(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-144908(P2015-144908A)
(43)【公開日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】医療用、特に歯科用ハンドピース用電気モータ装置、及び歯科器具部品
(51)【国際特許分類】
A61C 1/06 20060101AFI20150717BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
A61C1/06
H02K5/173 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-94446(P2015-94446)
(22)【出願日】2015年5月1日
(62)【分割の表示】特願2011-99669(P2011-99669)の分割
【原出願日】2011年4月27日
(31)【優先権主張番号】10 2010 028 245.6
(32)【優先日】2010年4月27日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】305039194
【氏名又は名称】カルテンバッハ ウント ホイクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kaltenbach & Voigt GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ドゥシング
(72)【発明者】
【氏名】アルフォンス マダー
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン ステンフェル
【テーマコード(参考)】
4C052
5H605
【Fターム(参考)】
4C052AA11
4C052AA20
4C052BB02
4C052CC12
5H605AA04
5H605AA05
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC04
5H605DD32
5H605EB10
5H605EB34
(57)【要約】
【課題】
動作音及び振動を低減する。さらに早期に発生する摩耗又は故障を防止する。
【解決手段】
本発明は、モータハウジング(2)と、このモータハウジング(2)の内部に第1の軸受(6)及び第2の軸受(8)を介して軸(L)周りに回転可能に設けられた回転子(4)とを備える医療用、特に歯科用ハンドピース用の電気モータ装置に関する。固定子(14)が、軸(L)に対して回転子(4)周りに設けられている。第1の軸受(6)は第1の軸受フランジ(10)に収容され、第2の軸受(8)は第2の軸受フランジ(12)に収容される。2つの軸受フランジ(10,12)は金属から成り、その外周面(101,121)により直接モータハウジング(2)に隣接している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
−モータハウジング(2)と、
−このモータハウジング(2)の内部に第1の軸受(6)及び第2の軸受(8)を介して軸(L)周りに回転可能に設けられた回転子(4)と、
−前記軸(L)に対して前記回転子(4)周りに設けられた固定子(14)と、
−前記第1の軸受(6)が収容される第1の軸受フランジ(10)と、
−前記第2の軸受(8)が収容される第2の軸受フランジ(12)とを備える
医療用、特に歯科用ハンドピース用の電気モータ装置であって、
前記第1の軸受フランジ(10)が金属から成り、前記モータハウジング(2)に直接隣接して設けられた第1の外周面(101)を備え、
前記第2の軸受フランジ(12)が金属から成り、前記モータハウジング(2)に直接隣接して設けられた第2の外周面(121)を備える
ことを特徴とする電気モータ装置。
【請求項2】
前記固定子(14)が前記第1の軸受フランジ(10)と前記第2の軸受フランジ(12)との間にクランプ固定されて設けられ、前記モータハウジング(2)内で、好ましくは前記第1の軸受フランジ(10)及び前記第2の軸受フランジ(12)により前記軸(L)に対して径方向に心合わせされている、請求項1記載の電気モータ装置。
【請求項3】
先行する請求項のいずれか一項記載の電気モータ装置であって、さらに
−前記電気モータ装置の前記医療用ハンドピースとの結合のために、特に継手ピンの形状の継手部材を備え、
前記継手部材が前記モータハウジング
と一体に形成されている電気モータ装置。
【請求項4】
医療用、特に歯科用ハンドピース用の電気モータ装置であって、
−モータハウジング(2)と、
−このモータハウジング(2)の内部に軸受(6)を介して軸(L)周りに回転可能に設けられた回転子(4)とを備え、前記軸受(6)が軸受フランジ(10)に内包されて設けられ、
−さらに電気モータ装置が、前記軸(L)に対して前記回転子(4)周りに設けられた固定子(14)と、
−前記軸(L)周りに設けられた継手ピン(20)と、
−媒体をガイドするための第1の媒体ガイド部(30)とを備え、この第1の媒体ガイド部(30)が前記軸(L)に対して前記回転子(4)の径方向外側に伸び、
−さらに前記電気モータ装置が、前記継手ピン(20)内部に伸びる前記媒体をさらに前方にガイドするための第2の媒体ガイド部(32)を備え、
この第2の媒体ガイド部(32)が、前記第1の媒体ガイド部(30)に比べて、径方向に前記軸(L)にさらに近接して設けられ、
−さらに前記電気モータ装置が、前記第1の媒体ガイド部(30)と第2の媒体ガイド部(32)との間で前記媒体をガイドする結合のために媒体バイパス管(34)を備え、
この媒体バイパス管(34)が前記軸受フランジ(10)内に形成されていることを特徴とする電気モータ装置。
【請求項5】
さらに
−前記第1の媒体ガイド部(30)と前記媒体バイパス管(34)との間、又は前記媒体バイパス管(34)と前記第2の媒体ガイド部(32)との間のシールを行うためのシール座(36,36’)を備え、
前記シール座(36,36’)が前記軸受フランジ(10)及び/又は前記固定子(14)及び/又は前記継手ピン(20)内に形成され、好ましくは前記シール座にOリング(38)が設けられる請求項4記載の電気モータ装置。
【請求項6】
前記第1の媒体ガイド部(30)が前記固定子(14)の内部に一体に形成される
請求項4又は5記載の電気モータ装置。
【請求項7】
