特開2015-14084(P2015-14084A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-14084(P2015-14084A)
(43)【公開日】2015年1月22日
(54)【発明の名称】排水桝
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20141219BHJP
【FI】
   E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-139397(P2013-139397)
(22)【出願日】2013年7月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090608
【弁理士】
【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 啓二郎
(72)【発明者】
【氏名】武原 勝司
(72)【発明者】
【氏名】片岡 史朗
(72)【発明者】
【氏名】松岡 賢一
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA15
2D063DA26
(57)【要約】
【課題】狭小な埋設スペースでも排水桝をぐらつきなく安定的に設置することができ、管継手の接続角度が一目でわかる施工性の良好な排水桝を提供する。
【解決手段】桝本体1と、該桝本体1に対して回動可能に取付けられる管継手2とを備える排水桝CBであって、管継手2又は/及び桝本体1に鍔状体3を設け、上記鍔状体3は、管継手2の回転軸A1に対して直交する面上に位置する構成とする。管継手2又は/及び桝本体1に鍔状体3を設けることで、鍔状体3が排水桝CBのもう一つの支持部としての役割を果たし、排水桝CBを安定的に設置することができるようになると共に、鍔状体3が回転角度の目安となって、どの程度管継手2を回転させたかが一目でわかるようになる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桝本体と、該桝本体に対して回動可能に取付けられる管継手とを備える排水桝であって、
管継手又は/及び桝本体に鍔状体を設け、
上記鍔状体は、管継手の回転軸に対して直交する面上に位置することを特徴とする排水桝。
【請求項2】
鍔状体が正多角形であることを特徴とする請求項1に記載の排水桝。
【請求項3】
鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水桝。
【請求項4】
鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにあることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の排水桝。
【請求項5】
鍔状体が、桝本体を支持する支持部に対して所定の間隔をあけて設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の排水桝。
【請求項6】
管継手が屈曲又は湾曲継手であって、該管継手を取付ける接続口が桝本体の鉛直面上に形成されており、管継手の桝本体側の中心軸が管継手の回転軸と同じ方向であり、鍔状体が正多角形又は真円であると共に、該鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致しており、鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにあることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の排水桝。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅地内に埋設される排水桝に関し、更に詳しくは、建物内の各排水設備からの排水が合流する排水管を、屋外の排水主管路に接続する排水桝に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排水桝は、コンクリートで成形されたものが主流であったが、コンクリート製の排水桝は、施工が面倒で、狭い箇所に設置することが難しく、昨今の住宅事情に合致しないという問題があった。また、接着剤を用いずに排水管と接続するので、その接続箇所から雨水や地下水が侵入するという問題もあった。
【0003】
かかる事情に鑑みて、宅地内に埋設される排水桝は、軽量で施工性に優れ、雨水や地下水の侵入の心配がなく、昨今の住宅事情に合致するコンパクトな合成樹脂製のものが主流となっており、その一つに、インバート部に連通する枝管を形成し、該枝管に、エルボ体を周方向に回動可能となるよう一体的に取着した排水桝装置がある(特許文献1)。
