(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-138034(P2015-138034A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】適応慣性測定システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01C 19/64 20060101AFI20150703BHJP
【FI】
G01C19/64 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-9339(P2015-9339)
(22)【出願日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】14/161,270
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】503178185
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】NORTHROP GRUMMAN SYSTEMS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エイ.タザルテス
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エイチ.ボルク
【テーマコード(参考)】
2F105
【Fターム(参考)】
2F105BB01
2F105BB17
2F105DD01
2F105DE25
2F105DF07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適応制御ループ調整が可能な慣性測定システムを提供する。
【解決手段】制御システム100が、慣性測定ユニット110のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループ130を動作させるプロセッサ140を含み、1つ又は複数の制御ループ130のそれぞれは、各制御ループ130のそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する。動的ループ調整装置120が、環境入力データ150を受信して慣性測定ユニット110の環境条件を決定する。動的ループ調整装置120は、決定された環境条件に基づいて、プロセッサ140によって動作される1つ又は複数の制御ループ130の少なくとも1つのために設定点の少なくとも1つを変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムであって、
慣性測定ユニットのジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを動作させるプロセッサであって、前記1つ又は複数の制御ループのそれぞれが、前記各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する、前記プロセッサと、
環境入力データを受信して前記慣性測定ユニットの環境条件を決定する動的ループ調整装置であって、決定された環境条件に基づいて、前記プロセッサによって動作される前記1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する前記一連の設定点の少なくとも1つを変更する前記動的ループ調整装置とを備える制御システム。
【請求項2】
前記動的ループ調整装置は、
前記決定された環境条件に基づいて前記1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する前記一連の設定点の少なくとも1つを変更するための設定点調整コマンドを前記プロセッサに発行する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
遠隔データソースから外部データとして慣性測定ユニットに対する環境入力データを受信するインターフェイスを更に備える、請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記外部データは、
前記慣性測定ユニットの振動事象、衝撃事象、圧力変化事象、湿度変化事象、又は温度変化事象に関する情報を含む、請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記慣性測定ユニットの環境条件を感知する感知回路を更に含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記感知回路は、
前記慣性測定ユニット上の加速度センサ、前記慣性測定ユニット上の振動センサ、前記慣性測定ユニット上の温度センサ、及び前記プロセッサの前記1つ又は複数の制御ループを監視するアナログ回路からの出力値の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記慣性測定ユニットの角運動を表す変調された光信号を生成する光ファイバジャイロスコープ回路と、
前記光ファイバジャイロスコープ回路からの前記変調された出力信号を前記慣性測定ユニットの前記角運動を表す電気信号に変換する光受信機と、
前記光受信機からの前記電気信号を前記プロセッサのデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(A/D)とをさらに備え、
前記プロセッサが、前記光受信機の電気信号利得を制御する自動利得制御(AGC)ループを用い、前記慣性測定ユニットの1つ又は複数の回路における電気的オフセットを制御するオフセット制御ループを用い、且つ前記光ファイバジャイロスコープ回路からの前記変調された光信号の感度情報を追跡する位相変調器スケールファクタループを用いる、請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記環境条件の決定されたより高いダイナミクスに基づき、前記オフセット制御ループ又は前記位相変調器スケールファクタループに対して、出力データの変化を遅延させるか又はデータをその最後の状態に保持する、前記プロセッサによって動作される動的補助制御ループを更に含む、請求項7に記載の制御システム。
