【解決手段】硬度計2は、土壌に貫入されるコーン10と、コーン10の貫入操作を行うための操作具20と、操作具20及びコーン10の間で機械的な力の伝達経路を形成する力伝達機構30と、を備える。力伝達機構30は、貫入操作の際コーン10が受ける抵抗力に起因して縮むバネ37と、バネ37を収容するバネ収容機構38とを有する。バネ収容機構38は、第1バネ収容筒38Aと、第1バネ収容筒38Aとの係合によってバネ収容空間38Xを形成する第2バネ収容筒38Bと、力の伝達経路の方向におけるバネ収容空間38Xの長さを調節可能な調節機構とを有する。調節機構は、例えば、第1バネ収容筒38Aに対して相対的に第2バネ収容筒38Bを移動する相対的位置変更構造38Mである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
図1に示すように、硬度計2は、土壌に貫入されるコーン10と、コーン10の貫入操作を行うための操作具20と、操作具20及びコーン10の間で機械的な力の伝達経路を形成する力伝達機構30と、力伝達機構30に設けられ、土壌の硬度を算出するための目盛機構40と、を備える。
【0015】
力伝達機構30は、軸方向Rxへ延びるように棒状に形成され、先端側には、コーン10が、基端側には操作具20が、それぞれ着脱自在に取り付けられる。
【0016】
コーン10は、頂部10Tが先端側を向く円錐状に形成される。土壌への貫入操作においては、コーン10の頂部10Tが土壌へ貫入される。
【0017】
図2〜3に示すように、操作具20は、棒状に形成された本体21と、本体21の両側に設けられた把持部22,23と、を有する。本体21の中途部分は、力伝達機構30に対して係合する部分である。把持部22,23は、両手で操作具20を把持するためのものである。
【0018】
力伝達機構30は、操作具20を保持する操作具保持機構31と、軸方向Rxに配されるとともに、先端でコーン10を保持するロッド32と、自身の内部空間にロッド32を収容するとともに、軸方向Rxにおいてロッド32を移動自在にするロッド収容筒33と、ロッド32と操作具保持機構31との間に位置するバネ37と、バネ37を収容するバネ収容空間38Xが形成されたバネ収容機構38と、を有する。
【0019】
操作具保持機構31は、円柱状に形成され、自身の側面には側面貫通孔31Xが形成される。
図2に示すように、操作具20を側面貫通孔31Xに挿入するとともに、ネジ(図示しない)を用いて操作具20及び操作具保持機構31を締結することにより、操作具保持機構31は、操作具20を保持することができる。すなわち、ネジによって、操作具20は操作具保持機構31に対して着脱自在に取り付けられる。
【0020】
操作具保持機構31によって保持された操作具20は、力の伝達経路、すなわちロッド32の軸方向Rxと直交することが好ましい。係る場合の操作具20が、力の伝達経路に対して垂直に延びる垂直握り部として機能する。
【0021】
ロッド収容筒33は、円筒状に形成されるものであり、その基端側の端面には、ロッドリング33Rが嵌着される。ロッドリング33Rは、ロッド32の基端側に形成された係合頭部32Kに対して係合する。ロッド32は、係合頭部32Kがロッドリング33Rに係合する頭部係合位置(
図2参照)と、係合頭部32Kがロッドリング33Rから離れた頭部離隔位置(
図4参照)と、の間で、移動自在である。ロッド32が頭部係合位置(
図2参照)に位置する場合には、係合頭部32Kとロッドリング33Rとの係合によって、ロッド32は、コーン10側への移動が規制される。一方、ロッド32が頭部離隔位置(
図4参照)に位置する場合には、ロッド32は、軸方向Rxにおいて移動自在となる。
【0022】
図4に示すように、バネ37のうち一端部が係合頭部32Kに嵌着される。一方、バネ37の他端部は、バネ収容機構38や操作具保持機構31に固定されないものの、操作具保持機構31の底面31Tに当接可能である。したがって、ロッド32が頭部離隔位置であるとともに、バネ37の他端部が操作具保持機構31の底面31Tに当接した場合には、バネ37は縮む。さらに、縮み状態のバネ37は、縮み量に応じた復元力を、係合頭部32K、すなわちロッド32側へ付与する。
【0023】
図3に示すように、ロッド32は、バネ37のうちロッド32側の端部が固定されているバネ固定側ロッド32Bと、コーン10が固定されるコーン固定側ロッド32Cと、バネ固定側ロッド32B及びコーン固定側ロッド32Cを締結する締結具32Tとを有する。締結具32Tにより、長さの異なるコーン固定側ロッド32Cを、バネ固定側ロッド32Bに取り付けることが可能となる。
【0024】
図1に示すように、目盛機構40は、バネ固定側ロッド32Bが挿通する移動リング41と、バネ固定側ロッド32Bの周面に形成され、バネ37の縮み量を算出するためのバネ側目盛42と、を有する。
