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特開2015-139070機器検出端末、ネットワークアドレス予想サーバ、機器検出方法、及び機器検出端末用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-139070(P2015-139070A)
(43)【公開日】2015年7月30日
(54)【発明の名称】機器検出端末、ネットワークアドレス予想サーバ、機器検出方法、及び機器検出端末用プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20150703BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20150703BHJP
【FI】
   H04L12/70 B
   H04L12/28 200A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-9001(P2014-9001)
(22)【出願日】2014年1月21日
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
【Fターム(参考)】
5K030KA07
5K030LE16
5K033AA02
5K033CB04
5K033DB14
5K033EC03
(57)【要約】
【課題】プライベートネットワーク上の電子機器を効率的に検出する。
【解決手段】
ネットワークアドレス予想サーバ200と通信可能に接続された機器検出端末10は、ネットワークアドレス予想サーバ200から、プライベートネットワークにおいて電子機器50に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信し、受信した予想アドレスに割り当てられた電子機器50が存在するかを確認し、存在を確認した電子機器50について、当該電子機器50の機器情報を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末であって、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信する予想アドレス受信手段と、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認する電子機器存在確認手段と、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得する電子機器情報取得手段と、
を備えることを特徴とする機器検出端末。
【請求項2】
請求項1に記載の機器検出端末であって、
前記存在を確認した電子機器と、同一ネットワーク上で通信可能に接続された他の電子機器を、前記電子機器に検出させる電子機器検出実行手段と、
を備え、前記検出された他の電子機器に関しても情報を取得することを特徴とする機器検出端末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の電子機器検出端末であって、
前記取得した電子機器に関する情報と、当該電子機器のネットワークアドレスとに基づいて、ネットワークマップを生成するネットワークマップ生成手段と、
を備えることを特徴とする機器検出端末。
【請求項4】
ネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末と通信可能に接続され、記憶部に統計情報データベースを備えるネットワークアドレス予想サーバであって、
前記機器検出端末から、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを受信するネットワークアドレス受信手段と、
前記受信した、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを、関連付けて前記統計情報データベースに記憶させるネットワークアドレス記憶手段と、
前記記憶させた、前記電子機器に割り当てられるネットワークアドレスの統計情報を生成する統計情報生成手段と、
前記生成した統計情報に基づいて、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求めるネットワークアドレス予想手段と、
前記機器検出端末に、前記求めたネットワークアドレスを送信する予想アドレス送信手段と、
を備えることを特徴とするネットワークアドレス予想サーバ。
【請求項5】
前記ネットワークアドレス予想手段において、前記生成した統計情報に加え、前記求めたネットワークアドレスを送信する前記機器検出端末から、既に受信した電子機器の情報とネットワークアドレスを利用して、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求めることを特徴とする請求項4に記載のネットワークアドレス予想サーバ。
【請求項6】
ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末が実行する機器検出方法であって、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信するステップと、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認するステップと、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得するステップと、
を備えることを特徴とする機器検出方法。
【請求項7】
ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末に、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信するステップ、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認するステップ、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得するステップ、
