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特開2015-137263油中水型乳化組成物及び該組成物を用いた油中水型乳化化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-137263(P2015-137263A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】油中水型乳化組成物及び該組成物を用いた油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/893 20060101AFI20150703BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20150703BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20150703BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
   A61K8/893
   A61K8/25
   A61K8/06
   A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-10341(P2014-10341)
(22)【出願日】2014年1月23日
(71)【出願人】
【識別番号】301068114
【氏名又は名称】株式会社コスモステクニカルセンター
(71)【出願人】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000228729
【氏名又は名称】日本サーファクタント工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】タキ コフィ アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊介
(72)【発明者】
【氏名】李 金華
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB242
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC642
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD212
4C083AD332
4C083AD642
4C083AD662
4C083BB13
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安定性に優れ、かつ皮膚への塗布時にベタつきがなく、みずみずしい使用感で、のびが良い油中水型乳化組成物、並びにこれを配合した低粘度の油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】前記課題を解決するため、次の成分(A)一般式(1)で示される重量平均分子量が500〜200,000で、分岐構造を有するシリコーン化合物と、成分(B)疎水性フィルム形成剤と、成分(C)疎水性シリカとを必須成分とし、さらに成分(D)液状油を含有する油中水型乳化組成物、および当該組成物を配合した油中水型乳化化粧料は、皮膚への塗布時にべたつきがなく、みずみずしい使用感で、伸びがよく、さらに低粘度であっても優れた安定性を有することを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を必須成分として含有することを特徴とする油中水型乳化組成物。
(A)重量平均分子量が500〜200,000であり、分岐構造を有するシリコーン化合物
(B)疎水性フィルム形成剤
(C)疎水性シリカ
【請求項2】
前記成分(A)が、下記一般式(1)で示される重量平均分子量が500〜200,000であるシリコーン化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の油中水型乳化組成物。
SiO(4−a−b−c)/2 (1)
[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、あるいは下記一般式(2)
−C2m−O−(CO)(CO) (2)
で表される有機基から選択される同種又は異種の有機基であり、Rは下記一般式(3)
−C2m−O−(CO)(CO)−R (3)
で表されるポリオキシアルキレン基、Rは下記一般式(4)
【化1】

で表されるオルガノシロキサンであって、Rは炭素数4〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子もしくは炭素数1〜30の炭化水素基又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基、前記一般式(4)中のRは前記一般式(1)中のRと同じである。a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数であり、f、gはそれぞれ2≦f≦200、0≦g≦200、かつf+gが3〜200の整数である。また、mは0≦m≦15の整数、hは0≦h≦500の整数であり、nは1≦n≦5の整数である。]
【請求項3】
上記(A)〜(C)成分の比率(質量比)が、
(A)/(B)=1/10〜20/1かつ[(A)+(B)]/(C)=1/5〜50/1である請求項1または2に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項4】
さらに成分(D)液状油を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型乳化組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の油中水型乳化組成物を配合した油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
