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特開2015-1379路面および構造物表面状況モニタリングセンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-1379(P2015-1379A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】路面および構造物表面状況モニタリングセンサー
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20141202BHJP
   G01B 15/02 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
   G01B11/06 Z
   G01B15/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-124336(P2013-124336)
(22)【出願日】2013年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】独立行政法人 宇宙航空研究開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】504238806
【氏名又は名称】国立大学法人北見工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】神田 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 修平
(72)【発明者】
【氏名】大前 宏和
(72)【発明者】
【氏名】三宅 俊子
【テーマコード(参考)】
2F065
2F067
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065GG04
2F065GG07
2F065HH03
2F065HH15
2F065JJ01
2F065JJ08
2F065JJ15
2F067AA27
2F067DD10
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK06
2F067NN10
2F067RR24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積雪量に応じた装置の位置調整が不要であって、道路や滑走路に設置しても障害物とならない形態である路面及び構造物表面の状況をモニタリングする装置を提供する。
【解決手段】構造物表面状況モニタリングセンサーは、路面または構造物表面に位置を合わせた電磁波透過性の窓3を設け、窓3の内部に電磁波の発信装置1を路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、傾斜軸の延長線上であって発信装置1と受信装置2が窓3を介して対となるように窓3の外部に電磁波の受信装置2を配置するものとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面または構造物表面に位置を合わせた電磁波透過性の窓を設け、該窓の内部に電磁波の発信装置又は受信装置を前記路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、該傾斜軸の延長線上であって発信装置と受信装置が前記窓を介して対となるように前記窓の外部に電磁波の受信装置又は発信装置を配置した路面および構造物表面状況モニタリングセンサー。
【請求項2】
路面または構造物表面に位置を合わせた電磁波透過性の窓を設け、該窓の内部に電磁波の送受波装置又は電磁波の反射装置を前記路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、該傾斜軸の延長線上であって前記送受波装置と前記窓を介して対峙するように前記窓の外部に電磁波の反射装置又は電磁波の送受波装置を配置した路面および構造物表面状況モニタリングセンサー。
【請求項3】
前記対となる電磁波の発信装置と受信装置は、複数対設置されたものである請求項1または2に記載の路面および構造物表面状況モニタリングセンサー。
【請求項4】
前記電磁波には光を用いると共に平行光化するための凸レンズを設置するものとした請求項1乃至3のいずれかに記載の路面および構造物表面状況モニタリングセンサー。
【請求項5】
前記発信装置及び受信装置の取付は両者間の距離・角度を調整できる機構を備え、電磁波の透過分布を計測可能としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の路面および構造物表面状況モニタリングセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路面および構造物表面における状況をモニタリングする装置、特に積雪量や着氷・着雪等の状況をモニターする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路面や滑走路面の着氷・着雪状態をモニタリングすることは、交通安全の管理上、重要事項である。道路の安全管理を目的として、道路面上の積雪の深さを外部からの超音波の反射を利用して計測する技術は従来から公知である。既知の三次元位置に発信機と受信機を設置し、発信機からの超音波を積雪面で反射させ、その反射波を受信機で受信し反射面の位置を検知するというものである。伝搬時間から算出するものや三角測量の原理を用いたものなどがある。また同様に外部からマイクロ波や光といった電磁波を利用して積雪等の状態を計測する技術も存在している。
