特開2015-139601(P2015-139601A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-139601(P2015-139601A)
(43)【公開日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20150707BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20150707BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20150707BHJP
【FI】
   A41B13/02 R
   A41B13/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-14724(P2014-14724)
(22)【出願日】2014年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 浩二
(72)【発明者】
【氏名】平野 めぐみ
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA14
3B200BA01
3B200BB09
3B200CA12
3B200CA15
3B200DE03
3B200DE13
(57)【要約】
【課題】下着の種類を問わず使用でき、取扱いが簡単であり、漏れに対する不安を解消できるようなフィット性を有する吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品は、下着内面に接着される基部と、基部の幅方向中央部に長手方向に沿って立設される吸収本体部とを備え、吸収本体部は、互いに重ねられる第1吸収本体部及び第2吸収本体部を備え、第1吸収本体部及び第2吸収本体部は、基部の後端側から前端側に向かって高く形成され、基部の前端から引かれた垂線を超えて延在する上辺部と、基部の前端から垂線よりも後端と反対側に傾斜し、第1吸収本体部と第2吸収本体部とが接続された前辺部とを有し、第1吸収本体部と第2吸収本体部とを互いに離間する方向に開くことにより、吸収本体部が舟形へと変形する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品であって、
下着内面に接着される基部と、
前記基部の幅方向中央部に長手方向に沿って立設される吸収本体部と、
を備え、
前記吸収本体部は、互いに重ねられる第1吸収本体部及び第2吸収本体部を備え、
前記第1吸収本体部及び前記第2吸収本体部は、前記基部の後端側から前端側に向かって高く形成され、前記基部の前記前端から引かれた垂線を超えて延在する上辺部と、
前記基部の前記前端から前記垂線よりも前記後端と反対側に傾斜し、前記第1吸収本体部と前記第2吸収本体部とが接続された前辺部と、
を有し、
前記第1吸収本体部と前記第2吸収本体部は、液透過性のトップシートをその内側に、液不透過性のバックシートをその外側に、前記トップシートと前記バックシートとの間に吸収体を有し、
前記第1吸収本体部の前記垂線が前記上辺部と交差する第1交差部と、前記第2吸収本体部の前記垂線が前記上辺部と交差する第2交差部とを互いに離間する方向に開くことにより、前記吸収本体部が舟形へと変形することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記基部は、前記吸収本体部の長手方向の全長に対して1/3以上の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記基部は、前端側の幅よりも広い後端側の幅を有することを特徴とする請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記第1吸収本体部及び前記第2吸収本体部は、前記第1交差部及び前記第2交差部の近傍から前記基部に向かって、折り線部を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
さらに、前記吸収本体部の外側及び/又は前記基部の下着当接側に、ズレ止め部材を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ズレ止め部材は、メカニカルファスナーのフック材であること特徴とする請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
5mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
男性用であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、咳やクシャミをしたときや、重い物を持ったときに起こる腹圧性尿失禁や、前立腺肥大症等による尿失禁を引き起こす中高年が増加している。尿失禁の場合、例え少量であっても下着に吸収しきれないことが多く、ボトムスや下着へのシミとなったり、においが漏れたりすることから、その対策として、尿吸収パッドのような吸収性物品を装着することとなる。
【0003】
