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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-145469(P2015-145469A)
(43)【公開日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】固形燃料及び固形燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 7/04 20060101AFI20150717BHJP
【FI】
   C10L7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-18612(P2014-18612)
(22)【出願日】2014年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 直人
(72)【発明者】
【氏名】小山 典久
(72)【発明者】
【氏名】西川 直毅
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA21
4H015AB01
4H015BA13
4H015CA04
4H015CA08
4H015CB01
(57)【要約】
【課題】初期の火力を強くすることができ、調理、保温等、所定の目的を達成するのに必要な固形燃料の量を少なくすることが可能な固形燃料を提供すること。
【解決手段】アルコールを主成分とする固形燃料であって、前記固形燃料は、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されるように構成されており、前記断面形状の前記孔及び/又は切欠きを含む総面積を、前記断面形状の輪郭で囲まれる部分の面積とし、前記断面形状の輪郭が途切れている場合は、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分においても輪郭がそのまま続いているものとみなして前記総面積を計算するとともに、前記切欠きの面積も、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして前記切欠きの面積を計算した際、前記断面の総面積に対する前記孔及び/又は前記切欠きの面積の割合が20〜85%であることを特徴とする固形燃料。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコールを主成分とする固形燃料であって、
前記固形燃料は、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されるように構成されており、
前記断面形状の前記孔及び/又は切欠きを含む総面積を、前記断面形状の輪郭で囲まれる部分の面積とし、前記断面形状の輪郭が途切れている場合は、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分においても輪郭がそのまま続いているものとみなして前記総面積を計算するとともに、
前記切欠きの面積も、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして前記切欠きの面積を計算した際、
前記断面の総面積に対する前記孔及び/又は前記切欠きの面積の割合が20〜85%であることを特徴とする固形燃料。
【請求項2】
前記孔が前記断面形状の内部のみに存在する固形燃料であって、
前記孔を含む断面の輪郭形状は、円形、楕円形、又は、多角形である請求項1に記載の固形燃料。
【請求項3】
前記切欠きは、前記孔と該孔が外部に通じる部分とからなる固形燃料であって、
前記孔と該孔が外部に通じる部分とを除く断面の形状は、略C字形状である請求項1に記載の固形燃料。
【請求項4】
前記固形燃料の重量は、3〜300gである請求項1〜3のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項5】
前記固形燃料を包装する難燃材が周囲に配設されている請求項1〜4のいずれかに記載の固形燃料。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の固形燃料の製造方法であって、
所定形状の固形燃料を製造した後、打ち抜き加工を行うことを特徴とする固形燃料の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5に記載の固形燃料の製造方法であって、
固形燃料の原料組成物を加熱溶融した後、押出成形することを特徴とする固形燃料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形燃料及び固形燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調理済み料理等の加熱用燃料として、円柱状又は角柱状の燃料固形物が樹脂フィルムで密封された固形燃料本体が外装材により包装された固形燃料が知られている。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された固形燃料を模式的に示す正面図である。
