【解決手段】アルファ化澱粉であって、UDMSO(9体積のDMSO、1体積の6M尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、対応する元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s−1において1.00〜1.18であり、前記澱粉の6重量%の水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c*)が15〜30Paである、アルファ化澱粉。さらに、このアルファ化澱粉は、食品、特に乳児用食品、幼児用調整粉乳、飼料、医薬品、化粧品、およびパーソナルケア製品に利用される。
アルファ化澱粉であって、UDMSO(9体積のDMSO、1体積の6M尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、対応する元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s−1において1.00〜1.18であり、前記澱粉の6重量%の水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c*)が15〜30Paである、アルファ化澱粉。
顆粒が未損傷であり、アミロペクチン基準SF(AP)による30℃での膨張係数(swelling factor)が25〜40、好ましくは28〜37、より好ましくは30〜35であることを特徴とする、請求項4または5に記載のアルファ化澱粉。
ノズル本体、ノズルキャップ、およびノズル本体とノズルキャップとの間に配置された内部チャンバを備えた、澱粉の噴霧乾燥に使用するための二流体ノズルであって、ノズル本体が、澱粉の水性スラリーの供給器に接続するように適合された、澱粉の水性スラリーを内部チャンバ内に噴霧するための少なくとも1つの噴霧器を備え、内部チャンバが、圧力下の過熱蒸気の供給器に接続するように適合された、圧力下の過熱蒸気を内部チャンバ内へ導入するための少なくとも1つの入口を備え、そしてノズルキャップが内部チャンバからの少なくとも1つの出口を備える、二流体ノズルにおいて、前記内部チャンバが、内部チャンバの長さを変えることが可能な、4〜1000mmの長さを有する置換可能および/または交換可能なスペーサー要素も備えることを特徴とする二流体ノズル。
【背景技術】
【0002】
澱粉は、予蒸解(pre−cooked)されると、冷たい食品を増粘させるために使用することができる。かかる澱粉は、アルファ化澱粉またはインスタント澱粉(instant starch)と呼ばれる。それ以外の場合、澱粉は、増粘または「糊化」を生ずるために、熱を必要とする。過剰の水の中で澱粉を糊化するために必要となる実際の温度は、澱粉の種類に依存する。アルファ化澱粉は、特に、コンビニエンスフード(例えば、インスタントスープ、インスタントソース、インスタントグレービー、インスタント飲料、サラダドレッシングミックスなど)、酪農食品(例えば、インスタントプティングなど)、ベーカリー食品(ケーキミックス、ベーカリークリーム(bakery cream)など)、ならびにインスタントの乳児用食品および幼児用食品(infant food)において、広く使用されている。
【0003】
用語「糊化された」または「蒸解された(cooked)」澱粉とは、その偏光十字を消失した膨張顆粒を指し、当該膨張顆粒は、その顆粒状構造を失っていても、失っていなくてもよい。用語「部分的に糊化された」澱粉とは、未だ完全に偏光十字を消失していない、部分的に膨張した顆粒を指す。アルファ化澱粉の調製に一般的に利用される熱プロセスとしては、ロール式乾燥(roll drying)、押出、アルコール/水系での高温加熱、および、噴霧蒸解(spray cooking)/乾燥などが挙げられる。アルファ化澱粉の物理的特性、特に、湿潤性、分散性、および冷水中のピーク粘度は、澱粉をアルファ化するために使用するプロセスに依存する。
【0004】
ロール式乾燥された澱粉、および噴霧蒸解/乾燥された澱粉が、市場で最も広く使用されているアルファ化澱粉である。これらの澱粉は一般に、対応する顆粒状澱粉と比べて、糊化における増粘力が弱く、ゲル化傾向が小さい。増粘能力およびゲル化能力の喪失は、水和された顆粒状構造の部分的な破壊と関係している。ロール式乾燥された澱粉は、典型的には、噴霧蒸解/乾燥された澱粉と比較して、増粘力が弱い。熱力学的な観点からみると、ロール式乾燥と噴霧蒸解/乾燥の両方の汎用プロセスが、エネルギー効率においても優れていない。したがって、冷たい液体中で高い増粘力を有し、ロール式乾燥および噴霧蒸解/乾燥と比較してエネルギー的に効率のよいプロセスを介して製造し得るアルファ化澱粉が必要とされている。本発明の方法は、そのような澱粉を提供する。
【0005】
特開昭61−280244(特許文献1)には、過熱蒸気の存在下、105〜350℃の温度で、5分より短い時間、9kg/cm
2未満のゲージ圧で、澱粉を熱処理することが開示されている。
【0006】
国際公開第2009/013346号(特許文献2)は、非アルファ化澱粉に過熱蒸気処理を施すことを含む、澱粉を化工するためのプロセスに関する。
【0007】
