【解決手段】信号解析装置100の制御部11は、表示部14が表示するスペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する測定データである指定データを、受信部10の元データ記憶部3または記憶部7から抽出する指定データ抽出部を有する。また、指定データ抽出部は、指定された領域内に複数の指定データが含まれる場合、所定の条件に基づき、複数の指定データのうち1つを抽出して出力する。これにより、操作者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、直感的な操作が可能となり、また、操作者は、画面内の1回の領域の指定により複数の測定データを選択することができ、操作性の向上に寄与する。
操作部(12)と、表示部(14)と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部(10)と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部(13)と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部(11)とを備えた信号解析装置において、
前記制御部は、前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出する指定データ抽出部(115)を有し、
前記指定データ抽出部は、前記指定された前記領域内に複数の指定データが含まれる場合、所定の条件に基づき、前記複数の指定データのうち1つを抽出して出力する
ことを特徴とする信号解析装置。
操作部(12)と、表示部(14)と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部(10)と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部(13)と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部(11)とを備えた信号解析装置において、
複数の変調システムにそれぞれ対応する複数の解析プログラム(35b)、および、変調システムごとに、少なくとも前記無線信号の使用周波数帯および使用地域を対応づけるデータテーブル(35a)を格納する格納部(35)を備え、
前記制御部は、
前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出してこれを出力する指定データ抽出部(115)と、
前記指定データ抽出部により抽出された前記指定データに基づき、前記格納部に格納された前記データテーブルを参照して、前記複数の変調システムのうち1つの変調システムを特定する特定部(113)と、
前記格納部に格納された前記複数の解析プログラムのうち、前記特定部により特定された前記変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行する解析処理部(117)と、を有する
ことを特徴とする信号解析装置。
操作部(12)と、表示部(14)と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部(10)と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部(13)と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部(11)とを備えた信号解析装置による信号解析方法において、
前記制御部は、
前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出し、
抽出された指定データに基づき、格納部(35)に格納された、変調システムごとに少なくとも前記無線信号の使用周波数帯および使用地域を対応づけるデータテーブル(35a)を参照して、前記複数の変調システムのうち1つの変調システムを特定し、
前記格納部に格納された複数の解析プログラム(35b)のうち、前記特定された前記変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行する
ことを特徴とする信号解析方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の信号測定システムで、受信した信号を解析するためには、利用者は、表示された信号の情報に基づく数値などを機器に入力する必要がある。