【解決手段】聴覚装置2を音声システムとペアリングするステップと、聴覚装置の動きの検出を開始するステップと、聴覚装置の位置を示す位置データを音声システムに送信するステップと、音声ストリーム54を聴覚装置の位置データに基づいてワイヤレスで受信するステップと、音声ストリームをワイヤレス入力信号56に変換するステップと、入力信号60を形成するようワイヤレス入力信号をマイクロホン14からの音声入力信号58とミキシングするステップと、出力信号62を形成するよう入力信号を処理するステップと、出力信号を音声出力信号64に変換するステップと、を含む。
第1のアンテナと、前記第1のアンテナに結合される第1のトランシーバと、音響出力トランスデューサと、マイクロホンと、一次処理ユニットとを備え、前記一次処理ユニットが前記第1のトランシーバ、前記音響出力トランスデューサ、および前記マイクロホンに結合される聴覚装置を動作させる方法であって、
前記聴覚装置を音声システムとペアリングするステップと、
聴覚装置の動きの検出を開始するステップと、
聴覚装置の位置を示す位置データを前記音声システムに送信するステップと、
第1の音声ストリームを前記聴覚装置の前記位置データに基づいてワイヤレスで受信するステップと、
前記第1の音声ストリームを第1のワイヤレス入力信号に変換するステップと、
入力信号を形成するよう前記第1のワイヤレス入力信号を前記マイクロホンからの音声入力信号とミキシングするステップと、
出力信号を形成するよう前記入力信号を処理するステップと、
前記出力信号を音声出力信号に変換するステップと、
を含む、方法。
前記位置コントローラが、動き検出装置と、前記動き検出装置に接続される位置推定装置とを備え、前記位置推定装置が、動き検出装置の出力に基づいて前記聴覚装置の位置データを推定するよう構成される、請求項8に記載の聴覚装置。
第1の音源を含む1つ以上の音源を備え、第1のアンテナと、前記第1のアンテナに結合される第1のトランシーバと、処理ユニットとを備え、前記処理ユニットが前記第1のトランシーバに結合される音声システムを動作させる方法であって、
前記音声システムを聴覚装置とペアリングするステップと、
聴覚装置の位置を示す位置データを受信するステップと、
前記第1の音源からの第1の入力信号を含む前記1つ以上の音源からの入力信号を受信するステップと、
第1のワイヤレス出力信号を形成するよう前記聴覚装置の位置データに基づいて前記入力信号を処理するステップと、
前記第1のワイヤレス出力信号に基づいて第1の音声ストリームを前記聴覚装置に送信するステップと、
を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、聴覚装置、音声システム、および、聴覚装置の位置データに基づいて聴覚装置における信号処理の適応を可能にする方法に関する。
【0016】
音声システムにおいて、1つ以上のトランシーバまたはトランシーバを備える送信機は、音声トラックおよび/または音声ストリームを、例えば、1つ以上の聴覚装置へ配信または送信するために構成される。音声システムは、第1のトランシーバと、任意選択で第2のトランシーバとを備えていてもよい。トランシーバは1つ以上の音声ストリームを伝送してもよい。トランシーバはトランシーバのアドレスによって識別されてもよい。送信機は、音声トラックおよび/または音声ストリームをワイヤレスで伝送するよう構成されてもよい。
【0017】
音声トラックは可聴信号である。例示的な可聴信号は、スピーチ、音楽、空港での呼び出し、映画のサウンドトラック、またはそれらの組み合わせである。
【0018】
音声ストリームは音声トラックを表す電磁信号である。音声ストリームは、それぞれが1つ以上の音声パケットを備える多数の音声ブロックによって表される。音声パケットは音声ストリームの限定的な部分を備えている。
【0019】