尿失禁用の吸収性物品は、生理用ナプキン等の吸収性物品と同形状、すなわち、略長方形かつ平面状のものが多い(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、略長方形状かつ平面状の吸収性物品は、局所へのフィット感が得られにくいため、尿失禁が生じた際に、横漏れが起こりやすい、という問題があった。そこで、男女間における局所の構造上の相違点を踏まえた、吸収性物品も開発されており、男性専用の尿取りライナー、パッド等も各種市販されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、吸収体を取囲む環状の弾性部材によるシート状吸収性物品の環状絞り込みにより、身体側を内側にしたドーム形状としたドーム形状吸収性物品の発明が開示されている。また、特許文献3には、矩形のカバーシートに、男性器の陰茎部分に巻き付けられるつなぎ止めテープを具えた尿吸収パッドの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−148441号公報
【特許文献2】特開2001−224617号公報
【特許文献3】特開2006−122346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、立体形状に構成すると、平面状の吸収性物品と比較して嵩張り、持ち運びに不便である、という問題があった。また、陰茎部分を固定する構成にすると、自発的な排尿時にいったん吸収性物品を陰茎から外さなければならず、取り扱いが煩わしい、という問題があった。
【0007】
さらに、例えば、男性用下着には、身体との密着性が高いブリーフ型と、比較的ゆったりしているトランクス型等の種類があるが、トランクス型の下着に吸収性物品を装着する場合、吸収性物品は下着からずれやすく、使用者は装着する際に下着の種類を選ばなければならない、という問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、下着の種類を問わず使用でき、取扱いが簡単であり、漏れに対する不安を解消できるようなフィット性を有する吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の構成によって把握される。
(1)本願発明に係る1つの態様は、吸収性物品であって、下着内面に接着される基部と、基部の幅方向中央部に長手方向に沿って立設される吸収本体部と、を備え、吸収本体部は、互いに重ねられる第1吸収本体部及び第2吸収本体部を備え、第1吸収本体部及び第2吸収本体部は、基部の後端側から前端側に向かって高く形成され、基部の前端から引かれた垂線を超えて延在する上辺部と、基部の前端から垂線よりも後端と反対側に傾斜し、第1吸収本体部と第2吸収本体部とが接続された前辺部と、を有し、第1吸収本体部と第2吸収本体部は、液透過性のトップシートをその内側に、液不透過性のバックシートをその外側に、トップシートとバックシートとの間に吸収体を有し、第1吸収本体部の垂線が上辺部と交差する第1交差部と、第2吸収本体部の垂線が上辺部と交差する第2交差部とを互いに離間する方向に開くことにより、吸収本体部が舟形へと変形する吸収性物品を提供する。
【0010】
(2)基部は、上記(1)の構成において、吸収本体部の長手方向の全長に対して1/3以上の長さを有していてもよい。
【0011】
(3)基部は、上記(1)又は(2)の構成において、前端側の幅よりも広い後端側の幅を有していてもよい。
【0012】
(4)第1吸収本体部及び第2吸収本体部は、上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、第1交差部及び第2交差部の近傍から基部に向かって、折り線部を有していてもよい。
【0013】
(5)さらに、上記(1)から(4)のいずれか1つの構成において、吸収本体部の外側及び/又は基部の下着当接側に、ズレ止め部材を備えていてもよい。
【0014】
(6)ズレ止め部材は、上記(5)の構成において、メカニカルファスナーのフック材であってもよい。
【0015】
(7)上記(1)から(6)のいずれか1つの構成において、吸収性物品は、5mm以下の厚さを有していてもよい。
【0016】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つの構成において、吸収性物品は、男性用であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本構成を有しない場合に比して、下着の種類を問わず使用でき、取扱いが簡単であり、漏れに対する不安を解消できるようなフィット性を有する吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品1の全体を概略的に示す斜視図である。
図2図1に示した吸収性物品を幅方向からみた平面図である。
図3】(a)図1に示した吸収性物品の一の実施形態のA−A断面図である。(b)図1に示した吸収性物品の他の実施形態のA−A断面図である。
図4】吸収性物品の製造方法の一の実施形態を模式的に示す工程図である。
図5】吸収性物品の装着図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0020】
吸収性物品としては、例えば、尿パッド、軽失禁パッド、尿取りライナー、使い捨ておむつ、生理用ナプキン等をあげることができる。
【0021】
吸収性物品の長手方向とは、吸収性物品を使用者が着用した際、着用者の前後に渡る方向を意味し、吸収性物品の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向を意味する。図中、符号Xで示す方向(X方向)が、吸収性物品の長手方向であり、符号Yで示す方向(Y方向)が、吸収性物品の幅方向である。本実施形態においては、基部、吸収本体部の長手方向及び幅方向も吸収性物品の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)と一致する。また、内側とは、吸収性物品を使用者が着用した際の使用者側を意味し、外側とは、吸収性物品を着用した際の使用者とは反対側を意味する。
