(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-141874(P2015-141874A)
(43)【公開日】2015年8月3日
(54)【発明の名称】シールドケーブルの端末構造
(51)【国際特許分類】
H01R 9/05 20060101AFI20150707BHJP
H01R 12/53 20110101ALI20150707BHJP
【FI】
H01R9/05 B
H01R12/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-15630(P2014-15630)
(22)【出願日】2014年1月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 ▲厳▼水
【テーマコード(参考)】
5E077
5E123
【Fターム(参考)】
5E077BB06
5E077BB38
5E077DD01
5E077JJ16
5E077JJ17
5E077JJ20
5E123AB67
5E123AC19
5E123BA47
5E123BB01
5E123CC09
5E123CD01
5E123DA25
5E123DA33
(57)【要約】
【課題】コストの低減化が図られたシールドケーブルの端末構造を提供する。
【解決手段】シールドケーブル10の、回路基板30に半田付けされる側の端末は、絶縁体12とシールド導体13双方の前端面がほぼ揃っている。信号線11はその前端面から突出した形状を有する。また、この端末は、信号線11が非接触で通過する開口21aが形成されシールド導体13の前端面に突き当てられる板形状の導体板21を備えている。この導体板21は、回路基板30に対面する底縁211がシールド導体13とほぼ揃っている。また、この導体板21は、底縁211を除く周縁がシールド導体13よりも突出することにより回路基板30に対面する側を除く3方に広がる鍔部212を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線と、該信号線を取り巻く絶縁体と、該絶縁体を取り巻くシールド導体とを有し、被接続体表面に沿わせた姿勢に該被接続体に半田付けされるシールドケーブル端末構造であって、
前記シールドケーブルの、前記被接続体に半田付けされる側の端末が、前記絶縁体と前記シールド導体双方の前端面がほぼ揃うとともに前記信号線が該前端面から突出した形状を有し、さらに
前記信号線が非接触で通過する開口が形成され前記シールド導体前端面に突き当てられる板形状であって、前記被接続体に対面する底縁が前記シールド導体とほぼ揃うとともに該底縁を除く周縁が該シールド導体よりも突出することにより、該被接続体に対面する側を除く3方に広がる鍔部を有する導体板を備えたことを特徴とするシールドケーブルの端末構造。
【請求項2】
前記信号線が摺りながら貫通する形状の開口が形成され、前記導体板の、前記信号線先端側に貼着された絶縁板をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のシールドケーブルの端末構造。
【請求項3】
前記シールドケーブルが、前記信号線および前記絶縁体を複数対具備し、前記シールド導体が該複数対の絶縁体を一体に取り巻くものであることを特徴とする請求項1又は2記載のシールドケーブルの端末構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドケーブルの端末構造に関する。
【背景技術】
【0002】
離れた電子回路等から回路基板への信号の伝送用として、シールドケーブルが多用されている。シールドケーブルは、信号線と、その信号線を取り巻く絶縁体と、その絶縁体を取り巻くシールド導体とを有する。そのシールドケーブルの端末を回路基板に接続するにあたっては、回路基板への接続に適するシールドケーブルの端末構造が必要となる。例えば特許文献1には、シールドケーブル端末のシールド導体にワイヤを巻いてそのワイヤをシールド導体に半田付けした構造が開示されている。このワイヤは回路基板上に延びて回路基板上のグランドに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−77545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上掲の特許文献1に開示された技術の場合、シールド導体にワイヤを巻いて半田付けする作業が煩雑である。このため、シールドケーブルを回路基板に半田接続するのに手間がかかり、コストを押し上げる要因となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、コストの低減化が図られたシールドケーブルの端末構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明のシールドケーブルの端末構造は、信号線と、信号線を取り巻く絶縁体と、絶縁体を取り巻くシールド導体とを有し、被接続体表面に沿わせた姿勢に被接続体に半田付けされるシールドケーブル端末構造であって、
シールドケーブルの、被接続体に半田付けされる側の端末が、絶縁体とシールド導体双方の前端面がほぼ揃うとともに信号線がその前端面から突出した形状を有し、さらに
信号線が非接触で通過する開口が形成されシールド導体前端面に突き当てられる板形状であって、被接続体に対面する底縁がシールド導体とほぼ揃うとともにその底縁を除く周縁がシールド導体よりも突出することにより、被接続体に対面する側を除く3方に広がる鍔部を有する導体板を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、シールドケーブルの前端面に導体板を取り付ければよく、端末処理を短時間で容易に完成させることができる。またその導体板は、打抜き加工等により低コストで容易に製造することができる。したがって、本発明によれば、コストの低減化が図られる。
【0008】
ここで、本発明のシールドケーブルの端末構造において、信号線が摺りながら貫通する形状の開口が形成され、導体板の、信号線先端側に貼着された絶縁板をさらに備えることが好ましい。
【0009】
この絶縁板を備えると、この絶縁板の開口に信号線を通すことで、上記前端面に導体板を押し当てたとき、シールドケーブルに対し導体板が位置決めされる。これにより、導体板の装着が一層容易となり、端末処理の作業性が一層向上する。
【0010】
また、本発明のシールドケーブルの端末構造において、シールドケーブルが、信号線および絶縁体を複数対具備し、シールド導体がそれら複数対の絶縁体を一体に取り巻くものであってもよい。
