特開2015-14110IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

建造物の壁面の外側にコンクリートを増し打ちして新たな壁を施工するために使用される型枠構造物

要約特許出願時に添付された[要約書]

【課題】短時間に効率よく組み立てられ、打設コンクリートの側圧に十分に耐えられる型枠構造物を提供する。
【解決手段】型枠構造物10Aは、施工箇所上部の位置決めされた第1設置位置22に配置された第1アングル材17Aと、施工箇所下部の位置決めされた第2設置位置28に配置された第2アングル材17Bと、第1、第2アングル材17A,17Bの間に配置されて上下方向及び横方向にそれぞれ一連に並ぶ複数の型枠パネル18a〜18fと、施工箇所上部から空間13に向かって下方へ延びる複数の第1鉄筋32Aと、施工箇所下部から空間13に向かって上方へ延びる複数の第2鉄筋32Bと、第1アングル材17Aと第1鉄筋32Aとを連結する複数の第1連結金具19Aと、第2アングル材17Bと第2鉄筋32Bとを連結する複数の第2連結金具19Bと、型枠パネルの前方に固定されて上下方向へ延びる複数の縦架設材20a〜20fとを備えている。
【選択図】図1

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

複数本のセパレータを設置するには、建造物の壁に複数個のアンカーホールを穿孔するとともに、アンカーホールの位置に対応する型枠のベニヤ板に複数の貫通孔を穿孔する。次に、それらアンカーホールに樹脂アンカーや機械式アンカーを設置するとともに、樹脂アンカーや機械式アンカーにセパレータの一方のフォームタイ(登録商標)を接続し、ベニヤ板の貫通孔から露出するセパレータの他方のフォームタイ(登録商標)に円筒管を噛ませた状態でクランプを螺着する。型枠を組み立てる場合、配筋された鉄筋に衝突しないように鉄筋の位置を考慮しつつ、壁の単位面積当たりに相当数のセパレータを設置しなければならないのみならず、建造物の壁にアンカーホールを穿孔する場合、壁に埋設された鉄筋を避けなければならず、さらに、アンカーホールを穿孔する穿孔位置を決めた後、その穿孔位置に対応するベニヤ板の任意の位置にアンカーホールに対応する複数の貫通孔を穿孔しなければならない。壁面に対するアンカーホールの穿孔位置やベニヤ板に対する貫通孔の穿孔位置を正確に位置決め(墨出し)し、セパレータを使用して壁とベニヤ板との平行状態を確実に維持するには型枠大工の長年の経験や勘に頼らざるを得ないのが現状である。なお、型枠大工が型枠工事をする場合においても、設計どおりの型枠を組み立てるまでに相当の熟練と時間とを要するとともに、多くの手間を必要としている。 本発明の目的は、型枠大工の経験や勘に頼ることなく、短時間に効率よく組み立てることができ、手間を要さずに廉価に組み立てることができるとともに、打設されたコンクリートの側圧に十分に耐えることができる型枠構造物を提供することにある。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