【0004】
上記特許文献1の排水桝装置は、枝管に取着されたエルボ体に、家屋の基礎を貫通する排水管(以下、単に基礎貫通排水管という。)に90度エルボ継手を介して接続された連通管を直に接続することで、基礎貫通排水管と排水桝装置との距離を短くすることができ、宅地内埋設スペースの狭小化にも対応することができるものであった。また、特許文献1の排水桝装置は、枝管にエルボ体を回動可能に取着することで、枝管と排水管の水平方向の位置合わせも容易に行うことができるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平03−093890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の排水桝装置は、その構造上、枝管に取着されたエルボ体側の重量が重く、排水桝装置全体の重量バランスが悪いため、設置が不安定なものとなり、施工性が良くないという問題があった。また、排水桝装置のインバート部には、流れ勾配が付与されていることも多いが、そのような場合、エルボ体を90°回転させると、回動させた方向によってはインバート部と逆勾配になってしまう恐れもあった。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、狭小な埋設スペースでも排水桝をぐらつきなく安定的に設置することができ、管継手の接続角度が一目でわかる施工性の良好な排水桝を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る排水桝は、桝本体と、該桝本体に対して回動可能に取付けられる管継手とを備える排水桝であって、管継手又は/及び桝本体に鍔状体を設け、上記鍔状体は、管継手の回転軸に対して直交する面上に位置することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の排水桝においては、鍔状体が正多角形であることが好ましい。また、鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致することが好ましく、鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにあることがより好ましい。更に、鍔状体が、桝本体を支持する支持部に対して所定の間隔をあけて設けられていることが好ましく、管継手が屈曲又は湾曲継手であって、該管継手を取付ける接続口が桝本体の鉛直面上に形成されており、管継手の桝本体側の中心軸が管継手の回転軸と同じ方向であり、鍔状体が正多角形又は真円であると共に、該鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致しており、鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにあることが最も好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排水桝は、桝本体に管継手を取付けるという構造上、管継手側が重くなって重量バランスは良くないが、管継手又は/及び桝本体に、鍔状体を管継手の回転軸に対して直交する面上に位置するように設けることで、鍔状体が排水桝のもう一つの支持部としての役割を果たし、排水桝をぐらつきなく安定的に設置することができるようになる。また、管継手を回転させる際に、鍔状体が回転角度の目安となって、どの程度管継手を回転させたかが一目でわかるので施工性が非常に良好で、逆勾配になってしまうといった不具合も解消される。
【0011】
また、鍔状体が正多角形である排水桝は、正多角形の一辺或いは頂点を目安にすることで、管継手の回転角度が一目でわかるようになる。
【0012】
更に、鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致する排水桝は、管継手を回転させた分だけ鍔状体も回転し、鍔状体と管継手の回転角度とが完全に一致するので、施工性が更に向上する。
【0013】
また、鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにある排水桝は、排水桝を桝本体の下端と鍔状体の下端の2点で支えることになり、排水桝をより安定的に設置することができる。
【0014】
この際、鍔状体と桝本体を支持する支持部との間隔が殆どないと、桝本体の下端と鍔状体の下端の2点で排水桝を支える意味合いが薄くなるので、鍔状体が、桝本体を支持する支持部に対して所定の間隔をあけて設けられている排水桝が、安定的に設置することができて好ましい。