【請求項9】
変調度が、前記環境条件に基づいて前記プロセッサにより前記位相変調器スケールファクタループにおいて変更される、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記プロセッサが、デジタル利得係数及びアナログ利得係数に従い、前記環境条件に基づいて、前記自動利得制御ループの利得を調整し、
低動的条件中に、前記アナログ利得係数が増加され、且つ前記デジタル利得係数が低減されて前記A/Dの感度を向上させるか、又は高動的条件中に、前記アナログ利得係数が低減され、且つ前記デジタル利得係数が増加されて前記A/Dの飽和を軽減する、請求項7に記載の制御システム。
【請求項11】
前記プロセッサと協働して、前記1つ又は複数の制御ループを監視又は制御する検出アレイを更に含む、請求項7に記載の制御システム。
【請求項12】
前記慣性測定ユニットにおける1つ又は複数の回路の電気的オフセットを補正するオフセット補正モジュールと、
前記慣性測定ユニットにおける前記1つ又は複数の回路の前記電気的オフセットを検出するオフセット検出モジュールと、
前記位相変調器スケールファクタループにおけるスケールファクタオフセットを検出するスケールファクタ検出モジュールと、
前記光ファイバジャイロスコープ回路の変調速度を制御する速度ループモジュールと、
前記速度ループモジュールからのコマンドに基づいて、変調出力シーケンスを生成する変調モジュールと、
前記変調モジュールからの前記変調出力シーケンスを表すデジタルコマンドを生成する位相変調器モジュールと、
前記光ファイバジャイロスコープ回路の角運動を決定するΔθ集積モジュールと、
前記自動利得制御ループの利得誤差を決定する利得誤差検出モジュールと、を更に備える、請求項11に記載の制御システム。
【請求項13】
システムであって、
慣性測定ユニットのジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを動作させるプロセッサであって、前記1つ又は複数の制御ループのそれぞれが、前記各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する、前記プロセッサと、
環境入力データを受信して前記慣性測定ユニットの環境条件を決定する動的ループ調整装置であって、決定された環境条件に基づいて、前記プロセッサによって動作される前記1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つのために前記一連の設定点の少なくとも1つを変更する動的ループ調整装置と、
前記慣性測定ユニットの角運動を表す変調された光信号を生成する光ファイバジャイロスコープ回路と、
前記光ファイバジャイロスコープ回路からの前記変調された出力信号を、前記慣性測定ユニットの前記角運動を表す電気信号に変換する光受信機と、
前記光受信機からの前記電気信号を前記プロセッサのデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器(A/D)とを備え、
前記プロセッサが、前記光受信機の電気信号利得を制御する自動利得制御(AGC)ループを用い、前記慣性測定ユニットの1つ又は複数の回路における電気的オフセットを制御するオフセット制御ループを用い、且つ前記光ファイバジャイロスコープ回路からの前記変調された光信号の感度情報を追跡する位相変調器スケールファクタループを用いる、システム。
【請求項14】
遠隔データソースから外部データとして前記慣性測定ユニットに対する前記環境入力データを受信するインターフェイスを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記慣性測定ユニットの前記環境条件を感知する感知回路を更に備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記環境条件の決定されたより高いダイナミクスに基づき、前記オフセット制御ループ又は前記位相変調器スケールファクタループに対して、出力データの変化を遅延させるか又はデータをその最後の状態に保持する、前記プロセッサによって動作される動的補助制御ループを更に含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、デジタル利得係数及びアナログ利得係数に従い、前記環境条件に基づいて、前記自動利得制御ループの利得を調整し、
低動的条件中に、前記アナログ利得係数が増加され、且つ前記デジタル利得係数が低減されて前記A/Dの感度を向上させるか、又は高動的条件中に、前記アナログ利得係数が低減され、且つ前記デジタル利得係数が増加されて前記A/Dの飽和を軽減させる、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
方法であって、
慣性測定ユニット(IMU)のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループをプロセッサによって実行することであって、前記1つ又は複数の制御ループのそれぞれが、前記各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作すること、
前記慣性測定ユニットの動的条件に関する環境データを前記プロセッサによって受信すること、
受信された環境データに基づいて、前記動的条件が、前記慣性測定ユニットの所定の閾値を超えるかどうかを前記プロセッサによって決定すること、
前記動的条件が前記所定の閾値を超える場合に、前記1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する前記一連の設定点の少なくとも1つを前記プロセッサによって調整することを備える、方法。
【請求項19】
遠隔データソースから前記環境データを前記プロセッサによって受信すること、又は前記慣性測定ユニットに関連するセンサから前記環境データを受信することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記動的条件に基づいて、自動利得制御(AGC)ループ、オフセットループ、又は位相変調器スケールファクタループの少なくとも1つを前記プロセッサによって調整することを更に備え、