数値の入力は、利用者にとって手間のかかる作業であり、また、入力にミスがあった場合、機器は間違った処理結果を出力してしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、利用者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、利用者が直感的に操作することができる信号解析装置および信号解析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の信号解析装置は、操作部12と、表示部14と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部10と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部13と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部11とを備えた信号解析装置において、前記制御部は、前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出する指定データ抽出部115を有し、前記指定データ抽出部は、前記指定された前記領域内に複数の指定データが含まれる場合、所定の条件に基づき、前記複数の指定データのうち1つを抽出して出力することを特徴とする。
本発明では、操作者はスペクトログラムを表す画面内の任意の位置を指定するだけで、指定データが記憶部から抽出されて出力される。これにより、利用者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、直感的な操作が可能となる。また、操作者は、画面内の1回の領域の指定により複数の測定データを選択することができ、操作性の向上に寄与する。
【0009】
請求項2に記載の信号解析装置は、請求項1に記載の信号解析装置において、前記表示制御部は、前記指定データの出力先の選択項目を表示することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の信号解析装置は、請求項1または2に記載の信号解析装置において、前記制御部は、解析処理部116をさらに有し、前記解析処理部は、前記指定データ抽出部により抽出された前記指定データの信号を解析することを特徴とする。これにより、操作者により画面内で指定された信号を解析処理部が解析することができる。
【0011】
請求項4に記載の信号解析装置は、請求項1に記載の信号解析装置において、複数の変調システムにそれぞれ対応する複数の解析プログラム35b、および、変調システムごとに、少なくとも前記無線信号の使用周波数帯および使用地域を対応づけるデータテーブル35aを格納する格納部35をさらに備え、前記制御部は、特定部113と、解析処理部117とをさらに有し、前記特定部は、前記指定データ抽出部により抽出された前記指定データに基づき、前記格納部に格納された前記データテーブルを参照して、前記複数の変調システムのうち1つの変調システムを特定し、前記解析処理部は、前記格納部に格納された前記複数の解析プログラムのうち、前記特定部により特定された前記変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行することを特徴とする。
すなわち、この信号解析装置は、複数の変調システムの中から解析対象となる測定データに対応する変調システムを特定することができるので、操作者によるその特定作業を省略することができ、操作者の労力を軽減することができる。
【0012】
請求項5に記載の信号解析装置は、請求項4に記載の信号解析装置において、前記特定部は、変調システム選出部111を有し、前記変調システム選出部は、前記指定データおよび前記使用地域を含むデータテーブルを検索して、候補となる変調システムをリストアップし、前記表示制御部は、リストアップされた前記変調システムのリストを表示することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の信号解析装置は、請求項1から5のうちいずれか1項に記載の信号解析装置において、前記表示制御部は、横軸を時間、縦軸を周波数、および色をパワーとしたグラフを、前記スペクトログラムとして生成することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の信号解析装置は、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の信号解析装置において、前記指定データ抽出部により抽出された前記指定データを格納する指定データ格納部をさらに備えることを特徴とする。これにより、利用者は、指定データ格納部に格納された指定データを後で確認したり、これを他の装置へ出力させたりすることができる。
【0015】