欧州特許出願公開第0032296号明細書(特許文献3)には、噴霧された状態の材料を蒸解または糊化して、容易に乾燥可能で均一で微細な大きさの生成物を得るためのプロセスおよび装置が記載されている。この文献では、蒸解予定の材料を、噴霧開口部を通してノズルアセンブリに注入し、比較的微細な大きさのスプレーを形成して、このスプレーを、材料がノズルアセンブリ内で蒸解または糊化されるような温度までノズルアセンブリ内で加熱する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語「過熱蒸気」は、本発明において、その圧力に対応した沸点よりも高い温度に加熱された蒸気(=気体状態の水)を意味する。したがって、過熱蒸気は、水と接触した状態で存在することまたは水を含有することができず、理想気体と類似している。過熱蒸気は、サーチャージ蒸気(surcharged steam)、無水蒸気(anhydrous steam)、および蒸気ガス(steam gas)とも呼ばれる。
【0019】
用語「内部チャンバ」は、本明細書で使用するとき、ノズル内の場所であって、非アルファ化澱粉と過熱蒸気との部分的反応が生じる場所である。この反応は部分的であるが、その理由は、本発明の方法によれば、澱粉は内部チャンバ内で部分的に、即ち、完全にではなく糊化されるためである。用語「内部チャンバ」は、チャンバの特定の形態、即ち、チャンバの形状、大きさ、または、構成を限定するものではない。例えば、チャンバは、管状の形態であり得る。「内部チャンバ」は、過熱蒸気のための少なくとも1つの入口を備え、ノズルキャップ内にまたはノズルキャップの傍に備えられた少なくとも1つの出口によって通気され、そして少なくとも1つの噴霧器により噴霧された澱粉スラリーの供給を受ける。
【0020】
用語「連続反応」は、本明細書で使用するとき、このような反応器をバッチ型反応器と区別することを意図している。
【0021】
非アルファ化澱粉は、任意の天然原料に由来するものであってよく、ここで用語「天然」とは、前記澱粉が自然に見出されることに関係する。特に区別しない限り、本明細書における澱粉に関する言及は、対応するフラワー類を含むことを意図している。フラワー類は、タンパク質、例えばコムギグルテン、を含有するものであってもよい。澱粉の典型的な原料は、穀類、塊茎、根豆類、果実の澱粉、およびハイブリッド澱粉である。適切な原料としては、限定されないが、トウモロコシ、エンドウ、ジャガイモ、サツマイモ、ソルガム、バナナ、オオムギ、コムギ、コメ、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、および、低アミロース澱粉(約35重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下のアミロースを含有する)、もしくは高アミロース澱粉(少なくとも約40重量%のアミロースを含有する)が挙げられる。また、交雑育種、転座、逆位、形質転換、またはその変形を含めるように遺伝子または染色体の操作を行う任意の他の方法を含む育種技術によって得られた植物に由来する澱粉も適している。さらに、上記の属の混合物の人為突然変異および変形(公知の標準的な突然変異育種方法によって生成し得る)から生育された植物に由来する澱粉も、本明細書における適切な澱粉である。使用される澱粉は、化工された澱粉、例えば、化学的に化工された澱粉または物理的に化工された澱粉であってもよい。化学的に化工された澱粉の例としては、アセチル化澱粉、ヒドロキシエチル化およびヒドロキシプロピル化澱粉、無機的にエステル化された澱粉、カチオン性澱粉、アニオン性澱粉、酸化澱粉、双性イオン性澱粉、酵素変性澱粉、およびその組合せが挙げられ、これらに限定されないが、但し、これらの澱粉がアルファ化されていないことが条件である。物理的に化工された澱粉の例としては、熱的に抑制された澱粉などが挙げられ、例えば、EP1038882A(特許文献4)に開示された澱粉が挙げられる。本発明の方法の好ましい一実施形態において、処理される非アルファ化澱粉は、アミロース含有量が35重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の低アミロース澱粉である。他の好ましい実施形態は、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、アミロース含有量が35重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下のn−OSA(n−オクテニルコハク酸無水物)澱粉である。上記に述べた非アルファ化澱粉および/またはフラワーの任意の混合物も本発明の範囲内であることが理解されるべきである。
【0022】
本発明の方法によれば、非アルファ化澱粉および/またはフラワーは、二流体ノズルの内部チャンバにおいて、過熱蒸気で処理される。二流体(bi−fluid)ノズルは、時には2流体(two−fluid)ノズルと称され、液体入口および気体入口で構成され、液体と気体とは内部チャンバ内に集められた後、ノズルから排出される。本発明では、非アルファ化澱粉またはフラワーの水性スラリーがノズルの内部チャンバ内に噴霧されるが、内部チャンバ内ではチャンバ内への過熱蒸気の供給によって過熱蒸気環境が形成されている。過熱蒸気の内部チャンバ内への入口での温度は、所望の特性を有する部分的に糊化された澱粉を得るために、極めて重要である。内部チャンバの入口での過熱蒸気の温度は、150℃〜650℃、好ましくは200℃〜550℃、より好ましくは230〜450℃の範囲である。さらに内部チャンバの入口での過熱蒸気の温度が200℃、205℃、または230℃〜250℃となるようにプロセスを実行することによって、興味深い結果が得られる。
