【実施例】
【0029】
以下に、実施例及び参考例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に記載しない限り、実施例中の%は全て重量%を表す。また、以下、薬剤であるエプタゾシン、トラマドール、ペンタゾシン等について、特に塩であることを記載していない場合は、フリー体であることを意味する。なお、以下、エプタゾシンをEPZ、トラマドールをTRD、ペンタゾシンをPTZとだけ略記することがある。
【0030】
参考例1.マトリックス型貼付剤
1.アクリル系粘着剤の調製
アセトン21.0 g、エタノール11.7 g及び2-プロパノール2.3 gをビーカーに量り取り、撹拌して均一に混和した。ここに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE (Eudragit E PO、エボニックデグサジャパン社製)42.2 gを撹拌しながら少量ずつ加え、溶解させた。その後、可塑剤であるセバシン酸ジブチル19.0 gをすばやく加え、10分間撹拌した。最後に、架橋剤であるコハク酸3.8 gを撹拌しながら少量ずつ加えて固形成分を完全に溶解させ、Eudragit E粘着剤(固形成分含量65%)とした。
【0031】
2.貼付剤の調製
サンプル管にエプタゾシン(EPZ) 49.99 mg(10%)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)50.21 mg(10%)及びモノカプリル酸グリセリン(GEFA-C
8)24.64 mg(5%)をそれぞれ秤取し、少量のアセトン又はメタノールを加えて溶解させた。ここに、上記のEudragit E粘着剤600.8 mg(固形成分390.5 mg)を加え、混合撹拌した。この溶液を平面ガラス板上に固定した支持体(Scotchpak 9732 Backing、スリーエムヘルスケア社製)上に、フィルムアプリケーターを用いて厚さ200μmで塗工した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃で20分間乾燥した後、剥離フィルム(Scotchpak 1022 Release Liner、スリーエムヘルスケア社製)のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、10% EPZ含有貼付剤とした。
【0032】
また、Eudragit E POの代わりにEudragit RS PO及びEudragit RL POを1対4の割合で混合したEudragit RS/RL (1 : 4)粘着剤、Eudragit RS PO及びEudragit RL PO を1対1の割合で混合したEudragit RS/RL (1 : 1)粘着剤、或いは他種のアクリル系粘着剤Duro-Tak 87-9301又はDuro-Tak 87-2677(ヘンケルジャパン社製)を用いて、上記と同様の方法でマトリックス型貼付剤を作製した。作製したマトリックス型貼付剤の処方を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
3.皮膚透過性試験
雄性へアレスマウス(4〜7週令)摘出皮膚をFranz型撹拌セルのレセプター相とドナー相の間にセットし、レセプター相にはMcIlvain緩衝液(pH 4.2)を加えた。撹拌子の回転速度は約650 rpm、実験温度は32℃とした。あらかじめMcIlvain緩衝液にて1時間水和させた皮膚の上(ドナー相)に直径12 mmの円形に切断した各種貼付剤を適用した。適用開始時点を0時間とし、8時間までは1時間ごとに、その後適用開始時点より24時間、30時間及び48時間にマニュアルにてサンプリングを行った。サンプリングは、Franz型撹拌セルのレセプター相に32℃に保温した緩衝液を0.5 mL加え、同量の試料を抜き取ることにより実施した。採取した試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、EPZの皮膚透過量(n=4)を求めた。
【0035】
〔HPLC条件〕
検出器:紫外可視検出器(測定波長:278 nm)
カラム:Inertsil ODS-3(φ4.6 mm×150 mm)
流速;1.0 mL/min
カラム温度:室温
移動相:50 mMリン酸緩衝水溶液 : アセトニトリル = 85 : 15
試料の注入量:10μL
(標準溶液の薬物濃度は0.2 mg/mLに調製し、各試料中の薬物濃度は絶対検量線法により算出した。)
【0036】
各マトリックス型貼付剤のEPZの皮膚透過量より、透過速度(Flux)及び遅延時間(Lag Time)を算出した。累積透過量(48時間後)と共に表2に示す。また、マトリックス型貼付剤No.1における経時的累積透過量のグラフを
図1に示す。なお、本発明においては、少なくとも4測定時間(場合によっては3測定時間)における累積透過量から回帰直線を求めてその傾きの最大値を透過速度(Flux)とし、その回帰直線のX軸切片を求めてその値を遅延時間(Lag Time)とした。
【0037】
【表2】
【0038】
実施例1.懸濁液とオルガノゲルの比較
1.各試料の調製
(1)エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ 63.56 mg(2%)、GP-1 124.73 mg(4%)及びGEFA-C
8 153.47 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPM 2677.55 mgを加えて全量 3019.31 mgとした。試験管を130℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して、ボルテックスミキサーにて撹拌し、GP-1を均一に溶解させた。GP-1が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を80℃に設定し、時々撹拌して均一に混和しながら冷却した。90℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、撹拌しながら放冷しEPZ含有オルガノゲルとした。
【0039】
(2)エプタゾシン臭化水素酸塩含有GP-1オルガノゲル
エプタゾシン臭化水素酸塩(EPZ・HBr) 84.42 mg(EPZとして2%)、GP-1 120.85 mg(4%)、及びGEFA-C
8 147.96 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPM 2632.08 mgを加えて全量 2985.31 mgとした。以下、上記1.(1)と同様に調製し、EPZ・HBr含有オルガノゲルとした。
【0040】
(3)エプタゾシン含有懸濁液
EPZ 18.43 mg(0.6%)及びGEFA-C
8 156.84 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3000 mgとした。この混液をよく撹拌した後、20分間の超音波処理で均一に分散させ、EPZ懸濁液とした。
【0041】
(4)エプタゾシン臭化水素酸塩含有懸濁液
EPZ・HBr 24.82 mg(EPZとして0.6%)及びGEFA-C
8 149.60 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3000 mgとした。以下、上記1.(3)と同様に調製し、EPZ・HBr懸濁液とした。
【0042】
2.マウス皮膚透過性試験
(1)オルガノゲルのマウス皮膚透過性試験
雄性へアレスマウス(4〜7週令)摘出皮膚をFranz型撹拌セルのレセプター相とドナー相の間にセットし、レセプター相にはMcIlvain緩衝液を加えた。撹拌子の回転速度は約650 rpm、実験温度は32℃とした。予めMcIlvain緩衝液にて1時間水和させた皮膚の上(ドナー相)に上記1.(1)及び(2)で調製した各オルガノゲルを約280 mg適用した。適用開始時点を0時間とし、8時間までは1時間ごとに、8〜48時間は4時間ごとに自動経皮吸収試験器(商品名:Microette Plus、ハンソンリサーチ社製)によりサンプリングを行った。サンプリングは、Franz型撹拌セルのレセプター相から試料2.0 mLを抜き取り、32℃に保温した同量の緩衝液を補充することにより実施した。採取した試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、EPZの皮膚透過量(n=5)を求めた。なお、HPLC条件は上記参考例1と同様である。
【0043】
(2)懸濁液のマウス皮膚透過性試験