図8に示す固形燃料100は、アルコールを主成分とした固形燃料成形体より分断した細切れ状の固形燃料本体101と、その全体をほぼ密封包装した樹脂フィルム102と、内面に熱接着剤層を設け、これが樹脂フィルム102と接合して熱接着するように、絞りしわ106を形成することにより絞って包み込み、上部が開口している外装用アルミ箔103とからなり、固形燃料本体101を包装した樹脂フィルム102の全周側面部において、外装用アルミ箔103が山部104と谷部105との縁部を有して接着され、空気接触面が大きくなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4256030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の固形燃料100では、周囲に配設された外装用アルミ箔103が山部104と谷部105との縁部を有して接着され、空気接触面が大きくなるように構成されている。しかしながら、特許文献1に示した固形燃料100のように、固形燃料本体101の周囲に外装用アルミ箔103が配設されている限り、その部分は空気と接触してないので燃焼しにくく、初期に強い火力が必要とされている場合に、その要求を充分に満たすことが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来の固形燃料が有する問題点を解決するためにされたものであり、初期の火力を強くすることができ、調理、保温等、所定の目的を達成するのに必要な固形燃料の量を少なくすることが可能な固形燃料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の固形燃料は、アルコールを主成分とする固形燃料であって、上記固形燃料は、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されるように構成されており、上記断面形状の上記孔及び/又は切欠きを含む総面積を、上記断面形状の輪郭で囲まれる部分の面積とし、上記断面形状の輪郭が途切れている場合は、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分においても輪郭がそのまま続いているものとみなして上記総面積を計算するとともに、上記切欠きの面積も、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして上記切欠きの面積を計算した際、上記断面の総面積に対する上記孔及び/又は上記切欠きの面積の割合が20〜85%であることを特徴とする。
【0008】
本発明の固形燃料では、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されるように構成されている。
本発明の固形燃料において、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔が形成されるように構成されているとは、上記固形燃料を立体的に見た場合、内部に固形燃料が存在しない部分(上面から下面に貫通した貫通孔)が存在し、例えば、平面視した際には、円環形状となっていることを意味する。
【0009】
本発明の固形燃料において、その底面に平行な断面における断面形状の一部に切欠きが形成されるように構成されているとは、上記固形燃料を立体的に周囲から見た場合、周囲から観察することができる欠損部分が存在し、該欠損部分が上記断面形状の切欠きに反映されていることを意味する。
上記孔や切欠きの形状は、特に限定されるものではなく、上記孔や切欠きの数も、1個に限られず、複数個存在してもよい。上記孔の形状は、円形、楕円形、多角形であることが望ましい。上記孔を含む断面の輪郭形状は、特に限定されるものではない。
【0010】
本発明の固形燃料は、上記のように構成されているため、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されていない円柱形状や角柱形状のもの等と比較して表面積がより大きくなっており、空気に露出する表面積が大きいので、同一重量で上記した貫通孔等が内部に全く存在しないものと比較して、初期火力が強い。
一方、このように本発明の固形燃料では、初期火力が強いため、逆に、初期火力を同じにするのであれば、従来の内部に貫通孔等が全く存在しないものと比較して、重量を軽くすることができ、固形燃料の原料コストが安くつく。
【0011】
また、固形燃料には、アルコールを固形にするために添加した不燃性の物質が含まれており、燃焼時に上記不燃性の物質が燃えカスとして上部に残ると、蓋として働き、火力が弱るとともに、固形燃料が高温になった際、アルコール蒸気が吹き出る現象(火飛び現象)が発生し易く、危険である。
しかしながら、本発明の固形燃料では、貫通孔が存在する内側、上記欠損部分が存在する外側、又は、内側と外側に燃えカスが流れ易いため、燃えカスに起因する火飛び現象が発生しにくい。
【0012】
底面に平行な断面の総面積に対する孔及び/又は切欠きの面積の割合が20%未満であると、貫通孔部分の容積が小さいため、燃焼の際、空気が充分に供給されず、燃焼時間が長くなり、初期火力が強くなりにくい。一方、底面に平行な断面の総面積に対する孔及び/又は切欠きの面積の割合が85%を超えると貫通孔部分や欠損部分等が大きくなりすぎ、燃料の梱包時、輸送中や配膳時のハンドリング中、横からの力で形状が崩れてしまう可能性が大きい。
