特開2015-139412(P2015-139412A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015139412-小型生物捕獲器 図000003
  • 特開2015139412-小型生物捕獲器 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-139412(P2015-139412A)
(43)【公開日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】小型生物捕獲器
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/00 20060101AFI20150707BHJP
   A01M 1/14 20060101ALI20150707BHJP
【FI】
   A01M23/00 A
   A01M1/14 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-14303(P2014-14303)
(22)【出願日】2014年1月29日
(11)【特許番号】特許第5574355号(P5574355)
(45)【特許公報発行日】2014年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】591262827
【氏名又は名称】株式会社シー・アイ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 英吾
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA08
2B121AA11
2B121BA05
2B121BA09
2B121BA42
2B121BA51
2B121EA24
2B121FA01
(57)【要約】
【課題】 従来技術では、平面がない場所に捕獲器を設置することができないという問題点がある。行動範囲が立体的な小型生物を効率良く捕獲するために、捕獲器を設置し易い構造になっていない。また、捕獲面に捕獲生物が捕まった場合、捕獲器全体を捨てるしかないという問題点がある。
【解決手段】 一枚のシートを折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板2内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シート5を2組設け、前記底板2の両側に設けた両側板6の先に連続して形成した天井板7を係合させて、ハウス状本体枠Aを形成し、底板2の両端の開放口10と両天井板7に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口11を形成し、複数枚積層した粘着シート5のずれるのを防止する切り欠き爪を設けた小型生物捕獲器。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、前記底板の両側に設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、底板の両端の開放口と両天井板に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口を形成したことを特徴とする小型生物捕獲器。
【請求項2】
底板内面の中間部に粘着シートを取り付けない部分を作り、その部分に結束紐を挿通する穴を開けて、結束紐等を通し易くして立ち上げたことを特徴とする請求項1に記載の小型生物捕獲器。
【請求項3】
底板に、左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれ動くのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設けたことを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の小型生物捕獲器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型生物、例えば昆虫類、爬虫類捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫用捕獲器は、平面に設置し、平面状を徘徊する生物を捕獲し、捕獲された小型生物を見ることなく、そのまま捨てることができる使い捨ての捕獲器である。例えば、ゴキブリ捕獲器として、所定形状に打ち抜いた一枚のシートを所定の配置で形成した折り曲げ線や切込線を介して折り曲げることで、粘着剤およびその上に誘引剤を塗布した底板と、底板の両側に設けた両側板およびその先端に連続する天井板と、底板の両端に設けた上方が内側傾斜の踏み板等でゴキブリ入口を有するハウス状本体枠を構成し、底板から所定の間隔浮かして、かつゴキブリ入口から誘引剤の近傍まで延びるゴキブリ誘導板を設けたゴキブリ捕獲器(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【特許文献1】特開2004−194525公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明の欄の{発明の実施の形態}の段落{0014}〜{0029}、及び図1図7を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記したような従来技術の底板内面全体に粘着剤を塗布し、この粘着剤の上中央部に誘引剤を塗布し、底板から所定の間隔浮かして、かつゴキブリ入口から誘引剤の近傍まで延びるゴキブリ誘導板を設け、誘引剤を配置した底板中央部に導きやすく形成してあるので、誘引剤のごく近くまで来たゴキブリは、該誘引剤に導かれ、最早引き返すことは少なく、ゴキブリの捕獲効率を向上させるゴキブリ捕獲器は、ゴキブリであれば効率良く捕獲でき、しかも平面に設置し、平面状を徘徊するゴキブリを捕獲し、そのまま使い捨てる捕獲器であるが、立体的に行動する小型生物を捕獲することはできないという問題点がある。すなわち、平面がない場所、例えば、樹幹、塀、壁、ケーブル等の垂直面に捕獲器を設置することができないという問題点がある。行動範囲が立体的な小型生物を効率良く捕獲するために、捕獲器を設置し易い構造になっていない。また従来は、捕獲面に捕獲生物が捕まった場合、捕獲器全体を捨てるしかないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの小型生物捕獲器であり、次のようなものである。