音声パケットは、音声トラックID、トランシーバアドレスまたはID、音声グループID、音源ID等の1つ以上の構成要素を備えてもよい音声ストリーム識別子を備えていてもよい。音声トラックIDは同一の音声トラックを表す音声ストリームの選択を可能にしてもよく、音声グループIDは特定のグループの音声トラックまたは音声ストリームを識別してもよく、例えば、音声グループは同一または同類の言語、例えば、英語、デンマーク語、または中国語の音声トラックであってもよい。
【0020】
音声パケットは、音声パケットを送信するトランシーバのトランシーバアドレスを備えていてもよく、従って、聴覚装置が他のトランシーバから送信された音声パケットを選別または分離することを可能にする。
【0021】
ワイヤレスの音声ストリームを送信および受信するステップは、ワイヤレス技術を用いることによって達成されてもよく、従って、音声ブロックを1つ以上の周波数、例えば、2.4GHz〜2.5GHzの範囲、800MHz〜1GHzの範囲、3.6GHz〜3.7GHzの範囲、および/または4.9GHz〜5.9GHzの範囲の周波数で送信/受信する。
【0022】
一次処理ユニットは第1のトランシーバを制御するよう構成されてもよい。第1のトランシーバおよび/または第2のトランシーバは、2.4GHz〜2.5GHzの範囲、800MHz〜1GHzの範囲、3.6GHz〜3.7GHzの範囲、および/または4.9GHz〜5.9GHzの範囲の周波数で音声ストリームを受信するよう構成されてもよい。第1のトランシーバおよび/または第2のトランシーバは、169MHz〜218MHzの範囲および/または480MHz〜520MHzの範囲の周波数で音声ストリームを受信するよう構成されてもよい。
【0023】
聴覚装置と音声システム、例えば、音声システムの1つ以上の音源とをペアリングするステップは、聴覚装置から音声システムへ聴覚装置情報を送信するステップを含んでもよい。聴覚装置情報は、聴覚装置ID、聴覚装置メーカ、聴覚装置モデル、および/または聴覚装置構成データのうちの1つ以上を備えてもよい。聴覚装置と音声システムをペアリングするステップは、追加として、または代替として、音声システムから聴覚装置へ音声システム情報を送信するステップ、および/または、音声システムから音声システム情報を受信するステップを含んでもよい。音声システム情報は、音声システムID、音源ID、トランシーバID、および/または音声ストリーム構成データのうちの1つ以上を備えてもよい。
【0024】
音声システムは、聴覚装置から受信する聴覚装置情報、例えば、モデルおよび/またはメーカ、データ符号化形式等に基づいて、聴覚装置に送信される第1の音声ストリームの形式を適応させるよう構成されてもよい。さらに、聴覚装置と音声システムとのペアリングは、音声システムからの送信前に、第1の音声ストリーム等の音声ストリームの暗号化を可能にし、受信したワイヤレス入力信号、例えば、第1のワイヤレス入力信号の復号化を、聴覚装置において可能にするように、暗号鍵を交換するステップを含んでもよい。
【0025】
聴覚装置と音声システムとのペアリングにより、音声システムからの音声ストリーム、例えば、第1の音声ストリームの送信が開始されてもよい。
【0026】
聴覚装置と音声システムとのペアリングにより、聴覚装置が、音声システムによって送信されるワイヤレス入力信号、例えば、第1のワイヤレス入力信号の受信を開始してもよい。
【0027】
位置コントローラが、一次処理ユニットから/への位置制御信号を受信および/または送信するために一次処理ユニットに結合されてもよい。
【0028】
聴覚装置は、第2のトランシーバおよび/または第2のアンテナを備えてもよい。第2のトランシーバおよび/または第2のアンテナは位置コントローラに結合されてもよい。
【0029】
第2のトランシーバおよび/または第2のアンテナは一次処理ユニットに結合されてもよい。
【0030】
聴覚装置と音声システムとのペアリングは聴覚装置の第1のトランシーバおよび/または第2のトランシーバを介して実行されてもよい。
【0031】
