特開2015-144781(P2015-144781A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015144781-遊技用装置 図000003
  • 特開2015144781-遊技用装置 図000004
  • 特開2015144781-遊技用装置 図000005
  • 特開2015144781-遊技用装置 図000006
  • 特開2015144781-遊技用装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-144781(P2015-144781A)
(43)【公開日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】遊技用装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150717BHJP
【FI】
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-19431(P2014-19431)
(22)【出願日】2014年2月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 浩之
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BB11
(57)【要約】
【課題】記録媒体を受け付ける構成にあって、記録媒体の取り忘れを抑制できる遊技用装置を提供する。
【解決手段】遊技用装置は、記録媒体に他種別持玉が0を上回って対応付けられている異種別対応付状態において、自種別持玉が0以下となった場合に液晶表示部24等で特別報知を実行する。これにより、他種別持玉が残っている状態で遊技価値が全く残っていないと遊技者が考え、記録媒体を取り忘れる状況が発生することを抑制できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技に使用する遊技価値の種類が複数存在する遊技場の遊技機に隣接して設けられる遊技用装置において、
前記遊技価値の大きさ及び種類を特定可能な識別情報を記録した記録媒体を受け付ける記録媒体受付手段と、
遊技者の操作に応じて前記記録媒体を発行する発行手段と、
前記受付手段が受け付けた前記記録媒体の前記識別情報に対応した前記遊技価値の大きさ及び当該遊技価値の種類を特定する受付価値特定手段と、
予め定められた種類の前記遊技価値である特別遊技価値を対価として対応する遊技機における遊技を可能とすると共に、対価として消費した前記特別遊技価値の大きさ分、前記記録媒体に対応付けられた前記特別遊技価値の大きさを減算する遊技価値減算手段と、
遊技者が遊技にて獲得した前記特別遊技価値の大きさを特定する獲得価値特定手段と、
前記獲得価値特定手段が特定した前記特別遊技価値の大きさ分、前記記憶媒体に対応付けられた前記特別遊技価値の大きさを加算する遊技価値加算手段と、
前記記録媒体に前記特別遊技価値とは異なる種類の遊技価値の大きさが0を上回って対応付けられている異種別対応付状態であることを特定する特定手段と、
前記異種別対応付状態において、前記特別遊技価値の大きさが、予め定められた第1基準価値の大きさを上回った後に当該第1基準価値の大きさ未満として設定された第2基準価値の大きさ以下となった場合、予め定められた特別報知を実行する一方、前記特別報知を実行した後に前記第1基準価値の大きさを上回ることなく前記第2基準価値の大きさ以下となった場合には前記特別報知を実行しない特別報知手段と、
を備えたことを特徴とする遊技用装置。
【請求項2】
前記異種別対応付状態において前記特別報知を実行した場合に実行済情報を前記記録媒体に対応付けると共に、前記記録媒体を発行した場合に当該実行済情報を消去する実行済情報設定手段と、
前記実行済情報を前記記録媒体に対応付けている状況において、前記特別遊技価値の大きさが前記第1基準価値の大きさを上回った場合に当該実行済情報の対応付けを解除する実行済情報解除手段と、
を備え、
前記特別報知手段は、前記異種別対応付状態であり、前記実行済情報が対応付けられていない状況において、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下になった場合には、当該第2基準価値の大きさ以下となる前に前記第1基準価値の大きさを上回っていたか否かに関わらず前記特別報知を実行することを特徴とする請求項1に記載した遊技用装置。
【請求項3】
遊技者から貨幣の投入を受け付ける貨幣受付手段と、
前記貨幣受付手段が受け付けた貨幣の金額を特定して前記記録媒体に対応付けた残金に加算する金額加算手段と、
当該残金を対価として遊技を可能とすると共に、対価として消費した分、残金を減算する金額減算手段と、
を備え、
前記実行済情報解除手段は、前記貨幣が投入された場合、当該貨幣に対応した金額がなくなるよりも前に前記実行済情報を解除することを特徴とする請求項2に記載した遊技用装置。
【請求項4】
前記特別報知実行手段は、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下であると共に、前記記録媒体に対応付けられた残金が0であることを条件に前記特別報知を実行することを特徴とする請求項3に記載した遊技用装置。
【請求項5】
