【課題】 パネル自体の耐火・耐熱性能、遮音性能を向上させ、且つ、パネルの表裏何れか一方の面側で発生した火炎がパネル同士の連結部を介してパネルの表裏何れか他方の面側に侵入してしまうことを防止できるパネルとパネル連結構造を提供すること。
【解決手段】 アルミニウム製の枠体と、上記枠体の側に設置されたアルミニウム製の表側化粧板と、上記枠体の裏側に設置されたアルミニウム製の裏側化粧板と、上記表側化粧板の内側に設置された表側耐火ボードと、上記裏側化粧板の内側に設置された裏側耐火ボードと、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間に設置された充填体と、を具備したもの。
アルミニウム製の枠体と、上記枠体の表側に設置されたアルミニウム製の表側化粧板と、上記枠体の裏側に設置されたアルミニウム製の裏側化粧板と、上記表側化粧板の内側に設置された表側耐火ボードと、上記裏側化粧板の内側に設置された裏側耐火ボードと、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間に設置され耐火・耐熱性能を備えた充填体と、を具備したことを特徴とするパネル。
【背景技術】
【0002】
従来のパネルとパネル連結構造の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1乃至特許文献4がある。
特許文献1に記載された耐火屋根用パネルは次のような構成になっている。まず、アルミニウム製の一対の表面板があり、この一対の表面板の端部間にはアルミニウム製の枠材が介挿されている。また、上記一対の表面板と枠材とで形成される空間内にはコア材が介挿されている。
また、その連結構造は次のようになっている。まず、隣接する耐火屋根用パネル間であって一方の側には連結部材が介挿されていて、この連結部材の両端は上記枠材に係合されている。また、上記隣接する耐火屋根用パネル間であって他方の側には耐火シール材が充填されている。これら連結部材と耐火シール材とによって、隣接する耐火屋根用パネルを連結するようにしている。
又、特許文献2に記載された耐火屋根用のパネルとパネル連結構造も略同様の構成になっている。
【0003】
又、特許文献3に記載された耐火屋根用パネルは、アルミニウム製の一対の表面板と、この一対の表面板の間に介挿されるコア材と、アルミニウム製の枠材とから構成されている。
又、上記耐火屋根用パネル同士を連結させて耐火屋根構造が構成されている。上記耐火屋根用パネル同士の連結構造は次のような構成となっている。上記耐火屋根用パネルの枠材には、嵌合溝が形成されており、この嵌合溝にはシール部材が嵌合されている。上記耐火屋根用パネル同士は、このシール部材同士が当接するように連結されている。又、上記耐火屋根用パネル同士の間には、セラミックファイバ、バックアップ材も介挿されている。又、上記耐火屋根用のパネル同士の間であって表面側にはコーキング材が充填されている。
【0004】
さらに、特許文献4に記載されたプレハブ式建築物・構築物等用の耐火パネルは次のような構成になっている。まず、アルミ製のフレーム材があり、このアルミ製のフレーム材の表裏両面側には耐火ボードがそれぞれ設置されている。これら耐火ボードの外側には鋼板がそれぞれ張設されている。そして、上記耐火ボード間には硬質発泡ウレタン等の充填剤が注入・固化されている。
又、上記耐火パネル同士を連結する場合の連結構造は次のようになっている。上記耐火パネルのアルミ製のフレーム材からは外側に向けて連結突条が突出・形成されており、この連結突条の先端側には耐火パネル側に向けて屈曲された鈎形部が形成されている。隣接した耐火パネル同士においては、一方の耐火パネルの鈎型部は他方の耐火パネルのアルミ製のフレーム材に当接されているとともに、他方の耐火パネルの鈎型部は一方の耐火パネルのアルミ製のフレーム材に当接されている。
そして、上記一方の耐火パネルの鈎型部と他方の耐火パネルの鈎型部との間にキープレートが介挿されており、このキープレートによって耐火パネル同士が連結・固定されている。又、上記耐火パネル同士の間の内部には、狭長耐火板が介挿されており、表面側にはコーキング材が充填されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の構成によると次のような問題があった。
まず、特許文献1乃至特許文献4の何れに開示されている耐火パネルも、パネル自体の耐火・耐熱性能が決して十分であるとはいえず、又、遮音性能の点でも問題があった。
又、特許文献1乃至特許文献3に記載された耐火屋根用パネルの連結部においては、表裏それぞれの表面板がアルミニウム製の枠材を介して連続した構成になっている。そのため、表裏何れか一方の側において火炎が発生すると、その熱が何れか一方の側の表面板、枠材を介して、何れか他方の側の表面板に伝達されてしまうという問題があった。
又、火炎によって、何れか一方の側の表面板が溶融してしまった場合には、火炎が何れか他方の側に侵入してしまうことになり、耐火機能が大きく損なわれてしまうという問題があった。
