【解決手段】コーンビームコンピューター断層撮影に関する装置は、ハウジングと、ハウジング内の放射線源と、放射線源をハウジング内の弧形の放射線源経路に沿って移動させる放射線源移送部と、デジタル放射検出器と、放射検出器をハウジング内の弧形の検出器経路に沿って放射検出器を移動させる検出器移送部とを含む。ハウジングは、中心を取り囲む開口を含み、開口が、円形部位と円形部位の延長部位とを備えることで、開口を利用して、当該開口内で患者の四肢を中心に位置決めできる。
前記放射線源移送部、前記検出器移送部、および前記ハウジングはそれぞれ、周縁ギャップを含み、前記ハウジングは、少なくとも1つの閉鎖装置を含み、前記閉鎖装置は、前記周縁ギャップを横断して移動可能であり、この移動により、前記ハウジング内で前記開口を整形すること、及び、前記検出器が前記検出器移送部によって前記周縁ギャップを横断して移送されるときに前記検出器を取り囲むことができる、
請求項1に記載の装置。
前記放射線源移送部、前記検出器移送部、および前記ハウジングはそれぞれ、前記開口の一方の側に周縁ギャップを含み、前記ハウジングが、少なくとも1つのドア機構を含み、前記ドア機構は、前記周縁ギャップを閉じると共に、前記検出器が前記検出器移送部によって前記周縁ギャップを横断して移送されるときに前記検出器を囲む、
請求項3に記載の装置。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元立体画像診断は、内部構造及び臓器の状態を評価するための初期の二次元放射線画像診断に勝る診断用ツールとして使用されてきた。患者又は他の対象物の三次元画像診断は、短時間で連続して複数の画像を取得することが可能なデジタルラジオグラフィー(DR)検出器のような高速画像撮影検出器の開発を含むいくつかの進歩によって可能になった。
【0003】
コーンビームコンピューター断層撮影法(CBCT)又はコーンビームCT技術は、三次元立体画像を提供するための診断用ツールの1つの型として有望視される。コーンビームCTシステムは、典型的には、撮像される対象物の周りを回動し、対象物周辺のその軌道に沿った種々のポイントから、X線の発散するコーンビームを対象物へと向かわせる、ガントリーに固定された高フレームレートデジタルラジオグラフィー(DR)検出器及びX線源を使用して、立体測定データセットを獲得する。CBCTシステムは、その回動の間、例えば回動のあらゆる角度にて1つの二次元投影像を獲得するように、投影像を獲得する。次いで、種々の技術を使用して、この投影像が三次元体積画像に再構築される。三次元画像を再構築するための最も一般的な方法としては、フィルタ補正逆投影アプローチが挙げられる。
【0004】
診断可能な三次元画像は、CBCTシステム及び技術を使用して生成され得るが、いくつかの技術的な課題が残っている。場合によっては、例えば、対象物に対するX線源及び検出器の回動の角度範囲が限定され得ることがある。脚、腕、及び他の四肢のCBCT画像撮影は、対をなす四肢からの物理的妨害によって阻害される可能性がある。これが、例えばヒトの脚又は膝からのCBCT画像投影図を取得する上で遭遇する障害である。膝周辺のすべての画像撮影位置に接近可能なわけではなく、患者自身の身体の部分が、放射線源及び画像検出器が走査円周の一部の上に配置されることを妨害する。
【0005】
膝のCBCT画像撮影で直面する問題を例示するために、
図1の上面図が、対象物20として患者の右膝Rを画像撮影する場合の、放射線源22と検出器24のための円形の走査経路を示している。放射線源22と検出器との種々の位置が、点線の形で示されている。膝からある距離で置かれた放射線源22が、約200度の円弧にわたって異なる点にて配置され得るが、この範囲を超える部分の円弧上で、左膝Lがその進路を遮断する。放射線源22よりも小さく、典型的には対象物20のすぐ近くに配置されている検出器24は、患者の左右の膝の間に配置することができるために、全円軌道にわたって配置することが可能である。
【0006】
放射線源及び検出器の全360度の軌道は、従来のCBCT画像撮影には必要がなく、むしろ、例えばコーンビームそれ自体の角度による丁度180度を超える軌道走査範囲で、画像再構築のための十分な情報が取得され得る。しかしながら、場合によっては、膝又は他の関節の画像撮影及び他の用途のために、約180度をはるかに超える回動を取得することは困難であり得る。更に、特定の範囲の角度を超えて投影画像を取得することに利点があるような診断的状況があり得るが、患者の身体が、放射線源、検出器、又はその両者を、その範囲を超える画像撮影を妨害してしまう。
【0007】
脚の画像撮影に関して、この問題に対する1つの方法としては、対象の脚をCBCTスキャン装置に伸ばし、更にもう1本の脚を何らかの方法で支持し又は対象物の脚に対して、例えば直角に曲げるような姿勢で患者を位置させることである。これは、例えばSukovicらの、「CT Scanner for Lower Extremities」と題された米国特許第7,394,888号で教示されたCTスキャナー装置で使用されたアプローチである。Sukovicらの米国特許第7,394,888号に開示された方法では、他の脚が置き違えて持ち上げられるか、又は少し離れて広げられねばならず、或いは対象の脚が置き違えて持ち上げられ、スキャナー装置に伸ばされる間に他の脚が緩められている。この配置は、いくつかの理由で特に不都合である。例えば、膝又は足関節の状態を検査する場合、患者自身によって膝又は足関節に及ぼされた正常時の荷重下で検査することが有益であるためである。しかし、患者が、典型的な動作では通常経験しないような姿勢にされるよう想定する必要がある場合、Sukovicらの米国特許第7,394,888号に開示された装置は、関節への過剰のストレス負荷、又は不十分なストレス負荷、或いは膝に十分に向けられないストレス負荷がある場合の画像を取得する可能性がある。
