【課題】絶縁保持部材を小型化しても変形し難く、蓄電素子群への取り付け作業が容易であり、かつ、バスバーと電極との接続作業性に優れる配線モジュール、および、蓄電モジュールを提供する
【解決手段】正極および負極の電極を有する蓄電素子を複数個並べることで複数列の電極群が形成されてなる蓄電素子群に取り付けられる配線モジュールであって、隣り合う蓄電素子の電極間を電気的に接続する複数のバスバーと、蓄電素子の状態を検出するとともに電子制御ユニットに接続される検知電線と、複数のバスバーを収容するバスバー収容部と検知電線を収容する第1電線収容溝とを有し、互いに並んで配される複数の絶縁保持部材と、を備え、複数の絶縁保持部材の各端部を互いに連結する端部連結部材が設けられており、端部連結部材は、第1電線収容溝と連なって知電線を収容可能な第2電線収容溝を有している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、一実施形態を
図1〜
図23を参照しつつ説明する。本実施形態の配線モジュール30は、
図1に示すように、正極12A及び負極12Bの電極12を有する単電池11(蓄電素子の一例)を複数個並べた単電池群10(蓄電素子群)の、複数の単電池11間を接続するためのものである。この配線モジュール30が取り付けられた電池モジュールMは、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の駆動源として使用されるものである。
【0023】
単電池群10を構成する複数の単電池11は、配線モジュール30によって、異なる単電池11の正極12Aと負極12Bとを電気的に接続することにより、直列に接続されている。以下の説明においては、
図1におけるX方向を前方とし、X方向と反対方向を後方とする。また、
図1におけるY方向を右方とし、Y方向と反対方向を左方とする。さらに、
図1におけるZ方向を上方とし、Z方向と反対方向を下方とする。
【0024】
電池モジュールMは、複数個の単電池11と、単電池11の電圧を検知する検知電線W、および、隣り合う電極12A,12B間を接続する複数のバスバー20が収容される配線モジュール30と、を備えて構成されている。
【0025】
(単電池11)
単電池11は、ケースの内部に図示しない発電要素を収容してなり、扁平な直方体形状をなしている。単電池11の上面11Aには、
図5に示すように、発電要素と電気的に接続された正極12Aおよび負極12Bが設けられている。以下、正極12Aおよび負極12Bを総括するときは電極12という。
【0026】
電極12は、側面視略Z形状に屈曲された板状の金属端子13と、金属端子13に設けられた貫通孔を貫通して上方に向かって突出する丸棒状の電極ポスト14と、金属端子13に設けられた貫通孔を貫通して金属端子13をケースに固定する丸ねじ15と、を備える。電極ポスト14の表面には、ねじ山が形成されている(図示せず)。
【0027】
複数個の単電池11は、隣り合う単電池11の電極12の極性が異なるように(正極12Aと負極12Bとが交互に配されるように)並べられている。電極ポスト14は、後述するバスバー20の端子貫通孔21に挿通され、ナット18を螺合させることによりバスバー20に固定されるようになっている。
【0028】
また、単電池11の上面11Aの略中央には、単電池11の内部で発生したガスを外部に排出するガス排出部16が形成されている。
【0029】
各単電池11は、隣り合う単電池11との間に配された絶縁性の合成樹脂からなるセパレータ17によって、間隔を空けて配されている。セパレータ17は、隣り合う単電池11の間に配されて各単電池11を離隔する仕切り壁17Aと、この仕切り壁17Aの4つの縁部からX軸方向に沿って延出された延出壁17Bと、を備える。これらの仕切り壁17Aと延出壁17Bとの間に囲まれた空間内に、各単電池11が収容されている。なお、延出壁17Bのうち、単電池11の上面11Aに対向する延出壁17Bは一部切り欠かれており、金属端子13およびガス排出部16が外部に露出するように設定されている。また、単電池群10の並び方向(X軸方向)の端部に配されるセパレータ17には、外側に向けて延びる延出壁17Bは設けられていない。
【0030】
