(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-1390(P2015-1390A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】放射線汚染水処理方法及び処理装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/12 20060101AFI20141202BHJP
G21F 9/06 20060101ALI20141202BHJP
G21F 9/30 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
G21F9/12 501J
G21F9/12 501F
G21F9/06 521A
G21F9/30 515F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-124486(P2013-124486)
(22)【出願日】2013年6月13日
(71)【出願人】
【識別番号】308000034
【氏名又は名称】吉村 政宏
(72)【発明者】
【氏名】吉村 政宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】放射線汚染水より放射線物質を容易に除去できる方法、及びその設備を提供する。
【解決手段】放射線汚染水1を流入管2から混合手段5へ流入し、ゼオライト混入土壌3を接続手段4から混合手段へ投入し、混合手段により放射線汚染水とゼオライト混入土壌を混合する事により放射線汚染水中の放射線をゼオライト混入土壌へ吸着吸収させる。次いで、放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合物を選別手段8へ送り、選別手段で放射線汚染洗浄水と放射線を吸着吸収したゼオライト混入土壌に2分する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線汚染水を流入管から混合手段へ流入し、ゼオライト混入土壌を接続手段から前記混合手段へ投入し、前記混合手段により前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌を混合する事により放射線汚染水中の放射線を前記ゼオライト混入土壌へ吸着吸収させ前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌の混合物を選別手段へ送り、前記選別手段で放射線汚染洗浄水と放射線を吸着吸収したゼオライト混入土壌に2分する放射線汚染水処理方法。
【請求項2】
放射線汚染水を流入管から混合手段へ流入し、ゼオライト混入土壌を接続手段から前記混合手段へ投入し前記混合手段により前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌を混合する事により放射線汚染水中の放射線を前記ゼオライト混入土壌へ吸着吸収させ、前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌の混合物を選別手段へ送り、前記選別手段で放射線汚染洗浄水と放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌に2分する第1工程と、前記2分した放射線汚染洗浄水を放射線汚染洗浄水溜液槽へ流入し、前記放射線汚染洗浄水溜液槽へゼオライトと凝集剤を投入し、前記放射線汚染洗浄水溜液槽で放射線汚染洗浄水、ゼオライト及び凝集剤を混合し、前記混合された混合物を脱水手段で洗浄化水と汚泥に2分する第2工程と、前記第1工程の前記選別手段で2分した前記放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌を混合手段へ送り前記第2工程の前記脱水手段で2分した前記汚泥を前記混合手段へ投入しセメント及び多機能固化薬剤溶水液を前記混合手段へ投入し、前記放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌、前記汚泥、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合し、混合した混合物を容器へ投入して廃材を成型する第3工程とからなる放射線汚染水処理方法。
【請求項3】
放射性汚染水を流入管から回転式混合機へ流入し、ゼオライト混入土壌を接続手段から前記回転式混合機へ投入し前記回転混合機により前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌を混合する事により放射線汚染水中の放射線を前記ゼオライト混入土壌へ吸着吸収させ前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌の混合物を選別機へ送り、前記選別機で放射線汚染洗浄水と放射線を吸着吸収したゼオライト混入土壌に2分する放射線汚染水処理装置。
【請求項4】
放射線汚染水を流入管から回転式混合機へ流入し、ゼオライト混入土壌を接続手段から前記回転式混合機へ投入し前記回転式混合機により前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌を混合する事により放射線汚染水中の放射線を前記ゼオライト混入土壌へ吸着吸収させ前記放射線汚染水と前記ゼオライト混入土壌の混合物を選別手段へ送り前記選別機で放射線汚染洗浄水と放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌に2分する第1工程と、前記2分した放射線汚染洗浄水を放射線汚染洗浄水溜液槽へ流入し前記放射線汚染洗浄水溜液槽へゼオライトと凝集剤を投入し前記放射線汚染洗浄水溜液槽で放射線汚染洗浄水、ゼオライト及び凝集剤を混合し前記混合された混合物を脱水機で洗浄化水と汚泥に2分する第2工程と前記第1工程の前記選別機で2分した前記放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌を混合機へ送り前記第2工程