請求項8に記載の信号解析装置は、操作部12と、表示部14と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部10と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部13と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部11とを備えた信号解析装置において、複数の変調システムにそれぞれ対応する複数の解析プログラム35b、および、変調システムごとに、少なくとも前記無線信号の使用周波数帯および使用地域を対応づけるデータテーブル35aを格納する格納部35を備え、前記制御部は、前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出してこれを出力する指定データ抽出部115と、前記指定データ抽出部により抽出された前記指定データに基づき、前記格納部に格納された前記データテーブルを参照して、前記複数の変調システムのうち1つの変調システムを特定する特定部113と、前記格納部に格納された前記複数の解析プログラムのうち、前記特定部により特定された前記変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行する解析処理部117と、を有することを特徴とする。
この信号解析装置では、操作者はスペクトログラムを表す画面内の任意の位置を指定するだけで、指定データが記憶部から抽出されて出力される。これにより、利用者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、直感的な操作が可能となる。また、複数の変調システムの中から解析対象となる測定データに対応する変調システムを特定することができるので、操作者によるその特定作業を省略することができ、操作者の労力を軽減することができる。
【0016】
請求項9に記載の信号解析方法は、操作部12と、表示部14と、無線信号が入力され、前記操作部で設定された周波数範囲に亘る無線信号のパワーを、前記操作部で設定された時間範囲に亘って測定し、これをデジタルの測定データとして記憶する受信部10と、前記測定データに基づき、周波数軸および時間軸の2次元座標上に、前記パワーの大きさの時間変化を示すスペクトログラムを前記表示部に表示させる表示制御部13と、前記操作部からの操作信号に基づき処理を実行可能な制御部11とを備えた信号解析装置による信号解析方法において、前記制御部は、前記表示部が表示する前記スペクトログラムの画面内で指定された任意の領域に対応する前記測定データである指定データを、前記受信部から抽出し、抽出された指定データに基づき、格納部35に格納された、変調システムごとに少なくとも前記無線信号の使用周波数帯および使用地域を対応づけるデータテーブル35aを参照して、前記複数の変調システムのうち1つの変調システムを特定し、前記格納部に格納された複数の解析プログラム35bのうち、前記特定された前記変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上、本発明によれば、利用者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、利用者が直感的に信号解析装置を操作することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
<信号解析装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る信号解析装置の構成を示すブロック図である。この信号解析装置100は、受信部10、操作部12、制御部11、表示部14、および表示制御部13を備える。
【0021】
操作部12は、典型的には信号解析装置100に設けられた図示しないダイヤルやノブ等により構成される。あるいは、操作部12は、キーボードやマウス等であってもよいし、表示部14と一体となったタッチパネルであってもよい。制御部11は、クロックを生成し、例えば操作部12からの操作信号に基づき所定の処理を実行可能に構成される。
【0022】
表示部14は、典型的にはこの信号解析装置100に一体的に設けられている。表示制御部13は、表示部14に表示するためのデータを生成し、その表示を制御する。具体的には、表示制御部13は、後述するように受信部10に入力された無線信号のスペクトログラムの表示データを生成する。
【0023】
今後の説明上、操作者が解析したい条件として、入力されたRF信号(無線信号)の中心周波数をf
C、周波数帯域を(測定スパン)ΔF、周波数の分解能帯域幅(RBW)を操作者が操作部12で入力したとして説明する。また、受信部10のA/D変換部2等は中間周波数f
IFを中心として±ΔF
MAX/2(但し、ΔF
MAX≧ΔF)の範囲で動作し、処理部4は、f
IF±ΔF
MAX/2の範囲で、例えばFFT(Fast Fourier Transform)処理可能に設計されているものとする。
【0024】
以下、受信部10について説明する。
図1でRF部1は、掃引部1c、ローカルosc部1b、ミキサ部1aとを有する。ローカルosc部1bは、制御部11から掃引部1cを介して測定対象の周波数(測定周波数)の中心周波数f
Cの指示を受けて、ローカル周波数(f
C+f
IF)の信号を発信してミキサ部1aへ送る。ミキサ部1aは、測定対象の周波数(f
C±ΔF
MAX)の信号とローカル周波数(f
C+f
IF)の信号とをミキシングして中間周波数(f
IF±ΔF
MAX)の信号に変換して、A/D変換部2へ送る。
【0025】
上記は解析したい無線信号の周波数を周波数f
Cとしたが、例えば、周波数f
