(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-137780(P2015-137780A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】エンジン作業機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/06 20060101AFI20150703BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/06 Z
F24F13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-8415(P2014-8415)
(22)【出願日】2014年1月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 功雄
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 英樹
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L080BA03
3L080BB02
3L080BE10
3L081AB01
3L081BA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】加工が容易で、かつ、騒音も発生せず、強風時の雨水の侵入を確実に防止できる構造のルーバを通気口に備えたエンジン作業機を提供する
【解決手段】ルーバ27を有する通気口25を側面に備えたケーシングの内部にエンジン及び該エンジンにより駆動される作業機を収容したエンジン作業機であって、ルーバ27は、複数段の羽根板からなる外側ルーバ29及び内側ルーバ30と、該外側ルーバと内側ルーバの中間に設けられる複数段の羽根板からなる中間ルーバ31とで形成される内外3重のルーバ構造を有し、外側ルーバ及び内側ルーバの羽根板33,38は、ケーシングの内側から外側に向かう下り勾配を有する傾斜片と、該傾斜片の上端から鉛直方向上側に屈曲した上部片と、傾斜片の下端から鉛直方向下側に屈曲した下部片とで形成され、中間ルーバの羽根板40は、ケーシングの外側から内側に向う下り勾配を有る傾斜片で形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーバを有する通気口を備えたケーシングの内部にエンジン及び該エンジンにより駆動される作業機を収容したエンジン作業機において、
前記ルーバは、複数段の羽根板からなる外側ルーバ及び内側ルーバと、該外側ルーバと内側ルーバの中間に設けられる複数段の羽根板からなる中間ルーバとで形成される内外3重のルーバ構造を有し、
前記外側ルーバ及び内側ルーバの羽根板は、ケーシングの内側から外側に向かう下り勾配を有する傾斜片と、該傾斜片の上端から鉛直方向上側に屈曲した上部片と、前記傾斜片の下端から鉛直方向下側に屈曲した下部片とで形成され、
前記中間ルーバの羽根板は、ケーシングの外側から内側に向う下り勾配を有する傾斜片で形成されている
ことを特徴とするエンジン作業機。
【請求項2】
前記外側ルーバの段数と前記内側ルーバの段数とは同数であり、前記中間ルーバの段数は前記外側ルーバ及び内側ルーバの段数よりも多いことを特徴とする請求項1記載のエンジン作業機
【請求項3】
前記内側ルーバの羽根板の下部片の下端が、対応する前記外側ルーバの羽根板の下部片の下端より低く、該対応する羽根板より一段下の羽根板の上部片の上端よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項2記載のエンジン作業機。
【請求項4】
前記外側ルーバ及び内側ルーバの各段の羽根板の傾斜片の傾斜角と、前記中間ルーバの各段の羽根板の傾斜片の傾斜角とが直交していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のエンジン作業機。
【請求項5】
前記通気口が点検扉に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のエンジン作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン作業機に関し、詳しくは、エンジン及び作業機を収容するケーシングの側面にルーバを有する通気口を備えたエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で使用されることが多い可搬式のエンジン作業機では、ケーシングの通気口に雨天の際に雨水が侵入することを防止するためルーバを有している。通常の風雨による雨水だけでなく、強風時の雨水の侵入を確実に防ぐとともに、エンジン音が外部に漏れないようにするためのルーバとして、外部ルーバと内部ルーバとの二層から形成され、外部ルーバの羽根板と内部ルーバの羽根板とでV字状の通気路を形成した構造が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−67989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のルーバの構造では、外部ルーバの羽根板と内部ルーバの羽根板の形状が複雑でそれぞれ異なることから加工コストがかかる。また、V字状の通気路を風が通る際に、流れ抵抗が大きくなり、騒音が高くなってしまう傾向があった。