【0023】
典型的には、非アルファ化澱粉は、pHが2〜11、好ましくは2〜10.5、より好ましくは2〜10、さらにより好ましくは2〜9、なお一層好ましくは3〜8、および最も好ましくは4〜8である水性澱粉スラリーの形態である。
【0024】
過熱蒸気が、内部チャンバ内へ注入され、それにより内部チャンバに存在する空気または他のガスと入れ替わる。一般的には、空気または他のガスと入れ替わるまで過熱蒸気を内部チャンバで吹きわたらせてから、非アルファ化澱粉と過熱蒸気との反応を行う。内部チャンバに空気が存在しなくなることにより、本発明の方法は防爆性になる。内部チャンバの大きさおよび/または形状に応じて、内部チャンバ内へ注入する過熱蒸気の流入速度を調整することにより、内部チャンバの出口における所望の過熱蒸気温度を確保できることを理解しておくべきである。非アルファ化澱粉スラリーは、内部チャンバに入るときに噴霧され、噴霧器での当該水性澱粉スラリーの温度は、前記澱粉の糊化温度よりも十分に低くする必要がある。澱粉スラリーは、好ましくは、固形分含有量が1〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%、より一層好ましくは20〜35重量%である。
【0025】
噴霧された澱粉スラリーは、ノズルの内部チャンバで部分的にのみ糊化され、次いでノズルの出口を通ってノズルから反応器へ排出される。スラリーは、部分的に糊化された澱粉を含有する液滴のスプレーの形態で反応器に入り、反応器内で、過熱蒸気と接触する。澱粉のこのさらなる過熱蒸気処理により、ノズル内で部分的にのみ糊化された澱粉が、反応器内で、完全に糊化されることになる。
【0026】
反応器は、噴霧乾燥機器で使用される任意の反応器であってよい。かかる噴霧乾燥機は、典型的に、その頂部または頂部近くに液滴のスプレーを導入して重力の作用により落下させる反応器を備える。本発明で使用される反応器は、過熱蒸気の流れまたは噴流を反応器内に導入するための少なくとも1つの入口と、反応器の内容物を排出させるための少なくとも1つの出口とを備える。典型的には、反応器の過熱蒸気のための少なくとも1つの入口は、過熱蒸気の流れまたは噴流が、反応器に入った後で、部分的に糊化された澱粉を含有する液滴と、二流体ノズルから反応器への排出が行われる二流体ノズルからの出口またはその近くで接触するように、配置される。
【0027】
反応器内に導入される過熱蒸気の温度は、反応器からの出口での温度が、典型的に、100℃〜165℃、好ましくは115℃〜140℃、より好ましくは115℃〜125℃の範囲であるようにする。
【0028】
上述のように、好ましい実施形態によれば、二流体ノズルで実施される、部分的に糊化された澱粉を生成するための非アルファ化澱粉の過熱蒸気処理は、本明細書で詳細に記載する本発明の二流体ノズルで実施される。
【0029】
本発明者らは、本発明の方法によって非アルファ化澱粉を処理することで、従来技術の方法で得られた澱粉とは非常に異なる、特定の流体力学的および/または粘弾性的特性を示すアルファ化澱粉が得られることを見出した。例えば、本発明によるアルファ化澱粉は、既知のロール式乾燥法または噴霧蒸解/乾燥法により調製されたアルファ化澱粉と比較して、極めて高い冷水粘度を示す。このことは、UDMSO(9体積のDMSO、1体積の6M尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃でのアルファ化澱粉の見かけ粘度と、同じ条件下での対応する元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度とを測定し、非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対するアルファ化澱粉の見かけ粘度の比率を計算することによって、実証される。本発明の方法によって得ることができるアルファ化澱粉の(上述のように決定される)比率は、1.00〜1.18である。このように、本発明の方法によって得ることができるアルファ化澱粉は、高い即時性粘度発現を示し、糊化されたとき、非アルファ化澱粉に匹敵する粘度を達成する。
【0030】
パラメータである貯蔵弾性率(G’)は、せん断プロセスの間に試料によって保存された変形エネルギー(deformation energy)の尺度であり、ゲルの弾性または剛性と関係する。本発明の方法によって得ることができるアルファ化澱粉は、当該澱粉の6重量%水性分散液を使用した30℃における規格化貯蔵弾性率G’(c/c
*)が15〜30Paであることを特徴とする。このように、本発明は、1)UDMSO(9体積のDMSO、1体積の6M尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の、元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する見かけ粘度の比率が、1s