上記2.(1)と同様に、上記1.(3)及び(4)で調製したEPZ含有懸濁液及びEPZ・HBr含有懸濁液を1mL(比重:約0.85)適用してマウス皮膚透過性試験を行った。
【0044】
上記実施例1の1.(1)乃至(4)で調製した4種の組成物について、上記2.(1)及び(2)にて測定した各EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出した。累積透過量(48時間後)と共に表3に示す。また、各EPZ含有オルガノゲル及び懸濁液における経時的累積透過量のグラフを
図2に示す。更に、薬剤適用量を薬剤放出量(48時間後)で除した「製剤からの薬剤放出率」を表4に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
実施例2.オルガノゲルの調製
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル(第1法)
EPZ 60.52 mg(2%)、GP-1 121.1 mg(4%)及びGEFA-C
8 151.5 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3000.8 mgとした。試験管を予め130℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、GP-1を均一に溶解させた。GP-1が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を80℃に設定し、時々撹拌して薬物を均一に分散させながら冷却した。90℃位まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、撹拌しながら放冷しオルガノゲルとした。
【0048】
(2)エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル(第2法)
EPZ 100.53 mg、GEFA-C
8 251.6 mg及びIPM 2011.9 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1912.4 mg〔EPZ 81.32 mg(2%)、GEFA-C
8 203.5 mg(5%)含有〕及びGP-1 160.1 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 4021.2 mgとした。試験管を予め130℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、GP-1を均一に溶解させた。GP-1が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を90℃に設定し、時々撹拌して薬物を均一に分散させながら冷却した。100℃位まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまでゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置しオルガノゲルとした。
【0049】
(3)エプタゾシン含有EB-21オルガノゲル(第1法)
EPZ 60.20 mg(2%)、EB-21 121.5 mg(4%)及びGEFA-C
8 153.9 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 2999.3 mgとした。試験管を予め140℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、EB-21を均一に溶解させた。EB-21が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を100℃に設定し、時々撹拌して均一に混和しながら冷却した。120℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、撹拌しながら放冷しオルガノゲルとした。
【0050】
(4)エプタゾシン含有EB-21オルガノゲル(第2法)
EPZ 100.11 mg、GEFA-C
8 250.9 mg及びIPM 2151.3 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 2009.7 mg〔EPZ 80.40 mg(2%)、GEFA-C
8 201.5 mg(5%)含有〕及びEB-21 160.0 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 4000.1 mgとした。試験管を予め140℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、EB-21を均一に溶解させた。EB-21が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を100℃に設定し、時々撹拌して薬物を均一に分散させながら冷却した。120℃位まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまでゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置しオルガノゲルとした。
【0051】
(5)エプタゾシン含有GP-1及びEB-21併用オルガノゲル
EPZ 60.03 mg(2%)、GP-1 89.7 mg(3%)、EB-21 30.7 mg(1%)及びGEFA-C
8 150.8 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3004.5 mgとした。試験管を130℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して、ボルテックスミキサーにて撹拌し、GP-1及びEB-21を均一に溶解させた。GP-1及びEB-21が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を80℃に設定し、時々撹拌して均一に混和しながら冷却した。90℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、撹拌しながら放冷しオルガノゲルとした。
【0052】
(6)エプタゾシン含有レオパールKL2 オルガノゲル
EPZ 59.76 mg(2%)、レオパールKL2 298.8 mg(10%)及びGEFA-C
8 153.4 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3002.9 mgとした。試験管を95℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して、ボルテックスミキサーにて撹拌し、レオパールKL2を均一に溶解させた。レオパールKL2が溶解した後、ヒーティングブロックより取り出して、撹拌しながら放冷しオルガノゲルとした。
【0053】
(7)エプタゾシン含有レオパールKS2 オルガノゲル
EPZ 60.20 mg(2%)、レオパールKS2 297.7 mg(10%)及びGEFA-C
8 153.2 mg(5%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3005.8 mgとした。以下、上記1.(6)と同様に調製し、オルガノゲルとした。
【0054】
2.トラマドール含有オルガノゲルの調製
(1)トラマドール含有GP-1オルガノゲル
トラマドール(TRD) 60.76 mg(2%)、GEFA-C
8 150.4 mg(5%)及びGP-1 120.8 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3007.2 mgとした。試験管を予め135℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、混合溶液を均一に溶解させた。均一に混和した後、ヒーティングブロックの温度設定を90℃に設定し、時々撹拌し100℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまで室温にてゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置しオルガノゲルとした。
【0055】
(2)トラマドール塩酸塩含有GP-1オルガノゲル
トラマドール塩酸塩(TRD・HCl) 91.23 mg(TRDとして2%)、GEFA-C
8 199.0 mg及びIPM 1602.4 mgを取り、乳鉢上にてTRD・HClを粉砕しながら混和し、TRD・HCl 懸濁液とした。この懸濁液 1438.1 mg(TRD・HCl 69.32 mg[TRDとして60.89 mg](2%)、GEFA-C