聴覚装置は、聴覚装置の位置を示す位置データを音声システムまたは音声システム内の装置に送信する。聴覚装置は、聴覚装置の位置を示す位置データを別の聴覚装置または周辺装置またはスマートフォンまたはタブレットコンピュータ等の外部装置を介して音声システムに送信してもよい。従って、第1のトランシーバおよび/または第2のトランシーバは、ワイヤレス信号を1つ以上の音声システムまたは他の聴覚装置、携帯電話、またはタブレットコンピュータ等の他の外部装置から/へ伝送および/または受信するよう構成されてもよい。
【0032】
聴覚装置は、聴覚装置の位置を示す位置データを第1のトランシーバおよび/または第2のトランシーバにより音声システムに送信してもよい。
【0033】
聴覚装置の位置コントローラは、動き検出器と、任意選択で、動き検出装置に接続される位置推定装置とを備えてもよい。位置推定装置は、例えば、動き検出装置からの動き検出装置の出力に基づき、聴覚装置の位置データを推定するよう構成されてもよい。動き検出装置は、複数のセンサ、例えば、1つ以上のジャイロスコープおよび/または1つ以上の加速度計を備えてもよい。
【0034】
聴覚装置の位置データおよび/または音源からの位置データは、一定の時間間隔、例えば、100ms毎、または500ms毎、または1000ms毎に継続的または定期的に送信されてもよい。代替として、または追加として、位置変化基準が満たされた場合に、位置データを音声システムに送信してもよい。例えば、聴覚装置は位置が変化したことを検出してもよく、聴覚装置が位置の変化を検出した場合、新しい位置が第1の外部装置に送信される。変化基準は、例えば、変化閾値よりも大きい方位角の変化であってもよい。変化閾値は、0.5°より大きい、または1°より大きい、または2°より大きい、または5°より大きくてもよい。別の例示的な方法および/または聴覚装置において、位置データは、位置変化基準が満たされた場合に、また、少なくとも一定の時間間隔毎、例えば、100ms毎、または500ms毎、または1000ms毎に、音声システムに送信されてもよい。それによって、位置データは定期的に更新されるが、変化の検出によってより頻繁に更新される。
【0035】
音声システムは聴覚装置からの位置データの送信に対応して位置データを受信してもよい。
【0036】
聴覚装置のバッテリ性能に限界があるため、聴覚装置から伝送されるデータ量を制限することは有益であろう。位置データを送信する必要性を低減することにより、例えば、位置変化基準が満たされた場合にのみ位置データを送信することによって、聴覚装置の電力消費が低減される。
【0037】
聴覚装置の動きの検出を開始するステップは、基準座標系を設定するステップを含んでもよい。聴覚装置の動きの検出を開始するステップは、聴覚装置および音源の初期位置合わせ情報が決定される較正手順を含んでもよい。較正手順は基準座標系を設定するステップを含んでもよい。基準座標系の設定は、例えば、聴覚装置のユーザが、所定の距離で特定の音源または他の基準を見ている等、所定の(基準)方向を、および/または、所定の(基準)距離で見ている間、聴覚装置および/または音源の絶対位置データを登録するステップを含んでもよい。基準座標系は、音源および/または聴覚装置に関して特定位置に原点を有してもよい。
【0038】
位置データは聴覚装置の角度位置データを備えてもよい。例えば、位置データは聴覚装置の方位角情報を備えてもよい。方位角は聴覚装置を着用しているユーザの見ている方向を示してもよい。代替として、または、追加として、位置データは高度角情報を備えてもよい。
【0039】
位置データは聴覚装置の距離位置データを備えてもよい。例えば、位置データは音源および/または基準点に対する聴覚装置の距離情報を備えてもよい。
【0040】
位置データは聴覚装置の第1のトランシーバおよび/または第1のアンテナを介して送信されてもよい。代替として、または追加として、位置データは聴覚装置の第2のトランシーバを介して送信されてもよい。聴覚装置は第2のアンテナを備えてもよい。第2のトランシーバは第2のアンテナに結合されてもよい。位置データは第2のアンテナを介して送信されてもよい。聴覚装置と音声システムの1つ以上の装置とのペアリングは第2のアンテナを介して行われてもよい。
【0041】