【0008】
従来のアプローチでの別の問題は、ヒトの脚のような荷重負荷型四肢の画像撮影に関するものである。患者が起立の姿勢であるような正常な荷重下における画像撮影が不可能であるために、荷重状態を模倣する種々の人為的方法が試されてきた。このようなアプローチには、種々の型の装具、圧縮装置、及び支持器を使用してきた。従来の画像撮影技術の弱点を克服しようとする一例としては、Sukovicらの米国特許第7,394,888号が、脚を非起立位置にまで上げて、次いで脚に対して外部力を適用することによって、脚の正常な荷重をシミュレートすることを教示している。しかしながら、このタイプのシミュレーションは、荷重負荷の四肢の応答のある程度の近似を可能にするが、不正確な可能性があることが、容易に理解されよう。人為的に適用された荷重下にあり、かつ起立姿勢では取られない角度にある膝又は足関節が、起立姿勢で患者の体重を支持する場合と正確に同様の挙動を示すことはないであろう。
【0009】
Sukovicらの米国特許第7,394,888号に開示された装置及び膝、下肢及び足の画像撮影を解決するように設計された他の装置での問題点は、低い画像品質に関することである。画像品質のためには、検出器が対象物により接近していて、かつコーンビーム放射の供給源が対象物から十分な距離を置くことが、CBCTシーケンスでは必要である。このシーケンスが最良の画像を提供し、画像切断と結果的な喪失データを低減する。Sukovocらの米国特許第7,394,888号に開示された装置及び他の装置で必要とされるような、対象物を検出器と供給源との間の中間点に配置させることは、画像品質を著しく損なうだけではなく、更に患者を放射線源のあまりにも近くに配置させることから、放射線レベルが相当に高くなる。
【0010】
この取り組みの一例が、ドイツ特許公開第DE 10146915号に示されている。示されたC字型のガントリー配置では、放射線源と検出器の回動の中心で対象物を中央に置くことが、それぞれの投影でかなり高い放射線量を与え、著しく画像品質を損なう可能性がある。対象物の、検出器により接近させるような他の配置のいずれも、画像獲得シーケンスのいくつかの部分への放射線レベルを低減し得るが、余分に複雑な画像再構築問題をもたらす可能性があり、なぜなら、このことが、取得されるそれぞれの投影画像で、放射線源と被験者との間の距離および被験者と検出器との間の距離を変動させると推定されるからである。このようなシステムで膝の画像撮影を試みるには、画像撮影される脚が均衡を保つなんらかの方法で患者を支持する必要がある。この必要性が、損傷した膝が画像撮影されるような多くの状況に関して、不合理かつ不可能である事が分かる。したがって、示されたC字型ガントリーは、患者の一方の膝のみを画像撮影するためには適切ではない可能性がある。記載された解決策は、両膝を照射すると考えられ、放射線に曝される体組織の量を増加させ、また画像品質を低下させる。
【0011】
足部及び足関節の画像撮影は、CBCT投影画像獲得に更なる障害を提示する。足部それ自体の形状が、正確な三次元再構築のために使用され得る投影画像のセットを取得するためのX線源と検出器に関する適切な経路を提供することを困難にしている。Sukovocらの米国特許第7,394,888号で示されたようなアプローチ、すなわち、足部を放射線源と検出器の間の中央に置くことは、不十分に配置されたことによる被曝および画像品質の著しい喪失という同様の問題を欠点として有する。
【0012】
下肢のための従来の画像撮影アプローチのいくつかは、両膝を同時に画像撮影することによって機能する。従来の解決策のこのようなタイプは、低減した画像品質を招き、また放射線を受ける患者の身体の量を増大させる。
【0013】
CBCTによる四肢画像撮影の問題を解決するために、いくつかの解決策が提案されてきたが、従来の解決策は、有用性及び性能の双方に関して要求されるものに及ばないのが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】下肢部のためのCBCT走査の幾何学的構造及び制約を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、画像撮影装置のための走査パターンの上面図及び斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による、アクセスドアが開かれた状態の画像撮影装置への患者のアクセスを示す斜視図である。
【
図4】アクセスドアが閉められた状態の走査位置での患者を示す斜視図である。
【
図5】患者のアクセスのためのシーケンスとCBCT画像撮影法のためのシステム準備を示す一連の概略上面図である。
【
図6】いくつかの角度位置にてCBCT投影図を取得するためのシーケンスを示す、一連の概略上面図である。
【
図8A】別の構成における伸ばされた脚のための四肢画像撮影を示す斜視図である。
【
図8B】
図8Aと共に、別の構成における伸ばされた脚のための四肢画像撮影を示す斜視図である。
【
図9】上肢画像撮影のための画像撮影装置の構成を示す斜視図である。
【
図10】下肢を完全に取り囲む検出器移送部を使用した画像撮影を示す斜視図である。