−1において1.00〜1.18であり、2)アルファ化澱粉の6重量%水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c
*)が、15〜30Paである、アルファ化澱粉も提供する。
【0031】
本明細書で報告される貯蔵弾性率G’および粘度は、澱粉セルと呼ばれるシリンダ測定系およびシャフトST24(Anton Paar Physica、Germany製)を備えたMCR300レオメータ(同じくAnton Paar Physica)を用いて測定した。一般的な貯蔵弾性率および粘度に関するさらなる情報は、The Rheology Handbook、Metzger、T.G. (Vincentz Verlag、Hannover、Germany)(非特許文献1)で見出し得る。
【0032】
本発明におけるアルファ化澱粉は、上述のように、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s
−1において1.00〜1.18であり、上述のように、規格化貯蔵弾性率が15〜30Paであって、典型的には、溶質の含有量が15%未満であり、好ましくは12%未満である。この本発明のアルファ化澱粉の澱粉顆粒構造は、典型的には、その生成プロセスの間に破壊されない。
【0033】
好ましい実施形態によれば、アルファ化澱粉は、顆粒が未損傷であることを特徴とする。さらに、アルファ化澱粉は、アミロペクチン基準(SF(AP))による30℃での膨張係数(swelling factor)が、典型的には、25〜40、好ましくは28〜37、より好ましくは30〜35である。
【0034】
さらに好ましい実施形態によれば、1)UDMSO(9体積のDMSO、1体積6尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s
−1において1.00〜1.18であり、2)当該アルファ化澱粉の6重量%水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c
*)が15〜30Paである、本発明のアルファ化澱粉は、さらに、澱粉顆粒が未損傷であることと、アミロペクチン基準(SF(AP))による30℃での膨張係数が25〜40、好ましくは28〜37、より好ましくは30〜35であることを特徴とする。このさらに好ましい実施形態によるアルファ化澱粉は、好ましくは溶質の含有量が15%未満であり、より好ましくは12%未満である。
【0035】
本発明によるアルファ化澱粉は、水性液体に加えられたとき、水性液体の加熱をほとんどまたは全く必要とせずに、高い粘度を発現する能力を有する。前記澱粉はアルファ化されているため、澱粉を含有する液体を、粘度を発現させるために糊化温度まで加熱する必要はない。典型的には、本発明のアルファ化澱粉を40℃の水性液体に2重量%の濃度で添加してから135秒後に、達成される粘度は50mPa.sより高く、好ましくは55mPa.sより高くなり、より好ましくは、粘度は60mPa.sより高い。典型的には、その上限は、150〜200mPa.sである。
【0036】
さらに一層好ましい実施形態によれば、本発明における、1)UDMSO(9体積のDMSO、1体積6尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s
−1において1.00〜1.18であり、2)アルファ化澱粉の6重量%水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c
*)が15〜30Paであるアルファ化澱粉は、さらに、(t
0)135秒での初期粘度が、50mPa.sより高いこと、好ましくは55mPa.sより高いこと、より好ましくは60mPa.sより高いことをさらに特徴とする。
【0037】
このさらに一層好ましい実施形態によるアルファ化澱粉は、好ましくは、顆粒が未損傷であり、アミロペクチン基準(SF(AP))による30℃での膨張係数が25〜40、好ましくは28〜37、より好ましくは30〜35であることをさらに特徴とする。
【0038】
上述のさらに好ましい実施形態によるアルファ化澱粉は、好ましくは、15%未満、好ましくは12%未満の溶質を有することをさらに特徴とする。
【0039】
本発明のさらに好ましいアルファ化澱粉は、上述のように、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s
−1において1.00〜1.18の範囲であり、上述のように、規格化貯蔵弾性率が15〜30Paであるだけでなく、(a)顆粒が未損傷であること、(b)有する溶質が15%未満、好ましくは12%未満であること、(c)上述のように、アミロペクチン基準による膨張係数が、30℃で、25〜40、好ましくは28〜37、より好ましくは30〜35であること、および(d)上述のように、(t
0)135秒での初期粘度が50mPa.sより高いこと、好ましくは55mPa.sより高いこと、より好ましくは60mPa.sより高いことをさらに特徴とする。
【0040】
