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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-144041(P2015-144041A)
(43)【公開日】2015年8月6日
(54)【発明の名称】投光照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150710BHJP
   F21V 15/02 20060101ALI20150710BHJP
   F21V 29/00 20150101ALI20150710BHJP
   F21W 131/10 20060101ALN20150710BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150710BHJP
【FI】
   F21S2/00 371
   F21S2/00 375
   F21S2/00 320
   F21S2/00 330
   F21S2/00 612
   F21V15/02
   F21V29/00 110
   F21V29/00 113
   F21W131:10
   F21Y101:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-16317(P2014-16317)
(22)【出願日】2014年1月31日
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【弁理士】
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100123733
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 大樹
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100170346
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 望
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 航也
(72)【発明者】
【氏名】野口 武
【テーマコード(参考)】
3K014
3K243
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014LA01
3K014LB03
3K014LB04
3K243AA01
3K243AC04
3K243AC06
3K243BA08
3K243BA09
3K243BC09
3K243BC16
3K243CC06
3K243MA01
(57)【要約】
【課題】飛来物や浮遊物から放熱器を保護することができる投光照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る投光照明装置100は、筐体10と、光学ユニット20と、放熱器5と、ガード部材7とを具備する。筐体10は、第1の面111と、第2の面112とを有する。光学ユニット20は、第1の面111に配置され、複数の発光素子を有する。放熱器5は、第2の面112に配置される。ガード部材7は、放熱器5を収容する内部空間と、上記内部空間を外気と連通させる通孔とを有し、第2の面112に配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、第2の面とを有する筐体と、
前記第1の面に配置され、複数の発光素子を有する光学ユニットと、
前記第2の面に配置された放熱器と、
前記放熱器を収容する内部空間と、前記内部空間を外気と連通させる通孔とを有する、前記第2の面に配置されたガード部材と
を具備する投光照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投光照明装置であって、
前記光学ユニットへ電力を供給するように構成された端子ユニットをさらに具備し、
前記ガード部材は、前記第2の面と前記端子ユニットとの間に配置される
投光照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投光照明装置であって、
前記ガード部材は、前記筐体に固定される側周面と、前記側周面に連設され前記端子ユニットに対向する背面をさらに有し、
前記端子ユニットは、前記内部空間および前記背面を貫通し前記第2の面と接続される連結パイプをさらに有する