【
図11】上肢を完全に取り囲む検出器移送部を使用した画像撮影を示す斜視図である。
【
図12A】カバーの有無での画像撮影装置の斜視図である。
【
図12B】放射線源及び検出器の移送のためにターンテーブルを使用する画像撮影装置の斜視図を示す図である。
【
図14A】画像撮影装置の上面図を示す図であり、ハウジング内部の構造が透視されている。
【
図14B】走査開始位置及び走査終了位置での内部構成要素を示す図である。
【
図15】患者の四肢の初期配置及び走査の開始のためのターンテーブル移送配置の上面図である。
【
図17】水平位置にて四肢画像撮影するための実施形態の斜視図を示す図である。
【
図18A】足部及び膝関節の画像撮影のため角度についての考察を比較する上面図である。
【
図18B】放射線源経路及び検出器経路に対する足の形状を示す概略図である。
【
図19A】非荷重負荷位置の足のCBCT画像撮影のための患者の姿勢を示す概略図である。
【
図19B】荷重負荷位置の足のCBCT画像撮影のための患者の姿勢を示す概略図である。
【
図19C】患者が着座し、足が伸ばされた状態の非荷重負荷位置での足のCBCT画像撮影のための患者の姿勢を示す概略図である。
【
図20】検出器経路を設定するためのインサートを採用する足画像撮影のための画像撮影装置の斜視図である。
【
図21】検出器経路を設定するためのインサートを採用する足画像撮影のための画像撮影装置の上面図である。
【
図22】半透明のカバーを有する、検出器経路の設定のためにインサートを採用する足画像撮影のための画像撮影装置の上面図を示す図である。
【
図23】足及び足関節の画像撮影のための画像処理ハードウェアの一つの位置を示す斜視図である。
【
図24】足及び足関節の画像撮影のための画像処理ハードウェアの、
図23の位置とは別の位置を示す斜視図である。
【
図25】足及び足関節の画像撮影のための画像処理ハードウェアの、
図23、
図24の位置とは別の位置を示す斜視図である。
【
図26】一つの画像撮影位置に回動されたCBCT画像撮影装置を示す斜視図である。
【
図27】
図26の画像撮影位置とは別の画像撮影位置に回動されたCBCT画像撮影装置を示す斜視図である。
【
図28】検出器経路を完成させるために1つ以上のドアを使用する別の実施形態におけるCBCT画像撮影装置の斜視図である。
【
図29】ドアが閉鎖位置にある状態の、検出器経路を完成させるために1つ以上のドアを使用する実施形態におけるCBCT画像撮影装置の斜視図である。
【
図30】検出器経路を完成させるために1つ以上のドアを使用する別の実施形態におけるCBCT画像撮影装置の上面図である。
【
図31】ドアが閉鎖位置にある状態の、検出器経路を完成させるために1つ以上のドアを使用する実施形態におけるCBCT画像撮影装置の上面図である。
【
図32】ドアが開放位置にある状態の、足及び足関節の伸長された脚の画像撮影のために回動した位置にあるCBCT画像撮影装置を示す図である。
【
図33】ドアが閉鎖位置にある状態の、足及び足関節の伸長された脚の画像撮影のために回動した位置にあるCBCT画像撮影装置を示す図である。
【
図34】足及び足関節の画像撮影のための別の放射経路を示す概要図である。
【
図35A】一実施形態による、足の画像撮影のために、傾斜角度に反転かつ傾斜されたハウジングを示す概要図である。
【
図35B】別の実施形態による、足の画像撮影のために、傾斜角度に反転かつ傾斜されたハウジングを示す概要図である。
【
図36A】別の実施形態による、足及びつま先の画像撮影のために、ある角度まで傾斜された足インサートを装備しないハウジングを示す概要図である。
【
図36B】別の実施形態による、足及びつま先の画像撮影のために、ある角度まで傾斜された足インサートを装備したハウジングを示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、いくつかの図のそれぞれにおいて同じ参照番号が構造の同じ要素として特定する図の参照が行われた、本発明の好適な実施形態の詳細な説明である。
【0023】
四肢画像撮影において、特に下部の対をなす四肢の画像撮影のためには、改善が必要であり、これら改善は以下のとおりである。
(i)走査シーケンス全体にわたって、許容可能な放射線レベルと画像品質を提供するための放射線源と検出器の改善された配置;
(ii)例えば患者の足が高い位置にあるような、患者が快適な状態で起立し又は着座して画像撮影を可能とするような柔軟性を含む、放射線源及び検出器の回動軸線に対して異なる高さで画像撮影するためのシステム柔軟性;
(iii)患者の身体部分の画像を提供するために、患者が、損傷している可能性がある四肢を回旋したり、ねじったり、又は過度のストレスを与える必要がないような改善された患者の接近容易性;
(iv)例えば患者が自然体で起立した姿勢を可能にするような、CBCT画像を取得するための改善された人間工学。このことがまた、脚、膝、及び足関節のような荷重負荷の四肢が、Sukovocらの米国特許第7,394,888号又は別の部分で教示されたような疑似された荷重状態下によるよりはむしろ、患者の体重によって及ぼされる正常な荷重下において画像撮影されることを可能にする。;
(v)足及び足関節のCBCT画像撮影に関する可能性。足の形状に起因する固有の困難さが1つの因子であり、足の画像撮影に関する他の問題としては、体重負荷の有無にかかわらず、いくつかの異なる位置で足を画像撮影することができることの必要性が挙げられる。
【0024】
