【課題】パターン化されたサーボセクタを有するパターン化磁気記録ディスクをナノインプリントするためマスタ型を作製するためのブロックコポリマーを用いる方法を提供する。
【解決手段】パターン化媒体垂直型磁気記録ディスク10は、ブロックコポリマーの方向性自己集合を用いて作製されたマスタ型からナノインプリントされる。ディスクは、個々のデータアイランド30のパターン化された同心円形データトラックを有し、また、パターン化されたデータトラックを横断して略径方向に延在するパターン化されたサーボセクタ120を有する。サーボパターンは、ストライプ横断方向においてトラックピッチと実質的に等しいストライプピッチを有する傾斜又は非径方向ストライプの山形パターンである。
前記基板上に第1のブロックコポリマーを含む層を形成するステップは、前記第1のブロックコポリマーの層を堆積させ、前記堆積させた第1のブロックコポリマーをアニーリングして、前記第1のブロックコポリマーの前記第1および第2の成分への相分離を生じさせるステップを含み、
前記基板上に第2のブロックコポリマーを含む層を形成するステップは、前記第2のブロックコポリマーの層を堆積させ、前記堆積させた第2のブロックコポリマーをアニーリングして、前記第2のブロックコポリマーの前記第1および第2の成分への相分離を生じさせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
同心リングの前記パターンおよび平行な非径方向バンドの前記パターンを形成するステップは、前記第1のブロックコポリマーの前記第1成分の前記径方向線上の前記保護層上に、同心リングおよび平行な非径方向バンドのレジストパターンを形成するステップを含み、
さらに、
前記第1のブロックコポリマーの前記第1の成分の前記径方向線の前記レジストにより保護されていない部分から前記保護層をエッチングするステップと、
前記第1のブロックコポリマーの前記第1の成分の前記径方向線の前記レジストにより保護されていない部分をエッチングするステップと、
前記レジストを除去し、前記第1のブロックコポリマーの第1の成分のピラーのパターンを残すステップと、
前記第1のブロックコポリマーの第1の成分の前記ピラーをエッチングマスクとして用いて前記基板をエッチングするステップと、
前記第1のブロックコポリマーの第1の成分の前記ピラーを除去し、基板材料のピラーのパターンを有する基板を残すステップとをさらに含む、請求項3に記載の方法。
前記基板上に環状ゾーンに編成された略径方向トレースのパターンを形成するステップは、前記トレースを複数の径方向に離間された環状ゾーンとして形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明が関するパターン化媒体ディスクドライブ100の上面図である。ドライブ100は、アクチュエータ130とパターン化磁気記録ディスク10をその中心13周りに回転させるためのスピンドルモータ(図示せず)とを支持するハウジングまたはベース112を有する。アクチュエータ130は、剛性アーム134を有するとともに矢印124により示すようにピボット132周りに回転するボイスコイルモータ(VCM)回転アクチュエータであってもよい。ヘッドサスペンションアセンブリは、一端がアクチュエータのアーム134の端部に取り付けられたサスペンション121と、サスペンション121の他端に取り付けられた空気軸受スライダ122などのヘッドキャリアとを含む。サスペンション121により、ヘッドキャリア122をディスク10の表面に非常に近接させて維持することが可能になる。スライダ122は、読み書きまたは記録ヘッド109を支持する。記録ヘッド109は、誘導書き込みヘッドと磁気抵抗読み取りヘッドとの組み合わせ(読み書きヘッドとも呼ばれる)であるのが典型的で、スライダ122の先端または端面上に配置される。関連付けられたスライダおよび記録ヘッドを有する1つのディスク表面のみを
図1に示しているが、スピンドルモータにより回転されるハブ上に積層された複数のディスクが存在し、各ディスクの各表面に別々のスライダおよび記録ヘッドが関連付けられるのが典型的である。
【0015】
パターン化磁気記録ディスク10は、ディスク基板11と基板11上の磁化可能な材料の個々のデータアイランド30とを含む。データアイランド30は、データを格納するための個々の磁気ビットとして機能する。個々のデータアイランド30の各々は、非磁性領域または空間により他のアイランドから隔てられた磁化アイランドである。「非磁性」とは、データアイランド間の空間が、誘電体などの非強磁性材料、または磁界が印加されていない状態で残留モーメントを実質的に有さない材料、または読み書きに悪影響を与えないようにアイランドから十分に遠い下方に凹設された溝またはトレンチ内の磁性材料で形成されることを意味する。また、データアイランド間の非磁性空間は、磁気記録層またはディスク基板における溝またはトラフなど磁性材料が存在しないことであってもよい。
【0016】
データアイランド30は、径方向に離間された略円形トラックに編成され、トラックは、環状バンドまたはゾーン151、152、153にグループ化されている。各トラックにおいて、データアイランド30は、固定バイト長のデータセクタ(例えば、512バイト+誤り訂正符号化(ECC)およびデータセクタヘッダ用の追加バイト)に編成されているのが典型的である。データセクタ数は、各ゾーンで異なる。データトラックが環状ゾーンにグループ化されていることにより、データアイランドの角度間隔、従ってデータレートが各ゾーンで異なるゾーン別記録が可能になる。
図1では、3つのゾーン151、152、153を図示し、各ゾーンについて代表的な同心データトラック161、162、163の一部のみを図示している。
図1では3ゾーンのみを示しているが、現代のディスクドライブは約20ゾーンを有するのが典型的である。また、各ゾーンには、略径方向に方向付けられた同期(シンク)マーク(ゾーン153における典型的なマーク173等)が存在する。各シンクマーク173は、角度間隔が各ゾーンで異なり、読み取りヘッドにより検出されることで書き込みヘッドをそのゾーンにおけるデータアイランドの特定の間隔に同期させることを可能にする、複数の周方向に離間されたマークであってもよい。シンクマークは、データセクタのセクタヘッダに配置してもよい。データの書き込みまたは読み取りが行われる物理的な場所は、ヘッド番号、トラック番号(複数のディスクが存在するときは「シリンダ」番号とも呼ばれる)、およびデータセクタ番号により識別される。
【0017】
ディスク10がその中心13周りに矢印20の方向に回転する際、アクチュエータ130の移動により、ヘッドキャリア122の先端上の読み書きヘッド109は、ディスク10上の異なるデータトラックおよびゾーンにアクセスすることができる。アクチュエータ130はピボット132周りに回動する回転アクチュエータであるため、ディスク10を横断する読み書きヘッド109の経路は、完璧な半径でなく弓状線135である。