【0015】
特に、管継手が屈曲又は湾曲継手であって、該管継手を取付ける接続口が桝本体の鉛直面上に形成されており、管継手の桝本体側の中心軸が管継手の回転軸と同じ方向であり、鍔状体が正多角形又は真円であると共に、該鍔状体の中心と管継手の回転軸が一致しており、鍔状体の下端と桝本体の下端が略同じ高さにある排水桝は、前述した効果に加えて、管継手を取付ける接続口を桝本体の鉛直面上に形成することで、鍔状体も鉛直面上に形成されることになり、鍔状体の下端を桝本体の下端と略同じ高さにする場合に、鍔状体を最もコンパクトにすることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る排水桝を示す平面図である。
図2】同排水桝の正面図である。
図3】同排水桝の左側面図である。
図4】同排水桝の分解図である。
図5図1のA−A断面図である。
図6】同排水桝の管継手を回転させた状態を示す正面図である。
図7】同排水桝の施工例を示す概略説明図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る排水桝を示す左側面図である。
図9】同排水桝の管継手を回転させた状態を示す正面図である。
図10】本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す左側面図である。
図11】本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す正面図である。
図12】本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態に係る排水桝を示す平面図、図2は同排水桝の正面図、図3は同排水桝の左側面図、図4は同排水桝の分解図、図5図1のA−A断面図、図6は同排水桝の管継手を回転させた状態を示す正面図、図7は同排水桝の施工例を示す概略説明図である。
【0019】
図1に示す本発明の排水桝CBは、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂で成形されたもので、図7に示すように、建物内の各排水設備(不図示)からの排水が合流する家屋の基礎8を貫通する基礎貫通排水管5を、屋外の排水主管路9に接続するために用いられる。
【0020】
上記排水桝CBは、図1図2図4に示すように、桝本体1と、この桝本体1に対して回動可能に取付けられた管継手2とを備え、桝本体1下部の排水主溝1aの両端部に、上流側と下流側の屋外の排水主管路9,9を差込接続する筒状の上流側接続口1bと下流側接続口1cがそれぞれ形成されている。排水主溝1aは、図5に示すように、桝本体1の後面側が円弧状に形成された溝であって、本実施形態の排水主溝1aは、上流側接続口1bから下流側接続口1cに向けての流れ勾配が付けられておらず、上流側や下流側の方向性がない汎用性が高いものとなっている。従って、本実施形態では、桝本体1に向って右側が上流側接続口1b、左側が下流側接続口1cになっているが、施工現場によっては、上流側接続口1bに下流側の屋外の排水主管路9を接続し、下流側接続口1cに上流側の屋外の排水主管路9を接続して使用することもできる。また、桝本体1の上部には、高さ調整用のアジャスター4を挿入する直径が50〜300mm程度の円形の開口部1dが形成されており、図7に示すように、この開口部1dにアジャスター4を挿入することで、排水桝CBを地表に臨ませて、排水桝CBの内部を点検・メンテナンスできるようにしている。更に、桝本体1の底面には、縁部以外が肉抜きされた略方形の支持部1fが設けられていて、排水桝CBを支持する役割を果たすようになっている。
尚、本実施形態の排水主溝1aは、上記のように、流れ勾配が付けられていないが、上流側接続口1bから下流側接続口1cに向って1/100〜3/100程度の流れ勾配が付けられていてもよいことは言うまでもない。
【0021】
図3図4に示すように、排水桝CBの前面は、地面から垂直方向に立ち上がる鉛直面となっており、その鉛直面上に、後述する管継手2を取付ける接続口1eが形成されている。この接続口1eは円形の開口であって、図5に示すように、管継手2の下流側端部を差込み接続することで、桝本体1と管継手2は一体化されている。
【0022】
図5に示すように、前述した上流側接続口1b、下流側接続口1c、開口部1d、及び、接続口1e、上部接続口2aの内周面には、それぞれ筒受段部が設けられており、各排水管(屋外の排水主管路9,9、アジャスター4、管継手2、短管7)を蓋受部に当接するまで挿入することで、排水桝CBと確実に接続することができるようになっている。
