施例1のリップスティックは、保存安定性および光沢性に優れ、付着性が一段と高い。
比較例1のリップスティックは、すべり性は良好であるが、付着感が十分ではない。その理由として、付着性を向上させるためには、オイルゲル化剤(Sylvaclear A200V)の濃度を減らさなくてはならず、そのオイルゲル化剤を減らすことで、口紅としての保存安定性が悪くなる(発汗が見られる)。一方、保存安定性を向上(発汗を抑制)するにはオイルゲル化剤の濃度を上げなくてはならないため、付着性が犠牲になっていた。
さらに、付着性が劣ると唇の光沢感も弱くなることから、付着後の唇のツヤ(光沢性)についても課題であった。
これに対し、式(I)の化合物を配合することにより、オイルゲル化剤(Sylvaclear A200V)の濃度を減らすことができるため、付着性が向上し、さらにオイルゲル化剤(Sylvaclear A200V)の濃度が減らされたにもかかわらず、保存安定性も光沢性も向上するという効果を奏した。
【0070】
[実施例2〜6]
合成例2〜5および8で得られたエステル化合物を用いて、下記表6の組成のリップスティックを実施例1と同様に製造した。
実施例1と同様に物性値を評価した。結果を表7に示す。
【0071】
[比較例2]
エステル化合物を含まない、下記表6の組成のリップスティックを実施例1と同様に製造した。
【0072】
[比較例A]
合成例Aで得られたエステル(RがC1のアルキル基である式(I)のTCDエステル)は、においが強く使用に耐えられなかったため、リップスティックの物性値の評価は行わなかった。
【0073】
【表6】
【0074】
実施例2:合成例2のエステル(n−ペンタン酸とTCD-Alcohol Mのエステル)
実施例3:合成例3のエステル(イソブタン酸とTCD-Alcohol Mのエステル)
実施例4:合成例4のエステル(イソノナン酸とTCD-Alcohol Mのエステル)
実施例5:合成例5のエステル(イソステアリン酸とTCD-Alcohol Mのエステル)
実施例6:合成例8のエステル(ネオペンタン酸とTCD-Alcohol DMのジエステル)
【0075】
【表7】
【0076】
本願のいずれのTCDエステルは、化粧品において実使用可能であることが確認できた。また、保存安定性、付着性の観点から、脂肪酸の炭素数5〜18であるTCDエステル(RがC4〜17の直鎖または分岐鎖アルキル基である式(I)TCDエステル)が好ましい。さらに、ネオペンタン酸とTCD-Alcohol DMのエステル(ジエステル)においても、良好な結果が得られた。
一方、イソブタン酸のTCDエステル(RがC3の分岐鎖アルキル基である式(I)TCDエステル)は、多少においがあったが、化粧品において実使用可能であると判断され、他のTCDエステルは、においが無いかまたは非常に弱く、あらゆる化粧品への適用に適している。
【0077】
[実施例7〜9]
実施例1および比較例2におけるベース油剤(イソノナン酸イソトリデシル)に代えて、以下の油剤を用いて、ベース油剤によるTCDエステルの添加効果を実施例1と同様に評価した。
【表8】
【0078】
リンゴ酸ジイソステアリル(商品名:ハイマレート DIS、サプライヤー:高級アルコール工業社)
エチルヘキサン酸セチル(商品名:CEH、サプライヤー:高級アルコール工業社)
ミリスチン酸オクチルドデシル(商品名:ODM、サプライヤー:高級アルコール工業社)
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(商品名:NPDC、サプライヤー:高級アルコール工業社)
【0079】
TCDNP無配合の場合は、それぞれのベース油剤において保存安定性・付着性に劣るが、TCDNPを配合することで保存安定性・付着性が向上。このことから、ベース油剤に関係なくTCDNPを配合することで従来処方よりも改善されることが確認できた。
【0080】
[比較例6]
エステル化合物の効果を評価すべく、TCDNPに代えて、同一の炭素数を有するラウリルアルコールとネオペンタン酸とのエステルを用いて、実施例1と同様にリップスティックを調製し、その物性値を比較して評価した。結果を表9に示す。
【0081】
【表9】
【0082】
表9の結果から、環状構造を有しないエステルであるネオペンタン酸ラウリルと比較して、環状構造を有するTCDNPが、優れた保存安定性、付着性、光沢性を与えることが確認できた。
【0083】
以下に、TCDエステルを用いた、メイクアップ製品、スキンケア製品、ヘアケア製品などの化粧品の処方例を示す。
【0084】
<メイクアップ製品>
【表10】
【0085】
【表11】
【0086】
【表12】
【0087】
【表13】
【0088】
【表14】
【0089】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良いため、リップグロスなどの多種の油剤が配合される処方へも配合可能であり、付着性・光沢性などが向上する。

(イソステアリン酸ポリグリセリル−2/ダイマージリノール酸)コポリマー(商品名:ハイルーセント ISDA、サプライヤー:高級アルコール工業社)
ダイマージリノール酸水添ヒマシ油:(商品名:リソカスタ DA−L、サプライヤー:高級アルコール工業社)
ヘキサイソノナン酸ジペンタエリスリチル(商品名:ハイルーセント DPIN6、サプライヤー:高級アルコール工業社)
【0090】
【表15】
【0091】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、紫外線吸収剤との溶解性もあるため、ファンデーションへの活用が可能である。
【0092】
【表16】
【0093】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、アイシャドウへの活用も可能である。
【0094】
<スキンケア製品>
【表17】
【0095】
【表18】
【0096】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良いため、クレンジング化粧料への活用が可能である。
【0097】
【表19】
【0098】
【表20】
【0099】
【表21】
【0100】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、紫外線吸収剤との溶解性もあるため、UV化粧料へも活用が可能である。
【0101】
【表22】
【0102】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、植物油を配合した美容オイルへも活用が可能である。
【0103】
<ヘアケア製品>
【表23】
【0104】
【表24】
【0105】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、エタノールを配合したヘアミストへも活用が可能である。
【0106】
【表25】
【0107】
【表26】
【0108】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、ヘアトリートメントへも活用が可能。
【0109】
【表27】
【0110】
TCDエステルは、様々な油剤との相溶性が良く、植物油やシリコーン油を配合したヘアオイルへも活用が可能。
【産業上の利用可能性】
【0111】
上述のとおり、式(I)の化合物は、様々な化粧品処方への使用が可能である。
図1
【手続補正書】
【提出日】2014年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物。
【請求項2】
式(Ia−1)
【化2】
式中、
Rは、C4〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
ここで、RがC4直鎖または分岐鎖アルキル基である場合には、Yは−CH−である
で表される化合物。
【請求項3】
式(Ia−2)
【化3】
式中、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
各R、XおよびYは、それぞれ独立して選択される、
で表される化合物。
【請求項4】
式(I)
【化4】
式中
〜A10は、それぞれ互いに独立して、HまたはR−X−Y−であり、
ここで、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
〜A10の少なくとも1つがR−X−Y−であり、
複数のR−X−Y−存在する場合には、各R、X、Yは、それぞれ独立して選択される
で表される化合物を含む化粧料(ただし香料を除く)
【請求項5】
式(Ia−1)
【化5】
式中、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−である、
で表される化合物を含む化粧料。
【請求項6】
式(Ia−2)
【化6】
式中、
Rは、C3〜22の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
Xは、−CO−O−または−O−CO−であり、
Yは、単結合または−CH−であり、
各R、XおよびYは、それぞれ独立して選択される、
で表される化合物を含む化粧料。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載の化粧料を含む化粧品。
【請求項8】
口紅またはリップグロスである、請求項7に記載の化粧品。