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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-146114(P2015-146114A)
(43)【公開日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】投票用紙交付装置
(51)【国際特許分類】
   G07C 13/00 20060101AFI20150717BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20150717BHJP
   B65H 1/02 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
   G07C13/00 B
   B65H3/44 340Z
   B65H1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-18573(P2014-18573)
(22)【出願日】2014年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390011981
【氏名又は名称】株式会社ムサシ
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】赤井 征巳
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀知
【テーマコード(参考)】
3E138
3F343
【Fターム(参考)】
3E138AA20
3E138HA06
3E138HA07
3E138KA01
3F343FA14
3F343FB00
3F343FC30
3F343GA04
3F343LC19
3F343MB03
3F343MB09
3F343MC23
3F343MC26
(57)【要約】
【課題】操作者に対して投票用紙の種類の確認作業を促すこと。
【解決手段】装置本体1とコントローラ部9と、を備えており、装置本体1は、内部に、複数枚の投票用紙を重ねた状態で収容する収容部と、収容部において最端に位置する1枚の投票用紙を、収容部から取り出して、搬送して、用紙取出口から突出させる、用紙送出機構と、用紙送出機構の途中から、搬送中の投票用紙を回収する、回収機構と、回収された投票用紙を収容する回収部と、装置全体の作動を制御する制御部と、を有しており、コントローラ部9は、第1確認スイッチ95を備えており、制御部は、交付1枚目の投票用紙を回収部へ強制的に回収し、用紙送出機構を作動禁止状態に設定し、外部に対して警告を発するようになっており、第1確認スイッチ95が押されると、警告及び作動禁止状態を解除するようになっている、ことを特徴としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票用紙を用紙取出口から1枚ずつ交付する投票用紙交付装置において、
開閉蓋を有する装置本体と、前記装置本体に接続されたコントローラ部とを、一体に又は別体に、備えており、
前記装置本体は、内部に、
複数枚の投票用紙を重ねた状態で収容する収容部と、
前記収容部において最端に位置する1枚の投票用紙を、前記収容部から取り出して、搬送して、前記用紙取出口から突出させる、用紙送出機構と、
前記用紙送出機構の途中から、搬送中の投票用紙を回収する、回収機構と、
回収された投票用紙を収容する回収部と、
装置全体の作動を制御する制御部と、
を有しており、
前記開閉蓋は、前記回収部に収容された投票用紙を外部から視認できるように構成されており、
前記装置本体又は前記コントローラ部は、第1確認スイッチを備えており、
前記制御部は、
前記コントローラ部からの信号を受けて、前記用紙送出機構を作動させる、送出制御部と、
交付1枚目の投票用紙を回収するように、前記回収機構を制御する、強制リジェクト部と、
前記強制リジェクト部の作動に伴って、外部に対する警告を発する、警告部と、
前記強制リジェクト部の作動後に、前記用紙送出機構を作動禁止状態に設定する、禁止部と、
前記第1確認スイッチが押されると、前記警告部による前記警告、及び、前記禁止部による前記作動禁止状態、を解除する、解除部と、
を有している、
ことを特徴とする投票用紙交付装置。
【請求項2】
前記強制リジェクト部は、装置の電源を立ち上げた後に最初に前記収容部から取り出される投票用紙を、交付1枚目の投票用紙として回収するように、前記回収機構を制御するようになっている、
請求項1記載の投票用紙交付装置。
【請求項3】
前記強制リジェクト部は、前記開閉蓋を開閉した後に最初に前記収容部から取り出される投票用紙を、交付1枚目の投票用紙として回収するように、前記回収機構を制御するようになっている、