【0007】
又、特許文献4に記載されたプレハブ式建築物・構築物等用の耐火パネル同士の連結部の場合には、表裏両面側の鋼板の内側、すなわち、上記鋼板とアルミ製のフレームとの間に耐火ボードが設置されており、その分、既に説明した特許文献1乃至特許文献3に記載された耐火屋根用パネルの連結部に比べて、その耐火・耐熱性能は高いかと思われるが、上記耐火ボードは決して十分な厚みを持ったものではなく、よって、表裏何れか一方の側において火炎が発生した場合に、その耐火機能が損なわれてしまうという問題があった。その場合には、既に説明した特許文献1乃至特許文献3に記載された耐火屋根用パネルの連結部の場合と同様の問題が発生してしまう。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、パネル自体の耐火・耐熱性能、遮音性能を向上させ、且つ、表裏何れか一方の面側で発生した火炎がパネル同士の連結部を介して表裏何れか他方の面側に侵入してしまうことを防止できるパネルとパネル連結構造を提供することにある。
尚、本件特許出願人は、このような課題を解決するものとして、特許出願を行っており(特願2012−244098、未公開)、本願は、これをさらに改良せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本願の請求項1に記載されたパネルは、アルミニウム製の枠体と、上記枠体の表側に設置されたアルミニウム製の表側化粧板と、上記枠体の裏側に設置されたアルミニウム製の裏側化粧板と、上記表側化粧板の内側に設置された表側耐火ボードと、上記裏側化粧板の内側に設置された裏側耐火ボードと、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間に設置され耐火・耐熱性能を備えた充填体と、を具備したことを特徴とするものである。
又、請求項2に記載されたパネルは、請求項1記載のパネルにおいて、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間には中央耐火ボードが設置されていて、上記充填体は上記表側耐火ボードと上記中央耐火ボードの間、上記裏側耐火ボードと上記中央耐火ボードの間に充填されていることを特徴とするものである。
又、請求項3に記載されたパネルは、請求項1又は請求項2記載のパネルにおいて、上記枠体は表側枠体と裏側枠体に分離されていて相互に離間・配置されていることを特徴とするものである。
又、請求項4に記載されたパネルは、請求項1〜請求項3の何れかに記載のパネルにおいて、上記表側枠体と裏側枠体の間には耐火・耐熱性能を備えた厚み調整体が介挿されていて、この厚み調整体により上記表側枠体と裏側枠体とを離間・配置させるように構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項5によるパネルは、請求項4記載のパネルにおいて、上記厚み調整体の厚みを調整することにより上記パネルの厚みを調整可能に構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるパネルは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のパネルを隣接・配置させ、上記パネル間に耐火・耐熱性能を備えた連結用構造部を介挿させ、この連結用構造部を介して上記隣接・配置されたパネル同士を連結するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように、本願の請求項1に記載されたパネルによると、アルミニウム製の枠体と、上記枠体の表側に設置されたアルミニウム製の表側化粧板と、上記枠体の裏側に設置されたアルミニウム製の裏側化粧板と、上記表側化粧板の内側に設置された表側耐火ボードと、上記裏側化粧板の内側に設置された裏側耐火ボードと、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間に設置され耐火・耐熱性能を備えた充填体と、を具備した構成になっているので、パネル自身の耐火性能、耐熱性能を向上させることができるとともに遮音性を高めることができる。
又、請求項2に記載されたパネルによると、請求項1記載のパネルにおいて、上記表側耐火ボードと裏側耐火ボードの間には中央耐火ボードが設置されていて、上記充填体は上記表側耐火ボードと上記中央耐火ボードの間、上記裏側耐火ボードと上記中央耐火ボードの間に充填されている構成になっているので、中央耐火ボードが追加された分さらに耐火性能、耐熱性能を向上させることができるとともに遮音性を高めることができる。
又、請求項3に記載されたパネルによると、請求項1又は請求項2記載のパネルにおいて、上記枠体は表側枠体と裏側枠体に分離されていて相互に離間・配置されている構成になっているので、連結構造部を介しての表裏相互間の火炎の浸入、熱の伝達を防止することができる。