上述したような単電池11を複数個並べることで単電池群10が構成されており、単電池群10の上面10Aには、ガス排出部16を挟んで、2列の電極群19が形成されている。
【0031】
(配線モジュール30)
配線モジュール30は、単電池群10の上面10A(電極面)に取り付けられるものであって、
図6ないし
図8に示すように、単電池11の電極12に接続される複数のバスバー20と、バスバー20に電気的に接続される検知電線Wと、バスバー20を保持するバスバー収容部33および検知電線Wを収容する第1電線収容溝40を有する一対の絶縁保持部材31と、一対の端部連結部材50と、複数(本実施形態では4つ)の中間部連結部材70と、を備える。
【0032】
(バスバー20)
バスバー20は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等からなる金属製の板材を所定の形状にプレス加工することにより形成され、全体として略長方形状をなしている。バスバー20の表面には、スズ、ニッケル等の金属がメッキされていてもよい。
【0033】
図9に示すように、バスバー20には、電極12の電極ポスト14が挿通される円形状をなす一対の端子貫通孔21,21が、バスバー20を貫通して形成されている。これらの端子貫通孔21は、電極ポスト14の径よりも若干大きく設定されている。端子貫通孔21内に電極ポスト14が貫通された状態でナット18が螺合されて、ナット18と金属端子13との間にバスバー20が挟まれることにより、電極12とバスバー20とが電気的に接続される。
【0034】
バスバー20の一対の長辺の縁部の中央には、方形状に切り欠かれた凹部22が形成されている。この凹部22には、後述する連結ユニット32の係止壁39が係止されるようになっている。
【0035】
また、バスバー20の一対の長辺のうち、一方側の長辺の一端部寄りには、検知電線Wの芯線を圧着保持して電気的に接続する電線圧着部23が延出形成されている。
【0036】
(検知電線W)
検知電線Wは、芯線が絶縁層で覆われた被覆電線であり、その端末では、絶縁層が剥ぎ取られて芯線が露出しており、コネクタ部110を介して後述する電子制御ユニット100に接続される。
【0037】
(絶縁保持部材31)
絶縁樹脂材料からなる絶縁保持部材31は、複数の連結ユニット32をバスバー20によって連結してなり、単電池11の並び方向(X軸方向)に細長い形状をなしている。
【0038】
(連結ユニット32)
連結ユニット32は、
図6ないし
図10に示すように、上方に開口すると共にバスバー20を収容し保持する一対のバスバー収容部33、33と、これら一対のバスバー収容部33、33の並び方向に沿って延びて検知電線Wを収容する第1電線収容溝40と、を備える。なお、
図6において右手前側の第2絶縁保持部材31Bにおける前後方向(X軸方向)の両端部には、バスバー収容部33を1つだけ有した端部連結ユニット32A,32Bが配置されている。
【0039】
各連結ユニット32は、
図9に示すように、X軸方向に延びる一対の側壁34A,34Bと、Y軸方向に延びてこれら一対の側壁34A,34Bをその中央部分において互いに連結する隔壁35と、が略H形状に配されるとともに、底部にバスバー20の周縁部が載置される載置部(図示せず)を備えてなる。
【0040】
各バスバー収容部33は、概ねバスバー20の略半分が収容される大きさとされており、上下方向(Z軸方向)および前後方向(X軸方向)に向けて開放された形態をなしている。
【0041】
より詳細に説明すると、一対の側壁34A,34Bのうち、第1電線収容溝40側に位置する側壁34Aには、各バスバー収容部33と第1電線収容溝40とを連通させてバスバー20の電線圧着部23を保持する溝状の保持溝42に繋がる切欠きが設けられており、その切欠きの両隣に、上方側からバスバー20を係止してバスバー20の上方側への抜け止めを図るための一対の弾性係止片36,36が設けられている。この弾性係止片36の下端部には、バスバー収容部33の内側に向けて突出する係止爪36Aが形成されており、係止爪36Aの下面がバスバー20の端部を係止するようになっている(
図10参照)。
【0042】
一方、他方側(第1電線収容溝40とは反対側)の側壁34Bには、