測定温度25℃において、B型粘度計、3号ローターを用いて測定した粘度が800〜10000mPa.Sであることを特徴とする、請求項5に記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項7】
前記油中水型乳化組成物が、化粧料に対して0.1〜30質量%配合されることを特徴とする、請求項5または6に記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疎水性フィルム形成剤を用いた優れた保存安定性を有する低粘度油中水型乳化組成物並びに当該油中水型乳化組成物を用いた油中水型乳化化粧料であり、コールドプロセス法での調製が可能である、べたつきがなく、みずみずしい使用感で、伸びが良く、安定性にも優れた油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油中水型エマルションは水中油型エマルションと異なり外相が油性成分であるため、乳化剤が乳化力を有するミセルを安定に形成し難く、必要とされる水量を安定に乳化することができない。また、外相中での乳化剤の電荷の反発や自己組織体の形成による立体障害が十分に生じないことから、エマルションの安定化を期待することが困難である。これらは、概して油中においては、油中水型エマルションに汎用される乳化剤が分子状に単分散して、ミセルや液晶などの自己組織体の形成が阻害されるためである。
従来、乳化化粧料などに利用される油中水型乳化組成物は、外相である油相の粘度を高くし、固形・半固形型油分を配合することで安定性を高めているため、油っぽく、べたつく使用感となり、乳化化粧料として十分満足できるものではなかった(特許文献1)。
【0003】
さらに、油相中の固形・半固形型油分を大幅に少なくしても安定性良好な乳化物を得る方法として、有機変性粘土鉱物を乳化剤として用いる油中水型乳化組成物が知られているが、この油中水型乳化組成物を含有する乳化化粧料も、肌への塗布時に伸びが悪く、みずみずしさ、さっぱりさが足りないという使用性における問題点があった。
また、油中水型乳化組成物は水中油型乳化組成物と異なり、油相を外相、水相を内相とした油中水型の乳化組成物として、油溶性の有効成分、例えばエモリエント油、紫外線吸収剤、ビタミン誘導体等を効率的に皮膚上に展開できることから、皮膚外用剤化粧料としての要望が高まっている。しかしながら、上記油溶性の有効成分を有機変性粘土鉱物配合処方に添加した場合、油溶性の有効成分が加水分解され、変色や異臭等が発生するため、長期安定性を保つことが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−066752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、多量の固形油や半固形油および有機変性粘土鉱物等を使用せずとも、安定性に優れ、かつべたつきがなく、みずみずしい使用感で、伸びがよい油中水型乳化組成物並びにこれを配合した化粧料に関し、特に従来困難であった低粘度の化粧料においても、安定性の高い油中水型乳化化粧料を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上述の事情に鑑み鋭意研究した結果、油中水型乳化化粧料において、成分(A)一般式(1)で示される重量平均分子量が500〜200,000で分岐構造を有するシリコーン組成物と、成分(B)疎水性フィルム形成剤と、成分(C)疎水性シリカとを必須成分とする油中水型乳化組成物を利用することで、当該組成物に対し、液状油を5〜90質量%配合することができ、かつ安定性及び使用性に優れる油中水型乳化組成物並びにこれを配合した化粧料を製造できることを見出した。また、従来困難であった低粘度の油中水型乳化化粧料においても、保存安定性が良好で、極めて使用性に優れた油中水型乳化組成物並びに化粧料を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明の、油中水型乳化組成物並びに化粧料に利用する油中水型乳化組成物において、成分(A)一般式(1)で示される重量平均分子量が500〜200,000のポリエーテル変性シリコーン、成分(B)疎水性フィルム形成剤、成分(C)疎水性シリカを含有する油中水型乳化組成物を利用することで、従来、保存安定が困難であった、低粘度油中水型化粧料は温度安定性や安全性が良好で、かつ使用性に優れた油中水型乳化組成物並びに化粧料を提供することができる。また、環状シリコーン油を使用しても乳化が困難であった、シリコーン油100%配合や、シリコーン油に対し炭化水素油やエステル油を100/0〜20/80の比率(質量比)で配合した油中水型乳化組成物並びに化粧料を提供することができる。さらには、本乳化組成物を利用することで、高濃度にUV吸収剤を配合したサンスクリーンや炭化水素油やエステル油などの各種油剤の感触を生かした優れた油中水型乳化化粧料を提供することができる。これらの油中水型乳化組成物並びに化粧料は、使用感が良好で、保湿性に優れ、高い安定性を有するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明について、詳述する。
本発明は、油中水型乳化化粧料に利用する油中水型乳化組成物において、次の(A)〜(C)を必須成分とし、さらに成分(D)液状油を含有する油中水型乳化組成物に関するものである。
本発明に用いる成分(A)は、下記一般式(1)で示される、重量平均分子量が500〜200,000であり、分岐構造を有するシリコーン化合物である。
SiO(4−a−b−c)/2 (1)