【0025】
移動リング41は、ロッド収容筒33の先端面33Mに係合する先端面係合状態(例えば、
図1〜2参照)と、ロッド収容筒33の先端面33Mから離れた先端面離隔状態(
図5参照)との間でバネ固定側ロッド32B上をスライド移動自在である。
【0026】
移動リング41が先端面係合状態(
図1〜2参照)であって、ロッド32がロッド収容筒33に潜り込むように移動すると、移動リング41は、ロッド32上を滑りながら、先端面係合状態を維持する(
図4参照)。この場合、すなわち、移動リング41が先端面係合状態(
図4参照)である場合、ロッド32がロッド収容筒33から突出するように移動すると、移動リング41はロッド32とともに移動する(
図5参照)。この結果、移動リング41は、先端面離隔状態へ遷移する。
【0027】
一方、先端面離隔状態(
図5参照)の移動リング41は、移動リング41はロッド32とともに移動する。さらに、先端面離隔状態(
図5参照)の移動リング41は、ロッド32上を移動可能である。したがって、先端面離隔状態(
図5参照)の移動リング41を基端側へスライド移動させることによって、移動リング41を先端面係合状態(
図1〜2参照)にすることができる。
【0028】
さらに、目盛機構40は、コーン10の先端からの距離を表すコーン側目盛46を有していてもよい(
図1参照)。コーン側目盛46は、コーン固定側ロッド32Cに形成され、例えば、コーン10の先端から、10cm間隔で設けられる。
【0029】
次に、バネ収容機構38の詳細について説明する。
【0030】
図6に示すように、バネ収容機構38は、操作具保持機構31の底面31Tから延設された第1バネ収容筒38Aと、ロッド収容筒33の基端側から延設された第2バネ収容筒38Bと、第1バネ収容筒38Aと第2バネ収容筒38Bとの相対的位置を変更可能な相対的位置変更構造38Mと、相対的位置変更構造38Mによる第2バネ収容筒38Bの移動を規制する相対移動規制機構38Lと、を有する。
【0031】
第1バネ収容筒38Aは、小径部38ASと、小径部38ASよりも外径が大きな大径部38ALと、を有する。小径部38ASは、第1バネ収容筒38Aのうち先端側の開口端から基端側にかけて形成される。大径部38ALは、小径部38ASよりも基端側に形成される。小径部38ASの内径と大径部38ALの内径とは等しい。また、小径部38ASの外径R
38ASは第2バネ収容筒38Bの内径にほぼ等しく、大径部38ALの外径R
38ALは第2バネ収容筒38Bの外径にほぼ等しい。なお、小径部38ASの内径と大径部38ALの内径との大小関係は、バネ37の伸び縮みを規制するものでなければよい。
【0032】
図6に示すように、相対的位置変更構造38Mは、小径部38ASの外周面に形成された第1小径おねじ38MAと、第2バネ収容筒38Bの内周面に形成された第2小径めねじ38MBと、を有する。
【0033】
第1小径おねじ38MAは、第1バネ収容筒38A、すなわち小径部38ASの先端側の端面から基端側に向かって延びる。第2小径めねじ38MBは、第2バネ収容筒38Bの基端側の端面から先端側に向かって延びる。第1小径おねじ38MAは、第2小径めねじ38MBに対して螺合可能である。
【0034】
第1小径おねじ38MAと第2小径めねじ38MBとの螺合によって、第1バネ収容筒38Aの内部空間と第2バネ収容筒38Bの内部空間が一体となる。この結果、ロッド収容筒33と操作具保持機構31との間には、バネ37が収容されるバネ収容空間38X(
図2参照)が形成される。さらに、第1小径おねじ38MAと第2小径めねじ38MBとの螺合によって、第2バネ収容筒38Bは、第1バネ収容筒38Aの第1小径おねじ38MAに沿って、らせん移動可能となる。このため、ロッド32の軸方向Rxにおけるバネ収容空間38Xの長さL
38X(
図2参照)は、第1バネ収容筒38Aに対する第2バネ収容筒38Bの移動によって、調節可能となる。
【0035】
図6〜7に示すように、相対移動規制機構38Lは、大径部38AL、すなわち、第1バネ収容筒38Aの外周に設けられる第1大径おねじ71と、第2バネ収容筒38Bの外周面に設けられた第2大径おねじ72と、螺合リング73と、を有する。螺合リング73の内周面には、第1大径おねじ72及び第1大径おねじ72と螺合可能なめねじが形成される。
【0036】
螺合リング73は、第1大径おねじ71と螺合可能であるため、大径部38ALに沿って、らせん移動自在である(例えば、
図1、7参照)。このため、螺合リング73は、大径部38ALのみに係合した状態(
図7、8参照。以下、ロック解除状態と称する。)と、大径部38ALに係合するとともに、第2大径おねじ72に係合した状態(
図1,2参照。以下、ロック状態と称する。)と、の間で遷移自在である。そして、螺合リング73がロック解除状態の場合(