請求項1又は2に記載の投票用紙交付装置。
【請求項4】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、表示ランプを備えており、
前記警告部は、前記表示ランプをオンすることによって前記警告を発するようになっている、
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項5】
前記第1確認スイッチが、前記表示ランプを兼ねている、
請求項4記載の投票用紙交付装置。
【請求項6】
前記装置本体が、内部に、前記収容部又は前記回収部を照らす照明具を、備えており、
前記警告部は、前記照明具をオンすることによって前記警告を発するようになっている、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項7】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、表示パネルを備えており、
前記警告部は、前記表示パネルに警告を表示することによって前記警告を発するようになっている、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項8】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、表示パネルを備えており、
前記解除部は、前記表示パネルに、選挙種別に対応する文章を表示させるようになっている、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項9】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、音又は音声を発生する第1音発生部を、備えており、
前記警告部は、前記第1音発生部を作動させることによって前記警告を発するようになっている、
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項10】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、第2確認スイッチを備えており、
前記解除部は、前記第2確認スイッチも押された場合に、作動するようになっている、
請求項1乃至9のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項11】
前記解除部は、前記第2確認スイッチが押された後に前記第1確認スイッチが押された場合のみに、作動するようになっている、
請求項10記載の投票用紙交付装置。
【請求項12】
前記解除部は、前記第1確認スイッチが所定時間以上押され続けた場合のみに、作動するようになっている、
請求項1乃至11のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項13】
前記解除部は、前記警告部が作動して所定時間経過した後に前記第1確認スイッチが押された場合のみに、作動するようになっている、
請求項1乃至12のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項14】
前記装置本体又は前記コントローラ部が、音又は音声を発生する第2音発生部を、備えており、
前記解除部は、前記第1確認スイッチが押されると、前記第2音発生部を作動させるようになっている、
請求項1乃至13のいずれか一つに記載の投票用紙交付装置。
【請求項15】
前記第2音発生部は、選挙種別に対応した音声を発生するようになっている、
請求項14記載の投票用紙交付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投票用紙を投票者に交付するための投票用紙交付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
投票用紙交付装置は、投票用紙を自動で計数しながら確実に1枚ずつ交付できるので、選挙において有効に利用されており、特に、複数の選挙が同時に実施される場合に有効に利用されている。そして、複数の選挙が同時に実施される場合には、投票用紙は、複数種類あり、種類毎に、対応する交付装置にセットされる。
【0003】
ところで、投票用紙を種類毎に対応する交付装置にセットする作業は、操作者が投票用紙の種類を目視で確認しながら行っていた。投票用紙の種類は、例えば、投票用紙に記載されている選挙の種類名や投票用紙の色によって、目視で確認できる。
【0004】
しかしながら、操作者は、投票用紙に記載されている選挙の種類名や投票用紙の色を目視で正確に確認しても、間違った交付装置に投票用紙をセットすることがあった。この場合、投票用紙の誤交付が生じる。