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、前記底板の両側に設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、底板の両端の開放口と両天井板に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口を形成する構成である。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの小型生物捕獲器であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、底板内面の中間部に粘着シートを取り付けない部分を作り、その部分に結束紐を挿通する穴を開けて、結束紐等を通し易くして立ち上げる構成である。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りの小型生物捕獲器であり、次のようなものである。
請求項1、または請求項2に記載の発明に加えて、底板に、左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれ動くのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設ける構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る小型生物捕獲器は、上記説明のような構成であるので、以下に記載する効果を奏する。
(1)本発明の小型生物捕獲器によれば、例えば樹木を昇り降りする小型生物の習性を利用して樹木の幹や枝に本願発明の底板に設けた捕獲器支持用の孔を利用して結束紐のようなバンドを孔に通して水平ではなく、略垂直や斜めに傾斜するように取り付ける。すなわち、本願発明の小型生物捕獲器における前後の入口が上下になるようにすることで、ヤモリや毛虫と同様の足に吸盤がある小型生物はよじ登って、底板内面の複数枚積層された粘着シートの粘着面の所まで移動できる習性を利用して小型生物を捕獲するものである。
なお、混獲を防止するため、小型生物捕獲器の底板内面に、前後に平滑面を形成することで、トカゲや吸盤を有してない小型生物は、爪みたいなものを有しているが、平滑面をよじ登れないので、粘着シートの粘着面まで到達することがない。
(2)粘着シートを剥離紙を介して複数枚重ねて設けてあるので、小型生物が捕獲できた最上面の粘着シートを剥がして処分し、新しい粘着面を露出することで、本体部分は何度も使用することができ、ゴミの排出を減らすことができる。
(3)粘着シートを2分割してあるので、捕獲器支持用の孔部を回避して粘着シートが設けられるので、捕獲器を樹木の幹や枝に取り付ける結束紐等のバンドを通して幹や枝に結束するのに、粘着面があるものに比べて極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す展開図である。
図2】本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す概略斜視図である。
図3】本発明の一実施例である小型生物捕獲器の底板部分を取り出して、複数枚積層した粘着シートと、粘着シートのずれ防止用の切り欠き爪の位置関係、及び捕獲器支持用孔とを拡大して示す概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を捕獲器支持用孔部分を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、底板には設置支持用孔部を形成し、前記底板の両側に設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、底板の両端の開放口と両天井板に形成した切り込みを立ち上げて形成して小型生物入口を形成し、前記左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれるのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設けた小型生物捕獲器である。
【実施例】
【0010】
図1は、本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す展開図、図2は、本発明の組み立て状態の小型生物捕獲器を示す概略斜視図、図3は、本発明の小型生物捕獲器の底板を取り出して拡大して示す概略平面図である。
【0011】
本発明について図1図3に基づいて具体的に実施例を説明する。
近年、人の生活が豊かになり、また住居の気密化が進み、ペット以外の生き物をまわりから排除する傾向が強くなってきている。その一例として、昔から家を守る生き物として大切にされていたヤモリ等も、気持ちが悪いなどの理由により、駆除の対象になりつつある。ここで、ヤモリの体の構造について説明すると、ヤモリの指先は、指下板と呼ばれる吸盤のような機能を持った構造となっており、垂直面や濡れた面でも滑らずに移動ができる。そのため、従来使用されてきたトラップでは捕獲が困難である。
