(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-138854(P2015-138854A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】ソーラーパネル清掃装置およびソーラーパネル清掃装置の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/042 20140101AFI20150703BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20150703BHJP
B08B 13/00 20060101ALI20150703BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20150703BHJP
B08B 7/04 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
H01L31/04 R
B08B1/04
B08B13/00
B08B3/02 F
B08B7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-9079(P2014-9079)
(22)【出願日】2014年1月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宇田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】大西 工
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F151
【Fターム(参考)】
3B116AA01
3B116AA31
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA14
3B116BA35
3B116BB22
3B116CD23
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA01
3B201AA31
3B201AB54
3B201AB56
3B201BA02
3B201BA14
3B201BA35
3B201BB22
3B201BB92
3B201BB98
3B201CD23
3B201CD42
3B201CD43
5F151JA15
(57)【要約】
【課題】ソーラーパネルの受光面を清掃部により清掃するソーラーパネル清掃装置において、清掃部に付着した汚水の受光面への落下を効果的に抑制する。
【解決手段】ソーラーパネルの受光面100a上を走行する本体部10と、洗浄液が撒かれた受光面100a上を、本体部10とともに移動して受光面100aを清掃する清掃部20と、清掃部20が受光面100aの端から突出しているときに、清掃部20に付着している汚水を除去するための自浄モードを実行する制御部13と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルの受光面上を走行する本体部と、
洗浄液が撒かれた前記受光面上を、前記本体部とともに移動して前記受光面を清掃する清掃部と、
前記清掃部が前記受光面の端から突出しているときに、前記清掃部に付着している汚水を除去するための自浄モードを実行する制御部と、
を備えることを特徴とするソーラーパネル清掃装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記清掃部が前記受光面の端から突出した状態で停止するように、前記本体部の走行を制御する請求項1に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項3】
前記受光面の端を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部からの出力に基づいて、前記清掃部が前記受光面の端から突出した状態で停止するように、前記本体部の走行を制御する請求項2に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項4】
前記清掃部は、前記受光面に対して回転するブラシを有し、
前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記ブラシを回転させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記清掃部を揺動させる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項6】
前記清掃部に向けて液体または気体を吐出する吐出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記吐出手段から前記液体または前記気体を吐出させる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のソーラーパネル装置。
【請求項7】
ソーラーパネルの受光面上を走行する本体部と、洗浄液が撒かれた前記受光面上を、前記本体部とともに移動して前記受光面を清掃する清掃部と、を備えるソーラーパネル清掃装置の洗浄方法であって、
前記清掃部を前記受光面の端から突出させる工程と、
前記受光面の端から突出した状態の前記清掃部に対して、前記清掃部に付着している汚水を除去するための自浄モードを実行する工程と、