なお、上記底面に平行な断面とは、上記固形燃料の断面積が最も小さくなるように切断した際の断面をいう。
【0013】
また、断面形状の輪郭が途切れて場合は、他の部分の輪郭を参照して途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして総面積を計算するとは、この場合であっても、全体の輪郭を見ることにより、例えば、上記輪郭が円であるか、楕円であるか、多角形であるかが、理解できるので、途切れた部分を含む輪郭が円形、楕円形、又は、多角形とみなして断面積を計算することを意味する。
上記切欠きの面積についても、上記の場合と同様に、円形、楕円形等の一部が切欠かれたものとみなし、切欠き部分の面積を算出する。
また、断面形状の輪郭が途切れる構成のものを製造する場合には、全体の輪郭が想定できるものを製造するものとする。
【0014】
本発明の固形燃料において、上記孔が上記断面形状の内部のみに存在する固形燃料である場合には、上記孔を含む断面の輪郭形状は、円形、楕円形、又は、多角形であることが望ましい。
上記孔を含む断面の輪郭形状は、円形、楕円形、又は、多角形であると、形状が比較的単純であり、比較的容易に製造することができ、量産可能だからである。
【0015】
本発明の固形燃料において、上記切欠きは、上記孔と該孔が外部に通じる部分とからなる固形燃料であって、上記孔と該孔が外部に通じる部分とを除く断面の形状は、略C字形状であることが望ましい。
上記孔を除く断面の形状は、略C字形状であると、形状が比較的単純であり、比較的容易に製造することができるからである。
【0016】
本発明の固形燃料において、固形燃料の重量は、3〜300gであることが望ましい。
本発明の固形燃料は、上記範囲の重量のものを用いると、初期火力が強いという効果を発揮することができるからである。
固形燃料の量が少なく、しかも初期火力を強くするという観点から、固形燃料の重量は、3〜100gであることがより望ましく、5〜25gであることがさらに望ましい。
【0017】
本発明の固形燃料において、上記固形燃料を包装する難燃材が周囲に配設されていることが望ましい。
本発明の固形燃料では、少なくとも内部に貫通孔等が形成されているか、外部に切欠きに由来する欠損部分が存在するため、難燃材が周囲に配置されていても、空気への露出面積は従来の固形燃料と比べて大きく、初期の火力を強くするという効果を発揮することができるからである。また、難燃材は、固形燃料の受け皿の役割を果たす。
【0018】
本発明の固形燃料の製造方法は、上記した固形燃料の製造方法であって、所定形状の固形燃料を製造した後、打ち抜き加工を行うことを特徴とする。
上記した固形燃料の製造方法では、今までの製造設備をそのまま利用し、従来の設備で製造されたものを打ち抜き加工することにより、本発明の固形燃料を製造することができ、安価に、かつ、効率的に固形燃料を製造することができる。
【0019】
本発明の固形燃料の製造方法は、上記した固形燃料の製造方法であって、固形燃料の原料組成物を加熱溶融した後、押出成形することを特徴とする。
上記製造方法を採用した場合、例えば、押出成形により、中心に貫通孔を有す中空形状の連続的な固形燃料(連続体)を作製し、それを所定長さに切断することにより、効率的に、かつ、大量に本発明の固形燃料を製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の固形燃料では、上記貫通孔等が無い従来の固形燃料と比較して表面積がより大きくなっており、空気に露出する表面積が大きいので、同一重量で内部に上記貫通孔が存在しないものと比較して、初期火力が強い。
【0021】
また、本発明の固形燃料の製造方法で、打ち抜き加工法を採用した場合、従来の設備で製造されたものを打ち抜き加工することにより、本発明の固形燃料を製造することができ、安価に、かつ、効率的に固形燃料を製造することができる。
また、本発明の固形燃料の製造方法で、押出成形法を採用した場合、一方向に伸びる連続的な固形燃料(連続体)を作製し、それを所定長さに切断することにより、効率的に、かつ、大量に本発明の固形燃料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、第一実施形態に係る固形燃料の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、第一実施形態に係る固形燃料の他の一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、マンドレルを使用する第一実施形態に係る固形燃料本体の製造装置を模式的に示す断面図である。
図4図4(a)は、ポートホールダイスを使用する第一実施形態に係る固形燃料本体の製造装置を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、上記製造装置を構成するオス型ダイスを模式的に示す斜視図であり、図4(c)は、上記製造装置を構成するメス型ダイスを模式的に示す斜視図である。
図5図5(a)は、第二実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図5(b)は、上記固形燃料本体のA−A線断面の断面形状を示す断面図である。