前記特別報知手段は、前記異種別対応付状態において、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下である場合、前記異種別対応付状態であることを遊技者が特定可能な前記特別報知とは異なる異種別状態報知を実行することを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の遊技用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技に使用する遊技価値の種類が複数存在する遊技場の遊技機に隣接して設けられる遊技用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に示すように、玉を1個4円で貸し出す4円パチンココーナーの他に1個1円で貸し出す1円パチンココーナーを併設した遊技場が存在している。これにより、遊技者が希望する単価で遊技を行うことが可能となり、遊技者に対するサービスを向上している。また、遊技者が獲得した玉数に対応した持玉数情報や金額の情報をICカードに記憶し、金額の情報や持玉数情報を対価として貸出機から玉の払出を行っている。そして、1枚のICカードに対してコーナー別に複数の持玉数情報を記憶しており、金額の情報、及び持玉数情報が対価として遊技者により全て使用された場合、カードを受け付けていた貸出機がそのICカードを取り込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−59487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、1枚のICカードに対して複数種類の持玉数情報を記憶している場合、一の種類の持玉数情報を全て使用した際に、他の種類の持玉数情報が残っているにも関わらず、全ての種類の持玉数情報が残っていないものと遊技者が勘違いし、ICカードの発行操作を行わずに遊技を終了するおそれがある。つまり、1枚のICカードに複数種類の持玉数情報を記憶すると、ICカードの取り忘れが発生する危険性が高くなる。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体を受け付ける構成にあって、記録媒体の取り忘れを抑制できる遊技用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技用装置は、遊技に使用する遊技価値の種類が複数存在する遊技場の遊技機に隣接して設けられるものであり、前記遊技価値の大きさ及び種類を特定可能な識別情報を記録した記録媒体を受け付ける記録媒体受付手段と、遊技者の操作に応じて前記記録媒体を発行する発行手段と、前記受付手段が受け付けた前記記録媒体の前記識別情報に対応した前記遊技価値の大きさ及び当該遊技価値の種類を特定する受付価値特定手段と、予め定められた種類の前記遊技価値である特別遊技価値を対価として対応する遊技機における遊技を可能とすると共に、対価として消費した前記特別遊技価値の大きさ分、前記記録媒体に対応付けられた前記特別遊技価値の大きさを減算する遊技価値減算手段と、遊技者が遊技にて獲得した前記特別遊技価値の大きさを特定する獲得価値特定手段と、前記獲得価値特定手段が特定した前記特別遊技価値の大きさ分、前記記憶媒体に対応付けられた前記特別遊技価値の大きさを加算する遊技価値加算手段と、前記記録媒体に前記特別遊技価値とは異なる種類の遊技価値の大きさが0を上回って対応付けられている異種別対応付状態であることを特定する特定手段と、前記異種別対応付状態において、前記特別遊技価値の大きさが、予め定められた第1基準価値の大きさを上回った後に当該第1基準価値の大きさ未満として設定された第2基準価値の大きさ以下となった場合、予め定められた特別報知を実行する一方、前記特別報知を実行した後に前記第1基準価値の大きさを上回ることなく前記第2基準価値の大きさ以下となった場合には前記特別報知を実行しない特別報知手段と、を備えたものである(請求項1)。
【0007】
請求項1記載の遊技用装置において、
前記異種別対応付状態において前記特別報知を実行した場合に実行済情報を前記記録媒体に対応付けると共に、前記記録媒体を発行した場合に当該実行済情報を消去する実行済情報設定手段と、前記実行済情報を前記記録媒体に対応付けている状況において、前記特別遊技価値の大きさが前記第1基準価値の大きさを上回った場合に当該実行済情報の対応付けを解除する実行済情報解除手段と、を備え、前記特別報知手段は、前記異種別対応付状態であり、前記実行済情報が対応付けられていない状況において、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下になった場合には、当該第2基準価値の大きさ以下となる前に前記第1基準価値の大きさを上回っていたか否かに関わらず前記特別報知を実行するようにしてもよい(請求項2)。
【0008】
請求項2記載の遊技用装置において、
遊技者から貨幣の投入を受け付ける貨幣受付手段と、前記貨幣受付手段が受け付けた貨幣の金額を特定して前記記録媒体に対応付けた残金に加算する金額加算手段と、当該残金を対価として遊技を可能とすると共に、対価として消費した分、残金を減算する全額減算手段と、を備え、前記実行済情報解除手段は、前記貨幣が投入された場合、当該貨幣に対応した金額がなくなるよりも前に前記実行済情報を解除するようにしてもよい(請求項3)。
【0009】
請求項3記載の遊技用装置において、
前記特別報知実行手段は、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下であると共に、前記記録媒体に対応付けられた残金が0であることを条件に前記特別報知を実行するようにしてもよい(請求項4)。
