【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の蓄熱システムは、
固体状の蓄熱部と、
前記蓄熱部を加熱する加熱部と、
水が蒸発する温度に達しないように、前記蓄熱部の熱を水に移行させる熱移行部と、
水が前記熱移行部から熱を受けるための水流路とを含む。
【0006】
通常、蓄熱は水蓄熱である。しかし、本発明は、蓄熱部は固体状の蓄熱部であり、水が蒸発する温度に達しないように熱を水に移行する熱移行部を含む。本発明は新しい着眼に基づくものであり、加温された水を利用するものに広く適用することができる。
【0007】
本発明において、前記蓄熱部は、水よりも体積当たりの熱量が大きい材質からなることができ、たとえば、融点が1000℃以上で、かつ、500℃以上の温度まで加熱され得る材質からなることができる。本発明によれば、蓄熱部に保持できる熱力を大きくすることができる。
【0008】
本発明において、
前記蓄熱部の温度を計測する第1の温度計測部と、
前記水流路に流れる水の流量を計測する流量計測部と、
前記水の温度を計測する第2の温度計測部とを含むことができる。
【0009】
本発明によれば、温度管理、流量管理をすることで、水の温度の制御がし易くなる。
【0010】
前記蓄熱部の温度、前記水の温度に基づいて、前記水流路に流れる水を制御する流量制御部を含むことができる。水量を調整することで、加温された温度を制御することができる。
【0011】
本発明において、前記流量制御部には、蓄熱部の温度と前記水流路に入る水の温度および水の流量に基づき、水流路から出る水の温度を導出するための対応データが記憶されていることができる。本発明によれば、加温された温度をより的確に制御することができる。
【0012】
本発明において、
前記水流路は、前記蓄熱部の周りに設けられ、
前記熱移行部は、前記水流路と前記蓄熱部との間に、空気層、液体層又は固体層からなる緩衝層を含んで構成され、
前記緩衝層は、前記水流路に流れる水に熱を所定の伝熱速度で熱を移行させるものであることができる。
【0013】
本発明によれば、蓄熱部の熱の放出スピードを調整することができる。
【0014】
本発明において、
前記蓄熱部からの熱を受ける気体が流れる気体流路が設けられ、
前記気体流路は、気液接触装置に接続されていることができる。
【0015】
本発明によれば、より容易に、蓄熱部の熱を水に移行させることができる。
【0016】
本発明において、前記蓄熱部と水流路との間に、油層が設けられていることができる。油層であることで、油層の形状や、取扱が容易である。
【0017】
本発明において、前記蓄熱部は、表面において凹凸形状を有することができる。本発明によれば、蓄熱部の表面積を確保することができ、多くの熱を熱移行部に移行させる場合に特に好適である。
【0018】
本発明において、
所定の時刻における前記蓄熱部の温度に基づき、前記蓄熱部の加熱を行うかどうかの判断部と、
前記蓄熱部に対して加熱を行うと判断した場合に、加熱を開始し、所定の時間、加熱する加熱制御部があることができる。
【0019】
本発明によれば、特に、夜間電力により蓄熱部に熱を蓄えたいときに好適である。
【0020】
本発明において、熱移行部は、
気体と液体との間で熱交換を行うための気液接触室と、
前記気液接触室内に液体を導入するための液体導入口と、
前記気液接触室内の液体を導出するための液体導出口と、
前記気液接触室内に気体を導入するための気体導入口と、
前記気液接触室内の気体を導出するための気体導出口と、
前記気液接触室内の気体の圧力、又は、前記気液接触室内に導入する気体の圧力を制御する圧力制御手段と、を含み、
前記圧力制御手段は、コンプレッサーを用いずに気体の圧力制御を行い、ブロワを含んで構成される。
【0021】
本発明においては、圧力制御手段がコンプレッサーを用いずに気体の圧力制御を行い、ブロワを含んで構成されていることで、省エネルギー性能が向上した気体温度調整装置を実現することができる。
【0022】
本発明において、前記ブロワは、吐出圧が0.1〜2.0kgf/cm
2とすることができる。
【0023】
本発明において、前記ブロワは、前記気液接触室内に気体を導入する前において、当該気体を加圧することができる。これにより、気液接触室内の気体が加圧状態になり、気液接触室から導出された気体が外に排出される際に、断熱的に膨張するために気体の温度を低下させることができる。
【0024】
本発明において、前記ブロワは、前記気液接触室内の気体を吸引することができる。これにより、気液接触室内の圧力が負圧状態となりことから、気体が断熱的に膨張し、温度が低下し、飽和水蒸気量が低下する。このため、気体中に含まれる水蒸気の一部が液体の水となり、潜熱が発生し、その潜熱エネルギーが気体に取り込まれる。また、気体の圧力が負圧の状態になっているため、気体が外部に放出される際に、断熱的に加圧されるために、温度がその分だけ、向上することになる。
【0025】
本発明において、前記ブロワは、前記気体導入口および前記気体導出口に接続され、前記気体導入口と前記送風装置との間に第1の開閉部が設けられ、前記気体導出口と前記送風装置との間に第2の開閉部が設けられていることができる。これにより、開閉部を切り替えることで、ブロワを気液接触室の上流側と下流側との切り替えをすることができる。
【0026】
本発明に係る蓄熱システムにより加温された水は、種々の空調装置の熱源として利用することができる。
【0027】
本発明の室外機システムは、
一つ又は複数の空調装置の室外機と、
前記室外機において熱媒体と熱交換する気体の温度を調整する気体温度調整装置とを含むことができる。
【0028】
本発明によれば、気体温度調整装置により温度調整された気体が室外機に取り込まれ、熱媒体と熱交換することになる。このため、収容室内の気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0029】
本発明において、前記一つ又は複数の空調装置の室外機を収容する収容室を含むことができる。
【0030】
本発明によれば、室外機が収容室内に収容され、気体温度調整装置により、その収容室内の気体の温度を制御することができる。このため、室外機は収容室内の温度が制御された気体を取り込み、外気を直接に取り込むことにはならない。したがって、収容室内の気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0031】
また、室外機からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため、夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0032】
本発明において、前記気体温度調整装置で温度調整された気体を、熱媒体と熱交換する気体を吸入する室外機の吸入部に向けて案内する案内路を含むことができる。
【0033】
本発明によれば、気体温度調整装置で温度調整された気体を室外機に向けて案内する案内路を設けている。熱交換する気体の温度を調整して、その気体が室外機に向けて供給されることになるため、気体温度調整装置により、室外機の吸入部から入る気体の温度を制御することができる。このため、室外機は気体温度調整装置によって温度が制御された気体を取り込むことになる。したがって、気体温度調整装置によって室外機に供給する気体の温度を制御することで、冷暖房平均エネルギー消費効率が高くなる温度にすることができ、空調システムの省エネルギー効果を高めることができる。
【0034】
また、室外機からの廃熱の過度な高温化、低温化を避けることができるため、夏場のヒートアイランド対策にもなる。また、冬場のデフロスト運転を回避することができる。
【0035】
本発明において、前記気体温度調整装置は、再生可能エネルギーに由来する電源により駆動されることができる。これにより、より省エネルギー化を図ることができる。
【0036】
本発明において、前記気体温度調整装置は、地下水と前記収容室の気体との間で熱交換を行うための熱交換器であることができる。これにより、より省エネルギー化を図ることができる。