【0018】
また、各データトラックは、ヘッド109を所望のデータトラックに移動させ、ヘッド109をデータトラック上に維持するため読み取りヘッドにより検出可能な位置決め情報を含む、複数の周方向または角度的に離間されたサーボセクタ120を含む。各トラックにおけるサーボセクタは、その他のトラックにおけるサーボセクタと周方向に位置合わせされ、径方向に方向付けられたサーボセクタ120により表されるように、トラックを横断して略径方向に延在している。サーボセクタ120は、ヘッド109の弓状経路135を略再現した弓形状を有する。サーボセクタ120は、典型的にはディスクの製造またはフォーマット中に、一度磁化されるディスク上の非データ領域であり、ディスクドライブの通常動作中に消去されることは意図していない。シンクマーク(シンクマーク173等)は、データセクタのセクタヘッダに配置してもよいが、代替としてサーボセクタ120に配置してもよい。
【0019】
図2は、本発明によるパターン化媒体垂直型磁気記録ディスク10の部分拡大上面図である。この部分は、データアイランド30を有するデータトラック162と、データトラック162を横断して略径方向に延在するサーボセクタ120とを有するゾーン152の一部である。データアイランド30は、ほぼ固定された周方向またはトラックに沿う間隔またはビットピッチ(BP)により離間されている。データトラック162は、ほぼ固定された径方向またはトラック横断間隔またはトラックピッチ(TP)により離間されている。パターン化媒体において、同心トラック162に編成された個々のデータアイランド30のパターンのビットアスペクト比(BAR)は、TP対BPの比である。これは、トラック横断方向におけるインチ当たりトラック(TPI)でのトラック密度に対するトラックに沿う方向におけるインチ当たりビット(BPI)での線形アイランド密度の比と同じである。アイランド30は、矩形状であるものとして図示したが、円形、略矩形、または略楕円形などの他の形状を有してもよい。また、アイランド30は、典型的な径方向線170a、170bにより示すように、ディスクの中心13(
図1)から延在する略径方向線に編成されている。
図2は少数のデータトラック162のみを有するディスク基板11の小部分のみを示しているため、アイランド30のパターンは、2組の垂直線として表されている。しかし、データトラック162は、ディスク10の中心13を中心とする同心リングであり、線170a、170bは、平行線でなくディスク10の中心13から延在する径方向線である。従って、内径(ID)側の径方向内側のトラック(トラック162a等)における線170a、170bにおける隣接アイランドについてディスクの中心13から測定した隣接アイランド間の角度間隔は、外径(OD)側の径方向外側のトラック(トラック162b等)における線170a、170bにおける隣接アイランドについての角度間隔と同じである。略径方向線170a、170bは、完璧に真直な径方向線であってもよいが、回転アクチュエータ上の読み書きヘッドの弓状経路135(
図1)を再現した円弧または弓形状の径方向線であるのが好ましい。かかる弓形状の径方向線により、ヘッドがデータトラックを横断して移動する際のデータアイランドの位相位置が一定になる。読み取りヘッドと書き込みヘッドとの間には、非常に小さい径方向のオフセットが存在するため、トラック上に書き込むために用いられる同期フィールド(
図1のゾーン163におけるフィールド173等)は、実際には異なるトラックから読み取られる。2つのトラック間でアイランドが同位相であれば(径方向線が弓形状である場合)、書き込みが大いに簡略化される。
【0020】
また、パターン化媒体ディスク10は、パターン化されたサーボセクタ120を含む。
図2に示す本発明によるパターン化媒体ディスクでは、サーボセクタ120の各々が、それぞれ周方向に隣接するフィールド120a、120bの平行な非径方向の磁化ストライプ180、190のV形パターンまたは逆V形パターン(山形パターンと呼ばれることもある)を含む。フィールド120aにおけるストライプ180は、データトラック162に対して鋭角θで一方向(
図2における右)に傾斜し、フィールド120bにおけるストライプ190は、データトラック162に対して鋭角、好ましくは同じ角度θで異なる方向(
図2における左)に傾斜している。ストライプ180、190は、好ましくはディスクの製作後にDC磁化されることにより、好ましくは同じ方向、すなわちディスク基板11の平面に対して垂直に向かうまたは離れるいずれかの方向に磁化されている。
【0021】
山形サーボパターンは、従来の非パターン化媒体を有する従来のディスクドライブ用途で周知である。読み取りヘッドが山形パターンの2つのフィールドの各々を通過する際、リードバック信号が正弦曲線を記録する。ヘッドの径方向位置が変化すると、一方の正弦曲線の位相が進み、他方の正弦曲線の位相が遅れる。従って、ヘッドの径方向位置は、2つの正弦リードバック信号間の位相差を測定することにより推定可能である。単一周波数高速フーリエ変換(FFT)法により、必要な位相推定値を生成可能であり、ホワイトノイズの存在下および信号が高密度な場合には近似最大尤度の推定値である。非正弦入力またはより一般的なノイズ現象に基づくより複雑な推定値により、より良好な性能を達成可能である。山形パターン周期の整数倍だけ異なる2つのヘッド位置については、位相測定結果が同じになるため、山形サーボパターンから測定された位相差からは、ヘッドの径方向位置の端数部分、すなわち山形パターンの1つの完全な径方向スパンの端数部分しか得られない。従って、山形サーボパターンを有する従来のサーボシステムでは、径方向ヘッド位置の整数部分、すなわち実際のトラック番号が、山形パターン前のサーボセクタの開始付近に配置されるのが典型的である、グレイ符号化されたトラック識別(ID)を復調することにより決定される。本発明において示すものなどのパターン化媒体のためのサーボシステムでは、山形サーボフィールド120a、120bにおけるストライプ180、190が、個々のアイランドセグメント(セグメント184a〜c等)で構成されるので、リードバック信号が、従来のサーボパターンからのリードバック信号と厳密に同じではない。
図2に示すものなどのパターン化媒体サーボパターンでは、リードバック信号が、周方向においてL
circだけ隔てられた磁化アイランドに応答し、同時に、非径方向ストライプ180、190の間隔および鋭角により変調される。その結果、上で説明した従来の山形サーボパターンからの正弦信号と同様の「包絡線」により振幅が変調されたリードバック信号となる。
【0022】