【0005】
そこで、投票用紙の誤交付を防止するために、特許文献1に記載の装置が提案されている。その装置では、選挙の種類に応じたマークが予め付された投票用紙が使用され、投票用紙が交付装置から交付される際に、マークを認識して、投票用紙の種類を確認するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−215218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の装置では、投票用紙に予めマークを付しておく必要がある。しかも、投票用紙の仕様には一定の制約があるため、その制約内で、マークを検出するための機械仕様を設定することは、容易ではない。それ故、特許文献1の装置は、実用性に乏しい。
【0008】
ところで、操作者が、交付装置を作動させて交付作業を始める前に、再度、セットされている投票用紙の種類を確認すれば、投票用紙の誤交付を防止できる、と考えられる。しかしながら、操作者がそのような確認作業を怠る恐れは大きい。
【0009】
そこで、本発明者らは、操作者に対してそのような確認作業を促すための手段を、交付装置に設けることを、検討した。
【0010】
本発明は、操作者に対して投票用紙の種類の確認作業を促すことができ、それ故に、投票用紙の誤交付を防止でき且つ実用性がある、投票用紙交付装置を、提供すること、を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、投票用紙を用紙取出口から1枚ずつ交付する投票用紙交付装置において、開閉蓋を有する装置本体と、前記装置本体に接続されたコントローラ部とを、一体に又は別体に、備えており、前記装置本体は、内部に、複数枚の投票用紙を重ねた状態で収容する収容部と、前記収容部において最端に位置する1枚の投票用紙を、前記収容部から取り出して、搬送して、前記用紙取出口から突出させる、用紙送出機構と、前記用紙送出機構の途中から、搬送中の投票用紙を回収する、回収機構と、回収された投票用紙を収容する回収部と、装置全体の作動を制御する制御部と、を有しており、前記開閉蓋は、前記回収部に収容された投票用紙を外部から視認できるように構成されており、前記装置本体又は前記コントローラ部は、第1確認スイッチを備えており、前記制御部は、前記コントローラ部からの信号を受けて、前記用紙送出機構を作動させる、送出制御部と、交付1枚目の投票用紙を回収するように、前記回収機構を制御する、強制リジェクト部と、前記強制リジェクト部の作動に伴って、外部に対する警告を発する、警告部と、前記強制リジェクト部の作動後に、前記用紙送出機構を作動禁止状態に設定する、禁止部と、前記第1確認スイッチが押されると、前記警告部による前記警告、及び、前記禁止部による前記作動禁止状態、を解除する、解除部と、を有している、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交付1枚目の投票用紙を回収部へ強制的に回収し、用紙送出機構を作動禁止状態に設定し、外部に対して警告を発するので、操作者に対して、回収された投票用紙の種類の確認作業、すなわち、その結果として、セットされている投票用紙の種類の確認作業を、促すことができる。これにより、操作者は、収容部にセットされている投票用紙の種類を積極的に確認し、投票用紙の種類が「誤り」である場合には、「正しい」種類の投票用紙と交換するようになる。したがって、投票用紙の誤交付を防止できる。
【0013】
また、本発明によれば、操作者が第1確認スイッチを押さない場合には、解除部は作動せず、したがって、交付装置は、交付作業を実施できる状態にはならない。したがって、操作者は、交付作業を実施しようとする際には、必ず、第1確認スイッチを押すこととなり、その前提として、回収された投票用紙の種類の確認作業を行うこととなる。この点からも、操作者に対して、回収された投票用紙の種類の確認作業を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による投票用紙交付装置の外観斜視図である。
図2図1のII−II断面図である。
図3】開閉蓋が開いた状態の装置本体の外観斜視図である。
図4】本実施形態による投票用紙交付装置の制御部のブロック図である。
図5】本実施形態による投票用紙交付装置の作動を示すフローチャートである。
図6】変形構成を採用した投票用紙交付装置の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の投票用紙交付装置の外観斜視図である。図2は、図1のII−II断面図である。この交付装置10は、装置本体1とコントローラ部9とからなっている。ここでは、装置本体1とコントローラ部9とは、別体に設けられている。