本発明の方法によって調製される澱粉は、その高い即時性粘度発現によって、多くの様々な用途、食品、飼料、化粧品、医薬品用途、およびパーソナルケア製品に適したものである。特に、コンビニエンスフード、酪農食品、ベーカリー食品、および錠剤の調製に適している。本発明の方法によって調製される澱粉を含むソース、スープ、グレービー、プティング、ドレッシング、ベーカリークリームおよび飲料は、即時性粘度発現および分散性の点で向上された性能を示し、特に、冷たい液体でのブルックフィールド粘度が、他の澱粉を用いた場合よりも極めて高い。本発明の方法により調製される澱粉は、特に、乳児用食品および幼児用食品における使用に適したものである。乳児用食品および幼児用食品の適用においては、全ての成分における微生物負荷(微生物量)が低いことが極めて重要である。本発明の方法によって澱粉が処理される高められた温度は、過熱蒸気処理を生き抜く微生物の混入物質が存在しないことを確実とする。さらに、閉じたプロセス、即ち、過熱蒸気処理から取得生成物のパッケージングまでのいかなる時点でも澱粉またはフラワーが周囲環境にさらされない系で行われるプロセスであることで、生成物が汚染されないことが保証される。したがって、本発明の澱粉は、何らの追加の処理を必要とすることなく、乳児用食品および幼児用食品に直接利用することができる。
【0041】
上述のように、本発明は、噴霧乾燥澱粉の製造に使用するための二流体ノズルも提供する。本発明の二流体ノズルは、ノズル本体、ノズルキャップ、および、当該ノズル本体と当該ノズルキャップとの間に配置された内部チャンバを備え、当該ノズル本体は、澱粉の水性スラリーの供給器に接続するように適合された、澱粉の水性スラリーを内部チャンバ内に噴霧するための、少なくとも1つの噴霧器を備え、当該内部チャンバは、圧力下の過熱蒸気の供給器に接続するように適合された、圧力下の過熱蒸気を内部チャンバ内に導入するための少なくとも1つの入口を備え、当該ノズルキャップは内部チャンバからの少なくとも1つの出口を備え、前記内部チャンバは、内部チャンバの長さを変えることが可能な、4〜1000mm、好ましくは4〜100mm、より好ましくは4〜64mm、最も好ましくは4〜15mmの長さの置換可能および/または交換可能なスペーサー要素も備える。二流体ノズルは、内部チャンバを有し、使用に際して、そこに圧力下の過熱蒸気が供給され、当該内部チャンバ内に過熱蒸気環境が形成される。澱粉またはフラワーの水性分散液またはスラリーは、内部チャンバ内の過熱蒸気環境に噴霧される。水性分散液またはスラリーの噴霧は、非アルファ化澱粉またはフラワーの分散液またはスラリーの供給器に接続されている1つまたは複数の噴霧器によって実施される。内部チャンバにおいて澱粉と過熱蒸気との間で行われる反応の度合は、とりわけ反応チャンバの寸法に依存し、特に、噴霧器開口部と、ノズルキャップに備えられた、過熱蒸気および処理された澱粉がノズルから排出されることになる1つまたは複数の出口との間の距離に依存する。上述のように、内部チャンバは、長さが4〜1000mm、好ましくは4〜100mm、より好ましくは4〜64mm、最も好ましくは4〜15mmである置換可能および/または交換可能なスペーサー要素を備える。この交換可能スペーサー要素は、異なる長さを有するスペーサー要素で置換することができ、これにより、噴霧器開口部とノズルキャップ通気口との間の距離を、所望する澱粉と過熱蒸気との反応結果に合わせて変えることができる。したがって、交換可能スペーサー要素によって、澱粉と過熱蒸気との間の反応結果を事前に選択することができるようになる。交換可能スペーサー要素は、ノズルの側壁から内部チャンバ内へ半径方向内向きに延びる。澱粉と過熱蒸気との間の反応は、内部チャンバ内の過熱蒸気の流動特性によって影響を受けることから、内部チャンバ内に内向きに延びるスペーサー要素の1つまたは複数の部分の形状および/またはプロファイルによって影響を受ける。したがって、交換可能スペーサー要素を、ノズル内での使用にあたり予め選択して、内部チャンバの流動特性を変化させることができる。交換可能スペーサー要素は、例えば、内部チャンバを制限する異なるスペーサー要素または内部チャンバ内の過熱蒸気の流れを変える構成または配置を有する表面を備えるスペーサー要素で置換して、例えば、内部チャンバ内の過熱蒸気の均一な分布を改善させたり、または激しく撹乱させる相互作用の可能性を低減させたりすることができる。
【0042】
交換可能スペーサー要素は、ノズルキャップおよびノズル本体に脱着可能に固定され、これにより、内部チャンバの大きさまたは形状を変えるための異なる長さのおよび/または異なる内部形状を有する交換可能スペーサー要素に、容易にノズル内で置換することができる。好ましくは、スペーサー要素は環状である。
【0043】
ノズルの本体は、内部チャンバ内で過熱蒸気と共に処理されることとなる澱粉またはフラワーを含有する液体供給に接続される。液体供給は、典型的には、非アルファ化澱粉またはフラワーの水性分散液または水性スラリーであり、典型的には、圧力下、例えばポンプなどの手段によって、保持容器からノズルへ供給される。ノズルは、典型的には、1,100,000Pa(11バール(barg))までの圧力条件下で作動可能である。内部チャンバは、好ましくは、円形断面を有する。内部チャンバは、円柱状、即ち、一定の直径を有するものであり得る。
【0044】