8 151.2 mg(5%)含有)及びGP-1 121.3 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3020.0 mgとした。試験管を予め135℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、GP-1を均一に溶解させた。GP-1が溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を90℃に設定し、時々撹拌して薬物を均一に分散させながら冷却した。105℃位まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまで室温にてゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置しオルガノゲルとした。
【0056】
3.ペンタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)ペンタゾシン含有GP-1オルガノゲル
ペンタゾシン(PTZ) 79.86 mg(2%)、GEFA-C
8 204.0 mg(5%)及びGP-1 162.7 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3998.3 mgとした。試験管を予め135℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、混合溶液を均一に溶解させた。均一に混和した後、ヒーティングブロックの温度設定を90℃に設定し、時々撹拌し100℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまで室温にてゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置しオルガノゲルとした。
【0057】
実施例3.オルガノゲルのマウス皮膚透過性試験
(1)エプタゾシン含有オルガノゲルのマウス皮膚透過性試験
雄性へアレスマウス(4〜9週令)摘出皮膚をFranz型撹拌セルのレセプター相とドナー相の間にセットし、レセプター相にはMcIlvain緩衝液(pH 4.2)を加えた。撹拌子の回転速度は約650 rpm、実験温度は32℃とした。予めMcIlvain緩衝液にて1時間水和させた皮膚の上(ドナー相)に上記実施例2の1.で調製した各EPZ含有オルガノゲルを約300 mg適用した。適用開始時点を0時間とし、8時間までは1時間ごとに、20〜30時間、44〜48時間は2時間ごとにマニュアルにてサンプリングを行った。サンプリングは、Franz型撹拌セルのレセプター相に32℃に保温したMcIlvain緩衝液を0.5 mL加え、同量の試料を抜き取ることにより実施した。採取した試料を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、EPZの皮膚透過量(n=4)を求めた。なお、HPLC条件は上記参考例1と同様である。
【0058】
(2)トラマドール含有オルガノゲルのマウス皮膚透過性試験
上記(1)と同様に、上記実施例2の2.で調製したTRD(フリー体又は塩酸塩)含有オルガノゲルノゲルについて、TRDの皮膚透過量(n=4)を求めた。
【0059】
〔HPLC条件〕
検出器:紫外可視検出器(測定波長:271 nm)
カラム:Inertsil ODS-3(φ4.6 mm×150 mm)
流速:1.0 mL/min
カラム温度:40℃
移動相:トリフルオロ酢酸緩衝水溶液(1 → 2000): アセトニトリル = 80 : 20試料の注入量:10μL
(標準溶液の薬物濃度は0.25 mg/mLに調製し、各試料中の薬物濃度は絶対検量線法により算出した。)
【0060】
(3)ペンタゾシン含有オルガノゲルのマウス皮膚透過性試験
レセプター相にPBS緩衝液(リン酸緩衝生理食塩液)(pH 7.5)を用いた以外は上記(1)と同様にして、上記実施例2の3.で調製したPTZ含有オルガノゲルを約300 mg適用し、PTZの皮膚透過量(n=4)を求めた。
【0061】
〔HPLC条件〕
検出器:紫外可視検出器(測定波長:278 nm)
カラム: Capcell pak C18(φ4.6 mm×150 mm)
流速:1.0 mL/min
カラム温度:室温
移動相:50 mMリン酸緩衝水溶液 : アセトニトリル = 77 : 23
試料の注入量:10μL
(標準溶液の薬物濃度は0.1 mg/mLに調製し、各試料中の薬物濃度は絶対検量線法により算出した。)
【0062】
上記実施例2の1.乃至3.で調製した10種の組成物について、上記実施例3の(1)乃至(3)にて測定した薬物の皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出した。累積透過量(48時間後)と共に表5に示す。また、各薬剤含有オルガノゲルにおける経時的累積透過量のグラフを
図3乃至
図8に示す。なお、PTZについては、GP-1(4%)に代えてEB-21(4%)のオルガノゲルを調製して皮膚透過性試験を行った結果、GP-1の場合とほぼ同等の皮膚透過性(透過速度、遅延時間、累積透過量)が得られた。
【0063】
【表5】
【0064】
実施例4.各種脂肪酸エステルを使用したオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)ミリスチン酸イソプロピル(IPM)オルガノゲル
IPMオルガノゲルは上記実施例2の1.(2)で調製したものを用いた。
【0065】
(2)パルミチン酸イソプロピル(IPP)オルガノゲル
EPZ 80.19 mg、GEFA-C
8 199.9 mg及びIPP 1729.1 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1501.2 mg〔EPZ 59.92 mg(2%)、GEFA-C
8 149.4 mg(5%)含有〕及びGP-1 120.9 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPPを加えて全量 3002.4 mgとした。以下、上記実施例2の1.(2)と同様に調製し、IPPオルガノゲルとした。
【0066】
(3)パルミチン酸2-エチルヘキシル(EHP)オルガノゲル
IPPの代わりにEHPを用いて、上記(2)と同様に調製し、EHPオルガノゲルとした。
【0067】
(4)ステアリン酸エチル(ETS)オルガノゲル
IPPの代わりにETSを用いて、上記(2)と同様に調製し、ETSオルガノゲルとした。
【0068】
(5)オレイン酸エチル(ETO)オルガノゲル
IPPの代わりにETOを用いて、上記(2)と同様に調製し、ETOオルガノゲルとした。
【0069】
(6)リノール酸イソプロピル(IPLi)オルガノゲル
IPPの代わりにIPLiを用いて、上記(2)と同様に調製し、IPLiオルガノゲルとした。
【0070】
(7)アジピン酸ジイソプロピル(DIAd)オルガノゲル
IPPの代わりにDIAdを用いて、上記(2)と同様に調製し、DIAdオルガノゲルとした。
【0071】
(8)セバシン酸ジエチル(DESe)オルガノゲル
IPPの代わりにDESeを用いて、上記(2)と同様に調製し、DESeオルガノゲルとした。
【0072】
2.マウス皮膚透過性試験
上記1.で調製した各種脂肪酸エステルを用いたEPZ含有オルガノゲル(1)乃至(8)について、上記実施例3(1)と同様にマウス皮膚透過性試験を行い、EPZの皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表6に示す。また、経時的累積透過量のグラフを
図9に示す。
【0073】
【表6】
【0074】
実施例5.各種グリセリン脂肪酸エステルを添加したオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)5%モノカプリル酸グリセリン(GEFA-C
8)添加オルガノゲル
5%GEFA-C
8添加オルガノゲルは上記実施例2の1.(2)で調製したものを用いた。
【0075】
(2)5%モノカプリン酸グリセリン(GEFA-C
10)添加オルガノゲル
GEFA-C
8の代わりにGEFA-C
10を用いて、上記(1)と同様に調製し、5%GEFA-C
10添加オルガノゲルオルガノゲルとした。
【0076】
(3)5%モノラウリン酸グリセリン(GEFA-C
12)添加オルガノゲル
GEFA-C
8の代わりにGEFA-C
12を用いて、上記(1)と同様に調製し、5%GEFA-C
12添加オルガノゲルとした。