【0003】
外部(道路上方等)で既知の高さ、既知の間隔に発信機や受信機といったモニタリング装置を設置する場合、雪面状態を光や電磁波の雪面での反射で捉えようとすると、積雪量により反射位置が変化してしまい、発信機と受信機を所定間隔で固定設置したタイプでは計測ができないか精度が落ちる問題が、また発信機と受信機設置角度を調整可能としたものであっても、積雪量に応じて発信機・受信機の方向を調整する機構を備える必要がある。
特許文献1に示されるような路面から所定高さに超音波送受波機を設置して、積雪面で反射させ伝搬時間から積雪量を検知するものもあり、このタイプのものは積雪量に応じて設置角度を調整する必要はないが、取付にはポールとアームといった支持機構が必要である。しかし、空港の滑走路では、航空機の離着陸の安全性に影響を与えるため、滑走路上に障害物となるモニタリング装置を設置することができないといった問題がある。
【0004】
また、積雪計ではないがマイクロ波や光といった電磁波を被測定体に照射し、その透過量を検出して該被測定体の厚みを測る技術も公知である。特許文献2の「透過散乱光による厚さの測定方法及び測定装置」は、少なくとも測定部分において均質又は略均質で厚さ未知の被測定物体に対し、その測定部分の厚さを測定する非接触型の測定方法及び測定装置の提供を課題としたもので、その課題を達成するために、均質で既知の均一厚さを有する物体を平坦に配置し、該物体の表面側の所定位置に配置したレーザ発振装置から発振されるレーザ光線を前記物体に対して前記物体の厚さ方向に照射し、前記物体を透過中に散乱した前記レーザ光線の透過散乱光を、前記物体の裏面側の所定位置に直線配置した前記レーザ光線用の受光素子アレイで受光して、前記透過散乱光の強度分布を測定し、該強度分布から該強度分布内における所定位置での分布幅を計測し、該分布幅の計測を、既知厚さがそれぞれ異なる複数の前記物体に対して行なって、計測した各物体の分布幅と各物体の既知厚さとの相関関係から、前記物体の厚さを、前記物体の分布幅を変数とする関数として算出し、更に、前記分布幅の計測を、被測定物体における前記物体と同質で厚さ未知の測定部分に対して行ない、計測した前記測定部分の分布幅を前記関数の変数に代入して前記関数を計算し、この計算結果から前記被測定物体における前記測定部分の厚さを測定する、という構成を採用している。それによって、被測定物体における均質で厚さ未知の測定部分に対して該測定部分の厚さ方向にレーザ光線を照射し、該測定部分を透過したレーザ光線の透過散乱光をレーザ光線用の受光素子アレイで受光することによって、被測定物体における測定部分の厚さを測定部分に非接触で測定することができる、という効果を奏する。
しかし、この「透過散乱光による厚さの測定方法及び測定装置」は、被測定体として均質又は略均質で厚さ未知の合成樹脂板・合成樹脂製フィルム・発泡ポリエチレンシート等の個体を想定したものであり、この装置を路面の積雪計や構造物着氷・着雪状況検知等に応用することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−186060号公報 「超音波式積雪計」 平成10年7月14日公開
【特許文献2】特開平7−113618号公報 「透過散乱光による厚さの測定方法及び測定装置」 平成7年5月2日公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決すること、すなわち、積雪量に応じた装置の位置調整が不要であって、道路や滑走路に設置しても障害物とならない形態である路面及び構造物表面の状況をモニタリングする装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、路面または構造物表面に位置を合わせた電磁波透過性の窓を設け、該窓の内部に電磁波の発信装置又は受信装置を前記路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、該傾斜軸の延長線上であって発信装置と受信装置が前記窓を介して対となるように前記窓の外部に電磁波の受信装置又は発信装置を配置するものとした。
【0008】
本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーの他の形態は、路面または構造物表面に位置を合わせた電磁波透過性の窓を設け、該窓の内部に電磁波の送受波装置又は電磁波の反射装置を前記路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、該傾斜軸の延長線上であって前記送受波装置と前記窓を介して対峙するように前記窓の外部に電磁波の反射装置又は電磁波の送受波装置を配置するようにした。
【0009】
本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーの前記対となる電磁波の発信装置と受信装置は、複数対設置されたものとした。
また、本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーの1形態では、前記電磁波には光を用いると共に平行光化するための凸レンズを設置するものとした。