請求項1から4の何れか1項記載の遊技用装置において、
前記特別報知手段は、前記異種別対応付状態において、前記特別遊技価値の大きさが前記第2基準価値の大きさ以下である場合、前記異種別対応付状態であることを遊技者が特定可能な前記特別報知とは異なる異種別状態報知を実行するようにしてもよい(請求項5)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、特別遊技価値の大きさが第2基準価値の大きさ以下となった場合に特別報知を実行するため、遊技者が異種別対応付状態であることを特定することができる。これにより、特別遊技価値とは異なる種類の遊技価値が残っている状態で遊技価値が全く残っていないと遊技者が考え、記録媒体を取り忘れる状況が発生することを抑制できる。
【0011】
さらに、特別報知を実行した後に、特別遊技価値の大きさが第1基準価値の大きさを上回ることなく第2基準価値の大きさ以下となった場合には特別報知を実行しない。これにより、遊技の過程において遊技価値を獲得し、短い時間の間、第2基準価値の大きさを上回っただけで特別報知が実行されてしまい、特別報知の実行頻度が過度に高くなることを抑制できる。また、第1基準価値の大きさを上回った後に、第2基準価値の大きさ以下となった場合には、第2基準価値の大きさ以下となるまでに時間が経過し、記録媒体に対する遊技者の意識が低下していることが考えられる。この場合には特別報知を実行するので、記録媒体を取り忘れ易い状態において的確に特別報知を実行できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、実行済情報が対応付けられていない状況で特別遊技価値の大きさが第2基準価値の大きさ以下になった場合には、第2基準価値の大きさ以下となる前に第1基準価値の大きさを上回っていたか否かに関わらず特別報知を実行する。つまり、まだ特別演出を実行していない状況では、特別演出の実行頻度が高い状態とはなっておらず、特別演出の実行を抑制する必要がない。これにより、極端に特別演出が実行されなくなってしまうことを抑制できる。
【0013】
貨幣を投入した後残金が0となった場合には、遊技によりある程度時間が経過しており、記録媒体への意識が低下している可能性が高いが、請求項3の発明によれば、この状況で特別遊技価値の大きさが第2基準価値の大きさ以下になった場合には、第2基準価値の大きさ以下となる前に第1基準価値の大きさを上回っていたか否かに関わらず特別報知を実行する。この結果、上記した請求項2の効果を高めることができる。
【0014】
残金が残っている状態では遊技者が記録媒体を発行し忘れる可能性が低い一方、残金が0である場合には記録媒体を発行し忘れる可能性が高い。この点、請求項4の発明によれば、残金が0であることを条件に特別報知を行うことで、記録媒体を取り忘れ易い状況で良好に特別報知を実行することが可能となる。
請求項5の発明によれば、特別報知に加えて異種別対応付状態であることの報知も実行するため、特別報知だけでなく異種別状態報知からも遊技者が異種別対応付状態であることを特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態を示す全体構成図
図2】異種別状態表示処理のフローチャート
図3】実行済フラグ設定処理のフローチャート
図4】(a)及び(b)は、遊技用装置に表示される異種別状態報知及び特別報知の画面を示す図
図5】(a)及び(b)は、特別報知を行う遊技用装置の上部及び下部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1には1対1に対応して貸出機2(遊技用装置に相当)が当該遊技機1の側方に隣接して設置されている。これら遊技機1及び貸出機2は、中継装置3及びLAN4を介して管理装置5と接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、貸出機2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理すると共に、会員登録された会員毎の個人データも管理する。
【0017】
遊技場には景品交換装置(以下、POS)6及び残高精算機7も設置されており、LAN4を介して管理装置5と接続されている。POS6はタッチパネル式のモニタを備えており、付属するカードリーダライタにより読取ったICカードからなる一般カード8(記録媒体に相当)に記録されている遊技価値に基づいて特定される景品交換価値に基づいて景品交換処理を実行する。尚、POS6において一般カード8に記録されている遊技価値の大きさを取扱うときは、管理装置5が一般カード8に対応して予め記憶している遊技価値の大きさと照合し、真であると判定したことを条件として遊技価値の大きさの取扱いを有効とする。残高精算機7は、一般カード8がカード挿入口9に挿入されたときは、当該一般カード8に記録された入金残高を返却口10から返却すると共に当該一般カード8を回収する。
【0018】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード11、モニタ12、図示しないプリンタ等が接続されている。管理装置5は、遊技場内に設置された遊技機1、貸出機2等の稼動状況を管理すると共に、遊技機側からの信号に基づいて遊技者毎の遊技価値の大きさ(持玉・貯玉(会員の場合))を記憶管理する。尚、持玉とは、当日貯玉であり、前日以前に預入れた玉やメダルではなく、当日獲得した玉やメダルを意味する。貯玉と当日貯玉は管理が異なるため区別している。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。