音声システムは、第1の音源および任意選択で第2の音源を含む1つ以上の音源を備えている。音声システムは第3の音源および/または第4の音源を備えてもよい。第1の音源は第1のマイクロホンを備えてもよい。第2の音源は第2のマイクロホンを備えてもよい。音声システムはプロセッサと第1のトランシーバとを有する中央ユニットを備えてもよい。音源は、入力信号をプロセッサに供給するために中央ユニットに対して有線で結合されてもよく、および/または、ワイヤレスに結合されてもよい。
【0042】
音声システムを動作させる方法は、第1の入力信号を第1の音源から受信し、および/または、第2の入力信号を第2の音源から受信する等、複数の入力信号をそれぞれ複数の音源から受信するステップを含んでもよい。
【0043】
音声システムを動作させる方法はさらに、複数の音源、例えば、第1の音源および第2の音源からの入力信号、すなわち、第1の入力信号および第2の入力信号を処理するステップを含んでもよい。入力信号の処理は、第1のワイヤレス出力信号を形成するよう聴覚装置の位置データに基づいてもよい。
【0044】
聴覚装置の位置データに基づいて入力信号を処理するステップは、聴覚装置の位置データに基づいて、第1の入力信号に対する第1のゲインおよび/または第2の入力信号に対する第2のゲインを含む1つ以上のゲインを決定するステップと、ゲインを音源からのそれぞれの入力信号に適用するステップとを含んでもよい。
【0045】
音声システムを動作させる方法は、1つ以上の音源、例えば、第1の音源および/または第2の音源の位置データを取得するステップを含んでもよい。音源の位置データは音声システム設定手順中に取得されてもよい。これは、音源が静止している場合に特に有用である。
【0046】
入力信号の処理は音源の位置データに基づいてもよい。第1の入力信号の処理は第1の音源の位置データに基づいてもよく、および/または、第2の入力信号の処理は第2の音源の位置データに基づいてもよい。例えば、聴覚装置によって検出される動きは、移動する音源を見ているユーザによってもたらされてもよく、これは好ましくは聴覚装置に受信される音声の変化を招くべきではない。第1のワイヤレス出力信号を形成するよう第1の入力信号および/または第2の入力信号等の入力信号を処理するステップは、第1の音源および/または第2の音源等のそれぞれの音源の位置データと、聴覚装置の位置データとの両方に基づいてもよい。
【0047】
聴覚装置は、第1の聴覚装置および第2の聴覚装置を備える両耳用聴覚装置システムであってもよい。入力信号を処理するステップは、第1の一次ワイヤレス出力信号および第1の二次ワイヤレス出力信号を形成するよう聴覚装置の位置データに基づいて入力信号を処理するステップを含んでもよい。第1の音声ストリームを聴覚装置へ送信するステップは、第1の一次音声ストリームを第1の聴覚装置へ送信するステップと、第1の二次音声ストリームを第2の聴覚装置へ送信するステップとを含んでもよい。
【0048】
第1の一次ワイヤレス出力信号および第1の二次ワイヤレス出力信号は、少なくとも部分的に頭部伝達関数(HRTF)に基づいてもよい。これは、異なる耳に対して振幅および位相の両方の異なった変化を必然的にもたらし、従って、聞く時の頭部の動きの効果のより自然な認識を両耳用聴覚装置のユーザに知覚させる。
【0049】
第1の入力信号を処理するステップは、第1のゲインG
1を第1の入力信号に適用するステップを含んでもよい。第1のゲインG
1は、第1のワイヤレス出力信号を形成するよう第1の入力信号に適用されてもよい。第1のゲインG
1は聴覚装置の位置データに基づいてもよく、例えば、
G
1=f(P
HD)
によって与えられる。ここで、P
HDは聴覚装置の位置データである。
【0050】
複数の音源、例えば、第1の音源および第2の音源を有する音声システムにおいて、複数の音源からの入力信号を処理するステップは、ベクトルゲインを適用するステップを含んでもよい。ベクトルゲインは各入力信号に対するゲインを備えてもよい。ベクトルゲイン
Gは
G=
f(P
HD)
によって与えられてもよい。
【0051】