図10に示すように、後述する中間部連結部材70の係止片82を係止可能な係止孔37が、各バスバー収容部33にそれぞれ設けられている。係止孔37は、側壁34Bの下端から上方に向けてコ字形状に切り欠くことにより、角孔状とされている。
【0043】
これら一対の係止孔37のうち隔壁35寄りには、係止孔37の上縁部から下側に向けて延びる弾性係止片38が設けられている。この弾性係止片38は、バスバー収容部33内に収容されたバスバー20を上方側から係止してバスバー20の上方側への抜け止めを図るためのものである。この弾性係止片38の下端部には、バスバー収容部33の内側に向けて突出する係止爪38Aが形成されており、係止爪38Aの下面がバスバー20の端部を係止するようになっている。
【0044】
係止孔37のうち、後述する中間部連結部材70の係止片82が係止される領域の幅は、係止片82の幅よりも若干大きく設定されており、係止片82が係止孔37内でX軸方向に移動可能なクリアランスCを有するように設定されている。
【0045】
また、各側壁34A,34BのX軸方向における両端部は、互いに対向する側壁34B,34Aに向けてL字形状に屈曲されており、バスバー収容部33内に挿入されたバスバー20の凹部22内に係止可能な係止壁39として機能するようになっている。
【0046】
一方隔壁35は、隣り合うバスバー20を絶縁状態に離隔する絶縁壁として機能しており、一対の側壁34A,34Bよりも高さが高く設定されている。また、隔壁35と一方側の側壁34Bとの交差部分における側壁34Bの外面上端部には、外側に向けて突出する案内突部43が設けられている。
【0047】
図9および
図10に示すように、複数の連結ユニット32のうち、一の連結ユニット32とその隣に位置する連結ユニット32とは、一枚のバスバー20を介して相互に連結されている。上述したバスバー20の凹部22は、互いに隣り合う連結ユニット32の係止壁39を係止した状態でX軸方向にクリアランスCを有しており、これにより、隣り合う連結ユニット32は、バスバー20に対して連結方向(X軸方向)において相対的に移動可能とされている。すなわち、複数の単電池11の電極12間における製造公差、及び、組み付け公差を吸収可能とされている。
【0048】
また連結ユニット32には、上述したように、検知電線Wが収容される第1電線収容溝40が、一対のバスバー収容部33、33の並び方向(X軸方向)に沿って設けられている。この第1電線収容溝40内には、複数の検知電線Wが収容可能である。この第1電線収容溝40の一対の溝壁部40A,40Bのうち、バスバー収容部33側の溝壁部40Aの一部は切り欠かれており、上述した保持溝42と連通状態とされている。
【0049】
また、第1電線収容溝40の一対の溝壁部40A,40Bの上端縁部からは、対向する溝壁部40B,40Aに向けて延出されて内部に収容された検知電線Wのはみ出しを防止する、複数の抜け止め片41が設けられている。これらの抜け止め片41は、1の連結ユニットにおいて、互い違いに配されている。
【0050】
複数の連結ユニット32が互いに連結された状態では、隣り合う連結ユニット32の第1電線収容溝40同士が連なるようになっており、内部に検知電線Wを収容することができる。
【0051】
図6において左奥に配された第1絶縁保持部材31Aは、複数の連結ユニット32をバスバー20によりX軸方向に一列に連結して構成されている。一方、
図6において右手前に配された第2絶縁保持部材31Bは、第1絶縁保持部材31Aよりも1つ少ない数の連結ユニット32が連結されるとともに、X軸方向における両端部に端部連結ユニット32A,32Bが連結されており、第1絶縁保持部材31Aとは連結ユニット32が単電池11の一個分の幅寸法だけずれるように構成されている。
【0052】
(端部連結部材50)
端部連結部材50は、PP等の合成樹脂製であって、互いに平行に配された第1絶縁保持部材31Aおよび第2絶縁保持部材31Bの各第1電線収容溝40の端部同士を連結する部材である。
【0053】
端部連結部材50は、
図7および