投光照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載の投光照明装置であって、
前記筐体は、前記連結パイプの内部と連通する貫通孔をさらに有し、
前記光学ユニットは、前記貫通孔および前記連結パイプを介して前記端子ユニットに接続される配線ケーブルをさらに有する
投光照明装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の投光照明装置であって、
前記ガード部材は、パンチメタルで構成される
投光照明装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の投光照明装置であって、
前記光学ユニットは、複数の発光デバイスの集合体で構成され、
前記複数の発光デバイスは、
前記第1の面内に配置された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子各々と対向する頂部と、光出射面と、前記頂部と前記光出射面との間に設けられ前記頂部の軸心まわりの回転体形状を有する側周面とをそれぞれ含む複数のレンズ部を有し、透光性材料の成形体で構成されたレンズ基板と
をそれぞれ有する
投光照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の投光照明装置であって、
前記光学ユニットは、前記複数の発光デバイスによって、前記第1の面内において周方向に等分割され、
前記複数の発光デバイスは、それぞれ多角形状を有する
投光照明装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の投光照明装置であって、
前記筐体および前記ガード部材は、それぞれ多角形状を有する
投光照明装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の投光照明装置であって、
前記複数の発光素子は、複数のLEDを含む
投光照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明塔に設置される投光照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、野球場、サッカー場、陸上競技場等の照明には、複数台の投光器で構成された照明塔が用いられている。投光器の光源には、メタルハライドランプ等の放電ランプが広く用いられているが、近年、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を光源に用いた照明装置が知られている。例えば特許文献1には、筐体と、筐体の前面に配置された複数の発光素子(LED)と、筐体の背面に設けられた板状の放熱フィンとを備えた照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−243033公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投光器は、光源からの発熱から機器を保護するための放熱器を備える。しかしながら照明塔等の屋外あるいは高所に設置される投光器においては、飛来物や浮遊物との接触による放熱器の損傷が問題となる。例えば、屋外に設置される照明塔においては、強風時、飛来物との衝突により放熱器が損傷するおそれがある。また野球場等の照明塔においては、イベントなどで使用された風船が放熱器との接触により溶解し、その溶解物が放熱部の表面に付着したまま残存することで、所期の放熱特性が得られなくなるおそれがある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、飛来物や浮遊物から放熱器を保護することができる投光照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る投光照明装置は、筐体と、光学ユニットと、放熱器と、ガード部材とを具備する。
上記筐体は、第1の面と、第2の面とを有する。
上記光学ユニットは、前記第1の面に配置され、複数の発光素子を有する。
上記放熱器は、上記第2の面に配置される。
上記ガード部材は、上記放熱器を収容する内部空間と、上記内部空間を外気と連通させる通孔とを有し、上記第2の面に配置される。
【0007】
上記投光照明装置において、放熱器は、ガード部材の内部に配置されているため、飛来物や浮遊物との衝突あるいは接触から効果的に保護される。また、ガード部材には通孔が設けられているため、当該通孔を介して放熱器を外気と連通させることができる。したがって上記投光照明装置によれば、所期の放熱特性を長期にわたり維持でき、光学ユニットの安定した発光動作を確保することができる。