【0019】
遊技場には玉を遊技媒体とするパチンコ機が設置されたパチンココーナーと、メダルを遊技媒体とするパチスロ機が設置されたスロットコーナーとが設けられている。パチンココーナーとしては、貸単価4円のパチンコ機が設置された4パチコーナー、貸単価1円のパチンコ機が設置された1パチコーナー等が設けられている。スロットコーナーとしては、貸単価20円のパチスロ機が設置された20スロコーナー、貸単価5円のパチスロ機が設置された5スロコーナー等が設けられている。このように、パチンココーナー及びスロットコーナーにおける各コーナー(以下では単に「コーナー」とも称す)において使用される遊技価値(玉やメダル)の種類(例えば、玉等、同一の遊技媒体であっても貸単価が異なれば異なる種類として取り扱う)が複数存在する。そして、遊技者が所持する玉やメダルの計数結果である持玉・貯玉(持玉数・貯玉数)が遊技価値の大きさに相当する。尚、貸単価とは1遊技媒体当りの貸出対価金額である。
【0020】
遊技機1として図1に示すCR(カードリーダ)パチンコ機は、盤面13に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル14、上部受皿15、下部受皿16を有すると共に、盤面13に、液晶表示部17、普図入賞口18、第1始動口19、第2始動口20、大入賞口21を有する。また、上部受皿15の上面部には遊技者が操作可能な貸出釦15a及び返却釦15bが並んで設けられている。このようなパチンコ機或いはスロットマシンは、遊技の実行に応じて例えば大当たりやボーナス状態等になり、各種の遊技信号を中継装置3へ送信する。一方、貸出機2は、遊技機1の貸出釦15aの操作により、投入金額(入金残高)の範囲内で対応する数の玉やメダル等の遊技媒体を遊技者に貸出す。これら遊技機側の機器からは、周知のように、例えば使用された遊技媒体の数を特定可能なアウト信号、付与された遊技媒体の数を特定可能なセーフ信号、遊技機1の遊技状態を特定可能な状態信号、或いは売上げを特定可能な売上信号などが出力される。
【0021】
貸出機2は、遊技機1の遊技状態等を示す状態表示部22、紙幣(貨幣)の投入を受け付ける紙幣投入口23(貨幣受付手段)、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部24、持玉及び貯玉を払出すための払出釦25、払出された玉が通過する払出ノズル26、一般カード8及び図示しない会員カードが挿入されるカード挿入口27(記録媒体受付手段)、遊技機1の下部受皿16の下方に位置する着脱可能な計数受皿28等を備えている。また、本実施形態の貸出機2は、カード挿入口27を囲う枠状のカード用表示部27aを備えている。詳しくは後述するように、カード用表示部27a及び状態表示部22は、図示しないLEDランプを有し、当該LEDランプの点滅或いは点灯により特別報知を行うようになっている。
【0022】
貸出機2は所謂各台計数機能付の貸出機であり、受付けた貨幣の内、貸出の対価を減じた入金残高、及び計数した持玉の内、再プレイで払戻した残りの持玉を特定可能な一般カード8を発行可能な装置である。ここで、入金残高とは、遊技者が入金した貨幣額から貸出処理を行った対価額を除いた遊技者の利用可能額つまり残金である。一般カード8に対応付けた入金残高は残高精算機7、持玉はPOS6にて夫々精算可能である。
【0023】
そして、貸出機2は、マイクロコンピュータを主体に構成された制御部(受付価値特定手段、遊技価値減算手段、獲得価値特定手段、遊技価値加算手段、特定手段、特別報知手段、実行済情報設定手段、実行済情報解除手段、金額減算手段、金額加算手段)を備え、制御プログラムの実行により、以下の動作を行う。
【0024】
(1)紙幣投入口23に投入された投入金額を特定して液晶表示部24に表示すると共に、貸出釦15aの操作に応じて投入金額の範囲内で遊技媒体を遊技機1の内部の払出機構から遊技機1の上部受皿15に貸出す。具体的には、遊技者が「1000円」を投入し、貸出釦15aを操作すると、遊技機1から貸出機2に1度数分(例えば貸単価が「4円」のとき125玉)を払出したことを示す信号が出力され、液晶表示部24に表示されている入金残高から1度数に相当する単位金額である例えば500円を減額(減算)する。このように、貸出機2は、入金残高を対価として遊技を可能とすると共に、対価として消費した分、入金残高を減算する金額減算手段として機能する。また、貸出機2は、カード挿入口27に挿入されている一般カード8に入金残高がある場合、紙幣投入口23で受け付けた金額を特定して当該一般カード8の入金残高に加算する金額加算手段として機能する。
【0025】
(2)遊技機1の下部受皿16から落下して計数受皿28で受けられた玉を計数し、その計数結果である計数値を液晶表示部24に表示する。この状態から、遊技者が返却釦15bを押下(全返却操作)すると、計数値である持玉数及び入金残高を、カード挿入口27に挿入されている一般カード8に記録して発行する。つまり、入金残高、遊技者が遊技する遊技機1のコーナーの持玉(以下自種別持玉)、自種別持玉以外の持玉(以下、他種別持玉)の少なくとも一つの有価価値が残存している場合は、残存している全有価価値を一般カード8に記録する。会員カードが挿入されている場合は、入金残高を会員カードに記録して持玉を管理装置5に送信してから会員カードを発行する。一般カード8を発行する場合は、カードIDの情報と入金残高及び持玉の情報とを含む発行情報を管理装置5へ送信し、管理装置5側にも記憶する。こうして、貸出機2は、遊技者の操作に応じて一般カード8を発行する発行手段として機能する。尚、カード挿入口27に一般カード8も会員カードも挿入されていない場合は、図示しないカードストック部にストックしている一般カード8をカード挿入口27に繰出して入金残高及び持玉数を記録して発行する。