本開示のコンテキストにおいて、用語「四肢」とは、診断用画像撮影の専門用語として慣習的に解釈されているような意味を有し、膝、脚部、指、手、手首、肘、腕部、及び肩並びに他の解剖学的四肢を指す。用語「対象物(対象)」は、例えば「対象の脚」のように、画像撮影される患者の四肢を説明するために使用される。用語「対をなす四肢」は、通常は同一の患者で2つ以上が存在する任意のヒトの身体の四肢を指すものとして概ね使用される。本発明のコンテキストにおいては、対をなす四肢が画像撮影されず、対象の四肢のみが画像撮影される。
【0025】
本発明を詳細に説明するために、本発明の実施形態のために本明細書で示された例は、例えば、脚、膝、足関節、及び足のようなヒトの身体の荷重負荷する下肢の画像撮影に焦点があてられる。しかしながら、これら例は、例示的かつ非限定的であると考えられる。
【0026】
本開示のコンテキストにおいて、用語「孤」又は別様で「円弧」は、360度未満又は、別の考え方として所与の半径に対して2πラジアン未満の円の一部として、その慣用的な意味を有する。
【0027】
本発明の実施形態は、中心点の周りに同心的な軌道を描く放射線源の経路及び検出器の経路を規定する画像撮影装置を提供することによって、下肢の画像撮影の困難さを解決するもので、この放射線源及び検出器経路を提供する構成要素は、画像撮影前と画像撮影後に患者がアクセスすることを可能にするように構成され、さらに一連のCBCT画像獲得中に、患者が正常な姿勢で起立することを可能にするよう構成されている。本発明の実施形態において、このような機能は、四肢を配置させることができる環状アクセス開口を有する検出器移送装置を使用することで実現され、この検出器移送装置は、一旦適所にあるように配置された四肢の周りを旋回して、走査の少なくとも一部分を通して四肢を取り囲む。
【0028】
四肢を走査するためのCBCT装置の設計のために重要であり得るヒトの骨組みの寸法的な特質を考慮することは有益である。例えば、快適に起立している平均的身長の成人患者では、左右の膝が概ね約10〜35cmほど離れている。平均的身長の成人にとっては、両膝が約35〜40cm(14〜15.7インチ)を超えて離れると快適ではなくなり、正常起立姿勢の範囲から外れる。この制約が、膝画像撮影に関して前半に記述したドイツ特許公開第DE 10146915号に示されたようなガントリー解決策の使用を不可能にしている。放射線源又は検出器のいずれも、単一の膝のCBCT画像撮影のために起立している患者の脚の間を通過しなければならず、ガントリー又は他の従来の解決策ではこのような機能は得られない。
【0029】
図2の上面図及び斜視図は、本発明によるCBCT画像撮影装置10の種々の実施形態を使用してどのように走査パターンが提供されるかを示している。中心軸線Aからの適切な半径R1の検出器経路28が、第一装置、すなわち検出器移送部34によって提供される。第二のより大きな半径R2の第二経路26が、第二装置、すなわち放射線源移送部32によって提供される。四肢、つまり対象物20は、中心軸線Aが対象物内の点を通る線となるように、中心軸線Aに沿って実質的に中心に置かれる。画像取得に対して制約となる幾何学的構造は、前述したように、対をなす四肢のような患者の身体の部分によって妨害されて典型的には約200度までしか採れない放射線源移送部32の孤形状に起因するものである。別の制限は、患者を必要以上の放射線に曝さないという望ましい目標に関するものである。このことが、走査の開始点及び終点にて、これらの孤及び半径で限定された部分的円形体を規定する。
【0030】
検出器移送部34は、起立している患者の両脚の間で移動可能とされ得るために、完全な円軌道を取り得るが、放射線源移送部32の孤に対して必要となる相補的な孤に従う。走査前の患者のアクセスが、検出器移送部34に周縁ギャップ38を設けることで容易くなる。
図3で示された開放位置の検出器移送部34で、患者は画像撮影するための位置へ自由に出入りできる。患者が適切な位置に収まった場合に、検出器移送部34が軸線Aの周りで、実際には180度回動される。この軌道運動が、四肢をより狭く閉じ込め、また検出器移送部34ハウジングによって
図2〜4では隠れているが、シーケンス中の最初の投影画像を取得するための対象物20の近くの位置に検出器24を配置する。
【0031】
周縁ギャップ38は、対象の脚又は他の四肢を配置させるためのアクセスを許すばかりではなく、画像撮影される対象の脚を軸線Aの中心位置に配置させ(
図2)、また画像撮影されない対をなす脚を周縁ギャップ38で画定される空間内に配置させることで、画像撮影中に正常な姿勢で起立させるための十分な空間を患者に与えている。周縁ギャップ38は、180度に放射線源と検出器の幾何学的配置及び距離によって決定されるファン角度を加えた合計を、約360度から差し引いた角度で延びている。
【0032】
図5の上面図は、画像撮影装置10への患者のアクセスに関するシーケンスを示している。開放されたアクセス位置40においては、四肢が中心軸線Aに沿って中央に配置されるように、周縁ギャップ38が四肢のアクセスを可能にしている。開放されたアクセス位置42に相当する足の外形線が患者の位置を示していて、参照のために表示されている。この例では、右脚が画像撮影される対象物であり、対をなす左脚は、周縁ギャップ38のすぐ外側に置かれているだろう。一旦、患者の脚又は他の四肢が所定の位置に配置されると、検出器移送部34、又はフード状のカバー若しくはこの移送経路を画定する他の部材が、旋回した移動位置44で示されるように、周縁ギャップ38の検出器部分を閉鎖させる位置へと旋回され得る。移送適所位置46は、検出器移送部34が、CBCT画像シーケンスを実行するために適した位置にある検出器移送部34を示している。