C以外の周波数についてもデータを取得しておく場合、ローカルosc部1bは、掃引部1cで掃引されることにより、次々とローカル周波数{f
C±k×(ΔF
MAX/2)+f
IF}のkを0からnまで可変した信号をミキサ部1aへ送ることにより、センター周波数f
Ck=f
C±k×ΔF(kは0〜n)として、帯域±ΔF
MAX/2の無線信号を取り込むことができる。つまり{f
C−n×ΔF−(ΔF
MAX/2)}〜(f
C+n×ΔF
MAX+(ΔF
MAX/2)})までの周波数の無線信号を取り込むことができる。なお、kは整数で0〜nを変化させれば、帯域をダブって測定することなく効率的にデータ取得できるが、例えば、小数点のステップで変化させて細かくデータを取得しておく。
【0026】
ただし、所定の最大測定時間をth(操作部12から測定時間tvが設定されている場合は、th≧tv)とすると、制御部11は、ローカルosc部1bに対して少なくともその最大測定時間thの間は、ローカル周波数(f
C±k×ΔF
MAX/2+f
IF)を変化させることなく維持し、最大測定時間th経過後にそれを変える。あるいは操作部12からの指示があるまで同一周波数を維持してもよい。所定の最大測定時間thとは、測定時間tvを変えて測定したい場合に予想される最大の測定時間である。
【0027】
A/D変換部2は、RF部1から出力される中間周波数信号(周波数:f
IF±ΔF
MAX/2)を制御部11からの所定のクロックでデジタルデータに変換する。同一の中間周波数信号について最大測定時間th間はクロックに対応してデジタルデータに変換する。
【0028】
元データ記憶部3は、A/D変換部2から出力されるデジタルデータ(振幅値)を、測定周波数(例えば、f
C+k×ΔF
MAX/2)およびクロックの経過時間(最大測定時間th)をアドレスとしたメモリ領域に、ほぼクロックと同じタイミングの書き込み信号により記憶する。記憶されたデジタルデータ(測定データ)は、いわば時間領域のデータである。
【0029】
処理部4は、操作部12から受けた、測定周波数fv(例えば、k=0として、f
C)、測定時間tv(範囲としては、スタート時間ts〜ストップ時間tt:通常は、スタート時間tsは測定開始時刻=0)を受けて、元データ記憶部3から該当する測定周波数、および測定時間の時間領域データ(デジタルデータ)を読み出す。そして、処理部4は、受けた時間領域データを所定時間間隔でFFT処理して周波数領域データに変換して、操作部12から指定された測定スパンΔFの範囲で所望のRBWで各周波数成分とその大きさを算出する。
【0030】
このとき、処理部4は、FFT処理する処理のタイミングの時間間隔をΔtとすると、測定周波数の時間領域データから各処理タイミングで時間窓ΔT(ΔT≧Δt)だけの時間領域データを元データ記憶部3から読み出してFFT処理する。そして、処理タイミングを1間隔Δtだけ時間窓ΔTごとずらしながら測定時間のtvになるまで繰り返しFFT処理を行う。つまり、m×Δt(例えば、mは、1〜tv/Δt)のタイミングで時間位置(アドレス)m×Δtを中心とした±ΔT/2間の時間領域データを読み出してFFT演算し、これをm=tv/Δtになるまで繰り返す。時間窓ΔTは、時間領域データが周波数領域データに変換するのに十分な時間である。極端な例では、1周期にも満たない時間領域データを周波数領域データに変換してもその周波数が分解能良く特定できない恐れがある。なお、タイミングの時間間隔Δtは、A/D変換部2のクロックと同じ周期であってもよい。
【0031】
図1に示した構成では処理部4によりFFT処理が行われるが、これはあくまで一例であり、処理方法はFFT処理に限定されるものではない。例えば、それは変調解析を行うものでもよく、Power vs Time、Frequency vs Time、Phase vs Time等の処理を行うものであってもよい。つまり、これらの処理方法も本発明に適用可能である。なお、これらの処理方法は、信号解析装置の当業者であれば理解できる方法なので、それらの詳細は割愛する。
【0032】
検波部5は、各周波数成分の大きさを、実効値、平均値、もしくはピーク値に変換して出力する。以下、これを「パワー」と言う。ログ変換部6は、検波部5からの出力を対数に圧縮して記憶部7へ送る。
【0033】
記憶部7は、例えば、一方のアドレスを測定周波数(n=0の場合:(f
C−ΔF/2)〜(f
C+ΔF/2)の範囲)、他方のアドレスを測定時間tvの経過とするメモリ領域に、該当する周波数成分のパワーを記憶する。この記憶状態から、表示制御部13は、測定周波数を縦軸、測定時間を横軸とする2次元座標上に、測定周波数の各成分のパワーを色パラメータとして、
図2に示すような画面を表示する。
【0034】
なお、受信部10内においては、各部は一つの時系列として連続して動作する(リアルタイム)ようにしてもよいが、元データ記憶部3に一定量の時間領域データが記憶された後における処理部4以降の動作では、元データ記憶部3が時間領域データを記憶するまでのデータ取得動作とは別個のタイミングで動作できる。したがって、測定によるデータ取得動作を、細かく広く、早く取得する構成にし、それ以降のデータ処理動作を、操作者の要求に対応できるペースで処理する構成とすることができる。