前記第1の媒体ガイド部(30)と前記媒体バイパス管(34)との間、又は前記媒体バイパス管(34)と前記第2の媒体ガイド部(32)との間のシールのために、前記軸受フランジ(10)に隣接する平面シールが設けられる
請求項4乃至6のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項8】
前記軸受フランジ(10)が、前記媒体バイパス管(34)の一部が形成される際に用いられる径方向の孔(40)を備える
請求項4乃至7のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項9】
前記孔(40)に、弾性を有する材料から成るホース部材(43)が設けられている
請求項8記載の電気モータ装置。
【請求項10】
前記ホース部材(43)の内部に突出し、このホース部材を径方向外側に前記媒体に対してシールするよう設けられたピン部材(44)をさらに備える
請求項9記載の電気モータ装置。
【請求項11】
前記媒体バイパス管(34)にダックビル弁が設けられた
請求項4乃至8のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項12】
前記軸受フランジ(10)が前記モータハウジング(2)と一体の構成要素である
請求項4乃至11のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項13】
医療器具部品、特に歯科器具部品であって、
−チタンから成る外側の表面を備え、
前記表面が硬化処理により強化される
ことを特徴とする医療器具部品。
【請求項14】
前記表面が熱化学拡散処理に基づき強化され、好ましくは熱化学拡散処理がいわゆる「酸素硬化処理」である
請求項13記載の医療器具部品、特に歯科器具部品。
【請求項15】
前記歯科器具部品がたとえばハンドピース又はアングルピースとした他の歯科器具部品との結合の目的で継手ピン(20)を備え、
前記外側の表面は前記継手ピン(20)の外側の表面である
請求項13又は14記載の歯科器具部品。
【請求項16】
−ハウジング(2’)と、
−このハウジング(2’)に取外し可能に設けられた器具部品(50’)とを備えた
歯科器具部品であって、
前記器具部品(50’)が前記ハウジング(2’)の外周面(60)を包括するように設けられた環状領域を備え、
前記外周面(60)には、好ましくは球状とした少なくとも1つの弾性を有する保持部(64)が内部に収容される凹部(62)が設けられ、
前記環状領域には、前記弾性を有する保持部(64)が嵌合する窪み部(66)が設けられている
ことを特徴とする歯科器具部品。
【請求項17】
前記弾性を有する保持部(64)が、前記凹部(62)により画定される容積の一部のみを埋めるよう前記凹部(62)が形成される
請求項16記載の歯科器具部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用、特に歯科用ハンドピース用の電気モータ装置に関する。電気モータ装置は、電気モータ、特に歯科用小型モータ、すなわちコンパクトに形成された電気モータであって、特に歯科医療用携帯型機器に使用するために設けられた電気モータを含む。かかる電気モータ装置は、以下において「歯科用モータ」又は「歯科用小型モータ」と略記される。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、医療用、特に歯科用ハンドピース及びアングルピース(以下において「ハンドピース」とも略記される)に継手を介して接続されるために設けられた医療用、特に歯科用電気モータ装置に関し、ハンドピースは回転可能に支承された工具を収容するために形成され、電気モータ装置が所定の方法でハンドピースに結合されている場合に、電気モータ装置により発生するトルクが工具に伝達されることが可能である。これに対応する装置はたとえば特許文献1から知られている。さらに、電気モータ装置に対してハンドピースに対向して、電気モータ装置又はハンドピースに供給を行う目的で使用され、噴霧の形成のための空気及び/又は水のような媒体が中を通って搬送されることを可能とした媒体導管を備えた供給ホースが、他の継手を介して接続される点が特に企図されることが可能である。さらに流体導管及び/又は光導管も供給ホース内に設けられることが可能である。
【0003】
かかる電気モータ装置においては、電気モータの回転子が運転条件においてできるだけ少ない回数の振動を行うことが望まれる。電気モータの長い耐用年数も望まれる。それゆえ通常、特に高速で動作する歯科用モータの場合には、ずれが生じないよう回転子のできるだけ正確な位置への取付けが求められる。
【0004】
先行技術から、ハンドピース継手を向いた面に回転子軸受位置が成型により形成されているモータハウジングを備え、またこのモータハウジングにおいて、対向する面すなわち「裏」面には、他の、すなわち「裏面の」取付フランジが心合わせされている上記に対応する電気モータ装置が知られている。特許文献2から、固定子本体内に直接軸受位置が一体形成されている上記に対応する電気モータ装置が知られている。この電気モータ装置の部品は一部困難を伴って製造される。また、理想的なモータ軸に対するずれの危険性が存在し、軸受座がモータコイル又は滅菌による熱の作用により変形を蒙ることで、上記以外にも軸受の玉軸受外輪が変形を蒙り軸受の配置がばねにより適正でないものとなる可能性がある。両者ともに動作音、振動さらに早期に発生する摩耗又は故障の増加につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第3332627A1号
【特許文献2】独国特許出願公開第102007048340A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎には、動作時にさらに少ない回数で振動しここでさらに長い耐用年数を有する上記に対応する電気モータ装置を提供するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従い、上記の課題は、独立請求項1に記載の発明の主題により解決される。本発明の好適な実施形態は、請求項1に従属する請求項に記載される。
【0008】