【0005】
そこで本発明は、加工が容易で、かつ、騒音も発生せず、強風時の雨水の侵入を確実に防止できる構造のルーバを通気口に備えたエンジン作業機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン作業機は、ルーバを有する通気口を備えたケーシングの内部にエンジン及び該エンジンにより駆動される作業機を収容したエンジン作業機において、前記ルーバは、複数段の羽根板からなる外側ルーバ及び内側ルーバと、該外側ルーバと内側ルーバの中間に設けられる複数段の羽根板からなる中間ルーバとで形成される内外3重のルーバ構造を有し、前記外側ルーバ及び内側ルーバの羽根板は、ケーシングの内側から外側に向かう下り勾配を有する傾斜片と、該傾斜片の上端から鉛直方向上側に屈曲した上部片と、前記傾斜片の下端から鉛直方向下側に屈曲した下部片とで形成され、前記中間ルーバの羽根板は、ケーシングの外側から内側に向う下り勾配を有する傾斜片で形成されていることを特徴としている。
【0007】
また、前記外側ルーバの段数と前記内側ルーバの段数とは同数であり、前記中間ルーバの段数は前記外側ルーバ及び内側ルーバの段数よりも多いことを特徴としている。さらに、前記内側ルーバの羽根板の下部片の下端が、対応する前記外側ルーバの羽根板の下部片の下端より低く、該対応する羽根板より一段下の羽根板の上部片の上端よりも高い位置に設けられていることを特徴としている。そして、前記外側ルーバ及び内側ルーバの各段の羽根板の傾斜片の傾斜角と、前記中間ルーバの各段の羽根板の傾斜片の傾斜角とが直交していることが好ましく、前記通気口が点検扉に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエンジン作業機によれば、中間ルーバを含めて各ルーバの形状がシンプルであることからレーザ加工等で容易に形成することができる。また、3重構造にすることにより、横殴りのような雨であっても、雨水と空気とを確実に分離し、ケーシング内への雨水の侵入を防ぐことができる。さらに、空気の流れ抵抗を極力抑えることができ、騒音も発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のエンジン作業機の一形態例を示す正面図である。
【
図3】本発明のエンジン作業機の一形態例を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至
図6は、本発明のエンジン作業機の一形態例を示すもので、エンジン作業機10は、台枠11の上に設けられたケーシング12の内部に、発電機13、該発電機13を駆動するエンジン14、配電盤15、燃料タンク16、ラジエーター17やラジエーターファン18といった機器を収容している。また、台枠11の内部には、オイルガード19が形成される。ケーシング12の上部には、排気管20につながるマフラー21を覆うマフラーカバー22が設けられている。
【0011】
ケーシング12の側面には、エンジン13等の保守作業を行う点検扉23や、配電盤15等を操作するための作業扉24が設けられている。ケーシング12の右側面12aや点検扉23には、ケーシング12の内部に冷却用及び燃焼用の空気を取り入れるための通気口25,26がそれぞれ設けられる。さらに、該通気口25,26は、吸い込んだ空気に同伴された雨水と空気とを分離し、ケーシング内への雨水の侵入を防ぐルーバ27,28を有している。
【0012】
ルーバ27の構造について、
図2を用いて説明する。
図2において左側がケーシング12の外側、右側が内側となる。ルーバ27は、外側ルーバ29と、内部側に間隔を置いて配設された内側ルーバ30と、該外側ルーバ29と内側ルーバ30との間に設けられた中間ルーバ31とで形成される内外3重の構造となっている。
【0013】