【0023】
次に、上記桝本体1の接続口1eに差込み接続されて桝本体1と一体化される管継手2は、図4図5図7等に示すように、下流側から上流側にかけて90°立ち上がる屈曲継手であって、上流側端部には、短管7を差込み接続する直径が50〜200mm程度の上部接続口2aが形成されている。また、下流側端部の周面には、2本の凸条2b,2bが周設されており、その2本の凸条2b,2bの間に形成された環状溝に、環状の止水パッキン2cが嵌着されて水密性を確保している。この管継手2は、図2等に示すように、上流側と下流側で径が異なる異径継手である。即ち、上流側筒部の径は短管7と同じで、下流側筒部の径は桝本体1の接続口1eの径と同径(屋外の排水主管路9と同径)になっている(上流側の径<下流側の径)。このように管継手2の下流側筒部の径を上流側筒部よりも大きくすることで、基礎貫通排水管5から管継手2に流入してきた排水は、閉塞することなく桝本体1内部に流入し、桝本体1の下流側の接続口1cから屋外の排水主管路9に流出するので、閉塞防止の為に管継手2の曲率半径を大きく確保する必要がなくなり、前述した桝本体1の接続口1eを外側に突出させることなく単なる開口としたことと相俟って、基礎貫通排水管5の下流側端部から排水桝CBまでの距離を最も縮めることができる。
【0024】
上記管継手2は、その下流側端部を上記桝本体1の接続口1eに差込むことで、桝本体1に対して水密的且つ回転可能に取付けられている。この管継手2の回転軸A1は、管継手2の桝本体1側の中心軸A2(下流側筒部の中心軸)と一致(同じ方向)しており、図2の矢印に示す如く、時計回りにも半時計回りにも管継手2を回転させることが可能となっている。前述したように、本実施形態の排水主溝1aには流れ勾配が付けられていないことと相俟って、どのような施工現場でも方向性を気にすることなく設置できるようにしている。
尚、排水主溝1aに流れ勾配を付けた場合は、逆勾配になるのを防止する為、回転範囲を90°或いは180°に規制してもよい。
【0025】
図3に示すように、上記管継手2の外周面には、本発明の最大の特徴である鍔状体3が設けられている。この鍔状体3は、管継手2の回転軸A1に対して直交する面上に位置し、且つ、その中心Cが、管継手2の回転軸A1と一致するように設けられている。従って、鍔状体3の回転角度は管継手2の回転角度と一致し、鍔状体3を目安に管継手2を回転させれば、管継手2の回転角度が一目でわかるので、管継手2を容易に任意の接続角度に設定することができて施工性が良い。
【0026】
上記鍔状体3は、本来であれば、管継手2の下流側筒部の外周面全体に設けられるものであるが、前述したように、管継手2をコンパクトなものとし、図3に示すように、管継手2の下流側筒部は桝本体1の接続口1eから殆ど突出していないため、管継手2の外周面全体に設けるスペースが殆どない。また、後述するが、排水桝CBを安定的に設置するには、鍔状体3と桝本体1の支持部1fとの間に一定以上の間隔Sを開けることが好ましい。従って、鍔状体3は、その内周を管継手2の下流側筒部の外周に合致する円形に形成すると共に、外周を正8角形に形成したものを、管継手2の上流側筒部(立ち上がり部分)に干渉する箇所だけを切り欠いて管継手2の下流側筒部に設けている。
尚、上記鍔状体3は、管継手2と一体的に設けてもよいし、別体の鍔状体3を後から管継手2に取付けてもよい。
【0027】
上記正8角形の鍔状体3は、図2に示すように、管継手2を桝本体1に取付けた通常の状態(鍔状体3の上流側筒部の中心軸が地面と垂直になる関係)において、一番下側に位置する鍔状体3の一辺が、地面と平行になるように設けられている。その状態において鍔状体3の下端L1は、図3に示すように、桝本体1の下端L2、即ち、桝本体1の支持部1fの下端L2と同じ高さにある。また、鍔状体3は支持部1fに対して所定の間隔Sをあけて設けられている。このように鍔状体3の下端L1を桝本体1の下端L2と同じ高さにすることで、鍔状体3が排水桝CBのもう一つの支持部としての役割を果たし、その重量バランスから、設置した際に管継手2側に傾きそうになる排水桝CBの傾きを、桝本体1の支持部1fと鍔状体3の2点で支えて防止することができる。この所定の間隔Sは、0mm以上(ここでいう0mmとは回転の障害にならない程度のこと)必要であることは言うまでもなく、鍔状体3が支持部1fに対して近すぎると、鍔状体3がもう一つの支持部としての役割をあまり果たさなくなるので、鍔状体3の支持部1fに対する所定の間隔Sは、50mm以上であることが好ましい。また、管継手2の上部接続口2aの中心よりも外側(桝本体1の逆側)に鍔状体3を設けると、鍔状体3の外周の大きさを変わらないようにするには、その内周面から外周面までの距離を大きく確保する必要が生じ、また、破損の恐れも生じて、鍔状体3の厚みを厚くするなどの対策が必要となるので、設置した際の安定性は増すというは言うものの、所定の間隔Sは200mm程度までが好ましく、より好ましくは50〜100mmの範囲内である。