【0035】
表示制御部13および制御部11等は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のハードウェアおよび必要なソフトウェアにより構成されている。あるいは、これらの各部は、CPUに加え、またはCPUに代えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のPLD(Programmable Logic Device)を備えていてもよいし、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されていてもよい。
【0036】
図2に示す画面は、ほぼ中央にスペクトログラムの画面S1を含む。そのスペクトログラム内および左下の「Frequency and Time」の欄に示すように、例えば測定周波数の中心周波数が1.000000GHz、測定スパンΔF(Freq, Span)=5MHzとされており、したがって、縦軸は984.375MHz〜1.015625GHzである。横軸は測定時間tv(全測定時間:Capture Length)が100.00000msある。
【0037】
表示制御部13は、予め表示部14に色表示させるための色情報を保有し、異なる色相間の階調、あるいは同一色系統の濃淡階調を生成できる。ここでの例としては、R(赤)−G(緑)−B(青)の各色間の階調を生成できるものとして説明する。
【0038】
表示制御部13は、操作部12から操作者が測定対象としたいパワーの範囲としてスケールレベルL(範囲としては、下限値Ls、上限値Lt)の情報を受けて、このスケールレベルLを例えば、予め記憶されている寸法のg等分の直線目盛りに割り振る。したがって、この直線の目盛りに、Ls、Ls+ΔL、Ls+2ΔL、・・・・・、Ls+(n−1)ΔL、Lt(ここで、ΔL=(Lt−Ls)/g)に相当するパワーが値付けされる。そして、表示制御部13は、例えば、Ltの目盛り位置をR(赤)の最大濃さ、中間の目盛り位置(Lt−Ls)/2をG(緑)の最大濃さ、Lsの目盛り位置をG(青)の最大濃さとするとともに、それらの間の色相間の階調データを生成する。
【0039】
なお、出願形式の都合上、
図2に示したスペクトログラム画面S1は、グレースケールで描かれている。
【0040】
表示制御部13は、目盛りに値付けされたパワーと目盛りに対応して生成された階調データとを対応させて、指定されたスケールレベルLの範囲内のスケールとして規定する。この場合、範囲内のスケールと合わせて、スケールレベルLを越える範囲のパワーとに対応する色表示として、範囲内のスケールに使用しなかった色を割り当てる。例えば、範囲内がR、G、Bとすれば下限値Lsを下回るパワーには薄紫色、上限値Ltを越えるパワーについては濃い桃色というように割り当てる。
【0041】
また、表示制御部13は、目盛りとパワーと対応付けされた階調とを対応させて、範囲内のスケールとして表示部14に表示させる。
【0042】
表示制御部13は、記憶部7から測定周波数fv、測定時間tv、及び測定周波数fvと測定時間tvで特定されるパワーの値を受けて、そのパワーの値と、規定したスケールとを比較し、そのパワーの値における階調を特定する。これを全測定周波数fvと全測定時間tvで特定される全パワーの値に例えばR、G、B階調の値付けを行う。なお、記憶部7から出力されるパワーの値が、下限値Lsを下回るパワーにはR、G、Bとは異なる薄紫色を割り当て、上限値Ltを越えるパワーについてもR、G、Bとは異なる濃い桃色を割り当てる。
【0043】
表示制御部13は、予めグラフ、例えば、縦軸を周波数、横軸を時間とする直交座標のグラフのフォーマットを記憶しておき、操作部12から設定された測定周波数fv、測定帯域ΔFを基に縦軸の縮尺を決定して割り付け、同様に測定時間tvで横軸の縮尺を決定して割り付けて、表示部14に表示させるとともに、グラフ上で測定周波数fvと測定時間で特定される座標位置に、スケーリングしたパワーの大きさに応じて階調表示する。
【0044】
図3は、
図2に示した画面内のスペクトログラム画面の画面例を示す。グラフの右側に、下限パワーLs=-100.00dBm、上限パワーLt=0.00dBmとし、その間を縦方向に10等分した直線目盛り上に階調表示がされている。これにより、操作者に、階調とパワーの大きさとの関係が認識できるようになっている。つまり、グラフとしては、縦軸の測定スパンが984.375MHz〜1.015625GHzとされ、横軸の全測定時間が100.00000msとされる座標上に、パワーの値が階調で表示されている。この
図3の例では、測定スパンの中に、一定の周波数帯域の大きさおよび一定のパワーを有する6本の信号B(また、
図6の例では信号Bの他、信号B1およびB2)が含まれている。なお、表示制御部13は、スペクトログラムの表示を時間ごとに更新して表示することができる。