図2に示すものなどのパターン化媒体垂直型磁気記録ディスクでは、磁化可能な記録材料(データアイランド30および非径方向ストライプ180、190)における磁化方向が、記録層に対して垂直または面外の方向である。パターン化されたデータアイランドおよびストライプの要求される磁気隔離を生じさせるため、アイランドおよびストライプ間の領域の磁気モーメントを消失または実質的に減少させることで、これらの空間を本質的に非磁性化しなければならない。パターン化媒体は、いくつかの既知の手法のいずれかにより製作してもよい。パターン化媒体の一種では、データアイランドが、ディスク基板表面の上方に延在する隆起および離間したピラーであり、基板表面上におけるピラー間にトラフまたはトレンチが画定されている。この種のパターン化媒体を
図3Aの断面図に示し、かかる図は、いくつかのデータアイランド30のみを示している。この種のパターン化媒体では、ピラー31およびピラー間の領域またはトレンチ32の事前エッチングパターンを有する基板11を、マスタテンプレートまたは型を用いて比較的低コストの量産ナノインプリントプロセスで生産可能である。次いで、事前エッチングされた基板の表面全体にわたって磁気記録層材料を堆積させ、ピラー31の端部とピラー31間のトレンチとの両方を覆うことで、磁気記録層材料のデータアイランド30および磁気記録層材料のトレンチ32が得られる。記録層材料のトレンチ32は、アイランド30における記録層材料に対する読み書きに悪影響を与えないように読み書きヘッドから十分に遠く離間させてもよく、またはトレンチは、Siなどの材料で「ポイズニング」することにより非磁性化させてもよい。この種のパターン化媒体は、(非特許文献3)に記載されている。
【0023】
図3Bは、平坦化層33で平坦化した後の
図3Aのパターン化媒体ディスクを示す。層33は、硬化機能性ペルフルオロポリエステル(PFPE)ポリマーであってもよい。機能性PFPEは、好適な溶媒に機能性PFPEを溶解させた溶液にディスクを浸漬させ、次いで溶媒を蒸発させることにより塗布する。機能性PFPEの一種は、紫外線(UV)放射への露出により架橋可能なアクリレート官能末端基を有するFomblin(登録商標)Zタイプ((特許文献2)に記載のもの等)である。
図3Bは、硬化後に平坦化層33が収縮し、その結果、トレンチ32における層33にくぼみ「R」が生じ得ることを示している(Rは、アイランド30とトレンチ32との間における層33の表面トポグラフィにおける変化の尺度)。実際のくぼみの量は、DおよびWに強く依存し、Dは、トレンチ32とアイランド30の上部との間の距離であり、概ねピラー31の高さであり、Wは、概ねピラー31間の間隙幅である。従って、ディスクの異なる領域(データ領域とサーボ領域との間等)においてWが大幅に変化する場合、くぼみはより大きい問題となり、従ってディスクの平坦化はより困難になる。
【0024】
本発明において、マスタテンプレートにおけるサーボセクタ120の平行な非径方向ストライプ180、190を画定するフィーチャは、データトラック162と同じ製作ステップにおいて形成される。
図2を再び参照して、ストライプ180、190は、ストライプに対して垂直な方向において、データトラックピッチTPと実質的に同じストライプ間隔またはピッチを有する、すなわち、ストライプピッチはTP+/−5%TPと等しい。また、ストライプ190a、190bにより示すように、各ストライプは、データアイランドの径方向幅と実質的に等しいストライプ幅(SW)を有する。従って、値W(
図3A)は、データ領域とサーボ領域との両方において実質的に同じであり、これにより平坦化層のくぼみが最小化される。
【0025】
また、非径方向ストライプ180、190およびデータトラック162が同じステップにおいて製作されることにより、サーボパターンのデータトラックとの空間的位置決めが非常に精密に行われる。ストライプピッチTPを有するストライプのサーボパターンにより、BPと等しいピッチを有するマークを有するサーボパターンよりもはるかに良好な信号対雑音比(SNR)が得られる。これは、DC磁化されたマーク(すべてのアイランドが同じ磁化配向を有する)は、所与の読み取りヘッドについて、交流磁化アイランドよりも低いSNRを有するためである。DC磁化されたサーボ信号のSNRは、より長いサーボストライプのピッチ(TP等)を用いることにより向上可能である。
【0026】
図2に示すように、ストライプ180、190の山形パターンは、径方向において4データトラック毎に反復している。従って、山形パターンにより、4トラック周期のサーボ位置信号が形成される。ストライプ180、190の傾斜(角度θ)を変更することにより、異なる径方向周期を選定可能である。山形パターンの径方向周期は、データトラックの整数倍である必要はなく、データトラックに対する山形パターンの位置決めが既知の数学的関係により行われるものであればよい。山形パターンの径方向周期は、約2〜10データトラックであるのが好ましい。
【0027】
本発明において、ストライプ180、190の山形パターンからは、1つの山形パターン(
図2の例では4つのデータトラック)の径方向スパンにおけるヘッドの径方向位置の端数部分のみを判定可能である。山形パターンを有する従来のサーボシステムと同様に、典型的には読み取りヘッドがサーボセクタヘッダを読み取る際に時間的に山形パターンの直前に、別のサーボ書き込みステップにおいて、山形パターンの外側の領域にトラック番号(トラックID)の上位ビットを書き込む。
【0028】
図2を再び参照して、ストライプ180、190の各々は、非磁性空間により隔てられた磁化材料のセグメントを含む。例えば、ストライプ180aは、非磁性空間により隔てられた典型的な磁化セグメント182a、182b、182c、182dを含む。同様に、隣接するストライプ180bは、非磁性空間により隔てられた典型的な磁化セグメント184a、184b、184cを含む。セグメント化されたストライプ180、190は、本発明の方法により製作されたマスタ型からディスクをナノインプリントした結果である。
図2に示すように、異なるストライプにおける磁化セグメントは、径方向線(径方向線170a、170b等)の一部である。例えば、ストライプ180aにおけるセグメント182cおよびストライプ180bにおけるセグメント184aは、同じ径方向線の一部である。同様に、ストライプ180aにおけるセグメント182dおよびストライプ180bにおけるセグメント184bは、同じ径方向線の一部である。データトラックおよびサーボ領域120における径方向線を画定するフィーチャは、同じ製作プロセスにおいて形成されるため、それらは実質的に同じ周方向またはトラックに沿うピッチを有する。従って、トラックに沿う方向における磁化セグメントのピッチは、BPと実質的に等しい、すなわち、セグメントピッチはBP+/−5%BPと等しい。
【0029】
図2に示すディスクは、マスタテンプレートまたは型からナノインプリントすることにより製作される。超高密度パターン化媒体ディスクを達成するためのマスタテンプレートまたは型の作製は、困難で骨が折れるプロセスである。ガウスビーム回転ステージe−ビームライタを用いる電子ビーム(e−ビーム)リソグラフィの使用が、マスタ型を作製するための可能性がある方法であると考えられる。しかし、より高いエリアビット密度(1Tビット/in