【0077】
(4)5%モノオレイン酸グリセリン(GEFA-C
18:1)添加オルガノゲル
GEFA-C
8の代わりにGEFA-C
18:1を用いて、上記(1)と同様に調製し、5%GEFA- C
18:1添加オルガノゲルとした。
【0078】
(5)5%ジカプリル酸グリセリン(GEFA-diC
8)添加オルガノゲル
GEFA-C
8の代わりにGEFA-diC
8を用いて、上記(1)と同様に調製し、5%GEFA-diC
8添加オルガノゲルとした。
【0079】
(6)5%トリカプリル酸グリセリン(GEFA-triC
8)添加オルガノゲル
GEFA-C
8の代わりにGEFA-triC
8を用いて、上記(1)と同様に調製し、5%GEFA-triC
8添加オルガノゲルとした。
【0080】
(7)グリセリン脂肪酸エステル無添加オルガノゲル
EPZ 80.25 mg及びIPM 1919.0 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1614.4 mg〔EPZ 64.80 mg(2%)含有〕及びGP-1 120.0 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3017.5 mgとした。以下、上記実施例2の1.(2)と同様に調製し、グリセリン脂肪酸エステル無添加オルガノゲルとした。
【0081】
(8)2.5%モノカプリル酸グリセリン(GEFA-C
8)添加オルガノゲル
EPZ 80.59 mg、GEFA-C
8 101.5 mg及びIPM 1825.1 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1502.4 mg〔EPZ 60.32 mg(2%)、GEFA-C
8 75.97 mg(2.5%)含有〕及びGP-1 121.4 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3003.2 mgとした。以下、上記実施例2の1.(2)と同様に調製し、2.5%GEFA-C
8添加オルガノゲルとした。
【0082】
(9)7.5%モノカプリル酸グリセリン(GEFA-C
8)添加オルガノゲル
GEFA-C
8 最終濃度が7.5%となるように、上記(8)と同様に調製し、7.5%GEFA-C
8添加オルガノゲルとした。
【0083】
(10)10%モノカプリル酸グリセリン(GEFA-C
8)添加オルガノゲル
GEFA-C
8 最終濃度が10%となるように、上記(8)と同様に調製し、10%GEFA-C
8オルガノゲル添加とした。
【0084】
2.マウス皮膚透過性試験
上記1.で調製した各種グリセリン脂肪酸エステルを用いたEPZ含有オルガノゲル(1)乃至(10)について、上記実施例3(1)と同様にマウス皮膚透過性試験を行い、EPZの皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
実施例6.各種濃度の薬剤を含有するオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)0.5%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ 40.17 mg、GEFA-C
8 400.3 mg及びIPM 3559.6 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1518.8 mg〔EPZ 15.25 mg(0.5%)、GEFA-C
8 152.0 mg(5%)含有〕及びGP-1 120.5 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3008.6 mgとした。以下、上記実施例2の1.(2)と同様に調製し、0.5%EPZ含有GP-1オルガノゲルとした。
【0087】
(2)1%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ が最終濃度1%となるように、上記(1)と同様に調製し、1%EPZ含有GP-1オルガノゲルとした。
【0088】
(3)2%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
2%EPZ含有GP-1オルガノゲルは上記実施例2の1.(2)で調製したものを用いた。
【0089】
(4)5%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ が最終濃度5%となるように、上記(1)と同様に調製し、5%EPZ含有GP-1オルガノゲルとした。
【0090】
(5)10%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ が最終濃度10%となるように、上記(1)と同様に調製し、10%EPZ含有GP-1オルガノゲルとした。
【0091】
(6)15%エプタゾシン含有GP-1オルガノゲル
EPZ が最終濃度15%となるように、上記(1)と同様に調製し、15%EPZ含有GP-1オルガノゲルとした。
【0092】
2.トラマドール含有オルガノゲルの調製
(1)2%トラマドール含有EB-21オルガノゲル
TRD 60.25 mg (2%) 、GEFA-C
8 153.5 mg (5%) 及びEB-21 119.1 mg (4%) を試験管に加え、更にIPMを加えて全量 3002.0 mgとした。試験管をあらかじめ145℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌し、均一に溶解させた。均一に溶解した後、ヒーティングブロックの温度設定を100℃に設定し、時々撹拌し120℃以下まで冷却したとき、ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまで室温にてゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置し、2%TRD含有EB-21オルガノゲルとした。
【0093】
(2)10%トラマドール含有EB-21オルガノゲル
TRD 300.21 mg (10%) 、GEFA-C
8 150.2 mg (5%) 及びEB-21 120.8 mg (4%) を試験管に加え、更にIPMを加えて全量 3001.7 mgとした。以下、上記(1)と同様に調製し、10%TRD含有EB-21オルガノゲルとした。
3.マウス皮膚透過性試験
上記1.で調製したEPZ含有オルガノゲルについては上記実施例3(1)と同様に、また、上記2.で調製したTRD含有オルガノゲルについては上記実施例3(2)と同様に、各々、マウス皮膚透過性試験を行い、薬剤の皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、薬剤の皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表8に示す。
【0094】
【表8】
【0095】
実施例7.各種濃度のゲル化剤を用いたオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)2%GP-1オルガノゲル
EPZ 200.78 mg、GEFA-C
8 500.4 mg及びIPM 4302.9 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1504.7 mg〔EPZ 60.37 mg(2%)、GEFA-C
8 150.5 mg(5%)含有〕及びGP-1 60.8 mg(2%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3001.0 mgとした。以下、上記実施例2の1.(2)と同様に調製し、2%GP-1オルガノゲルとした。
【0096】
(2)4%GP-1オルガノゲル
4%GP-1オルガノゲルは上記実施例2の1.(2)で調製したものを用いた。
【0097】
(3)6%GP-1オルガノゲル
GP-1が最終濃度6%となるように、上記(1)と同様に調製し、6%GP-1オルガノゲルとした。
【0098】
(4)10%GP-1オルガノゲル
GP-1が最終濃度10%となるように、上記(1)と同様に調製し、10%GP-1オルガノゲルとした。
【0099】
2.マウス皮膚透過性試験
上記1.で調製した各種濃度のGP-1を用いたオルガノゲル(1)乃至(4)について、上記実施例3(1)と同様にマウス皮膚透過性試験を行い、EPZの皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表9に示す。
【0100】
【表9】
【0101】