を備えることを特徴とするソーラーパネル清掃装置の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルの受光面を清掃するソーラーパネル清掃装置およびその洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーを利用する発電システムの1つとして、太陽光エネルギーを利用するソーラーシステムの普及が進んでいる。ソーラーシステムはソーラーパネルの受光面を太陽に向けて屋外に設置するものであり、工場、ビル、一般家屋等の屋根や屋上を有効活用して、ソーラーパネルを設置できる利点もある。ソーラーパネルは太陽の照る方向(日本では南方)へ受光面を傾斜させて設置されることが多い。
【0003】
ソーラーパネルは、光起電力効果によって太陽光を即時に電力に変換する太陽電池を組み込んだ複数のセルをパネル状に組み立てたものであり、一般的なソーラーシステムでは複数のパネルユニットを縦横に並べて接続したアレイとして用いられる。大規模なメガソーラーシステムでは、パネルユニットを接続したアレイの全長が数100mに達するものもある。
【0004】
これらのソーラーパネルは屋外に設置されるので、大気や雨水に含まれる塵埃や、鳥の糞、枯葉等の異物が受光面に付着する。このため、これらの受光面に付着した塵埃や異物によって太陽光が遮断され、発電効率が低下することが、ソーラーシステムの大きな問題となっている。この発電効率の低下を防止するためには、ソーラーパネルの受光面を適宜清掃して、付着した塵埃や異物を除去すればよいが、ソーラーパネルは屋根や屋上等の高所に設置されることが多いので、安全性等の面から人手による清掃は困難である。また、広大な受光面を有するメガソーラーシステムでは、人手による清掃は多大な手間を必要とする。
【0005】
そこで、例えば特許文献1では、受光面の清掃を行うソーラーパネル清掃装置に自走手段を設けて、自走式に構成することが提案されている。具体的には、ソーラーパネルの大きさや形状を認識するための認識手段を設け、当該認識手段からの出力に基づいて、ソーラーパネルの受光面上を順次走行するように上記自走手段を制御する。こうすることで、ソーラーパネルの全域を、安全で効率的に清掃できるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−186819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のソーラーパネル清掃装置は、例えば回転ブラシを用いて受光面の清掃を行うものとなっており、洗浄液が撒かれた受光面を回転ブラシで清掃することによって、受光面を効果的に清掃することができる。このように洗浄液を用いて清掃を行う場合には、清掃に供された洗浄液が塵埃や異物を含んで汚水となり、この汚水が回転ブラシ等に付着する。そして、回転ブラシ等に汚水が付着したままであると、回転ブラシ等から受光面に汚水が落下して、受光面を汚染するおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明では、ソーラーパネルの受光面を清掃部により清掃するソーラーパネル清掃装置において、清掃部に付着した汚水の受光面への落下を効果的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明にかかるソーラーパネル清掃装置は、ソーラーパネルの受光面上を走行する本体部と、洗浄液が撒かれた前記受光面上を、前記本体部とともに移動して前記受光面を清掃する清掃部と、前記清掃部が前記受光面の端から突出しているときに、前記清掃部に付着している汚水を除去するための自浄モードを実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるソーラーパネル清掃装置の洗浄方法は、ソーラーパネルの受光面上を走行する本体部と、洗浄液が撒かれた前記受光面上を、前記本体部とともに移動して前記受光面を清掃する清掃部と、を備えるソーラーパネル清掃装置の洗浄方法であって、前記清掃部を前記受光面の端から突出させる工程と、前記受光面の端から突出した状態の前記清掃部に対して、前記清掃部に付着している汚水を除去するための自浄モードを実行する工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明(ソーラーパネル清掃装置およびソーラーパネル清掃装置の洗浄方法)によれば、清掃部が受光面の端から突出しているときに、清掃部に付着している汚水を除去するための自浄モードが実行される。したがって、自浄モードの実行により清掃部から除去された汚水は、主に受光面外に落下することになり、自浄モード実行中に汚水が受光面に落下することを抑制できる。さらに、自浄モードの実行により汚水が除去された清掃部でその後の清掃を行うことで、清掃中においても、汚水が清掃部から受光面に落下することを抑制できる。以上のように、本発明によれば、清掃部に付着した汚水の受光面への落下を効果的に抑制することが可能となる。
【0012】
ここで、前記制御部は、前記清掃部が前記受光面の端から突出した状態で停止するように、前記本体部の走行を制御すると好適である。
【0013】
かかる制御を行うことで、自浄モードを実行する際に、人手によりソーラーパネル清掃装置を移動させる必要がなく、容易かつ確実に自浄モードを実行することができる。
【0014】
また、前記受光面の端を検出する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部からの出力に基づいて、前記清掃部が前記受光面の端から突出した状態で停止するように、前記本体部の走行を制御すると一層好適である。
【0015】