を実行させることを特徴とする機器検出端末用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統計情報に基づいてプライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末、ネットワークアドレス予想サーバ、機器検出方法、及び機器検出端末用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公衆回線網に接続された携帯端末をWebサーバ等と接続することで、ユーザに様々なサービスが提供されている。特に、スマートフォン(高機能携帯電話)の登場により、従来、パソコンに対して行われていた高度なサービスを、携帯電話で行うことが可能になってきた。
【0003】
また、スマートフォンのみならず、従来ネットワークには繋がっていなかった様々な機器がネットワークへの接続に対応し、別の機器と情報のやり取りを行いながら、高度な機能を提供する場面が増加している。
【0004】
一方で、ネットワーク構造の複雑化に伴い、ネットワーク上に接続された別の機器の存在を把握したり、当該機器の機種情報を取得したりすることで、ネットワークをより有効に活用したいといった場面も出てきている。
【0005】
このような課題に対して、ネットワーク上のネットワーク機器を検出する時間を短縮可能なネットワーク上の機器検出方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−224193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、ネットワーク機器は、自機のネットワーク上のアドレスを示す第1のタグおよび自機の種類を識別するための第2のタグをネットワーク上に送出し、他のネットワーク機器は、この第1のタグおよび第2のタグを受信してネットワーク機器を検出することで、ネットワーク上の他の機器を検出する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1のように同一のネットワーク上にある機器を効率的に探索する手法も考案されているが、接続可能でありながら他のルータやスイッチングハブを介して別のネットワークセグメントに機器がある場合、タグを送出する送出先のアドレスを特定すること自体が困難である場合が多い。そのような状況では例えば、総当たりでアドレスを探す場合、1500万件以上のアドレスに対してタグを送付する場合が出てきてしまう。
【0009】
一方で、本発明者はプライベートネットワーク上の各アドレスについて、機器に割り当てられる確率には統計的に有意な差があるとことに着目し、様々なネットワーク上での検出結果をサーバで統計処理することで、機器の検出を効率的に行うことができる点に着目した。
【0010】
また、検出した機器が、同一ネットワーク上の機器を検出する機能を有する場合には、全ての機器のアドレスを検出せずとも、別セグメントにあるネットワークの存在さえ確認できれば、より効率的に機器の検出を行うことができる点に着目した。
【0011】
本発明は、各機器に割り当てられたネットワークアドレスの件数を統計的に処理することで、統計情報に基づいてプライベートネットワーク上の別セグメントにある電子機器を検出可能な機器検出端末、ネットワークアドレス予想サーバ、機器検出方法、及び機器検出端末用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末であって、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信する予想アドレス受信手段と、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認する電子機器存在確認手段と、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得する電子機器情報取得手段と、
を備えることを特徴とする機器検出端末を提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末は、前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信し、前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認し、前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得する。
【0015】
第1の特徴に係る発明は、機器検出端末のカテゴリであるが、機器検出方法及び、機器検出端末用プログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0016】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である機器検出端末であって、
前記存在を確認した電子機器と、同一ネットワーク上で通信可能に接続された他の電子機器を、前記電子機器に検出させる電子機器検出実行手段と、
を備え、前記検出された他の電子機器に関しても情報を取得することを特徴とする機器検出端末を提供する。
【0017】
第2の特徴に係る発明によれば、第一の特徴に係る発明である機器検出端末は、前記存在を確認した電子機器と、同一ネットワーク上で通信可能に接続された他の電子機器を、前記電子機器に検出させ、前記検出された他の電子機器に関しても情報を取得する。
【0018】
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2のいずれかの特徴に係る電子機器検出端末であって、
前記取得した電子機器に関する情報と、当該電子機器のネットワークアドレスとに基づいて、ネットワークマップを生成するネットワークマップ生成手段と、