また、従来から毛虫等の駆除も求められているが、従来の方法は、以前は発生すれば農薬を散布して駆除するのが一般的であった。しかし、化学物質過敏症といった病気の発生や、人々の風潮が化学物質を嫌う傾向に進み、平成14年の農薬取締法の改正以降、都市部での農薬使用に関して、厳しい目が向けられるようになってきた。また、環境省及び農林水産省は、「住宅地等における農薬使用について」(平成19年1月31日付け18消安第11607号・環境大土発大070131001号農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長連名通知)を見直し、新たな通知を都道府県知事等に発出し、その内容にも「定期的に農薬を散布することを止め、早期発見に努め、せん定や捕殺等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。」など、物理的な対策を推奨している。
そのため、樹幹を徘徊する毛虫類や前記ヤモリ等の物理的な捕獲をするためには、枝等に簡易に取り付けられるトラップの必要性が発生している。
この問題を解決するために考えられたのが、本願発明の小型生物捕獲器である。
【0012】
ここで、図1図3に基づいて小型生物の一種であるヤモリを捕獲したい場合の一実施例の詳細を説明する。
図1の展開図からも理解できるように、例えば一枚の透明、あるいは不透明な合成樹脂製シート1を所定の配置で形成した折り曲げ線12と切込線13を形成し、この折り曲げ線11、切込線13を利用して折り曲げ、ゴキブリ捕獲器のようにハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器である。
略中央に位置する部位に底板2を設け、この底板2の内面3の前後に少なくとも1cm以上の長さに相当する平滑面4を形成し、残りの中央部に、中間に捕獲器支持用孔15部分を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設ける(図3参照)。
なお、加工上困難が生じるが、平滑面4は形成しないものでも良いことはいうまでもない。
また、前記底板2の両側には両側板6を折り曲げることができるように形成し、その先に連続して天井板7を形成して折り曲げて突き合わせて係合できるように、一方には係合孔8を、他方には係合片9を設けてある。
この天井板7を係合させることにより、ハウス状(略カマボコ状)本体枠Aを形成する。尚、底板2から天井板7までの高さは、ヤモリが自由に移動できる程度の高さとする。この構成により、底板2の両端に開放口10と両側板6を介してその先に連続した天井板7に切り込みを用いて立ち上げて形成したヤモリ入口11を形成する。
尚、混獲しないようにヤモリ・毛虫のような垂直面を登る生物のみを捕獲し、それ以外の滑る面を登れないトカゲやカブトムシなどは捕獲しないようにしたい場合は、平滑面4を捕獲除外生物の大きさに合わせ、幅を変えることにより他生物の混獲を防ぐことができる。また、その小型生物捕獲器の設置場所の状態に合わせて選択することができる。
なお、粘着面には剥離紙が設けられていることはいうまでもない。
粘着シートを複数枚重ねて設けてあるので、最上部の粘着シートを剥がすことで、何度もヤモリを捕獲することができる。
また、底板内面3に設けた左右の複数枚積層した粘着シート5は、樹木の幹や枝に略垂直、あるいは斜めに傾斜させて取り付け支持するので、その粘着シート5の自重で、徐々にずれ動いて、平滑面4を遮いでしまうのを防止するために、粘着シート5端部に係合して、ずれ動かないように切り欠き爪14を形成して折り曲げ立ち上げて粘着シートを保持できるようにする。
【0013】
また、底板2の内面3には、前後に平滑面4を形成することで、ヤモリは足に吸盤のような機能を持っているので、この平滑面4も平気で昇り降りができるが、足に吸盤のような機能を有していないトカゲや昆虫類等の小型生物は平滑面が存在していることで、この部分を昇り降りできないので、その先にある粘着面に到達することはなく捕獲もされない。
以上、図1図2では、ヤモリ入口を4ヶ所設けた実施例を説明したが、2ヶ所等、小型生物が入れる大きさの入口であれば、何ヶ所でも良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
前記実施例で示したヤモリだけでなく、ヤモリの習性と似た習性を持った害虫等の小型生物捕獲には同様に利用できる。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・シート
2・・・・底板
3・・・・内面
4・・・・平滑面
5・・・・粘着シート
6・・・・両側板
7・・・・天井板
8・・・・係合孔
9・・・・係合片
10・・・・開放口
11・・・・ヤモリ入口
12・・・・折り曲げ線
13・・・・切り込み線
14・・・・切り欠き爪
15・・・・捕獲器支持用孔
16・・・・離型紙
A・・・・ハウス状本体枠
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2014年6月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、底板内面の中間部に粘着シートを取り付けない部分を作り、その部分に結束紐を挿通する穴を開け、前記底板に連続して設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、該ハウス状本体の両端には、開放口が設けられ、さらに前記両天井板に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口を形成したことを特徴とする小型生物捕獲器
【請求項2】
