(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-14067(P2015-14067A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】スポーツ用パンツ
(51)【国際特許分類】
A41D 1/08 20060101AFI20141219BHJP
A41D 1/06 20060101ALI20141219BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20141219BHJP
A41D 13/00 20060101ALI20141219BHJP
【FI】
A41D1/08 Z
A41D1/06 501D
A41D1/06 502A
A41D27/00 Z
A41D13/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-141861(P2013-141861)
(22)【出願日】2013年7月5日
(11)【特許番号】特許第5651213号(P5651213)
(45)【特許公報発行日】2015年1月7日
(71)【出願人】
【識別番号】591038820
【氏名又は名称】株式会社デサント
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】野田 尚浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃
(72)【発明者】
【氏名】今津 正広
(72)【発明者】
【氏名】佐野 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 悌二
(72)【発明者】
【氏名】江連 悠次郎
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA05
3B011AB11
3B011AC17
3B035AA07
3B035AC07
3B035AC09
(57)【要約】
【課題】着用者の幅広い動きや機敏な動きに対する高い追随性を有し、着用者に高いパフォーマンスを発揮させることが可能なスポーツ用パンツを提供する。
【解決手段】本発明に係るスポーツ用パンツは、左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、各々の半身部1aが、該半身部1aの展開状態において、ベース部2と、ベース部2に接し、互いに隣り合う少なくとも2つのパーティング部、具体的には3つのパーティング部3a,3b,3cとを備えることを特徴とする。本発明のスポーツ用パンツは、特に野球用ユニフォームパンツとして好適に用いることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、
各々の前記半身部が、該半身部の展開状態において、ベース部と、前記ベース部に接し、互いに隣り合う少なくとも2つのパーティング部とを備えることを特徴とするスポーツ用パンツ。
【請求項2】
展開状態において、隣り合う前記パーティング部が互いに離間している請求項1に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項3】
前記隣り合うパーティング部の端縁同士が接合された請求項2に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項4】
3つの前記パーティング部を有している請求項1〜3のいずれか1項に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項5】
前記3つのパーティング部のうち中央のパーティング部の下部が着用者の膝を覆うようになっている請求項4に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項6】
野球用ユニフォームパンツとして用いられる請求項1〜5のいずれか1項に記載のスポーツ用パンツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球プレーヤーなどのスポーツをする者に着用されるスポーツ用パンツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、野球用のユニフォームパンツが各種開発されてきている。野球の練習中や試合中においては、スライディングなどでユニフォームが破れることが多いため、ユニフォームパンツに衝撃吸収パッドを取り付けたりすることで該ユニフォームパンツの耐久性を確保している。
【0003】
このようにユニフォームパンツの耐久性を確保しつつ、着用感を損ねることなく、ムレ感による不快感をなくすことができる野球用ユニフォームパンツが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載の野球用ユニフォームパンツは、大きく分けて2枚の前パンツと2枚の後パンツとから構成されている。この野球用ユニフォームパンツの製造工程においては、同文献の
図4に示されるように、1枚の生地から上記2枚の前パンツと2枚の後パンツとを裁断し、裁断したこれらの生地を合わせて縫製することにより、野球用ユニフォームパンツを製造している。なお、その他のパーツも上記生地から裁断することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−293506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように従来の野球用ユニフォームパンツは、2枚の前パンツと2枚の後パンツの計4枚のパンツが縫製された構成であるので、縫製部分が多くなり、生地本来の伸張性を発揮させることが難しい。特に、野球においては着用者の動きが機敏となるため、野球用ユニフォームパンツには、丈夫さを満足しつつも該着用者の機敏な動きに対する追随性が強く求められている。
【0007】