【0033】
図6の上面図は、
図5で開始された操作シーケンスを進めて、画像撮影装置10を使用した場合、いくつかの角度位置にてCBCT投影を取得するためのシーケンスを示している。放射線源22と検出器24の相対的位置は、先に記述したようにフード下に隠されてはいるが、
図6に示されている。足の外形線は、患者の脚の相対的位置を示唆するための参照であり、足それ自体の画像撮影については、後で示されかつ説明される。放射線源と検出器とは、CBCT走査及び投影画像撮影中、患者の脚に関して、一つの直径の反対側の位置にある。シーケンスは、第一角度で画像を取得するために、放射線源22と検出器24が初期位置にあるような開始走査位置50で開始される。次いで、中間走査位置52、54、56、及び58で表示されたように、放射線源22と検出器24の双方が、軸線Aの周りを旋回する。画像撮影は、終端走査位置60にて終結する。このシーケンスで示されたように、個々の撮影角度において、放射線源22と検出器24は対象物20に関して直径上の反対側の位置にある。全走査サイクルを通して、検出器24は、対象物20からの近距離D1の範囲内にある。放射線源22は、対象物20からのより長い距離D2を超える範囲にある。放射線源と検出器要素を配置させることは、それぞれの移送経路のための各アクチュエーターによって実行され得るか、或いは後で詳しく説明されるような単一の回動可能な部材によって実行され得る。反対方向での走査動作、すなわち、
図6に示された例に対して時計回りでの走査動作もまた、初期走査位置と終端走査位置における対応する変化で可能であることも留意されるべきである。
【0034】
画像撮影装置10の他の特徴は、
図7の斜視図で示されたように、放射線源と検出器移送部32及び34を1つの単位として軸線方向に沿って移動させるための機能によってもたらされる。垂直支持体70は、画像撮影装置の垂直移送を提供し、これによって、異なる身長の患者に適合させて、また脚の異なる部分を画像撮影するために、放射線源と検出器が中心軸線の方向で上方向又は下方向に移動され得る。
図5の設定シーケンスを使用して、画像撮影される患者の対象となる脚が検出器移送部34で取り囲まれる前又はその後に、高さ調節が実行され得る。
【0035】
一実施形態において、垂直支持体70はまた、水平状態で配置された、或いは垂直以外の傾斜した角度で伸ばされた四肢の画像撮影を可能にするように、CBCT画像撮影装置10の回動をもたらす。
図8A及び8Bは、患者が着座して脚が外方向に伸ばされた状態での水平位置にある膝の画像撮影の斜視図を示している。傾動軸線Qの周りで全360度の回動が可能である。この用途において、一旦四肢が適所で中央に置かれたら、その位置に回動された検出器移送部34で、同様な患者のアクセスの容易性が与えられることに留意すべきである。更には、
図9に示されたように、腕、肘、又は肩の画像撮影に対して、高さ調節もまた可能である。
【0036】
軌道に沿った画像撮影経路の角度の制約は、検出器経路の妨害よりはむしろ放射線源による妨害によるものであるために、回動する検出器移送部34の使用は、患者のアクセスを簡略化し、かつCBCT画像撮影のための十分な画像撮影経路を提供する。したがって、例えば、
図10及び11の例で示されたように、検出器移送部34が完全に円形で四肢を取り囲むことも可能である。これら実施形態では、周縁ギャップ38は、放射線源経路にのみ存在する。
【0037】
図6の概略図に戻って参照すると、放射線源22と検出器24とが、それぞれ半径R2とR1で孤に沿って対象物のまわりを、軌道を描いて回る。放射線源移送部32内では、放射線源アクチュエーターが使用され得、これは、検出器移送部34の一部である別個の相補的な検出器アクチュエーターと連動する。したがって、それぞれが各移送部組立品内にある2つの個々のアクチュエーター装置は、放射線源22と検出器24とを、対象物20の周囲を、それら各々の孤に沿って同期して移動させるために、外部ロジックコントローラによって、別個に制御かつ統合されている。
【0038】
別の実施形態において、放射線源及び検出器移送部構成要素は、単一の旋回又は回動組立品に機械的に結合されている。
図12Aの右側に示され、加えて
図12Bで拡大されて示されている1つのこのような配置は、単一の機械的組立品を使用して、回動の中心軸線Aの周りを旋回し、放射線源22と検出器22に必要とされる半径を提供するターンテーブル64上の回動部材68を、放射線源及び検出器移送部32及び34に提供する。
図13の上面図に最もよく示されているように、検出器24が、半径R1で対象物のまわりを周回するC字型のターンテーブル64の表面に沿って進む。放射線源22が、より長い半径R2を提供するアーム66に沿ってターンテーブル64に連結されている。周縁ギャップ38が、放射線源及び検出器経路の双方を横切って延びている。
【0039】
ターンテーブル64上の回動部材68を使用する実施形態では、1つ以上のハウジング内に収容されているために、例えば
図7〜11に示された画像撮影装置10に同様の外観をもたらしていることに注意されたい。このタイプの配置は、移動する構成要素から患者を隔離し、かつ画像撮影中に自動的に移動する構成要素によって起こり得るような患者の懸念の少なくともいくつかを軽減するための利点を有する。
【0040】