【0026】
(3)遊技者が払出釦25を操作すると、持玉(会員の場合は貯玉)の範囲内で、1度数ずつ払出ノズル26を介して遊技機1の上部受皿15に払出す。
(4)一般カード8がカード挿入口27に挿入された場合は、一般カード8に記録されている入金残高及び持玉数をカードリーダ(図示せず)により読取り、その入金残高及び持玉数を液晶表示部24に表示する。会員カードが挿入された場合は、会員カードに記録されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示すると共に暗証番号の入力を条件として管理装置5の会員口座に会員IDに対応して記憶されている貯玉(当日貯玉・前日貯玉)も表示する。当日貯玉とは当日貯玉された貯玉(持玉)であり、前日貯玉とは前日までの貯玉である。
【0027】
(5)液晶表示部24に対する操作入力に応じて対応する遊技機1或いは指定された他の遊技機1の遊技データを表示したり、遊技場からのメッセージや、特別報知に係る表示等、各種の情報を液晶表示部24にて表示する。
【0028】
(6)貸出釦15aや返却釦15bの操作時に入力される信号等、遊技機1からの各種信号を入力し、遊技機1の状態等を判定する。尚、図示は省略するが、スロットコーナーにおいてもパチスロ機1台毎の計数機として貸出機が設けられている。当該貸出機は、メダルの計数結果である持玉数や入金残高を記録した一般カード8を発行する。このように、パチスロ機に対応する貸出機においても、持玉数及び入金残高を一般カード8に対応付けることが可能であり、又パチスロ機からの各種信号を入力して当該パチスロ機の状態等を判定する。
さて、一般カード8には、複数の種類(貸単価の種別、或いは遊技玉やメダルの種別)の持玉の対応付けが可能であり、遊技者が複数の種別に対応した遊技機1を夫々遊技して持玉を獲得した場合には、夫々の持玉つまり複数の種別に対応した持玉を一般カード8に対応付けることも可能である。即ち、一般カード8には、上記した貸単価を4円或いは1円とする玉や、貸単価を20円或いは5円とするメダルの夫々の計数結果が遊技価値として記録(記憶)されている。このように、計数結果は前記の種類毎に記録された識別情報とされ、当該遊技価値の大きさ及び種類の特定が可能である。こうして、1枚の一般カード8に対して遊技価値の種類毎の計数結果が記録される。
【0029】
上記した貸出機2における計数結果に基づく払出しは、対応するコーナーの貸出機2でのみ可能である。例えば一般カード8に記録された貸単価4円の持玉は、4パチコーナーにおける貸出機2のカード挿入口27に当該一般カード8を挿入することで払出しが可能となる。こうして、貸出機2は、予め定められた種類の遊技価値である自種別持玉(特別遊技価値)を対価として対応する遊技機1での遊技を可能とする。
【0030】
また、詳しくは以下の作用説明で述べるように、貸出機2は、カード挿入口27に挿入された一般カード8に他のコーナーでの計数結果が存在する場合、状況に応じた報知を行う。例えば、貸出機2は、当該一般カード8に他種別持玉が0を上回って対応付けられている状況(異種別対応付状態)のとき、他のコーナーの遊技機1で獲得した持玉がある旨、液晶表示部24に表示する。図4(a)は、このときの液晶表示部24の表示例で、当該表示部24の通常画面を示している。通常画面には、貸単価表示部24a、単位貸出数表示部24b、挿入カード種別表示部24c、情報表示部24d、入金残高表示部24e、他種別持玉表示部24fが表示されている。他種別持玉表示部24fでは、「他持ち玉あり」との表示により、一般カード8に他種別持玉が残存していることを報知する(異種別状態表示)。また、図4(a)に示す例では、貸単価が4円、単位貸出数が125玉で、一般カード8を受付けており、入金残高が500円であることが表示されている。
【0031】
そして、貸出機2は、例えば入金残高が0で且つ自種別持玉も0である場合、他種別持玉が存する一般カード8の取り忘れを防止すべく、液晶表示部24にて特別報知を行う。図4(b)は、このときの液晶表示部24の表示例で、当該表示部24の報知画面を示している。報知画面では、貸単価表示部24a、単位貸出数表示部24b、挿入カード種別表示部24c、情報表示部24dの他、特別報知部24gが表示されている。情報表示部24dでは、「他持ち玉があります カード忘れにご注意下さい」との表示により、一般カード8の取り忘れがないように注意喚起する。また、特別報知部24gでは、「!」との記号を用いて注意喚起する。
【0032】