図11に示すように、一対の絶縁保持部材31の延び方向(X軸方向)と交差する方向(Y軸方向)に延びる本体部52と、本体部52の両端部からL字形状に屈曲されて第1電線収容溝40に連なる一対の連結部55と、一対の連結部55の間において本体部52から連結部55と同方向(X軸方向)に延びる電線導出部56と、を備えた平面視略E字形状をなして構成されている。これら本体部52、一対の連結部55、および、電線導出部56は、いずれも上方に向けて開口した断面コ字形状をなしており、全体が第2電線収容溝51を構成している(
図9参照)。
【0054】
本体部52は、
図12に示すように、両端付近が中央に向けて上方側に傾斜した傾斜部53とされるとともに、一対の傾斜部53の間の領域が、両端部よりも高い位置において水平に配された高架部54とされている。配線モジュール30が単電池群10に装着された際には、この高架部54が後述するダクト90を上方側からまたぐことが可能なように寸法が設定されている。この本体部52における第2電線収容溝51の溝幅は、第1電線収容溝40の溝幅よりも広く設定されている(
図9参照)。
【0055】
一対の連結部55は、
図9および
図11に示すように、本体部52の両端部からL字形状に屈曲されてなり、図示しない固定手段により絶縁保持部材31の端部に連結されて、第1電線収容溝40と第2電線収容溝51とを連通した状態としている。
【0056】
電線導出部56は、高架部54のうちY軸方向における中央部よりやや第1絶縁保持部材31A寄りの位置から、互いに対向する端部連結部材50に向けて延びるように設けられている。この電線導出部56は、
図14に示すように、高架部54から下方に向けて傾斜する傾斜部57と、傾斜部57の先端側から水平方向に延出されてダクト90の逃がし部91Bの上面と面一の下面を有する水平部58とを有している。傾斜部57における一対の溝壁の高さは、高架部54における一対の溝壁54A,54Bの高さと同等とされている一方、水平部58におけるの一対の溝壁の高さは、それよりも低くなるように設定されている。
【0057】
さらに端部連結部材50には、第2電線収容溝51の一部を上方側から覆う蓋部60が設けられている。蓋部60は、高架部54の一対の溝壁54A,54Bのうち、電線導出部56と連なる溝壁54Aとは反対側の溝壁54Bの上縁部にヒンジ部61を介して回動可能に設けられている(
図9および
図14参照)。
【0058】
蓋部60は、
図9、
図12、および
図14に示すように、高架部54を覆う蓋本体62と、一対の傾斜部53を覆う一対の第1延出部63と、電線導出部56の傾斜部57を覆う第2延出部64と、を有して平面視略T字形状とされている。蓋本体62と第1延出部63との間、および、蓋本体62と第2延出部64との間には、それぞれヒンジ部61が設けられており、境界部分が容易に屈曲可能とされている。また、第1延出部63の延出方向の先端付近、および、第2延出部64の延出方向の先端付近は、それぞれ鈍角状に屈曲されており、蓋部60が第2電線収容溝51を覆った際に、第1延出部63および第2延出部64が第2電線収容溝51の溝壁の上面に沿うように設定されている。
【0059】
また、第2電線収容溝51の一対の溝壁の外面には複数の係止突部59が設けられており、蓋部60のうちこれら係止突部59に対応する位置には、これら係止突部59と係止可能な係止片65が設けられている。
【0060】
より詳細には、係止突部59は、本体部52の傾斜部53の一対の溝壁の外面にそれぞれ1箇所ずつと、高架部54の一方側の溝壁54Aの外面に2箇所と、電線導出部56の傾斜部57の一対の溝壁の外面に1箇所ずつの合計8箇所に、それぞれの上端付近において、上方から溝の底部側に向けて傾斜するように突出して設けられている。一方係止片65は、係止突部59に対応する位置において、蓋面の縁部から垂直方向にコ字形状に延出されており、係止突部59の下面に係止可能とされている。
【0061】
(中間部連結部材70)
互いに平行に配された第1絶縁保持部材31Aおよび第2絶縁保持部材31Bのそれぞれの中間部分は、中間部連結部材70により互いに連結されている(
図6ないし
図8参照)。
【0062】
中間部連結部材は、PP等の合成樹脂製であって、
図15および
図16に示すように、水平方向に延びる板状の高架部71と、高架部71のY軸方向における両端縁から下方に向けて延びる一対の取付部80と、を備えている。また、高架部71のうちY軸方向における中央部よりやや第1絶縁保持部材31A寄りには、検知電線Wを収容保持するための電線保持部72が下方に向けて窪むように設けられている。