【0045】
図4は、本実施形態に係る制御部11の構成を示すブロック図である。制御部11は、指定データ抽出部115と、解析処理部116とを含む。
【0046】
指定データ抽出部115は、表示部14が表示するスペクトログラム画面内で操作者により指定された任意の領域に対応する測定データである指定データを、前記受信部の元データ記憶部3(または記憶部7でもよい)から抽出して、これを解析処理部116に出力する。解析処理部116は、指定データ抽出部115で抽出された指定データの解析処理を行い、具体的には、例えば入力された指定データの信号の劣化の割合や規格値とのマッチングの程度等を測定する。
【0047】
<信号解析装置の動作>
次に、この信号解析装置100が、表示部14に
図3に示したスペクトログラム画面S1を含む画面を表示した以降の動作について説明する。
図5は、その動作を示すフローチャートである。
【0048】
表示制御部13は、表示部14にスペクトログラム画面を含む画面(
図2参照)を表示する(ステップ101)。例えば、
図6に示すように、スペクトログラム画面S1の表示状態で、操作者によるドラッグ等の操作により、このスペクトログラム画面S1内の任意の領域Aが指定された場合(ステップ102Yes)、制御部11は、次のように処理する。
【0049】
制御部11では、指定データ抽出部115が、操作者により指定された領域Aに対応する測定データである指定データ、ここでは信号B1のデータを、受信部10の元データ記憶部3(または記憶部7でもよい)から抽出し、これを解析処理部116に出力する(ステップ103)。
【0050】
指定データとは、つまり、元データ記憶部3(または記憶部7)に記憶された、スペクトログラム画面S1内での指定領域Aに対応する時間帯の、周波数およびパワーである。
【0051】
図6に示す例では、例えば上から2本目の連続的な信号と3本目の連続的な信号との間の帯域に、比較的、細い周波数スパン、低いパワー、および短い時間の成分を持つ信号B1、B2が発生している。操作者はそのうちの信号B1を含む領域Aを指定している。
【0052】
解析処理部116は、受けた指定データに基づき、所定の解析を行う(ステップ104)。解析処理部116には、公知の種々の解析アルゴリズムを適用することができ、ここではそれを限定しない。解析処理部116による処理の例として、上述したように、信号の劣化の割合や規格値とのマッチングの程度等を測定するものがある。
【0053】
解析処理部116による解析が完了すると、制御部11はその解析結果を表示部14に表示する(ステップ105)。
【0054】
<まとめ>
以上のように、操作者はスペクトログラム画面S1内の任意の位置を指定するだけで、指定データが受信部10から抽出され、例えばその指定データが次の処理である解析処理のために出力される。これにより、操作者による数値入力の手間や入力ミスの発生を防ぎ、直感的な操作が可能となる。
【0055】
本実施形態に係る信号解析装置100は、例えばリアルタイムの測定だけでなく、元データ記憶部3(または、指定データ格納部としての大容量の記憶装置等)に蓄積した測定データを、後で表示部14に再生することも可能である。すなわち、操作者は、操作部12を操作することにより、制御部11は、過去の測定データを表示部14に再生する。信号解析装置100は、操作者の操作に応じて、操作者が希望する日付、時間帯でその再生を一時停止した後、
図5に示した処理を実行することができる。これにより、例えば
図6に示したように一瞬だけ発生する信号をも逃さずに、スペクトログラム画面S1内で指定して解析することができる。
【0056】
もちろん、このように一瞬発生する信号だけでなく、スペクトログラム画面S1内の任意の領域、また、任意の時間帯に発生した信号を解析することができる。
【0057】
また、リアルタイムでの測定の場合も、例えば操作者の操作により画面の一時停止の後、信号解析装置100が
図5に示した処理を実行してもよい。
【0058】
<他のスペクトログラム画面の例>
図7A、Bは、他のスペクトログラム画面の例をそれぞれ模式的に示す。
図7Aに示すスペクトログラム画面S2は、ある周波数帯域幅を有する1本の信号B5を含む。例えばその周波数帯域幅内のある領域Aが操作者により指定された状態が示されている。上記でも説明したが、表示部14に表される測定周波数や測定時間の表示幅は、操作者による操作に応じて変更され得る。
【0059】
図7Bに示すスペクトログラム画面S3は、時間幅が短い多数の信号B3を含む。それらのうち、任意の1つの信号を含む領域Aが操作者により指定された状態が示されている。
【0060】
<信号解析装置の他の動作例>
図8は、上記信号解析装置100による他の動作例を示すフローチャートである。ステップ201、202は、上記ステップ101、102と同様の処理である。
【0061】
ステップ203では、制御部11は、指定された領域内に、所定の条件(第1の条件)として所定パワー以上の複数の信号(測定データ)が含まれるか否かを判定する。
【0062】