図7、8参照)には、第1バネ収容筒38Aに対する第2バネ収容筒38Bの相対的移動が可能となり、螺合リング73がロック状態の場合(
図2参照)には、第1バネ収容筒38Aに対する第2バネ収容筒38Bの相対的移動が規制される。
【0037】
なお、方向Rxにおける螺合リング73の長さ)は、第1バネ収容筒38Aと第2バネ収容筒38Bとが係合した状態である場合に、ロック状態(
図2参照)を取り得るものであればよく、例えば、方向Rxにおける小径部38ASの長さよりも長いことが好ましい。
【0038】
次に、硬度計2の使用方法について説明する。
【0039】
まず、
図2に示すように、ロッド32を頭部係合位置にするとともに、移動リング41を先端面係合状態にすることで、硬度計2は、測定準備段階となる。測定準備段階では、バネ側目盛42の「0」に対して、移動リング41が位置合わせされていることが好ましい。
【0040】
その後、
図4に示すように、土壌Dに対して貫入操作を行うと、ロッド収容筒33に潜り込むようにロッド32が移動するとともに、移動リング41は、先端面係合状態を維持しながら、ロッド32上を滑る。
【0041】
貫入操作における貫入負荷を取り除くと、
図5に示すように、バネ37の復元力によって、ロッド32が頭部係合位置に向かって移動する。さらに、移動リング41は、ロッド32上に固定されたまま、ロッド32とともに移動する。この結果、移動リング41は、先端面退避状態となる。
【0042】
そして、先端面係合状態(
図1,2参照)の移動リング41の位置PAから、先端面離隔状態(
図5参照)の移動リング41の位置PBまでの変化量ΔPは、貫入操作によるバネ37の縮み量に相当するため、変化量ΔPと既知のバネ係数kとに基づいて、土壌の硬度を測定することができる。
【0043】
次に、バネ37の装着方法について説明する。
【0044】
まず、ロック状態(
図2参照)の螺合リング73をらせん移動させて、ロック解除状態(
図7、8参照)にする。次に、
図6に示すように、第2バネ収容筒38Bのらせん移動によって、第2バネ収容筒38Bを第1バネ収容筒38Aから取り外す。その後、バネ37の一端部を、係合頭部32Kに嵌着する。そして、第2バネ収容筒38Bのらせん移動によって、第2バネ収容筒38Bを第1バネ収容筒38Aに装着する。
【0045】
第2バネ収容筒38Bを第1バネ収容筒38Aに装着した状態(例えば、
図2参照)において、バネ収容空間38Xの長さL
38Xがバネ37の長さと等しい状態、または、バネ収容空間38Xの長さL
38Xがバネ37の長さよりも長い状態(以下、この2つの状態をまとめて第1状態と称する)においては、ロッド収容筒33に潜り込むようにしてロッド32が移動すると、バネ37の復元力がロッド32にかかる。このため、嵌入操作におけるロッド32の移動量が、バネ37の縮み量に正しく反映される。
【0046】
一方、第1バネ収容筒38Aを第2バネ収容筒38Bに装着した状態(例えば、
図2参照)において、バネ収容空間38Xの長さL
38Xが、バネ37の長さよりも短い場合には、バネ収容空間38Xの長さL
38Xの調節により、前述の第1状態を作り出す必要がある。
【0047】
硬度計2におけるバネ収容機構38は、長さL
38Xが変更可能であるため、容易に第1状態を作り出すことが可能となる。
【0048】
さらに、硬度計2におけるバネ収容機構38は、相対移動規制機構38Lを有するため、螺合リング73のらせん移動によって、ロック解除状態の場合(
図7参照)とロック状態の場合(
図2参照)との切り替えが可能となる。このため、ロック解除状態の場合(
図7、8参照)においては、前述の第1状態を作り出すとともに、前述の第1状態を作り出した後には、ロック解除状態の場合(
図7、8参照)からロック状態の場合(
図2参照)へ切り替えることにより、前述の第1状態を維持することができる。
【0049】
なお、硬度計2は、さらに、水準器を有していてもよい。このような水準器としては、
図1に示すように、例えば、操作具保持機構31の天面に設けられた第1水準器81や操作具保持機構31の周面に設けられた第2水準器82などがある。第1水準器81は、ロッド32の軸方向Rxが鉛直方向を向いているか否かを検出する。第2水準器82は、ロッド32の軸方向Rxが水平であるか否かを検出する。
【0050】
また、被測定対象となる土壌の周囲の状況によっては、操作具20が邪魔になる場合がある。係る場合には、操作具保持機構31の側面貫通孔31Xから操作具20を抜き取ればよい。かかる場合には、筒状のバネ収容機構38の周面が、力の伝達経路に対して(ほぼ)平行に延びる平行握り部として機能する。このバネ収容機構38の周面を握ることにより、土壌の貫入操作を行うこともできる。
【0051】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。