複数のゲインおよび/または第1のゲインはさらに、音源の位置データ等の入力を備えてもよい。
G=
f(P
HD,P
AS)
ここで、P
HDは聴覚装置の位置データであり、P
ASは音源の位置データである。複数の音源の場合、P
ASは各音源の位置データを有するベクトルであってもよい。
【0052】
第1の入力信号を処理するステップは、第1のリスニングフィールド(FIL)基準が満たされた場合、すなわち、補聴器の位置が、補聴器ユーザが第1の音源を聞きたいと望んでいることを示している場合に、第1のゲインを第1の値に設定するステップを含んでもよい。第1の入力信号を処理するステップは、第1のFIL基準が満たされない場合に第1のゲインを第2の値に設定するステップを含んでもよい。第1の値は第2の値より大きくてもよい。
【0053】
第1のFIL基準は、ユーザの視野方向と聴覚装置から第1の音源への方向との間の角度である第1の視野角に基づいてもよい。第1のFIL基準は
|α
1|<T
1,1
によって与えられてもよい。ここで、α
1は第1の視野角であり、T
1,1は第1の音源に対する第1の閾角度である。第1の閾角度T
1,1は15〜60°の範囲であってもよい。
【0054】
第2の入力信号を処理するステップは、第2のリスニングフィールド(FIL)基準が満たされた場合、すなわち、補聴器の位置が、補聴器ユーザが第2の音源を聞きたいと望んでいることを示している場合に、第2のゲインを第1の値に設定するステップを含んでもよい。第2の入力信号を処理するステップは、第2のFIL基準が満たされない場合に第2のゲインを第2の値に設定するステップを含んでもよい。第1の値は第2の値より大きくてもよい。
【0055】
第2のFIL基準は、ユーザの視野方向と聴覚装置から第2の音源への方向との間の角度である第2の視野角に基づいてもよい。第2のFIL基準は
|α
2|<T
2,1
によって与えられてもよい。ここで、α
2は第2の視野角であり、T
2,1は第2の音源に対する第1の閾角度である。第1の閾角度T
2,1は15〜60°の範囲であってもよい。
【0056】
図1は例示的な聴覚装置を略図的に示している。聴覚装置2は、第1のアンテナ4、第1のトランシーバ6、一次処理ユニット8、音響出力トランスデューサ10、位置コントローラ12、マイクロホン14、および二次処理ユニット16を備えている。
【0057】
聴覚装置2は、1つ以上の音源を含む音声システムとペアリングするよう構成されている。例えば、聴覚装置2と1つ以上の音源とのペアリングは、聴覚装置2を音声システムとペアリングすることによって達成される。
【0058】
第1のトランシーバ6は、第1のアンテナ4に結合され、音声システムから第1の音声ストリーム54を含む1つ以上の音声ストリームをワイヤレスで受信するよう構成されている。1つ以上の音声ストリームはそれぞれのワイヤレス入力信号に変換され、例えば、第1の音声ストリーム54は第1のワイヤレス入力信号56に変換される。
【0059】
二次処理ユニット16は第1の入力18と第2の入力20とを有している。第1の入力18は第1のトランシーバ6の出力に結合される。第2の入力20はマイクロホン14の出力に結合される。二次処理ユニット16は、第1の入力18で第1のトランシーバ6から第1のワイヤレス入力信号56を受信し、第2の入力20でマイクロホン14から音声入力信号58を受信する。二次処理ユニット16は、第1のワイヤレス入力信号56と音声入力信号58とをミキシングして二次処理ユニット16の出力で入力信号60を形成するよう構成される。
【0060】
一次処理ユニット8は聴覚装置の入力信号60を処理して出力信号62を形成する。一次処理ユニット8は二次処理ユニット16の出力に結合される入力を有している。一次処理ユニット8は、入力信号60のノイズリダクション、フィルタリング、増幅等の信号処理を実行してもよい。一次処理ユニット8は、聴覚装置2のユーザの聴覚障害を考慮するよう入力信号60の信号処理を実行してもよい。
【0061】
二次処理ユニット16および一次処理ユニット8は、