を備えることを特徴とする機器検出端末を提供する。
【0019】
第3の特徴に係る発明によれば、第1又は第2のいずれかの特徴に係る電子機器検出端末は、前記取得した電子機器に関する情報と、当該電子機器のネットワークアドレスとに基づいて、ネットワークマップを生成する。
【0020】
第4の特徴に係る発明は、ネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末と通信可能に接続され、記憶部に統計情報データベースを備えるネットワークアドレス予想サーバであって、
前記機器検出端末から、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを受信するネットワークアドレス受信手段と、
前記受信した、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを、関連付けて前記統計情報データベースに記憶させるネットワークアドレス記憶手段と、
前記記憶させた、前記電子機器に割り当てられるネットワークアドレスの統計情報を生成する統計情報生成手段と、
前記生成した統計情報に基づいて、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求めるネットワークアドレス予想手段と、
前記機器検出端末に、前記求めたネットワークアドレスを送信する予想アドレス送信手段と、
を備えることを特徴とするネットワークアドレス予想サーバを提供する。
【0021】
第4の特徴に係る発明によれば、ネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末と通信可能に接続され、記憶部に統計情報データベースを備えるネットワークアドレス予想サーバは、前記機器検出端末から、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを受信し、前記受信した、検出された電子機器の情報とネットワークアドレスとを、関連付けて前記統計情報データベースに記憶させ、前記記憶させた、前記電子機器に割り当てられるネットワークアドレスの統計情報を生成し、前記生成した統計情報に基づいて、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求め、前記機器検出端末に、前記求めたネットワークアドレスを送信する。
【0022】
第5の特徴に係る発明は、前記ネットワークアドレス予想手段において、前記生成した統計情報に加え、前記求めたネットワークアドレスを送信する前記機器検出端末から、既に受信した電子機器の情報とネットワークアドレスを利用して、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求めることを特徴とする第4の特徴に係る発明であるネットワークアドレス予想サーバを提供する。
【0023】
第5の特徴に係る発明によれば、第4の特徴に係る発明であるネットワークアドレス予想サーバは、前記ネットワークアドレス予想手段において、前記生成した統計情報に加え、前記求めたネットワークアドレスを送信する前記機器検出端末から、既に受信した電子機器の情報とネットワークアドレスを利用して、割り振られている確率が所定の値を上回るネットワークアドレスを求める。
【0024】
第6の特徴に係る発明は、ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末が実行する機器検出方法であって、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信するステップと、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認するステップと、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得するステップと、
を備えることを特徴とする機器検出方法を提供する。
【0025】
第7の特徴に係る発明は、ネットワークアドレス予想サーバと通信可能に接続され、プライベートネットワーク上の電子機器を検出する機器検出端末に、
前記ネットワークアドレス予想サーバから、プライベートネットワークにおいて電子機器に割り当てられると予想されるネットワークアドレスを受信するステップ、
前記受信した予想アドレスに基づいて、プライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスを割り当てられた電子機器が存在するかを確認するステップ、
前記存在を確認した電子機器について、当該電子機器の機器情報を取得するステップ、
を実行させることを特徴とする機器検出端末用プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、各機器に割り当てられたネットワークアドレスの件数を統計的に処理することで、統計情報に基づいてプライベートネットワーク上の別セグメントにある電子機器を検出可能な機器検出端末、ネットワークアドレス予想サーバ、機器検出方法、及び機器検出端末用プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、機器検出システム1の概要を説明するための概要図である。
図2図2は、機器検出システム1の全体構成図である。
図3図3は、機器検出端末10、電子機器50、ネットワークアドレス予想サーバ200の機能ブロック図である。
図4図4は、機器検出端末10、電子機器50が実行する機器検出処理を示すフローチャート図である。
図5図5は、機器検出端末10、ネットワークアドレス予想サーバ200が実行する予想アドレス受信処理を示すフローチャート図である。
図6図6は、統計情報データベース250内の統計情報テーブルである。
図7図7は、各アドレスの存在確率を計算した結果の一例である