本発明に従い、モータハウジングと、さらに第1の軸受及び第2の軸受を介して軸周りに回転可能にモータハウジング内に設けられた回転子とを備えた医療用、特に歯科用ハンドピース用の電気モータ装置が設けられる。さらにこの電気モータ装置は、軸に対して回転子周りに設けられた固定子を備える。さらにこの電気モータ装置は、第1の軸受が収容される第1の軸受フランジと、第2の軸受が収容される第2の軸受フランジとを備える。第1の軸受フランジは金属から成り、直接モータハウジングに隣接する位置に設けられた第1の外側の表面を備える。第2の軸受フランジは金属から成り、同様に直接モータハウジングに隣接する位置に設けられた第2の外側の表面を備える。
【0009】
これにより、動作音及び振動が軽減される。さらに早期に発生する摩耗又は故障が防止される。
【0010】
固定子が第1の軸受フランジと第2の軸受フランジとの間にクランプ固定されてこの位置に設けられ、好ましくは第1の軸受フランジ及び第2の軸受フランジにより、軸に対してモータハウジングの径方向に心合わせされていると効果が得られる。巻き線の発熱を原因とする固定子の反り又は径の変化又は滅菌に伴う変形による軸受位置に対する悪影響は、防止又は大幅に軽減される。結果として、固定子の軸に沿った部分の長さ及び回転子の軸上の玉軸受の当接肩部間の距離により略決定される軸受負荷に関して、特に短い公差連鎖が得られる。
【0011】
電気モータ装置がさらに、電気モータ装置を医療用ハンドピースに接続する目的で、特に継手ピンの形状の継手部材を備え、この継手部材がモータハウジングと一体に形成されている場合に効果が得られる。
【0012】
媒体導管を通してたとえば水又は空気である媒体をハンドピースまで供給することは知られている。これにより、治療箇所冷却のための噴霧が形成されることが可能になる。特に、たとえば回転ツールのように、電気モータにより駆動されることが可能でありハンドピースに取付けられる付属品器具用に媒体が設けられる。媒体の供給は、先行技術に従い、まず供給ホースを貫通して、次いで電気モータ装置を貫通して、最後にハンドピース内で行われる。上記の目的で電気モータ装置内に媒体導管の第1の媒体ガイド部が設けられ、この第1の媒体ガイド部は回転軸、又は簡単に言えばモータの軸に平行に伸びている。通常はこの目的で、モータハウジングのカバー内部の磁気ヨークの外部の溝に位置をずらして設けられた管端部が設けられている。ハンドピースとの結合の目的で継手ピンを備えた電気モータ装置において、第2の媒体ガイド部が継手ピンを通過して伸びていることも知られている。それゆえ、第2の媒体ガイド部は通常、回転軸に対して第1の媒体ガイド部よりもさらに内側に伸びている。それゆえ、媒体をガイドしながら第2の媒体ガイド部と第1の媒体ガイド部とを結合しここで径方向の位置の違いを克服する媒体バイパス管が設けられる必要がある。先行技術から、湾曲管又はモータハウジング及び継手の前面の凹部に形成された媒体バイパス管を上記の目的で設けることは知られている。ここでは、複雑な形状のシール位置が発生することが問題となる。
【0013】
本発明の基礎にはさらに、第2の側面に従い、媒体バイパス管の部分のシールとの関連で改善がなされた上記に対応する電気モータ装置を提供する課題がある。
【0014】
本発明に従い、上記の課題は、請求項4に記載の発明の主題により解決される。特殊な実施形態は、請求項4に従属する請求項に記載される。
【0015】
本発明の第2の側面に従い、モータハウジングと、さらに軸受を介して軸周りを回転可能にモータハウジング内に設けられた回転子とを備え、軸受が軸受フランジに内包されて設けられた医療用、特に歯科用ハンドピース用電気モータ装置が設けられる。電気モータ装置はさらに、軸に対して回転子周りに設けられた固定子を備えている。電気モータ装置はさらに、軸周りに設けられた継手ピンと媒体のガイドのための第1の媒体ガイド部とを備え、第1の媒体ガイド部が軸に対して回転子の径方向外側に伸びている。電気モータ装置はさらに、継手ピン内部を伸びている媒体をさらに前方にガイドするための第2の媒体ガイド部を備え、第2の媒体ガイド部が第1の媒体ガイド部より径方向に軸に近接した位置に設けられ、さらに電気モータ装置は、媒体をガイドしながら行われる第1の媒体ガイド部と第2の媒体ガイド部との結合のための媒体バイパス管を備える。ここで、媒体バイパス管は軸受フランジ内部に形成されている。
【0016】
これにより、媒体バイパス管部分のシールが簡略化される。
【0017】
好ましくは、電気モータ装置はさらに、第1の媒体ガイド部と媒体バイパス管との、さらに媒体バイパス管と第2の媒体ガイド部とのシールを行う目的でシール座を備え、シール座は軸受フランジ及び/又は固定子及び/又は継手ピン内に形成され、好ましくはシール座にOリングが設けられる。
【0018】
好ましくは、第1の媒体ガイド部は固定子内に一体的に形成される。
【0019】
効果が得られるとして、電気モータ装置が、第1の媒体ガイド部と媒体バイパス管との、又は媒体バイパス管と第2の媒体ガイド部とのシールを行う目的で、軸受フランジに隣接する平面シールを備えることが企図されることも可能である。
【0020】
好ましくは、軸受フランジは、媒体バイパス管の一部が形成される際に用いられる径方向の孔を備える。
【0021】
先行技術から、媒体、すなわちたとえば水が、ハンドピースから電気モータ装置又は供給ホースへと反対方向に吸引されるか又は逆流する事態を防止する際に用いられる逆流防止手段を媒体バイパス管に設けることが知られている。ここで、逆流防止手段を、モータハウジングの内部に保護された状態で軸方向に設けられたダックビル弁として形成することが知られている。ここで、上記の措置により電気モータ装置の長さが、回転軸の方向にさらに延長されて形成される必要があるという問題が発生する。択一的に、供給圧が加えられた場合に限り開放されるOリングが継手ピンの排気口に設けられることにより逆流防止手段を形成するということも知られている。しかし、ここでは上記のOリングがハンドピースへの接続のための洗浄及び/又は嵌合工程により損傷を受けるか又はその所定の位置から離れた位置に移動してしまう危険性がある。
【0022】
本発明に従い、好ましくは軸受フランジ内の径方向に伸びる孔内に、弾性を有する材料から成るホース部材が設けられる。これにより、保護された状態でさらにここで省スペースで設けられた逆流防止手段が形成されることが可能となる。上記の弾性を有する材料は、たとえばゴム、シリコン又はバイトンとすることが可能である。ホース部材は、好ましくは孔の内壁に当接し、外力の作用を受けずに、固定子側からの媒体用の吸気口をシールするよう設けられる。残留応力により、ホース部材は、内壁に当接することが可能となり、吸気側から圧力が加えられた場合には、ホース部材が内壁から持ち上がり媒体がハンドピース方向に流れることを可能ならしめることが可能となる。これに応じて、無圧状態ではホース部材が内壁に当接し吸気口をシールすることで、媒体が固定子又は供給ホースへと逆流することができなくなる。