2より大きい)とより高いBAR(1より大きい、好ましくは2以上)との両方を有するパターン化媒体ディスクを達成するためには、約50nmのトラックピッチおよび約12.5nmのアイランドピッチが要求され、かかる場合、BARは4となる。12.5nmのアイランドピッチを有するパターン化媒体ディスクをナノインプリント可能なマスタ型は、e−ビームリソグラフィの解像度が制限されているため製作が困難である。エリア密度をさらに増加させるには、より小さく高密度なフィーチャが要求される。例えば、BARが2であるとともにエリア密度が5Tb/in
2である場合は、トラックに沿うアイランドピッチが8nmであることが要求される。
【0030】
本発明は、e−ビームリソグラフィの解像度では達成困難なアイランドピッチ(BP)を有するとともに、山形サーボパターンがデータトラックに位置決めされたパターン化媒体ディスクを作製するためにナノインプリントプロセスにおいて用いられるマスタ型を作製するための方法に関する。マスタ型は、ディスクを直接ナノインプリントするために用いてもよいが、ディスクを直接ナノインプリントするために用いられるレプリカ型を作製するために用いられることが多い。本方法は、従来のまたはe−ビームリソグラフィを用いて、基板上に、略径方向トレースのパターンを形成し、トレースは、環状ゾーンまたはバンドにグループ化されている。パターン上に第1のブロックコポリマー材料を堆積させると、第1のブロックコポリマーがその成分に方向性自己集合し、略径方向トレースが略径方向線に増大する。径方向線は、径方向トレースよりも高い周方向密度を有するのが好ましい。
【0031】
次いで、第2のブロックコポリマーの方向性自己集合を用いて、略径方向線上に同心リングのパターンおよび非径方向ストライプのパターンを形成する。同心リングは、マスタ型により形成されるアイランドの径方向幅を画定するために用いられ、非径方向ストライプは、山形パターンを形成するストライプのストライプ横断幅(SW)を画定するために用いられる。エッチングおよびレジスト除去後、マスタ型は、用いた方法によってピラーまたは穴のいずれかのパターンを有している。ピラーまたは穴は、後にナノインプリントされるディスクにおいてデータアイランドを形成するために用いられる型の部分において、円形リングに編成されている。リングは、環状ゾーンにグループ化されている。ピラーまたは穴は、後にナノインプリントされるディスクにおいてサーボセクタを形成するために用いられる型の部分において、セグメント化された平行な非径方向ストライプに編成されている。同心リングの径方向間隔は、エッチングプロセス後にマスタ型が所望のBAR(1より大きく、好ましくは約2以上)を有するピラーまたは穴のアレイを有するように選択される。本方法によれば、マスタ型のピラーまたは穴の周方向密度を、単なるe−ビームリソグラフィで達成し得るものから少なくとも倍増させることができるため、後にナノインプリントされるパターン化媒体ディスクは、高いBAR(1より大きく、好ましくは2以上)と超高エリア密度との両方を有することが可能である。本方法によれば、非径方向ストライプを同心リングと精密に位置決めすることができ、また、リングおよび非径方向ストライプが第2のブロックコポリマーの方向性自己集合の同じステップにおいて製作されるため、非径方向ストライプのストライプピッチは、同心リングの径方向ピッチと実質的に同じにすることが可能である。
【0032】
周期的なナノメートル(nm)スケールのフィーチャを形成するため、自己集合ブロックコポリマーが提案されている。自己集合ブロックコポリマーは、互いに混和しない2つ以上の異なるポリマーブロック成分(例えば成分AおよびB)を含むのが典型的である。好適な条件下で、2つ以上の混和しないポリマーブロック成分は、ナノメートルスケールで2つ以上の異なる相またはミクロドメインに分離し、それにより、隔離されたナノサイズ構造単位の秩序立ったパターンを形成する。自己集合周期的パターンを形成するために使用可能な多くの種類のブロックコポリマーが存在する。成分AまたはBの一方を、他方を除去する必要なく選択的に除去可能であれば、秩序立てて編成された非除去成分の構造単位を形成可能である。自己集合ブロックコポリマーについて記載した無数の文献が存在し、それらには、(特許文献3);(非特許文献4);(非特許文献5);および(非特許文献6)などがある。
【0033】
自己集合周期的パターンを形成するために使用可能な好適なブロックコポリマーの具体例は、以下を含むがそれらに限定されない:ポリ(スチレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PS−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−イソプレン)(PEO−b−PI)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−ブタジエン)(PEO−b−PBD)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−スチレン)(PEO−b−PS)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−メチルメタクリレート)(PEO−b−PMMA)、ポリ(エチレンオキシド−ブロック−エチルエチレン)(PEO−b−PEE)、ポリ(スチレン−ブロック−ビニルピリジン)(PS−b−PVP)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン)(PS−b−PI)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン)(PS−b−PBD)、ポリ(スチレン−ブロック−フェロセニルジメチルシラン)(PS−b−PFS)、ポリ(ブタジエン−ブロック−ビニルピリジン)(PBD−b−PVP)、ポリ(イソプレン−ブロック−メチルメタクリレート)(PI−b−PMMA)、およびポリ(スチレン−ブロック−ジメチルシロキサン)(PS−b−PDMS)。
【0034】
ブロックコポリマーにより形成される具体的な自己集合周期的パターンは、第1および第2のポリマーブロック成分AおよびB間の分子容比により決定される。第1のポリマーブロック成分Aの分子容に対する第2のポリマーブロック成分Bの分子容の比が約80:20よりも小さく約60:40よりも大きいとき、ブロックコポリマーは、第2のポリマーブロック成分Bで構成されたマトリクスにおいて第1のポリマーブロック成分Aで構成された円筒の秩序立ったアレイを形成する。第2のポリマーブロック成分Bの分子容に対する第1のポリマーブロック成分Aの分子容の比が約60:40よりも小さく約40:60よりも大きいとき、ブロックコポリマーは、第1および第2のポリマーブロック成分AおよびBで構成された交互のラメラを形成する。本発明では、非除去成分がエッチングマスクとして用いられるので、交互のラメラおよび交互の円筒の秩序立ったアレイが対象物となる。