【0008】
上記投光照明装置は、端子ユニットをさらに具備してもよい。上記端子ユニットは、上記光学ユニットへ電力を供給するように構成される。上記ガード部材は、上記第2の面と上記端子ユニットとの間に配置されてもよい。
これにより、端子ユニットと商用電源との接続がガード部材で阻害されることを防止することができる。
【0009】
上記ガード部材は、上記筐体に固定される側周面と、上記側周面に連設され前記端子ユニットに対向する背面をさらに有してもよい。上記端子ユニットは、上記内部空間および上記背面を貫通し上記第2の面と接続される連結パイプをさらに有してもよい。
この構成によれば、ガード部材の背面に連結パイプが貫通しているため、ガード部材が筐体から外れた場合においても、当該連結パイプによって筐体からのガード部材の脱落が阻止される。
【0010】
上記筐体は、上記連結パイプの内部と連通する貫通孔をさらに有してもよい。上記光学ユニットは、上記貫通孔および上記連結パイプを介して上記端子ユニットに接続される配線ケーブルをさらに有してもよい。
これにより光学ユニットの配光特性を損なうことなく、各発光素子と端子ユニットとの電気的接続を実現することができる。
【0011】
上記ガード部材は、通孔を有する構造体であれば特に限定されず、例えば、パンチメタルで構成される。これにより、ガード部材として要求される必要な強度が確保される。
【0012】
上記光学ユニットは、複数の発光デバイスの集合体で構成されてもよい。上記複数の発光デバイスは、例えば、複数の発光素子と、レンズ基板とをそれぞれ有する。
上記複数の発光素子は、上記第1の面内に配置される。
上記レンズ基板は、頂部と、光出射面と、側周面とをそれぞれ含む複数のレンズ部を有する。上記頂部は、上記複数のLED各々と対向する。上記側周面は、上記頂部と上記光出射面との間に設けられ、上記頂部の軸心まわりの回転体形状を有する。上記レンズ基板は、透光性材料の成形体で構成される。
【0013】
上記光学ユニットは、上記複数の発光デバイスによって、上記第1の面内において周方向に等分割されてもよい。この場合、上記複数の発光デバイスは、それぞれ多角形状を有する。
これにより複数の発光デバイスを効率よく集積化することが可能となる。
【0014】
上記筐体および上記ガード部材は、それぞれ多角形状を有してもよい。
これにより当該投光照明装置を複数個、上下左右方向に効率よく配列することが可能となる。
【0015】
上記複数の発光素子は、典型的には、複数のLEDで構成される。これ以外にも、有機EL素子や無機EL素子等で上記発光素子が構成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、飛来物や浮遊物から放熱器を保護することができ、所期の放熱特性を長期にわたって維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る投光照明装置の全体を示す斜視図である。
図2】上記投光照明装置の正面図である。
図3】上記投光照明装置の側面図である。
図4】上記投光照明装置の上面図である。
図5】上記投光照明装置の背面図である。
図6】上記投光照明装置の要部の分解斜視図である。
図7図2におけるA−A線断面図である。
図8】上記投光照明装置における光学ユニットの平面図である。
図9】上記光学ユニットにおける発光デバイスの分解斜視図である。
図10】上記発光デバイスにおけるレンズ基板を示す図であり、Aは正面図、Bは一方向から見た側面図、Cは他の方向から見た側面図である。
図11】上記レンズ基板におけるレンズ部を示す図であり、Aは概略斜視図、Bは概略断面図、Cはレンズ部を透過する光線追跡図である。
図12】上記投光照明装置におけるガード部材の構成を示す図であり、Aは斜視図、Bは背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1図5は、本発明の一実施形態に係る投光照明装置の全体を示しており、図1は斜視図、図2は正面図、図3は右側面図、図4は上面図、図5は背面図である。また、図6は上記投光照明装置の要部の分解斜視図、図7は、図2におけるA−A線断面図である。各図においてX軸、Y軸およびZ軸は相互に直交する3軸方向を示し、X軸は左右方向、Y軸は前後方向、Z軸は高さ方向にそれぞれ対応する。
【0020】
[投光照明装置の全体構成]
本実施形態の投光照明装置100は、筐体10と、光学ユニット20と、放熱器5と、端子ユニット6と、ガード部材7と、ベース9とを有する。