【0023】
電気モータ装置は、好ましくはさらに、ホース部材内に突出しこのホース部材を径方向外側に媒体に対してシールするよう設けられたピン部材を備える。これにより、特にホース部材がもっぱら限定的に内壁から持ち上がり得る点が達成される。さらにピン部材は、軸受フランジの周に対して径方向に孔をシールすることが可能である。
【0024】
上述の解決法に対して択一的に、媒体バイパス管内にもダックビル弁が設けられることが可能となる。さらに、軸受フランジをハウジング内に一体に形成する可能性もある。
【0025】
本発明はさらに、チタンから成る外側の表面を備える歯科器具部品に関する。歯科器具部品はたとえば、電気モータ装置、特に以上で説明された電気モータ装置とすることが可能である。
【0026】
先行技術から、歯科器具(ハンドピース及びアングルピース、タービン)のハウジング及びスリーブ、さらに歯科用モータにも、たとえばステンレス鋼、真鍮、アルミ又はチタンとした金属材料を用いることが知られている。高級感ある外観のイメージ及び一定の摩耗からの保護を達成するために、鋼鉄又は真鍮製の部品の表面が、ケミカルコーティング又はガルバニックコーティング(NiCr)又はPVDコーティング(PVD:物理蒸着)により精製されることで、消毒又は熱消毒及び滅菌といった処理方法に対する保護が与えられる。ここで、PVDコーティングが比較的高額の装置のコストを必要とし高価になるという問題が存在する。また、ここで達成可能な膜厚は数マイクロメートルにすぎない。さらに、膜は、基材を十分に前処理(たとえば洗浄)していないか又は機械的応力(たとえば変形)を受けている場合に、剥離する危険性がある。上記の鋼/真鍮製のハウジング部品のもう一つの不都合は、その比較的重くなる重量にある。
【0027】
アルミ製のハウジング及びスリーブは、低コストで製造され、比較的小さい質量を有する。この場合、硬質陽極酸化皮膜により、表面が摩耗に対しても保護されることが可能である。しかしながら、表面は器具の処理時に使用される媒体に対して、長期にわたって耐久性を有さない。
【0028】
チタン製のハウジング及びスリーブは、比較的小さい質量を有する。チタンは追加でコーティングを施さないと、器具の処理との関連で使用される媒体及び方法による腐食に対して耐久性を有さない。さらにチタンは優れた生体適合性を有することで、特に、患者においても利用者においてもアレルギー反応を危惧する必要がない。しかしながら、摩耗に対する保護は限定的である。さらに、擦傷などの使用の痕跡により外観のイメージが損傷を受けることがある。
【0029】
歯科用継手(たとえばMultiflex、Intramatic)の継手ピン表面に対しては、耐摩耗性又は耐擦傷性に関して非常に高い要件が呈示されている。ここで、動作時にも硬質の物質、すなわちたとえばハンドピース及びアングルピース又はタービンを取付けることにより変質することにつながらない又は変質することが発生し得ない密接な嵌合が求められる。対応する交換器具の取付けは、歯科医の治療行為においてかなり頻繁に行われる。上記のような高負荷を受ける部品の摩耗及び「圧迫」を回避する目的で、上記の部品は鋼鉄から製造され強化される。ここで、増大した重量による上記の原因で発生する人間工学上の不都合が考慮される。チタン及びその合金は一般的に低いトライボロジー特性を有する。この点は、比較的高い摩擦係数、凝着摩耗、さらに「圧迫」の強い傾向に表れている。それゆえ、継手ピンにはチタン及びその合金は使用されない。
【0030】
歯科器具(ハンドピース及びアングルピース、タービン)及びモータ(エアモータ又は電気モータ)において、重量、さらに器具の処理時に使用される媒体(高温の蒸気;アルカリ性又は酸性の洗浄剤;炭化水素化合物その他)及び方法(温度、圧力、真空)に対して好適な耐性を有する堅固かつ耐擦傷性の表面、さらに優れた触感のような人間工学的側面は決定的である。
【0031】
それゆえ、他の側面に従い、本発明の基礎には、器具の処理により損傷を受けず、この点で人間工学的に改善された医療器具部品、特に歯科器具部品を提供するという課題がある。
【0032】
上記の課題は、請求項13に記載の発明の主題により解決される。本発明の好適な実施形態は、請求項13に従属する請求項に記載される。
【0033】
本発明の上記の側面に従い、チタンから成る外側の表面を備える医療器具部品、特に歯科器具部品が設けられる。かかる歯科器具部品はたとえば、以上で説明された電気モータ装置とすることが可能である。ここで、表面は硬化処理により強化される。
【0034】
これにより、医療器具部品が特に軽量に形成されることで、この部品が特に大きい効果をもたらすよう形成されることが可能となる点が達成される。さらに、この部品は特に高い耐擦傷性及び耐摩耗性を有し、特に低いコールドラップ傾向を有する。さらに、この医療器具部品は、たとえばオートクレーブでの熱消毒又は高温蒸気滅菌のような、通常使用される処理方法又は手法に対して特に耐性を有する。
【0035】
ここで、表面が熱化学拡散処理に基づき強化され、好ましくは熱化学拡散処理がいわゆる「酸素硬化処理」である場合に効果が得られる。
【0036】
特に好ましくは、歯科器具部品が、他の歯科器具部品、たとえばハンドピース及びアングルピースとの結合の目的で設けられた継手ピンを備え、外側の表面は継手ピンの外側の表面である。
【0037】
歯科器具、特にエアモータ又は電気モータは、たとえばハロゲンランプ又はLEDのように、定期的にメンテナンスを受ける必要があるか又は交換に際して、たとえば修理の場合には容易に接触可能である必要がある部品を含んでいる。
【0038】
迷光を回避し電気接点を保護する目的で、ハロゲンランプ及びその接続プラグはスリーブ又は保護キャップその他を用いて保護された状態で器具内に設けられている。
【0039】
ここでたとえば、ねじ装置によりスリーブをモータハウジングに固定することが知られている。ここで、ねじ摩擦を克服するために加える必要のあるような比較的小さい力で、薄手で長さの短いねじリングが変形され、それゆえさらに強力にねじに固着するという問題が発生する。ねじ結合の解除は、周全体に略均等に配分された圧力を用いてはじめて可能となる。通常は結合解除の目的で2本の指が用いられるが、2本の指で上記に対応した均一な圧力を生成するのは比較的困難である。さらに、実際には間違った洗浄及びメンテナンスにより汚れが堆積することがあり、これにより結合解除には上記に比べて明らかに大きい力が必要となることになる。従って、「変形したスリーブ及び結合解除の問題」の影響はさらに増幅される。