制御部11は、ステップ203でYes判定の場合、所定の条件(第2の条件)に条件に当てはまる信号(測定データ)が1つであるか否かを判定する(ステップ204)。それが1つである場合、指定データ抽出部115は、その1つの信号に対応する指定データを抽出して出力する(ステップ206)。
【0063】
ステップ204で、条件に当てはまる指定データが複数ある場合、制御部11は例えばエラーを表示する(ステップ205)。あるいは、エラー表示に限られず、指定データ抽出部115が所定の条件に当てはまる複数の指定データをすべて抽出してもよい。ステップ206の後は、
図5のステップ104、105等の処理が行われればよい。
【0064】
上述の所定の条件(第2の条件)とは、例えば「その信号が所定の時間幅内にあるか」、「その信号が指定された領域内の中心位置を含む領域にあるか」、あるいは、それらの「and」、「or」の組み合わせ等がある。
【0065】
例えば
図9に示すスペクトログラム画面S4内で、所定パワー以上の信号B4、B5が現れ、操作者は信号B5を含む領域を指定しようとする。この図に示す例では、指定領域Aの一部に信号B4が含まれているので、制御部11はステップ203でYes判定し、ステップ204以降の処理を実行する。そして、例えばその条件が「その信号が指定された領域内の中心位置を含む領域にあるか」である場合、信号B5はその条件を満たすので、指定データ抽出部115はその信号B5に対応する指定データを抽出して出力する。
【0066】
なお、信号解析装置100は、上記第1、第2の条件を操作者がカスタマイズ可能とするプログラムを備えていてもよい。
【0067】
信号解析装置100のさらに他の動作例として、指定された領域内に複数の測定データが含まれる場合、指定データ抽出部115は無条件でそれら複数の測定データをすべて抽出するようにしてもよい。例えば
図7Bに示したスペクトログラム画面S3内で、操作者により複数の測定データが指定領域内に含まれるように操作された場合、指定データ抽出部115は、それらにそれぞれ対応する複数の指定データを抽出することができる。これにより、操作者は1回の領域の指定により複数の測定データを選択することができ、操作性の向上に寄与する。
【0068】
[第2の実施形態]
<信号解析装置の構成>
図10は、本発明の第2の実施形態に係る信号解析装置における、制御部、およびデータの格納部の構成を示すブロック図である。これ以降の説明では、上記第1の実施形態に係る信号解析装置100が含む機能や動作についての同様な要素について同一の符号を付してその説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0069】
制御部11は、上記第1の実施形態と同様に指定データ抽出部115を有し、さらに、無線信号の変調システムを特定する特定部113と、その特定部113により特定された変調システムに対応する解析プログラムにより解析処理を実行する解析処理部117とを有する。また、この信号解析装置100は、複数のデータテーブル35aおよび複数の解析プログラム35bを格納する格納部35を備える。
【0070】
変調システム選出部111は、指定データ抽出部115により抽出された指定データに基づいて、格納部35に格納されたデータテーブル35aを検索する。
図11、12に、データテーブルの例をそれぞれ示す。これらのデータテーブルは、変調システムの種類ごとに、使用される周波数帯、変調システムの種類、使用される地域情報等のパラメータを互いに関連付けている。
【0071】
図11に示すデータテーブル(1)の変調システムは、LTE(Long Term Evolution)である。
図12に示すデータテーブル(2)の変調システムは、WCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)である。変調システムごとのデータテーブルはこれらの他にも多数ある。例えば、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)、無線LAN規格のIEEE 802.11、Bluetooth(登録商標)規格のIEEE 802.15.1等がある。
【0072】
格納部35は、複数の変調システムにそれぞれ対応する解析プログラム35bを格納する。すなわち、変調システムごとに解析アルゴリズムが異なる場合、このように変調システムごとに解析プログラム35bが用意される。
【0073】
変調システム選出部111は、抽出された指定データの無線信号が使用される地域情報を含むデータテーブルに対応する変調システムを推定し、可能性の高い順にいくつか(0または1以上)の変調システムをリストアップする。
【0074】
リスト作成部112は、変調システム選出部111によってリストアップされた変調システムに基づき、リストを作成し、これを表示制御部13に出力する。表示制御部13は、このリストを表示部14に表示する。
図13は、例えば
