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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-137720(P2015-137720A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/14 20060101AFI20150703BHJP
【FI】
   F15B15/14 350
   F15B15/14 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-10207(P2014-10207)
(22)【出願日】2014年1月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康永
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA03
3H081CC22
3H081DD18
3H081HH04
(57)【要約】
【課題】シリンダ装置において、省エネルギー化及び作動効率の向上を図り、しかも、軸方向長さの調整を容易に行う。
【解決手段】シリンダ装置10を構成するピストンロッド20の他端部20aに、軸体からなるジョイント部材22を連結自在に設け、前記ジョイント部材22のねじ部48を前記ピストンロッド20のねじ孔44に螺合させ連結することで、前記ピストンロッド20の他端部を前記ジョイント部材22の長さ分だけ延長することができる。また、ピストンロッド20に対するジョイント部材22の螺合量を調整することで、前記ピストンロッド20の端部に対するジョイント部材22の突出長さを自在に設定することが可能となり、ねじ部48に螺合されたロックナット52を螺回させ前記ピストンロッド20の他端部20aへと当接させることで、前記ジョイント部材22の長さが調整された状態で固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダボディと、該シリンダボディの内部に収納され軸方向に沿って変位自在に設けられたロッドとを有したシリンダ装置において、
前記ロッドの一端部が、前記シリンダボディの外部に露出するように設けられ、該一端部には、該ロッドと同軸となるようにジョイント部材が連結自在に設けられ、
前記ジョイント部材は軸方向に沿って所定長さを有し、前記ロッドに連結された状態で、前記ロッドに対する軸方向に沿った長さを調整可能な調整手段を備えることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
請求項1記載のシリンダ装置において、
前記調整手段は、前記ロッド又は前記ジョイント部材のいずれか一方の端部に形成されたねじ部と、
前記ねじ部を有していない前記ロッド又は前記ジョイント部材に形成され該ねじ部の螺合されるねじ孔と、
前記ねじ部に螺合されるロックナットと、
を有することを特徴とするシリンダ装置。
【請求項3】
請求項2記載のシリンダ装置において、
前記ロックナットは、螺回させることで前記ねじ部に沿って移動させ、前記ねじ孔を有した前記ロッド又は前記ジョイント部材の端部に当接させることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリンダ装置において、
前記シリンダ装置は、前記シリンダボディの内部に供給される圧力流体によって前記ロッドを軸方向に沿って進退動作させる流体圧シリンダであることを特徴とするシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを軸方向に沿って変位自在なシリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワーク等の搬送手段や保持手段として、例えば、圧力流体の供給作用下に変位するピストンを有したシリンダ装置が用いられている。このシリンダ装置は、筒状のシリンダチューブの内部にピストンが変位自在に設けられ、該ピストンにはピストンロッドが連結されている。そして、圧力流体の供給作用下にピストンが軸方向に沿って変位し、ピストンロッドをシリンダチューブに沿って進退動作させることで、例えば、製造ライン等において、前記ピストンロッドの端部でワークを押圧して保持したり搬送したりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−33908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上述したようなシリンダ装置が、ワークの保持等を行う目的で用いられる場合、該ワークに対して所定距離だけ離間して設置されることがあり、前記シリンダ装置を駆動することでピストンロッドをワーク側へと接近させ、ワークの端面に当接させることで保持している。
【0005】
しかしながら、ワークを保持する際に、シリンダ装置とワークとの間に設けられたスペース分だけピストンロッドを該ワーク側に向かって移動させる必要があるため、必然的にピストンの移動量が大きくなると共に、スペースに対応した長さのピストンロッドが必要となる。
【0006】