前記自動利得制御ループの利得が、デジタル利得係数及びアナログ利得係数に従って調整されて、低動的条件中に、前記アナログ利得係数が増加され、且つ前記デジタル利得係数が低減されるか、又は高動的条件中に、前記アナログ利得係数が低減され、且つ前記デジタル利得係数が増加される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)に関し、特に、IMUの環境条件に基づいて適応制御ループ調整を用いるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慣性測定ユニット(IMU)は、典型的には、角運動感知の3つの軸、及び加速度感知の3つの軸を含む。角運動は、ジャイロスコープによって測定され、加速度は、直線加速度計によって測定される。IMUは、例えば、安定性、飛行誘導、及びナビゲーションを含む様々な用途のために使用される。IMUに対する要求は、厳しくなる可能性がある。ユニットは、典型的には、静的環境から、高回転速度、高加速度、並びに高レベルの振動及び衝撃を含む極めて動的な環境にわたる環境において動作しながら、非常に小さい量を正確に感知できる必要がある。IMU並びに特にジャイロスコープ及び加速度計は、この全環境範囲を通して動作するように典型的には設計される。しかしながら、これは、環境範囲にわたる最適動作に十分には対処できない多くの設計上の妥協を伴う。
【0003】
単一軸光ファイバジャイロスコープ(FOG:fiber optic gyroscope)構成用の典型的なジャイロスコープ制御システムは、例えば、主要な角速度リバランスループ(primary angular rate rebalance loop)と、位相変調器スケールファクタ制御ループ(phase modulator scale factor control loop)、自動利得制御ループ、オフセット制御ループ、及び強度制御ループを含む補助制御ループと、を含むことができる。制御ループの全ては、同時に動作して、角速度センサとしてFOGの適切な動作を保証する。FOGの機械化は、アナログ及びデジタル要素の両方を含む。特に、FOGからの光信号は増幅され、且つA/D変換器を介してデジタル形式に変換され、制御ループがデジタル領域において動作できるようにする。或る制御ループパラメータが、最適な動作のために選択される。例えば、アナログ利得は、光学系及びアナログ電子機器に自然に発生する静的ノイズがA/D変換器の最下位ビットを切り換えできるようにするほど十分に高い。これにより、光学系及びアナログ電子機器の分解能の限界を、克服することができる。他方で、これは、A/D変換器が、その飽和の前に扱うことができる最大信号を制限する。高ダイナミクス(例えば高振動又は衝撃)が存在する場合に、A/Dは、飽和し、ジャイロスコープ読み出しにおける誤差につながり得る。また、補助ループは、高動的信号に応答し、補助ループの最適制御点から逸脱する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、慣性測定ユニットにおける角度測定のジャイロスコープ制御システムに関する。一態様において、制御システムは、慣性測定ユニット(IMU)のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを動作させるプロセッサを含む。1つ又は複数の制御ループのそれぞれは、各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する。動的ループ調整装置が、IMUの環境条件を決定するために環境入力データを受信する。動的ループ調整装置は、決定された環境条件に基づいて、プロセッサによって動作される1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つのために一連の設定点の少なくとも1つを変更する。
【0005】
別の態様において、プロセッサが、慣性測定ユニット(IMU)のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを動作させる。1つ又は複数の制御ループのそれぞれは、各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する。動的ループ調整装置が、環境入力データを受信して、IMUの環境条件を決定する。動的ループ調整装置は、決定された環境条件に基づいて、プロセッサによって動作される1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する一連の設定点の少なくとも1つを変更する。光ファイバジャイロスコープ(FOG)回路が、IMUの角運動を表す変調された光信号を生成する。光受信機が、FOGからの変調された出力信号をIMUの角運動を表す電気信号に変換する。アナログ/デジタル変換器(A/D)が、光受信機からの電気信号をプロセッサのデジタル信号に変換する。プロセッサは、自動利得制御(AGC:automatic gain control)ループを用いて光受信機の電気信号利得を制御し、オフセット制御ループを用いてIMUの1つ又は複数の回路における電気的オフセットを制御し、且つ位相変調器スケールファクタループを用いてFOGからの変調された光信号の感度情報を追跡する。
【0006】
更に別の態様において、方法は、慣性測定ユニット(IMU)のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを実行することを含む。1つ又は複数の制御ループのそれぞれは、各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する。方法は、IMUの動的条件に関する環境データを受信することを含む。これは、受信された環境データに基づいて、動的条件がIMUの所定の閾値を超えるかどうかを決定することを含む。方法は、動的条件が所定の閾値を超える場合に、1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する一連の設定点の少なくとも1つを調整することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】動的ループ調整装置を用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループの性能を変更する慣性測定ユニット(IMU)の単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システムの例を示す。