底板に、左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれ動くのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設けたことを特徴とする請求項1に記載の小型生物捕獲器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型生物、例えば昆虫類、爬虫類捕獲器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、昆虫用捕獲器は、平面に設置し、平面状を徘徊する生物を捕獲し、捕獲された小型生物を見ることなく、そのまま捨てることができる使い捨ての捕獲器である。例えば、ゴキブリ捕獲器として、所定形状に打ち抜いた一枚のシートを所定の配置で形成した折り曲げ線や切込線を介して折り曲げることで、粘着剤およびその上に誘引剤を塗布した底板と、底板の両側に設けた両側板およびその先端に連続する天井板と、底板の両端に設けた上方が内側傾斜の踏み板等でゴキブリ入口を有するハウス状本体枠を構成し、底板から所定の間隔浮かして、かつゴキブリ入口から誘引剤の近傍まで延びるゴキブリ誘導板を設けたゴキブリ捕獲器(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【特許文献1】特開2004−194525公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明の欄の{発明の実施の形態}の段落{0014}〜{0029}、及び図1図7を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記したような従来技術の底板内面全体に粘着剤を塗布し、この粘着剤の上中央部に誘引剤を塗布し、底板から所定の間隔浮かして、かつゴキブリ入口から誘引剤の近傍まで延びるゴキブリ誘導板を設け、誘引剤を配置した底板中央部に導きやすく形成してあるので、誘引剤のごく近くまで来たゴキブリは、該誘引剤に導かれ、最早引き返すことは少なく、ゴキブリの捕獲効率を向上させるゴキブリ捕獲器は、ゴキブリであれば効率良く捕獲でき、しかも平面に設置し、平面状を徘徊するゴキブリを捕獲し、そのまま使い捨てる捕獲器であるが、立体的に行動する小型生物を捕獲することはできないという問題点がある。すなわち、平面がない場所、例えば、樹幹、塀、壁、ケーブル等の垂直面に捕獲器を設置することができないという問題点がある。行動範囲が立体的な小型生物を効率良く捕獲するために、捕獲器を設置し易い構造になっていない。また従来は、捕獲面に捕獲生物が捕まった場合、捕獲器全体を捨てるしかないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの小型生物捕獲器であり、次のようなものである。
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、底板内面の中間部に粘着シートを取り付けない部分を作り、その部分に結束紐を挿通する穴を開け、前記底板に連続して設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、該ハウス状本体の両端には、開放口が設けられ、さらに前記両天井板に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口を形成する構成である。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第発明は、請求項に記載された通りの小型生物捕獲器であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、底板に、左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれ動くのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設ける構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る小型生物捕獲器は、上記説明のような構成であるので、以下に記載する効果を奏する。
(1)本発明の小型生物捕獲器によれば、例えば樹木を昇り降りする小型生物の習性を利用して樹木の幹や枝に本願発明の底板に設けた捕獲器支持用の孔を利用して結束紐のようなバンドを孔に通して水平ではなく、略垂直や斜めに傾斜するように取り付ける。すなわち、本願発明の小型生物捕獲器における前後の入口が上下になるようにすることで、ヤモリや毛虫と同様の足に吸盤がある小型生物はよじ登って、底板内面の複数枚積層された粘着シートの粘着面の所まで移動できる習性を利用して小型生物を捕獲するものである。
なお、混獲を防止するため、小型生物捕獲器の底板内面に、前後に平滑面を形成することで、トカゲや吸盤を有してない小型生物は、爪みたいなものを有しているが、平滑面をよじ登れないので、粘着シートの粘着面まで到達することがない。
(2)粘着シートを剥離紙を介して複数枚重ねて設けてあるので、小型生物が捕獲できた最上面の粘着シートを剥がして処分し、新しい粘着面を露出することで、本体部分は何度も使用することができ、ゴミの排出を減らすことができる。
(3)粘着シートを2分割してあるので、捕獲器支持用の孔部を回避して粘着シートが設けられるので、捕獲器を樹木の幹や枝に取り付ける結束紐等のバンドを通して幹や枝に結束するのに、粘着面があるものに比べて極めて容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す展開図である。
図2】本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す概略斜視図である。
図3】本発明の一実施例である小型生物捕獲器の底板部分を取り出して、複数枚積層した粘着シートと、粘着シートのずれ防止用の切り欠き爪の位置関係、及び捕獲器支持用孔とを拡大して示す概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