その結果、シリンダ装置を駆動させる際の圧力流体の消費量が増加してしまうと共に、駆動開始からワーク保持までの作動時間(タクトタイム)が長くなってしまう。また、ワークまでのスペースに対応したピストンのストローク量及びピストンロッドの長さを有したシリンダ装置を準備する必要があり、しかも、前記ワークを正確に保持するための調整作業を行う必要があり煩雑である。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、省エネルギー化及び作動効率の向上を図ると共に、軸方向長さの調整を容易に行うことが可能なシリンダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、シリンダボディと、該シリンダボディの内部に収納され軸方向に沿って変位自在に設けられたロッドとを有したシリンダ装置において、
ロッドの一端部が、シリンダボディの外部に露出するように設けられ、一端部には、ロッドと同軸となるようにジョイント部材が連結自在に設けられ、
ジョイント部材は軸方向に沿って所定長さを有し、ロッドの端部に連結された状態で、ロッドに対する軸方向に沿った長さを調整可能な調整手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、シリンダボディの内部に変位自在なロッドを有したシリンダ装置において、シリンダボディの外部に露呈したロッドの一端部に、ロッドと同軸となるようにジョイント部材が連結自在に設けられ、連結されたジョイント部材には、ロッドに対する軸方向長さを調整可能な調整手段を備えている。
【0010】
従って、ロッドの一端部にジョイント部材を連結させることで、例えば、ロッドでワーク等の保持や搬送を行う際の作動範囲が変化した場合でも、ロッドの移動量を増加させることなく容易に対応することができ、しかも、調整手段によってロッドに対するジョイント部材の軸方向長さを調整することで、その調整作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、ロッドの軸方向に沿った移動量を抑制できるため、例えば、シリンダ装置を圧力流体で駆動させる場合には圧力流体の消費量を、通電作用下に駆動させる場合には電力消費量を低減して省エネルギー化を図ることができると共に、作動時間の短縮化を図れるため作動効率を向上させることが可能となる。
【0012】
また、調整手段は、ロッド又はジョイント部材のいずれか一方の端部に形成されたねじ部と、
ねじ部を有していないロッド又はジョイント部材に形成されねじ部の螺合されるねじ孔と、
ねじ部に螺合されるロックナットと、
を有するとよい。
【0013】
さらに、ロックナットは、螺回させることでねじ部に沿って移動させ、ねじ孔を有したロッド又はジョイント部材の端部に当接させるとよい。
【0014】
さらにまた、シリンダ装置は、シリンダボディの内部に供給される圧力流体によってロッドを軸方向に沿って進退動作させる流体圧シリンダとするとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0016】
すなわち、シリンダ装置において、シリンダボディの外部に露呈したロッドの一端部に、ロッドと同軸となるようにジョイント部材を連結自在に設け、このジョイント部材に、ロッドに対する軸方向長さを調整可能な調整手段を備えることで、例えば、前記ロッドでワーク等の保持や搬送を行う際の作動範囲が変化した場合でも、前記ロッドの移動量を増加させることなく容易に対応することができ、しかも、調整手段によって前記ロッドに対するジョイント部材の軸方向長さを調整することで、その調整作業を容易に行うことができる。また、ロッドの軸方向に沿った移動量を抑制できるため、省エネルギー化及び作動効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るシリンダ装置の全体断面図である。
図2図1のシリンダ装置からジョイント部材及びロックナットを取り外した状態を示す分解断面図である。
図3図2のシリンダ装置を示す分解斜視図である。
図4図4Aは、シリンダ装置の用いられる製造ラインにおいてワークの非保持状態を示す概略構成図であり、図4Bは、図4Aの製造ラインにおいて、ワークを保持した保持状態を示す概略構成図である。
図5図5Aは、ジョイント部材を有していない比較例に係るシリンダ装置が用いられた製造ラインにおいてワークの非保持状態を示す概略構成図であり、図5Bは、図5Aの製造ラインにおいて、ワークを保持した保持状態を示す概略構成図である。
図6】変形例に係るシリンダ装置の全体断面図である。
図7図6のシリンダ装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るシリンダ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るシリンダ装置を示す。
【0019】
このシリンダ装置10は、図1図3に示されるように、筒状に形成されたシリンダチューブ(シリンダボディ)12と、前記シリンダチューブ12の一端部に装着されるヘッドカバー14と、前記シリンダチューブ12の他端部に装着されるロッドカバー16と、前記シリンダチューブ12の内部に変位自在に設けられるピストン18と、前記ピストン18の中心に連結されるピストンロッド(ロッド)20と、前記ピストンロッド20の他端部20aに着脱自在に設けられるジョイント部材22とを含む。