実施例8.低級アルコールを添加して調製したオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
(1)20%エタノールを添加して調製した GP-1オルガノゲル
EPZ 159.15 mg、GEFA-C
8 400.5 mg及びIPM 3446.2 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1519.1 mg〔EPZ 60.35 mg(2%)、GEFA-C
8 151.9 mg(5%)含有〕及びGP-1 120.2 mg(4%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3092.2 mgとした。ここに99.5% エタノール 760μL(20%)を加え、試験管を予め100℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。時々、試験管をヒーティングブロックより取り出して撹拌し、均一に溶解させた。そのまま加熱を続け、エタノールを一部留去した。ヒーティングブロックより取り出して、ゲル化が開始するまでゆっくり撹拌した。ゲル化が始まった時点で撹拌をやめて静置して、40℃にて終夜乾燥し、20%エタノールを添加して調製した GP-1オルガノゲルとした。
【0102】
(2)50%エタノールを添加して調製した GP-1オルガノゲル
混合溶液の50%のエタノールを加えて、上記(1)と同様に調製し、50%エタノールを添加して調製した GP-1オルガノゲルとした。
【0103】
(3)30%エタノールを添加して調製したゲルオールDオルガノゲル
EPZ 79.95 mg、GEFA-C
8 600.6 mg及びIPM 1719.1 mgを取り、乳鉢上にてEPZを粉砕しながら混和し、EPZ懸濁液とした。この懸濁液 1505.9 mg〔EPZ 60.21 mg(2%)、GEFA-C
8 151.1 mg(5%)含有〕及びゲルオールD 9.08 mg(0.3%)を試験管に加え、さらにIPMを加えて全量 3007.6 mgとした。ここに99.5% エタノール 1200μL(30%)を加え、試験管を予め100℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱した。以下、上記(1)と同様に調製し、30%エタノールを添加して調製したゲルオールDオルガノゲルとした。
【0104】
2.マウス皮膚透過性試験
上記1.でエタノールを添加して調製したEPZ含有オルガノゲル(1)乃至(3)について、上記実施例3(1)と同様にマウス皮膚透過性試験を行い、EPZの皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表10に示す。
【0105】
【表10】
【0106】
実施例9.薬物放出膜又はメンブレンフィルターを通してのオルガノゲルの皮膚透過性
1.エプタゾシン含有オルガノゲルの調製
上記実施例2の1.(2)と同様に調製したEPZ含有GP-1オルガノゲルを用いた。
【0107】
2.マウス皮膚透過性試験
ヘアレスマウス摘出皮膚の上(ドナー相)に、薬物放出膜(多孔性ポリプロピレン膜 4×4cm、商品名:Celgard2400、ポリポア社製)、又は、3種のメンブレンフィルターA〔ニトロセルロース、0.20μm、133μm〕、メンブレンフィルターB〔四フッ化エチレン樹脂、0.20μm、80μm 〕、メンブレンフィルターC〔親水性特殊処理四フッ化エチレン樹脂、0.20μm、35μm〕(各々括弧内は、材質、孔径、厚さを示す。いずれもADVANTEC社製。)の各々を載せてからオルガノゲルを適用する以外は上記実施例3(1)と同様に、上記1.で調製したEPZ含有GP-1オルガノゲルのEPZの皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、EPZの皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(48時間後)と共に表11に示す。
【0108】
【表11】
【0109】
実施例10.オルガノゲルを用いたマトリックス型貼付剤の皮膚透過性
1.粘着剤の調製
本実施例で使用する粘着剤のうち、Eudragit E 粘着剤(アクリル系粘着剤、EVONIC DEGUSSA JAPAN社製)については、以下の通りに調製したもの粘着剤として使用した。アセトン、エタノール及び2-プロパノールをそれぞれ19.9g、11.1g及び2.2gをビーカーに量り取り、撹拌して均一に混和した。ここに、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(Eudragit E PO、EVONIC DEGUSSA JAPAN社製)37.5gを撹拌しながら少量ずつ加え、溶解させた。その後、可塑剤であるセバシン酸ジブチル19.9gをすばやく加え、10分間撹拌した。最後に、架橋剤であるコハク酸3.4gを撹拌しながら少量ずつ加えて固形成分を完全に溶解させ、Eudragit E粘着剤 (固形成分含量64.7%) とした。
【0110】
また、その他の粘着剤のDuro-Tak 87-9301(アクリル系粘着剤、ヘンケル社製)、BIO-PSA 7-4202(シリコン系粘着剤、東レ・ダウコーニング社製)、Quintone M100(脂肪族系炭化水素樹脂粘着剤、日本ゼオン社製)、Quintac 3421(スチレンイソプレンブロック共重合体、日本ゼオン社製)、クリアロン P125(テルペン系水素添加樹脂粘着剤、ヤスハラケミカル社製)、エステルガムH(水素添加ロジンエステル樹脂、荒川化学社製)については、適宜、溶剤に溶解し、必要に応じて可塑剤や架橋剤を添加して使用した。
【0111】
2.エプタゾシン含有オルガノゲルマトリックス型貼付剤の調製
A.GP-1オルガノゲルマトリックス型貼付剤(粘着剤、塗工厚)
(1)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、250μm)
EPZ 20.27 mg (2%) 、GEFA-C
8 52.1 mg (5%) 、GP-1 39.6 mg (4%) 及びIPM 388.4 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤785.7 mg (固形成分500.5 mg) を加えて全量 (固形成分1000.87 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。試験管を予め90℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。この溶液を平面ガラス板上に固定した支持体 (商品名:Scotchpak 9732 Backing、3M社製) 上に、フィルムアプリケーター(商品名:MULTICATOR 411、ERICHSEN Gmbh & Co. KG製)を用いて厚さ250μmで塗工した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃で30分間乾燥した。乾燥後、剥離フィルム (商品名:Scotchpak 1022 Release Liner、3M社製) のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0112】
(2)2%エプタゾシン含有貼付剤(Duro-Tak 87-9301 50%、250μm)
EPZ 20.72 mg (2%) 、GEFA-C
8 50.3 mg (5%) 、GP-1 41.3 mg (4%) 及びIPM 396.8 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Duro-Tak 87-9301粘着剤1239.9 mg (固形成分496.0 mg) を加えて全量 (固形成分1005.1 mg) とした後、エタノール700μLを加えた。以下、上記(1)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Duro-Tak 87-9301 50%) とした。
【0113】
(3)2%エプタゾシン含有貼付剤(BIO-PSA 7-4202 50%、250μm)
EPZ 20.17 mg (2%) 、GEFA-C
8 49.9 mg (5%) 、GP-1 41.0 mg (4%) 及びIPM 390.4 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、BIO-PSA 7-4202粘着剤837.6 mg (固形成分502.6 mg) を加えて全量 (固形成分1004.1 mg) とした後、エタノール700μLを加えた。以下、上記(1)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (BIO-PSA 7-4202 50%) とした。