【0028】
上記鍔状体3は正8角形であるため、鍔状体3の一辺を、隣接するもう一辺の位置まで回転させると、管継手2は45°回転することになる。従って、管継手2を22.5°回転させると、図6に示すように、鍔状体3の頂点が最も低い位置にくることになる。このとき、鍔状体3の下端L1は、桝本体1の支持部1fの下端L2よりも低くなるが、周知のように、排水桝CBの設置箇所は砂地等が殆どなので、その頂点が砂地等に突き刺さって、排水桝CBをより安定的に設置することができる。このように管継手2を回転させると、容易に管継手2を任意の接続角度に変更することができ、しかも、鍔状体3を目安にすることで、管継手2の回転角度が上方からでも一目でわかるので、施工性が非常に良好である。
【0029】
本実施形態の鍔状体3は、上記のように、正8角形に形成されているが、確認頻度の高い接続角度から、鍔状体3を正何角形にするかを決定すればよい。例えば、確認頻度の高い接続角度が30°であれば、鍔状体3を正12角形に形成すればよく、このように鍔状体3を何角形にするかは、確認頻度の高い接続角度によって任意に変更することができる。更に、より回転角度の視認性を高めるために、鍔状体3又は/及び桝本体1に目盛や矢印等を附すことも好ましい。そして、このように目盛等を附すのであれば、鍔状体3は上記のように正多角形ではなく、真円であってもよい。
【0030】
上記構成の桝本体1と、管継手2と、鍔状体3と、を備えた排水桝CBは、図7に示すように、家屋の基礎8の屋外側の地中(屋外の排水主管路9近辺)に埋設される。そして、桝本体1の上流側接続口1b及び下流側接続口1cに、屋外の排水主管路9,9をそれぞれ接続すると共に、各種排水設備からの排水が合流する基礎貫通排水管5の下流側端部を90°エルボ継手6に接続し、短管7を介して管継手2の上部接続口2aに接続することで、基礎貫通排水管5と屋外の排水主管路9を連通している。短管7を管継手2の上部接続口2aに接続する際、短管7の下端部と管継手2の上部接続口2aの位置が合わない場合は、上記鍔状体3を目安にし、管継手2を時計回り或いは半時計回りに回転させて、接続角度を調整してから接続することで、容易に接続することができる。このとき、管継手2の上部接続口2aに接続代分だけ伸縮するスライド構造を設けて、管継手2の上部接続口2aと短管7の接続、又は、短管7と90°エルボ継手6の接続を最後に行うと、接続代分だけの干渉が解消されて、接続がより容易になる。また、管継手2の上部接続口2aを、上部接続口2aの半周分が取外し可能な半割構造とし、その上で、管継手2の上部接続口2aと短管7との接続を最後に行うと、上記と同様に、接続代分だけの干渉が解消されて、接続が容易となる。このように基礎貫通排水管5を屋外の排水主管路9に接続すると、桝本体1の開口部1dに高さ調整用のアジャスター4を挿入し、アジャスター4の上端を地表に臨ませて、その上端開口に蓋体4aを載置することで、排水桝CBの設置が完了する。
【0031】
以上のような構成の本発明の排水桝CBは、桝本体1の鉛直面上に管継手2の接続口1eを形成することで、基礎貫通排水管5から屋外の排水主管路9までの距離が非常に短い狭小な埋設スペースでも、排水桝CBを設置することができる。そして、管継手2の回転角度の目安となる鍔状体3を設けることで、管継手2の接続角度が一目でわかると共に、該鍔状体3が排水桝CBのもう一つの支持部としての役割も果たすので、排水桝CBをぐらつきなく安定的に設置することができる。
【0032】
図8は本発明の他の実施形態に係る排水桝を示す左側面図、図9は同排水桝の管継手を回転させた状態を示す正面図、図10は本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す左側面図、図11は本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す正面図、図12は本発明の更に他の実施形態に係る排水桝を示す平面図である。
【0033】
図8に示す実施形態の排水桝CBは、上記作用効果を奏する鍔状体3を、管継手2の外周面だけでなく、桝本体1の接続口1eの外周面にも設けたものであり、管継手2に設けた鍔状体3は、上記と同様に、管継手2と共に回転するが、桝本体1の接続口1eに設けた鍔状体3は、管継手2を回転させても動かないようになっている。