図6図6(a)は、第三実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図6(b)は、上記固形燃料本体のB−B線断面の断面形状を示す断面図である。図6(c)は、第三実施形態に係る固形燃料の変形例であり、図6(d)は、第三実施形態に係る固形燃料のさらなる変形例である。
図7図7(a)は、第四実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図7(b)は、上記固形燃料本体のC−C線断面の断面形状を示す断面図である。図7(c)は、第四実施形態に係る固形燃料の変形例であり、図7(d)は、第四実施形態に係る固形燃料のさらなる変形例である。
図8図8は、特許文献1に記載された固形燃料を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の固形燃料及びその製造方法について、具体的な実施形態を示しながら説明するが、本発明はこれらの実施形態だけに限定されるものではない。
【0024】
本発明の固形燃料は、アルコールを主成分とする固形燃料であって、上記固形燃料は、その底面に平行な断面における断面形状の一部に孔及び/又は切欠きが形成されるように構成されており、上記断面形状の上記孔及び/又は切欠きを含む総面積を、上記断面形状の輪郭で囲まれる部分の面積とし、上記断面形状の輪郭が途切れている場合は、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分においても輪郭がそのまま続いているものとみなして上記総面積を計算するとともに、上記切欠きの面積も、他の部分の輪郭を参照し、途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして上記切欠きの面積を計算した際、上記断面の総面積に対する上記孔及び/又は上記切欠きの面積の割合が20〜85%であることを特徴とする。
【0025】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態に係る固形燃料の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す固形燃料10を構成する固形燃料本体11の外観の輪郭は円柱形状であるが、軸部分は中空となっており、肉厚のパイプ形状となっている。
すなわち、底面に平行な断面における断面形状の内部に孔が形成されており、断面形状は、円環形状となっている。
以下、単に断面、断面形状というときは、固形燃料本体の底面に平行な断面及び断面形状をいうものとする。
【0026】
図1に示す固形燃料本体11では、上記断面の輪郭は、円であり、内部の孔の断面形状も円であるので、外側の輪郭を構成する円の半径をD、内側の孔を構成する円の半径をdとすると、上記断面の孔を含む総面積(SD1)に対する上記孔の面積(Sd1)の割合(r)は、下記の(1)式となり、rの範囲は、(2)式のように20〜85%となる。
=(Sd1/SD1)×100=(πd/πD)×100(%)・・・(1)
20≦r≦85(%)・・・(2)
【0027】
断面における外側の輪郭を構成する円の半径Dの大きさは、特に限定されるものでなく、次第に小さくなっていってもよく、次第に大きくなっていってもよいが、簡単に製造できる点から、一定の大きさであることが望ましい。内側の孔を構成する円の半径dも、一定の大きさであることが望ましい。
【0028】
(2)式のrの値が20%未満であると、内部のみに存在する貫通孔部分の容積が小さいため、燃焼の際、貫通孔部分に空気が充分に供給されず、燃焼時間が長くなり、初期火力が強くなりにくい。一方、(2)式のrの値が85%を超えると、貫通孔部分の割合が大きくなりすぎ、燃料の梱包時、輸送中や配膳時のハンドリング中、横からの力で形状が崩れてしまう可能性が大きい。
【0029】
固形燃料本体11の高さHは、特に限定されず、要求される燃焼時間等に応じて任意に設定することができる。断面形状における内部の孔の形状も特に限定されないが、燃焼の際に場所に拘わらず同じ厚さで同じように減少していくことが望ましく、そのためには、孔を構成する円は、輪郭を構成する円と同心円状であることが望ましい。
【0030】
以下、本実施形態の固形燃料10を構成する部材等について説明する。
固形燃料10は、固形燃料本体11が樹脂フィルム(図示せず)によって密封されていることが望ましい。固形燃料本体11が樹脂フィルムで密封されていると、固形燃料本体11の燃料成分の蒸発を防ぐことができる。
【0031】
樹脂フィルムの種類は、可燃性で通気性の無い素材からなるフィルムであれば、特に限定されない。ただし、燃焼後に燃焼残渣が残らない素材であることが好ましい。上記フィルムの素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0032】
固形燃料本体11の重量は、特に限定されるものではなく、使用目的等にあわせて適宜設定すればよい。調理済み食品の保温、加温用途に用いるのであれば、3〜300gであることが望ましく、3〜100gであることがより望ましく、5〜25gであることがさらに望ましい。
固形燃料本体11の量をできるだけ少なくし、かつ、初期火力を強く保つためには、上記した重量が望ましいのである。
【0033】