このように、受光面の端を検出する検出部からの出力を利用することで、自浄モードを実行する際の清掃部の位置決めを精度よく行うことができる。
【0016】
前記清掃部は、前記受光面に対して回転するブラシを有し、前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記ブラシを回転させるようにしてもよい。
【0017】
このようにブラシを回転させることで、ブラシに付着している汚水を回転による遠心力で振り切ることができ、確実にブラシから汚水を除去することができる。
【0018】
また、前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記清掃部を揺動させるようにしてもよい。
【0019】
清掃部を揺動させることで、清掃部全体に対して水切りを行うことができる。このため、例えば清掃部がブラシ、ワイパー、カバー等の各部材を具備している場合に、各部材に付着している汚水を除去することができる。
【0020】
また、前記清掃部に向けて液体または気体を吐出する吐出手段をさらに備え、前記制御部は、前記自浄モードにおいて、前記吐出手段から前記液体または前記気体を吐出させるように構成してもよい。
【0021】
このように構成することで、吐出手段から清掃部に向けて液体を吐出すれば、清掃部に付着している汚水を当該液体で洗い流すことが可能であるし、また吐出手段から清掃部に向けて気体を吐出すれば、当該気体の気流により清掃部に付着している汚水を吹き飛ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、自浄モードの実行により清掃部から除去された汚水は、主に受光面外に落下することになり、自浄モード実行中に汚水が受光面に落下することを抑制できる。さらに、自浄モードの実行により汚水が除去された清掃部でその後の清掃を行うことで、清掃中においても、汚水が清掃部から受光面に落下することを抑制できる。したがって、清掃部に付着した汚水の受光面への落下を効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】ソーラーパネル清掃装置の(a)外観斜視図および(b)側面図である。
【
図2】ソーラーパネル清掃装置の清掃ラインの一例を示す平面図である。
【
図3】ソーラーパネル清掃装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】自浄モードにおける動作の第1例を模式的に示す側面図である。
【
図5】自浄モードにおける動作の第2例を模式的に示す側面図である。
【
図6】自浄モードにおける動作の第3例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[ソーラーパネル清掃装置の構成]
以下、図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、ソーラーパネル清掃装置の(a)外観斜視図および(b)側面図である。本実施形態のソーラーパネル清掃装置1は、ソーラーパネルの受光面上を自走する本体部10と、本体部10の前方に連結された清掃部20とを有して構成されている。そして、本体部10が受光面上を自走すると、本体部10と一体的に清掃部20が受光面上を走行し、清掃部20により受光面の清掃が行われる。
【0025】
本体部10は、自走手段として左右一対のクローラ11を有しており、クローラ11の上方にハウジング12が配置されている。ハウジング12内には、各電動部品の動作を制御するコントローラ13、各電動部品に電力を供給するバッテリー14、および受光面の清掃のための洗浄液を貯留するタンク15が収容されている。
【0026】
清掃部20は、本体部10のハウジング12に対して、左右に延びる軸Aを中心に揺動可能なケース21を有しており、ケース21に各種の洗浄手段が取り付けられている。清掃部20は、洗浄手段として、タンク15内の洗浄液を受光面に噴射するノズル22、洗浄液が撒かれた受光面に対して回転してブラッシングを行うブラシ23、およびブラッシングされた受光面をワイピングするワイパー24を備える。ノズル22はケース21の前面に設けられ、また、ブラシ23およびワイパー24は、これらの下部がケース21の下端から一部突出し、受光面に接触可能な状態で配設されている。
【0027】
さらに、ケース21の前面の中央部に、走行方向の前方を撮影するためのカメラ25が設けられている。また、ケース21の下面の前方に、超音波センサ26が設けられている。超音波センサ26は、下方に向かって超音波を発する送信部と、その反射波を検出する受信部とを有しており、超音波センサ26の直下に受光面が存在するか否かを検出することができる。つまり、超音波センサ26は、受光面の端を検出する検出部として機能する。ただし、このような検出部として、他の光学センサや接触式センサを利用してもよいし、カメラ25による画像データを用いて受光面の端を検出してもよい。
【0028】
[清掃ライン]
図2は、ソーラーパネル清掃装置の清掃ラインの一例を示す平面図である。ソーラーパネル清掃装置1が清掃するアレイ100は、ソーラーパネルを縦横に配列したパネルユニット101をさらに縦横に多数並べて構成されており、受光面100aは一方向に傾斜している。そして、ソーラーパネル清掃装置1は、受光面100a上を清掃ラインRに沿って自走しつつ、受光面100aの全域の清掃を行う。
【0029】