図2、3に示したスペクトログラム画面S1に、リスト作成部112により作成されたリスト表示領域58を重ねて表示した例を示す。この例に係るリスト表示領域58には複数の変調システムが示され、例えば対応する変調システムに該当する可能性が高い順に、上から示される。
【0075】
なお、表示制御部13は、リスト作成部112で作成されたリストをスペクトログラム画面S1外に表示してもよい。
【0076】
<信号解析装置の動作>
図14は、この第2の実施形態に係る信号解析装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
ステップ301〜303は、上記ステップ101〜103と同様の処理である。
【0078】
特定部113では、変調システム選出部111は、指定データ抽出部115により抽出された指定データに基づき、データテーブル35aを検索し、候補となる変調システムを可能性が高い順にリストアップする(ステップ304、305)。
【0079】
リスト作成部112は、変調システム選出部111によって、少なくとも1つの変調システムをリストアップできたことを条件に、
図13に示したようにリストを作成して、表示制御部13はこれらのリストをスペクトログラム画面S1に重ねて表示する(ステップ306、307)。
【0080】
リストが作成されると、制御部11は解析処理部117を動作させる。解析処理部117は、例えば、変調システム選出部111によって少なくとも1つの変調システムがリストアップされたことを条件に、選出された変調システムに対応する解析プログラムを、可能性が高い順に選択して格納部35から読み出す。解析処理部117は、所望の解析結果(シグナル・ノーマル)が得られるまで(解析プログラムを特定するまで)、リストアップされている全変調システムに対応する解析プログラムを順番に切り替えて、指定データについて所定の解析処理を繰り返し実行する(ステップ308、309)。
【0081】
制御部11は、所望の解析結果(シグナル・ノーマル)が得られたこと、もしくは、リストアップされている全変調システムに対応する各解析プログラムによる所定の解析処理を繰り返し実行し終えたことを条件に、解析結果を表示部14に表示する(ステップ310)。
【0082】
ステップ308、309において、選出された変調システムに対応する解析プログラムにより指定データに対する所定の解析処理が実行されたにもかかわらず、所望の解析結果(シグナル・ノーマル)が得られない場合(ステップ309Yes)、ステップ310で例えば「シグナル・アブノーマル」が表示される。
【0083】
この「シグナル・アブノーマル」が表示された場合、例えばリストにおける「Identify」(
図13参照)などの項目を操作者が選択することにより、制御部11は、格納部35に格納されている解析プログラム35bの全リストを表示し、解析処理を継続することができる。
【0084】
同様に、ステップ305の処理により変調システムを1つもリストアップできなかった場合(ステップ306No)、例えば操作者による「Identify」などの項目が、ユーザの操作によって選択されたことを条件に、制御部11は、格納部35に格納されている解析プログラムの全リストを表示する。また、制御部11は、所望の解析結果(シグナル・ノーマル)が得られるまで、表示されている全変調システムに対応する各解析プログラムを切り替えて、指定データについての所定の解析処理を繰り返し実行する(ステップ311)。
【0085】
こうして、解析処理部117の動作によって、所望の解析結果(シグナル・ノーマル)が得られたことを条件に(ステップ312のYes)、制御部11はその解析結果を表示部14に表示する(ステップ310)。
【0086】
以上のように、複数の変調システムの中から解析対象となる信号に対応する変調システムが自動的に特定されるので、操作者によるその特定作業を省略することができ、操作者の労力を軽減することができる。また、指定データの変調システムに対応する解析プログラムとして最適な解析プログラムが確実に選出される。
【0087】
[その他の実施形態]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0088】
上記第2の実施形態では、指定データに対応する可能性が高い順にその変調システムがリストアップされ、このリストが表示された。しかし、ステップ103または303の後、例えば
図15に示すように、制御部11は指定データ抽出部115による出力先として、変調システムに限られず、種々の機能を選択可能な選択項目59を表示してもよい。例えば
図15に示す例では、表示制御部13は、操作者が選択する対象となる選択項目59を表示部14に表示させる。種々の機能とは、例えば解析プログラムに限られず、例えば指定データのデータベースを構築する機能、その指定データの元の信号を再現する信号発生器の機能などである。
【0089】
上記各実施形態に係る信号解析装置は、RF信号を受信する受信部10を備えていた。しかし、信号解析装置は、DUT(Device Under Test)にケーブルで接続され、そのDUTからケーブルを介して信号を受信してもよい。