【実施例】
【0030】
[製造例1]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを428g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)330.5g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)264.4g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)66.1gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.38gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品A;エステル化率35%)約850gを得た。
【0031】
[製造例2]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを367g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)446.0g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)356.8g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)89.2gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.58gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品B;エステル化率60%)約1070gを得た。
【0032】
[製造例3]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを342g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)543.3g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)434.6g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)108.7gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.54gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品C;エステル化率80%)約1210gを得た。
【0033】
[製造例4]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを361g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)740.7g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)185.2gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.59gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品D;エステル化率75%)約1090gを得た。
【0034】
[製造例5]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを458g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)571.1g、ベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)30.0gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.29gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品E;エステル化率35%)約825gを得た。
【0035】
[製造例6]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを409g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)679.1g、ベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)35.7gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.45gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品F;エステル化率45%)約890gを得た。
【0036】
[製造例7]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを356g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)914.8g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)48.1gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.61gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品G;エステル化率80%)約1120gを得た。
【0037】
[製造例8]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトール347gを仕込み、次にステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)1035.4gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.65gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品H;エステル化率65%)約1140gを得た。
【0038】
[製造例9]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを355g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)126.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)682.0g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)165.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.62gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約3.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品I;エステル化率60%)約1130gを得た。
【0039】
[製造例10]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを443g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)188.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)377.3g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)62.9gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.33gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品J;エステル化率30%)約830gを得た。
【0040】
[製造例11]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを337g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)341.1g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)682.1g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)113.7gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム0.70gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約4.0時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品K;エステル化率80%)約1250gを得た。
【0041】
[製造例12]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトール550gを仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)295.6g、ステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)172.4g及びベヘニン酸85(商品名;ベヘニン酸含有量90%;アラキジン酸含有量8%;ステアリン酸含有量2%;ミヨシ油脂社製)24.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.13gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品L;エステル化率23%)約800gを得た。
【0042】
[製造例13]
撹拌機、温度計、ガス吹込管及び水分離器を取り付けた2Lの四つ口フラスコに、ソルビトールを492g仕込み、次にラウリン酸L−98(商品名;脂肪酸組成:ラウリン酸98%、ミリスチン酸2%;丸善薬品産業社製)523.7g及びステアリン酸65(商品名;ステアリン酸含有量65%;パルミチン酸含有量35%;ミヨシ油脂社製)27.6gを仕込み、触媒として水酸化ナトリウム1.22gを加え、常圧下、窒素ガス気流中、235℃で酸価10以下となるまで約1.5時間エステル化反応を行った。得られた反応生成物を冷却し、ソルビタン脂肪酸エステル(試作品M;エステル化率30%)約810gを得た。
【0043】
ここで、製造例1〜13で製造したソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜M)の構成脂肪酸100%中、炭素数10〜14、炭素数16〜18及び炭素数20〜22の脂肪酸含有量(%)並びにこれらのエステル化率を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
なお、表1に示したソルビタン脂肪酸エステルのうち、試作品A〜G(製造例1〜7)は、本発明に係る実施例であり、試作品H〜M(製造例8〜13)は、これらに対する比較例である。
【0046】
[試験例]
[ラウリン系油脂の結晶成長抑制試験]
ヤシ硬化油(商品名:硬化ヤシ油;不二製油社製)50g及びキャノーラ油(日清オイリオグループ社製)50gからなる配合油に、製造例1〜13で得たソルビタン脂肪酸エステル(試作品A〜M)各0.5gを結晶成長抑制剤として添加し、これを80℃に加熱して混合・溶解し、ラウリン系油脂組成物を調製した。得られた油脂組成物の適量をカバーガラス上にサンプリングし、その上に別のカバーガラスをかぶせて油脂組成物を挟み込んだ。次に、顕微鏡用加熱冷却ステージ(LINKAM社製)を用いて該油脂組成物を10℃/分の速度で60℃まで昇温し、3分間保持した後、10℃/分の速度で20℃まで冷却した。続いて、20℃に設定した恒温器内に該油脂組成物を2週間保存し、その結晶状態を偏光顕微鏡(NIKON社製)で観察し、下記評価基準により記号化した。また、対照として、結晶成長抑制剤無添加のものも同様に試験した。結果を表2に示す。
○:ほとんどが10μm以下の大きさの結晶
△:半数以上が10〜20μmの大きさの結晶
×:ほとんどが20μm以上の大きさの結晶
【0047】
【表2】
【0048】
表2の結果から明らかなように、本発明の結晶成長抑制剤(試作品A〜G)を添加したラウリン系油脂組成物は、結晶の成長が十分に抑制されていた。これに対し、比較例の結晶成長抑制剤(試作品H〜M)を添加したラウリン系油脂組成物及び対照のラウリン系油脂組成物では、比較的大きな結晶が見られ、本発明のものに比べて劣っていた。