又、請求項4に記載されたパネルによると、請求項1〜請求項3の何れかに記載のパネルにおいて、上記表側枠体と裏側枠体の間には耐火・耐熱性能を備えた厚み調整体が介挿されていて、この厚み調整体により上記表側枠体と裏側枠体とを離間・配置させるように構成されているので、上記パネルの一方側から他方側への熱の伝達をより効果的に抑制できる。
又、請求項5によるパネルによると、請求項4記載のパネルにおいて、上記厚み調整体の厚みを調整することにより上記パネルの厚みを調整可能に構成されているので、様々な厚みのパネルに対して容易に対応することができる。
又、請求項6によるパネル連結構造によると、請求項1〜請求項5の何れかに記載のパネルを隣接・配置させ、上記パネル間に耐火・耐熱性能を備えた連結用構造部を介挿させ、この連結用構造部を介して上記隣接・配置されたパネル同士を連結するように構成したので、上記パネル間の連結構造部において、上記パネルの一方側から他方側への熱の伝達を抑制でき、上記パネル連結構造が溶融・破壊されてしまうことを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1乃至
図21を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は組立式ハウス1の構成を示す正面図、
図2は
図1のII−II断面図、
図3は
図1のIII−III断面図である。以下、その概略の構成を説明する。
【0013】
上記組立式ハウス1は、正面壁5、背面壁7、左側面壁9、右側面壁11、天井13、床15、とから構成されている。上記正面壁5、背面壁7、左側面壁9、右側面壁11は、第1の実施の形態による側面用パネル21を連結することにより構成されている。又、上記天井13は、上記側面用パネル21とは異なる構成の一枚の天井用パネル41より構成されている。又、上記床15も、上記側面用パネル21とは異なる構成の一枚の床用パネル51により構成されている。これら、側面用パネル21、天井用パネル41、床用パネル51は、何れも耐火・耐熱パネルとして構成されている。
【0014】
又、上記正面壁5側には、
図2に示すように、正面開閉扉6が開閉自在に取り付けられている。又、上記背面壁7には窓8が取り付けられているとともに、上記左側面壁9にも窓10が取り付けられている。又、上記正面壁5の外側には機器室12が設けられていて、この機器室12内には、例えば、エアーコンディショナの室外機14が収容されている。又、上記正面壁5の外側には別の室16が設置されており、この室16はいわゆる「物置」として機能するようになっている。
以下、順次詳細に説明する。
【0015】
まず、正面壁5であるが、
図2、
図5に示すように、側面用パネル21を適宜の枚数だけ連結した構成になっている。
因みに、この実施の形態の場合には、
図2に示すように、異なる大きさの2枚の側面用パネル21、21を既に述べた正面開閉扉6を挟んで連結した構成になっている。
【0016】
上記側面用パネル21は、
図4、
図5、
図11乃至
図13に示すように、次のような構成になっている。まず、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25が設置されている。これら表側化粧板23、裏側化粧板25の内側には、例えば、
図5に示すように、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31がそれぞれ設置されている。これら表側耐火ボード29と裏側耐火ボード31との間には耐火・耐熱性能を備えた充填体としての発泡ウレタン33が充填されている。
尚、この第1の実施の形態では、
図4(b)に示すように、室内側を裏側、室外側を表側として説明する。
【0017】
又、上記表側耐火ボード29と裏側耐火ボード31との間であって上記ウレタン33の外周側には、耐火ボード34、34を介して耐火ボード36が設置されている。上記耐火ボード34、34、36は、上記ウレタン33の外周に全周にわたって設置されている。
上記表側化粧板23と表側耐火ボード29は接着剤により接着・固定されており、上記裏側化粧板25と裏側耐火ボード31も接着剤により接着・固定されている。そして、表側耐火ボード29と裏側耐火ボード31も上記ウレタン33に対して接着剤により接着・固定されている。
【0018】
又、上記耐火ボード34、34、36は、厚み調整体として機能するものであり、つまり、これら耐火ボード34、34、36の厚みを適宜変更することにより、側面用パネル21としての厚みを変更することができる。
【0019】
又、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、3、36としては、例えば、ケイ酸カルシウム板の使用が考えられる。又、ケイ酸カルシウムの結晶であるゾノトライト、合成樹脂、ガラス繊維等を混合して成形したもので、耐火・耐熱性能を備えたものも考えられ、そのようなものとして、例えば、ゾノトライトを主成分とし合成樹脂やガラス繊維を混合して成形したエースライト(登録商標)がある。