【0063】
電線保持部72は、端部連結部材50の電線導出部56から導出された検知電線Wを収容可能な幅を有する溝状とされており、
図15および
図16に示すように、その上面側の開口縁部は斜めに面取りされた面取り形状をなしている。また溝壁の内面は、検知電線Wの外周面に概ね沿うように曲面形状とされている。
【0064】
電線保持部72の溝壁のうち、その延び方向(X軸方向)における中央部には、一対の弾性保持片73が互いに対向するように設けられている。これらの弾性保持片73は、電線保持部72の底面側を基端部として上方に向けて延びるとともに、その先端付近に溝の内側に向けて膨出する膨出部74を有した形態をなしている。弾性保持片73は、その背面側および側面側に基端部を残して周囲の溝壁と分離するスリット75が設けられることにより、外側に向けてやや弾性変形可能とされている。電線保持部72内に収容された検知電線Wは、この弾性変形可能な弾性保持片73により弾性的に保持され、膨出部74により上方側への抜け止めが行われるようになっている。
【0065】
取付部80は、高架部71のY軸方向における両端縁から下方に向けて延びる外壁81と、外壁81の内側において外壁81と平行に配される内壁85と、を有する二重構造をなしている(
図19参照)。
【0066】
外壁81は、
図18に示すように、内壁85よりもZ軸方向の長さが短く設定されており、中間部連結部材70が絶縁保持部材31に対して取り付けられた際に、その下面が隔壁35の上面に当接する長さに設定されている(
図20参照)。
【0067】
外壁81のうちX軸方向における両端部寄りには、下方に向けて延びる一対の係止片82が設けられている。係止片82の下端部には、
図19に示すように、内壁85に向けて突出する係止爪82Aが設けられており、絶縁保持部材31の係止孔37の上縁に係止可能とされている。
【0068】
一方内壁85は、外壁81よりもZ軸方向の長さが長く設定されており、X軸方向における中央部の下端縁からは、絶縁保持部材31の隔壁35の外側に設けられた案内突部43を案内するためのスリット86が上下方向(Z軸方向)に延びて設けられている。また、スリット86を挟んだ両側には、中間部連結部材70が絶縁保持部材31対して取り付けられた際に、絶縁保持部材31の側壁34Bの上面に当接する二対の当接リブ87が、上下方向(Z軸方向)に延びて設けられている(
図20参照)。
【0069】
また、高架部71は、
図16に示すように、Y軸方向における中央部分の板厚が両端側の板厚よりも厚く設定された厚板部71Aとされることにより、剛性を高めている。一方、両端側は中央部分(厚板部71A)と比較して板厚が薄く設定された薄板部71Bとされることにより、両端側においては比較的容易に弾性変形可能とされており、中間部連結部材70を絶縁保持部材31に取り付ける際のY軸方向における公差を吸収可能としている。
【0070】
(ダクト90)
単電池群10の上面には、単電池11内で発生したガスを外部に排気するダクト90が設けられている。ダクト90は合成樹脂材料からなり、
図21に示すように、断面が二段形状とされた天板部91と、天板部91のうち前後方向(X軸方向)に沿った両側縁部から下方に向けて延びる一対の側壁部92と、一対の側壁部92の両下端縁部から外側に向けて水平方向に延びる突当部93と、を有している。
【0071】
天板部91の上面には、
図5に示すように、後述する電子制御ユニット100の固定孔103内に貫通される2対の丸棒状の取付突部94が、上方に向かって突出形成されている。この取付突部94の外周面にはネジ溝(図示せず)が設けられており、ここにナット18が螺合されることにより、電子制御ユニット100とダクト90とが一体化されるようになっている。
【0072】
天板部91のうち、これら取付突部94が設けられている箇所においては、天板部91は幅広な平坦な板状をなした取付部91Aとされている。取付部91Aにおけるダクト90の断面は、略凹形状をなしている。
【0073】
また天板部91のうち、二段形状をなして低い位置に配された領域は、中間部連結部材70の電線保持部72および検知電線Wを逃がすための逃がし部91Bである。すなわち、電池モジュールMが組み立てられた状態においては、逃がし部91Bの上面に中間部連結部材70の電線保持部72および電線Wが配されるようになっている。