図1において点線の四角で示すような単一の処理ユニットとして組み込まれてもよい。
【0062】
音響出力トランスデューサ10は、一次処理ユニット8の出力に結合され、一次処理ユニットの出力信号62を受信し、出力信号62を音声出力信号64に変換する。音声出力信号64は聴覚装置2のユーザが知覚できる。
【0063】
位置コントローラ12は聴覚装置2の位置データを検出し、音声システムに送信するために構成されている。位置コントローラ12は、動き検出装置22と、任意選択で、動き検出装置22の出力に基づいて聴覚装置の位置データを推定するために構成される位置推定装置24とを備えている。例示的な聴覚装置において、動き検出装置の出力は直接トランシーバ6に結合されてもよい。聴覚装置2の位置データは第1の外部装置を介して音声システムに送信されてもよい。図示の実施例において、位置コントローラ12は位置データを示す位置データ出力信号66を第1のトランシーバ6に伝送する。第1のトランシーバ6は、位置データ出力信号66に基づいて、直接または第1の外部装置を介してのいずれかで、ワイヤレス位置データ信号68を第1のアンテナ4を介して音声システムに送信する。
【0064】
代替の例示的な聴覚装置(図示せず)において、ワイヤレス位置データ信号68は、聴覚装置内の第2のトランシーバおよび/または第2のアンテナを介して音声システムに送信されてもよい。
【0065】
図2は例示的な音声システム30を略図的に示している。音声システム30は、第1の音源32、処理ユニット38、および第1のアンテナ34に結合される第1のトランシーバ36を備えている。処理ユニット38は第1のトランシーバ36に結合される。第1の音源32は、マイクロホンを備え、処理ユニット38に接続される。
【0066】
音声システム30は第1の音源32から第1の入力信号50を受信する。第1の入力信号50は第1のワイヤレス出力信号52を形成するよう処理される。第1の音声ストリーム54は第1のワイヤレス出力信号52に基づいて聴覚装置2に送信される。音声システムによって送信される第1の音声ストリーム54は、
図1に示す聴覚装置によって受信される音声ストリーム54に対応する。
【0067】
音声システム30は聴覚装置2からワイヤレス位置データ信号68を受信する。ワイヤレス位置データ信号68は聴覚装置2の位置を示している。ワイヤレス位置データ信号68は第1のアンテナ34を介して第1のトランシーバ36によって受信される。第1のトランシーバは、ワイヤレス位置データ信号68に基づいて位置データ入力信号70を音声システム30の処理ユニット38に伝送する。入力信号50の処理は聴覚装置2の位置データに基づいている。従って、第1のワイヤレス出力信号52は聴覚装置2の位置に適合している。
【0068】
代替の例示的な音声システム(図示せず)において、ワイヤレス位置データ信号68は、音声システム内の第2のトランシーバおよび/または第2のアンテナによって受信されてもよい。
【0069】
図3は、例示的な音声システム30’と、第1の聴覚装置26および第2の聴覚装置28を備える例示的な聴覚装置システムとを略図的に示している。第1の聴覚装置26および/または第2の聴覚装置28は本明細書に開示する聴覚装置、例えば、聴覚装置2であってもよい。音声システム30’は、第1のマイクロホンを備える第1の音源32と、第2のマイクロホンを備える第2の音源32’とを備える。第1の音源32および第2の音源32’は、第1および第2の入力信号をプロセッサに供給するために、プロセッサ38を有する中央ユニット33にインターフェイス35を介してワイヤレスで結合される。プロセッサ38は、音声システム内の第2のアンテナ42および第2のトランシーバ44を介して聴覚装置26、28のうちの一方または両方の位置データを受信し、受信した聴覚装置位置データに基づいて音源32、32’からの第1および第2の入力信号を処理して、第1の一次ワイヤレス出力信号および第1の二次ワイヤレス出力信号を形成する。各聴覚装置26、28は、位置データを音声システムに送信するために、第2のアンテナ42と、位置コントローラ12に結合される第2のトランシーバ44とを備えている。位置コントローラ12は聴覚装置26、28のうちの一方において省略されてもよい。第1の一次ワイヤレス出力信号および第1の二次ワイヤレス出力信号は、第1の聴覚装置に対する第1の一次音声ストリームおよび第2の聴覚装置に対する第1の二次音声ストリームとして、第1のトランシーバ36を介して第1の聴覚装置26および第2の聴覚装置28にそれぞれ送信される。第1の一次ワイヤレス出力信号および第1の二次ワイヤレス出力信号は、第1および第2のチャネルを備える単一の第1の音声ストリームへ多重化されてもよい。