【0020】
なお、ここでは、上述したシリンダ装置10が、図4A及び図4Bに示される製造ラインMにおいてシリンダ装置10の下方の所定距離離間した位置にワークWが載置され、前記ワークWをジョイント部材22によって押圧することで保持する目的で用いられる場合について説明する。
【0021】
このシリンダチューブ12は、図1図3に示されるように、その外周側の一端部及び他端部近傍となる位置にそれぞれ第1ポート24及び第2ポート26が開口し、前記第1及び第2ポート24、26には、例えば、図示しない配管を介して圧力流体の供給状態を切り換える切換装置(図示せず)が接続される。そして、第1ポート24及び第2ポート26のいずれか一方に圧力流体が選択的に供給される。
【0022】
また、シリンダチューブ12の内部には、軸方向(矢印A、B方向)に沿って貫通したシリンダ孔28が形成され、該シリンダ孔28はそれぞれ連通路30を介して第1及び第2ポート24、26と連通している。すなわち、第1及び第2ポート24、26へと供給された圧力流体は連通路30を通じてシリンダ孔28へと導入される。
【0023】
ヘッドカバー14は、例えば、プレート状に形成され、シリンダ孔28の端部に挿入され固定される。これにより、ヘッドカバー14が、シリンダ孔28における一端部近傍に固定され、且つ、前記シリンダ孔28と外部との連通を遮断した状態となる。
【0024】
ロッドカバー16は、シリンダ孔28の他端部側(矢印B方向)から挿入され、シリンダ孔28の内周面に係合された係止リング32によって前記シリンダ孔28の内部に固定される。なお、ロッドカバー16の外周面には環状溝を介してシールリング34が装着され、該シールリング34によってロッドカバー16とシリンダチューブ12との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0025】
また、ロッドカバー16の中心にはロッド孔36が貫通し、ピストンロッド20が変位自在に挿通される。そして、ロッド孔36の内周面に装着されたロッドパッキン38がピストンロッド20の外周面に摺接することでロッドカバー16とピストンロッド20との間を通じた圧力流体の漏出が防止される。
【0026】
ピストン18は、例えば、略円盤状に形成され、その中心にはピストン孔40が形成されピストンロッド20の一端部が挿入され加締められる。これにより、ピストンロッド20の一端部にピストン18が連結される。また、ピストン18の外周面には環状溝を介してピストンパッキン42が装着される。
【0027】
ピストンロッド20は、例えば、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した軸体からなり、その一端部が縮径してピストン18のピストン孔40に挿通された状態で連結され、一方、ピストンロッド20の他端部20a側(矢印B方向)は、ロッドカバー16のロッド孔36に挿通されることで変位自在に支持されると共に、該ロッドカバー16の外側に露呈するように設けられる。この他端部20aの中心には、一端部側(矢印A方向)に向かって所定深さで延在するねじ孔44が形成されている。
【0028】
ジョイント部材22は、例えば、軸方向(矢印A、B方向)に所定長さを有した軸体からなり、略一定径で形成されたロッド部46と、該ロッド部46に対して小径で形成され端部から所定長さだけ延在したねじ部48とを含む。なお、ロッド部46の直径は、例えば、ピストンロッド20の直径と略同等に設定される。
【0029】
ロッド部46の端部には、その中心に軸方向(矢印A、B方向)に所定深さで延在した装着孔50が形成され、図示しない吸着パッド等のアタッチメントを螺合することで装着可能である。
【0030】
ねじ部48には、その外周面に沿って螺旋状にねじが形成され、ピストンロッド20のねじ孔44へ挿入して螺合させることで連結されると共に、前記ねじ孔44に対する螺合量を変化させることで、前記ピストンロッド20の他端部20aに対するジョイント部材22の長さL(図1参照)を自在に調整することが可能となる。
【0031】
詳細には、ジョイント部材22の螺合量を多くするほど、該ジョイント部材22がピストンロッド20側(矢印A方向)へと接近していくため、前記ピストンロッド20に対する(突出)長さLが短くなり、一方、前記螺合量を少なくするほど、前記ジョイント部材22のピストンロッド20側(矢印A方向)への接近量が少なくなるため、前記ピストンロッド20に対する(突出)長さLが長くなる。すなわち、ジョイント部材22の螺合量を変化させることで、ピストンロッド20に対する前記ジョイント部材22の軸方向(矢印A、B方向)に沿った長さを微調整することが可能である。
【0032】
換言すれば、ジョイント部材22のねじ部48は、ピストンロッド20に対する軸方向長さを調整可能な調整手段として機能する。
【0033】
また、ねじ部48には、例えば、断面六角状のロックナット52が螺合されており、前記ロックナット52は、前記ねじ部48に対して螺回させることで該ねじ部48の軸方向(矢印A、B方向)に沿って移動可能である。
【0034】