又、上記表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、3、36は遮音性能も備えている。
尚、第1の実施の形態ではケイ酸カルシウム板を使用している。
【0020】
又、これら表側化粧板23、裏側化粧板25、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、ウレタン33、耐火ボード34、34、36の外周側であって表側の左右両側には、
図11にも示すように、側部表側枠材35、35が設置されているとともに、裏側の左右両側には側部裏側枠材37、37が設置されている。又、表側化粧板23、裏側化粧板25、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、ウレタン33、耐火ボード34、34、36の外周側であって上端の表側と裏側には、
図13にも示すように、上端枠材39、39が設置されているとともに、下端の表側と裏側には、
図12にも示すように、下端枠材40、40が設置されている。
【0021】
上記側部表側枠材35は、
図15に示すような端面形状をなしており、枠材本体35aが設けられていて、この枠材本体35aには、溝35cが形成されているとともに溝35d、溝35eが形成されている。この内、溝35eには既に説明した表側化粧板23(
図15中仮想線で示す)の端が係合されている。
又、上記側部表側枠材35は固定ネジ38により上記耐火ボード36に固定されていて、上記側部裏側枠材37も固定ネジ38により上記耐火ボード36に固定されている。
尚、
図5に示すように、上記耐火ボード34、34は固定ネジ42によって上記耐火ボード36に固定されている。
又、上記側部裏側枠材37は、
図14に示すような端面形状をなしており、枠材本体37aが設けられていて、この枠材本体37aの端には、溝37cが形成されているとともに溝37d、溝37eが形成されている。この内、溝37eには既に説明した裏側化粧板25(
図14中仮想線で示す)の端が係合されている。
【0022】
又、上記上端枠材39は、
図16に示すような端面形状をなしており、枠材本体39aが設けられていて、この枠材本体39aには、T溝39cが設けられているとともに、溝39d、39dが設けられている。又、上記上端枠材39は複数本の固定ネジ38によって上記耐火ボード36に固定されている。
又、上記下端枠材40は、
図17に示すような端面形状をなしており、枠材本体40aが設けられていて、この枠材本体40aはその横断面形状が略U字形状をなしていて、貫通孔40cが設けられているとともに、溝40d、40dが設けられている。又、上記下端枠材40も複数本の固定ネジ38によって上記耐火ボード36に固定されている。
【0023】
次に、上記側部表側枠材35、35と表側の上端枠材39との連結構造を説明する。
図4(b)、4(c)に示すように、上記表側の上端枠材39の両端面に上記側部表側枠材35、35の側面が当接されている。その状態で、上記側部表側枠材35、35側から図示しない2本の固定ねじを上記上端枠材39の溝39d、39dに螺合させていく(いわゆる「セルフタッピング」)。それによって、上記側部表側枠材35、35が上記表側の上端枠材39の両端にそれぞれ連結・固定される。
【0024】
次に、上記側部裏側枠材37、37と裏側の上端枠材39との連結構造を説明する。
図4(b)に示すように、上記裏側の上端枠材39の両端面に上記側部裏側枠材37、37の側面が当接されている。その状態で、上記側部裏側枠材37、37側から図示しない2本の固定ネジを差し込んで上記上端枠材39の溝39d、39dに螺合させていく(いわゆる「セルフタッピング」)。それによって、上記側部裏側枠材37、37が上記裏側の上端枠材39の両端にそれぞれ連結・固定される。
【0025】
次に、上記側部表側枠材35、35と表側の下端枠材40との連結構造であるが、これも同様であり、上記表側の下端枠材40の両端面に上記側部表側枠材35、35の側面を当接させ、その状態で、上記側部表側枠材35、35側から図示しない2本の固定ネジを差し込んで上記表側の下端枠材40の溝40d、40dに螺合させていく(いわゆる「セルフタッピング」)。それによって、上記側部表側枠材35、35が上記表側の下端枠材40の両端にそれぞれ連結・固定される。
【0026】
次に、上記側部裏側枠材37、37と裏側の下端枠材40との連結構造であるが、これも同様であり、上記裏側の下端枠材40の両端面に上記側部裏側枠材37、37の側面を当接させ、その状態で、上記側部裏側枠材37、37側から図示しない2本の固定ネジを差し込んで、上記裏側の下端枠材40の溝40d、40dに螺合させていく(いわゆる「セルフタッピング」)。それによって、上記側部裏側枠材37、37が上記裏側の下端枠材40の両端にそれぞれ連結・固定される。
【0027】