この例では、ソーラーパネル清掃装置1は、傾斜方向における位置を少しずつ変えながら、傾斜方向と直交する長手方向に沿った移動を繰り返す。具体的には、傾斜上端側の左端部をスタート地点とし、清掃ラインR1に沿って右方へ自走した後、受光面100aの右端部で傾斜方向を下る方向へ直角に向きを変え、清掃ラインR2に沿って所定の距離だけ移動する。続いて、左方向へ直角に向きを変えて、清掃ラインR3に沿って左方へ自走した後、受光面100aの左端部で傾斜方向を下る方向へ直角に向きを変え、清掃ラインR4に沿って所定の距離だけ移動する。そして、右方向へ直角に向きを変えて、清掃ラインR5に沿って右方へ自走する。このような移動を繰り返し行うことにより、ソーラーパネル清掃装置1は、受光面100aの全域を自走することになる。ただし、清掃ラインRの形態は、これに限定されるものではない。
【0030】
なお、ソーラーパネル清掃装置1(本体部10)の走行は、コントローラ13がクローラ11の動作を制御して行われる。また、ソーラーパネル清掃装置1が清掃ラインRに沿って走行しているか否かは、カメラ25から出力された前方の画像データに基づいて、コントローラ13が適宜判断する。その結果、ソーラーパネル清掃装置1が清掃ラインRから外れていると判断された場合には、コントローラ13が左右のクローラ11に速度差を与えることで、ソーラーパネル清掃装置1を清掃ラインRに戻す制御が行われる。
【0031】
[ソーラーパネル清掃装置の動作]
図3は、ソーラーパネル清掃装置の動作を示すフローチャートである。受光面100a上のスタート地点にセッティングしたソーラーパネル清掃装置1を作動させると、ソーラーパネル清掃装置1は清掃ラインRに沿って自走しつつ、受光面100aの清掃を行う(ステップS101)。具体的には、ソーラーパネル清掃装置1は、清掃ラインRに沿って自走しつつ、ノズル22から前方の受光面100aに洗浄液を噴射し、洗浄液が撒かれた受光面100aをブラシ23でブラッシングし、さらにブラッシングされた受光面100aをワイパー24でワイピングする。
【0032】
この間、清掃部20の前端部に設けられた超音波センサ26は、受光面100aの端の検出を継続的に行っている(ステップS102)。そして、超音波センサ26により受光面100aの端が検出されると、コントローラ13は、ブラシ23の回転を停止させ(ステップS103)、続いて、清掃部20が受光面100aの端から突出する位置まで、ソーラーパネル清掃装置1を走行させてから停止させる(ステップS104)。具体的には、例えば超音波センサ26により受光面100aの端が検出されてからの走行距離が、所定値となると走行を停止させるように、エンコーダ(不図示)からの出力値等に基づいてクローラ11の動作を制御すればよい。なお、ステップS103を省略し、ブラシ23を回転させたままステップS104に進んでもよい。
【0033】
続いて、コントローラ13からの指令信号により、清掃部20の自浄モードが実行される(ステップS105)。自浄モードとは、清掃部20に付着している汚水(洗浄液が塵埃や異物を含んで汚染されたもの)を除去するための制御モードであり、その具体的な動作については後述する。自浄モードは、あらかじめ定められた所定時間実行され、所定時間が経過すると終了する(ステップS106、S107)。自浄モードの終了後、受光面100aの清掃がまだ完了していない場合(ステップS108でNOの場合)には、ステップS101に戻って清掃ラインRに沿った清掃を再開する。以上の動作が、受光面100aの全域の清掃が完了するまで繰り返される。
【0034】
[自浄モード]
自浄モードにおける清掃部20の具体的な動作について説明する。
図4、
図5、
図6は、自浄モードにおける動作の第1例、第2例、第3例をそれぞれ模式的に示す側面図である。
【0035】
(第1例)
図4に示す自浄モードにおける動作の第1例は、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態のときに、コントローラ13からの指令信号に基づいて、ブラシ23を所定時間回転させるものである。ブラシ23を回転させることで、ブラシ23に付着している汚水を遠心力で振り切って除去することができる。このとき、ブラシ23から振り切られた汚水は、主に受光面100a外に落下することになり、汚水が受光面100aに落下することを抑制できる。また、ブラシ23から振り切られた汚水が受光面100a側に飛散する場合でも、ブラシ23の大部分はケース21に覆われているため、受光面100aに汚水が付着することを抑制できる。
【0036】
ここで、すでに説明したように、清掃部20は本体部10に対して軸Aを中心に揺動可能に構成されている。そこで、ブラシ23から振り切られた汚水が受光面100a側に飛散しにくいように、清掃部20を適当な位置に揺動させてからブラシ23を回転させてもよい。また、
図4では、清掃部20の全体を受光面100aの端から突出させた状態を示しているが、受光面100a側への汚水の飛散が問題にならないのであれば、清掃部20の一部のみを受光面100aの端から突出させるものとしてもよい。なお、このことは、次に説明する第2例、第3例においても同様である。
【0037】
(第2例)
図5に示す自浄モードにおける動作の第2例は、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態のときに、コントローラ13からの指令信号に基づいて、軸Aを中心に、清掃部20を本体部10に対して繰り返し揺動させるものである。こうすることで、ブラシ23に付着している汚水のみならず、カバー21の内面やワイパー24に付着している汚水も振り切って除去することができる。しかも、清掃部20の各部位から振り切られた汚水は、主に受光面100a外に落下することになり、汚水が受光面100aに落下することを抑制できる。