【0035】
周期的パターンにおける反復する構造単位の周期またはバルク周期(L
0)は、重合度Nおよびフローリ・ハギンズの相互作用パラメータχなどの固有ポリマー特性により決定される。L
0は重合度Nに対応し、重合度Nは分子量Mと相関する。このため、本発明のブロックコポリマーの総分子量を調整することにより、反復する構造単位のバルク周期(L
0)を選択可能である。
【0036】
自己集合周期的パターンを形成するため、まず、ブロックコポリマーを好適な溶媒系に溶解させてブロックコポリマー溶液を形成し、次いで、かかるブロックコポリマー溶液を表面に塗布して薄いブロックコポリマー層を形成し、続いて、薄いブロックコポリマー層をアニーリングして、ブロックコポリマーに含まれる、異なるポリマーブロック成分間で相分離を生じさせる。ブロックコポリマーの溶解およびブロックコポリマー溶液の形成に用いられる溶媒系は、以下を含むがそれらに限定されないいずれの好適な溶媒を含んでもよい:トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、およびアセトン。ブロックコポリマー溶液は、以下を含むがそれらに限定されないいずれの好適な手法によっても基板表面に塗布可能である:スピン塗布、被覆、噴霧、インク被覆、浸漬被覆など。好ましくは、ブロックコポリマー溶液を基板表面にスピン塗布することにより、薄いブロックコポリマー層を形成する。基板表面上に薄いブロックコポリマー層を塗布した後、基板全体をアニーリングして、ブロックコポリマーに含まれる、異なるブロック成分のミクロ相分離をもたらし、それにより、構造単位が反復する周期的パターンを形成する。
【0037】
上記手法におけるブロックコポリマーフィルムは、何らの方向付けも誘導もなく自己集合する。この無方向性自己集合は、欠陥を有するパターンを生じさせるので、パターン化媒体ディスクをナノインプリントするためのマスタ型上に径方向線の環状ゾーンを作製する場合など、長距離にわたる秩序付けを要求するアプリケーションには実用的でない。
【0038】
ブロックコポリマードメインの自己集合を誘導または方向付けするため、リソグラフィによりパターン化された表面が提案されている。1つのアプローチは、干渉リソグラフィを用いて、基板上で下層の化学的コントラストパターンが位置決めされたドメインの秩序付けを達成している。この手法により、(特許文献4)に記載されているように、基板上にラメラおよび円筒ドメインを形成してもよい。しかし、干渉リソグラフィを用いて径方向線の環状ゾーンを作製することはできない。(特許文献5)は、化学的コントラストパターンを形成してブロックコポリマーの自己集合を誘導することで非周期的パターンを形成するための手法を記載している。また、基板上に化学的コントラストパターンを形成してブロックコポリマーの自己集合を誘導するこれらのアプローチの両方において、下層の化学的コントラストパターンの周期は、ブロックコポリマーのバルク周期L
0と整合している。例えば、(特許文献5)では、L
0が約40nmであるので、自己集合を誘導するために用いられるリソグラフィによりパターン化された基板も、従来のまたはe−ビームリソグラフィにより達成可能な約40nmの周期を有している。しかし、約8nm〜30nmのL
0を有するブロックコポリマーのための化学的コントラストパターンを、従来のまたはe−ビームリソグラフィを用いて形成することは困難である。
【0039】
マスタ型を作製するための本発明の方法は、従来の光またはe−ビームリソグラフィを用いて、基板上に、略径方向トレースのパターンを形成し、トレースは、環状ゾーンまたはバンドにグループ化されている。パターン上にバルク周期L
0=L
radを有する第1のブロックコポリマー材料を堆積させると、ブロックコポリマーがその成分に方向性自己集合し、略径方向トレースが交互のブロックコポリマー成分の略径方向線に増大する。一方の成分の径方向線を除去すると、第1のブロックコポリマーの残りの成分の径方向線が残る。次いで、第1のブロックコポリマーの残りの成分の径方向線上に保護層を堆積させることで、後続処理中のそれらの移動を防止する。次いで、これらの径方向線上にバルク周期L
0=L
circを有する第2のブロックコポリマー材料を堆積させて、略周方向リングおよび非径方向ストライプを画定する。第2のブロックコポリマーの一方の成分の周方向リングおよび非径方向ストライプを除去すると、第2のブロックコポリマーの残りの成分の周方向リングおよび非径方向ストライプが残る。残りの第2のブロックコポリマー成分の周方向リングおよび非径方向ストライプならびに下層の残りの第1のブロックコポリマー成分の径方向線は、リソグラフィマスクとして機能するグリッドを形成する。このマスクにより基板をエッチングし、続いて、残りのブロックコポリマー材料を除去すると、環状ゾーンにグループ化された円形リングに編成された凹部または穴のパターンを有するとともに、セグメント化された非径方向ストライプのパターンを有するマスタ型が得られる。代替として、ブロックコポリマーグリッドの上部に好適な材料をメッキするかまたは堆積させ、続いて、残りのブロックコポリマー材料を除去することにより、環状ゾーンにグループ化された円形リングに編成された点またはピラーのパターンを有するとともに、セグメント化された非径方向ストライプのパターンを有するマスタ型が得られる。L
circ/L
radの比により、型から作製されるディスクのBARが画定される。
【0041】
図4Aに示すように、マスタ型基板は、単結晶Si、非晶質Si、シリカ、石英、窒化ケイ素、炭素、タンタル、モリブデン、クロム、アルミナ、およびサファイアなどを含むがそれらに限定されないいずれの好適な材料で形成してもよいベース200を備える。ベース200上に、ポリマーブロックの一方に対して他方に対するよりも強い親和性を示さない材料の表面改質層205(「中立層」と言う)を堆積させる。中立層は、機能性ポリマーブラシ、架橋可能ポリマー、機能性ポリマー「A」もしくは「B」または機能性ランダムコポリマー「A−r−B」、または「A」および「B」の混合物(「A」および「B」はブロックコポリマーの構成ブロック材料)とすることが可能であるが、それらに制限されない。官能基は、例えばヒドロキシル基であってもよい。本例では、中立層205が、用いられるブロックコポリマーよりも低分子量のヒドロキシル末端ポリスチレンブラシである。ブラシ材料は、ベース200上に約1〜10nm(6nm未満が好ましい)の厚さにスピン被覆される。中立層の目的は、表面エネルギーを適切に調整することにより、所望のドメイン配向(垂直なラメラまたは平行な円筒)を促進するとともに、密度を増大させるために適切な濡れ状態を提供することである。
【0042】