上記背面壁7、左側面壁9、右側面壁11も、同様の構成をなす側面用パネル21を連設して構成されている。
【0028】
次に、上記天井13を構成している一枚の天井用パネル41の構成を説明する。上記天井用パネル41は、
図7に示すように、アルミニウム製の表側化粧板43と、アルミニウム製の裏側化粧板45と、これら表側化粧板43と裏側化粧板45との間に充填された充填体としての発泡硬質ポリスチレン材47と、から構成されている。又、これら表側化粧板43、裏側化粧板45、発泡硬質ポリスチレン材47は接着剤により接着・固定されているとともに、その外周にはアルミニウム製の枠材49が設置されている。上記枠材49は、固定ネジ46とナット48からなる複数組みの締結具によって上記表側化粧板43に取り付けられている。
【0029】
又、上記枠材49は、
図7に示すように、中空形状をなす枠材本体49aと、この枠材本体49aに形成されたT溝49b、49cと、溝49dと、溝49e、49eと、から構成されている。
尚、
図7に示すように、上記枠材49には水切り板50が取り付けられている。すなわち、上記T溝49b内にTナット52を内装し、そこに固定ネジ54を螺合することにより、上記水切り板50が取り付けられている。この水切り板50は天井13の全周にわたって取り付けられている。
【0030】
次に、上記床15を構成する一枚の床用パネル51の構成を説明する。上記床用パネル51は、
図9に示すように、アルミニウム製の表側化粧板53と、アルミニウム製の裏側化粧板55、これら表側化粧板53と裏側化粧板55との間に充填された充填体としての発泡硬質ポリスチレン材57と、から構成されている。又、これら表側化粧板53、裏側化粧板55、発泡硬質ポリスチレン材57は接着剤により接着・固定されているとともに、その外周にはアルミニウム製の枠材59が設置されている。
【0031】
上記枠材59は、
図8に示すように、枠材本体59aと、この枠材59aに形成されたT溝59bと、その他の溝59c、59cとから構成されている。
【0032】
又、床材15の下には、
図1、
図3、
図8に示すように、鋼製の床構造物61が設置されているとともに、床材15の上には別の構成をなす床用化粧材63が設置されている。上記床用化粧板63と上記床用パネル51との間には配線・配管空間64が形成されている。この配線・配管空間64内に図示しない各種配線・配管が敷設されることになる。
【0033】
次に、隣接・配置された側面用パネル21、21の連結構造を場所毎に順次説明していく。
まず、
図5を参照して、正面壁5の側面用パネル21と右側面壁11の側面用パネル21との連結構造(角部の連結構造)から説明する。まず、角部にアルミニウム製の角部外側枠材71が設置されている。この角部外側枠材71は、
図20に示すような端面形状をなしており、略L字形状をなし中空状の枠材本体71aと、この枠材本体71aのL字の両端にそれぞれ設けられた溝71c、溝71dとから構成されている。
【0034】
又、
図5に戻って、上記角部外側枠材71の対角線方向内側には、アルミニウム製の角部内側枠材73が設置されている。この角部内側枠材73は、
図21に示すような端面形状をなしていて、略L字形状をなす枠材本体73aと、この枠材本体73aの中央部に設けられた係合部73bと、上記枠材本体73aの両端に設けられた係合部73c、73cと、から構成されている。
【0035】
図5において、上記角部外側枠材71及び角部内側枠材73のL字の両側に、正面壁5の側面用パネル21と右側面壁11の側面用パネル21が、相互に直交する方向から対向・配置されている。
まず、角部外側枠材71と正面壁5の側面用パネル21の連結構造をみてみると、角部外側枠材71側の溝71dにはガスケット81が設置されているとともに、側面用パネル21の側部表側枠材35の溝35dにもガスケット81が設置されている。又、これら両ガスケット81、81を覆うように、アルミニウム製の塞ぎ部材85が設置されている。
又、上記角部内側枠材73の一方の係合部73cが側面用パネル21の側部裏側枠材37の溝37cに係合している。
【0036】
上記塞ぎ部材85は、
図19に示すような端面形状をなしており、塞ぎ部材本体85aと、この塞ぎ部材本体85aの左右両端に設けられた係合部85b、85bと、から構成されている。そして、
図5に示すように、これら係合部85b、85bが、上記角部外側枠材71の溝71dの外側と、側面用パネル21の側部表側枠材35の溝35dの外側に係合している。
【0037】
次に、角部外側枠材71と右側面壁11の側面用パネル21の連結構造をみてみると、同様に、まず、角部外側枠材71側の溝71dにはガスケット81が設置されているとともに、側面用パネル21の側部表側枠材35の溝35dにもガスケット81が設置されている。これら両ガスケット81、81を覆うように、アルミニウム製の塞ぎ部材85が設置されている。又、上記角部内側枠材73の他方の係合部73cが、パネル21の側部裏側枠材37の溝37cに係合している。
【0038】