ノズル本体に噴霧器が1個のみ備わる場合、噴霧器の開口部は、好ましくは、ノズル本体の中心に配置される。噴霧器が2個以上使用される場合、噴霧器はノズル本体の中心に対して対称的に配置することが好ましい。噴霧器が1個のみ使用される場合は、内部チャンバ内への過熱蒸気のための入口は、好ましくは、噴霧器の隣に配置される。噴霧器が2個以上使用される場合は、内部チャンバ内への過熱蒸気用の1つまたは複数の入口は、好ましくは、噴霧器に関して対称的に配置される。好ましい実施形態では、過熱蒸気は、1つまたは複数の噴霧器を囲む環状の入口から内部チャンバへ供給される。
【0045】
本発明の方法の好ましい実施形態を実行するために有用な本発明の二流体ノズルの好ましい実施形態を、添付の
図1を参照しながら、以下に詳細に記載する。
【0046】
図1は、本発明による二流体ノズルの一実施形態の横断面を示す図面である。二流体ノズル1は、垂直に延びる円柱状穿孔3を有するノズルコア2を備え、円柱状穿孔3は、その最上端で、載頭円錐状(frustoconical)セクション4によって、噴霧開口部5へと、上方および内側へ延びている。円柱状穿孔3は、その最下端で、澱粉の水性スラリーの供給器(図示せず)に接続するための雄螺子を伴う継手6を有する。ノズルコアは、過熱蒸気の流れを受けるための導管7も備える。導管7は、その最上端で、噴霧開口部5を包囲する環状チャンバ8へと通じている。
【0047】
ノズル1は、キャップ9と、置換可能環状スペーサー要素10を備える。この実施形態において、キャップ9は、外面の環状縁11を備え、この縁11は、円柱状リング13上に設けられたフランジ12と係合し、円柱状リング13は、スペーサー要素10上に形成された雄螺子と係合するように適合させて形成された雌螺子を備える。円柱状リング13の使用によって、キャップ9とスペーサー要素10とは、脱着可能に一緒に固定されている。スペーサー要素は、円柱状リング14によってノズル本体2に固定され、円柱状リング14はスペーサー要素上およびノズル本体上に形成された雄螺子と係合するように適合させて形成された雌螺子を備える。スペーサー要素10は、開口部5に向けて半径方向内側に延びて、内面15と上面16を与える。
【0048】
スペーサー要素10の内面15は、噴霧開口部5を包囲して環状チャネル18を規定する、管状セクション17を規定する。ノズルキャップ9は、円柱状穿孔19を有し、この円柱状穿孔19は、その最上端では、中心に形成された出口20で終結し、その下端では、内部載頭円錐状面21で終結しており、内部載頭円錐状面21は、前記穿孔19から下側におよび外側に向けて延び、スペーサー要素10の上面16と接するその下縁で終結している。
【0049】
ノズルキャップ9の内面と噴霧開口部5の内面との間で取り囲まれた空間は、内部チャンバ22を形成し、使用に際し、この内部チャンバで、澱粉は部分的に糊化されてから、出口20を介してノズルを離れる。内部チャンバで行われる澱粉の蒸解または糊化の程度は、噴霧開口部5と出口20との距離、および内部チャンバの体積に依存する。内部チャンバのこれらの寸法は、置換可能スペーサー要素10を異なる寸法を有するスペーサー要素と置換することによって、例えば、管状セクション17の長さがより長くまたはより短く規定されているスペーサー要素、および/または管状セクション17の直径がより大きくまたはより小さく規定されているスペーサー要素と置換することによって、変えることができる。スペーサー要素は、円柱状リング14でノズル本体2との係合を外すことによってノズルから離れ、円柱状リング13で係合を外すことによってキャップ9から離れる。異なる内部寸法を有するスペーサー要素を、次いで、キャップとの、およびノズル本体との係合を再び行うことによって挿入することができる。
【0050】
このように、スペーサー要素10の管状セクション17の長さおよび/または内径は、必要に応じて変えることができる。内部チャンバの寸法、例えば、選択される要素10によって規定される管状セクション17の長さは、本発明の方法によって得られる最終生成物の意図する機能と、冷水に添加したときのアルファ化澱粉の所望の粘度に依存するであろう。管状セクションの長さ、即ち、スペーサー要素の長さは、4〜1000mm、好ましくは4〜100mm、より好ましくは4〜64mm、最も好ましくは4〜15mmの範囲である。典型的には、管状セクション17の内径は約6mmである。
【0051】
使用に際し、糊化されていない澱粉のスラリーは、圧力下にノズルの穿孔3に供給されて、開口部5を通ってノズルの内部チャンバ22内に噴霧される。過熱蒸気は、圧力下に導管7に供給されて、開口部5の周辺の環状チャンバ8へと流れる。過熱蒸気は、開口部5から内部チャンバ22に入る噴霧された澱粉スラリーのスプレーへ注入され、過熱蒸気とスプレーされた澱粉スラリーの液滴との接触によって、スプレーされた液滴中の澱粉に、部分的であって、完全ではない糊化が生じることになる。
【0052】
部分的に糊化された澱粉のスプレーされた液滴は、1つまたは複数の出口を介して内部チャンバから出てまたは排出されて、反応器内に導入され、ここで、重力の作用によって反応器内で落下しながら、過熱蒸気とさらに接触することとなる。反応器内の過熱蒸気が、反応器に導入されたスプレーされた液滴中の部分的にのみ糊化された澱粉に作用することにより、液滴中の澱粉の糊化が完全になる。澱粉の液滴が反応器内で落ちるとき、液滴に含有される水分は蒸発し、これにより、反応器の底から回収することができる生成物は、乾燥した粒子状アルファ化澱粉の形態となる。