固形燃料本体11は、アルコールを主成分として含む固形物であるが、通常、液体であるアルコールを固体にするため、石鹸(せっけん)類あるいは酢酸セルロース等にアルコールを含ませてゲル状の固形体とする。従って、固形燃料本体11の成分構成は、アルコール以外に、石鹸(せっけん)類あるいは酢酸セルロース等の成分を含んでいてもよく、その他、各種添加剤成分を含んでいてもよい。
【0034】
この固形燃料10を燃焼させる際には、受け皿の内部に固形燃料10を設置し、着火して燃焼させる。このような形状の固形燃料は、既に料理等が終了した鍋料理等の保温に適している。勿論、燃焼時間の設定を長くすれば、初期火力が要求されるその他の用途にも用いることができる。
【0035】
周囲がアルミ箔のような難燃材(難燃シート)で覆われ、内部に孔のない従来の固形燃料では、燃焼が続くと、燃えカスが表面に浮いて来て蓋をし、火力が弱くなり、時には燃焼時に内圧が高くなって内部でアルコールの沸騰がおこり、所謂、火飛び現象が発生することがある。
しかしながら、図1に示したような周囲がアルミ箔のような難燃材(難燃性シート)で覆われておらず、中空形状や周囲に欠損部分を有する固形燃料では、燃焼の際、燃えカスが流れて下に落ち易いため、そのような、火飛び現象は発生せず、所定の時間、強い火力を維持することができる。
【0036】
次に、第一実施形態に係る固形燃料の他の一例である難燃性シートにより一部が覆われた固形燃料について説明する。
図2は、第一実施形態に係る固形燃料の他の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す固形燃料20は、固形燃料本体11の下部及び底面の周囲を覆う難燃性シート22を備えている。本発明の固形燃料20では、初期火力の強さを確保するため、難燃性シート22は、固形燃料本体11の下部及び底面の周囲のみを覆うように構成されており、難燃性シート22の最上部は露出面積を大きくするために波形状となっている。なお、固形燃料本体11は、図1で用いた固形燃料本体11と同様である。
【0037】
難燃性シート22を用いた場合には、難燃性シート22が受け皿の代わりをするので、受け皿を必要とせず、燃えカスは、難燃性シート22の中に残るので、難燃性シート22(アルミ箔)ごと燃えカスを廃棄することができる。
【0038】
難燃性シート22の形状は特に限定されるものではなく、固形燃料本体11の底面と下部周辺を覆うものであればよく、図2に示したように難燃性シート22の最上部の形状は、波形状でもよく、直線形状でもよい。
【0039】
難燃性シート22は、難燃材からなるシート材料であり、本実施形態では、この難燃性シートを受け皿形状に加工したものであることが好ましい。
難燃材としては、耐火性、加工性、形状保持性等の観点から、銅、ステンレス、アルミニウム等の金属箔であることが好ましく、アルミ箔であることがより好ましい。また、難燃材として、難燃性の樹脂フィルムや難燃紙を用いてもよい。
図2に示した固形燃料では、周囲がアルミ箔のような難燃材(難燃性シート)で覆われているが、中空形状や周囲に欠損部分を有するため、燃焼の際、燃えカスが中央の貫通孔部分等に流れて下に落ち易く、そのため、火飛び現象は発生しにくく、所定の時間、強い火力を維持することができる。
【0040】
以下、本実施形態の固形燃料の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
まず、固形燃料本体の製造方法について説明する。
固形燃料本体の製造方法は、特に限定されるものではないが、固形燃料の原料組成物を加熱溶融した後、押出成形することにより製造する方法が望ましい。
【0041】
図1、2に示すような貫通孔を有するパイプ形状の固形燃料本体の製造方法は、マンドレル(心棒)を使用する方式とポートホールダイスを使用する方式の二つの方式があるが、いずれの方式を使用してもよい。
【0042】
図3は、マンドレルを使用する第一実施形態に係る固形燃料本体の製造装置を模式的に示す断面図である。
本実施形態に係るマンドレル使用の製造装置30では、コンテナ36の内部に収容されたビレット(溶融状態の固形燃料)33は、ブロック38とブロック38を押すピストンの役割を果たすラム37によりダイス34を介して押し出されるが、中空形状の成形体を製造するために以下のような構造をとっている。
【0043】
すなわち、本発明のマンドレル使用の製造装置30では、パイプ形状の固形燃料とするために、ブロック38とラム37の中心軸部分にマンドレル32が固定されており、これによりダイリング35によりコンテナ36内部に固定されたダイス34の中心軸となる部分をマンドレル32が貫通し、ビレット33が押し出される際に、ダイス34が形成する開口の中心部分にマンドレル32が存在するため、中空形状の成形体31となる。
なお、ビレット33は、入口より連続的に供給されるようになっており、ビレット33の周囲には、コンテナ36を介してヒータ39が設けられており、ダイス34の周辺には、コンテナ36を介して冷却装置36aが設けられ、冷却水36bが循環している。
【0044】
押し出された中空形状の成形体31は、固形燃料本体11の高さ方法に連続した連続体であるので、所定の高さとなるように、一定長さ毎にカッター等で切断し、固形燃料本体の製造を完了する。
この後、固形燃料本体を樹脂フィルムで密封することにより図1に示した固形燃料10の製造が終了する。