[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、あるいは下記一般式(2)
−C−O−(CO)(CO) (2)
で表される有機基から選択される同種または異種の有機基であり、Rは下記一般式(3)
−C2m−O−(CO)(CO)−R
で表されるポリオキシアルキレン基、Rは下記一般式(4)
【化1】

で表されるオルガノシロキサンであって、Rは炭素数4〜30の炭化水素基またはR−(CO)−で示される有機基、Rは水素原子もしくは炭素数1〜30の炭化水素基またはR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基、前記一般式(4)中のRは前記一般式(1)中のRと同じである。a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5であり、d、eはそれぞれ0≦d≦50、0≦e≦50の整数であり、f、gはそれぞれ2≦f≦200、0≦g≦200、かつf+gが3〜200の整数である。また、mは0≦m≦15の整数、hは0≦h≦500の整数であり、nは1≦n≦5の整数である。]
【0009】
成分(A)のHLBは特に限定されるものではないが、HLB10以下であることが好ましく、より好ましくはHLB5以下である。成分(A)は、特開2001−39819号公報に記載の方法で合成することができる。市販品としては、信越化学工業社製のKF−6028(PEG−9ポリジメチエルシロキシエチルジメチコン)や、KF−6038(ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)等が挙げられるが、アルキル共変成タイプのKF−6038がより好ましい。
本発明に用いる成分(B)は、疎水性フィルム形成剤であり、アルキル変性酢酸ビニル、アルキル変性アクリル酸ビニル、アルキル変性ポリビニルピロリドンなどが挙げられるが、好ましくは、アルキル変性ポリビニルピロリドンであるPVP/ヘキサデセンコポリマー、PVP/エイコセンコポリマー、およびPVP/トリコンタニル、更に好ましくは、PVP/ヘキサデセンコポリマーである。
本発明に用いる成分(C)疎水性シリカは、疎水性ヒュームドであり、特定的には、10〜85%、好ましくは25〜75%のメタノール湿潤性(疎水性)を有し、70〜350m2/g、好ましくは100〜280m2/gのBET表面積を有する。市販品としては、オクチルシラン処理したAEROSIL R805(日本アエロジル株式会社製商品名)、ジメチルシリコーンオイル処理したAEROSIL RY200、AEROSIL R202(日本アエロジル株式会社製商品名)、メチルグループで疎水化したAEROSIL R972、AEROSIL R974、AEROSIL R976(日本アエロジル株式会社製商品名)、トリメチルシリル化したAEROSIL R812、AEROSIL R812S、AEROSIL RX200(日本アエロジル株式会社製商品名)等が挙げられ、好ましくはAEROSIL RX200(日本アエロジル株式会社製商品名)である。
【0010】
本発明において、(A)〜(C)成分の比率(質量比)は、(A)/(B)=1/10〜20/1が好ましく、より好ましくは、(A)/(B)=1/5〜15/1、さらに好ましくは、(A)/(B)=1/2〜10/1である。
また、(A)成分と(B)成分の合計と(C)成分の比率(質量比)は、[(A)+(B)]/(C)=1/5〜50/1が好ましく、より好ましくは、[(A)+(B)]/(C)=1/3〜30/1、さらに好ましくは、[(A)+(B)]/(C)=1/2〜20/1である。この範囲において、油中水型乳化組成物並びに化粧料がより安定に調製できる。
本発明の油中水型乳化組成物は、成分(A)〜(C)のみで構成されても良く、あるいは成分(D)液状油を併用することもできる。この場合、成分(D)液状油を成分(A)〜(C)の合計量に対して0〜90質量%が好ましく、より好ましくは0〜75質量%、さらに好ましくは0〜60質量%である。この範囲であれば、油中水型乳化組成物を調製する場合に、油中水型乳化組成物としてより取り扱い易い。
本発明の油中水型乳化組成物は、化粧料全量に対しては、0.1〜30質量%を含有することが好ましい。より好ましくは、0.3〜20質量%、さらに好ましくは、0.5〜10質量%である。
【0011】
本発明の成分(D)液状油は、一般に化粧品に使用される油性原料なら何れも好適に使用できる。具体的には、環状シリコーン、ジメチコンなどのシリコーン油、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素類、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、ホホバ油などの植物油、ミンク油などの動物油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、パルミチン酸イソオクチルなどのエステル類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、4−t−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾンなどの有機性の紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0012】
本発明の油中水型乳化組成物は、成分(A)〜(C)および成分(D)を予め加温溶解して、均一な混合物とし、撹拌しながら室温まで冷却することで固体状あるいはペースト状の油中水型乳化組成物として得ることができ、あらかじめ組成物として調製することで、特別な乳化装置や機械などを使用することなくとも、容易に化粧料に配合することが可能である。また、成分(A)〜(C)および成分(D)の配合比率を調節して化粧料の乳化状態や剤形を調製することもできる。さらに、化粧料等に成分(A)〜(C)および(D)を直接配合することもできる。