【0074】
単電池11のガス排出部16から排出されたガスは、ダクト90により形成された通気空間を通して電池モジュールMの外部に排出される。
【0075】
(電子制御ユニット100)
電子制御ユニット100は、
図23に示すように、略直方体状のケース101の内部に、マイクロコンピュータ、素子等が搭載された検出回路基板を収容してなり、単電池11の電圧・電流・温度等を検出して、各単電池11の監視制御等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
【0076】
ケース101の底部からは、前後方向(X軸方向)に沿って一対の板状の固定部102が互いに反対側に向けて延設されている。これら固定部102には一対の固定孔103が並んで設けられている。またこれら固定部102と、ケース101との境界部分にはヒンジ部104が設けられており、電子制御ユニット100がダクト90に取り付けられる際に、このヒンジ部104によりX軸方向およびZ軸方向の公差が吸収可能とされている。
【0077】
また、ケース101の前面および後面には、電線側のコネクタ部110と接続するためのコネクタ部105設けられている。これらコネクタ部105は、ケース101のY軸方向における中央部よりも第1絶縁保持部材31A側に寄った位置に設けられている。
【0078】
(配線モジュール30の組立方法)
次に、配線モジュール30の組み立て方法について説明する。
【0079】
まず、所定の個数の連結ユニット32を用意し、検知電線Wと接続されたバスバー20をバスバー収容部33内に上方から挿入して、複数の連結ユニット32を連結状態とする。バスバー20は、端部が弾性係止片36,38の係止爪36A,38Aに係止されることにより、バスバー収容部33内にから上方側に抜けることが防止される。
【0080】
また、凹部22内に隣り合う連結ユニット32の各係止壁39が係止されることにより、隣り合う連結ユニット32が連結される。この時、互いに連結された連結ユニット32は、凹部22と係止壁39との間にクリアランスCが設けられていることにより、その連結方向(X軸方向)において伸張可能とされる。すなわち、複数の連結ユニット32により形成された絶縁保持部材31は、単電池群10に取り付ける際に、X軸方向において公差吸収可能とされている。
【0081】
また、バスバー20の電線圧着部23は、保持溝42内に収容される。保持溝42から第1電線収容溝40内に導出された検知電線Wは、第1電線収容溝40内の所定方向に向けて配策される。
【0082】
この時、第1電線収容溝40の一対の溝壁部40A,40Bの上端には、複数の抜け止め片41が設けられているから、検知電線Wが第1電線収容溝40からはみ出すことが防止される。
【0083】
次に、上記のようにして組み立てられた一対の絶縁保持部材31の両端部間に、端部連結部材50を取り付ける。端部連結部材50は、その第2電線収容溝51が絶縁保持部材31の第1電線収容溝40と連なるように取り付けられ、固定される(
図9参照)。
【0084】
第1電線収容溝40内に配策された検知電線Wは、第1電線収容溝40の開口端部から第2電線収容溝51内に導入され、端部連結部材50の連結部55、傾斜部53、高架部54、電線導出部の傾斜部57および水平部58を通って、外部に導出される。そして、先端側が電線側のコネクタ部105に接続される。
【0085】
このように検知電線Wが第2電線収容溝51内に配策された後、蓋部60をヒンジ部61により回動させて、第2電線収容溝51の開口の一部を上方側から覆う。蓋部60は、蓋本体62が高架部54を覆い、第1延出部63が傾斜部53を覆い、第2延出部64が傾斜部57を覆うとともに、複数の係止片65が係止突部59に係止されることにより、第2電線収容溝51の一部を閉塞状態とする。この蓋部60により、検知電線Wが第2電線収容溝51からはみ出すことが確実に防止される。
【0086】
また、水平部58の周囲に固定用のテープ45を巻回することにより、水平部58においても検知電線Wが第2電線収容溝51からはみ出すことが防止される。
【0087】