そして、ピストンロッド20に対してジョイント部材22が連結された状態で、ロックナット52を螺回してピストンロッド20側(矢印A方向)に向かって移動させ、その他端部20aへと当接させることで、前記ピストンロッド20に対するジョイント部材22の相対的な移動が規制される。すなわち、ロックナット52は、ピストンロッド20に対するジョイント部材22の軸方向に沿った相対的な移動を規制するロック手段として機能する。
【0035】
換言すれば、ピストンロッド20に対するジョイント部材22の長さLを設定した後、ロックナット52を前記ピストンロッド20の端面(他端部20a)に当接するまで移動させることで、前記ジョイント部材22の長さが変化してしまうことがなく固定される。
【0036】
本発明の実施の形態に係るシリンダ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にジョイント部材22をピストンロッド20に対して装着する場合について説明する。
【0037】
先ず、図示しない作業者が任意の長さを有したジョイント部材22を選択し、そのねじ部48に対してロックナット52を螺合させた後、ピストンロッド20のねじ孔44へと挿入して螺合させる。そして、ジョイント部材22をピストンロッド20に対して螺回させることで、前記ジョイント部材22が前記ピストンロッド20側(矢印A方向)に向かって接近するように移動して連結される。
【0038】
この際、シリンダ装置10とワークWとの離間距離(図4A及び図4B参照)に応じた長さとなるように、ジョイント部材22を所定方向に回転させ軸方向に沿って移動させることで、ピストンロッド20の他端部20aからジョイント部材22の端部までの長さLを調整する。すなわち、離間距離と長さLとが略同一となるように調整する。
【0039】
具体的には、ジョイント部材22を、ピストンロッド20に対して一方の方向に回転させることで、前記ピストンロッド20に対する長さを長くし、他方の方向に回転させることで、前記ピストンロッド20に対する長さを短くする。
【0040】
次に、ピストンロッド20に対するジョイント部材22の軸方向に沿った長さが予め設定された所望の長さに決まった状態で、ロックナット52を螺回させピストンロッド20の他端部20a側(矢印A方向)へと移動させ該他端部20aへと当接させる。これにより、ピストンロッド20とジョイント部材22との相対的な回転が規制され、前記ジョイント部材22がピストンロッド20の他端部20aに位置決めされた状態で固定される。
【0041】
次に、上述したジョイント部材22の装着されたシリンダ装置10をワークWの製造ラインMに設置して使用する場合の動作について図4A及び図4Bを参照しながら説明する。
【0042】
先ず、この製造ラインMについて簡単に説明する。この製造ラインMは、図4A及び図4Bに示されるように、略水平面からなる載置台Dを下方(矢印B方向)に有し、ワークWの載置される前記載置台Dの上方(矢印A方向)に所定距離だけ離間してシリンダ装置10が設置され、前記シリンダ装置10は、そのピストンロッド20の端部が下方に臨むように設けられている。この高さ方向とは、シリンダ装置10の軸方向(矢印A、B方向)と同一方向である。
【0043】
なお、載置台Dとシリンダ装置10との間の空間Sは、製造ラインMのレイアウト等の制約によって必要とされる空間であり、該空間Sには何ら障害物が設けられていないものとする。
【0044】
すなわち、載置台Dに載置されるワークWと、該ワークWを保持するシリンダ装置10とが所定距離の空間Sを挟んで対峙するように配置される。
【0045】
この製造ラインMにおいて、図4Aに示されるように、ピストン18及びピストンロッド20がワークWから離間した上方へと位置した状態(非保持状態)から、図示しない圧力流体供給源を通じて第1ポート24へと圧力流体が供給されることで、ピストン18がロッドカバー16側(矢印B方向)へと押圧され、それに伴って、ピストンロッド20及びジョイント部材22が下方へと移動する。
【0046】
そして、ピストン18がロッドカバー16に当接するまで移動することで、図4Bに示されるように、ピストンロッド20の他端部20aに連結されたジョイント部材22の端部がワークWの上面に当接して載置台D側(矢印B方向)へと押圧することで、前記ワークWが載置台Dの所定位置において保持される(保持状態)。
【0047】
一方、図4Bに示されるワークWの保持状態を解除する場合には、図示しない切換手段の切換作用下に第1ポート24へ供給されていた圧力流体を第2ポート26へと供給することで、ピストン18がロッドカバー16から離間する方向へと移動し、それに伴って、ピストンロッド20及びジョイント部材22が一体的に上昇する。これにより、図4Aに示されるように、ピストンロッド20によるワークWの保持状態が解除された非保持状態となる。
【0048】
すなわち、ジョイント部材22は、シリンダ装置10のピストン18及びピストンロッド20を下降させた際、ワークWに当接させ保持可能な長さLとなるジョイント部材22が予め選択され装着される。そのため、シリンダ装置10とワークWとの間に設けられた空間Sの高さ方向(矢印A、B方向)に沿った距離に応じてジョイント部材22を適宜選択することで、長さの異なるピストンロッド20を有した別のシリンダ装置へと交換することなく容易に対応可能となる。