【0045】
固形燃料本体を樹脂フィルムで密封する方法は特に限定されないが、例えば、固形燃料本体を樹脂フィルムで包装したあと、樹脂フィルムの周端部を隙間ができないように熱融着する方法をとることができる。
【0046】
図2に示す固形燃料20を製造するためには、上記工程に続いて、難燃性シートを作製し、受け皿形状に加工する。
まず、難燃材からなるシート材料である難燃性シートを固形燃料本体11の底面に平行な断面形状より大きい円形に切り出す。
【0047】
次に、切り出した難燃シート22の上に固形燃料本体11を配置する。この際、固形燃料本体11の底面の中心部に難燃性シート22の中心部が配置されるように、固形燃料本体11を配置する。
【0048】
次に、固形燃料本体11を包むように、難燃性シート22を上側に折り曲げ、受け皿形状とすることにより、図2に示す固形燃料20が得られる。予め、受け皿形状に成形加工しておき、その内部に固形燃料本体11を配置してもよい。
【0049】
次に、本実施形態の固形燃料の製造方法の別の一例であるポートホールダイスを使用する方式について説明する。
図4(a)は、ポートホールダイスを使用する第一実施形態に係る固形燃料本体の製造装置を模式的に示す断面図であり、図4(b)は、上記製造装置を構成するオス型ダイスを模式的に示す斜視図であり、図4(c)は、上記製造装置を構成するメス型ダイスを模式的に示す斜視図である。
【0050】
本発明のポートホールダイス使用の製造装置40では、コンテナ46の内部に収容されたビレット(溶融状態の固形燃料)43は、ブロック48とブロック48を押すピストンの役割を果たすステム47によりダイス44を介して押し出されるが、中空形状の成形体とするために以下のような構造をとっている。
【0051】
すなわち、本発明のポートホールダイス使用の製造装置40では、パイプ形状の固形燃料を形成するために、ダイス44がオス型ダイス44aとメス型ダイス44bとから構成されている。そして、オス型ダイス44aは、パイプ形状をなす部材の中心軸部分に図3に示したマンドレルの役割を果たす芯棒440を固定するためX形状のブリッジ部450が形成されており、オス型ダイス44aと隣り合わせでコンテナ46内に配置されるメス型ダイス44bに形成された開口の中心に芯棒440が位置するように設計されている。
なお、ビレット43は、入口より連続的に供給されるようになっており、ビレット43の周囲には、コンテナ46を介してヒータ49が設けられており、ダイス44の周辺には、コンテナ46を介して冷却装置46aが設けられ、冷却水46bが循環している。
【0052】
図4(a)に示すように、ビレット43が押し出される際には、外側に配置されたメス型ダイス44bが形成する開口の中心部分にオス型ダイス44aの心棒440が存在するため押し出されたビレット43は中空形状の成形体となる。
【0053】
この後、図3を用いて説明した固形燃料の製造方法と同様の方法をとることにより、図1に示した固形燃料10、又は、図2に示す固形燃料20が得られる。
【0054】
上記した第一実施形態に係る固形燃料を製造する際、打ち抜き加工法を採用してもよい。この場合には、例えば、従来の設備で製造された円柱形状の成型体の中心部分に貫通孔が形成された中空形状の成型体となるように、中心部分を打ち抜き加工することにより、第一実施形態に係る形状の固形燃料を製造することができる。
【0055】
また、加熱溶融した固形燃料の原料を、図1、2に示した形状となるように形成された金型に流し込むことにより、図1、2に示す形状の固形燃料本体を製造してもよい。
【実施例】
【0056】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例だけに限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
本実施例では、図3に示した製造装置及び上記実施の形態で説明した製造方法を用いて図1に示す固形燃料10を製造した。すなわち、図3に示すマンドレル使用の製造装置30を用い、押出成形により連続体を製造した後、カッターでカットすることにより、固形燃料本体11を製造し、樹脂フィルムで覆った。
得られた固形燃料本体11の重量、固形燃料本体11の断面形状における外側の輪郭を構成する円の外径(直径)2D、内側の孔を構成する円の内径(直径)2d、高さHを表1に示す。また、(1)式に示す孔を含む断面の総面積に対する孔の面積の割合(以下、面積比(Sd1/SD1)ともいう)も表1に示す。
【0058】
次に、得られた固形燃料10をコンロに入れ、着火して燃焼時間(S:秒)を測定した。その結果を同じく表1に示す。
【0059】
(実施例2〜8)
固形燃料本体11の重量、外径(直径)2D、内径(直径)2d、高さHを表1に示す値に変えたほかは、実施例1と同様にして、固形燃料11を製造し、燃焼時間(S:秒)を測定した。面積比(Sd1/SD1)及び燃焼時間(S:秒)も表1に示す。
【0060】
(比較例1〜3)
溶融した固形燃料を型に入れて成型する方法を用いて、内径(直径)2dが0mm、すなわち円柱形状の固形燃料本体を製造し、燃焼時間(S:秒)を測定した。固形燃料本体の重量、外径(直径)2D、内径(直径)2d、高さH、燃焼時間(S:秒)を表1に示す。なお、面積比(Sd1/SD1)も表1に示しているが、0(%)である。