そして、上記角部外側枠材71と角部内側枠材73の間には、連結部外側耐火ボード91、91、連結部中央耐火ボード93、93、連結部内側耐火ボード95、95が介挿されている。又、連結部内側耐火ボード95、95と上記角部内側枠材73の間には、スポンジゴム97が介挿されている。
尚、上記連結部外側耐火ボード91、連結部中央耐火ボード93、連結部内側耐火ボード95としては、既に説明した表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、3、36の場合と同様に、例えば、ケイ酸カルシウム板の使用が考えられる。又、ケイ酸カルシウムの結晶であるゾノトライト、合成樹脂、ガラス繊維等を混合して成形したもので、耐火・耐熱性能を備えたものも考えられ、そのようなものとして、例えば、ゾノトライトを主成分とし合成樹脂やガラス繊維を混合して成形したエースライト(登録商標)がある。
尚、本実施の形態ではケイ酸カルシウム板を使用している。
【0039】
又、
図5に示すように、上記角部内側枠材73の係合部73c、73cの内側には配線・配管空間100、100が形成されていて、これら配線・配管空間100、100内には配線102、102が敷設されている。
尚、正面壁5と左側面壁13との角部、背面壁7と左側面壁9との角部、背面壁7と右側面壁11との角部、についても、上記と同様の連結構造をなしている。
【0040】
次に、右側面壁11における側面用パネル21、21同士の連結構造について、
図6を参照して説明する。まず、外側であるが、それぞれの側面用パネル21、21の側部表側枠材35、35の溝35d、35dにはガスケット81、81が設置されている。そして、これら両ガスケット81、81を覆うように、既に説明した覆い部材85と同じ構成の覆い部材85が設置されている。
【0041】
又、内側であるが、アルミニウム製の覆い部材92が設置されていて、この覆い部材92は、
図18に示すような端面形状をなしており、覆い部材本体92aと、この覆い部材本体92aの左右両側に設けられた係合部92b、92bとから構成されている。そして、
図6に示すように、上記覆い部材92の左右の係合部92b、92bが、側面用パネル21、21の側部裏側枠材37、37の溝37c、37cにそれぞれ係合している。又、
図6に示すように、上記覆い部材92の係合部92b、92bの内側には配線・配管空間100、100が形成されていて、これら配線・配管空間100、100内には配線102、102が敷設されている。
又、この場合には、連結部において、上記連結部外側耐火ボード91、連結部内側耐火ボード95のみを使用し、連結部中央耐火ボード93、スポンジ97は使用しない。
尚、正面壁5、背面壁7、左側面壁9における側面用パネル21、21同士の連結構造も同様の連結構造になっている。
【0042】
次に、
図7、
図8を参照して、左側面壁9の側面用パネル21と天井13の一枚の天井用パネル41との連結構造について説明する。まず、天井13の一枚の天井用パネル41の枠材49と側面用パネル21の表側の上端枠材39との間には、略L字形状をなす連結金具101が設置されている。この連結金具101に設けられた貫通孔101a、101aを介して、固定ネジ103、103を差し込み、T字溝39c、49c内に内装されているTナット105、105に螺合させることにより、天井13の枠材49と側面用パネル21の表側の上端枠材39を連結金具101を介して連結・固定するようにしている。
【0043】
又、上記左側面壁9の裏側の上端枠材39においても略同様の構成になっている。すなわち、天井13一枚の天井用パネル41と側面用パネル21の裏側の上端枠材39との間には、略L字形状をなす連結金具101が設置されている。この連結金具101に設けられた貫通孔101a、101aを介して、固定ネジ103、103を差し込み、T字溝39c内に内装されているTナット105、部材106に螺合させることにより、天井13の枠材49と側面用パネル21の裏側の上端枠材39を連結金具101を介して連結・固定するようにしている。
尚、正面壁5、背面壁7、右側面壁11の側面用パネル21と天井13の一枚天井用パネル41との連結構造も同様の連結構造になっている。
【0044】
又、
図9を参照して、左側面壁9の側面用パネル21と床15の一枚の床用パネル51との連結構造について説明する。左側面壁9の側面用パネル21と床15の一枚の床用パネル51は、それぞれ床構造物61に取付・固定されている。まず、左側面壁9の側面用パネル21であるが、床構造物61側から固定ボルト111、111を座金112、112を介して差し込んで、下端枠材40、40の貫通孔40c、40cを貫通させ、耐火ボード29、31に螺合させることにより固定されている。
尚、上記固定ボルト111、111は二列で配置されていて各列複数設置されている。