【0053】
好ましくは、反応器を離れる蒸気または過熱蒸気の出口温度は、100℃〜165℃、好ましくは115℃〜140℃、より好ましくは115℃〜125℃の範囲である。
【実施例】
【0054】
例1
スラリー(乾燥物質18重量%)を、ワキシーメイズ澱粉を使用して、25℃で形成した。スラリーを、
図1に示すような、本発明によるノズルに供給した。ノズルには、内径6mmの管状セクション17を規定する内面15を与えるスペーサー要素(10)を含めた。スペーサー要素の長さは4mmであった。
【0055】
過熱蒸気処理を開始する前に、スラリーを効率よく霧状にするため、熱および速度を与える加圧蒸気の連続する流れにノズルの内部チャンバ(
図1の22)を適合させた。澱粉スラリーを、流速約29リットル/時で、ノズルにポンプ注入した。噴霧は、入口温度250℃を有する連続的な過熱蒸気環境で霧状にする。噴霧されたスラリーは、部分的に糊化された澱粉を含有するものとなっており、このスラリーを、ノズルの出口を介して噴霧乾燥機の反応器へと排出し、反応器内でさらに過熱蒸気処理を施した。反応器を離れる過熱蒸気の出口温度は137℃であった。得られた乾燥過熱蒸気処理澱粉を回収した。この澱粉の試料は、膨張係数が34.6、規格化貯蔵弾性率、G’/(c/c
*)が25Pa、溶質(無水澱粉w%)が10.1、および見かけ粘度比η(出口)/η(入口)が1.15であると認められた。
【0056】
水性澱粉ペーストのレオロジー実験
試験は、澱粉セルと呼ばれるシリンダ測定系およびシャフトST24(Anton Paar Physica、Germany製)を備えるMCR300レオメータ(同じくAnton Paar Physica)で実施した。澱粉ペーストは、澱粉の水分含有量を、始めに、IR水分バランス(Sartorius MA30)を用いて130℃で20分間測定して調製した。既知量の澱粉(表1参照)を600mlのビーカーに量りとり、50gのエチレングリコールで湿らせた。400gの緩衝溶液(0.02M酢酸塩緩衝液、pH5.5)を澱粉に添加し、大匙を用いて1分間、全体を徹底的に混合した。次いで、ペーストを1時間、室温で静置してから、測定を実施した。
【0057】
【表1】
【0058】
振動試験
貯蔵弾性率G’(Pa)を、歪み(%)の関数として、以下の手順に従って、30℃で測定した。
− 10分の第1区間:記録なし
− 600秒(10分)の第2区間:データ点の記録
− 300測定点
− 歪み 0.1〜100% log
− 周波数 1Hz
澱粉の膨張と溶質の度合の測定
規格化貯蔵弾性率の定義
膨張係数
澱粉の膨張の度合は、30℃で、(Tester and Morrison(1990)、Swelling and Gelatinization of Cereal Starches., I. Effects of Amylopectin, Amylose, and Lipids、Cereal Chemistry、第67巻、第6号、第551〜557頁)(非特許文献2)の直接法を使用して測定した(100mg澱粉)。
【0059】
容積式ピペットを用いて激しく渦流混合しながら、5mLの0.02M酢酸塩緩衝液の添加を行い、確実に固まりのないように澱粉を水和させた。
【0060】
遠心分離は、(1,500gで5分間に代えて)3,000gで10分間である。
【0061】
30℃での膨張係数SFは、非次元性(adimensional)である。
【0062】
30℃でのアミロペクチン基準SF(AP)による膨張係数は、
SF(AP)=SF×100/AP
(式中、APはアミロペクチン含有量(重量%))である。
【0063】
アミロペクチン含有量(重量%)は、澱粉含有量(重量%)から全アミロース含有量(重量%)を引いたもので、青価として決定される(Morrison and Laignelet(1983)、An improved colorimetric procedure for determining apparent and total amylose in cereal and other starches、Journal of Cereal Science、第1巻、第9〜20頁)(非特許文献3)。
【0064】
膨張体積と最密充填濃度c
*
膨張係数を、(Steeneken(1989)、Rheological Properties of Aqueous Suspensions of Swollen Starch Granules、Carbohydrate Polymers、第11巻、第23〜41頁)(非特許文献4)の方法を用いて、膨張体積q(mL/g)と最密充填濃度c
*(g/mL)(式中、c
*=1/q)に変換した。
【0065】
w/w%からw/v%への変換は、30℃での密度を、
0.02M酢酸塩緩衝液については、d=0.997g/mL、
エチレングリコール(GCで99.0%)については、d=1.113g/mL、
アルファ化澱粉については、d=1.4g/mL
と仮定して行った。
【0066】
規格化貯蔵弾性率
Steeneken(1989)に記載されているように、貯蔵弾性率は、(膨張澱粉顆粒の)体積分率の関数c/c
*=cqとして表すことができる。