【0061】
【表1】
【0062】
表1に示すとおり、固形燃料本体の同じ重量で比較すると、5gの固形燃料本体を使用した実施例1〜4と比較例1との比較結果より明らかなように、本発明の実施例1〜4の固形燃料本体は、比較例1の固形燃料本体と比べて明らかに燃焼時間が短く、単位時間当たりに消費する固形燃料の重量が多いことから、中空形状にすることにより、初期火力を強くすることができることが実証された。
また、実施例1〜4において、それぞれの燃焼時間を比較すると、面積比(Sd1/SD1)が大きいほど、燃焼時間が短くなっており、面積比(Sd1/SD1)を大きくとることにより、初期火力を強くできることがわかった。
さらに、実施例2と実施例6との比較よりわかるように、同じ面積比(Sd1/SD1)で比較すると、固形燃料本体の重量が2倍になっても、燃焼時間は、2倍となっておらず、固形燃料本体の重量を重くすることにより、初期火力をより強くできることがわかった。ただし、これは重量が一定の範囲で成立すると考えられる。
【0063】
(実施例9〜12)
実施例1と同様にして製造した固形燃料本体11を難燃性シートであるアルミ箔で包装した。アルミ箔は、固形燃料本体11の底部全体及び表2に示す割合(%)で固形燃料本体11の側面を被覆していた。なお、アルミ箔の最上部の形状は、直線であり、全ての場所で同じ高さであった。固形燃料本体の重量、外径(直径)2D、内径(直径)2d、高さH、面積比(Sd1/SD1)、燃焼時間(S:秒)を表2に示す。
【0064】
(比較例4〜5)
比較例1と同様にして製造した固形燃料本体を難燃性シートであるアルミ箔で包装した。アルミ箔は、固形燃料本体11の底部全体及び表2に示す割合(%)で固形燃料本体11の側面を被覆していた。なお、アルミ箔の最上部の形状は、直線であり、全ての場所で同じ高さであった。固形燃料本体の重量、外径(直径)2D、内径(直径)2d、高さH、燃焼時間(S:秒)を表1に示す。なお、面積比(Sd1/SD1)も表2に示しているが、0%である。
【0065】
【表2】
【0066】
表2に示すとおり、固形燃料本体をアルミ箔で包装した場合も、中空形状にすることにより、初期火力を強くすることができることが実証された。
また、表1と表2の結果の比較より明らかなように、アルミ箔で包装することにより、アルミ箔で包装しないものと比べて、初期火力は弱くなるが、燃焼時間は長くなる。従って、重量、面積比(Sd1/SD1)、高さHの設定、アルミ箔による包装の有無を選択することにより、初期火力や燃焼時間に対する種々の要求に答えることができる。また、同じ初期火力であれば、中空形状とすることにより、固形燃料本体を軽くすることができるので、原料コストがより安価な固形燃料を提供することができることが明らかになった。
【0067】
(第二実施形態)
第一実施形態では、固形燃料本体の断面の輪郭形状が円の場合について説明したが、固形燃料本体の断面形状は、第一実施形態で説明した形状に限られず、孔を含む断面の輪郭形状は、円形、楕円形、又は、多角形であってもよい。
【0068】
また、固形燃料本体の断面の形状に関し、内部の孔が外部に通じている断面形状を有する固形燃料であってもよい。
以下、このような第一実施形態に係る固形燃料と異なる形状の固形燃料について説明する。
【0069】
図5(a)は、第二実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図5(b)は、上記固形燃料本体のA−A線断面の断面形状を示す断面図である。
【0070】
第二実施形態に係る固形燃料は、図5に示すような断面形状が楕円形の固形燃料本体51からなる固形燃料50であってもよい。図5に示す固形燃料本体51では、内部の孔の断面形状も楕円形である。
図5(b)に示す断面の孔を含む総面積(SD2)に対する上記孔の面積(Sd2)の割合は、下記の(3)式となる。
20≦(Sd2/SD2)×100≦85(%)・・・(3)
なお、楕円の長軸をa、短軸をbとすると、楕円の面積(Sd2、SD2)=πabであるので、この式を用いることにより、面積比(Sd2/SD2)を計算することができる。
【0071】
第二実施形態に係る固形燃料は、断面形状がレーストラック形状であってもよく、その他の楕円形に似た別の形状であってもよい。
【0072】
(第三実施形態)
図6(a)は、第三実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図6(b)は、上記固形燃料本体のB−B線断面の断面形状を示す断面図である。
【0073】
第三実施形態に係る固形燃料は、図6に示すような断面形状が正方形の固形燃料本体61からなる固形燃料60であってもよい。図5に示す固形燃料本体61では、内部の孔の断面形状も正方形である。
図6(b)に示す断面の孔を含む総面積(SD3)に対する上記孔の面積(Sd3)の割合は、下記の(4)式となる。
20≦(Sd3/SD3)×100≦85(%)・・・(4)
なお、正方形の1辺の長さをcとすると、正方形の面積(Sd3、SD3)=cであるので、面積比(Sd3/SD3)を計算することができる。
第三実施形態に係る固形燃料は、断面形状が長方形や平行四辺形であってもよく、三角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