【
図2】プロセッサ及び検出アレイを用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループの性能を変更する単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システムの例を示す。
【
図3】プロセッサ及び検出アレイを用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループの性能を変更する単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システムの例示的な制御ループ経路を示す。
【
図4】単一軸光ファイバジャイロスコープコントローラにおけるデジタル及びアナログコントローラ間の動的利得割り当ての例示的なシステムを示す。
【
図5】慣性測定ユニット(IMU)の単一軸光ファイバジャイロスコープを制御するための方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、環境条件に基づいて、慣性測定ユニット(IMU)における1つ又は複数の制御ループを動的に変更するシステム及び方法に関する。衝撃又は振動などの環境条件は、IMU上で内部的に感知され、且つ/又は遠隔地からインターフェイスを介して提供される。IMUは、例えば、自動利得制御(AGC)ループ、位相変調器スケール制御ループ、及びオフセット制御ループなどの1つ又は複数の閉ループ構成を動的に適応させることができ、1つ又は複数の閉ループ構成は、IMUの光ファイバジャイロスコープ(fiber optic gyroscope : FOG)を制御するために、且つIMUが動作する環境の知識に基づいて利用される。環境に基づいてFOGの能力を動的に調整することは、その特定の環境においてFOGが経験し得る外乱(例えば、衝撃、振動、温度変化)中に、FOGが、正確な角速度測定を提供できることを実質的に保証する。
【0009】
FOGのAGC制御ループは、動作中に可変利得増幅器を制御するように用いることができる。可変利得増幅器は、(光検出装置からの)光信号の電気的表現(electrical representation)を受信し、次に、AGC制御ループを介してその信号を適宜増幅するように用いることができる。信号の適応後に、信号は、A/D変換器に供給され、次に、A/D変換器は、更なる処理のために、その光信号のデジタル表現(digital representation)を生成する。正常な状態(環境外乱が、最低か又は存在しない状況)中に、可変利得増幅器によって提供されるアナログ利得は、AGCによって公称値に設定することができ、公称値は、A/D変換器が最高分解能で光信号の電気信号を捕捉できるようにする値である。しかしながら、環境外乱下では、電気信号の利得が低減されない場合に、A/D変換器は、飽和を経験する可能性がある。A/D変換器が飽和を経験するのを軽減するために、且つFOGの適切な動作を維持するために、AGC制御ループは、(例えば、感知されたか又は遠隔データソースからの)環境外乱に応じて、A/D変換器が飽和を経験しないことを保証するように可変利得増幅器の利得を動的に低下させる。利得における同等の(比例した)増加をデジタル側で提供して、環境外乱の結果だった低減された利得を補償することができ、デジタル側では、より大きな語長(より多くのビット)は、電気光信号のデジタル表現を収容することができる。A/D変換器に対する環境外乱中に、AGC制御ループは、環境外乱が終わってしまうまで、アナログ及び/又はデジタル利得を微調整してほぼ劣化のない光信号を供給することができる。
【0010】
位相変調器スケールファクタ制御ループは、ゆっくりと変化する制御ループであるが、FOGにおける位相変調器の感度を追跡し、且つ位相変調器駆動装置にスケールファクタ値を供給することによって感度の変化を補償するように用いることができる。位相変調器駆動装置は、FOGによって最適な信号対雑音比(SNR:signal−to−noise ratio)を達成するアプローチにおいて、スケールファクタ値を利用して光位相及び変調度を制御する。しかしながら、FOG動作に対する環境外乱(例えば振動)の影響を最小化するために、位相変調器スケールファクタループは、外乱が治まるまで減速させるか又は開いて(例えば、最後の制御コマンドが保持される)、位相変調器スケール制御ループが光位相及び変調度を変化させないことを保証することができる。
【0011】
オフセット制御ループは、電子機器における誤差を制御するように利用することができる。正常な動作中に、オフセット制御ループは、どんな誘発されるオフセットに対してもFOGの電子機器を監視し、それに応じてオフセットを補償する。しかしながら、FOGが、環境外乱を経験している状況において、オフセット制御ループは、外乱が治まるまで開いて、誤ったオフセット補償が導入されないことを保証することができる。FOGにおける他の制御ループは、環境条件に基づいて同様に適応させることができる。上記のように、FOGの選択閉ループ構成の動的適応は、IMUが動作する環境の知識に基づいてFOGが正確な角速度測定を提供できることをほぼ保証する。
【0012】
図1は、動的ループ調整装置120を用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループ130の性能を変更する慣性測定ユニット(IMU)110の単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システム100の例を示す。制御システム100は、慣性測定ユニット(IMU)110のジャイロスコープ角度測定を可能にするために、ループ1〜N(Nは、正の整数である)として示されている制御ループ130を動作させるプロセッサ140を含む。1つ又は複数の制御ループ130のそれぞれは、各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲(range of set points)にわたって動作する。本明細書で用いられているように、プロセッサという用語は、単一のプロセッサ、プロセッサの集合、及び/又は例えば