この実施形態の排水桝CBのその他の構成は、前述した図1図7に示す実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0034】
このような、鍔状体3を管継手2の外周面と桝本体1の接続口1eの外周面の2箇所に設けた排水桝CBは、図9に示すように、管継手2を回転させた際、管継手2の鍔状体3と接続口1eの鍔状体3の位置の差異によって、より細かな回転角度を知ることができる。
【0035】
次に、図10に示す実施形態の排水桝CBは、桝本体1を支持する支持部1fに対して鍔状体3を殆ど間隔Sをあけずに設けたものである。
この実施形態の排水桝CBのその他の構成は、前述した図1図9に示す実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0036】
上記のように、桝本体1を支持する支持部1fに対して鍔状体3を殆ど間隔をあけずに設けた排水桝CBは、前述した図1図9に示す排水桝CBと比較すると、設置したときの安定性は若干劣るが、鍔状体3が、桝本体1と管継手2の接続箇所の目隠しとなり、排水桝CBの外観が向上すると共に、接続箇所からの異物の侵入を防止することができるという作用効果を奏する。
尚、本実施形態では、鍔状体3を管継手2に設けているが、桝本体1に鍔状体3を設けてもよく、そのような場合、管継手2を回転させても鍔状体3は回転しないが、管継手2と鍔状体3の形状・位置関係から、管継手2が桝本体1に対してどれだけ回転したかを認識することができ、特に、桝本体1の接続口1eの外周面にも設けると、管継手2側から見たときに桝本体1に対する管継手2の相対的な動きがわかり易く、容易に管継手2の回転角度が認識できる。
【0037】
図11に示す実施形態の排水桝CBは、桝本体1の上流側接続口1bが形成されていない態様のものである。
この実施形態の排水桝CBのその他の構成は、前述した図1図10に示す実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0038】
このような上流側接続口1bが形成されていない排水桝CBは、排水桝CBが屋外の排水主管路9の起点となるような場合に好適に設置される。
【0039】
図12に示す実施形態の排水桝CBは、上流側接続口1bが形成されておらず、その上流側接続口1bが形成されるべき位置に管継手2の接続口1eを形成したもので、管継手2と桝本体1は、水平方向に湾曲する90°エルボ継手6を介して接続されている。この排水桝CBの管継手2は、90°エルボ継手6の上流側の中心軸に対して回転するようになっており、従って、鍔状体3は管継手2の外周面に設けられている。
この実施形態の排水桝CBのその他の構成は、前述した図1図11に示す実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0040】
上記のような排水桝CBも、施工現場の形状によっては好適に使用される。
【0041】
以上、種々の形態の排水桝CBを詳述してきたが、本発明の排水桝CBは、これらの実施形態に限定されるものではなく、上流側接続口1bが2箇所形成された排水桝CBのように、各種排水管を接続する接続口が4箇所形成された排水桝CBであってもよい。また、管継手2は、本実施形態のような90°に屈曲する屈曲継手ではなく、45°に屈曲又は湾曲する継手であってもよいし、必ずしもその中心軸A2が管継手2の回転軸A1に対して一致しない直管状の継手でもよい。更に、管継手2を接続する接続口1eは、本実施形態では、桝本体1の流れ方向に対して直交するように形成されているが、桝本体1の流れ方向に対して直交しない角度(例えば30°、45°、60°など)となるように形成するなど、種々の設計変更を許容し得るものである。
【符号の説明】
【0042】
CB 排水桝
1 桝本体
1a 排水主溝
1b 上流側接続口
1c 下流側接続口
1d 開口部
1e 接続口
1f 支持部
L2 桝本体の下端
2 管継手
2a 上部接続口
2b 凸条
2c 止水パッキン
A1 管継手の回転軸
A2 管継手の桝本体側の中心軸(下流側筒部の中心軸)
3 鍔状体
C 鍔状体の中心
L1 鍔状体の下端
L2 支持部の下端
S 鍔状体と桝本体の支持部との間隔
4 アジャスター
4a 蓋体
5 基礎貫通排水管
6 90°エルボ継手
7 短管
8 家屋の基礎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12