また、本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーの1形態では、電磁波の透過分布を計測可能とために、前記発信装置及び受信装置の取付は両者間の距離・角度を調整できる機構を備えるものとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、路面または構造物表面に電磁波透過性の窓を設け、該窓の内部に一方の装置を前記路面または構造物表面に対して傾斜させて設置し、該傾斜軸の延長線上であって他方の装置が前記窓を介して対となるように前記窓の外部に配置するという構成を採っているので、測定対象の厚みが変化しても電磁波の伝搬経路を外れることなく装置の位置調整が不要である。また、前記装置は路面または構造物表面に対して傾斜させて設置しているので、外部設置の装置は路幅の外側に配置することが出来、車両や航空機の障害物となることがない。
【0011】
対となる電磁波の発信装置と受信装置が複数対設置される形態を採った本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、複数の検出値を得ることができるので、測定精度がよいものが得られる。
また、前記電磁波に光を用い、さらに平行光化するための凸レンズを設置するものとした本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、適切な強度で指向性を有する電磁波を作りだし、透過電磁波の量を計測することで着水・着雪状態をモニタリングすることが可能となった。
また、電磁波の透過分布を計測可能とするために、前記発信装置及び受信装置の取付は両者間の距離・角度を調整できる機構を備える本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、測定対象の検出位置を変えることが出来るのでその分布状態が測定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の基本構成を示す図である。
図2】積雪の放射伝達モデルのデータをグラフに示したものである。
図3】電磁波送信装置にLED光源を用いた実施形態を示した図である。
図4】実験用装置を斜め上方から撮影した写真である。
図5】実験用装置を斜め下方から撮影した写真である。
図6】雪厚及び光を照射する角度と受光光量との関係を示すデータのグラフである。
図7】本発明の変形実施例を示す図である。
図8】本発明を空港の滑走路の適用した実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の基本構成について図1を参照しながら説明する。図中1は電磁波の発信装置、2が電磁波の受信装置であり、3は電磁波を透過する物性を持った素材から成る窓である。発信装置1は窓の内側、すなわち、路面や構造物の内部空間4に配置され、路面や構造物表面に対して傾斜角を以て設置される。発信装置1からの電磁波は窓3を介して路面や構造物の外側に設置されている受信装置2に向け発信される。発信装置1の発信方向と受信装置2の受信方向は同一線上に設置される。図1は本発明の基本構成をユニット化して示している。窓3の外側に物質が存在すると窓3の表面と受信装置2に至る伝搬経路に存在する物質の量に応じて電磁波が減衰し透過されて、受信装置2に受信されることになる。この減衰量を検出し、その検出量から物質の量を測定する原理である。減衰量は物質が存在しないときの受信信号強度と存在した時の受信信号強度との差として検知できる。その物質が均質であるならば、減衰量はその物質の厚みに対応するものとなる。この物質が積雪であれば積雪量に応じた減衰量がこのシステムから得られる。
【0014】
上記の電磁波には電波や光、具体的にはマイクロ波、ミリ波、レーザー光、LED光等が用いられる。道路や滑走路といった路面に本発明のシステムを設置するには窓3の外側表面を路面レベルに合わせ、発信装置3が配置される内部空間4を路面下に埋め込む。受信装置2は地上に設置しなければならないが、車両や航空機の障害物とならないように路脇に設置する必要があるため、窓3と内部空間4は路端に配置する。なお、発信装置および受信装置は対である必要があるが、1台ずつでも複数であっても構わない。数が多ければ位置の偏りや器差による誤差を少なくして測定精度を高めることが出来るし、分布を測定することも出来る。また電波と光を用いた異なるタイプのシステムを組み合わせたものであっても良い。
【0015】
積雪量を電磁波の透過量で計測することはこれまで十分な研究がなされていない。電磁波が物質を介して伝搬する現象において反射と透過は相反する現象であり、これに吸収という現象が重畳する。雪を測定対象とした場合、粒子群的意味合いもあり、1つの雪結晶での反射波は近接する雪結晶で再反射して受信信号に加算される現象もあり、完璧な解析を得ることは困難であるが、積雪量と電磁波の透過量との関係を得ることを試みた。
【0016】