【0038】
なお、清掃部20の揺動を繰り返すことで、清掃部20から汚水を除去する効果はより高まると考えられるが、揺動を繰り返すことは必須ではない。また、清掃部20の揺動方向は本例に示したものに限らず、例えば前後方向や左右方向に揺動させてもよい。また、清掃部20のみを揺動させるのではなく、本体部10も含めてソーラーパネル清掃装置1全体を揺動させてもよい。
【0039】
(第3例)
図6に示す自浄モードにおける動作の第3例では、清掃部20に液体または気体を吐出する吐出手段として、タンク15内の洗浄液を吐出するノズル27がケース21内に設けられている。そして、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態のときに、コントローラ13からの指令信号に基づいて、ノズル27から洗浄液を吐出するものである。ここでは、洗浄液の吐出方向を主にブラシ23に向かう方向としており、洗浄液によりブラシ23に付着している汚水を洗い流して除去することができる。ブラシ23から洗い流された汚水は、主に受光面100a外に落下することになり、汚水が受光面100aに落下することを抑制できる。
【0040】
なお、本例では清掃部20のうち主にブラシ23に向けて洗浄液を吐出しているが、カバー21の内面やワイパー24に向けて洗浄液を吐出してもよいし、ノズル27を例えば首振り式に構成し、清掃部20の各部位に向けて洗浄液を吐出するようにしてもよい。また、洗浄液の代わりに別途用意した他の液体をノズル27から吐出してもよいし、空気等の気体をノズル27から吐出することで、気流によって汚水を吹き飛ばすようにしてもよい。
【0041】
[効果]
本実施形態のソーラーパネル清掃装置1では、清掃部20が受光面100aの端から突出しているときに、清掃部20に付着している汚水を除去するための自浄モードが実行される。したがって、自浄モードの実行により清掃部20から除去された汚水は、主に受光面100a外に落下することになり、自浄モード実行中に汚水が受光面100aに落下することを抑制できる。さらに、自浄モードの実行により汚水が除去された清掃部20でその後の清掃を行うことで、清掃中においても、汚水が清掃部20から受光面100aに落下することを抑制できる。以上のように、ソーラーパネル清掃装置1によれば、清掃部20に付着した汚水の受光面100aへの落下を効果的に抑制することが可能となる。
【0042】
また、ソーラーパネル清掃装置1においては、コントローラ(制御部)13が、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態で停止するように、本体部10の走行を制御している。したがって、自浄モードを実行する際に、人手によりソーラーパネル清掃装置1を移動させる必要がなく、容易かつ確実に自浄モードを実行することができる。
【0043】
さらに、ソーラーパネル清掃装置1では、受光面100aの端を検出する超音波センサ(検出部)26をさらに備え、コントローラ13が、超音波センサ26からの出力に基づいて、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態で停止するように、本体部10の走行を制御している。このように、受光面100aの端を検出する超音波センサ26からの出力を利用することで、清掃部20の位置決めを精度よく行うことができる。
【0044】
[変形例]
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上記実施形態の要素を適宜組み合わせまたは種々の変更を加えることが可能である。以下にその一例を示す。
【0045】
上記実施形態では、ソーラーパネル清掃装置1を自身で走行制御する自走式としたが、ソーラーパネル清掃装置1を自走式にすることは必須ではない。例えば、清掃ラインRに沿って敷設したレールの上を、ソーラーパネル清掃装置1が走行するように構成してもよい。また、遠隔操作により、ソーラーパネル清掃装置1の走行や自浄モードにおける動作を制御するようにしてもよい。この場合、遠隔操作により清掃部20が受光面100aの端から突出する位置までソーラーパネル清掃装置1を走行させ、当該位置に停止しているソーラーパネル清掃装置1に対して、遠隔操作により自浄モードの指令信号を発することで、コントローラ13が自浄モードを実行するように構成すればよい。
【0046】
上記実施形態では、自浄モードにおける動作の具体例として第1例、第2例、第3例をそれぞれ個別に示したが、各例に示した動作を組み合わせてもよいし、また他の動作を採用することも可能である。あるいは、清掃部20を受光面100aの端から突出させた状態で所定時間維持することにより、汚水を自然落下させて除去してもよい。
【0047】
上記実施形態では、受光面100aの端を検出する超音波センサ(検出部)26を設け、超音波センサ26からの出力に基づいて、本体部10の走行を制御した。しかしながら、このような検出部を設けることは必須ではない。例えば、クローラ11に対して設けられたエンコーダ(不図示)からの出力に基づいて本体部10の走行距離を演算し、当該走行距離があらかじめ定めた走行距離に達した場合に、清掃部20が受光面100aの端から突出した状態となっていると判断してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ソーラーパネル清掃装置
10 本体部
13 コントローラ(制御部)
20 清掃部
23 ブラシ
26 超音波センサ(検出部)
27 ノズル(吐出手段)
100a 受光面