図2に関連して以下で示され説明されているようなプロセッサ及びゲートアレイの組み合わせを含むことができる。プロセッサ140及び/又はゲートアレイは、1つ又は複数の制御ループ130を制御するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアコンポーネント(アナログ及び/又はデジタルコントローラを含む)を含むことができる。
【0013】
幾つかの例において、制御ループ130は、プロセッサ140によって実行され、別個のゲートアレイによって実行され、且つ/又はプロセッサ及びゲートアレイ間の組み合わせとして実行されても良い。動的ループ調整装置120は、感知された環境データ150及び/又は外部環境データ160として示されている環境入力データを受信して、IMU110の環境条件を決定する。動的ループ調整装置120は、決定された環境条件に基づいて、プロセッサ140によって動作される制御ループ130の少なくとも1つに対する一連の設定点の少なくとも1つを変更する。一例において、動的ループ調整装置120は、設定点調整コマンドをプロセッサ140に発行して、決定された環境条件に基づいて、1つ又は複数の制御ループ130の少なくとも1つに対する一連の設定点の少なくとも1つを変更する。
【0014】
示されているように、制御システム100は、IMU110の角運動を表す変調された光信号を生成する光ファイバジャイロスコープ(FOG)回路170を含む。光受信機180が、FOG回路170からの変調された出力信号をIMU110の角運動を表す電気信号に変換する。アナログ/デジタル変換器(A/D)190が、光受信機180からの電気信号をプロセッサ140のデジタル信号に変換する。幾つかの制御ループ例において、プロセッサ140は、自動利得制御(AGC)ループを用いて、光受信機180の電気信号利得を制御する。別の制御ループ例において、オフセット制御ループが使用されて、IMU110の1つ又は複数の回路における電気的オフセットを制御してもよい。更に別の例において、位相変調器スケールファクタループが使用されて、FOGからの変調された光信号の感度情報を追跡してもよい。
【0015】
インターフェイス(
図2を参照)が、遠隔データソースから外部データ160としてIMU110に対する環境入力データを受信する。例えば、インターフェイスは、振動又は衝撃事象が、IMU110上に発生しようとしていた時に関する情報(例えばロケット発射が発生しようとしていた時に関するデータ)を受信しても良い。外部環境データ160は、IMUの振動事象、衝撃事象、圧力変化事象、湿度変化事象、又は温度変化事象に関する情報を含むことができる。外部から供給される環境データ160に加えて、IMU110に搭載された感知回路(図示せず)が、IMUの環境条件を感知するために使用され得る。感知回路は、IMU110上の加速度センサ、IMU上の振動センサ、IMU上の温度センサ、及びプロセッサ140の1つ又は複数の制御ループ130を監視するアナログ回路(例えばA/D190)からの出力値の少なくとも1つを含むことができる。
【0016】
図2に関連して以下で示され説明されるように、動的補助制御ループは、環境条件における決定されたより高いダイナミクス(dynamics)に基づき、オフセット制御ループ又は位相変調器スケールファクタループに対して、出力データの変化を減速させるか又はデータをその最後の状態に保持するプロセッサ140によって動作させることができる。本明細書で用いられるように、より高いダイナミクスという用語は、より高い振動衝撃又は他の環境変化が発生した状態を指す。より低いダイナミクスは、環境条件が安定した場合のIMU110上の静的条件を指す。プロセッサ140によるループ調整の特定の一例において、変調度は、環境条件に基づき、プロセッサによって位相変調器スケールファクタループにおいて変更することができる。AGC制御ループに関し、プロセッサ140は、デジタル利得係数及びアナログ利得係数に従い、環境条件150及び/又は160に基づいて、AGCループの利得を調整することができる。例えば、A/D190の感度を向上させるために、より低い動的条件中に、アナログ利得係数は、増加させることができ、デジタル利得係数は、低減することができる。A/D190の飽和を軽減するために、より高い動的条件中に、アナログ利得係数は、低減することができ、デジタル利得係数は、増加させることができる。制御ループ変更のためのトリガリングは、高ダイナミクス又は低ダイナミクスの条件を定義する所定の閾値に基づくことができる。
【0017】
図2は、プロセッサ240及び検出アレイ212を用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループの性能を変更する単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システム200の例を示す。システム200は、集積光回路216と共にジャイロスコープ回路を形成するコイル214を含む。集積光回路216は、アナログコントローラ220から制御されるソース218から光を受信する。アナログコントローラ220は、ソース218への光強度出力を制御し、且つソース218の温度を維持するように熱電冷却機(TEC:thermoelectric cooler)出力を制御する。アナログコントローラ220はまた、変調された光出力信号を集積光回路216から受信する光受信機224の利得を制御する。光受信機224は、集積光回路216からの変調された光出力信号を電気信号に変換する第1の光検出器及び増幅器228を含む。増幅器228からの出力は、ゲート増幅器230によって増幅され、ゲート増幅器230は、アナログ/デジタル変換器(A/D)234に出力を供給する。アナログコントローラ220はまた、光受信機224における増幅器230の利得を調整する。