図14Aは、放射線源及び検出器移送部32及び34並びに放射線源及び検出器22及び24の構成成分を、移動する機械的部分を保護し、また移動する構成要素への患者の接触を防止するカバー80内に収まった状態で示している。
図14Bは、
図6を参照して前述された走査シーケンスを使用する場合、開始走査位置及び終端走査位置50、60での内部構成要素を有する覆われたシステムを示している。
【0041】
図13、15、及び16の上面図は、この機械的配置を使用して、患者のアクセスがどのように行われるかを示している。一旦患者が所定の姿勢をとると、回動部材68が、配置された四肢の周りで、
図15の下側に示された開始位置72にまで旋回される。この位置で画像撮影が開始し、回動部材68が放射線源及び検出器構成要素が軸線Aの周りを旋回するとともに撮影が続けられる。
図15及び16の例では、回動部材68は時計回りの方向で移動する。反時計回りの回動もまた可能である。
【0042】
回動部材68はまた、
図17に示されたような上肢に対する画像撮影構成でも使用され得る。患者のいかなる身体部位も移送経路を妨害しないために、この構成によって全円形軌道での走査が可能である。さらに、傾動軸線Qの周りで、回動部材68の平面における構成要素の全360度の回動が可能である。
【0043】
本開示のコンテキストにおいて、用語「下肢」は膝外側のすぐ上からのヒトの脚の任意の領域を含むと考えられ、したがって膝並びに脛骨/腓骨構造、足関節、及び足部を含む。足関節及び足部を含む下肢の先端部分の画像撮影もまた、CBCT画像撮影装置10で可能である。しかしながら、足部は望ましい検出器移送経路内へと外向きに飛び出しているために、足部画像撮影のための許容される角度範囲が、脚及び膝の画像撮影のための範囲よりは概して制限される。
図18Aの上面図は、例えば、前述されたCBCT画像撮影装置10を使用しての起立姿勢の患者に対する足部のCBCT走査に関する角度範囲が、例えば膝の画像撮影の場合よりも約50度小さいことを示している。
【0044】
図18Bに概略的に示されたように、足部の一般的な形状が、CBCT画像撮影装置に関する前に説明した配置を使用してCBCT装置で画像を取得することを困難にしている。この図では、内側の点線円が、実行可能な円弧の検出器経路28を表していて、外側の点線円が、実行可能な円弧の放射線源経路26を表している。後で説明するように、経路26及び28の双方ともに、傾斜され得る移送平面T内にある。前述したように、経路26及び28は同心であり、放射線源と検出器装置は、これら各々の経路に沿って互いに対象物に対して反対側になるよう配列されている。足が伸ばされる場所では、放射線源経路26は、患者の身体部位によって妨害されることはない。実際には足の一方の側面から他方の側面に向かって延びている円孤の形であるにちがいない検出器経路28が制約されるために、足及び足関節の好適な投影画像を取得するためには、別のアプローチが必要とされる。
【0045】
図19A、19B、及び19Cの概略図は、本発明の実施形態により構成されるCBCT画像撮影装置を使用する際の、種々の状態及び傾斜した角度下で、足の画像を取得するための患者の姿勢を示している。
図19Aは、非荷重負荷配置での足のCBCT画像撮影のための患者の姿勢を示している。患者は、一方の足を、例えば画像撮影のために適した高さで足を維持するようなCBCT画像撮影装置100のハウジング80に形成された台座インデント102又は他の好適な支持体上に配置させる。次いで、要求された画像投影を獲得するために、放射線源22と検出器24が、角度の範囲全体にわたって、足を周回する。ここでは、移送平面Tは、実質的に水平である。
図8A及び8B並びに他の図で示された傾動軸線Qは、移送平面Tに対して実質的に平行であるが、平面Tの上部または下部にあることに留意すべきである。
【0046】
図19Bは、荷重負荷配置での足CBCT画像撮影のための患者の姿勢を示している。この姿勢によって、患者は自然の位置で起立することができて、画像撮影中にいくらかの重さが足部に加えられる。ここでは、平面Tはまた、実質的に水平である。
【0047】
図19Cは、患者が着座して脚が伸ばされている状態での非荷重負荷適用における足部のCBCT画像撮影のための患者の姿勢を示す概略図である。この位置は、CBCT画像撮影装置100の回動可能なハウジングの利点を獲得する。ここでは、移送平面Tは、実質的には垂直であるか、又は他の好適な直立の角度である。
【0048】
図20の斜視図は、検出器経路又はギャップ閉鎖装置のタイプとして使用するCBCT画像撮影装置100の実施形態を示していて、これは周縁ギャップ38を横切るギャップの閉鎖を提供し、また検出器経路を取り囲むものであり、足又は足関節の画像撮影が要求される場合に、ベースCBCT画像撮影装置に付加される取り外し可能なインサート110である。インサート110は、検出器の走行経路の上方のカバーとして作用し、足画像撮影のための検出器軌道の境界線を画定する。ここでは、インサート110は、必要に応じて外側ハウジング80内部の適所に滑ってはめられる。インサート110は、その向きが適切なものとなるようにハウジング80にキーを用いて固定され、インサート110が適所にある場合を感知し、かつ放射線源−検出器の経路を修正するための制御ロジックに信号を適切に提供するようなインターロックで設計されている。インサート110が適所に収まることで、ギャップ38の閉鎖が提供され、ギャップ38を横切って存在する検出器経路の部分が完成する。
【0049】