さらに、貸出機2は、図1図5に示すように上段部の状態表示部22及び下段部のカード用表示部27aにおいて、夫々が有するLEDランプの所定の発光態様で発光することにより特別報知を行う。具体的には、図5(a)に示す状態表示部22は、貸出機2の上端に内蔵されたLEDランプと、当該LEDランプを覆う光透過可能なランプカバー22aとを備える。ランプカバー22aは正面視にて半月状をなし、LEDランプを光源として貸出機2上端部を照明するように配設されている。図5(b)に示すカード用表示部27aは、貸出機2の下部に内蔵されたLEDランプと、カード挿入口27を囲う光透過可能なランプカバー27bとを備える。ランプカバー27bは、正面視にてカード挿入口27を囲う枠状をなし、LEDランプの光でカード挿入口27周縁を照明する、所謂透光ガイド(ライトガイド)を利用した構成とされている。これら状態表示部22及びカード用表示部27aにおける発光態様は、例えば夫々の発光色を黄色とし、高速点滅を5秒間行うものとする(特別演出)。特に、カード用表示部27aは、カード挿入口27の周縁を高速点滅により照明することから、一般カード8の取り忘れの防止に効果的である。
【0033】
尚、本発明に係る特別報知は、上記のように一般カード8に対応して行うものであり、会員カードについて行うものではない。即ち、会員カードでは、持玉の情報は記憶しておらず、貯玉の情報は管理装置5の会員口座に会員IDに対応して記憶されており、当該会員口座の貯玉は、貸出機2側から当該管理装置5に問い合わせることで暗証番号の入力を条件に特定される。従って、会員カードの場合、貯玉に基づく再プレイ等を想定しても、他種別持玉が残存した当該カードを取り忘れるという課題がないのである。
【0034】
そして、本実施形態にあっては、特別報知に係る処理において、各種フラグの設定の有無は、貸出機2の内蔵するRAM等の内部記憶手段に記憶されるようになっており、例えば以下に説明する「特別報知の実行済」フラグを貸出機2の内部記憶手段が記憶することで一般カード8に対応付けている。
【0035】
次に、上記構成の作用について、図2図4も参照して説明する。
例えば遊技者が1パチコーナーで遊技した結果、玉を獲得し、その玉を貸出機2で計数して持玉とした状態で全返却操作を行うと、入金残高が残存している場合は、貸出機2から入金残高と持玉数が記録された一般カード8が発行される。そして、遊技者が4パチコーナーに移動し、その一般カード8を4パチコーナーの貸出機2に挿入すると、貸出機2は、一般カード8から入金残高と他種別持玉を読取って記憶する。このように一般カード8に持玉として他種別持玉のみが記憶されている場合、貸出機2は、自種別持玉の貸単価が4円であることを特定しているので、持玉の払出操作が行なわれた場合であっても、他種別持玉(この場合は貸単価1円)の持玉を払出すことはない。
【0036】
ここで、図2及び図3は、貸出機2(制御部)が本発明に関連して所定周期で実行する異種別状態表示処理及び実行済フラグ設定処理を示している。
先ず、貸出機2は受付価値特定手段として、一般カード8に記憶された持玉数及び貸単価に基づき、その遊技価値の大きさ及び種類を特定するもので、図2の異種別状態表示処理を開始すると、一般カード8の持玉数及び貸単価を取得して他種別持玉が有るか否かを判定する(S1)。このとき、貸出機2は、他種別持玉が有ると判定すると(S1:YES)、自種別持玉が有るか否かを判定する(S2)。ここで、上記の例の如く貸単価1円の他種別持玉のみで、貸単価4円の自種別持玉がないと判定した場合(S2:YES)、貸出機2は、図4(a)に示す通常画面の他種別持玉表示部24fに「他持ち玉あり」と表示する(S3)。この表示は異種別状態報知に相当し、通常画面で表示し続ける。こうして、貸出機2は、一般カード8に他種別持玉の持玉数が0を上回って対応付けられている異種別対応付状態であることを特定して表示する。
【0037】
これに対し、貸出機2は、他種別持玉の持玉数がないと判定した場合(S1:NO)、並びに他種別持玉の持玉数が有り且つ自種別持玉も有ると判定した場合(S1:YES且つS2:NO)、通常画面において他種別持玉表示部24fに代えて自種別持玉表示部(図示略)に自種別持玉の持玉数を表示する(S4)。従って、貸出機2は、他種別持玉及び自種別持玉の双方がない場合(S1:NO)、自種別持玉表示部に0を表示する。こうして、貸出機2は、通常画面で異種別対応付状態を表示し、或いは自種別持玉の持玉数を表示させると、異種別状態表示処理を終了してリターンする。
【0038】
尚、貸出機2は、遊技者が遊技機1にて獲得した玉を下部受皿16から落下させると、その玉を計数受皿28で受けて当該貸出機2内で計数し、その計数値(特別遊技価値の大きさ)を一般カード8に対応付ける自種別持玉として加算する。一方、貸出機2は、払出釦25の押下操作により持玉の払出操作が行われると、その持玉の範囲内で1度数の玉が払出ノズル26から遊技機1に払出されると共に自種別持玉の持玉数を減算する。このように、貸出機2は、特別遊技価値に関する獲得価値特定手段、遊技価値加算手段或いは遊技価値加算手段として機能し、自主別持玉の持玉数を更新する。従って、一般カード8に他種別持玉が記憶されている状態で、遊技者が遊技機1での遊技により自種別持玉を全て消費すると、その時点で自種別持玉表示部が他種別持玉表示部24fに切換り、異種別状態表示となる。
【0039】
そして、貸出機2は、図3の実行済フラグ設定処理を開始すると、他種別持玉の持玉数が有るか否かを判定し(S11)、他種別持玉の持玉数が有ると判定すると(S11:YES)、特別報知の実行済みフラグが設定されているか否かを判定する(S12)。貸出機2は、現時点で実行済みフラグが設定されていないと判定した場合(S12:YES)、入金残高と自主別持玉が何れも0に変化していないか否かを判定する(S13)。ここで、貸出機2は、入金残高と自主別持玉が何れも0である状態にいずれかが残っている状態から変化したと判定した場合(S13:YES)、その時点で特別報知を実行すると共に実行済みフラグを設定する(S14)。この特別報知は、図4(b)に例示する報知画面の情報表示部24dにおける「他持ち玉があります カード忘れにご注意下さい」との表示と、特別報知部24gにおける「!」との表示で注意喚起する。同時に図5(a)の状態表示部22及び図5(b)のカード用表示部27aの各LEDランプについて黄色の発光色で高速点滅させて注意喚起する。こうした液晶表示部24、状態表示部22及びカード用表示部27aによる特別報知は、何れも5秒間継続して実行する。