【0018】
A/D234からの出力は、検出アレイ212によって受信され、検出アレイ212は、本明細書で説明される1つ又は複数の制御ループを監視又は制御するために、プロセッサ240と協働する。プロセッサ240は、アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール244、動的補助ループ制御モジュール246、及び制御論理モジュール248を含むことができる。本明細書で用いられているように、モジュールという用語は、ハードウェア及び/又はソフトウエアコンポーネントを含むことができ、これらのコンポーネントはまた、アナログ及び/又はデジタルコンポーネントを含むことができる。アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール244、動的補助ループ制御モジュール246、及び制御論理モジュール248は、
図1に関連して上記で説明された動的ループ調整装置を集団的に実現する。示されているように、制御論理モジュール248は、遠隔ネットワークソースから外部環境データを受信する車両インターフェイス250から環境データを受信することができる。車両インターフェイス250はまた、IMU出力データを遠隔地(例えば、遠隔コマンドセンタ)に供給することができる。制御論理モジュール248はまた、システム200の搭載されたセンサから、感知された環境データ254を受信することができる。制御論理モジュール248によって受信された環境データに基づいて、アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール244、並びに動的補助ループ制御モジュール246は、それらのそれぞれの設定点を、環境条件における検出された変化に基づいて動的に変更することができる。
【0019】
検出アレイ212(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)は、IMUにおける1つ又は複数の回路の電気的オフセットを補正するオフセット補正モジュール260を含むことができる。検出アレイ212は、IMUにおける1つ又は複数の回路の電気的オフセットを検出するオフセット検出モジュール264を含むことができる。スケールファクタ検出モジュール268が、位相変調器スケールファクタループにおけるスケールファクタオフセットを検出する。速度ループモジュール270が、FOGの変調速度を制御する。変調モジュール272が、速度ループモジュール270からのコマンドに基づいて、変調出力シーケンスを生成する。位相変調器モジュール274が、変調モジュール272からの変調出力シーケンスを表すデジタルコマンドを生成する。Δθ集積モジュール278が、FOGの角運動を決定し、利得誤差検出モジュール280が、プロセッサ240におけるAGCループの利得誤差を決定する。位相変調器274からの出力は、デジタル/アナログ変換器(D/A)284に送信され、デジタル/アナログ変換器(D/A)284は、アナログ出力を駆動装置290に供給し、駆動装置290は、位相変調器駆動信号を集積光回路216に供給する。本明細書で説明されるモジュール及び制御機能が、アナログコントローラ220、プロセッサ240によって、且つ/又は検出アレイ212を介して実現され得ることが注目される。
【0020】
前に言及したように、システム200は、感知された環境条件又は外部環境条件に基づいて、ジャイロスコープ制御システムの適応動作モードを提供することができる。例えば、静的条件において、アナログ利得は、静的ノイズだけでA/D分解能のランダム化を可能にするように、その正常値においてプロセッサ240によって設定することができる。しかしながら、高動的条件下において、アナログ利得は、プロセッサ240によって低減し、A/D234が、飽和なしにより大きな動的信号を変換できるようにすることができる。高ダイナミクスによって導入される(静的ノイズに対立するものとしての)より高いノイズは、例えば、A/D234の最下位ビットをランダム化するように働くことができる。ジャイロスコープループの適切な動作を維持するために、より低いアナログ利得は、より大きな語長(より多くのビット)が、例えばプロセッサ240、FPGA、及び/又はASICにおいて結果としての信号を収容できるデジタル側の利得における見合った増加によって補償することができる。高動的条件の発生の認識は、車両インターフェイス250を介してユーザによって提供することができ、且つ/又は代替として例えば、A/D信号の振幅並びに/又は角速度及び加速度測定の実時間監視を用いることによって、IMUによる感知されたデータ254として推定することができる。
【0021】
自動利得制御(AGC)は、プロセッサ240によって利得関数を調整することができる。アナログ利得の低減が望ましいであろうという決定に基づいて、AGCコマンドは、(例えば2の累乗だけの)利得低減係数を命じることになる所定の量だけシフトすることができる。次に、A/D234のデジタル出力は、基線(baseline)と同様の正味スケーリング(net scaling)を備えたデジタル信号を回復(restoration)するための係数を掛けることができる。次に、AGCループは、実質的な劣化なしにジャイロスコープの連続動作を保証するために(アナログ×デジタル)利得積が維持されることを容易にするように、AGCコマンドを微調整することができる。ユーザ及び/又は内部決定によって示されているように、ユニットが、もはや高ダイナミクスを経験しない場合に、利得は、その初期値に再構成して、より良好な環境にもう一度最適化することができる。
図4は、以下で、利得伝達の例示的な動作を示す。
【0022】
別の例として、補助FOGループが、ソフトウェア制御下にあり、且つゆっくりした長期の変動を追跡する適所にあるので、補助FOGループを、高動的条件の場合に、減速し且つ/又はそれらの最後の状態に保持することができる。ここでも、来たるべき高ダイナミクスのユーザ指示又は感知された指示が、利得を低減するか又は開くように補助ループ246をトリガするためにも使用され得る。A/D、ジャイロスコープ、及び加速度データの実時間監視もまた、トリガのために用いることができる。補助ループ246は、高速データを用いて比較的低レート(例えば50Hz)で更新することができ、従って、ダイナミクスを検出する十分な時間が存在する。追加時間が必要とされる場合に、ループ更新は、更に遅延させることができ、且つ/又は値は、ひとたびダイナミクスが検出された場合、回復のために記録することができる。