図21の上面図は、CBCT画像撮影装置100の内部の適所にあるカバー及びハウジング透明インサート110を有する外側面からの図を示し、および足Fがインサート110内に配置される場合の足Fの参照位置を示している。
図22の上面図は、画像撮影装置100のインサート110のカバーとハウジング80を透明であるとして示していて、これによって、放射線源22と検出器24の位置を見ることができる。足部画像撮影のために、検出器24の走行が足の側面及び後方部の周りで行なわれ、足の前方部で行なわれないように、走行経路が変化する。このパターンは、
図23、24、及び25の斜視図のシーケンスで示されている。
図23及び25は、検出器24の走行経路の両端における状態を示している。時計回り軌道が使用される場合、
図23は、検出器24の軌道の開始位置を示し、また
図25は、終端位置を示している。反時計回りの軌道が使用される場合、
図25は検出器24に関する開始位置を示し、また
図23が終端位置を示している。
【0050】
足及び足関節の画像撮影には、高さ及び角度調節が有用である。
図26及び27は、より一層柔軟な患者の姿勢を可能にするよう提供され得る異なる回動及び高さ位置を示している。例えば、
図27で示された配置は、
図19Cを参照して前述されたように、患者が、脚を伸ばした姿勢での足の画像撮影のために好適である。
【0051】
図27に示されたような傾動軸線Qの周りの回動に加えて、ハウジング80はまた、一実施形態において、
図27及び他の図に示されたように、直交する垂直軸線Aの周りを少なくとも部分的に回動可能である。
【0052】
インサート110は、足の背部周辺の検出器経路の連続性を提供するために、検出器経路閉鎖装置又はギャップ閉鎖装置として有用であるが、膝又は他の四肢の画像撮影を行うためには取り外されねばならない。
図28、29、30、31、及び33に示された別の実施形態では、同様な装置を使用して足画像撮影又は膝画像撮影を可能にするために別のアプローチを使用する。
図28及び29の斜視図は、検出器経路閉鎖のためのギャップ閉鎖装置として働き、また弧形の検出器経路の部分を包み込む一組のドア114を有するCBCT画像撮影装置100を示している。ドア114は、患者の足が入ることできるように開放され、一端足部が台座インデント102上に配置されたら閉鎖される。ドアを閉鎖することによって、検出器経路28が完成し、
図23、24、及び25を参照して前に示されたような、CBCT画像獲得シーケンス中に、検出器24が足部の背後を通過することができるように、患者の背後にこの経路を伸張させる。
図30及び31は、この別の実施形態に関して、上面からのドア開放及びドア閉鎖位置を示している。
【0053】
図32及び33は、足部又は足関節の延ばされた脚の画像撮影について、回動した位置にあるCBCT画像撮影装置100を使用しての、ドア開放位置及びドア閉鎖位置のそれぞれを示している。単一のドアが、
図28〜33の二重ドア配置に代わるものとして使用され得ることが留意されるべきである。センサ82(
図28)は、足部が台座に配置された時を感知し、画像及び移送パターンを適切に調節する。
【0054】
図19A、19B、及び19Cで示された通常の患者の配置をもたらす放射線源−検出器の走行経路は、足関節及び足の上部領域の正確な三次元再構築に使用され得るが、足それ自体の三次元画像の再構築のためには正確さに劣る。
図34の概要図を参照すると、放射線源22から検出器24に至る直接的な正面からの放射線経路P1が、いくつかの骨構造体を通過していることが確認され得る。これが、放射線源と検出器の軌道が放射線経路P1の平面内にあるような走査パターンによって遭遇する問題である。このような画像からの三次元再構築は、種々の配置にあるこれら骨の存在によって複雑化されるか、種々の画像投影から見落とされる。一つの解決策としては、足を傾斜させることであるが、これは患者にはできないかもしれない。さらに、患者に厄介な位置で足を保持させることは、診断的分析にとって最も有益なことをもたらすことはできない。台座(
図34には明確には示されていない)は、水平である場合も水平ではない場合もある平面Wに沿って足を着座させる。
【0055】
CBCT画像撮影装置100の実施形態で使用可能であるような別の解決策としては、ハウジング80が、水平または垂直のいずれかに対して1度以上に傾斜した角度、例えば10、20、又は40度であるように、画像撮影装置それ自体を角度θで傾動軸線Q(
図28及び他に表示)の周りで傾斜させることである。
【0056】
図34の概要図に関して、この配置は、移送平面T内にある放射線源と検出器の軌道を、例えば経路P1及びP2にそれぞれ相当する平面T1及びT2として示されたようないずれかの角度位置の範囲にシフトさせることを可能にして、これによって、足及び足関節部分の改善された画像撮影をもたらす。
図34に示されたように、この配置は、移送平面Tを足の平面Wに対していかなる角度の範囲にも効果的に傾斜させて、これによって、平面WとTが異なる角度で存在する。したがって、傾動軸線に関する傾斜角度は、数度から10度又は20度を超える角度の可変範囲によって、足底からオフセットされる角度で、足に放射線が向けられるように配置され得、更には、この目的のために、傾斜軸は全90度又はそれ以上を超える角度まで変動することももたらす。
【0057】
図35Aの概要図は、一実施形態による足部画像撮影のために傾斜した角度まで傾けられたハウジング80を示している。これは、放射線源22と検出器24の軌道を水平に対して傾斜した角度まで配向させて、そしてまた放射線源及び検出器の走行経路の双方の可能な角度範囲をも増大させる。