【0013】
本発明の油中水型乳化組成物およびそれを含有する油中水型乳化化粧料は、前記本発明の効果を損なわない範囲において、一般に化粧品に使用される界面活性剤、高級アルコール、アルキルグリセリルエーテル、脂肪酸、油性原料、活性成分、保湿成分、抗菌成分、粘度調整剤、色素、香料などの原料を併用することができる。
【0014】
具体的には、界面活性剤としては、POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノステアレートなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレートなどのPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレートなどのPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレート、POEモノイソステアレートなどのPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEステアリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類、POE・POPセチルエーテル、POE・POPデシルテトラデシルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸セッケン類、ラウリル硫酸ナトリウム、POEラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル類、ラウロイルサルコシンナトリウム、ココイル−N−メチルタウリンナトリウム、ラウリルグルタミン酸ナトリウムなどのアシル化アミノ酸塩類、モノラウリルリン酸ナトリウムなどのリン酸エステル塩などのアニオン界面活性剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤などである。高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコールなど。アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキラルコール及びそれらの脂肪酸エステルなど。脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸など。液状の油性原料としては、上述したものなど。活性成分としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、3−O−セチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、エラグ酸、ルシノールなどの美白剤、アミノ酸などのNMF成分、水溶性コラーゲン、エラスチン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、セラミドなどの肌荒れ防止剤、レチノール、ビタミンA酸などの抗老化剤や各種ビタミン類やその誘導体など。保湿成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどを挙げることができる。
【0015】
本発明の油中水型乳化組成物を使用した化粧料を調製する際は、パドルミキサー、ホモミキサーなどの通常の乳化装置が使用できる。調製法は、予め油性原料と本発明の油中水型乳化組成物を、融解混合しておき、ホモミキサーなどで撹拌下、水を投入する方法と油性原料、又は、本発明の油中水型乳化組成物を、融解混合しておいたものを、ホモミキサーなどで攪拌下、水中に投入する方法などが挙げられる。
本発明の油中水型乳化組成物を使用した油中水型乳化化粧料は、保湿クリーム、エモリエントクリーム、マッサージクリーム、保湿美容液、保湿ローション、エモリエント乳液などのスキンケア化粧料などに好適に使用できる。特に、本発明の油中水型乳化組成物を用いれば、種々の割合で有機性の紫外線吸収剤とシリコーン油を併用したサンスクリーン剤などの製造にも応用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の配合量は「質量%」を意味する。
【実施例1】
【0016】
(1)油中水型乳化組成物の調製
下記表1に示す油中水型乳化組成物を調製した。すなわち、ステンレス製混合容器中で、表1に記載の成分を攪拌しながら混合することで油中水型乳化組成物を得た。
(2)油中水型乳化組成物の調製
下記表1に示す油中水型乳化を用いて、下記表2と表3に示す油中水型乳化組成物を調製した。すなわち、10リッターかき取り撹拌付きステンレス製ホモミキサー中で、水以外の成分を混合、分散し、必要に応じて加温し、撹拌しながら(撹拌速度5000rpm)、これに水を徐々に添加した。さらに、同条件で30分間撹拌し、室温まで冷却し油中水型乳化組成物を得た。油中水型乳化組成物の調製スケールは、5Kgとした。
(3)油中水型乳化組成物の保存安定性評価
調製直後、45℃における2週間後及び4週間後の外観状態を目視観察し、下記の基準にて安定性評価を行った。
4:45℃保存3ヵ月後に相分離は認められない。
3:室温保存3ヵ月後では相分離は認められないが、45℃保存3ヵ月後に相分離が認められた。
2:45℃保存4週間以内に相分離が認められた。
1:25℃保存24時間以内に相分離が認められた。
【0017】
(4)使用感の評価
実施例、比較例の調製翌日の各配合の試料を用いて、専門パネル15名により以下の評価基準に基づいて使用感の評価を行った。
(4−1)肌上での伸び
4:非常に伸びがよい
3:伸びがよい