又、左側面壁9の側面用パネル21と床15の一枚の床用パネル51との間にはゴム製のパッキン114が介挿されていて、室内の液密、気密を保持するようにしている。このパッキン114には複数(この実施の形態の場合には3個)の舌状部114aが突設されている。上記パッキン114は上記床15の一枚の床用パネル51の全周にわたって亘って設置されている。
【0045】
一方、床15の一枚の床用パネル51であるが、枠材59のT溝59b内にTナット113を内装しておき、そこに固定ボルト115を螺合させることにより、固定されている。
尚、正面壁5、背面壁7、右側面壁11の側面用パネル21と床15の一枚の床用パネル51との連結構造も同様の連結構造になっている。
【0046】
次に、正面壁5の上端部と天井13の一枚の天井用パネル41との連結部について、
図10を参照して説明する。
図10は、
図1のX部を断面にして拡大して示す図である。断面位置としては、
図2に示す正面開閉扉6の位置である。
まず、天井13の一枚の天井用パネル41の直下には上端枠材131、131が設置されている。この上端枠材131は、枠材本体131aと、T溝131bと、その他の溝131c、131cとから構成されている。これら上端枠材131、131との間には耐火ボード133が設置されていて、上記上端枠材131、131は、この耐火ボード133に固定ネジ135、135によって固定されている。
尚、この上端枠材131は、既に説明した上端枠材39と近似した端面形状になっているが、細部においてその形状が異なっている。
【0047】
上記上端枠材131、131は、
図7を使用して既に説明した上端枠材39、39の場合と同様の構成により天井3側に固定されている。
又、上記上端枠材131、131の下方には別の枠材137が設置されていて、この枠材137は窓枠状に設けられていて、その内側にはガラス139が取り付けられている。このガラス139は、いわゆる「嵌め殺し」の状態で設置されていて、このガラス139の下方に、既に説明した正面開閉扉6が開閉自在に設置されている。
【0048】
以上の構成を基に作用を説明する。
まず、側面用パネル21自体の作用から説明する。側面用パネル21は、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36をそれぞれ設置し、それら表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36の内側に充填体としてのウレタン33を充填した構成になっていて、耐火・耐熱性能が大幅に向上されているので、仮に、内側で火災が発生しても外部に延焼するようなことはない。
特に、アルミニウム製の表側化粧板23と裏側化粧板25は別個独立して設けられており、又、側部表側枠材35と側部裏側枠材37もそれぞれ別個独立なものとして離間・配置されており、表側と裏側の上端枠材39、39もそれぞれ別個独立なものとして離間・配置されており、表側と裏側の下端枠材40、40もそれぞれ別個独立なものとして離間・配置されているので、仮に、裏側化粧板25が溶融してもその影響が表側化粧板23に伝わることはない。
又、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36をそれぞれ設置しているので、高い耐火・耐熱性能を得ることができる。
又、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36をそれぞれ設置しているので、遮音性能も向上している。
【0049】
次に、
図5に示す角部の連結部における作用から説明する。
例えば、側面用パネル21の内側において、火災などにより火炎が発生した場合を想定する。このような場合、上記火炎による熱が、アルミニウム製である角部内側枠材73、側面用パネル21の側部裏側枠材37、37には伝達されるが、角部外側枠材71、覆い部材85、側面用パネル21の側部表側枠材35、35側には伝達されない。これは、角部外側枠材71、覆い部材85は角部内側枠材73に対して別個独立したものとして離間・配置されており、又、側部表側枠材35も側部裏側枠材37に対して別個独立なものとして離間・配置されていて、その間には、耐火・耐熱性能を備えた連結部外側耐火ボード91、連結部中央耐火ボード93、連結部内側耐火ボード95が設けられているからである。
【0050】
よって、例えば、角部内側枠材73や側面用パネル21の側部裏側枠材37、37が火炎による熱で溶融・破壊されてしまっても、角部外側枠材71や側部表側枠材35、35までもが溶融・破壊されてしまうことはなく、側面用パネル21、21の表側への火炎の侵入や火災の延焼を防止することができる。
これらの作用は、正面壁5、背面壁7、左側面壁9、右側面壁11からなる全ての角部において同じである。
【0051】
次に、正面壁5、背面壁7、左側面壁9、右側面壁11の、各側面用パネル21、21同士の連結部の作用について説明する。