【0040】
さらに、スリーブ又は保護キャップが固定され弾性を有するピン/ボールを介して保持されることは、先行技術から知られている。この場合スリーブはある程度の汚れがある場合でも取り外される。しかしながら、シリンダばねを備えたピン/ボールの構成は、径方向に拡張されたスペースが必要となり、全体にコンパクトな構成と矛盾する。この解決法においても、ボール可動域内の不十分なメンテナンスを原因とする汚れ、堆積物その他の浸入時には、保護スリーブの取外しは困難となる。
【0041】
さらに、スリーブ又は保護キャップをアンダーカットで固定することが知られているが、結合解除の際にスリーブが圧迫又は変形を受ける。本体上の楕円状又は扁平状の座面への環状のスリーブの固定は、薄手で長さの短いスリーブ及び保護キャップにとっては優れた解決法である。結合解除の際にスリーブの可動域に汚れ又は堆積物が蓄積することが原因で、スリーブの上記のような結合解除は、変形し本体の楕円形の形状に合わせることで困難なものとなるか又は阻害される。また、ここでスリーブの後部が本体の溝から持ち上がる。
【0042】
それゆえ、本発明の基礎にはさらに、スリーブ又は保護キャップその他の改善された保持機構を備えた医療器具部品、特に歯科器具部品を提供するという課題がある。
【0043】
上記の課題は、請求項16に記載の発明の主題により解決される。特殊な実施形態は、請求項17に記載される。
【0044】
本発明の上記の側面に従い、ハウジングとこのハウジングに取外し可能に設けられた器具部品とを備えた歯科器具が設けられる。ここで器具部品は、ハウジングの外周面を包括するように設けられた環状領域を備える。外周面には、好ましくは球状とし弾性を有する少なくとも1つの保持部が収容されている凹部が設けられ、環状領域には弾性を有する保持部が嵌合する窪み部が設けられている。
【0045】
こうして、2本の指でさらに力強く押さえた場合、さらに不十分なメンテナンスを原因とする器具部品とハウジングとの間のギャップの堆積物及び汚れの影響を受けている場合にも、容易かつ信頼性をもって開閉を行うことができる保持機構が創出される。かかる保持機構はたとえば、電気モータ装置にたとえば設けられる薄壁のスリーブ又は保護キャップの形状の器具部品に特に適している。
【0046】
好ましくは上記の凹部は、弾性を有する保持部がこの凹部により画定される容積の一部のみを埋めるよう形成される。こうして、器具部品の取外し又は取付けの際に弾性を有する保持部の変形のために提供される「変形スペース」が凹部内に形成される。
【0047】
本発明は、以下において実施形態に基づき、図面を参照してさらに詳細に説明される。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】金属製の軸受フランジを備えた本発明に記載の電気モータ装置の一実施の形態の長手方向での断面図である。
【
図2】媒体バイパス管を備えた本発明に記載の電気モータ装置の一実施の形態の長手方向での断面図である。
【
図3】
図2に示された軸受フランジが分離された状態を示した図である。
【
図4】一体に形成された軸受フランジを備えた
図2に示された電気モータ装置の変更形態を示した図である。
【
図5】逆流防止手段を備えた
図2に示された電気モータ装置の変更形態を示した図である。
【
図7】逆流防止手段を備えた
図2に示された電気モータ装置の他の変更形態を示した図である。
【
図10】上記に関連する長手方向での断面図である。
【
図12】上記に関連する長手方向での断面図である。
【
図13】Multiflex継手を備えたタービンの斜視図である。
【
図14】上記に関連する電気モータ装置を備えたハンドピース及びアングルピースの斜視図である。
【
図15】器具部品用の保持機構を備えた歯科器具の原理の概略図である。
【
図16】スリーブ用の本発明に記載の保持機構を備えた電気モータ装置の長手方向での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1には、本発明に記載の電気モータ装置の第1の実施形態の長手方向での断面図が示されている。この電気モータ装置は、モータハウジング2と、このモータハウジング2の内部に第1の軸受6及び第2の軸受8を介して軸L周りに回転可能に設けられた回転子4とを備える。さらに電気モータ装置は、軸Lに対して回転子4周りに設けられた固定子14を備える。固定子14は、プラスチックを有することが可能である。さらに電気モータ装置は、第1の軸受6が収容される第1の軸受フランジ10と、第2の軸受8が収容される第2の軸受フランジ12とを備える。
【0050】
第1の軸受フランジ10は、金属から成るか又は金属から形成され、モータハウジング2に直接隣接して設けられた第1の外周面101を備える。第1の外周面101は、軸Lに対して外側を向き、モータハウジング2の内側を向いた面に隣接している。第2の軸受フランジ12もまた、金属から成るか又は金属から形成され、モータハウジング2に直接隣接して設けられた第2の外周面121を備える。第2の外周面121は、軸Lに対して外側を向き、モータハウジング2の他の面又は内側を向いた面に隣接している。
【0051】
第1の軸受6及び第2の軸受8は、それぞれ玉軸受とすることが可能である。2つの軸受6,8は、それぞれ直接それぞれの軸受フランジ10,12に隣接する、すなわち軸受フランジ10,12に内包されているとすることが可能である。
【0052】
好ましくは、モータハウジング2は一体に形成されている。
【0053】
固定子14が、第1の軸受フランジ10と第2の軸受フランジ12との間にクランプ固定されて設けられると効果が得られる。ここで、固定子14が一方で直接第1の軸受フランジ10に、他方で同じく直接第2の軸受フランジ12に隣接していると効果が得られる。さらに、固定子14は、モータハウジング2内で、好ましくは第1の軸受フランジ10及び第2の軸受フランジ12により軸Lに対して径方向に心合わせされている。たとえば熱膨張により発生する可能性のある固定子14の形状又は大きさの変化は、上記の配置により2つの軸受6,8には直接影響しない。滅菌の場合の電気モータ装置の脆弱性も、上記により大幅に軽減される。全体として、上記から、電気モータの動作時にさらに少ない振動が発生することになる。