外側ルーバ29は、上枠32と両側の縦枠から形成される枠体と、該枠体の両縦枠間に取り付けられた14段からなる羽根板33とを備えている。各羽根板33は、ケーシング12の内側から外側に向かう下り勾配を有する傾斜片33aと、該傾斜片33aの上端から鉛直方向上側に屈曲した上部片33bと、前記傾斜片の下端から鉛直方向下側に屈曲した下部片33cとで形成されている。また枠体のケーシング外側の四周縁には、該四周縁から外側に広がる取付フランジ34が、ケーシング内側の四周縁には、該四周縁から内側に広がる取付フランジ35が形成されている。また、最下段の羽根板33の下には、取付フランジ34の下側片から連続する水切板36が形成されている。水切板36は、羽根板33の傾斜片33aと上部片33bと同様の形状となっている。
【0014】
また、内側ルーバ30は、上枠37と両側の縦枠から形成される枠体と、該枠体の両縦枠間に取り付けられた14段からなる羽根板38とを備えている。各羽根板38は、ケーシング12の内側から外側に向かう下り勾配を有する傾斜片38aと、該傾斜片38aの上端から鉛直方向上側に屈曲した上部片38bと、前記傾斜片の下端から鉛直方向下側に屈曲した下部片38cとで形成されており、外側ルーバ29の羽根板33と同形状、同サイズである。ただし、最上段の羽根板38は、上板37から連続して形成されている。また、内部ルーバ30の枠体のケーシング外側(外側ルーバ側)の四周縁には、取付フランジ35に対応した該四周縁から外側に広がる取付フランジ39が形成されている。
【0015】
中間ルーバ31については、27段からなる羽根板40で形成されており、各羽根板40の両端は、内側ルーバ30の枠体の縦枠に取り付けられている。各羽根板40は、ケーシングの外側から内側に向う下り勾配を有る傾斜片のみで形成されており、この傾斜片の傾斜角と外側ルーバ29の傾斜片33a(内側ルーバ30の傾斜片38b)の傾斜角とは略直交する関係となっている。また、中間ルーバ31の羽根板40の段数は、外側ルーバ29及び内側ルーバ30の段数よりも略2倍の段数を有している。また、中間ルーバ31の羽根板40は、羽根板33,38に比べて、幅狭に形成されている。
外側ルーバ29の水切板36の上端と連続する連結片42と内側ルーバ30の最下段の羽根板38の下部傾斜片38cに連続する連結片43とを重ねるようにして、外側ルーバ29の取付フランジ35と内側ルーバ30の取付フランジ39とを複数のボルト41によって固定することで、外側ルーバ29、内側ルーバ30、中間ルーバ31とが一体となり、ルーバ27として構成される。また、外側ルーバのフランジ枠34と点検扉23のパネル面とを複数のボルト44により固定することで、ルーバ27が通気口25に取り付けられる。
【0016】
ここで、内側ルーバ30の羽根板38の下部片38cの下端(
図2のP1)が、対応する外側ルーバ29の羽根板33の下部片33cの下端(
図2のP2)より低く、該対応する羽根板33より一段下の羽根板33の上部片33aの上端(
図2のP3)よりも高い位置に設けられている。
【0017】
上述のような構成のルーバを通気口に設けることにより、中間ルーバの段数が外側ルーバ及び内側ルーバの段数の2倍あることから、空気の吹き抜けが防止され、横殴りのような雨であっても、ルーバ内を通過する空気は蛇行しながらケーシング内に取り込まれるが、該空気に同伴された雨水については各羽根板の存在によって分離され、ケーシング内への雨水の侵入を防ぐことができる。外側ルーバ29より内側で分離された雨水は、中間ルーバ31の羽根板40の傾斜や内側ルーバ30の羽根板38の傾斜片38aの傾斜によって、下側に滴下され、最終的には水切板36を介して外部に排出される。また、このような構成とすることにより、空気の流れ抵抗を極力抑えることができ、吸気時の騒音が発生しにくくなる。中間ルーバの羽根板を外側ルーバ及び内側ルーバの羽根板よりも幅狭に形成していることから、ルーバ全体の見込寸法を小さくすることができる。
【0018】
ルーバ28の構造についても、ルーバ27と比べて羽根板の段数が異なるが、同様の構造となっている。
【0019】
なお、本形態例では、本発明のルーバを吸気用の通気口に適用しているが、排気用、換気用の通気口に適用することができる。また、本形態例でのエンジン作業機は、作業機として発電機を搭載しているが、コンプレッサや油圧ユニット等の各種作業機を搭載することができる。
【符号の説明】
【0020】
10…エンジン作業機、11…台枠、12…ケーシング、13…発電機、14…エンジン、15…配電盤、16…燃料タンク、17…ラジエーター、18…ラジエーターファン、
19…オイルガード、20…排気管、21…マフラー、22…マフラーカバー、23…点検扉、24…作業扉、25,26…通気口、27,28…ルーバ,29…外側ルーバ、30…内側ルーバ、31…中間ルーバ、32,37…上板、33…羽根板、33a,38a…傾斜片、33b,38b…上部片、33c,38c…下部片、34,35,39…取付フランジ、36…水切板、40…羽根板、41,44…ボルト,42,43…連結片