次に、両端部が端部連結部材50により連結された一対の絶縁保持部材31の中間部分に、複数個(本実施形態では4つ)の中間部連結部材70にを取り付ける。
【0088】
中間部連結部材70は、
図10、
図19および
図20に示すように、その取付部80の外壁81に設けられた係止片82の係止爪82Aが、絶縁保持部材31(連結ユニット32)の係止孔37の上縁に係止されることにより、絶縁保持部材31に対して取り付けられる。この取付作業の際、中間部連結部材70は、連結ユニット32の外面に設けられた案内突部43が内壁85に設けられたスリット86内に案内されることにより、絶縁保持部材31に対して正規の姿勢で取り付けられる。係止片82は、係止爪82Bの傾斜状の下面により外側に向けて弾性変形されるとともに、係止爪82Bの上面が係止孔37の上縁に達したところで弾性復帰する(
図19参照)。
【0089】
一方、これと同時に、外壁81の下面が隔壁35と側壁34Bとの交差部の上面に当接するとともに、内壁85の当接リブ87の下面が、側壁34Bの上面に当接する(
図20参照)。これにより、係止片82の下方側への移動が規制され、係止爪82Aが係止孔37に対して係止状態に保持される。
【0090】
またこの時、係止孔37のうち、係止片82が係止される領域の幅は、係止片82の幅よりも若干大きく設定されているから、係止片82は係止孔37内においてX軸方向に公差吸収可能とされている。
【0091】
さらに、高架部71の両端部付近には、板厚が薄くされた薄板部71Bが設けられているから、この薄板部71Bが比較的容易に変形することにより、Y軸方向の公差も吸収可能とされている。その一方、高架部71は厚板部71Aを有しているから、必要な剛性は確保される。
【0092】
このように複数の中間部連結部材70を一対の絶縁保持部材31に取り付けた後、端部連結部材50の電線導出部56から導出された検知電線Wを、中間部連結部材70の電線保持部72内に収容する。検知電線Wは、弾性保持片73を外側に向けて弾性変形させながら電線保持部72内に収容され、その後弾性保持片73が弾性復帰することにより、上方側へ抜けることが防止される。
【0093】
これにより、配線モジュール30が完成する(
図22参照)。
【0094】
次に、電極12を上に向けた状態で並べられた単電池群10の上面10A(電極面)に、ガス排出部16を覆うようにダクト90を配し、上方側から配線モジュール30を取り付ける。具体的には、
図22に示すように、配線モジュール30をダクト90の上方側から近づけ、バスバー20の端子貫通孔21内に電極ポスト14を貫通させる。そしてナット18を電極ポスト14に螺合させ、締め付けることにより、電極12とバスバー20とを電気的に接続させる。
【0095】
この時検知電線Wは、第1電線収容溝40、第2電線収容溝51、および、電線保持部72に収容・保持されているから、ナット18の締め付け作業の邪魔になることがない。
【0096】
次に、電子制御ユニット100を、固定孔103に取付突部94を貫通させ、ナット18を螺合させるとともに締め付けることにより、ダクト90に対して固定する。この時、固定部102はケース101の底部とヒンジ部104を介して連結されているから、このヒンジ部104により、X軸方向およびY軸方向の公差を吸収することができる(
図23参照)。
【0097】
そして最後に、電子制御ユニット100のコネクタ部105に、検知電線Wの先端に連結されたコネクタ部110を接続することにより、電池モジュールMが完成する(
図1ないし
図4参照)。
【0098】
このような電池モジュールMの完成状態において、端部連結部材50は、本体部52に高い位置に配された高架部54が設けられることにより、高架部54の下方においてダクト90を逃がし、ダクト90の上面に架け渡されるようになっている。すなわち、ダクト90の開口を塞いでしまうことがない。
【0099】
一方、電線導出部56から導出された検知電線Wは、絶縁保持部材31とほぼ同じ高さに配されるようになっているから、低背化を図ることができる。
【0100】
また、中間部連結部材70は、同じく、取付部80より高い位置に高架部71が配されていることにより、高架部71の下方においてダクト90を逃がし、ダクト90の上面に架け渡されるようになっている。
【0101】