【0054】
図示した実施形態に当てはまるとおり、電気モータ装置はさらに、具体的には電気モータ装置の医療用又は歯科用ハンドピースとの結合を目的とした、特に継手ピン20の形状の継手部材を備えることが可能である。ここで好ましくは、継手部材又は継手ピン20は、モータハウジング2と一体に形成されている。これにより振動又は動作音が大幅に軽減される。
【0055】
たとえば
図1から読み取れるとおり、第1の軸受フランジ10と第2の軸受フランジ12とがそれぞれ別体に形成されることが企図されることが可能である。さらに第1の軸受フランジ10が、第1の軸受6の当接肩部102を備え、第2の軸受フランジ12が、具体的には第2の軸受8との当接のために、他の当接肩部122を備えるとすることが可能である。
【0056】
第1の軸受6と第1の軸受フランジ10との間には、シールの目的で第1のOリング16が設けられることが可能であり、同様に第2の軸受8と第2の軸受フランジ12との間には、第2のOリング18が設けられることが可能である。
【0057】
図2には、媒体バイパス管を備えた電気モータ装置の一実施形態が示されている。符号は同様の形で使用される。以下において別途説明がない限り、電気モータ装置は、上記の
図1との関連で説明したとおりに実施することが可能である。
【0058】
電気モータ装置は、モータハウジング2と、このモータハウジング2の内部に軸受6を介して軸L周りに回転可能に設けられた回転子4とを備え、軸受6は軸受フランジ10に内包されて設けられている。さらに電気モータ装置は、軸Lに対して回転子4周りに設けられた固定子14と、軸L周りに設けられた継手ピン20とを備えている。さらに電気モータ装置は、媒体をガイドするための第1の媒体ガイド部30も備え、この媒体ガイド部30が軸に対して回転子の径方向外側に伸び、さらに継手ピン20内部に伸びている媒体をさらに前方にガイドするための第2の媒体ガイド部32も備えている。ここで、第2の媒体ガイド部32は、第1の媒体ガイド部30に比べて、径方向に軸Lにさらに近接して設けられている。さらに電気モータ装置は、第1の媒体ガイド部30と第2の媒体ガイド部32との間で媒体をガイドする結合のために媒体バイパス管34を備え、この媒体バイパス管34が軸受フランジ10内に形成されている。軸受フランジ10内に形成したことで、一方では第1の媒体ガイド部30−媒体バイパス管34間、さらに他方では媒体バイパス管34−第2の媒体ガイド部32間の移行部分のシールがさらに容易又はさらに好適に形成される。
【0059】
たとえば、軸受フランジ10が分離された状態で図示されている
図3から読み取れるとおり、電気モータ装置は、媒体バイパス管34と第2の媒体ガイド部32との間のシールを行うためのシール座36及び/又は第1の媒体ガイド部30と媒体バイパス管34との間のシールを行うための
図2に例示的に示された他のシール座36’を備えるとすることが可能である。シール座36は、
図2及び
図3に示されたとおり、軸受フランジ10内に形成されている。他のシール座36’は、固定子14の内部に形成されることが可能である。択一的に、同様のシール座が継手ピン20内に形成されることも可能である。好ましくは、シール座36又は他のシール座36’には、Oリング38又は38’が設けられる。
【0060】
軸受フランジ10は、上記の
図1との関連で「第1の軸受フランジ」と表記された軸受フランジ10に対応するものとすることが可能である。軸受フランジ10は、好ましくは互いに対して平行に形成された第1の平面103と第2の平面104とを備える。特に、第1の平面103及び第2の平面104は、それぞれ軸Lに対して垂直に形成されることが可能である。媒体バイパス管34は第1の平面103と第2の平面104との間に形成されることが可能である。第1の平面103及び第2の平面104は、上記において「第1の」外周面101と表記された外周面101まで、径方向外側に伸びることが可能である。
【0061】
さらに軸受フランジ10は、好ましくは直接第2の平面104から、継手ピン20に対向する面まで伸びるハブ105を備え、ハブ105は外周面101より短い長さを伸び、径方向に軸受6を取り囲み、それゆえ言い換えると軸受6がハブ105の部分において軸受フランジ10に内包されている。
【0062】
さらに
図2に例示的に示したとおり、第1の媒体ガイド部30が固定子14の内部に一体に形成されることが可能である。これにより電気モータ装置の省スペースかつコンパクトな形状が実現される。
【0063】
第1の媒体ガイド部30と媒体バイパス管34との間、又は媒体バイパス管34と第2の媒体ガイド部32との間のシールのために、択一的に(図示せず)軸受フランジ10に隣接する平面シールが設けられることも可能である。
【0064】
軸受フランジ10が、媒体バイパス管34の一部が形成される際に用いられる径方向の孔40を備えると効果が得られる。孔40は、特に第1の平面103と第2の平面104との間に設けられることが可能である。さらに、軸受フランジ10に、特に軸Lに平行に形成することが可能であり固定子14と径方向の孔40との結合に用いられ、それゆえ固定子の側からのいわゆる吸気口となる第2の孔41が設けられることが可能である。これに対応して、径方向の孔40と継手ピン20との結合に用いられる第3の孔42が設けられることが可能である。
図3から読み取れるとおり、第3の孔42から直接シール座36が形成されることが可能である。
【0065】
図2の実施形態の第1の変更形態が
図4に示され、同一の部材には同一の符号が与えられている。この場合軸受フランジは別体の部品から形成されず、ハウジング2と一体の構成要素である。ここでもハウジング2の前部には、2つの孔40’及び41’が形成され、これらの孔を介して最終的には第1の媒体ガイド部30と第2の媒体ガイド部32との結合が達成される。軸受フランジを形成する別体の部品を省略すると、シールによる結合位置を少なくすることにつながり、最終的には操作時の安全性の向上、製造の簡略化さらに製造コストの低減につながる。
【0066】
図5には、媒体バイパス管34に逆流防止手段が設けられた変更形態が示されている。
図6は、