【0022】
(吸収性物品1の全体構成)
まず、吸収性物品1の全体構成を図1に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品1の全体を概略的に示す斜視図である。吸収性物品1は、下着U(図5参照)の内面に接着される基部3と、基部3の幅方向中央部に長手方向に沿って立設される吸収本体部2とを備えている。吸収本体部2は、第1吸収本体部21と第2吸収本体部22に分けることができ、第2吸収本体部22の垂線が第1吸収本体部21の上辺部と交差する第1交差部251と、第2吸収本体部22の垂線が上辺部と交差する第2交差部252とを有している。さらに、吸収本体部2の外側及び/又は基部3の下着当接側には、吸収性物品1の位置ずれを防止するズレ止め部材4を備える。そして、吸収性物品1の厚みを5mm以下にすることにより、装着していることを他人に気づかれないようにする。
【0024】
(吸収性物品1の各部構成)
次に、吸収性物品1の各部構成を図1ないし図3に基づいて説明する。
【0025】
(吸収本体部2)
図2は、吸収性物品を幅方向からみた平面図である。図2に示すように、吸収本体部2は、平板の形態では、平面形状が前後方向に長い形状に形成する。
【0026】
吸収本体部2は、互いに重ねられる第1吸収本体部21及び第2吸収本体部22を備えている。上辺部23は、第1吸収本体部21と第2吸収本体部22のそれぞれに有しており、基部の後端32側から基部の前端31側に向かって高く形成され、基部の前端31から引かれた垂線を超えて延在する。この構成を取ることにより、後ろ漏れを防止することとなる。また、上辺部23は、略全域にわたって曲線構造を有することにより、吸収本体部2を舟形へと変形させ、装着した際の違和感が少なく、人間工学的に優れた吸収性物品となる。
【0027】
前辺部24は、第1吸収本体部21と第2吸収本体部22のそれぞれに有しており、基部の前端31から垂線よりも基部の後端32と反対側に傾斜し、第1吸収本体部21と第2吸収本体部22とが接続されている。前辺部24がこのような構成をとることにより、例えば、男性が着用する場合、陰茎を吸収本体部2の前部に収納することができるので、使用者が歩いて吸収性物品1をひねったとしても、排尿位置が吸収本体部2の内側からはみ出ることなく、漏れを防止することができる。
【0028】
図3(a)は、図1に示した吸収性物品の一の実施形態のA−A断面図であり、図3(b)は図1に示した吸収性物品の他の実施形態のA−A断面図である。第1吸収本体部21と第2吸収本体部22は、液透過性のトップシート26をその内側に、液不透過性のバックシート27をその外側に、トップシート26とバックシート27との間に吸収体28を有する。
【0029】
トップシート26は、吸収本体部2の外形形状に合わせて平面形状を形成する。このトップシート26の基材は、尿等の液体が吸収体28へと移動するような液透過性を備えていればよく、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、液透過性を向上させるために、トップシート26にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましい。その加工方法は、公知の方法を特に限定せず行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート26に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。
【0030】
バックシート27は、トップシート26と同様に、吸収本体部2の外形形状に合わせて平面形状を形成する。このバックシート27の基材は、吸収体28が保持している尿等の液体が下着に漏れないような液不透過性を備えたものであればよく、不織布、樹脂フィルム、あるいはこれらを積層した複合シートといった材料から形成される。かかる不織布は、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンドやメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンドを積層した複合不織布およびこれらの複合材料があげられる。また、かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等があげられる。
【0031】
吸収体28は、図3(a)に示すように、第1吸収本体部21と第2吸収本体部22のそれぞれに形成してもよく、また、図3(b)に示すように、第1吸収本体部21から第2吸収本体部22に渡って形成してもよい。吸収体28の基材は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シートといった材料から形成される。フラッフパルプとしては、木材パルプおよび合成繊維、ポリマー繊維等の非木材パルプを綿状に解繊したもの、SAPとしては、ポリアクリル酸ナトリウム、親水性シートとしては、ティシュ、吸収紙、親水性不織布があげられる。なかでも、解繊パルプを、SAPの粒子と混合して形成したものや、SAPをシート状素材と組み合わせたいわゆるSAPシートが好ましい。また、吸収体28を薄くするために、SAPの配合比を高くすることが一般的であるが、SAPが多いと初期吸収性が劣ることから、吸収体28中のSAPの含有割合を50質量%未満とすることが好ましい。
【0032】