【0114】
(4)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、400μm)
EPZ 20.32 mg (2%) 、GEFA-C
8 50.4 mg (5%) 、GP-1 40.8 mg (4%) 及びIPM 393.1 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤787.8 mg (固形成分501.8 mg) を加えて全量 (固形成分1006.4 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。以下、塗工の厚さを400μmとする以外は、上記(1)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0115】
(5)5%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、400μm)
EPZ 50.20 mg (5%) 、GEFA-C
8 51.5 mg (5%) 、GP-1 40.1 mg (4%) 及びIPM 376.8 mg (36%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤789.2 mg (固形成分502.7 mg) を加えて全量 (固形成分1021.3 mg) とした後、エタノール1500μLを加えた。以下、上記(4)と同様に調製し、5%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0116】
B.EB-21オルガノゲルマトリックス型貼付剤
(1)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、400μm)
EPZ 20.27 mg (2%) 、GEFA-C
8 52.1 mg (5%) 、EB-21 39.6 mg (4%) 及びIPM 388.4 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤785.7 mg (固形成分500.5 mg) を加えて全量 (固形成分1000.87 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。以下、上記A.(4)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0117】
(2)5%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、400μm)
EPZ 50.68 mg (5%) 、GEFA-C
8 49.6 mg (5%) 、EB-21 40.5 mg (4%) 及びIPM 360.0 mg (36%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤786.4 mg (固形成分500.9 mg) を加えて全量 (固形成分1001.7 mg) とした後、エタノール1000μLを加えた。以下、上記A.(4)と同様に調製し、5% EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0118】
(3)10%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、400μm)
EPZ 99.90 mg (10%) 、GEFA-C
8 50.6 mg (5%) 、EB-21 40.7 mg (4%) 及びIPM 310.6 mg (31%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤790.1 mg (固形成分503.3 mg) を加えて全量 (固形成分1005.1 mg) とした後、エタノール2500μLを加えた。以下、上記A.(4)と同様に調製し、10%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E粘着剤50%) とした。
【0119】
(4)15%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 40%、400μm)
EPZ 151.66 mg (15%) 、GEFA-C
8 49.6 mg (5%) 、EB-21 40.8 mg (4%) 及びIPM 363.8 mg (36%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤636.3 mg (固形成分405.3 mg) を加えて全量 (固形成分1011.2 mg) とした後、エタノール3300μLを加えた。試験管を予め90℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。この溶液100 μLをアルミ箔で覆った鋳型 (φ15×1 mm) に分注した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃で3時間、40℃ で15時間乾燥した。乾燥後、剥離フィルム (Scotchpak 1022 Release Liner) のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、15%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 40%) とした。
【0120】
(5)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%、250μm)
EPZ 40.72 mg (2%) 、GEFA-C
8 101.4 mg (5%) 、EB-21 80.5 mg (4%) 及びIPM 782.5 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤1566.1 mg (固形成分1003.9 mg) を加えて全量 (固形成分2008.9 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。試験管を予め90℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。この溶液を平面ガラス板上に固定した支持体 (Scotchpak 9732 Backing) 上に、フィルムアプリケーター(MULTICATOR 411)を用いて厚さ250μmで塗工した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃で1.5時間、40℃で15時間乾燥した。乾燥後、剥離フィルム (Scotchpak 1022 Release Liner) のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0121】
(6)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 70%、250μm)
EPZ 40.66 mg (2%) 、GEFA-C
8 100.9 mg (5%) 、EB-21 80.7 mg (4%) 及びIPM 382.5 mg (19%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤2186.0 mg (固形成分1401.3 mg) を加えて全量 (固形成分2006.0 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。以下、上記(5)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 70%) とした。
【0122】
(7)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%+Duro-Tak 87-9301 10%、250μm)
EPZ 20.77 mg (2%) 、GEFA-C
8 49.8 mg (5%) 、EB-21 41.4 mg (4%) 及びIPM 288.7 mg (29%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤775.7 mg (固形成分497.2 mg) 及びDuro-Tak 87-9301 (固形成分含量 60%) 277.7 mg (固形成分 111.1 mg) を加えて全量 (固形成分1009.0 mg) とした後、エタノール500μLを加えた。以下、上記(5)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%+Duro-Tak 87-9301 10%) とした。