【0021】
(筐体)
筐体10は、金属材料で構成され、主板部11と、一対の突出片部12とを有する。
【0022】
主板部11は、正面側の第1の面111と、背面側の第2の面112とを有し、全体として多角形状(本実施形態では六角形状)に形成される。一対の突出片部12は、主板部11においてX軸方向に対向する2つの辺部の周縁から背面側に向かってそれぞれ形成される。一対の突出片部12は、筐体10とベース9とを相互に接続する接続部として構成される。
【0023】
(ベース)
ベース9は、筐体10を照明塔あるいは照明台に設置するための固定部として構成される。ベース9は、筐体10の一対の突出片部12に連結される一対の脚部91を有する。
【0024】
各々の脚部91は、突出片部12に対してX軸まわりに回動可能に連結される。筐体10の回動操作は、各々の脚部91に設けられたレバー92を用いて行われる。回動範囲は特に限定されず、本実施形態では、水平方向に対して仰角60°および俯角80°の範囲で調整可能に構成される。またベース9は、照明塔あるいは照明台に対してZ軸まわりの回動調整も可能に構成される。
【0025】
ベース9には、図4に示すように、照明塔あるいは照明台に対する固定軸が挿通される取付孔93が設けられている。ベース9は、上記固定軸を中心としてZ軸まわりに所定角度範囲にわたって回動可能に構成される。回動範囲は特に限定されず、本実施形態では左右各々90°の範囲で調整可能に構成される。取付孔93のまわりにはベース9の回動範囲を規制する円弧状のガイド孔94が設けられている。
【0026】
(光学ユニット)
図8は、光学ユニット20の平面図である。光学ユニット20は、筐体10の第1の面111に配置された複数の発光デバイス21の集合体で構成される。
【0027】
光学ユニット20は、筐体10の第1の面111上に環状に並べられた複数(本実施形態では6個)の発光デバイス21によって周方向に等分割される。各々の発光デバイス21は多角形状(本実施形態では概略三角形状)に形成され、各々が環状に配列されることで多角形状(本実施形態では概略六角形状)の光学ユニット20を構成する。これにより複数の発光デバイス21を効率よく集積化することが可能となる。
【0028】
複数の発光デバイス21は、それぞれ同一の構成を有する。発光デバイス21は、複数のLEDを搭載したLED基板22と、複数のLEDから出射した光を集光する複数のレンズ部を有するレンズ基板23との積層構造を有する。
【0029】
光学ユニット20は、筐体10の第1の面111に設置された透明なカバー1によって被覆される。カバー1は、シールリング2を介して筐体10の第1の面111に複数のボルトを介して固定される。
【0030】
図9は、発光デバイス21の構成を示す分解斜視図、図10Aはレンズ基板23の正面図、図10Bはレンズ基板23の一方向から見た側面図、図10Cはレンズ基板23の他の方向から見た側面図である。
【0031】
発光デバイス21は、LED基板22と、レンズ基板23と、放熱シート24とを有する。発光デバイス21は、筐体10の第1の面111上に、放熱シート24、LED基板22およびレンズ基板23を順に積層することで構成される。LED基板22、レンズ基板23および放熱シート24は、正面方向(Y軸方向)から見たときの形状がいずれも同等の大きさの略三角形状に形成されている。
【0032】
LED基板22は、複数のLED221(発光素子)と、複数のLED221を支持する配線基板222とを有する。
【0033】
複数のLED221は、典型的には、LEDランプやLEDチップで構成され、本実施形態では、光出射部がドーム状(凸状)のレンズ部で被覆されたLEDチップで構成される。複数のLED221は、各々の発光面を正面方向(+Y方向)に向けて配線基板222上に所定の間隔をあけて実装されている。
【0034】
配線基板222は、金属、セラミックあるいは合成樹脂を基材とした単層あるいは多層の配線基板で構成される。配線基板222の各隅部および面内の所定位置には、レンズ基板23および放熱シート24を相互に固定するためのネジ部材が貫通する貫通孔223が設けられている。また配線基板222の1つの頂部には、各々のLED221へ電力を供給するための配線ケーブルと接続されるコネクタ224が実装されている。
【0035】
レンズ基板23は、LED基板22上の複数のLED221各々に対向して配置された複数のレンズ部231を有し、透光性樹脂材料の成形体で構成される。
【0036】