図4Bにおいて、ブラシ層205上にレジスト層を堆積させ、レジストの略径方向バー210にパターン化する。レジスト層は、ブラシ層205の一部を露出させる径方向空間211により隔てられた径方向バー210のパターンを形成するように、e−ビームによりパターン化され、現像される。e−ビームツールは、径方向空間211が、後に堆積される選択されたブロックコポリマーについての既知のバルク周期であるL
0の概ね整数倍(すなわちnL
0)である周方向間隔を有するように、レジスト層をパターン化する。
図4Bでは、nが2である。各径方向空間211の周方向幅は、概ね0.5L
0となるように選択される。
【0043】
図4Cにおいて、酸素プラズマ反応性イオンエッチング(O
2RIE)プロセスにより構造をエッチングし、径方向空間211におけるブラシ層205の部分を除去することで、ベース200の一部を露出させる。代替として、ブラシ層205の露出部分がコポリマーの一方に対して好ましい親和性を有するように、径方向空間211におけるブラシ層205の露出部分の化学構造を(酸素プラズマエッチング、または反応性イオンエッチング、中性原子(Ar等)もしくは分子切削、イオン衝撃、および光分解などの他のプロセスにより)化学的に変質させることが可能である。上面図である
図4Dにおいて、レジスト210を除去すると、基板200上に、ベース材料(または化学的に変質したブラシ材料)の略径方向トレース200により隔てられたポリマーブラシ材料の略径方向バー205のパターンが残る。このパターンにおいて、略径方向トレース200は、約0.5L
0の周方向幅および2L
0の周方向ピッチを有する。
図4Dはマスタ型の非常に小さい部分のみを示すため、トレース200は平行なトレースとして表されている。しかし、トレース200は、
図4Dに示すように略径方向に編成されている。トレース200は、完璧に真直な径方向トレースであってもよいが、回転アクチュエータ上の読み書きヘッドの弓状経路を再現した円弧または弓形状の径方向トレースであるのが好ましい。
【0044】
次に、
図4Eにおいて、ブラシ材料の径方向バー205と径方向空間211におけるベース材料(または化学的に変質したブラシ材料)の径方向トレース200との上に、第1のブロックコポリマー材料の層220を堆積させる。好ましい第1のブロックコポリマー材料は、約5nm〜30nmのL
0=L
radを有するジブロックコポリマーのポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート(PS−b−PMMA)であり、スピン被覆により約0.5L
rad〜3L
radの厚さに堆積させる。
【0045】
図4Fにおいて、第1のブロックコポリマー層は、例えば摂氏約200度に概ね60分間加熱することによりアニーリングされており、ブロックコポリマーに含まれる、異なる成分間で相分離が生じている。本例において、B成分(PMMA)は、ベース200の表面または化学的に変質したブラシ205の極性基に対して親和性を有するので、径方向トレース200の上部に略径方向線215を形成する。トレース200の周方向幅は概ね0.5L
radであるため、A成分(PS)は、ポリマーブラシ材料の径方向バー205上で隣接する径方向線212を形成する。AおよびB成分の自己集合の結果、B成分も、ポリマーブラシ材料の各径方向バー205の中心上で略径方向線215を形成する。このように、略径方向トレース200(または化学的に変質したブラシ)により、PSおよびPMMA成分の自己集合が誘導され、
図4Fに示すように構造中に交互の径方向線212、215が形成される。AおよびB成分は、L
radの周期を有する平行線に自己集合する傾向があるが、径方向トレース200の基板パターンにより、交互の線212、215が径方向線として形成されるように誘導され、これは、全径方向長にわたってL
radを一定にすることはできないことを意味している。しかし、L
radからの変動が概ね10パーセントを超えなければ、交互の径方向線212、215のパターンは大きな欠陥なく完成させることが可能である。従って、これを達成するため、ゾーンIDにおける径方向トレース200の周方向間隔は、約0.9nL
rad以上であるべきであり、ゾーンODにおける径方向トレース200の周方向間隔は、約1.1nL
rad以下であるべきである。
【0046】
次に、
図4Gにおいて、ウェットエッチング(酢酸、IPA、または他の選択溶媒)またはドライエッチングプロセス(O
2RIE)によりB成分(PMMA)を選択的に除去すると、A成分(PS)の略径方向線212が残る。
図4Hは、
図4Gの上面図であり、周方向間隔L
radを有するA成分の略径方向線212を示している。
図4Hにおいて、径方向線212の周方向密度は、
図4Dにおける径方向トレース200の周方向密度から倍増している。層205からのいずれの残留材料も、O
2反応性イオンエッチング(RIE)プロセスなどのドライエッチングプロセスにより除去される。
【0047】
径方向線212は、
図4Hに示すように形成された後、マスタ型によりナノインプリントされるパターン化媒体ディスク上のトラックに対応する周方向セグメントまたはリングに切断される。本方法のこの部分の第1のステップを
図4Iの側断面図に示し、かかる図において、
図4Hの構造上に保護層206を堆積させる。保護層206は、概ね1〜2nmの厚さにスパッタ堆積させたSi、SiO
2、アルミナ(Al
2O
3)、または同様の材料であってもよい。保護層206の目的は、後続処理中における径方向線212の移動および/または溶解を防止することである。径方向線212は、距離L
radだけ周方向に離間されている(L
radは第1のブロックコポリマー材料のバルク周期の付近である)。
【0048】
図4Jにおいて、保護層206上に、中立層205と同様の表面改質または中立層230を塗布する。次に、
図4Kにおいて、表面改質層230上にe−ビームレジストフィルム317を塗布し、周方向リング313および非径方向バンド353にパターン化する。レジスト層317は、同心境界領域307により隔てられた周方向リング313および非径方向バー357により隔てられた非径方向バンド353のパターンを形成するように、e−ビームによりパターン化され、現像される。同心境界領域307は、ナノインプリントされるパターン化媒体ディスクのトラック162(
図2)間の境界に対応し、非径方向バー357は、ナノインプリントされるパターン化媒体ディスクのサーボパターンを構成する非径方向ストライプ180、190(
図2)間の境界に対応する。同心領域307および非径方向バー357により、表面改質層230で覆われた、交互の基板200の部分(層206により被覆されている)と先に形成された径方向線212の部分とが露出する。e−ビームライタにより、同心領域307および非径方向バー357が距離nL
circだけ離間されるようにレジスト層317をパターン化する(nは整数であり、L
circは後に堆積される第2のブロックコポリマー材料のバルク周期である)。
図4Kでは、n=2であるので、同心領域307の径方向幅は0.5L