【0023】
追加の例として、変調度は、信号対雑音比(SNR)を最適化する値にプリセットできるが、状態に依存して変調値を変更することがまた可能である。例えば、静的状態において最適なSNRを有することが有益な場合に、変調度は、所定の値に増加させることができる。静的ノイズに関係なく信号レベルを最大限にすることが有益な場合に(例えば環境による追加ノイズがあった場合に)、変調度は、その正常値に戻すことができる。
【0024】
図3は、プロセッサ及び検出アレイを用いて、環境条件に基づいてシステムにおける1つ又は複数の制御ループの性能を変更する単一軸光ファイバジャイロスコープ制御システム300の例示的な制御ループ経路を示す。制御ループ経路の動作を説明する前に、システム300の様々なコンポーネントが説明される。制御ループ経路の例示を容易にするために、モジュールラベルの幾つかは、制御ループ経路を観察する際の助けとなるように除去される。上記のシステム200と同様に、システム300は、集積光回路316と共にジャイロスコープ回路を形成するコイル314を含む。集積光回路316は、アナログコントローラ320から制御されるソース(source)318から光を受信する。アナログコントローラ320は、ソース318への光強度出力を制御し、且つソース318の温度を維持するために熱電冷却機(thermoelectric cooler : TEC)の出力を制御する。アナログコントローラ320はまた、変調された光出力信号を集積光回路316から受信する光受信機324の利得を制御する。光受信機324は、集積光回路316からの変調された光出力信号を電気信号に変換する第1の増幅器及び光検出器328を含む。増幅器328からの出力は、ゲート増幅器330によって増幅され、ゲート増幅器330は、アナログ/デジタル変換器(A/D)334に出力を供給する。アナログコントローラ320はまた、光受信機324における増幅器330の利得を調整する。
【0025】
A/D334からの出力は、本明細書で説明される1つ又は複数の制御ループを監視又は制御するために、プロセッサ340と協働する検出アレイ312によって受信される。プロセッサ340は、アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール344、動的補助ループ制御モジュール346、及び制御論理モジュール348を含むことができる。示されているように、制御論理モジュール348は、遠隔ネットワークソースから外部環境データを受信する車両インターフェイス350から環境データを受信することができる。車両インターフェイス350はまた、IMU出力データを遠隔地に供給することができる。制御論理モジュール348はまた、システム300の搭載されたセンサから、感知された環境データ354を受信することができる。制御論理モジュール348によって受信された環境データに基づいて、アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール344、並びに動的補助ループ制御モジュール346は、それらのそれぞれの設定点を、環境条件における検出された変化に基づいて動的に変更することができる。
【0026】
検出アレイ312(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ)は、IMUにおける1つ又は複数の回路の電気的オフセットを補正するオフセット補正モジュール360を含むことができる。検出アレイ312は、IMUにおける1つ又は複数の回路の電気的オフセットを検出するオフセット検出モジュール364を含むことができる。スケールファクタ検出モジュール368が、位相変調器スケールファクタループにおけるスケールファクタオフセットを検出する。速度ループモジュール370が、FOGの変調速度を制御する。変調モジュール372が、速度ループモジュール370からのコマンドに基づいて、変調出力シーケンスを生成する。位相変調器モジュール374が、変調モジュール372からの変調出力シーケンスを表すデジタルコマンドを生成する。Δθ集積モジュール378が、FOGの角運動を決定し、利得誤差検出モジュール380が、プロセッサ340におけるAGCループの利得誤差を決定する。位相変調器374からの出力は、デジタル/アナログ変換器(D/A)384に送信され、デジタル/アナログ変換器(D/A)384は、アナログ出力を駆動装置390に供給し、駆動装置390は、位相変調器駆動信号を集積光回路316に供給する。
【0027】
A/D334からの出力は、様々な制御ループのデータを導き出すために、検出アレイ内の幾つかの経路及びモジュールを通して処理することができる。一例において、オフセット制御ループ392が、オフセット補正モジュール360、及び補助制御ループ346におけるスイッチング回路393を通って流れ、且つシステム300におけるオフセットを制御するためにオフセット検出回路を通って流れる。別の例において、位相変調器スケールファクタループ394が、位相変調器モジュール374を制御するために、オフセット制御ループ360、スケールファクタ検出モジュール368、及び補助制御ループ346におけるスイッチング回路395を通って流れる。更に別の例において、自動利得制御(AGC)ループ396が、可変利得増幅器330を制御するために、オフセット補正モジュール360、利得誤差検出モジュール380、アナログ及びデジタル動的利得割り当てモジュール344、並びにアナログコントローラ320を通って流れる。スイッチング回路393及び/又は395は、補助動作モジュール346内の論理制御スイッチを開くことによって、高動的条件中に、制御出力を最後の状態に保持することができる。代替として、スイッチング回路393及び/又は395は、高動的条件中にオフセット補正モジュール360及び/又は位相変調器モジュール374を更新するレートを遅くすることができる。