【0016】
装置本体1は、略直方体形状の筐体であり、開閉蓋111を有している。図3は、開閉蓋111が開いた状態の装置本体1の外観斜視図である。開閉蓋111は、装置本体1の上壁11の略後半部と後壁15の上部とが一体となって構成されている。開閉蓋111は、前縁部112を支点として、上下に回動することにより、開閉するようになっている。
【0017】
装置本体1は、内部に、複数枚の投票用紙を収容する収容部2と、収容部2において最端に位置する1枚の投票用紙を、収容部2から取り出して、搬送路31を通して搬送して、用紙取出口32から突出させる、用紙送出機構3と、用紙送出機構3の途中から、搬送中の投票用紙を回収する、回収機構4と、回収された投票用紙を収容する回収部5と、を有している。開閉蓋111は、回収部5の一部及び収容部2の全部を覆っている。開閉蓋111は、外部から収容部2を視認できるように構成されており、具体的には、透明に形成されている。
【0018】
装置本体1は、後壁15の片隅に、電源(図示せず)からの通電をオンオフする電源スイッチ101と、電源へのコネクタ102と、を有している。更に、装置本体1は、装置全体の作動を制御する制御部70(図4)を有している。図4は、制御部70のブロック図である。制御部70は、CPU、ROM、RAM等により、実現されている。
【0019】
コントローラ部9は、コード91を介して、装置本体1の制御部70に接続されており、制御部70に制御信号を送信するようになっている。コントローラ部9は、操作キー92、93、表示パネル94、及び第1確認スイッチ95を有している。
【0020】
第1確認スイッチ95は、押されることによってスイッチオンするようになっている。また、第1確認スイッチ95は、表示ランプを構成するLEDと一体となっている。LEDとしては、赤色LEDが好ましく用いられている。
【0021】
収容部2は、複数枚の投票用紙を収容する空間として構成されており、立壁21と底壁22と両側壁23とで囲まれている。立壁21は、上部が前になるように少し傾斜しており、収容部2と用紙送出機構3とを隔てている。底壁22は、用紙送出機構3に向けて少し低くなるように傾斜している。投票用紙Pは、図2に示されるように、立壁21に沿うように立てた状態で、且つ、立壁21側から重ねた状態で、収容部2に収容される。底壁22には、収容した投票用紙Pを立壁21に向けて押し付ける押さえ部材25が設けられている。押さえ部材25は、板体であり、前後方向(矢印Y方向)に移動可能に設けられており、スプリング26によって立壁21側へ常時付勢されている。
【0022】
用紙送出機構3は、操作キー92又は93を1回オンすると、次のように1回作動するようになっている。すなわち、図2に示されるように、まず、取出ローラ331及び捌き部材332によって、収容部2において最も前に(すなわち最端に)位置している投票用紙Pが、収容部2から取り出され、搬送路31へ送り出される。このとき、偏心ローラ333が、立壁21から収容部2内へ周期的に突出するように回転して、重なっている投票用紙Pを揺動させるので、投票用紙P同士の間に隙間が生じ、1枚の投票用紙Pが取り出しやすくなる。搬送路31に送り出された投票用紙Pは、搬送ローラ341、342、343によって、用紙取出口32まで搬送される。投票用紙Pは、抜き取り検出部材351を回動させながら搬送されて、用紙取出口32から突出し、回動から復帰した抜き取り検出部材351によって、下部が押さえられ、これによって、一部が用紙取出口32から突出した状態で止まる。なお、抜き取り検出部材351は、スプリング(図示せず)によって復帰方向に常時付勢されている。そして、次の投票用紙Pの先端が1対のセンサー361によって検知されると、全てのローラの作動が停止する。次いで、用紙取出口32から突出した投票用紙Pが、投票者によって抜き取られると、抜き取り検出部材351の回動がセンサー362によって検知され、装置本体1の前部に内蔵されたスピーカー(第1音発生部)62から選挙の種類等を告げるアナウンスが流れる。
【0023】
回収機構4は、搬送路31内に突出するように回動可能な排除ガイド部材41を、備えている。排除ガイド部材41は、搬送路31内に突出するように回動すると、搬送ローラ343との間に、搬送路31と回収部5とを連通させる通路40を構成し、それによって、搬送されて来る投票用紙Pを搬送路31から回収部5へ逃がすようになっている。なお、排除ガイド部材41は、例えば、投票用紙Pの重なりがセンサー361によって検知されると、回動して搬送路31内に突出するように、制御部70によって制御されている。それ故、回収機構4によれば、重なった投票用紙Pが用紙取出口32から突出するのを防止できる。