circであり、非径方向バー357のバーに対して垂直な方向における幅は0.5L
circである。また、本例では、
図4Kに示すように、L
circは2L
radであるように選定される。
【0049】
図4Lにおいて、露出部分(領域307およびバー357)を、酸素プラズマエッチング(または反応性イオンエッチング、中性原子もしくは分子切削、イオン衝撃、および光分解などの他のプロセス)によりエッチングするかまたは化学的に変質させることで、領域307およびバー357においてエッチングまたは変質層230’により表すように、表面改質層230を除去するかまたはその組成を化学的に変質させる。
図4Mにおいて、好適な溶媒の使用によりe−ビームレジストを除去すると、表面改質層230で覆われた交互の径方向線200および212の周方向リング313および非径方向バンド353と、変質層230’で覆われた交互の基板200の一部および先に形成された径方向線212の一部の同心領域307および非径方向バー357とが残る。
【0050】
図4Nにおいて、ブラシ材料230で覆われた径方向線212と、変質ブラシ層230’で覆われた同心境界領域307および非径方向バー357との上に、第2のブロックコポリマー材料を堆積させる。好ましい第2のブロックコポリマー材料も、ジブロックコポリマーのポリスチレン−ブロック−ポリメチルメタクリレート(PS−b−PMMA)であってもよい。ブロックコポリマーにおける特徴的バルク周期L
0は、その重合度N、すなわちポリマー鎖長における構成モノマー数により決定される。異なるL
0値を有するブロックコポリマーは、適切な分子量を選択することにより選定可能である。例えば、Mw=46Kg/molの総分子量を有する対称PS−b−PMMAは、概ね32nmのL
0を示すが、Mw=36Kg/molであるものは、概ね27nmのL
0を示す。他のL
0値が既知であり、(非特許文献7)に記載されている。第1のブロックコポリマーについてのバルク周期L
0はL
radに等しく、第2のブロックコポリマー材料についてのバルク周期L
0はL
circに等しく、L
radおよびL
circは、所望のエリア密度およびビットアスペクト比(BAR)により選定される。概ね2のBARについては、
図4I〜
図4Nにおける例に示すように、L
circ=2L
radである。
図4Nにおいて、第2のブロックコポリマー層はアニーリングされており、ブロックコポリマーに含まれる、異なる成分間で相分離が生じている。本例において、B成分(PMMA)は、境界領域307および非径方向バー357における化学的に変質したブラシ230’に対して親和性を有するので、略周方向リング318および非径方向ストライプ358を形成する。領域307の径方向幅は概ね0.5L
0であり、非径方向バーの幅は概ね0.5L
0であるため、A成分(PS)は、周方向リング319および非径方向ストライプ359を形成する。第2のブロックコポリマーのAおよびB成分の自己集合の結果、B成分も、A成分のリング319の間に径方向間隔L
circを有する略周方向リング318を形成し、A成分の非径方向ストライプ359の間に間隔L
circを有する非径方向ストライプ358を形成する。
【0051】
図4Oにおいて、(非特許文献8)に記載されているように、例えば紫外線(UV)放射を使用し、続いて、選択溶媒中ですすぐことにより、B成分(PMMA)を選択的に除去する。次いで、残りの表面改質層230を除去すると、交互の径方向線212(第1のブロックコポリマーのA成分)および200(基板)の一部の周方向リング318および非径方向ストライプ358が残る。結果的に得られる
図4Oの構造は、第2のブロックコポリマーのA成分(PS)の周方向リング318および非径方向ストライプ358ならびに下層の第1のブロックコポリマーのA成分(PS)の径方向線212のグリッドである。このグリッドにより、リング318における基板材料(材料206で覆われている)の略矩形領域200と非径方向ストライプ358における基板材料(材料206で覆われている)の略平行四辺形領域200とが画定され、露出している。径方向線212の周方向ピッチは、第1のブロックコポリマーフィルムの周期により画定され、リング319の径方向ピッチおよびストライプ359のストライプピッチは、第2のブロックコポリマーの周期により画定される。PS材料の径方向線212と周方向リング319および非径方向ストライプ359との両方がブロックコポリマーの方向性自己集合により画定されるこの方法では、製作プロセスの順序を反転させてもよい、すなわち、まず周方向リング319および非径方向ストライプ359を画定し、続いて、径方向線212を集合させ、下層の周方向リング319および非径方向ストライプ359の上方に配置させてもよい。
【0052】
次いで、
図4Pにおいて、交差する周方向リング319、非径方向ストライプ359、および径方向線212のグリッドをエッチングマスクとして用いて、ドライエッチングプロセスを用いて基板200(基板200上に残るいずれの材料206の部分も含む)をエッチングし、凹部または穴229を形成する。次いで、周方向リング319、非径方向ストライプ359、および下層の径方向線212のPS材料をO
2RIEプロセスにより除去すると、基板200に穴229が残る。これにより、ナノインプリントされるパターン化媒体ディスクの同心トラックに対応する周方向セグメント323と、ナノインプリントされるディスクの山形サーボパターンのストライプに対応する非径方向セグメント363とに編成された穴229を有する
図4Pに示す構造が残る。結果的に得られるディスクは、L
radの直線またはトラックに沿うビットピッチおよび約L
circのトラックピッチを有する。
図4Pの例において、約2のBARについては、L
circ=2L
radである。当初ベース200の基板であった
図4Pの構造は、エッチングされ、基板材料200の元の表面の下方に穴229のパターンを画定している。
図4Pの構造は、穴229がディスクをナノインプリントするためのトポグラフィックパターンとして機能するマスタ型として機能することが可能である。代替として、交差する周方向リング319、非径方向ストライプ359、および径方向線212のグリッドは、好適な材料(例えばCr、Ta、またはMo)を堆積させるかまたはメッキした後、残りのポリマーのグリッドを除去し、メッキした材料をエッチングマスクとして用いてピラーの構造(すなわち
図4Pの反転トーン)を形成することにより、リフトオフマスクとして用いることが可能である。
【0053】
上記の一般的方法において、マスタテンプレートを製作するためのリソグラフィマスクは、使用されたブロックコポリマーの残りのブロックにより作製された、交差する周方向リング319、非径方向ストライプ359、および径方向線212のグリッドをリソグラフィマスクとして用いることにより画定される。ブロックコポリマーのパターンを下記のようにメッキされたグリッドに転写することにより、同様の実施形態を実現可能である。