図35Bの概要図は、足部の画像領域を改善するために、ハウジング80が傾斜角度にて逆転された状態の別の配置を示している。
【0058】
このような拡大された角度範囲が許容されるために、足の前方の画像撮影およびつま先の画像撮影もまた、本発明の実施形態によって対処され得る。
図36Aは、足部インサート110を使用しない実施形態を示している。この実施形態では、伸ばされた足が画像撮影のために配置され得るが、脚の脛骨が、画像撮影領域内に足が完全に伸ばされることを防止する。
図36Bに示されたように、患者の脛骨が前方に移動されるためのより大きな余地空間を有するために、足部インサート110の使用で、足は画像撮影領域内に数インチ程度伸ばされ得る。
【0059】
インサート110を使用しないが、代わりにある種の滑動するドアを使用する
図28〜33に示された別の実施形態が、インサート110を使用する必要がある実施形態全体にわたって有益であることを理解することができる。1つの利点が、種々の四肢の画像撮影を獲得するために、CBCT画像撮影装置100のより一般的な使用に関連する。例えば、同一の装置が、足部及び足関節の画像撮影並びに膝又は脚の他の部分或いは他の四肢を画像撮影するために使用され得ることである。
【0060】
<付記>
[1]
患者の下肢の一部のコーンビームコンピューター断層撮影に関する装置であって、
ハウジング内の弧形の放射線源経路の少なくとも一部分に沿って放射線源を移動させるように動作可能な放射線源移送部であって、前記放射線源経路がハウジング内の周縁ギャップの一方側から前記周縁ギャップの他方側に延び、かつ中心の周りで半径R2を有する、放射線源移送部と、
前記患者の足を置くための前記ハウジング上の台座インデントと、
デジタル放射検出器と、
前記ハウジング内の弧形の検出器経路の少なくとも一部分に沿って前記デジタル放射検出器を移動させるように動作可能な検出器移送部であって、前記検出器経路が中心の周りで半径R1を有し、前記放射線経路と同心であり、R1はR2よりも小さく、さらに前記検出器経路が前記台座インデントの一方側から他方側に向かって延びている、検出器移送部と、
前記検出器経路を、前記周縁ギャップを横切って連続する位置へと移動可能であり、前記ギャップを横切って前記検出器経路を囲む周縁ギャップ閉鎖装置と、
を含む装置。
[2]
前記ギャップ閉鎖装置が、ハウジングに収まるインサートを含む、上記[1]に記載の装置。
[3]
前記ギャップ閉鎖装置が、前記ハウジング内の1つ以上の滑動するドアを含む、上記[1]に記載の装置。
[4]
前記ハウジングが、前記弧形の放射線源経路の前記中心を通って延びている軸線の周りを回動可能である、上記[1]に記載の装置。
[5]
足が前記台座インデントに配置されることを感知するセンサを更に含む、上記[1]に記載の装置。
[6]
前記ハウジングが、前記ハウジングの一方の側面から他方の側面に向かって、前記ハウジングを貫いて延びている軸線の周りで更に回動可能である、上記[4]に記載の装置。
[7]
前記ハウジングのための垂直支持体を更に含み、前記ハウジングの高さが、前記垂直支持体内で調節可能である、上記[1]に記載の装置。
[8]
前記インサートが前記ハウジング内の位置にある場合に、信号を提供するインターロック機構を更に含む上記[2]に記載の装置。
[9]
患者の足のコーンビームコンピューター断層撮影を提供するための方法であり、
ハウジング内の弧形の放射線源経路の少なくとも一部分に沿って放射線源を移動させるように動作可能である放射線源移送部上に、前記放射線源を据え付けるステップであって、前記放射線源経路は、ハウジング内の周縁ギャップの一方側から前記周縁ギャップの他方側に向かって延び、中心の周りで半径R2を有し、さらに前記放射線経路が移送平面を画定している、ステップと、
前記放射線源からの放射を受け取るために、患者の足の置くための台座を提供するステップと、
デジタル放射線検出器を前記ハウジング内の弧形の検出器経路の少なくとも一部分に沿って移動させるように動作可能である検出器移送部上に、前記デジタル放射線検出器を据え付けるステップであって、前記検出器経路は中心の周りで半径R1を有し、前記放射線経路と同心であり、R1はR2よりも小さく、さらに前記検出器経路は、前記周縁ギャップの一方側から他方側に向かって延びて、かつ移送平面内にある、ステップと、
前記検出器経路が、前記周縁ギャップを横切って延びるような位置に移動可能であり、ギャップ閉鎖装置を提供するステップと、
を含む方法。
[10]
前記ハウジングを、傾斜角度の範囲全体の複数の傾斜角度のいずれかへの前記移送平面の傾動の軸線である傾動軸線を提供する支持体に据え付け、前記傾動軸線が、実質的に前記移送平面に平行であること更に含む、上記[9]に記載の方法。
[11]
前記台座が、第一角度で足を着座させて、前記傾斜角度が、前記第一角度に対して異なる角度の範囲で調節可能である、上記[10]に記載の方法。
[12]
前記傾動軸線に関する前記傾斜角度が、2度を超える角度で前記第一角度からオフセットされている角度であり、放射を前記足に向けるように配置されている、上記[11]に記載の方法。
[13]
前記ギャップ閉鎖装置が、ハウジングから取り外し可能なインサートを含む、上記[9]に記載の方法。
[14]
ギャップ閉鎖装置を配置させるステップが、前記放射線源及び検出器を覆うハウジング内から1つ以上のドアが離れる位置に回動することを含む、上記[9]に記載の方法。
[15]
前記台座が、ハウジングに形成される、上記[9]に記載の方法。