【0028】
図4は、単一軸光ファイバジャイロスコープコントローラにおけるデジタル及びアナログコントローラ間の動的利得割り当ての例示的なシステム400を示す。高動的条件が検出された場合にシステムにおいて利得を変更するコマンドが、410に示されている。プロセッサ420が、コマンド410を受信し、且つデジタル/アナログ利得調整係数424及びアナログ利得係数430を含む利得コマンド414を発行する。デジタル/アナログ利得調整係数424は、例えば、アナログ利得が1/Kを掛けられ、且つデジタル利得がKを掛けられる場合のスケールファクタKによってシフトすることができる。デジタル/アナログ利得調整係数424は、A/D440からのデジタル化されたアナログ値もまた処理するデジタル利得モジュール434に供給される。デジタル利得モジュール434からの出力は、ジャイロスコープ回路454を制御するために、D/A450を駆動するジャイロスコープ復調及び制御ループ444によって処理される。
【0029】
デジタル利得モジュール434と共に、復調及び制御ループ444は、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field−programmable gate array)460によって具体化することができる。FPGA460からの出力464は、AGCループ470を駆動するが、AGCループ470は、A/D440を駆動する可変利得増幅器(VGA:variable gain amplifier)480を制御するために、結合器474を介してアナログ利得430と組み合わされる。ジャイロスコープ回路454からの出力は、検出器484で始まる内側アナログループを駆動し、検出器484は、固定利得増幅器490を駆動し、今度は固定利得増幅器490が、VGA480を駆動する。環境条件が変化すると共に、アナログ及びデジタル利得は、プロセッサ420によって利得コマンド414において計算される係数Kだけ、(例えば、感知されたか又は外部的に供給された)環境条件に従って、スケーリングことができる。前に言及したように、本明細書で説明される様々なモジュール及びコンポーネントは、プロセッサ及び/又はゲートアレイによって実現可能であり、またアナログ及び/又はデジタルの処理及び/又は制御素子を含むことができる。
【0030】
上記で説明された前述の構造及び機能的特徴を考慮すると、本発明の様々な態様に従う方法論が、
図5に関連して一層良く理解されよう。説明の簡略化のために、方法論は、連続的に実行されるように示され説明されるが、幾つかの態様が、本発明に従って、異なる順序で且つ/又は本明細書で示され説明される態様とは別の態様と同時に行われ得るように、本発明が、示された順序によって限定されないことが、理解され認識されるべきである。更に、全ての示されている特徴が、本発明の態様に従って方法論を実施するように要求され得るわけではない。
図5に示されている方法の様々な動作は、本明細書で説明されている様々な動作を実行するために、実行可能命令を伴って構成されたプロセッサ、コンピュータ、及び/又はコントローラを介してなど、自動的に実行することができる。更に、ディスクリート回路制御実装形態が、ディスクリート及び集積回路処理要素の両方を含むハイブリッド制御に加えて、可能である。
【0031】
図5は、慣性測定ユニット(IMU)の単一軸光ファイバジャイロスコープを制御するための方法500の例を示す。510において、方法500は、(例えば、
図1のプロセッサ140を介して)慣性測定ユニット(IMU)のジャイロスコープ角度測定を可能にする1つ又は複数の制御ループを実行することを含む。1つ又は複数の制御ループのそれぞれは、各制御ループのそれぞれのために定義された一連の設定点の範囲にわたって動作する。520において、方法500は、(例えば、
図2のインターフェイス250又は感知されたデータ254を介して)IMUの動的条件に関する環境データを受信することを含む。530において、方法500は、(例えば、
図1のプロセッサ140を介し)、受信された環境データに基づいて、動的条件がIMUの所定の閾値を超えるかどうかを決定することを含む。540において、所定の閾値が超過されない場合に、方法は、510に戻って、1つ又は複数の制御ループを制御する。540において、所定の閾値が超過された場合に、方法500は、550に進む。550において、方法500は、動的条件が所定の閾値を超える場合に、1つ又は複数の制御ループの少なくとも1つに対する一連の設定点の少なくとも1つを調整する。
【0032】
示されてはいないが、方法500はまた、遠隔データソースから環境データを受信すること、又はIMUに関連するセンサから環境データを受信することを含むことができる。方法500はまた、動的条件に基づいて、自動利得制御(AGC)ループ、オフセットループ、又は位相変調器スケールファクタループの少なくとも1つを調整することを含むことができ、その場合に、AGCループの利得は、デジタル利得係数及びアナログ利得係数に従って調整され、低動的条件中にアナログ利得係数が増加され、且つデジタル利得係数が低減されるか、又は高動的条件中にアナログ利得係数が低減され、且つデジタル利得係数が増加される。
【0033】
上記で説明されたものは、例である。もちろん、コンポーネント又は方法論の全ての考えられる組み合わせを説明することは不可能であるが、しかし当業者は、多くの更なる組み合わせ及び置き換えが可能であることを理解されよう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲を含み、本出願の範囲内に入る全てのかかる変更形態、修正形態及び変形形態を包含するように意図されている。本明細書で用いられているように、用語「含む」は、含むが、しかしそれには限定されないことを意味する。用語「〜に基づいて」は、少なくとも一部分は基づくことを意味する。更に、本開示又は特許請求の範囲が、「第1の」若しくは「別の」要素、又はその均等物を挙げる場合に、それは、1つの又は1を超えるかかる要素を含むが、2以上のかかる要素を要求することも排除することもないと解釈されるべきである。
【外国語明細書】