レンズ基板23は、XZ平面に平行な略三角形状の主板部232と、主板部232の各辺縁部からLED基板22に向かって垂下する側壁部233と、側壁部233に連設されたXZ平面に平行な3つのコーナ部234とを有する略浅皿形状に形成される。
【0037】
複数のレンズ部231は、主板部232の面内にLED221に対応して配列され、主板部232からLED基板22に向かって突出する砲弾形状に形成される。レンズ部231の表面は外気(空気)と接触している。
【0038】
図11Aはレンズ部231の概略斜視図、図11Bはレンズ部231の概略断面図、図11Cはレンズ部231を透過する光線の追跡図である。
【0039】
複数のレンズ部231は、頂部231aと、光出射面231bと、側周面231cとをそれぞれ有する。頂部231aは、複数のLED221各々と対向する。光出射面231bは、主板部232の表面と面一に形成され、頂部231aを通る軸心231y方向に沿った有底孔231dを有する。側周面231cは、頂部231aと光出射面231bとの間に設けられ、上記軸心まわりの回転体形状を有する。
【0040】
レンズ部231の頂部231aに対向するLED221は、図11Cに示すように頂部231aに向かって凸なる形状の発光面221pを有する。発光面221pは、例えば、LED221の発光部に形成されたレンズ面で構成される。一方、頂部231aは、発光面221pに対向し発光面221pに対応する形状の凹面部P1を有する。これにより、LED221からレンズ部231への光の取り込み効率が高まり、光出射面231bからの出射光量を高めることが可能となる。
【0041】
有底孔231dは、光出射面231bから頂部231aに向かって所定の深さで形成された丸孔で構成される。本実施形態では、有底孔231dの底部に光出射面231b側に凸なる形状の凸面部P2が設けられている。有底孔231dの底部に凸面部P2が設けられることで、有底孔231dの底部に入射する光の集光作用が得られる。これにより、正面方向(+Y方向)の出射光量が高まるため、例えば狭角用の投光照明装置を構成することができる。
【0042】
また、有底孔231dが頂部231aを通るレンズ部231の軸心に沿って形成されているため、頂部231aから入射する光の集光作用を阻害することなく、光出射面231bから光を出射することができる。
【0043】
側周面231cの形状は、特に限定されず、目的とする出射光の照射範囲に応じて適宜設定可能である。本実施形態では、側周面231cは、軸心231yを中心とする回転曲線からなる曲面体形状(典型的には、放物面等の二次曲面)を有する。この構成により、例えば、ビームの開きが30°未満の狭角配光照明に適用可能となる。
【0044】
レンズ基板23はさらに、LED基板22に固定される複数のボス部235を有する。ボス部235は、コーナ部234と、主板部232の中央部にそれぞれ設けられており、各々のボス部235にはLED基板22上の貫通孔223に整列するネジ挿通孔235aがそれぞれ形成されている。
【0045】
各々のボス部235は、レンズ部231の頂部231aよりもLED基板22に向かって突出している。これにより、LED基板22へのレンズ基板23の固定時に、複数のレンズ部231各々の頂部231aは、LED基板22との間に所定の間隙を介して対向する。このときLED221は、図11Cに示すように、発光面221pが頂部231aの凹面部P1に隙間をあけて対向するように、凹面部P1に収容される。
【0046】
コーナ部234にはさらに、ボス部235の近傍に設けられた位置決めピン236がそれぞれ設けられている。位置決めピン236は、ボス部235よりも大きな突出量でコーナ部234からLED基板22に向かって突出し、LED基板22上の位置決め孔225にそれぞれ嵌合可能に構成される。
【0047】
以上のような構成を有するレンズ基板23は、透光性樹脂材料の射出成形体で構成される。レンズ基板23を構成する透光性樹脂材料は特に限定されず、本実施形態ではアクリル樹脂で構成される。これにより機械的強度が高く、耐候性に優れたレンズ基板を構成することができる。
【0048】
放熱シート24は、所定厚みの樹脂等で構成されており、LED基板22と筐体10の第1の面111との間に配置される。放熱シート24には、LED基板22の貫通孔223およびレンズ基板23のネジ挿通孔235aに各々整列するネジ孔241と、LED基板22の位置決め孔225と整列しレンズ基板23の位置決めピン236が嵌合する嵌合孔242とがそれぞれ形成されている。放熱シート24は、LED基板22およびレンズ基板23と積層された状態で、筐体10の第1の面111に複数のネジを介して固定される。
【0049】
(放熱器)