【0040】
これに対し、貸出機2は、他種別持玉の持玉数がないと判定した場合(S11:NO)、つまり異種別対応付状態でない場合、特別報知を実行することはなく、実行済フラグ設定処理を終了してリターンする。一方、異種別対応付状態において(S11:YES)、実行済みフラグが設定されていると判定した場合(S12:NO)、「自種別持玉が50個以上」という条件1と、「貨幣の投入口23への投入有り」という条件2と、「一般カード8の排出有り」という条件3と、「遊技機1の非稼動状態で10分経過」という条件4との何れかの条件を満たすときに(S15:YES)、フラグをクリアする(S16)。
【0041】
ここで、フラグのクリアとは、貸出機2の内部記憶手段に一般カード8と対応付けて記憶している実行済情報としての実行済みフラグをクリアすることである。このように、貸出機2は実行済情報設定手段として、特別報知の実行済情報等を一般カード8に対応付けていることから、全返却操作により条件3を満たす場合には、当該実行済情報等を消去する。
【0042】
また、条件1の「50個」は、自種別持玉(端数玉)の判定値として予め定められた第1基準価値の大きさであり、S13での自種別持玉の「0個」は、第1基準価値の大きさ未満として設定された第2基準価値の大きさである。貸出機2は、一般カード8を発行しない場合でも、自種別持玉が50個(第1基準価値)を上回り、条件1を満たす場合には(S15:YES)、実行済情報等の対応付けを解除する(S16)。このように、端数玉の判定値である50個を上回ったときに実行済情報を解除するのは、再度自種別持玉が0となるまで相応の時間がかかり、他種別持玉があることを遊技者が忘れている可能性が高くなるからである。こうして、1回特別報知により注意喚起を行った後、自種別持玉が50個以上になると、再び入金残高が0で且つ自種別持玉が0以下になることを条件に(S13:YES)、再度注意喚起が行われることとなる。
【0043】
尚、自種別持玉について、50個以上の計数がなされることなく(S15:NO)、当該持玉数が0となっても注意喚起を行わない。50個以上の計数がない状態では、所謂ファール玉(或いは玉がこぼれること)等に起因して、数個だけの計数後、直ぐに持玉数が0となる事態を繰り返すことも想定されるため、その都度注意喚起を行うと、頻繁に行われる特別報知が煩わしくなってしまうからである。また、実行済情報等が対応付けられていない状況において(S12:YES)、入金残高が0で且つ自種別持玉が0(第2基準価値)以下になった場合(S13:YES)、当該自種別持玉が0以下となる前に50個を上回っていたか否かに関わらず特別報知が実行されることとなる(S14)。
【0044】
前記条件2では、貨幣の投入口23への投入により(S15:YES)、当該貨幣に対応した金額がなくなるよりも前に実行済情報を解除する(S16)。従って、1回注意喚起を行っても、その後貨幣を投入口23へ投入すれば、自種別持玉0以下で且つ入金残高が0になると(S13:YES)、注意喚起が行われる。
【0045】
前記条件4では、遊技機1の非稼動状態で10分経過すると(S15:YES)、実行済情報を解除する(S16)。係る非稼働状態の継続により実行済情報を解除するのは、上記した50個以上の計数や貨幣の投入時と同様、1回注意喚起を行った後、相応の時間が経過するため、他種別持玉の存在を忘れる可能性が高くなるからである。従って、1回注意喚起を行った後、遊技機1の非稼動状態で10分経過すれば、入金残高が0で且つ自種別持玉が0以下であることを条件に(S13:YES)、注意喚起が行われる。
【0046】
上記したように、自主別持玉が0であっても入金残高が残っている場合等には特別報知による注意喚起は行われない(S13、S14参照)。もっとも、この場合、貸出機2は、他種別持玉が存在する異種別対応付状態にあっては、通常画面の他種別持玉表示部24fにて「他持ち玉あり」と表示する前述の異種別状態報知を実行する(図2のS3参照)。換言すれば、異種別対応付状態において自主別持玉が0であれば、特別報知と異種別状態報知とが択一的に実行される。こうして、遊技者は、貸出機2における特別報知時の表示部24d,24g(図4(b)参照)と、異種別状態報知時の表示部24f(図4(a)参照)とにより、異種別状態報知が特別報知とは異なる異種別対応付状態であることを特定することができる。
【0047】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することが出来る。
貸出機2は、自主別持玉が0以下となった場合に特別報知を実行するため、遊技者が異種別対応付状態であることを特定することができる。これにより、他種別持玉が残っている状態で当該他種別持玉が全く残っていないと遊技者が考え、一般カード8を取り忘れる状況が発生することを抑制できる。
【0048】