図8図8は、生成されたネットワークマップの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0029】
[機器検出システムの概要]
図1は、本発明の好適な実施形態である機器検出システム1について説明するための概要図である。この図1に基づいて、機器検出システム1について説明する。
【0030】
機器検出システム1において、はじめに、機器検出端末10は、ネットワークアドレス予想サーバ200に対して統計情報の提供を要求する(ステップS01)。ここで、統計情報とは、プライベートネットワークにおいて、各ネットワークアドレスがどの程度の確率で機器に割り当てられるかを統計処理により算出したものである。
【0031】
ここで、プライベートネットワーク上で利用されるネットワークアドレスについては、例えばIPv4においてはRFC 1918により規定されているが、それに従って限定してもアドレス数は1700万以上に上るため、実質的に総当たりによる機器検出は不可能である。RFC 4193により規定されるIPv6においても同様である。
【0032】
一方で、現実として各アドレスの利用頻度は一様ではなく、利用されやすさに顕著な差が見られることは周知の事実である。例えば、慣例的に数字は大きい方よりも小さい方から埋められて行くことが多く、また製品によっては優先的に確保するネットワークアドレスが予め定められているため、そのアドレスが利用される確率は他のアドレスより高くなる。加えて、このトレンドは、機器のシェアにより変動するため、一定ではない。
【0033】
そこでネットワークアドレス予想サーバ200は、統計情報データベース250を統計処理することで統計情報を生成し(ステップS02)、また統計情報から各IPアドレスの存在確率を算出して、それを機器検出端末10に送信する(ステップS03)。実際には、確率が所定の値を超えるもののみを送信すればよい。
【0034】
ここで存在確率の算出において、最も単純には、それぞれのネットワークアドレスについて、「アドレスが割り当てられたネットワークの数」を「全てのネットワークの数」で除した値が各アドレスの存在確率になる。
【0035】
また、実際のプライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスは所定のルールによって割り当てられていることが多く、最も一般的なルールの一つがCIDR(Classless Inter-Domain Routing)であり、一つのネットワーク上でクラス間をまたいだ割り当て方がされるケースは稀である。ネットワークアドレス予想サーバ200は、既にそのネットワーク状で発見された機器のアドレスを受信した場合、予め定められたルールを参酌してもよく、各アドレスについて同時生起確率を求める等、独自にルールを解析してもよい。
【0036】
ネットワークアドレス予想サーバ200から予想アドレスを受信した機器検出端末10は、それらのアドレスに対して機器の存在確認をすることで、効率的にネットワーク上の機器を検出できる。機器検出端末10は、特定のアドレスに機器の存在を確認するためのping等のパケット送付を行い(ステップS04)、それに対するレスポンスを受信する事で機器の存在を確認する(ステップS05)。
【0037】
また、検出した機器が同一ネットワーク上の他の機器を検出する機能を有する場合には、その機器を介してネットワーク上の他の機器を一括で検出することが可能となる(ステップS06)。これにより、機器検出端末10は最低限、各セグメントにあるネットワークの機器一つを検出するだけで、ネットワーク全体の機器を検出することが可能となる。
【0038】
以上が、機器検出システム1の概要である。
【0039】
[機器検出システムのシステム構成]
図2は、本発明の好適な実施形態である機器検出システム1のシステム構成図である。機器検出システム1は、公衆回線網3(インターネット網や第3世代、第4世代通信網など)、複数のネットワーク4、ファイアーウォール5、機器検出端末10、複数の電子機器50、ネットワークアドレス予想サーバ200、から構成される。ファイアーウォール5、及び複数のネットワーク4は、一つのLAN(Local Area Network)を構成する。
【0040】
機器検出端末10は、後述の機能を備えた一般的な情報端末であって、例えば、パソコン、テレビ、電話機、コンピュータに加えて、携帯電話、携帯情報端末、ネットブック端末、スレート端末、電子書籍端末、携帯型音楽プレーヤ、オーディオコンポ、コンテンツ再生・録画プレーヤ、プリンタ、FAX機、コピー機、スキャナ機、MFP(多機能周辺装置、多機能プリンタ)等の情報家電のみならず、冷蔵庫、洗濯機、食器洗浄乾燥機、扇風機、エアコン、電気ストーブ、炊飯器、電子レンジ等の白物家電や、電気照明、サーバ、ルータ、ゲートウェイ、NAS(Network Attached Storage)等も含む。機器検出端末10と各電子機器50は、LANで接続されている。機器検出システム1内の通信は、無線通信、有線通信を問わない。
【0041】
電子機器50は、データ通信を行うことが可能な家庭用又は業務用の電子機器である。
【0042】
ネットワークアドレス予想サーバ200は、後述の機能を備えた一般的なサーバであってよい。
【0043】
[各機能の説明]
図3は、機器検出端末10、電子機器50、ネットワークアドレス予想サーバ200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【0044】
機器検出端末10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部12として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。
【0045】
また、機器検出端末10は、入出力部13として、制御部で制御したデータや画像を出力表示する表示部を備え、かつ、ユーザやサポート者からの入力を受付けるタッチパネルやキーボード、マウス等を備えていてよい。