放熱器5は、筐体10の第2の面112に配置される。放熱器5は、光学ユニット20を所定温度以下に冷却するためのもので、本実施形態ではヒートパイプ方式のヒートシンクが採用される。これにより放熱器5の小型化を図ることができる。なお勿論これに限られず、放熱器5は、他の構造のヒートシンクで構成されてもよく、例えば放熱フィンのみの構造体であってもよい。
【0050】
(ガード部材)
ガード部材7は、放熱器5の周囲に配置されることで、飛来物の衝突あるいは浮遊物の接触から放熱器5を保護する。図12Aはガード部材7の全体斜視図、図12Bはガード部材の背面図である。
【0051】
ガード部材7は、放熱器5を収容する内部空間71を有する、一端が開口された金属製の箱体で構成される。ガード部材7は、側周面72と、側周面72に連設され端子ユニット6に対向する背面(天板)73とを有する。側周面72および背面73には、内部空間71を外気と連通させる複数の通孔74がそれぞれ設けられている。
【0052】
ガード部材7の背面73は多角形状(本実施形態では六角形状)に形成され、側周面72は、背面73の各々の辺縁部から正面方向に直角に折り曲げられた同一高さの複数の平面状の板材で構成される。側周面72を構成する上記複数の板材同士は例えば溶接により相互に接合されている。
【0053】
複数の通孔74は、所定のピッチで設けられた丸孔で構成されるが、孔の形状はこれに限られず、例えば角孔で構成されてもよい。本実施形態においてガード部材7は、パンチメタルで構成される。ガード部材7を構成する金属材料は特に限定されず、本実施形態ではアルミニウム合金が採用される。これによりガード部材7の軽量化を図ることができる。ガード部材7の表面には防錆のためのメッキ処理が施されてもよい。
【0054】
ガード部材7は、筐体10の第2の面112に固定される。本実施形態では、側周面72の所定位置に設けられた複数の取付片75を介して、ガード部材7が筐体10にネジ固定される。ガード部材7は、放熱器5とは非接触で、筐体10に固定される。
【0055】
ガード部材7は、筐体10と端子ユニット6との間に配置される。ガード部材7の背面73の略中央部には、端子ユニット6の連結パイプ61が挿通可能な矩形の開口部73aが設けられている。
【0056】
(端子ユニット)
端子ユニット6は、本体部60と、連結パイプ61とを有する。本体部60は、ガード部材7の外側に配置され、図7に示すように、金属製の連結パイプ61および補助プレート62を介して筐体10の第2の面112に接続される。
【0057】
本体部60は、外部電源(商用電源)に接続され、光学ユニット20を構成する複数の発光デバイス21へ必要な電力を供給する。連結パイプ61は、ガード部材7の内部空間71および背面73の開口部73aを貫通し、筐体10の第2の面112と本体部60との間に接続される。
【0058】
一方、筐体10の中心部には連結パイプ61の内部と連通する貫通孔113が形成されており、これら貫通孔113と連結パイプ61の内部を介して、各発光デバイス21に配線ケーブルが本体部60の内部に配置された端子盤と電気的に接続されている。これにより配光特性を損なうことなく、各発光デバイス21と本体部60との電気的接続を実現することができる。
【0059】
[投光照明装置の動作]
以上のように構成される本実施形態の投光照明装置100において、光学ユニット20を構成する複数の発光デバイス21は各々同時に点灯される。各発光デバイス21において、LED基板22上の複数のLED221から出射した光は、対向するレンズ基板23の複数のレンズ部231によって集光され、カバー1を透過して所定の照射領域へ照射される。
【0060】
図11Cに示すように、各々のLED221から出射した光は、それぞれ、レンズ部231の頂部231a(凹面部P1)からレンズ部231の内部に進入し、光出射面231bから外気へ出射する。光出射面231bからの出射光Lは、正面方向(+Y方向)へ向かう出射光L1と、正面方向に対してやや斜め方向に向かう出射光L2とを含む。出射光L1は、主として、側周面231cで全反射した光と、有底孔231dの底部(凸面部P2)を透過した光とを含む。一方、出射光L2は、主として、頂部231aからから直線的に光出射面231bに到達した光で構成される。
【0061】
光出射面231bから出射される光の配光分布は、主に側周面231cの断面形状で調整され、これにより所望とする配光制御を実現する。本実施形態では、出射光L2の光量よりも出射光L1の光量が多く、かつ、光出射面231bからの出射光L2の出射角(光出射面231bの法線と出射光L2とのなす角)が所定以下となるようにレンズ部231の形状が最適化される。これにより正面方向への出射光量を高めつつ、所定の狭角範囲に十分な光量の光を出射することが可能となる。