【0011】
本発明のシールドケーブルの端末構造は、信号線および絶縁体を複数対具備するシールドケーブルにも好適である。
【発明の効果】
【0012】
以上の本発明によれば、シールドケーブルの、コストが低減化された端末構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態としての端末構造を有するシールドケーブルの端末を示した正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態としての端末構造を有するシールドケーブルの端末を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1,
図2は、本発明の一実施形態としての端末構造を有するシールドケーブルの端末を示した、それぞれ正面図、側面図である。
図2には、2点鎖線で回路基板も示されている。
【0016】
このシールドケーブル10は、
図2に示すように回路基板30の表面に沿わせた姿勢に、その回路基板30に半田付けされる。
【0017】
このシールドケーブル10は、信号線11とその信号線11を取り巻く絶縁体12を、2対具備している。また、これらの絶縁体の周囲には、シールド導体13が備えられている。このシールド導体13は、2対の絶縁体12を一体に取り巻いている。
【0018】
そして、これら絶縁体12の前端面とシールド導体13の前端面(
図1に示す側の面、
図2に示す左向きの面)はほぼ揃っている。すなわち、ほぼ1つの平面となっている。また信号線11は、その前端面から突出している。
図1,
図2には、信号線11の突出した部分が回路基板30への半田付け用に折り曲げられている。ただし、信号線11を剥き出しに突出させた最初の状態では、信号線11は前方に真っ直ぐに突出している。
【0019】
このシールドケーブル10の、信号線11を突出させた端末には、プレート20が装着される。このプレート20は、導体板21と、その導体板21の、信号線11の先端側に貼着された絶縁板22とで構成されている。
【0020】
導体板21は、信号線11が非接触で通過する開口21aが形成された板形状を成している。この導体板21は、シールド導体13の前端面に突き当てられた状態で、シールドケーブル10に装着される。この導体板21は、シールドケーブル10に装着された状態において、回路基板30に対面する底縁211についてはシールドケーブル10のシールド導体13の底面(回路基板30に対面する側の面)とほぼ揃っている。これに対し、この導体板21の底縁211を除く周縁はシールド導体13よりも突出している。これにより、この導体板21には、回路基板に対面する側を除く3方に広がる鍔部212が形成されている。
図2において×印を付した部分は半田付けされる部分である。すなわちこの導体板21がシールド導体13に半田付けされることにより、このプレート20がシールドケーブル10に固定される。さらに、シールド導体13が回路基板30のグランドに半田付けされる。ここで、この導体板21は上記の鍔部212を有する。このため、導体板21とシールド導体13との間の半田付けの際、およびシールド導体13と回路基板30との間の半田付けの際にその半田が信号線11側に流れて短絡したり、あるいは電気的な特性が変化してしまうことが防止される。
【0021】
また、前掲の特許文献1では、前端部のシールド導体が剥がれて信号線を取り巻く絶縁体が剥き出しとなっている。これに対し、本実施形態の場合、シールド導体13は、絶縁体12の前端まで覆っている。さらに、導体板21が信号線11の絶縁体12から露出した根元の部分を覆っている。このように、本実施形態の場合、特許文献1と比べ、シールドケーブルの端末がより確実にシールドされている。このため、伝送性能が劣化しない。
【0022】
また、絶縁板22は、導体板21と同一の外形を有する。ただし、この絶縁板22には、信号線11の太さとほぼ同じ径の穴22aが、2本の信号線11の間隔と同じ間隔に2つ形成されている。信号線11は、突出した状態に剥き出しにされたままの状態では前方に真っ直ぐ延びている。その状態の信号線11が絶縁板22の穴22aに擦りながら挿通される。この絶縁板22は導体板21に貼着されている。このため、この絶縁板22の穴221に信号線11を挿通させることにより、このプレート20の、シールドケーブル10に対する位置決めが行なわれる。また、絶縁板22の2つの穴22aの間隔は2本の信号線11の間隔と一致している。このため、2本の信号線11を2つの穴22aに通すことにより、2本の信号線11どうしの間隔が所期の間隔に規制される。これにより、回路基板30への半田付け不良等の事故が抑制される。
【0023】
本実施形態で使われるプレート20は、導体板21の基になる平板と絶縁体22の基になる平板の打抜き加工と、貼付けとで形成される。また、このプレート20を
図1,
図2のようにシールドケーブル10に取り付けることで端末構造が完成する。このように、プレート20の簡易な製造法、簡易な取付け方によりこの端末構造が完成する。したがって、シールドケーブル10の回路基板30への接続に伴うコストが抑制される。
【0024】
ここで、本実施形態では、導体板21と、その導体板21に貼着された絶縁板22とからなるプレート20が採用されている。しかしながら、信号線11との短絡等を回避しつつグランドの半田接続を確実に行なう目的のためには、絶縁板22は必ずしも必要ではなく、導体板21のみを採用してもよい。
【0025】
また、本実施形態では、信号線11と絶縁体12を2対備えたシールドケーブルの端末構造が示されている。しかしながら、本発明は信号線等の本数の如何を問うものではない。本発明は、信号線等が1本のみ、あるいは3本以上のシールドケーブルについても同様に適用可能である。
【0026】
さらに、本実施形態では、絶縁板22の穴22aは信号線11とほぼ同径の穴であったが、矩形の穴であってもよく、或いは、絶縁板22の外縁で開放する切欠きであってもよい。
【0027】
また、シールドケーブル10は、シールド導体13の内側にドレーンワイヤを有してもよい。
【0028】
さらに、本発明のシールドケーブルの端末構造の接続対象は、回路基板に限定されず、信号コンタクト及びグランドコンタクトがリードフレーム状に形成されたコネクタのコンタクトであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 シールドケーブル
11 信号線
12 絶縁体
13 シールド導体
20 プレート
21 導体板
21a 開口
22 絶縁板
22a 穴
30 回路基板
211 底縁