の前記脱水機で2分した前記汚泥を前記混合機へ投入し、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を前記混合機へ投入し放射線等を吸着吸収した前記ゼオライト混入土壌、前記汚泥、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合し、混合した混合物を容器へ投入して廃材を成型する第3工程とからなる放射線汚染水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電所等で発生する放射線汚染水処理に関する放射線汚染水処理方法及び放射線汚染水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の放射線汚染水処理システムによれば、粘土、ゼオライトの粉、水をコンクリートミキサーに混合したものを型に流し込んで成型された粘土板を通過して放射線汚染水より放射線を取除く処理システムであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013−2931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、原子力発電所の場所で震災発生による原子力発電所、地方自治体等で発生、排出される放射線汚染水の処理問題を解決する事にある。
【0005】
従来は放射線汚染水を粘土板を通過して放射線汚染水より放射線物質を取除く構成であり粘土板製作する費用及び設備等の費用及び設備場所が必要であり、又粘土板の破損など考えられ、そして放射線汚染水より放射線物質を吸着、吸収した粘土板処理するための粘土板保管場所も考えていくという課題も有していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決する為に本発明は、放射線汚染水を流入管から混合手段へ流しゼオライト混入土壌を接続手段から混合機へ投入し混合手段により放射線汚染水とゼオライト混入土壌を混合する事により、放射線汚染水中の放射線をゼオライト混入土壌へ吸着、吸収させ放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合物を選別手段へ送り、選別手段で放射線洗浄水と放射線を吸着、吸収したゼオライト混入土壌に2分し、放射線汚染水処理を可能としたものである。
又、本願発明は、放射線汚染水を流入管から混合手段へ流しゼオライト混入土壌を接続手段から混合手段へ投入し混合手段より放射線汚染水とゼオライト混入土壌を混合する事により、放射線汚染水中の放射線をゼオライト混入土壌へ吸着、吸収させ放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合物を選別手段へ送り選別手段で放射線汚染水と放射線等を吸着、吸収したゼオライト混入土壌に2分する第1工程と、2分した放射線汚染洗浄水を放射線汚染洗浄水溜液槽へ流入し、放射線汚染洗浄水溜液槽へゼオライトと凝集剤を投入し放射線汚染洗浄水溜液槽で放射線汚染洗浄水、ゼオライト及び凝集剤を混合した物を、脱水手段で洗浄化水と汚泥に2分する第2工程と、第1工程の選別手段で2分した放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌を混合手段へ送り前記第2工程の前記脱水手段で2分した汚泥を混合手段へ投入し、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合手段へ投入し放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌、汚泥、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合し、混合したものを容器へ投入して廃材を成形する第3工程からなり放射線汚染水処理を可能としたものである。
又、本願発明は、放射線汚染水を流入管から回転式混合機へ流入しゼオライト混入土壌を接続手段から回転式混合機へ投入し回転式混合機により放射線汚染水とゼオライト混入土壌を混合する事により、放射線汚染水中の放射線をゼオライト混入土壌へ吸着、吸収させ、放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合物を選別機へ送り選別機で放射線汚染洗浄水と放射線を吸着、吸収したゼオライト混入土壌に2分する放射線汚染水処理装置を実現するものである。
又、本願発明は、放射線汚染水を流入管から回転式混合機へ流入し、ゼオライト混入土壌を接続手段から回転式混合機へ投入し回転式混合機により放射線汚染水とゼオライト混入土壌を混合する事により、放射線汚染水中の放射線をゼオライト混入土壌へ吸着、吸収させ放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合物を選別機へ送り選別機で放射線汚染水と放射線等を吸着、吸収したゼオライト混入土壌に2分する第1工程と、2分した放射線洗浄水を放射線汚染洗浄水溜液槽へ流し放射線洗浄水溜液槽へゼオライトと凝集剤を投入し、放射線汚染洗浄水溜液槽で放射線洗浄水、ゼオライト及び凝集剤を混合し、混合した混合物を脱水機で洗浄化水と汚泥と2分する第2工程と、第1工程の選別機で2分し放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌を混合機へ送り第2工程の脱水機で2分した汚泥を混合機へ投入し、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合機へ投入し放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌、汚泥、セメント及び多機能固化薬剤溶水液を混合し、混合した混合物を容器へ投入して、廃材を成形する第3工程とからなり放射線汚染水処理装置を実現するものである。
【発明の効果】
【0007】