【0049】
また、ジョイント部材22をピストンロッド20の他端部20aに設けることなく、図5A及び図5Bに示される従来技術に係るシリンダ装置10Aのように、空間Sに対応した長さのピストンロッド20Aを備える構成とした場合には、前記ピストンロッド20Aを収納するためにシリンダ装置10Aが長手方向(矢印A、B方向)に大型化してしまうと共に、ピストン18Aのストローク量が大きくなることで、消費される圧力流体の消費量が増加し、且つ、作動時間(タクトタイム)が増加してしまうこととなる。これに対して、本実施の形態では、シリンダ装置10を大型化させることなく、且つ、圧力流体の消費量を抑制しつつワークWを確実に保持することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態では、圧力流体の供給作用下にピストン18及びピストンロッド20を軸方向に沿って移動可能なシリンダ装置10において、前記ピストンロッド20の他端部20aに、軸体からなるジョイント部材22を連結自在に設けている。このジョイント部材22を、その軸方向に沿った長さの異なるものへと交換することで、ピストンロッド20の作動範囲が変化した場合でも、該ピストンロッド20の端部位置を自在に変更することが可能である。
【0051】
その結果、シリンダ装置10において、ピストンロッド20の端部を利用して作業を行う際、ジョイント部材22を用いることで同一のシリンダ装置10で交換することなく対応することができるため、その都度別のシリンダ装置へと交換する場合と比較し、設備投資を抑制できると共に、交換作業が生じることがなく好適である。
【0052】
また、シリンダ装置10に必要とされるストローク移動量に応じて所定長さのジョイント部材22を選択して交換することで、ピストンロッド20の長さで対応させる場合と比較し、シリンダチューブ12の長手寸法を大型化させる必要がないため、シリンダ装置10の長手寸法を小型化することができる。
【0053】
さらに、ピストン18のストローク量を抑制できるため、圧力流体の消費量を抑制でき省エネルギー化を図ることができると共に、作動時間の短縮化による作動効率の向上を図ることもできる。
【0054】
さらにまた、ピストンロッド20に対するジョイント部材22の螺合量を変化させることで、前記ピストンロッド20に対する前記ジョイント部材22の軸方向(矢印A、B方向)に沿った(突出)長さLを自在に調整できるため、製造ラインMでシリンダ装置10を設置した後、ワークWまでの距離に応じて容易に微調整して確実に保持することができる。その結果、シリンダ装置10を製造ラインM等に設置した後でも、ワークWの位置に応じてジョイント部材22の軸方向長さを調整できるため、その調整作業が容易となり好適である。
【0055】
さらに、シリンダ装置10は、上述したようにピストンロッド20のねじ孔44にジョイント部材22のねじ部48が螺合されることで連結される場合に限定されるものではなく、例えば、図6及び図7に示されるシリンダ装置60のように、ピストンロッド62の他端部にねじ部64を形成し、ジョイント部材66には、ねじ部48の代わりにねじ孔68を形成するようにしてもよい。このシリンダ装置60では、ジョイント部材66のねじ孔68にピストンロッド62のねじ部64を螺合させることで、前記ピストンロッド62の他端部に前記ジョイント部材66を連結できると共に、前記ピストンロッド62に対する前記ジョイント部材66の螺合量を調整することで、該ジョイント部材66の(突出)長さLを自在に調整することが可能となる。
【0056】
また、上述したシリンダ装置60のジョイント部材66のように、長さの異なる別のジョイント部材へと交換することで、シリンダ装置60とワークWとの間の離間距離に応じて容易に対応させることができる。
【0057】
なお、上述したシリンダ装置10、60に用いられるジョイント部材22、66は、略一定径で形成された軸体に限定されるものではなく、ピストンロッド20、62の他端部に連結可能な構造であれば、特にその形状は限定されるものではない。
【0058】
さらに、上述したシリンダ装置10、60は、圧力流体の供給作用下にピストン18がシリンダチューブ12に沿って移動し、それに伴って、ピストンロッド20、62及びジョイント部材22、66が軸方向に沿って移動可能な流体圧シリンダである場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モータ等の駆動源の駆動作用下にロッドを軸方向に沿って進退動作させる電動式のシリンダ装置であってもよい。
【0059】
なお、本発明に係るシリンダ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
10、10A、60…シリンダ装置 12…シリンダチューブ
18、18A…ピストン 20、20A、62…ピストンロッド
22、66…ジョイント部材 44、68…ねじ孔
46…ロッド部 48、64…ねじ部
50…装着孔 52…ロックナット
M…製造ライン S…空間
W…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7