本発明は、以上のような従来の課題を考慮してなされたものであり、着用者の幅広い動きや機敏な動きに対する高い追随性を有し、着用者に高いパフォーマンスを発揮させることが可能なスポーツ用パンツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るスポーツ用パンツは、左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、
各々の前記半身部が、該半身部の展開状態において、ベース部と、前記ベース部に接し、互いに隣り合う少なくとも2つのパーティング部とを備えることを要旨とする。
【0009】
展開状態において、隣り合う前記パーティング部が互いに離間している態様とすることが好ましい。
【0010】
前記隣り合うパーティング部の端縁同士が接合(例えば縫合、融着、又は接着)された態様とすることが好ましい。上記接着方法としては、高周波接着法や超音波接着法等を用いることができる。
【0011】
本発明のスポーツ用パンツが3つの前記パーティング部を有している態様とすることが好ましい。
【0012】
前記3つのパーティング部のうち中央のパーティング部の下部が着用者の膝を覆うようになっている態様とすることができる。
【0013】
本発明のスポーツ用パンツを野球用ユニフォームパンツとして用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るスポーツ用パンツによれば、その半身部を、従来のように前身と後ろ身2枚パーツの構成ではなく、1枚のパーツで構成することができる。これにより、縫合箇所を減らすことができるので、当該縫合により生地本来の伸張性が阻害されることを低減できる。すなわち、本発明のスポーツ用パンツは、生地本来の伸張性を高く発揮し得る設計となっている。したがって、本発明のスポーツ用パンツによれば、着用者の幅広い動きや機敏な動きに対する追随性が向上する。よって、着用者のプレーパフォーマンスが著しく向上することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るスポーツ用パンツの半身部の構成を示す展開図である。
【
図2】(a)は本発明のスポーツ用パンツを前側から見た斜視図であり、(b)は該スポーツ用パンツを後ろ側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係るスポーツ用パンツは、左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、各々の前記半身部が、該半身部の展開状態において、ベース部と、前記ベース部に接し、互いに隣り合う少なくとも2つのパーティング部とを備えることを特徴とする。本発明に係るスポーツ用パンツは、着用者の幅広い動きや機敏な動きに対する高い追随性を発揮することができ、該着用者に高いパフォーマンスを発揮させることが可能である。
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明に係るスポーツ用パンツ1の半身部1aの構成を示す展開図である。また、
図2は本発明のスポーツ用パンツ1を示す斜視図である。
図2(a)はスポーツ用パンツ1を前側から見た斜視図であり、
図2(b)はスポーツ用パンツ1を後ろ側から見た斜視図である。
【0018】
図1において、本発明に係るスポーツ用パンツ1の半身部1aは、その展開状態において、ベース部2と、該ベース部2に一体的に形成された3つのパーティング部3a,3b,3cとを備えている。このように、本発明のスポーツ用パンツ1の半身部1aの展開形状は、少なくとも二手状、又は三手状等とすることができる。
【0019】
パーティング部3aとパーティング部3bとの間、及びパーティング部3bとパーティング部3cとの間にはそれぞれ切り欠きKが設けられている。パーティング部3aとパーティング部3bとは切り欠きKを挟んで互いに離間しており、パーティング部3bとパーティング部3cとは切り欠きKを挟んで互いに離間している。
【0020】
スポーツ用パンツ1は、半身部1a(
図1参照)と、この半身部1aと形状がほぼ対称的な半身部1bとが縫合されたものである。
図2(b)の符号7は、半身部1aと半身部1bとの縫合線を示している。また、スポーツ用パンツ1の
図1右側の端縁N1と左側の端縁N2とが縫合(
図2の符号6aは縫合線)される。なお、符号6bは半身部1bにおける縫合線である。
【0021】
スポーツ用パンツ1の生地としては、例えば組成がポリエステル100%であり、目付(g/m
2)が275であり、機能として吸汗性及びストレッチ性を有する素材を採用できる。
【0022】
図2(b)に示すように、縫合箇所を従来のサイド部分ではなく、スポーツ用パンツ1の後身頃で縫合(縫合線6a,6bを参照)することで、足の屈曲時の突っ張り感をなくすことができる。
【0023】
また、スポーツ用パンツ1の膝部分から裾部分までにおいて縫い目を一本(縫合線6a,6b)にすることによって、着用者の肌触りが非常に良い。すなわち、あたりを軽減することができる。
【0024】
ここで、上記切り欠きを挟んで隣り合うパーティング部の端縁同士が縫合される。詳細には、パーティング部3aの一方側の端縁N3とパーティング部3bの一方側の端縁N4とが縫合(
図2の符号4aは縫合線)される。また、パーティング部3bの他方側の端縁N5とパーティング部3cの一方側の端縁N6とが縫合(
図2の符号5aは縫合線)される。なお、符号4b,5bは他方の半身部1bにおける縫合線である。
図1に示すように上記の端縁N3及び端縁N4は図面右側に湾曲した形状となっており、端縁N5及び端縁N6は図面左側に湾曲した形状となっている。
【0025】
縫合線4a,4b,5a,5bの下端はスポーツ用パンツ1の膝部分まで伸びている。このように、スポーツ用パンツ1の膝部分にまで縫合を施すことで、半身部1a,1bにおいて1枚の生地でありながら、着用者の身体に沿い且つプレー中の幅広い動きや機敏な動きに対応し得る立体的なパンツにすることが可能となる。
【0026】