本願発明によれば、放射線汚染水処理対象である原子力発電所で発生する放射線汚染水をゼオライト混入土壌で、放射線汚染水より放射線を吸着吸収する事が出来るのである。又吸着吸収した後の放射線汚染水を再度ゼオライト等を混入して放射線汚染水より放射線を効果的に除去できる放射線除去方法及び放射線除去装置を提供する事が出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】放射線汚染水とゼオライト混入土壌の混合機及び選別機
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面に基づいて本発明の実施例を説明する
【0010】
図1に示す混合手段である回転式混合機5は、内面に羽根6付でこの羽根6は流入管2より送られてくる放射線汚染水1と接続手段4より送られてくるゼオライト混入土壌3を回転式混合機5内で混合対流時間を多くし放射線汚染水1とゼオライト混入土壌3を効率良く混合し放射線汚染水1より、ゼオライト混入土壌3へ放射線を効率良く吸着、吸収する働きをする為の形状羽根6である。又ゼオライト混入土壌3の固まりが有れば放射線汚染水1との混合時にゼオライト混入土壌3を細かく破砕し放射線汚染水1との混合を良くし、放射線汚染水1より放射線をゼオライト混入土壌3へ吸着吸収の働きが良くなる。
【0011】
ゼオライト混入土壌3において土壌へのゼオライト混入量は土壌体積の10〜30%とする事が放射線汚染水1とゼオライト混入土壌3が回転式混合機5で混合し放射線汚染水1より放射線を吸着、吸収の働きが効果的である。
【0012】
放射線汚染水1を流入管2を通して回転式混合機5へ投入し、同時にゼオライト混入土壌3が接続手段4を通して、回転式混合機5へ送られて放射線汚染水1とゼオライト混入土壌3と混合し放射線汚染水1よりゼオライト混入土壌3へ放射線を吸着吸収する。
【0013】
回転式混合機5で混合した混合物は選別手段である選別機8へ接続手段7を通して送る。
ここで流入管2、接続手段4、回転式混合機5、接続手段7および選別機8で、第1工程を構成する
【0014】
接続手段7から送られてきた混合物は選別機8で放射線汚染洗浄水101と放射線等を吸着吸収したゼオライト混入土壌102とに2分する。
【0015】
2分した放射線汚染洗浄水101は接続手段9を通して第2工程の放射線汚染洗浄水溜液槽10へ送る。
【0016】
放射線汚染洗浄水101の入った放射線汚染洗浄水溜液槽10へゼオライト11を放射線汚染洗浄水量の10〜20%を投入し又、凝集剤12を放射線汚染洗浄水量の0.5〜5%を投入し放射線汚染洗浄水101より再度放射線を取除く為、ゼオライト11及び凝集剤12を投入する。又凝集剤12により脱水手段である脱水機14で放射線汚染洗浄水101を洗浄化水103と汚泥104に2分しやすい為に凝集剤12を投入する。
【0017】
放射線汚染洗浄水溜液槽10で放射線汚染洗浄水101とゼオライト11及び凝集剤12の混合物105は脱水機14へ送られる。
【0018】
接続手段13で送られてきた混合物105を脱水機14で洗浄化水103と汚泥104に2分する。
【0019】
脱水機14で2分した洗浄化水103は接続手段15を通して洗浄化水槽16へ送る。
【0020】
洗浄化水槽16へ送られてきた洗浄化水103は再利用するか、海等へ廃棄処理する。
【0021】
第1工程の選別機8で2分した放射線等吸着吸収したゼオライト混入土壌102を第3工程の混合手段である混合機19へ接続手段17を通じて送る。又、第2工程の脱水機14で2分した汚泥104も接続手段18を通じて第3工程の混合機19へ送り混合する。
【0022】
混合機19で混合した第1工程よりの放射線等吸着吸収したゼオライト混入土壌102と第2工程よりの汚泥104とが混合された物へセメント20と多機能固化薬剤溶水液21を投入し混合する。
【0023】
多機能固化薬剤溶水液21の働きはゼオライト混入土壌102とセメント20を固化する働きを助けると共に、ゼオライト混入土壌102とセメント20と多機能固化薬剤溶水液21の混合した混合物から固化後セレン、六価クロム等の溶出を少なくする働きがある。
【0024】
混合機19で混合した混合物106は接続手段22で容器23へ投入し養生する。
【0025】
容器23内で養生し容器23より取り出した廃材24は、土石廃材等の使用場所にて使用する、又小さく破砕して他の土石廃材に混合して使用する事も出来る。ここで、混合機19、セメント20、多機能固化薬剤溶水液21、容器23及び廃材24で第3工程を構成する
【0026】
放射線汚染水1より放射線を取除く吸着吸収材料であるゼオライト混入土壌3の代わりに震災地発生場所等で発生する土石廃材の内、10mm以下で且つ、木くず、金属片等を取除いた土石廃材へゼオライトを混入したゼオライト混入土壌を用いても良い。
【0027】
第3工程の混合機19へ第1工程よりの放射線等吸着、吸収したゼオライト混入土壌102と第2工程よりの汚泥104との混合物の放射線量が安全性量より放射線量が多いと考えられている時は、混合機19で第1工程よりの放射線等吸着吸収したゼオライト混入土壌102と第2工程よりの汚泥104の混合物に別の土壌等(図に示せず)を加え、混合する事により、加えた土壌(図に示せず)に拡散し放射線量の安全性を高めた後セメント、多機能固化薬剤溶水液を混合し廃材を作り処理する事も可能である。
【0028】
尚、図において二点鎖線は第1工程、第2工程、第3工程を示す線である
【符号の説明】
【0029】
1・・・放射線汚染水
2・・・流入管
3・・・ゼオライト混入土壌
4・・・接続手段
5・・・回転式混合機(混合手段)
6・・・羽根
7・・・接続手段
8・・・選別機(選別手段)
9・・・接続手段
10・・・放射線汚染洗浄水溜液槽
11・・・ゼオライト
12・・・凝集剤
13・・・接続手段
14・・・脱水機(脱水手段)
15・・・接続手段
16・・・洗浄化水槽
17・・・接続手段
18・・・接続手段
19・・・混合機(混合手段)
20・・・セメント
21・・・多機能固化薬剤溶水液
22・・・接続手段
23・・・容器
24・・・廃材
101・・・放射線汚染洗浄水
102・・・ゼオライト混入土壌
103・・・洗浄化水
104・・・汚泥
105・・・混合物
106・・・混合物