【0062】
本実施形態では、LED基板22の複数のLED221とレンズ基板23の複数のレンズ部231とが個々に対応して設けられているため、レンズ基板23の面内において均一な光を出射することができる。また光学ユニット20が複数の発光デバイス21を組み合わせて構成されるため、所望の口径を有する投光照明装置を容易に構成することができる。
【0063】
一方、放熱器5は、光学ユニット20の上記動作を安定に維持するために、光学ユニット20の所定温度以下に冷却する。このため放熱器5は、100℃以上の高温になる場合がある。
【0064】
本実施形態の投光照明装置100においては、放熱器5は、ガード部材7の内部に配置されている。このため放熱器5は、ガード部材7によって、強風時における飛来物との衝突から保護される。これにより放熱器5の損傷に起因する放熱特性の低下が防止される。
【0065】
また、放熱器5は、ガード部材7によって、風船等の浮遊物との接触から保護される。これにより放熱器5との接触による風船の溶解およびその溶解物の付着が回避されるため、放熱器5の所期の放熱特性が維持される。なお、ガード部材7の表面は放熱器5よりも低温(例えば60℃前後)であるため、ガード部材7との接触により風船が溶解するおそれはない。
【0066】
以上のように本実施形態によれば、ガード部材7によって、飛来物や浮遊物の接触等による損傷あるいは汚損から放熱器5を保護することができる。また、ガード部材7には通孔74が設けられているため、通孔74を介して放熱器5を外気と連通させることができる。したがって本実施形態の投光照明装置100によれば、放熱器5の所期の放熱特性を長期にわたり維持でき、光学ユニット20の安定した発光動作を確保することができる。
【0067】
また、端子ユニット6の本体部60がガード部材7の外側に配置されているため、本体部60と商用電源との接続がガード部材7で阻害されることを防止することができる。
【0068】
しかも本実施形態によれば、端子ユニット6は、その本体部60がガード部材7を貫通する連結パイプ61を介して筐体10と接続されるように構成されている。このため、例えば取付片75における固定に不具合が生じてガード部材7が筐体10から外れた場合においても、連結パイプ61によって筐体10からのガード部材7の脱落を防止することが可能となる。
【0069】
さらに本実施形態の投光照明装置100によれば、筐体10およびガード部材7が多角形状に形成されているため、当該投光照明装置100を上下左右方向に効率よく複数台配列することが可能となる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0071】
例えば以上の実施形態では、ガード部材7はパンチメタルで構成されたが、これに限られず、例えば、網状あるいは格子状の部材で構成されてもよい。またガード部材7は、多角形状の箱体で構成される例に限られず、円筒形状であってもよいし、ドーム形状であってもよい。
【0072】
また以上の実施形態では、6個の発光デバイス21を環状に配列して六角形状の光学ユニット20を構成したが、これに代えて、8個の発光デバイスを環状に配列して八角形状の光学ユニットを構成してもよい。また発光デバイス21の形状は三角形状に限られず、矩形状等の他の多角形状であってもよく、配列形態も環状の場合に限られない。
【0073】
さらに以上の実施形態では、狭角配光照明に適した投光照明装置を例に挙げて説明したが、例えば、ビームの開きが30°以上60°未満の中角配光照明やそれ以上の広角配光照明用の投光照明装置にも本発明は適用可能である。出射光の配光分布は、例えば、レンズ基板23の各々のレンズ部231の形状によって任意に調整可能である。
【0074】
そして以上の実施形態では、発光素子としてLEDを例に挙げて説明したが、これに限られず、例えば有機EL素子や無機EL素子等の他の発光素子が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0075】
5…放熱器
6…端子ユニット
7…ガード部材
10…筐体
20…光学ユニット
21…発光デバイス
22…LED基板
23…レンズ基板
60…本体部
61…連結パイプ
71…内部空間
72…側周面
73…背面
100…投光照明装置
221…LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12