【0046】
機器検出端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、通信部12と協働して、予想アドレス受信モジュール14、電子機器存在確認モジュール15、電子機器情報取得モジュール16、電子機器検出実行モジュール17を実現する。また、機器検出端末10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことで、入出力部13と協働して、ネットワークマップ生成モジュール18を実現する。
【0047】
ネットワークアドレス予想サーバ200は、同様に、制御部201として、CPU,RAM,ROM等を備え、通信部202として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイスを備える(有線であってもよい)。加えて、ネットワークアドレス予想サーバ200は、記憶部203として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備える。ネットワークアドレス予想サーバ200は、統計情報データベース250を、記憶部203に備える。
【0048】
ネットワークアドレス予想サーバ200の制御部201が所定のプログラムを読み込むことで、通信部202と協働して、ネットワークアドレス受信モジュール204、予想アドレス送信モジュール205を実現する。また、ネットワークアドレス予想サーバ200の制御部201が所定のプログラムを読み込むことで、記憶部203と協働して、ネットワークアドレス記憶モジュール206、統計情報生成モジュール207、ネットワークアドレス予想モジュール208を実現する。
【0049】
電子機器50は、同様に、制御部51として、CPU,RAM,ROM等を備え、通信部52として、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス又は、第3世代移動通信システム等のIMT−2000規格に準拠した無線デバイス等を備える(有線によるLAN接続であってもよい)。
【0050】
電子機器50において、制御部51が所定のプログラムを読み込むことで、通信部52と協働して、機器情報送信モジュール53、電子機器アクセスモジュール54を実現する。
【0051】
[機器検出処理]
図4は、機器検出端末10、電子機器50が実行する機器検出処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0052】
はじめに、機器検出端末10は、機器を効率的に検出するため、予想アドレス受信処理を実行する(ステップS01)。
【0053】
[予想アドレス受信処理]
図5は、機器検出端末10、ネットワークアドレス予想サーバ200が実行する予想アドレス受信処理のフローチャートである。上述した各装置のモジュールが行う処理について、本処理にて併せて説明する。
【0054】
はじめに、機器検出端末10の予想アドレス受信モジュール14は、検出済みのネットワークアドレスと、その機器情報とをネットワークアドレス予想サーバ200に送信する(ステップS31)。ネットワークアドレス予想サーバ200のネットワークアドレス受信モジュール204はこれを受信し(ステップS32)、ネットワークアドレス記憶モジュール206が、統計情報データベース250に記憶させる。
【0055】
図6は、統計情報データベース250内の統計情報テーブルである。統計情報テーブルには、プライベートIPアドレスと、プライベートネットワークを識別するためのユニークなネットワークIDと、機器種類と、機種名とが関連付けて記憶されている。なお、これらの情報は、時系列順に全てを蓄積してもよいし、上書き更新していってもよい。
【0056】
ここで初回実行時は、機器検出端末10は、自らのプライベートアドレスと機器情報のみをネットワークアドレス予想サーバ200に送信してよい。一方、実行時に、既にネットワークにおいて検出された機器がある場合には、それらを送信することで、ネットワークアドレスの予想精度を向上させることが可能である。
【0057】
その後、予想アドレス受信モジュール14はネットワークアドレス予想サーバ200に対して、予想アドレスを要求する(ステップS33)。このとき、機器検出端末10は、ネットワークアドレスを予想するネットワークのユニークなIDをパラメータとして送付してもよい。ネットワークアドレス予想サーバ200の予想アドレス送信モジュール205はこれを受信すると(ステップS34)、以下の様な処理でネットワークアドレスを予想する。
【0058】
はじめに、統計情報生成モジュール207は、予想のために利用するデータとして統計情報を生成する(ステップS35)。統計情報は原則、データの抽出とグルーピングにより生成されるが、予想に利用するアルゴリズムにより視点が異なる。
【0059】
生成した統計情報に基づいて、ネットワークアドレス予想モジュール208が、各アドレスの存在確率を算出し、存在の確率が所定の値を超えたネットワークアドレスを予想アドレスとして求める(ステップS36)。
【0060】
ここで、予想すなわち存在確率の算出は、採用したアルゴリズムに基づいて計算により一意に定まる。最も単純には、それぞれのネットワークアドレスについて、「アドレスが割り当てられたネットワークの数」を「全てのネットワークの数」で除した値が各アドレスの存在確率になる。
【0061】
また、実際のプライベートネットワークにおいて各ネットワークアドレスは所定のルールによって割り当てられていることが多く、最も一般的なルールの一つがCIDR(Classless Inter-Domain Routing)であり、一つのネットワーク上でクラス間をまたいだ割り当て方がされるケースは稀である。また、前述のとおり、値が小さいアドレスは、値が大きいアドレスよりも割り当てられる確率が高いというルールもある。
【0062】