一方、中間部連結部材70には電線保持部72が設けられているから、中間部連結部材70を横切って配索される検知電線Wを電線保持部72において安定的に保持可能としている。しかも、電線保持部72は高架部71から窪むように設けられているから、検知電線Wが高架部71より高い位置に配策されることがなく、低背化が可能である。
【0102】
(本実施形態の作用、効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
【0103】
本実施形態の配線モジュール30によれば、絶縁保持部材31は一対の電極群19毎に設けられる構成であるから、絶縁保持部材31を構成する樹脂量を削減することができ、小型化および軽量化が図れる。しかも、一対の絶縁保持部材31は、各端部同士が端部連結部材50により連結されるとともに、中間部が中間部連結部材70により連結されているから、変形し難く、単電池群10へ取り付ける際にも一括で取り付けることができる。
【0104】
また、検知電線Wは、絶縁保持部材31に設けられた第1電線収容溝40、端部連結部材50に設けられた第2電線収容溝51、中間部連結部材70に設けられた電線保持部72に収容・保持されているから、バスバー20と電極12との接続作業(ボルト締め)の際に検知電線Wが邪魔になることがなく、接続作業性に優れる。
【0105】
さらに、検知電線Wが頻繁に屈曲される第2電線収容溝51には蓋部60が設けられているから、この部分において検知電線Wが溝からはみ出すことが確実に防止される。しかも蓋部60は、ヒンジ部61を介して高架部54に開閉回動可能に設けられているから、部品点数が増えることもない。
【0106】
また、絶縁保持部材31は複数の連結ユニット32を連結することにより構成されているから、必要に応じて連結ユニット32の追加が可能であり、一体型の絶縁保持部材31を製造する場合と比較して製造コストを安くすることができる。しかも、連結ユニット32をその連結方向(X軸方向)、すなわち、単電池11の並び方向について伸縮可能な構成としているから、単電池群10に対して取り付ける際に公差吸収可能である。
【0107】
また、このような伸縮可能な絶縁保持部材31(連結ユニット32)に取り付けられる中間部連結部材70も、絶縁保持部材31(連結ユニット32)に対してX軸方向について公差吸収可能な構成とされているから、配線モジュール30全体を歪ませることなく、良好な状態で単電池群10に取り付けることができる。
【0108】
さらに、端部連結部材50および中間部連結部材70は、いずれもダクト90の上面に沿うように配される構成であるから、端部連結部材50がダクト90の開口を塞ぐことがなく、かつ、低背化が可能でコンパクトな構成の配線モジュール30を得ることができる。
【0109】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0110】
(1)上記実施形態では、各絶縁保持部材31を複数の連結ユニット32を連結させることにより構成する形態を示したが、各絶縁保持部材31は、それぞれ一体的に形成されている形態としてもよい。
【0111】
(2)上記実施形態では、端部連結部材50に蓋部60を設ける構成としたが、蓋部60は必ずしも設けなくてもよい。また、蓋部60の構成や取り付け方法も上記実施形態に限るものではなく、適宜変更することができる。
【0112】
(3)中間部連結部材70を設ける位置や数は、上記実施形態に限るものではない。また、中間部連結部材70は必ずしも設けなくてもよい。
【0113】
(4)上記実施形態では、中間部連結部材70に電線保持部72を設ける構成としたが、電線保持部72の構成は上記実施形態に限るものではない。また、必ずしも設けなくてもよい。
【0114】
(5)上記実施形態では、中間部連結部材70を、絶縁保持部材31に対してX軸方向およびY軸方向に公差吸収可能な構成としたが、公差吸収可能な構成は上記実施形態に限るものではなく、適宜変更することができる。また、必ずしも公差吸収可能な構成としなくてもよい。
【0115】
(6)上記実施形態では、端部連結部材50がダクト90の上面に沿う形態を示したが、必ずしもダクト90の上面に沿わせなくてもよく、例えば、X軸方向に張り出させたり、下方側に向けて屈曲させたりしてもよい。