【0123】
(8)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 50%+Quintone M100 10%、250μm)
EPZ 20.48 mg (2%) 、GEFA-C
8 53.0 mg (5%) 、EB-21 40.3 mg (4%) 及びIPM 289.6 mg (29%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤797.8 mg (固形成分511.4 mg) 及びエタノール500μLを加えた。試験管を予め90℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。ここにQuintone M100を99.4 mg (10%) を加えて全量 (固形成分1014.1 mg) とした後、さらに酢酸エチル 1000μLを加えた。以下、上記(5)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%+Quintone M100 10%) とした。
【0124】
(9)2%エプタゾシン含有貼付剤(Quintone M100 27%+Quintac 3421 22%、250μm)
EPZ 21.51 mg (2%) 、GEFA-C
8 50.7 mg (5%) 、EB-21 41.7 mg (4%) 及びIPM 401.1 mg (40%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここにエタノール500 μLを加え、試験管を予め120℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。ここにQuintone M100 269.3 mg (27%) 及びQuintac 3421 220.6 mg (22%) を加えて全量 (固形成分1004.8 mg) とした後、さらにトルエン 1500μLを加えた。120℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。以下、上記(5)と同様に調製し、2% EPZ含有貼付剤 (Quintone M100 27%+Quintac 3421 22%) とした。
【0125】
(10)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 35%+Quintone M100 6%+Quintac 3421 5%、250μm)
EPZ 23.0 mg (2%) 、GEFA-C
8 51.5 mg (5%) 、EB-21 40.3 mg (4%) 及びIPM 430.9 mg (43%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤552.1 mg (固形成分353.9 mg) 及びエタノール500μLを加えた。試験管を予め120℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。ここにQuintone M100 62.4 mg (6%) 及びQuintac 3421 53.9 mg (5%) を加えて全量 (固形成分1015.8 mg) とした後、さらにトルエン 1500μLを加えた。以下、上記(9)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 Eudragit E 35%+Quintone M100 6%+Quintac 3421 5%) とした。
【0126】
(11)2%エプタゾシン含有貼付剤(Eudragit E 30%+Quintac 3421 10%+クリアロン P125 10%、250μm)
EPZ 20.76 mg (2%) 、GEFA-C
8 51.7 mg (5%) 、EB-21 39.8 mg (4%) 及びIPM 389.3 mg (39%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤488.1 mg (固形成分309.5 mg) 及びエタノール200μLを加えた。試験管を予め100℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。ここにQuintac 3421 104.6 mg (10%) 及びクリアロン P125 100.8 mg (10%) を加えて全量 (固形成分1016.4 mg) とした後、さらにトルエン 1000 μLを加えた。以下、上記(9)と同様に調製し、2% EPZ含有貼付剤(Eudragit E 30%+Quintac 3421 10%+クリアロン P125 10%) とした。
【0127】
(12)2%エプタゾシン含有貼付剤(Quintac 3421 27%+エステルガムH 27%、250μm)
EPZ 20.05 mg (2%) 、GEFA-C
8 51.0 mg (5%) 、EB-21 40.2 mg (4%) 及びIPM 349.8 mg (35%)をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここにエタノール400μLを加え、試験管を予め120℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。ここにQuintac 3421 268.0 mg (27%) 及びエステルガムH 270.5 mg (27%) を加えて全量 (固形成分999.4 mg) とした後、さらにトルエン 1500μLを加えた。以下、上記実施例(9)と同様に調製し、2%EPZ含有貼付剤 (Quintac 3421 27%+エステルガムH 27%) とした。
【0128】
3.トラマドール含有オルガノゲルマトリックス型貼付剤の調製
TRD 100.38 mg (10%) 、IPM 312.8 mg (31%) 、GEFA-C
8 51.30 mg (5%) 及びEB-21 43.40 mg (4%) をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤790.5 mg (固形成分507.3 mg) を加えて全量 (固形成分1015.2 mg) とした後、エタノール300μLを加えた。試験管をあらかじめ100℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。この溶液を平面ガラス板上に固定した支持体 (Scotchpak 9732 Backing) 上に、フィルムアプリケーター(MULTICATOR 411)を用いて厚さ250μmで塗工した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃で1時間、40℃で終夜乾燥した。乾燥後、剥離フィルム (Scotchpak
1022 Release Liner) のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、10%TRD含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0129】
4.ペンタゾシン含有オルガノゲルマトリックス型貼付剤の調製
PTZ 101.00 mg (10%) 、IPM 320.1 mg (31%) 、GEFA-C
8 61.1 mg (5%) 及びEB-21 40.6 mg (4%) をそれぞれ秤取し、試験管に加えた。ここに、Eudragit E粘着剤783.5 mg (固形成分502.2 mg) を加えて全量 (固形成分1025.0 mg) とした後、エタノール300μLを加えた。試験管を予め90℃に加熱したヒーティングブロックに入れ、混合溶液を加熱撹拌して均一に溶解させた。この溶液を平面ガラス板上に固定した支持体 (Scotchpak
9732 Backing) 上に、フィルムアプリケーター(MULTICATOR 411)を用いて厚さ250μmで塗工した。次に、送風定温乾燥器内で、60℃ で1時間、40℃で15時間乾燥した。乾燥後、剥離フィルム (Scotchpak 1022 Release Liner) のフッ素樹脂加工面を製剤の接着面と張り合わせ、10%PTZ含有貼付剤 (Eudragit E 50%) とした。
【0130】
5.マウス皮膚透過性試験