【0074】
図6(c)は、第三実施形態に係る固形燃料の変形例であり、この固形燃料では、固形燃料本体63の内部の孔の断面形状が円形となっている。このように、内部の孔の断面形状は、円形や他の形状でもよい。
図6(c)において、断面の孔を含む総面積(SD3)に対する孔の面積(Sd33)の割合を算出する際には、上記(4)式において孔の面積(Sd33)を円の面積(πr:rは半径)として計算すればよい。
【0075】
図6(d)は、第三実施形態に係る固形燃料のさらなる変形例であり、この固形燃料では、固形燃料本体66の内部の孔の断面形状が円形状であり、孔が2個存在している。このように、内部の孔は、複数存在してもよい。
図6(d)において、断面の孔を含む総面積(SD3)に対する孔の面積(Sd36)の割合を算出する際には、上記(4)式において孔の面積(Sd36)を2個の円の面積(2×πr:rは半径)として計算すればよい。
【0076】
第二実施形態や第三実施形態に係る固形燃料は、その形状が異なるほかは、第一実施形態で説明した構成(実施形態)と同様の構成(実施形態)を有しており、同様の効果を享受することができる。また、第二実施形態や第三実施形態に係る固形燃料では、第一実施形態と同様、中空形状をとっており、第一実施形態で説明した製造方法においてダイの形状を変え、ビレットや芯棒の形状を変えることにより、第二実施形態や第三実施形態に係る固形燃料を製造することができる。
【0077】
(第四実施形態)
図7(a)は、第四実施形態に係る固形燃料を構成する固形燃料本体を示す斜視図であり、図7(b)は、上記固形燃料本体のC−C線断面の断面形状を示す断面図である。
【0078】
第四実施形態に係る固形燃料は、図7に示すような断面形状における孔が外部に通じている固形燃料70であって、断面形状が略C字形状の固形燃料本体71からなる固形燃料70であってもよい。なお、孔が外部に通じている形状は、切欠きの一種である。
【0079】
第四実施形態に係る固形燃料は、断面形状における孔が外部に通じているため、固形燃料本体71の表面積がより広くなり、初期火力をより強くすることができる。
このような断面形状における孔が外部に通じている場合、他の部分の輪郭を参照して途切れた部分でも輪郭がそのまま続いているものとみなして断面における輪郭の総面積を計算する。
【0080】
図7に示す固形燃料本体71では、他の部分の輪郭を参照すると、円が想定できるので、輪郭は円形状であるとみなして総面積を計算し、孔の面積は、円の内部に外部に通じる孔が存在するとしてその面積を計算する。
【0081】
図7(b)に示す断面の孔等を含む総面積(SD4)に対する上記孔及び外部に通じる部分の面積(Sd4)の割合は、下記の(5)式となる。
20≦(Sd4/SD4)×100≦85(%)・・・(5)
【0082】
第四実施形態に係る固形燃料において、断面形状の輪郭は、円形、楕円形、多角形の一部が途切れたものが挙げられるが、これらの形状に限定されず、その他の形状であってもよい。また、孔の形状も、特に限定されない。
【0083】
図7(c)は、第四実施形態に係る固形燃料の変形例であり、この固形燃料では、固形燃料本体73の切欠きの断面形状は、曲線により構成されている。
図7(c)に示す断面の切欠きを含む総面積(SD4)に対する上記切欠き部分の面積(Sd43)の割合を算出するには、上記の(5)式において、上記孔及び外部に通じる部分の面積(Sd4)の代わりに切欠きの面積(Sd43)を代入すればよい。
【0084】
図7(d)は、第四実施形態に係る固形燃料のさらなる変形例であり、この固形燃料では、固形燃料本体76に種々の形状の切欠きが複数形成されている。
図7(d)において、断面の切欠きを含む総面積(SD4)に対する切欠きの面積(Sd46、Sd47、Sd48、Sd49)の割合を算出する際には、上記(5)式において、上記孔及び外部に通じる部分の面積(Sd4)の代わりに切欠きの面積(Sd46+Sd47+Sd48+Sd49)を代入すればよい。
【0085】
第四実施形態に係る固形燃料は、その形状が異なるほかは、第一実施形態で説明した構成(実施形態)と同様の構成(実施形態)を有しており、上述した効果を享受することができるほか、他の効果に関し、第一実施形態で説明した効果と同様の効果を享受することができる。第四実施形態に係る固形燃料を製造する際には、押出部分(開口)の形状が平面視した固形燃料本体の形状と同じになるように設計されたダイを用い温度コントロールすることにより、厚さ方向に連続した連続成型体を製造することができ、連続体を所定の高さとなるように切断することにより、第四実施形態に係る固形燃料本体を製造することができる。
【符号の説明】
【0086】
10、20、50、60、70 固形燃料
11、51、61、63、66、71、73、76 固形燃料本体
22 難燃性シート
30 マンドレル使用の製造装置
31 成型体
32 マンドレル
33、43 ビレット
34、44 ダイス
35 ダイリング
36、46 コンテナ
36a、46a 冷却装置
36b、46b 冷却水
37 ラム
38、48 ブロック
39、49 ヒータ
44a オス型ダイス
44b メス型ダイス
47 ステム
440 芯棒
450 ブリッジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8