図4GにおいてブロックBを除去して略径方向線212を形成するおよびブロックAを残した後、上部にメッキ材料(約5nmのCr、Ta、またはMo)を堆積させ、続いて、線212における残りのブロックAをウェットまたはドライプロセスにより除去すると、露出した基板200の略径方向ストライプと交互になったメッキ材料の略径方向ストライプが得られる。次いで、
図4Jにおけるように、メッキされた径方向ストライプおよび露出した基板200の上部に、表面改質層230を堆積させる。前の手順と同様に、第2のブロックコポリマーによる周方向ストライプの製作を行う。
図4Oにおけるように第2のブロックコポリマー層のブロックBを除去した後、第2のメッキフィルム(5nmのCr、Ta、またはMo)を堆積させ、続いて、残りのブロックAをドライまたはウェット除去すると、メッキ材料で作製された交差する周方向リング319、非径方向ストライプ359、および径方向線212のグリッドが残る。次いで、この新たなメッキグリッドをRIE用エッチングマスクとして用いて、
図4Pにおけるようにテンプレートに穴をエッチングする。代替として、上記ステップの各々においてメッキ材料を堆積させる代わりに、エッチングプロセスを用いて、第1のブロックコポリマーフィルムを用いて略平行線をエッチングするとともに第2のブロックコポリマーフィルムの略周方向線および非径方向ストライプをエッチング可能である。その結果、要素229が突出するピラーである、
図4Pにおけるものの反転トーンを有するテンプレートが得られる。
【0054】
上記の方法において、2つのブロックコポリマー成分は、例えば
図4Fにおける交互の径方向線212、215により示すように、交互のラメラに自己集合するものとして説明している。AおよびB成分(PSおよびPMMA)が交互のラメラを形成するため、A対B成分の分子量比は、約40:60〜60:40、好ましくは50:50付近であるべきである。しかし、A成分(PS)がB成分(PMMA)のマトリクス内で径方向に位置合わせされた円筒を形成する場合も、本発明の範囲内である。B成分の材料の交互の径方向線215内でA成分の円筒が径方向線212を形成する、この種の構造を達成するため、成分Aに対する成分Bの分子量比は、約60:40より大きく約80:20未満、好ましくは70:30付近であるべきである。
【0055】
図2を再び参照して、
図4A〜
図4Pに関して上で説明した方法によれば、データアイランド30の径方向幅と実質的に等しいストライプ幅SWが得られる。比SW/TP(ストライプのデューティサイクル)およびデータアイランドの径方向幅対TPの比(データトラックのデューティサイクル)は、ストライプ190a、190bにより示すように、実質的に同じ、すなわち約2/3(67%)であるものとして説明している。モデリングによれば、データトラックのSNRおよび誤り率を最良にするには、データトラックのデューティサイクルを50%より大きく(好ましくは約60〜80%)すべきであることが示唆されている。しかし、山形パターンについては、ストライプのデューティサイクルが約50%である場合に最良のSNRが生じる。従って、データトラックおよびストライプについて異なるデューティサイクルを有することが望ましいかもしれない。従って、データアイランドは、ストライプのストライプ横断幅よりも大きいトラック横断幅を有してもよいが、TPおよびストライプピッチは、実質的に等しくてもよい。ラメラブロックコポリマーは、一般に、例えば
図4Oにおいてリング318、319およびストライプ358、359により示すように、アニーリング後および一方のコポリマー成分の除去後、デューティサイクルが50%付近のパターンを形成する傾向がある。しかし、マスタ型の2つの領域(データトラック領域および山形パターン領域)への後続処理ステップの適用を異ならせることにより、異なるデューティサイクルを達成可能である。例えば、山形パターン(
図4Oにおけるストライプ358、359)をフォトレジストにより一時的にマスキングし、データトラック領域(
図4Oにおけるリング318、319)に等方性エッチングを行えば、残りのブロックコポリマー材料が腐食し、データトラックのデューティサイクルが増加する結果となる。また、方向性堆積を用いることで、他方の領域をマスキングする必要なく、一方の領域のデューティサイクルを選択的に変更可能である。
【0056】
図2を再び参照して、ストライプ180、190の各々は、非磁性空間により隔てられた磁化材料のセグメントを含む。例えば、ストライプ180aは、非磁性空間により隔てられた典型的な磁化セグメント182a、182b、182c、182dを含む。同様に、隣接するストライプ180bは、非磁性空間により隔てられた典型的な磁化セグメント184a、184b、184cを含む。セグメント化されたストライプ180、190は、
図4A〜
図4Oに関して上で説明した方法により製作されたマスタ型からディスクをナノインプリントした結果であり、サーボ領域120における磁化セグメントにおける結果は、データトラック領域における径方向線(線170a、170b等)に対して略平行な径方向線の部分である。しかし、磁化セグメントがストライプ180、190に対して垂直な非径方向線のセグメントであるように、マスタ型を製作可能である。これにより、ストライプからの信号に対する磁化セグメント間の非磁性空間の影響が最小化される、という利益が得られるかもしれない。これは、第1のブロックコポリマー材料の堆積前に、データトラック領域におけるポリマーブラシ材料の径方向バー205およびベース材料の径方向トレース200を示す
図4Dの構造に至る製作ステップ中に達成可能である。
図4Bにおいて、山形領域におけるレジスト210を、山形パターンを構成する非径方向ストライプの所望の方向に対して垂直な非径方向線を形成するようにパターン化することで、第1のブロックコポリマーの堆積およびアニーリングならびに第1のブロックコポリマーの第1の成分を除去後、山形領域において
図4Hに示すデータトラック領域における径方向線212と同様の非径方向線が得られる。
【0057】
また、ストライプ180、190は、セグメントおよび非磁性空間を有さない連続的な磁化ストライプであるように形成することも可能である。しかし、このためには、マスタ型の製作中に1つ以上のリソグラフィステップの追加が要求される。第1のブロックコポリマーの堆積およびアニーリングならびに第1のブロックコポリマーの第1の成分の除去後、サーボ領域における径方向線212(
図4H)をエッチングにより除去するかまたは覆うことで、サーボ領域における最終的なパターンにおいてそれらの影響を排除可能である。
【0058】
本発明を好ましい実施形態を参照して特に図示し、説明したが、本発明の要旨および範囲を逸脱することなく形態および詳細における様々な変更を行ってもよいことが当業者には理解されよう。そのため、開示された発明は、例示的なものにすぎず、添付の特許請求の範囲において特定される範囲にのみ限定されるものと考えられるべきである。