前記課題を解決するための本発明の前提は、建造物の壁面に組み立てられ、壁面の外側にコンクリートを増し打ちして新たな壁を施工するために使用される型枠構造物である。
【発明の効果】
壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設すると、そのコンクリートの側圧が各型枠パネルに作用し、それらアングル材が壁面の前後方向前方や横方向へズレ動こうとするが、本発明にかかる型枠構造物は、第1アングル材と第1鉄筋とを連結する複数の第1連結金具や第2アングル材と第2鉄筋とを連結する複数の第2連結金具を有し、第1および第2鉄筋に連結された第1および第2連結金具によって第1および第2アングル材の動きが阻止されるから、それらアングル材の前後方向前方や横方向へのズレ動きを防ぐことができ、第1および第2型枠パネルがズレ動くことはなく、それらパネルの平行状態を維持することができる。また、この型枠構造物は、型枠パネルの前後方向前方に固定されて上下方向へ延びるとともに横方向へ所定寸法離間して並ぶ複数の縦架設材を有し、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧による型枠パネルの前後方向前方への湾曲や膨隆をそれら縦架設材が阻止するから、空間にコンクリートを打設したときの型枠パネルの変形を防ぐことができ、壁面と型枠パネルとの平行状態を維持することができる。型枠構造物は、第1および第2連結金具とそれら縦架設材とを利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができるとともに、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。型枠構造物は、それを組み立てる際に複数本のセパレータを設置する必要はなく、セパレータを設置する手間や時間を省くことができるのみならず、型枠大工の経験や勘に頼る必要はなく、短時間に効率よく組み立てることができるとともに、手間を要さずに廉価に組み立てることができる。 第1連結金具の第1連結端部が第1固定端部の直近に延びる第1露出端部に連結され、第2連結金具の第1連結端部が第2固定端部の直近に延びる第2露出端部に連結されている型枠構造物は、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が各型枠パネルを介して各アングル材に作用し、第1および第2連結金具や第1および第2鉄筋が前後方向前方へ引っ張られたとしても、施工箇所上部に固定された第1固定端部の直近に延びる第1露出端部に第1連結金具の第1連結端部が連結されるとともに、施工箇所下部に固定された第2固定端部の直近に延びる第2露出端部に第2連結金具の第1連結端部が連結されているから、第1および第2鉄筋の前後方向前方への折れ曲がりが防止され、第1および第2連結金具によってそれらアングル材の動きを確実に阻止することができ、それらアングル材の前後方向前方や横方向へのズレ動きを防ぐことができる。 第1連結金具を挿通する複数の第1挿通部が第1アングル材に当接する型枠パネルの上端部に形成され、第2連結金具を挿通する複数の第2挿通部が第2アングル材に当接する型枠パネルの下端部に形成されている型枠構造物は、それらパネルが邪魔になることはなく、それら型枠パネルの挿通部を通して第1および第2連結金具の各連結端部を第1および第2アングル材に連結することができる。型枠構造物は、第1および第2鉄筋と第1および第2アングル材とを連結するそれら連結金具がそれらアングル材の動きを阻止するから、それらアングル材の前後方向前方や横方向へのズレ動きを防ぐことができ、第1および第2型枠パネルがズレ動くことはなく、それらパネルの平行状態を維持することができる。 少なくとも3つの縦架設材が上下方向へ一連に並ぶ型枠パネルのグループに設置され、2つの縦架設材が型枠パネルの上下方向へ延びる両側部に配置され、1つの縦架設材が型枠パネルの中央部に配置されている型枠構造物は、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧がそれら型枠パネル全体に満遍なく作用するが、2つの縦架設材が型枠パネルの両側部に設置され、1つの縦架設材が型枠パネルの中央部に設置されるから、コンクリートの側圧によるパネルの前後方向前方への湾曲や膨隆がそれら縦架設材によって確実に阻止され、空間にコンクリートを打設したときのパネルの変形を確実に防ぐことができる。型枠構造物は、それら型枠パネルの両側部と中央部とに縦架設材を設置・固定することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面と型枠パネルとの平行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 縦架設材が上下方向へ直状に延びる第1および第2垂直材とそれら垂直材の間に位置して上下方向へジグザグに延びるトラス材とから作られたトラス構造物であり、トラス構造物の上端部が第1設置位置に固定手段を介して強固に固定され、トラス構造物の下端部が第2設置位置に固定手段を介して強固に固定されている型枠構造物は、壁面と型枠パネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧による型枠パネルの前後方向前方への湾曲や膨隆をそれら型枠パネルの直前に設置・固定されたそれらトラス構造物が阻止するから、空間にコンクリートを打設したときの型枠パネルの変形を確実に防ぐことができる。型枠構造物は、それらトラス構造物を利用することで、壁面とパネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができるとともに、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 それら縦架設材の前後方向前方に位置しつつそれら縦架設材に固定されて横方向へ延びるとともに上下方向へ所定寸法離間して並ぶ複数の横架設材を含む型枠構造物は、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が各型枠パネルを介して各縦架設材に作用し、それら縦架設材が前後方向前方へ湾曲したり、横方向への撓もうとしたとしても、それら縦架設材の前後方向前方への湾曲や横方向への撓みをそれら横架設材が阻止するから、型枠パネルや縦架設材の変形を防ぐことができ、コンクリートの側圧が作用したとしても壁と型枠パネルとの平行状態を維持することができる。型枠構造物は、それら連結金具やそれら縦架設材、それら横架設材を利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面とパネルとの平行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 少なくとも1つの横架設材が横方向へ一連に並ぶ型枠パネルのグループに設置されている型枠構造物は、型枠パネルに必ず1つの横架設材が設置され、壁面とパネルとの間の空間にコンクリートを打設したときのコンクリートの側圧による型枠パネルの前後方向前方への湾曲や膨隆、それら縦架設材の前後方向前方への湾曲や横方向への撓みが横架設材によって阻止されるから、それら横架設材によって型枠パネルや縦架設材の変形を確実に防ぐことができる。型枠構造物は、それら横架設材を利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面とパネルとの平行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 上下方向下方に位置する型枠パネルに対する横架設材の設置数が上下方向上方に位置する型枠パネルに対する横架設材のそれよりも多い型枠構造物は、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧が下方に位置する型枠パネルに大きく作用するが、上下方向下方に位置する型枠パネルに対する横架設材の設置本数が多いから、その型枠パネルの前後方向前方への湾曲や膨隆、縦架設材の前後方向前方への湾曲や横方向への撓みが横架設材によって確実に阻止され、それら横架設材によって型枠パネルや縦架設材の変形を確実に防ぐことができる。型枠構造物は、それら横架設材を利用することで、壁面と型枠パネルとの間の空間に打設されたコンクリートの側圧に型枠構造物が十分に耐えることができ、壁面とパネルとの平行状態を維持することができるから、壁面にコンクリートを確実に増し打ちすることができ、施行された壁に凹凸や膨隆、波打ち等の不要な変形が生じることはなく、建造物の壁の外側に構造計算された設計どおりの新たな壁を作ることができる。 型枠パネルが所定面積の対向面および当接面と上下面と両側面とを有する6面体であり、型枠パネルのコンクリートに対する摩擦抵抗を低下させるとともに型枠パネル全体の強度を増加させる合成樹脂が型枠パネルの6面に塗布されている型枠構造物は、合成樹脂を塗布することによって型枠パネルの6面を平滑にすることができ、それによって6面のコンクリートに対する摩擦抵抗が低下するから、打設されたコンクリートを養生した後、型枠構造物を解体するときに、硬化したコンクリートから型枠パネルを容易に取り外すことができる。型枠構造物は、型枠パネルの6面の平滑度が合成樹脂によって維持されるから、型枠パネルの6面に部分的な凹凸が生じることはなく、使用済みの型枠パネルを繰り返して使用することができ、型枠構造物にかかるコストを押さえることができる。型枠構造物は、型枠パネルの平滑度が合成樹脂によって維持されるから、施工された壁の表面に凹凸が形成されてしまうことはなく、平滑な壁を作ることができる。 建造物が既設のそれであり、型枠構造物が既設の建造物に作られる鉄筋コンクリート製の耐震補強壁の施工に使用される型枠構造物は、それを使用することで、既設の建造物の壁に構造計算された設計どおりの新たな鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を新設することができる。型枠構造物は、鉄筋コンクリート製の耐震補強壁を短時間に効率よく作ることができ、耐震補強壁を手間を要さずに廉価に作ることができる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】組み立てられた型枠構造物の一例を示す正面図。