例えば、側面用パネル21、21同士の連結部の裏側において、火災等により火炎が発生した場合を想定する。このような場合、上記火炎による熱が、アルミニウム製である覆い部材91、側面用パネル21の側部裏側枠材37、37、裏側の上端枠材39、裏側の下端枠材40には伝達されるが、覆い部材85、側面用パネル21の側部表側枠材35、35、表側の上端枠材39、表側の下端枠材40側には伝達されない。すなわち、覆い部材85は覆い部材91に対して別個独立したものとして離間・配置されており、同様に、側部表側枠材35も側部裏側枠材37に対して別個独立したものとして離間・配置されており、表側と裏側の上端枠材39、39もそれぞれ別個独立なものとして離間・配置されており、表側と裏側の下端枠材40、40もそれぞれ別個独立なものとして離間・配置されており、その間には、耐火・耐熱性能を備えた連結部外側耐火ボード91、連結部内側耐火ボード95が設けられているからである。
【0052】
よって、上記火炎による熱で上記連結部やその付近が完全に溶融・破壊されることはなく、溶融・破壊された上記連結部やその付近を介した上記側面用パネル2、21の表側への上記火炎の侵入や火災の延焼を防止している。
【0053】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、側面用パネル21は、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36をそれぞれ設置し、その内側に充填材としてのウレタン33を充填した構成をなしているので、耐火・耐熱性能を大幅に向上させることができる。
又、アルミニウム製の表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36をそれぞれ設置することにより、遮音性の向上を図ることができる。
又、側面用パネル21の構造をみると、側部表側枠材35と側部裏側枠材37とが別個独立なものとして離間・配置されていて、同様に、表側と裏側の上端枠材39、39も別個独立なものとして離間・配置されていて、表側と裏側の下端枠材40、40も別個独立なものとして離間・配置されていて、それらの間に表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31、耐火ボード34、34、36、ウレタン33が介挿されているので、表裏何れか一方から他方への熱の伝達を抑制することができ、火災の延焼を防止することができる。
又、側面用パネル21、21同士の連結部(角部の連結部と平坦部の連結部)においても、表裏何れか一方から他方への熱の伝達を抑制することができ火災の延焼を防止することができる。
又、厚み調整体、すなわち、耐火ボード34、34、36の厚みを適宜変更することにより、側面用パネル21の厚みを変更することができる。
又、側面用パネル21の厚みの変更に伴い、連結部においてもその厚みを調整する必要があるが、角部にあっては、連結部外側耐火ボード91、連結部中央耐火ボード93、連結部内側耐火ボード95の厚みを適宜調整することにより、平坦部にあっては、連結部外側耐火ボード91、連結部内側耐火ボード95の厚みを適宜調整することにより、容易に対応することができる。
【0054】
次に、
図22を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合には、側面用パネル21において、表側化粧板23、裏側化粧板25の内側に、表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31を配置し、それら表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31の間にウレタン33を充填するようにしたが、この第2の実施の形態の場合には、さらに、中央に中央耐火ボード201を設置し、表側耐火ボード29と中央耐火ボード201の間にウレタン203を充填し、裏側耐火ボード31と中央耐火ボード201との間にウレタン205を充填するように構成している。上記中央耐火ボード201の材質は上記表側耐火ボード29、裏側耐火ボード31と同じである。
尚、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり、図中同一部分には同一符号を付して示しその説明は省略する。
【0055】
上記構成によると、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるとともに、中央耐火ボード201を追加した分、耐火・耐熱性能、遮音性能のさらなる向上を図ることができる。
【0056】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1、第2の実施の形態においては、組立式ハウスの構築にパネルを適用した例を挙げて説明したが、それに限定されるものではなく、様々な建築物の構築に適用可能である。
又、耐火ボード、充填材の材質としては、前記一実施の形態のものに限定されるものではなく、様々な材質の適用が可能であり、所望の耐火・耐熱性能、遮音性能を備えたものであればよい。
又、パネルの連結部の構造についても図示したものに限定されない。