【0067】
G’/(c/c
*)が、規格化貯蔵弾性率である。
【0068】
溶質、即ち、30℃でのα−グルカン抽出物(extractables)
既知量の澱粉(表2参照)を600mlのビーカーに量りとり、50gのエチレングリコールで湿らせる。400gの緩衝溶液(0.02M酢酸塩緩衝液、pH5.5)を澱粉に添加し、大匙を用いて1分間、全体を徹底的に混合した。次いで、ペーストを、30℃で30分間、撹拌した(磁気撹拌、200min
−1)。
【0069】
【表2】
【0070】
澱粉の溶質の度合を、(3,000gで10分間、遠心分離後の)澱粉懸濁液の上清の濾過液(0.45mmを通したもの)から測定した。濾液をアミログルコシダーゼで加水分解し、得られたグルコースを、(Karkalas(1985)、An Improved Enzymic Method for the Determination of Native and Modified Starch、J Sci FoodAgric.、第36巻、第1019〜1027頁)(非特許文献5)に記載されるように、グルコースオキシダーゼ−ペルオキシダーゼ−クロモゲンで定量した。
【0071】
全てのデータは、30℃、0.02M酢酸塩緩衝液(pH5.5)中のデータとして報告している。
【0072】
UDMSO中の溶解特性
入口澱粉(蒸解(cook−up)、即ち、非アルファ化澱粉)と、本発明の出口澱粉(SHS、即ち、アルファ化澱粉)とをUDMSO(9体積のDMSOと1体積の6M尿素)に48時間、室温で溶解させた。800mgの無水澱粉+100mLのUDMSO。
【0073】
溶液の見かけ粘度を、同軸円柱状二重ギャップ(coaxial cylinder double gap)測定システム(DG 26.7)およびペルチェ(Peltier)温度装置(H−PTD200)を備えたMCR301レオメータ(Anton Paar Physica、Germany製)で測定した。粘度は、ずり速度(s
−1)の関数として、以下の手順に従って、25℃で測定した。
− 5分の第1区間:記録なし
− 1,650秒(27.5分)の第2区間:データ点の記録
− 様々な積分時間(100〜10秒)での30測定点
− ずり速度 1〜100s
−1
不溶性の非α−グルカン材料が存在するとき(例えば、フラワー中のタンパク質)、上清の見かけ粘度を測定する前に、溶液を静置するか(1g、一晩)または遠心分離する(1,000g、10分)ことが推奨される。
【0074】
見かけ粘度の比率は、UDMSO中の出口澱粉(SHS、即ち、アルファ化澱粉)の溶液粘度を、UDMSO中の入口澱粉(蒸解、即ち、非アルファ化澱粉)の溶液粘度で割ったもの(1s
−1、ずり速度)である。
【0075】
例2
スラリー(乾燥物質18重量%)を、ワキシーメイズ澱粉を使用して、25℃で形成した。スラリーを、例1で記載したような本発明によるノズルに供給し、例1に記載したように処理した。過熱蒸気処理を開始する前に、スラリーを効率よく噴霧させるため、熱および速度を与える加圧蒸気の連続する流れに、ノズルの内部チャンバを適合させた。澱粉スラリーを、流速約29リットル/時で、ノズルにポンプ注入した。噴霧は、入口温度232℃および出口温度137℃を有する連続的な過熱蒸気環境で行う。例1のように、反応器の出口での過熱蒸気の温度は137℃であった。乾燥したアルファ化澱粉粒子を、反応器の底部から回収した。
【0076】
例3
乳児用食品を、ふるい(200μm未満)にかけた例1と例2の澱粉を使用して調製し、また従来的に噴霧蒸解された澱粉(C
*HiForm A 12791、Cargill、Incorporatedより)を使用して調製した。それぞれについて、3.84gの澱粉を、24.3gのNAN(登録商標)Pro乳児用フードミックス(澱粉非含有)と共に乾燥ブレンドした。164gの脱塩水を40℃でbebe−jou哺乳瓶(250ml)に入れて、40℃に整えた。前記乾燥ブレンド物を、この水に加え(時間t=0)、15秒間、振り動かした(t=0からt=15まで)。混合物を、Anton Paar Physica MCR300澱粉セル(スピンドルST24、40℃、ずり速度23s
−1)に注いだ。粘度を、正確にt=135秒で測定し、データ積分時間10秒で、15分間記録した。
図2は、試験した混合物それぞれの粘度発現を示す。
図2において、X軸の時間0秒は、脱塩水に澱粉含有乾燥ミックスを添加してから135秒後に相当する。
図2には、例1によって得られた澱粉が、従来的に噴霧蒸解された澱粉よりも迅速に粘度を発現させたこと、また例2によって得られた澱粉が、より一層迅速に粘度を発現させ、他の澱粉で達成された粘度よりも極めて高い最終粘度に達したことを示す。
【0077】
【表3】
好ましくは、反応器を離れる蒸気または過熱蒸気の出口温度は、100℃〜165℃、好ましくは115℃〜140℃、より好ましくは115℃〜125℃の範囲である。
アルファ化澱粉であって、UDMSO(9体積のDMSO、1体積の6M尿素)中、8mg/mlの濃度、25℃での、アルファ化澱粉の見かけ粘度の、対応する元の非アルファ化澱粉の見かけ粘度に対する比率が、1s−1において1.00〜1.18であり、前記澱粉の6重量%の水性分散液の30℃での規格化貯蔵弾性率G’(c/c*)が15〜30Paである、アルファ化澱粉。