積雪の放射伝達モデルに基づけば、アルベド(入射電磁波に対する反射電磁波の比)は波長によって変化することが知られている。図2は積雪の放射伝達モデルを示すグラフである。図中の粒子径re=50μmは新雪に相当、1000μmはざらめ雪に相当するものであるが、その間にある100μmと200μmの粒子を加え4種の雪についてデータをとっている。縦軸はアルベドであり、横軸は波長(μm単位)である。このデータにより、透過する電磁波の量は、雪質と波長に対して大きく変化すると言える。つまり雪厚と雪質は、電磁波の波長に対する透過電磁波の強度の関係から算出が可能であるといえる。言い換えれば、透過電磁波の強度から雪厚(積雪量)を測定するには雪質の評価が必要と言うことでもある。
【0017】
ただし、電磁波の透過量を検知するためには適切な電磁波強度と指向性を確保する必要がある。電磁波としてレーザー光のように指向性が高い電磁波を使用しても、強度が弱いと雪水に吸収される他、散乱してしまうことで、電磁波が透過できないという問題がある。LEDの光は電磁波強度が高いが電磁波が散乱してしまう問題があった。そこで強度を強くした場合強度が強すぎても、透過強度の割合が(散乱強度+吸収強度)に対し大きくなりすぎ、透過光の変化を捉えることが難しくなるとの知見を得た。
【0018】
そこで 本発明者らは、LED光を光源に用いさらにこの光束を平行光化するための凸レンズを設置することで、適切な強度で指向性を有する電磁波を作りだすことに想到した。発信装置の口径から数10cm径のレンズが必要であるため、大型化を避けるべくフレネルレンズを用いることにした。図3乃至図5に示すシステムで積雪を計測する実験を行った。図3に示すように発信装置としてLED光源1Aを用い、その前方にフレネルレンズ8を配置し、照射光束を平行化した。窓にはガラスを用いるものとし、該窓を介してLED光源1Aと対向する位置に光検知器2Aを配置する基本構成である。前記窓は単なる平板の硝子板ではなく、図4に示されるように雪を載置できるべく水槽3Gを用いた。この図からガラス製の水槽3Gと光検知器2Aを設置した様子が見て取れる。LED光源1Aと光検知器2Aは向き合つて一体化して回転でき、その回転角度を手動で変更できる機構を備えている。図5から水槽3Gの下方部分そしてLED光源1Aの配置が分かる。
【0019】
−20℃に調温された実験室中で、この実験装置の水槽3G内に10mm、20mm、35mm、65mmの厚さの新雪を積み込んでそれぞれの透過光量を測定した。水槽下部からLEDを照射し、その透過光の強度を計測した。またLED光源1A・光検知器2Aの角度を機構を用いて順次変化させ、透過光強度の分布を併せて計測した。その計測結果を図6に示す。雪厚が増えるに従って透過光量が減少すること、傾斜角度に関わらず測定が可能であるが、LED光源1A・光検知器2Aの光軸が水平から80°近傍で最も検出感度がよいことが確認できた。
【実施例】
【0020】
本発明のシステムを空港の滑走路に設置した実施例を図8に示す。受信装置2は地上に設置しなければならないが、航空機の障害物とならないように滑走路脇に設置する必要があるため、窓3と内部空間は滑走路5の両サイド近傍に配置し、発信装置1が配置される内部空間を滑走路面下に埋め込む窓の外側表面を滑走路面レベルに合わせる。この位置に配置すれば航空機の車輪が本システムの窓の上を走行することはまず無いが、高い機械的強度を持つ強化硝子を用いることが望ましい。滑走路5には長手方向に複数組の本システムを配置し、積雪分布や平均積雪量を把握することが出来る。
また、滑走路の場合、一般道路と異なり、常に整備の手が行き届いている環境であることから、雪質については新雪を想定することが出来るので、雪質による補正を加える必要はなく、計測は単純であり精度は確保される。
【0021】
本明細書ではシステム構成として内部空間に発信装置が外部に受信装置が配置されるものとして説明してきたが、要は被測定体の層と窓を挟んで両装置が対峙して配置され、電磁波が送受信されればよく、この構成に限られず発信装置が外部に受信装置内部に逆配置される形態であってもよい。また、更なる変形例として電磁波の送受信装置と電磁波の反射鏡とが内部空間と外部に配置され、その間を電磁波が往復する形態であってもよい。図7に示した実施例はLED光源1Aが中心にその周囲に受光素子2Aが環状に配置された光送受信装置6で、この装置が内部空間に設置され、窓3を通して該装置6の光軸の延長線上の外部位置に反射鏡7が配置された構成となっている。この実施例では光送受信装置6のLED光源1Aから照射された光束が窓3とその上の被試験体(雪層)10を透過して反射鏡7に至り、該反射鏡7で反射された光は再び被試験体(雪層)10と窓3を透過して光送受信装置6の受光素子2Aで受光され、往復路の透過による減衰量が測定される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の路面および構造物表面状況モニタリングセンサーは、交通分野では一般道路に設置して積雪に基づく道路管理に、航空分野では滑走路に設置して積雪に基づく滑走路管理、機体の着氷・着雪状態の検知に、また、建築分野では極寒地の建築物の着氷・着雪状態の検知に使用することが出来る。また、本発明における電磁波の透過量は雪厚の他雪質にも依存するものであるから、所定厚さの雪層をサンプルとして雪質の判定に使用することも出来る。
【符号の説明】
【0023】
1 電磁波発信装置 2 電磁波受信装置
1A 光送信装置(LED光源) 2A 光受信装置
3 窓 4 内部空間
5 滑走路 6 光送受波器
7 反射鏡 8 フレネルレンズ
3G 水槽 10 雪層
図1
図2
図3
図6
図7
図8
図4
図5