また、上述したように右側に湾曲した形状の上記端縁N3と端縁N4とを縫合し、左側に湾曲した形状の上記端縁N5と端縁N6とを縫合することによって、前側膝部分においてスポーツ用パンツ1を立体的に屈曲させることができる。その結果、スポーツ用パンツ1の形状を、着用者がプレー中によくとる姿勢(膝を屈曲させた姿勢)にほぼ合致させることができる。これにより、本発明のスポーツ用パンツ1は、着用者のプレー中の機敏な動きに対する追随性がより向上したものになっている。なお、上記のように平面の布を立体的にするパターンメーキング技術をダーツといい、該ダーツの部分を縫うことをダーツ縫いという。
【0027】
3つのパーティング部3a,3b,3cのうち中央のパーティング部3bの下部が着用者の膝を覆うように設定することができる。スポーツ用パンツ1のベース部2が少なくとも着用者の下腿を覆い、パーティング部3a,3b,3cが少なくとも着用者の大腿を覆うようになっている。したがって、上記のベース部2が着用者の下腿及び大腿の一部を覆ってもよいし、パーティング部3a,3b,3cが着用者の大腿及び下腿の一部を覆ってもよい。すなわち、ベース部2とパーティング部3a,3b,3cとの境界については、着用者に応じて適宜設定することができる。
【0028】
スポーツ用パンツ1の上部外側端縁には、ベルトを挿入するためのベルトループ8,9を設けることができる。ベルトループ8の正面視の形状は棒状となっているが、ベルトループ9の正面視の形状は、上底に対して下底が短い台形状となっている。このように、ベルトループ9の形状を台形状とすることにより、該ベルトループ9の下底部分の縫合長さを短くすることができる。これにより、ベルトループ9の下底部分が縫合される生地の領域を小さくすることができるので、該生地の伸張性が縫合によって阻害される領域を小さくすることができる。したがって、着用者のプレーパフォーマンスがより向上することが期待される。なお、スポーツ用パンツ1の伸張性を向上する観点から、上記台形の上底よりも下底を短くすることが望ましい。また、ベルトループ下の縫合部分をなくすことにより該ベルトループ下の縫い止まりを軽減し、生地本来の伸びを高く発揮させることができる。
【0029】
このように本発明のスポーツ用パンツによれば、その半身部を、従来のように前身と後ろ身2枚パーツの構成ではなく、1枚のパーツで構成することができる。これにより、縫合箇所を減らすことができるので、当該縫合により生地本来の伸張性が阻害されることを低減できる。すなわち、本発明のスポーツ用パンツは、生地本来の伸張性を高く発揮し得る設計となっている。したがって、本発明のスポーツ用パンツによれば、着用者の幅広い動きや機敏な動きに対する追随性が向上する。よって、着用者のプレーパフォーマンスが著しく向上することが期待できる。
【0030】
本発明はもとより上記実施形態によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0031】
本発明のスポーツ用パンツは、上述のように野球のユニフォームパンツに特に好適であるが、野球のみならず、ゴルフ、バドミントン、スカッシュ、ホッケー、ジョギング、サッカー、バレーボール、バスケットボール等あらゆるスポーツ時に着用するウェアに適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 スポーツ用パンツ
1a,1b 半身部
2 ベース部
3a,3b,3c パーティング部
4a,4b 縫合線
5a,5b 縫合線
8,9 ベルトループ
K 切り欠き
【手続補正書】
【提出日】2014年8月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、
各々の前記半身部が、該半身部の展開状態において、ベース部と、前記ベース部に接し、前記ベース部と一体的に形成された、互いに隣り合う少なくとも2つのパーティング部とを備え、隣り合うパーティング部が切り欠きを挟んで互いに離間して設けられており、
前記隣り合うパーティング部は、切り欠きを挟んだ端縁同士が接合され、
前記ベース部が少なくとも着用者の下腿を覆い、
前記パーティング部が少なくとも着用者の大腿を覆っていることを特徴とするスポーツ用パンツ。
【請求項2】
前記半身部が、少なくとも3つのパーティング部を備え、
前記3つのパーティング部のうち中央のパーティング部が着用者の大腿の前側を覆っている請求項1に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項3】
前記半身部が、少なくとも3つのパーティング部を備え、
前記3つのパーティング部のうち中央のパーティング部の下部が着用者の膝を覆っている請求項1または2に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項4】
野球用ユニフォームパンツとして用いられる請求項1〜3のいずれか1項に記載のスポーツ用パンツ。
【手続補正書】
【提出日】2014年10月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の半身部を含むスポーツ用パンツであって、
各々の前記半身部が、該半身部の展開状態において、ベース部と、前記ベース部に接し、前記ベース部と一体的に形成されたパーティング部aとパーティング部bとパーティング部cとを備え、前記パーティング部aと前記パーティング部bが切り欠きを挟んで互いに離間しているとともに、前記パーティング部bと前記パーティング部cが切り欠きを挟んで互いに離間して設けられており、
前記パーティング部aと前記パーティング部bが切り欠きを挟んで端縁同士が接合され、前記パーティング部bと前記パーティング部cが切り欠きを挟んで端縁同士が接合され、
前記ベース部が少なくとも着用者の下腿を覆い、
前記パーティング部a,b,cが少なくとも着用者の大腿を覆うとともに、前記パーティング部bが着用者の大腿の前側を覆っていることを特徴とするスポーツ用パンツ。
【請求項2】
前記パーティング部bの下部が着用者の膝を覆っている請求項1に記載のスポーツ用パンツ。
【請求項3】
野球用ユニフォームパンツとして用いられる請求項1または2に記載のスポーツ用パンツ。