一枚の透明、あるいは不透明なシートを所定の配置で形成した折り曲げ線と切込線を形成し、この折り曲げ線、切込線を介して折り曲げてハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器において、折り曲げて形成した底板内面の中央部に、中間を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設け、底板内面の中間部に粘着シートを取り付けない部分を作り、その部分に結束紐を挿通する穴を開けて、この穴に結束紐を通す。また前記底板に連続して設けた両側板、及びその先に連続して形成した天井板を係合させて、ハウス状本体枠を形成し、該ハウス状本体の両端には、開放口が設けられ、さらに前記両天井板に形成した切り込みを立ち上げて小型生物入口を形成し、前記左右に設けた複数枚積層した粘着シートの自重でずれ動くのを防止する粘着シート端部に係合できる切り欠き爪を設けた小型生物捕獲器である。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の一実施例である小型生物捕獲器を示す展開図、図2は、本発明の組み立て状態の小型生物捕獲器を示す概略斜視図、図3は、本発明の小型生物捕獲器の底板を取り出して拡大して示す概略平面図である。
【0010】
本発明について図1図3に基づいて具体的に実施例を説明する。
近年、人の生活が豊かになり、また住居の気密化が進み、ペット以外の生き物をまわりから排除する傾向が強くなってきている。その一例として、昔から家を守る生き物として大切にされていたヤモリ等も、気持ちが悪いなどの理由により、駆除の対象になりつつある。ここで、ヤモリの体の構造について説明すると、ヤモリの指先は、指下板と呼ばれる吸盤のような機能を持った構造となっており、垂直面や濡れた面でも滑らずに移動ができる。そのため、従来使用されてきたトラップでは捕獲が困難である。
また、従来から毛虫等の駆除も求められているが、従来の方法は、以前は発生すれば農薬を散布して駆除するのが一般的であった。しかし、化学物質過敏症といった病気の発生や、人々の風潮が化学物質を嫌う傾向に進み、平成14年の農薬取締法の改正以降、都市部での農薬使用に関して、厳しい目が向けられるようになってきた。また、環境省及び農林水産省は、「住宅地等における農薬使用について」(平成19年1月31日付け18消安第11607号・環境大土発大070131001号農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長連名通知)を見直し、新たな通知を都道府県知事等に発出し、その内容にも「定期的に農薬を散布することを止め、早期発見に努め、せん定や捕殺等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。」など、物理的な対策を推奨している。
そのため、樹幹を徘徊する毛虫類や前記ヤモリ等の物理的な捕獲をするためには、枝等に簡易に取り付けられるトラップの必要性が発生している。
この問題を解決するために考えられたのが、本願発明の小型生物捕獲器である。
【0011】
ここで、図1図3に基づいて小型生物の一種であるヤモリを捕獲したい場合の一実施例の詳細を説明する。
図1の展開図からも理解できるように、例えば一枚の透明、あるいは不透明な合成樹脂製シート1を所定の配置で形成した折り曲げ線12と切込線13を形成し、この折り曲げ線11、切込線13を利用して折り曲げ、ゴキブリ捕獲器のようにハウス状に組み立ててなる小型生物捕獲器である。
略中央に位置する部位に底板2を設け、この底板2の内面3の前後に少なくとも1cm以上の長さに相当する平滑面4を形成し、残りの中央部に、中間に捕獲器支持用孔15部分を回避して左右に複数枚積層した粘着シートを2組設ける(図3参照)。
なお、加工上困難が生じるが、平滑面4は形成しないものでも良いことはいうまでもない。
また、前記底板2に連続して両側板6を折り曲げることができるように形成し、その先に連続して天井板7を形成して折り曲げて突き合わせて係合できるように、一方には係合孔8を、他方には係合片9を設けてある。
この天井板7を係合させることにより、ハウス状(略カマボコ状)本体枠Aを形成する。尚、底板2から天井板7までの高さは、ヤモリが自由に移動できる程度の高さとする。この構成により、ハウス状本体枠Aの両端に開放口10が形成され、また両側板6を介してその先に連続した天井板7に切り込みを用いて立ち上げて形成したヤモリ(小型生物)入口11を形成する。
尚、混獲しないようにヤモリ・毛虫のような垂直面を登る生物のみを捕獲し、それ以外の滑る面を登れないトカゲやカブトムシなどは捕獲しないようにしたい場合は、平滑面4を捕獲除外生物の大きさに合わせ、幅を変えることにより他生物の混獲を防ぐことができる。また、その小型生物捕獲器の設置場所の状態に合わせて選択することができる。
なお、粘着面には剥離紙が設けられていることはいうまでもない。
粘着シートを複数枚重ねて設けてあるので、最上部の粘着シートを剥がすことで、何度もヤモリを捕獲することができる。
また、底板内面3に設けた左右の複数枚積層した粘着シート5は、樹木の幹や枝に略垂直、あるいは斜めに傾斜させて取り付け支持するので、その粘着シート5の自重で、徐々にずれ動いて、平滑面4を遮いでしまうのを防止するために、粘着シート5端部に係合して、ずれ動かないように切り欠き爪14を形成して折り曲げ立ち上げて粘着シートを保持できるようにする。
【0012】
また、底板2の内面3には、前後に平滑面4を形成することで、ヤモリは足に吸盤のような機能を持っているので、この平滑面4も平気で昇り降りができるが、足に吸盤のような機能を有していないトカゲや昆虫類等の小型生物は平滑面が存在していることで、この部分を昇り降りできないので、その先にある粘着面に到達することはなく捕獲もされない。
以上、図1図2では、ヤモリ入口を4ヶ所設けた実施例を説明したが、2ヶ所等、小型生物が入れる大きさの入口であれば、何ヶ所でも良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0013】
前記実施例で示したヤモリだけでなく、ヤモリの習性と似た習性を持った害虫等の小型生物捕獲には同様に利用できる。
【符号の説明】
【0014】
1・・・・シート
2・・・・底板
3・・・・内面
4・・・・平滑面
5・・・・粘着シート
6・・・・両側板
7・・・・天井板
8・・・・係合孔
9・・・・係合片
10・・・・開放口
11・・・・ヤモリ(小型生物)入口
12・・・・折り曲げ線
13・・・・切り込み線
14・・・・切り欠き爪
15・・・・捕獲器支持用孔
16・・・・離型紙
A・・・・ハウス状本体枠