【0070】
図4は、聴覚装置または聴覚装置システムを動作させる例示的な方法100のフロー図を示している。方法100は、聴覚装置を音声システムとペアリングするステップ102、聴覚装置の動きの検出を開始するステップ104、位置データを送信するステップ106、音声ストリームを受信するステップ108、音声ストリームをワイヤレス入力信号に変換するステップ110、入力信号を形成するようワイヤレス入力信号を音声入力信号とミキシングするステップ112、出力信号を形成するよう入力信号を処理するステップ114、および出力信号を音声出力信号に変換するステップ116を含んでいる。
【0071】
聴覚装置を音声システムとペアリングするステップ102は、聴覚装置を音声システムの1つ以上の音源とペアリングするステップを含んでもよい。聴覚装置と音声システムとをペアリングするステップ102はさらに、聴覚装置と音声システムとの間で、聴覚装置IDデータ、音声システムIDデータ、および/または音源IDデータを交換するステップを含んでもよい。
【0072】
聴覚装置の動きの検出を開始するステップ104は、聴覚装置において動き検出を作動させるステップを含んでもよい。位置データを送信するステップ106は、聴覚装置の位置を示す位置データを音声システムに送信するステップを含んでもよい。
【0073】
音声ストリームを受信するステップ108は、第1の音声ストリームを聴覚装置の位置データに基づいて受信するステップ、および/または、第2の音声ストリームを聴覚装置の位置データに基づいて受信するステップを含んでもよい。
【0074】
音声ストリームを変換するステップ110は、第1の音声ストリームを第1のワイヤレス入力信号に変換するステップ、および/または、第2の音声ストリームを第2のワイヤレス入力信号に変換するステップを含んでもよい。
【0075】
入力信号を形成するようワイヤレス入力信号を音声入力信号とミキシングするステップ112は、入力信号を形成するよう第1のワイヤレス入力信号を聴覚装置のマイクロホンからの音声入力信号とミキシングするステップを含んでもよい。代替として、または追加として、入力信号を形成するようワイヤレス入力信号を音声入力信号とミキシングするステップ112は、1つ以上の入力信号を形成するよう複数のワイヤレス入力信号、例えば、第1および第2のワイヤレス入力信号を1つ以上の音声入力信号とミキシングするステップを含んでもよい。
【0076】
出力信号を形成するよう入力信号を処理するステップ114は、聴覚装置のユーザの聴覚損失または聴覚障害を補うよう、入力信号に信号処理、例えば、フィルタリング、増幅、ノイズリダクション、および/または調整を施すステップを含んでもよい。出力信号を形成するよう入力信号を処理するステップ114は、第1の出力信号を形成するよう第1の入力信号を処理するステップを含んでもよい。
【0077】
出力信号を音声出力信号に変換するステップ116は、第1の出力信号を第1の音声出力信号に変換するステップを含んでもよい。音声出力信号は聴覚装置のユーザが知覚できるものであってもよい。
【0078】
聴覚装置が継続的に、位置データを送信し106、音声ストリームを受信し108、音声ストリームをワイヤレス入力信号に変換し110、入力信号を形成するようワイヤレス入力信号を音声入力信号とミキシングし112、出力信号を形成するよう入力信号を処理し114、出力信号を音声出力信号に変換する116ように、方法100がループされてもよいことは、強調して述べておく。さらに、方法の異なる部分が、同時に、および/または順次、行われてもよい。