ヘアレスマウス摘出皮膚の上(ドナー相)に、オルガノゲルの代わりに上記2.乃至4.で調製した各薬剤含有貼付剤(φ12mm)を適用する以外は、上記1.で調製したEPZ含有貼付剤については上記実施例3(1)と同様に、また、上記3.で調製したTRD含有貼付剤ついては上記実施例3(2)と同様に、また、上記4.で調製したPTZ含有オルガノゲルについては上記実施例3(3)と同様に、各々、マウス皮膚透過性試験を行い、各薬剤の皮膚透過量(n=4)を測定した。各々、薬剤の皮膚透過量より、透過速度及び遅延時間を算出し、累積透過量(上記2.B.(5)乃至(12)は28時間後、その他は48時間後)と共に表12及び表13に示す。また、上記2.B.(1)乃至(4)のEPZ含有貼付剤、上記3.のTRD含有貼付剤及び上記4.のPTZ含有貼付剤について、各々、経時的累積透過量のグラフを
図10乃至12に示す。
【0131】
【表12】
【0132】
【表13】
【0133】
結果
参考例1において示したとおり、表1に処方を示した種々のアクリル系粘着剤を使用したマトリックス型貼付剤では、
図1及び表2に示した結果のように、好ましいEPZの皮膚透過性は得られなかった。すなわち、10%又は20%という高濃度の薬剤含有マトリックスであっても、2%EPZ含有のオルガノゲルと比べて、透過速度及び累積透過量は極めて低かった(表2、表5)。
【0134】
これに対して、フリー体のEPZを脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含有するオルガノゲルに調製した場合、ヘアレスマウスの摘出皮膚を用いた皮膚透過性試験において、皮膚透過速度及び製剤からの薬剤放出率において優れた皮膚透過性を示すことが見出された(表3及び4)。
また、へアレスマウスよりも皮膚の形態や薬物透過性がヒトに近いとされるブタ(ユカタンミニブタ)の表皮(肩部)を用いてEPZ含有オルガノゲル(実施例2の1.(2))の皮膚透過性試験を行った結果においても、ヘアレスマウスの皮膚と比較して48時間後の累積透過量で62%の皮膚透過量が認められ、EPZが確実にブタ皮膚を透過することが示された。
【0135】
懸濁液の場合は、
図2に示したように、フリー体(0.6%EPZ)及び臭化水素酸塩(EPZとして0.6%)共に、極めて迅速に皮膚透過されて4時間後には、ほぼ薬剤放出が完了した状態に至っている。これに対して、EPZ含有オルガノゲルの場合は、持続的に薬剤が放出されるので、薬剤濃度等を調整することによって、体内への薬剤送達を適宜制御可能である。経皮投与製剤は、注射剤や経口投与剤に比べて、制御された速度で長時間薬物を体内に送達できることが望まれることがあるが、本発明外用医薬組成物は、このような目的に合致したものである。しかも、EPZ・HBrやTRD・HClの場合には、オルガノゲルに調製しても非常に低い皮膚透過性しか得られず、単に液体形態のものをオルガノゲルにするだけでは、必ずしも優れた皮膚透過性が得られるものではなかった。
【0136】
加えて、上記EPZ含有オルガノゲルとEPZ含有懸濁液の48時間後の製剤からの薬剤放出率を比較した結果、懸濁液では適用したEPZの約92%が放出されたのに対して、オルガノゲル製剤(GP-1使用)では約96%のEPZが放出された。通常、流動性がある液体形態の場合に比べて、マトリックスやゲル形態の製剤においては、薬剤の放出が制限されて製剤からの薬剤放出率は低いと考えられたが、本発明外用医薬組成物は、液体形態を上回る非常に高い薬剤放出率を示した。このことから、本発明外用医薬組成物を用いて製造される製剤は、使用後に製剤中に残存する薬剤がより少量となり、医薬製剤として非常に効率的且つ経済的で、薬剤管理上も有利である。
【0137】
図3乃至
図6及び表5に示したように、N-アシルアミノ酸アミド(GP-1、EB-21)やデキストリン脂肪酸エステル(レオパールKL2、レオパールKS2)等の種々のオルガノゲル化剤によって製造したEPZ含有オルガノゲルは、優れた皮膚透過性を示した(実施例3参照)。また、
図3及び
図4には調製法の異なるEPZ含有GP-1又はEB-21オルガノゲルの皮膚透過性試験の結果を示した。第1法の調製法は、組成成分を全て混和してゲル化を行う方法であり、第2法の調製法は、オルガノゲル化剤を添加する前に、オルガノゲル化剤以外の成分(脂肪酸エステル、又は、脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステル)の適量にEPZを加え、これを粉砕しながら混和する方法である。この第2法の調製法によれば、EPZのように本発明外用医薬組成中で懸濁状態にある薬剤については、より優れた皮膚透過性が得られることが明らかになった。
【0138】
また、その他の非麻薬性鎮痛薬においても、TRD(
図7)やPTZ(
図8)を含有したオルガノゲルは、EPZ含有オルガノゲルと同様に、優れた経皮吸収を示す結果が得られた(表5)。またTRDについては、EPZ・HBrと同様に、TRD・HCl含有GP-1オルガノゲルでは皮膚透過性が極めて低く、親水性の高い塩は不適当であることが示された(実施例3参照)。
【0139】
以上の結果より、GEFA-C
8等のグリセリン脂肪酸エステル及びIPM等の脂肪酸エステルを組み合わせて用いた本発明外用医薬組成物は、EPZだけでなく各種の非麻薬性鎮痛薬の経皮吸収を顕著に亢進させることが明らかとなった。
【0140】
本発明は脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含有するオルガノゲルである外用医薬組成物であるが、表6及び
図9に示したように、各種の脂肪酸エステルを用いることができる。特にミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル及びリノール酸イソプロピルを添加して製造したEPZ含有オルガノゲル組成物は、優れた皮膚透過性を示した(実施例4参照)。
また同様に、表7に示したように、本発明は各種のグリセリン脂肪酸エステルを用いることができる。特にモノカプリル酸グリセリン、モノカプリン酸グリセリン及びモノラウリン酸グリセリンを添加して製造したEPZ含有オルガノゲル組成物は、優れた皮膚透過性を示した。グリセリン脂肪酸エステルの添加濃度については、表7の(1)及び(8)乃至(10)のモノカプリル酸グリセリンの結果に示されるように、7.5%まで濃度依存的に皮膚透過性が向上し、10%では7.5%と同程度の皮膚透過性を示した(実施例5参照)。
【0141】
本発明外用医薬組成物の薬物濃度については、表8に示したように、EPZの濃度が上昇するとともに、皮膚透過性も向上し、15%という高濃度においても良好な皮膚透過性を示すことが確認された(実施例6参照)。また、TRDについても、2%及び10%の両濃度において、濃度依存的に良好な皮膚透過性が示された。
【0142】
また、本発明外用医薬組成物のオルガノゲル化剤の濃度については、表9に示したように、GP-1ゲル化剤では2%乃至10%の濃度範囲で特に皮膚透過性に差はなく、良好な皮膚透過性を示した(実施例7参照)。
【0143】
本発明においては、エタノール等の低級アルコールを添加してオルガノゲル組成物を調製することができる(実施例8参照)。表10に示したように、低級アルコールを添加した場合、これを添加しない場合と同様に良好なEPZ皮膚透過性を示した。このように、低級アルコールを添加することにより調製時の温度を100℃以下に下げることが可能となるので、実際の製造工程上で熱媒体として水蒸気を使用でき、実用上大変有利である。なお、本実施例8では、ゲル化剤としてGP-1又はゲルオールDを用いてオルガノゲル組成物を調製したが、EB-21等他のゲル化剤を用いることもできる。また、低級アルコールの添加は、本発明外用医薬組成物に粘着剤を添加したマトリックス型貼付剤を調製する際にも応用することができる。
【0144】
リザーバ型貼付剤を想定した薬物放出膜等を用いた本発明外用医薬組成物の皮膚透過性試験では(実施例9参照)、表11に示したように、薬物放出膜等を使用しなかった場合と比較して、EPZの皮膚透過速度は低下したものの、利用可能な皮膚透過性が得られた。これらの結果から、本発明外用医薬組成物は、リザーバ型貼付剤への適用が可能であることが示された。
【0145】
本発明外用医薬組成物を用いたマトリックス型貼付剤の皮膚透過性試験では(実施例10参照)、表12、表13及び
図10乃至12に示したように、粘着剤を用いて調製したマトリックス型貼付剤は、適度な皮膚透過速度で持続的に薬物を体内に送達できることが示された。マトリックス型での薬物の皮膚透過性は、各種の粘着剤を使用したオルガノゲル組成物で認められ、またEPZの他、TRDやPTZでも皮膚透過性が示された。これらの結果から、本発明外用医薬組成物は、各種の粘着剤を用いたマトリックス型貼付剤への適用が可能であることが示された。