ネットワークアドレス予想モジュール208は、既にそのネットワーク状で発見された機器のアドレスを利用して、予め定められたルールを組み合わせてアルゴリズムを構築してよい。また、ネットワークアドレス予想モジュール208は、アドレスの同時生起確率や、協調フィルタリングを初めとする推薦の仕組みを利用することも可能である。加えて、ネットワークアドレス予想モジュール208は、後述のように機器検出端末10を介して実際の機器の存在を調べ、予想に対する真偽のフィードバックを受信することで、アルゴリズムそのものを修正していくことが可能である。
【0063】
図7は、各アドレスの存在確率を計算した結果の一例である。各アドレスについて、与条件と統計情報により、存在確率が算出される。なお、ここにおける存在確率は、各アドレスについて足し合わせて100%になるのではなく、個々の存在確率が表される。ここで所定の値として、例えば存在確率が8%以上のアドレスを予想アドレスとする場合には、「192.168.0.2」、「192.168.1.1」、「192.168.2.1」、「172.16.0.1」が予想アドレスとして求められる。
【0064】
最後に、予想アドレス送信モジュール205は、予想アドレスとして求めたアドレスを機器検出端末10に送信し(ステップS37)、予想アドレス受信モジュール14がこれを受信する。以上が、予想アドレス受信処理の手順である。
【0065】
なお、後述の予想アドレスに対する電子機器の存在確率を行った後、機器検出端末10は予想アドレス受信処理を繰り返し行ってもよい。なぜならば、ネットワーク上のアドレスの情報が増えるたびに、前述の予想の精度がより向上するためである。
【0066】
機器検出処理に戻り、機器検出端末10は、受信した各予想アドレスに対して、以下のステップS13からステップS22までの処理を繰り返し実行する(ステップS12)。
【0067】
初めに、機器検出端末10の電子機器存在確認モジュール15は、受信した予想アドレスに割り当てられた電子機器の存在確認を行う(ステップS13)。電子機器存在確認モジュール15は、例えば予想アドレスに対してping等の通信を行うことで、そのアドレスに機器が存在するかを確認する。電子機器50が割り当てられていた場合は、pingに対してレスポンスが返ることで、存在確認を行うことが可能である(ステップS14)。
【0068】
ここで、レスポンスがなく、機器が存在しないか隠匿されていると考えられる場合(ステップS15:「NO」の場合)には、以下の処理は行わず、ループの終端までスキップをする。終端では、まだ未処理の予想アドレスがある場合にはステップS13からの処理を続けて行い、全ての予想アドレスを確認した場合は、ループを終了する(ステップS23)。
【0069】
一方で、レスポンスがあり、機器の存在を確認できた場合(ステップS15:「YES」の場合)には、続けて以下の処理を行う。
【0070】
機器検出端末10の電子機器情報取得モジュール16は、存在を確認した機器から機器情報を取得する(ステップS16)。機器情報とは、電子機器50の機種名、メーカ名等の機器の種別の情報である。本処理は、特開2010−97587号公報に開示されるような、ネットワークで接続された電子機器の種別をパケットの送受信で決定する処理等が用いられてよい。今回は簡単に、電子機器50の機器情報送信モジュール53が機器情報を送信するものとする(ステップS17)。
【0071】
また、機器検出端末10の電子機器検出実行モジュール17は、電子機器50が同一ネットワーク内の機器を検出する機能を備えている場合、他の機器へのアクセスを要求し(ステップS18)、電子機器50の電子機器アクセスモジュール54が、これに従って他の機器にアクセスする(ステップS19)。この処理は、特に機器検出端末10が直接他の機器にアクセスできない場合に有効である。
【0072】
他の機器にアクセスした電子機器50は、前述の場合と同様に他の機器のアドレス、機器情報を収集すると(ステップS20)、機器検出端末10に機器の一覧を送信する(ステップS21)。電子機器検出実行モジュール17は、一覧を受信し、電子機器50そのものとともにそれらを検出済みの機器とみなす。
【0073】
ここで、ループ終端に達すると、ステップS12に戻り、まだ未処理の予想アドレスがあるか否かを判断する。まだ未処理の予想アドレスがある場合には、その予想アドレスについてステップS13からの処理を続けて行い、全ての予想アドレスを確認した場合は、ループを終了する(ステップS23)。
【0074】
ループを終了した後、機器検出端末10のネットワークマップ生成モジュール18は、取得した機器情報に基づいて、ネットワークマップを生成する(ステップS24)。例えば、予め、ネットワークマップに表示する電子機器のためのアイコン(以下、「電子機器アイコン))が、機器情報と対応付けて記憶されていてもよい。生成したネットワークマップは、機器検出端末10の表示部に表示してもよいし、要求に応じて他の機器に送信してもよい。
【0075】
一例として、ネットワークマップは、図8に示すように構成される。ネットワークマップは、プライベートネットワーク全体について、検出した電子機器がアイコン80a〜c及び82a,bで表示される。各機器のアイコンの下には、プライベートIPアドレス81が表示され、ネットワークのセグメント同士が通信可能に接続されている場合には、83の様に点線で接続が表される
【0076】
以上が、機器検出処理の手順である。
【0077】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU,情報処理装置,各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
1 機器検出システム、3 公衆回線網、4 ネットワーク、5 ファイアーウォール、10 機器検出端末、50 電子機器、200 ネットワークアドレス予想サーバ、250 統計情報データベース
図1
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図8