【0079】
図5は、聴覚装置を動作させる例示的な方法100’のフロー図を示している。例示的方法100’は、
図4に示す方法100と同様のステップを含んでいる。しかし、方法100’は、聴覚装置が継続的に、音声ストリームを受信し108、音声ストリームをワイヤレス入力信号に変換し110、入力信号を形成するようワイヤレス入力信号を音声入力信号とミキシングし112、出力信号を形成するよう入力信号を処理し114、出力信号を音声出力信号に変換する116、方法のループを示している。
【0080】
方法100’はさらに位置変化基準118を含んでいる。位置変化基準が満たされた場合、方法100’は位置データを送信するステップ106に戻る。位置変化基準が満たされていない場合、方法100’は音声ストリームを受信するステップ108に戻る。位置変化基準118により、ステップ106において位置データを再送信すべきとするのに十分な大きさの位置変化が生じたかどうかが決定される。位置変化基準118の組み込みは、聴覚装置のトランシーバから音声システムへのワイヤレスデータの伝送量を低減させ、それによって聴覚装置のバッテリの寿命を向上させるであろう。
【0081】
図6は、音声システムを動作させる例示的な方法200のフロー図を示している。方法200は、聴覚装置とペアリングするステップ202、聴覚装置の位置データを受信するステップ204、音源から入力信号を受信するステップ206、ワイヤレス出力信号を形成するよう位置データに基づいて入力信号を処理するステップ208、ワイヤレス出力信号に基づいて音声ストリームを聴覚装置に送信するステップ210を含んでいる。
【0082】
聴覚装置とペアリングするステップ202は、聴覚装置を音声システムの1つ以上の音源とペアリングするステップを含んでもよい。聴覚装置とペアリングするステップ202はさらに、聴覚装置と音声システムとの間で、聴覚装置IDデータ、音声システムIDデータ、および/または音源IDデータを交換するステップを含んでもよい。
【0083】
聴覚装置の位置データを受信するステップ204は、更新された位置データを継続的に受信するステップを含んでもよい。代替として、または追加として、聴覚装置の位置データを受信するステップ204は、位置データが変化した場合に位置データを受信するステップを含んでもよい。受信した位置データは聴覚装置の位置を示している。
【0084】
音源から入力信号を受信するステップ206は、第1の音源から第1の入力信号を受信するステップ、および/または、第2の音源から第2の入力信号を受信するステップを含んでもよい。
【0085】
ワイヤレス出力信号を形成するよう位置データに基づいて入力信号を処理するステップ208は、第1のワイヤレス出力信号を形成するよう位置データに基づいて第1の入力信号を処理するステップ、および/または、第2のワイヤレス出力信号を形成するよう位置データに基づいて第2の入力信号を処理するステップを含んでもよい。代替として、複数の入力信号が、第1のワイヤレス出力信号を形成するよう位置データに基づいて処理されてもよい。
【0086】
ワイヤレス出力信号に基づいて音声ストリームを聴覚装置に送信するステップ210は、第1のワイヤレス出力信号に基づいて第1の音声ストリームを聴覚装置に送信するステップ、および/または、第2のワイヤレス出力信号に基づいて第2の音声ストリームを聴覚装置に送信するステップを含んでもよい。
【0087】
任意選択で、方法200は、聴覚装置とペアリングするステップ202と、聴覚装置の位置データを受信するステップ204との間に、音源の位置データを取得するステップ212を含んでもよい。音源は移動可能であってもよく、従って、音源の位置データを取得または検出し212、入力信号の処理208において音源の位置データを含ませることは、有益であり得る。
【0088】
ワイヤレス出力信号を形成するよう入力信号を処理するステップ208は、聴覚装置からの位置データおよび/または音源からの位置データに基づいてもよい。