2:やや伸びがよい
1:伸びが悪い
(4−2)べたつき
4:非常にべたつきが少ない
3:べたつきが少ない
2:ややべたつく
1:べたつく
(4−3)水々しさ
4:非常に水々しい
3:水々しい
2:やや水々しい
1:水々しくない
(5)粘度の測定方法
本発明の油中水型乳化組成物の粘度は3号ローターを備えたB型粘度計を使用し、測定温度25℃、ローター回転速度12rpm、測定開始後30秒後の条件で測定した。
【0018】
(6)結果
表1に油中水型乳化組成物の本発明品および比較品について示し、表2〜5にその油中水型乳化組成物を用いた化粧料について、さらにその評価結果を示す。

【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】
【実施例2】
【0019】
油中水分散型化粧料(ミルキーローション)
A 本発明品2の油中水型乳化組成物 3.5(質量%)
流動パラフィン 3.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 4.0
トリエチルヘキサン酸グリセリル 4.0
メドウホーム油 1.0
水素添加ホホバ油 1.0
ジメチコン(6mm/s) 7.0
酢酸トコフェロール 0.2
B 1,3−ブチレングリコール 7.0
ソルビトール(70%水溶液) 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 1.0
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)室温でA、Bそれぞれを均一分散させ、ホモミキサー、ディスパーミキサーまたはパドルでゆっくりと攪拌しながらAにBを徐々に加えた後、強く攪拌し乳化を行う。
(評価結果)調製したミルキーローションを実施例1に記載の安定性試験を実施した。得られたミルキーローションは、低粘度(1500mPa・S)ながら安定性が良好で、さっぱりかつなめらかな使用感を有していた。
【実施例3】
【0020】
油中水分散型化粧料(アイエッセンス)
A ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.0(質量%)
PVP/ヘキサデセンコポリマー 2.0
疎水化シリカ 1.0
ジメチコン(6mm/s) 15.0
オクタメチルトリシロキサン 10.0
セトステアリルアルコール 0.2
B 1,3−ブチレングリコール 10.0
グリセリン 15.0
クエン酸 0.1
アスパラギン酸 0.1
グリシン亜鉛錯体 0.2
ツボクサエキス 0.1
スギナエキス 0.1
α−グルカンオリゴサッカライド 0.1
エデト酸三ナトリウム 微量
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)A、Bを70℃まで加温しそれぞれ均一にするBを徐々に加えながらホモミキサーで乳化を行なう。パドル攪拌をしながら冷却し、30℃付近で調製を終了する。
(評価結果)調製したアイエッセンスを実施例1に記載の安定性試験を実施した。得られたアイエッセンスは、低粘度(1000mPa・S)ながら安定性が良好で、さっぱりかつなめらかな使用感を有していた。
【実施例4】
【0021】
油中水分散型化粧料(薬用美白クリーム)
A 本発明品6の油中水型乳化組成物 10.0(質量%)
ジメチコン(2mm/s) 10.0
トリエチルヘキサン酸グリセリル 10.0
オリーブスクワラン 3.0
ローズヒップ油 0.1
セラミド2 0.2
天然ビタミンE 0.1
テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 3.0
B リン酸L−アスコルビルマグネシウム 3.0
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム(1%水溶液) 1.0
グルタミン酸ナトリウム 0.3
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)室温でA、Bそれぞれを均一分散させ、ホモミキサーまたはディスパーミキサーでゆっくりと攪拌しながらAにBを徐々に加えた後、強く攪拌して乳化を行う。
(評価結果)調製したクリームを実施例1に記載の安定性試験を実施した。得られたクリーム(30000mPa・S)は心地よい使用感であり、保存安定性に優れていた。
【実施例5】
【0022】
油中水分散型化粧料(サンスクリーンローション)
A 本発明品4の油中水型乳化組成物 5.0(質量%)
ジメチコン(10mm2/s) 15.0
トリエチルヘキサン酸グリセリル 10.0
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 7.5
サリチル酸エチルヘキシル 3.0
t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.3
ホホバ油 2.0
B 微粒子酸化亜鉛(シリカ、メチルポリシロキサン処理品)8.0
微粒子酸化チタン(メチコン、アルミナ処理品) 7.0
シリカ 3.0
C 1,3−ブチレングリコール 10.0
クエン酸ナトリウム 0.2
エデト酸三ナトリウム 微量
防腐剤 適量
精製水 残部
(調製方法)Cを70℃まで加温し、A、Bの混合相にCを徐々に加えながらホモミキサーで乳化を行う。パドル攪拌しながら冷却し、30℃付近で調製を終了する。
(評価結果)調製したサンスクリーンローションを実施例1に記載の安定性試験を実施した。得られたサンスクリーンローションは、低粘度(3000mPa・S)ながら安定性が良好で、さっぱりかつなめらかな使用感を有していた。
(保存安定性評価の結果)実施例2〜5の化粧料は実施例1に記載の保存安定性評価において、45℃保存4週間以上に相分離は認めらないことを確認した。