図5の詳細図である。ここで、径方向の孔40に、弾性を有する材料から成るホース部材43が設けられている。ホース部材43は、ゴム、シリコン又はバイトンから成り、外力の影響がない時に、固定子14の側からの媒体に対して第2の孔41を閉塞するが、吸気側からの圧力が発生した場合に内壁から持ち上がって媒体がハンドピースの方向に流れるよう径方向の孔40の内壁に当接するよう形成されている。それゆえ媒体が継手ピン20から固定子14又は供給ホースの方向に逆流することができなくなり、もって逆流防止手段が形成される。
【0067】
ここでさらに、ホース部材43の内部に突出し、このホース部材を径方向外側に媒体に対してシールするよう形成されたピン部材44が設けられると効果が得られる。好ましくは、ホース部材43がピン部材44により支持され、もっぱら限定的に径方向の孔40の内壁から持ち上がることが可能となるようピン部材44が形成される。ピン部材44はさらに、孔40を軸受フランジ10の外周に対して径方向に閉塞することが可能である。
【0068】
ピン部材44の使用の代わりとして、
図7及び8に示されたとおり、ダックビル弁により逆流防止手段が形成されることが可能である。この場合、ダックビル弁44’の収容を可能にするために、孔41’が上記の実施形態より若干長い長さかつ大径に形成される。ここでも同様に、軸受フランジは、
図7及び8に示したハウジング2と一体の構成要素とすることも、
図3に記載の実施形態と同様に、別体の部材から形成されることも可能である。さらに、ダックビル弁44’を径方向の孔40’の内部に設けることも考え得る。
【0069】
図9及び10には、歯科器具部品の斜視図が示され、
図10には関連の長手方向の断面が示されている。この2つの図において例示的に示されているとおり、歯科器具部品は電気モータ装置とすることが可能である。この歯科器具部品は、チタンから成る表面を有する。表面は硬化処理により強化されている。特に、表面は熱化学拡散処理に基づき強化されている。
【0070】
チタンの熱化学拡散処理には、ガス窒化、レーザー・ガス窒化、ガス軟窒化、ホウ酸化、酸化が含まれる。熱化学拡散処理は、好ましくはいわゆる「酸素硬化処理」(ODH:Oxygen Diffusion Hardening)である。上記のコーティングが一次材から形成されているため、この膜は、PVD膜とは異なり、剥離する傾向を示さない。材料とは異質なコーティング材料は使用されていない。膜厚は、曝露時間、温度及び圧力といった処理パラメータを介して制御可能である。強化表面は特に好適な生体適合性を有する。
【0071】
特殊なトライボロジー要件に対応して、熱化学拡散処理を用いて生成された表面膜は、DLC樹脂コーティング「ダイヤモンドライクカーボン」(PVD法)又は高純度CVDダイヤモンドコーティングの支持構造として使用される。
【0072】
好ましくは、歯科器具部品は、たとえばハンドピース又はアングルピースとした他の歯科器具部品との結合の目的で継手ピン20を備え、外側の表面は継手ピン20の外側の表面である。ハンドピースの取付け又は取外しにより、継手ピン20では負荷が非常に大きくなる。継手ピン20のみが強化されることが企図されることも可能であるが、モータハウジング2もこれに応じて強化されることが企図されることも可能である。
【0073】
ODH法による強化により生成された膜厚は、5乃至25マイクロメータとすることが可能である。得られる表面硬度は、たとえば500乃至1000HVの範囲とすることが可能である。
【0074】
熱化学拡散処理がホウ酸化である場合には、強化により生成された膜厚は、2乃至25マイクロメータとすることが可能である。得られる表面硬度は、たとえば2000乃至4000HVの範囲とすることが可能である。
【0075】
熱化学拡散処理が窒化である場合には、強化により生成された膜厚は、2乃至10マイクロメータとすることが可能である。得られる表面硬度は、たとえば800HVを上回るとすることが可能である。
【0076】
図9及び10に示された例においては、電気モータ装置はスリーブ50を備えている。軽量化の目的で、継手ピン20又は継手、スリーブ50及びモータハウジング2の各部品は、チタンから成ることが可能である。「圧迫」を回避する目的で、継手ピン20の表面は上述の方法で強化される。耐擦傷性の表面を得る目的で、スリーブ50及び/又はモータハウジング2もまた、チタンにより強化されることが可能である。
【0077】
図11及び12には、モータハウジング2及び継手ピン20が上述のとおり強化チタン表面を備える例が示されている。ここで、モータハウジング2及び継手ピン20が一体に又は単一の部品として形成されることが可能である。
【0078】
図13には、タービンハウジング52及びMultiflex継手の継手ピン54がチタンにより強化されている、Multiflex継手を備えたタービンの概略が示されている。
図14には、上記に関連する電気モータ装置を備えたハンドピース及びアングルピース56の概略が示されている。ハンドピース及びアングルピース56、継手ピン20及びモータハウジング2が、チタンにより強化されることが可能である。
【0079】
図15には、歯科器具用の本発明に記載の保持機構の原理を示す概略図が示されている。歯科器具は、以上で説明した本発明に記載の電気モータ装置のモータハウジング2とすることが可能であるハウジング2’を備える。さらに歯科器具は、ハウジング2’に取外し可能に設けられた器具部品50’を備える。器具部品50’はたとえば、以上で説明したスリーブ50とすることが可能である。器具部品50’は、ハウジング2’の外周面60を包括するように設けられた環状領域を備える。環状領域はたとえば、上記軸L周りに伸びることが可能である。
【0080】
外周面60には、好ましくは球状とした少なくとも1つの弾性を有する保持部64が内部に収容される、たとえば盲孔又は溝とした凹部62が設けられる。弾性を有する保持部は弾性を有するゴム部とすることが可能であり、それゆえたとえば保持部64として、たとえばFKMからなるゴムボールが設けられることが可能である。器具部品50’の環状領域には、少なくとも1つの弾性を有する保持部64が嵌合する窪み部66が設けられている。弾性を有する保持部64が、凹部62により画定される容積の一部のみを埋めるよう凹部62が形成されると効果が得られる。
【0081】
効果が得られるとして、複数の、たとえば3つの同様に形成された球状の保持部64が設けられることが可能であり、この球状の保持部は、周の向こう側に好ましくは均等に設けられ、それゆえたとえば球状の保持部64が3つの場合には120°ずつ位置をずらして設けられている。ここで、球状の保持部64の各々に対して、それぞれ1つの盲孔が設けられることが可能である。溝の場合には、この溝は周全体の向こう側まで伸びることが可能である。1つの空洞又は複数の空洞がこれに対応して設けられることが可能である。