第1吸収本体部21及び第2吸収本体部22は、第1交差部251及び第2交差部252の近傍から基部3に向かって、折り線部29を有する。例えば、図2では、第1交差部251及び第2交差部252の近傍から基部3にかけて、吸収本体部2を高い圧力で圧縮した1条のエンボスによって、折り線部29を形成している。また、第1交差部251及び第2交差部252の近傍を境として2つの吸収体28を前後に配置し、この境目を折り線部29としてもよい。なお、折り線部29の個数、長さ等は、特に限定されるものではなく、吸収性物品1に求められる仕様に応じて任意に変更可能である。折り線部29により、吸収体本部2の舟形への変形が容易となる。
【0033】
(基部3の構成)
基部3は、装着する際に糊等の粘着剤や両面テープ等を用いたり、後述するズレ止め部材4を利用したりすることで、下着の内面に接着されるものである。基部3の長さは、吸収本体部2の長手方向の全長に対して、1/3以上であることが好ましい。また、基部3は、基部の前端31側の幅よりも広い基部の後端32側の幅を有することが好ましい。基部3が一定の長さ、あるいは、一定の幅の差を有することにより、吸収本体部2の舟形形状に対する安定性が向上し、横漏れを防止することとなる。
【0034】
基部3の基材は、一般に吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、上述したトップシート26やバックシート27で用いた基材をあげることができる。また、基部3の基材は、強度を上げるために、複数の基材を積層したものであってもよい。
【0035】
(ズレ止め部材4の構成)
ズレ止め部材4は、吸収本体部2の外側及び/又は基部3の下着当接側に備えていてもよい。これは、吸収性物品1を着用する際に、下着Uとの接着を堅固にし、下着Uからずれにくくするためである。ズレ止め部材4は、一般の吸収性物品で使用されるものと同様な材料のものを用いることができ、例えば、剥離紙付き粘着剤や、メカニカルファスナーのフック材等があげられる。なかでも、ゴミの量を少なくできることから、メカニカルファスナーのフック材が好ましい。ズレ止め部材4の位置及び個数は特に限定されないが、吸収本体部2の前側の立体形状を安定させ、屈んだり歩いたりした際の前方への漏れを防止することから、第1交差部251や第2交差部252の周辺に配置することが好ましく、また、下着Uに対して均等に力を配分させることから、左右対称に配置することが好ましく、さらに、吸収本体部2の外側と基部3の下着当接側の両方に配置することが好ましい。
【0036】
(舟形への変形及び装着方法)
続いて、吸収本体部2の舟形への変形及び装着方法の一例を図1及び図5に基づいて説明する。
【0037】
図5は、図1に示す吸収性物品の装着図である。図1に示すように、吸収本体部2の舟形への変形に際しては、例えば、個包装から取り出した吸収性物品1の第1交差部251と、第2交差部252とを以て、互いに離間する方向に左右に開くことにより、吸収本体部が舟形へと変形する。そして、使用者Hは、変形した状態のまま吸収性物品1を下着Uに装着する。基部3を逆V字状に折り曲げて、例えば、基部3の下着当接側に形成したズレ止め部材4を下着Uの内面と接着させることにより、吸収性物品1を安定した状態で維持させ、横漏れを防止する。また、吸収本体部2の外側に形成したズレ止め部材4を下着Uの前面と接着させることにより、吸収本体部3の舟形形状を安定した状態で維持させる。
【0038】
(吸収性物品1の製造方法)
図4は、吸収性物品の製造方法の一の実施形態を模式的に示す工程図である。吸収性物品1は、図4に示すような、(1)バックシート27と吸収体28を積層し、積層体11を形成する工程、(2)2枚の積層体11の2吸収体28表面側に、2つ折りのトップシート26を配置し、吸収性物品前駆体12を形成する工程、(3)吸収性物品前駆体12をくの字状に固定する工程、(4)ズレ止め部材4を固定する工程、により製造される。この製造方法において、基部3とバックシート27とが同じ基材を採用する場合、製造工程を短縮し、低コストでの製造方法となる。なお、この基部3は、バックシート27と一体して形成する他に、(3)の工程において、基部3の基材を別に用意し、吸収性物品前駆体12と基部3の基材とをくの字状に相互に固定して形成してもよい。また、折り線部29をエンボスにより形成する場合、(2)の工程の後に、吸収性物品前駆体29のバックシート27側からエンボスを付与する工程、を追加する。
【0039】
吸収性物品前駆体12にくの字状の固定部13を形成する手段としては、特に限定せず、ホットメルト接着剤、超音波シール、ヒートシール等があげられるが、吸収性物品前駆体12を強固に固定するため、超音波シールもしくはヒートシールが好ましい。
【0040】
また、吸収性物品1は、(1)バックシート27の上に2つの吸収体28を所定の間隔を空けて配置し、その上にトップシート26を積層し、積層体11を形成する工程、(2)積層体11を所定の形状に固定し、吸収体28同士が向かい合うように2つ折りし、吸収性物品前駆体12を形成する工程、(3)吸収性物品前駆体12と基部3とを固定する工程、(4)ズレ止め部材4を固定する工程、により製造してもよい。
【0041】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1 吸収性物品
11 積層体
12 吸収性物品前駆体
13 くの字状の固定部
2 吸収本体部
21 第1吸収本体部
22 第2吸収本体部
23 上辺部
24 前辺部
251 第1交差部
252 第2交差部
26 トップシート
27 バックシート
28 吸収体
29 折り線部
3 基部
31 基部の前端
32 基部の後端
4 ズレ止め部材
X 長手方向
Y 幅方向
H 使用者
U 下着
図1
図2
図3
図4
図5