【図2】組み立てられた図1の型枠構造物の側面図。

【図3】一例として示す型枠パネルの斜視図。

【図4】図3の4−4線端面図。

【図5】型枠構造物を使用した耐震補強壁の施工手順の一例を示す図。

【図6】図5の側面図。

【図7】図5から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図8】図7の側面図。

【図9】図7から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図10】図9の側面図。

【図11】図9から続く耐震補強壁の施工手順を示す図。

【図12】図11の側面図。

【図13】空間へのコンクリートの打設を説明する図。

【図14】組み立てられた型枠構造物の他の一例を示す正面図。

【図15】組み立てられた図14の型枠構造物の側面図。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

10A 型枠構造物   10B 型枠構造物   11 建物(建造物)   12 壁面   13 空間   14 コンクリート   15 耐震補強壁(壁)   16 柱   17A 第1アングル材   17B 第2アングル材   18a〜18f 型枠パネル   19A 第1連結金具   19B 第2連結金具   20a〜20f トラス構造物(縦架設材)   21 天井梁   22 第1設置位置   23 固定部   24 支持部   25 固定プレート   27 床梁   28 第2固定位置   29 固定部   30 支持部   31 固定プレート   32A 第1鉄筋   32B 第2鉄筋   33 第1固定端部   34 第1露出端部   35 第2固定端部   36 第2露出端部   37 対向面   38 当接面   39 上面   40 下面   41 側面   42 側面   43 ポリウレア樹脂   44 上端部   45 第1挿通部   46 下端部   47 第2挿通部   52 第1連結端部   53 第2連結端部   54 第1連結端部   55 第2連結端部   56 第1垂直材   57 第2垂直材   58 トラス材   59 寸法調節材   60 固定端部   61 開口部   62 下端部   63a〜63f 横架設材   64 固定金具

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