さらに、特別報知を実行した後に、自主別持玉が50個を上回ることなく0以下となった場合には特別報知を実行しない。これにより、遊技の過程において自主別持玉を獲得し、短い時間の間、その自主別持玉が0を上回っただけで特別報知が実行されてしまい、特別報知の実行頻度が過度に高くなることを抑制できる。また、自主別持玉が50個を上回った後に、0以下となった場合には、0以下となるまでに時間が経過し、一般カード8に対する遊技者の意識が低下していることが考えられる。この場合には特別報知を実行するので、一般カード8を取り忘れ易い状態において的確に特別報知を実行できる。
【0049】
貸出機2は、実行済情報が対応付けられていない状況で自主別持玉が0以下になった場合には、当該0以下となる前に50個を上回っていたか否かに関わらず特別報知を実行する。つまり、まだ特別演出を実行していない状況では、特別演出の実行頻度が高い状態とはなっておらず、特別演出の実行を抑制する必要がない。これにより、極端に特別演出が実行されなくなってしまうことを抑制できる。
【0050】
貨幣を投入した後入金残高が0となった場合には、遊技によりある程度時間が経過しており、一般カード8への意識が低下している可能性が高い。この状況において、貸出機2は、自主別持玉が0以下になった場合には、当該0以下となる前に50個を上回っていたか否かに関わらず特別報知を実行するため、より的確に特別報知を実行できる。
入金残高が残っている状態では遊技者が一般カード8を発行し忘れる可能性が低い一方、入金残高が0である場合には一般カード8を発行し忘れる可能性が高い。この点、貸出機2は、入金残高が0であることを条件に特別報知を行うことで、一般カード8を取り忘れ易い状況で良好に特別報知を実行することが可能となる。
貸出機2は、特別報知に加えて異種別対応付状態であることの報知も実行するため、特別報知だけでなく異種別状態報知からも遊技者が異種別対応付状態であることを特定することができる。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組合せたりしても良い。
持玉の情報や実行済フラグを記憶する装置は任意に変更しても良い。例えば、持玉の情報を一般カード8に記憶せず管理装置5のみで記憶するようにしても良いし、実行済フラグを貸出機2や管理装置5で記憶するようにしても良い。このように実行済フラグ等を管理装置5で記憶する場合、必要に応じて貸出機2が管理装置5に問い合わせるようにすれば良い。
【0052】
記録媒体として入金残高や持玉を記録する一般カード8を例示したが、ICコインや磁気媒体、貸出機2と通信可能な携帯電話を使用する等、どのような記録媒体を対象としても良い。
例えば、メダルを使用することなくクレジットや点数等を使用して遊技を行うスロットマシン等、例示した遊技機とは異なる遊技機に適用しても良い。この場合、クレジットや得点が遊技価値に該当し、クレジット数や点数が遊技価値の大きさに該当する。そして、クレジットや点数の単価で遊技価値の種類を区別すれば良い。また、遊技価値の種類として、貸単価を4円或いは1円とする玉や、貸単価を20円或いは5円とするメダルを例示したが、一部又は全部の種別を変更することも可能である。
【0053】
遊技機1台毎の計数機として貸出機2を設置する構成としたが、複数の遊技機に対して一の計数機が設置された遊技場に適用しても良い。また、一部の遊技価値について、計数機での計数結果をレシートで発行するようにしても良い。
【0054】
実行済フラグが設定されていない状態や、自種別持玉が0でない状態との少なくとも一方の状態において、入金残高有から入金残高無に変化したことで特別報知を実行するようにしても良い。また、特別報知の内容を適宜変更しても良く、例えば、状態表示部22や、カード用表示部27a、液晶表示部24での表示による報知を実行ことに加え又は代えて、係る内容を報知する音声やブザー等の音の出力による特別報知を実行しても良い。さらに、特別報知において状態表示部22とカード用表示部27aとのうち少なくとも表示部27aのLEDランプで報知しても良いし、その報知態様も黄色の高速点滅に限らず、種々の色で点灯乃至点滅させて報知してもよい。
【0055】
第1基準価値の大きさ(端数玉)として50個を設定したが、端数玉の数を任意に変更しても良い。第2基準価値の大きさとして0を設定したが、0よりも大きい値を設定しても良い。また、特別報知に係る条件3の10分という設定値や、特別報知の報知時間(5秒間)等の上記した数値はいずれも任意に変更しても良い。さらに、異種別対応付状態における異種別状態表示は、通常画面で表示し続けることに代えて所定時間表示したり、間欠的に表示してもよい。
入金残高が0であることを特別報知の実行条件としたが、入金残高が0か否かに関わらず、自主別持玉の計数結果に応じて特別報知を実行するようにしても良い。また、入金残高が0以外の所定金額(例えば、500円)以下となったことを条件に特別報知を実行するようにしても良い。
貸出機2が行う処理の一部を中継装置3、或いは管理装置5等にて行っても良い。同様に管理装置5が行う処理の一部を中継装置3、或いは貸出機2等にて行っても良い。また、変形例を含む例示した構成をどのように組合せても良いし、適宜構成を除外しても良い。
【符号の説明】
【0056】
図面中、1は遊技機、2は遊技用装置(記録媒体受付手段、発行手段、受付価値特定手段、遊技価値減算手段、獲得価値特定手段、遊技価値加算手段、特定手段、特別報知手段、実行済情報設定手段、実行済情報解除手段、貨幣受付手段、金額加算手段、金額減算手段)、8は一般カード(記録媒体)、22は状態表示部(特別報知手段)、24は液晶表示部(特別報知手段)、27aはカード用表示部(特別報知手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5