【0082】
器具部品50’には、好ましくは面取りが施された窪み部66又はアンダーカットに移行する傾斜が好ましくは設けられる。器具部品50’又はスリーブの取付けの際には、保持部64が変形され、アンダーカット66に係合する。特に径方向に作用するらせんばねは必要とならない。
【0083】
結合解除の際には、保持部64が取外し時の圧力下で変形され、器具部品50’が再度取外し可能となる。
【0084】
好ましくは、
図15から読み取れるとおり、窪み部66は、その長手方向の断面形状で保持部64の形状に合わせられる。ここで、器具部品50’が所定のとおりハウジング2’に結合される場合に、球状の保持部64が無負荷状態となるような形状であると効果が得られる。この無負荷状態において、保持部64の各々は最大の体積を有する。この体積は、器具部品50’の取付け及び取外し時に、保持部64の変形の目的で利用される。好ましくは、保持部64は盲孔の形状の凹部62内に収容されており、この凹部の外周線において浸入してくる液体及び汚れからシールする。
図15との関連で、「下方」、すなわち一般的には上記の外周線又は外周面の径方向内側では、対応する保持部64が平板状の構造体又は支持面上に戴置されることが可能となるよう、盲孔62が形成され、器具部品50’の取外し及び取付け時に、保持部64の変形のために利用される外周線と構造体又は支持面との間のフリースペース、すなわちいわゆる「変形スペース」68が形成される。
【0085】
Oリングを用いたスナップ結合と比較して、上記の保持機構は、取外し及び取付け時に必要となる接合力が小さくなるよう形成される。公差要件はさらに低くなる。さらに大型のアンダーカットが形成されることが可能であり、このことが機能の信頼性に貢献する。
【0086】
器具部品50’が取付け又は取外し時に回転された場合には、さらに必要となる力が低減される。その理由は、この際球状の保持部64が、傾斜の少ない方の線上の斜面に向かって移動し、この斜面に接触することにある。
【0087】
図16には、本発明に記載の保持機構又は本発明に記載のスナップ結合を介してハウジング2’に設けられ保持されているスリーブ50’を備えた上記に対応する電気モータ装置の長手方向での断面図が示されている。
図17には、球体64がスリーブ50’の溝に嵌合する状況が拡大して示されている。
【0088】
図18には、ゴムボールの形状の3つの保持部64が、周上に均等に配分されている、すなわち120°間隔で設けられている状況を把握する断面図が示されている。符号70でLEDパネルが、符号72でLEDユニットの接点が示されている。
【符号の説明】
【0089】
2 モータハウジング
4 回転子
6 第1の軸受
8 第2の軸受
10 第1の軸受フランジ
12 第2の軸受フランジ
14 固定子
16 ロリング
18 ロリング
20 継手ピン
101 第1の外周面
102 当接肩部
121 第2の外周面
122 当接肩部
【手続補正書】
【提出日】2015年5月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用ハンドピース用の電気モータ装置であって、
モータハウジング(2)と、
このモータハウジング(2)の内部に軸受(6)を介して軸(L)周りに回転可能に設けられた回転子(4)と
を備え、
前記軸受(6)が軸受フランジ(10)に内包されて設けられ、
さらに当該電気モータ装置が、
前記軸(L)に対して前記回転子(4)周りに設けられた固定子(14)と、
前記軸(L)周りに設けられた継手ピン(20)と、
媒体をガイドするための第1の媒体ガイド部(30)と
を備え、
この第1の媒体ガイド部(30)が前記軸(L)に対して前記回転子(4)の径方向外側に伸び、
さらに前記電気モータ装置が、前記継手ピン(20)内部に伸びる前記媒体をさらに前方にガイドするための第2の媒体ガイド部(32)を備え、
この第2の媒体ガイド部(32)が、前記第1の媒体ガイド部(30)に比べて、径方向に前記軸(L)にさらに近接して設けられ、
さらに当該電気モータ装置が、前記第1の媒体ガイド部(30)と第2の媒体ガイド部(32)との間で前記媒体をガイドする結合のために媒体バイパス管(34)を備え、
この媒体バイパス管(34)が前記軸受フランジ(10)内に形成されている、
ことを特徴とする電気モータ装置。
【請求項2】
当該電気モータ装置は、さらに、前記第1の媒体ガイド部(30)と前記媒体バイパス管(34)との間、又は前記媒体バイパス管(34)と前記第2の媒体ガイド部(32)との間のシールを行うためのシール座(36,36’)を備え、
前記シール座(36,36’)が前記軸受フランジ(10)及び/又は前記固定子(14)及び/又は前記継手ピン(20)内に形成された、
請求項1記載の電気モータ装置。
【請求項3】
前記シール座にOリング(38)が設けられる、
請求項2記載の電気モータ装置。
【請求項4】
前記第1の媒体ガイド部(30)が前記固定子(14)の内部に一体に形成される
請求項1〜3のいずれかに記載電気モータ装置。
【請求項5】
前記第1の媒体ガイド部(30)と前記媒体バイパス管(34)との間、又は前記媒体バイパス管(34)と前記第2の媒体ガイド部(32)との間のシールのために、前記軸受フランジ(10)に隣接する平面シールが設けられる
請求項1〜4のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項6】
前記軸受フランジ(10)が、前記媒体バイパス管(34)の一部が形成される際に用いられる径方向の孔(40)を備える
請求項1〜5のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項7】
前記孔(40)に弾性を有する材料から成るホース部材(43)が設けられている
請求項6記載の電気モータ装置。
【請求項8】
当該電気モータ装置は、前記ホース部材(43)の内部に突出し、このホース部材を径方向外側に前記媒体に対してシールするよう設けられたピン部材(44)をさらに備える 請求項7記載の電気モータ装置。
【請求項9】
前記媒体バイパス管(34)にダックビル弁が設けられた
請求項1〜8のいずれか一項記載の電気モータ装置。
【請求項10】
前記軸受フランジ(10)が前記モータハウジング(2)と一体の構成要素である
請求項1〜9のいずれか一項記載の電気モータ装置。