【0024】
回収部5は、通路40を搬送されて来た投票用紙Pが積載されていく空間として構成されており、底壁51と両側壁53とで囲まれている。底壁51は、後方向に高くなるように傾斜している。両側壁53は、例えば、収容部2を構成している両側壁23と同じ壁である。
【0025】
また、装置本体1は、内部に、照明具61を有している。照明具61は、開閉蓋111の前縁部112の内面に、設けられており、開閉蓋111が閉じた状態で、収容部2及び回収部5を照らすように、配置されている。照明具61としては、演色性が優れているという観点から、白色LED又は白色系電球が好ましく用いられている。
【0026】
制御部70は、図4に示されるように、コントローラ部9からの信号を受けて、用紙送出機構3を作動させる、送出制御部71と、交付1枚目の投票用紙を回収するように、回収機構4を制御する、強制リジェクト部72と、強制リジェクト部72の作動に伴って、外部に対する警告を発する、警告部73と、強制リジェクト部72の作動後に、用紙送出機構3を作動禁止状態に設定する、禁止部74と、第1確認スイッチ95が押されると、警告部73による警告、及び、禁止部74による作動禁止状態、を解除する、解除部75と、を有している。
【0027】
強制リジェクト部72は、装置1の電源を立ち上げた後に(すなわち電源スイッチ101をオンした後に)最初に収容部2から取り出される投票用紙Pを、種別を確認すべき交付1枚目の投票用紙として強制的に回収するように、回収機構4を制御するようになっている。
【0028】
警告部73は、次に示す態様(a)〜(d)の内の任意の1つ以上の態様によって、警告を発するようになっている。なお、本実施形態では、全ての態様を採用している。
(a)第1確認スイッチ95の表示ランプをオンすることによって、警告を発する。
(b)照明具61をオンすることによって、警告を発する。
(c)表示パネル94に警告を表示することによって、警告を発する。なお、表示する警告は、注意を喚起する記号でもよく、又は、「投票用紙を確認して下さい」等の文章でもよい。
(d)スピーカー62を作動させることによって、警告を発する。なお、スピーカー62から発する警告は、ブザー音等でもよく、又は、「投票用紙を確認して下さい」等の音声でもよい。
【0029】
解除部75は、次に示す態様(A)〜(C)の内の任意の1つ以上の態様で作動するようになっている。なお、本実施形態では、全ての態様を採用している。
(A)第1確認スイッチ95が所定時間以上押され続けた場合のみに、作動する。
(B)警告部73が作動して所定時間経過した後に第1確認スイッチ95が押された場合のみに、作動する。
(C)第1確認スイッチ95が押されると、スピーカー(第2音発生部)を作動させる。なお、このスピーカーから発する音は、ブザー音等でもよく、又は、「確認作業が終了しました」及び「交付作業を実施できます」等のいずれの音声でもよい。また、このスピーカーは、スピーカー62と共用されているが、別でもよい。
【0030】
上記構成の交付装置10は、次のように作動する。図5は、その作動を示すフローチャートである。なお、図5中の「S」は、「ステップ」の意味である。
【0031】
まず、操作者は、次のようにして、交付装置10に投票用紙をセットする。
すなわち、まず、操作者は、開閉蓋111を開ける。次に、操作者は、複数枚の投票用紙Pを重ねた状態で、収容部2にセットする(S1)。具体的には、操作者は、押さえ部材25を後方へ移動させ、複数枚の投票用紙Pを、立てた状態で且つ立壁21に沿わせて、底壁22上に載置し、押さえ部材25によって前方へ押し付ける。なお、投票用紙Pは、記名欄が後方を向くように、セットする。
【0032】
次に、操作者は、開閉蓋111を閉じる。そして、操作者は、電源スイッチ101をオンする(S2)。
【0033】
電源スイッチ101がオンされると、送出制御部71によって用紙送出機構3が作動するとともに、強制リジェクト部72によって回収機構4が作動する。これによって、収容部2にセットされた複数枚の投票用紙Pの内の、最も前に位置している投票用紙Pが、収容部2から取り出され、搬送路31へ送り出され、排除ガイド部材41と搬送ローラ343との間に構成された通路40を通って、回収部5へ搬送される(S3)。すなわち、最端の投票用紙Pが、強制的にリジェクトされて、回収部5へ回収される。
【0034】
また、強制リジェクト部72の作動に伴って、警告部73が、次のように作動して、外部に対する警告を発する(S4)。
(a)第1確認スイッチ95の表示ランプをオンする。
(b)照明具61をオンする。
(c)表示パネル94に警告を表示する。
(d)スピーカー62を作動させる。
【0035】
更に、強制リジェクト部72の作動後に、禁止部74が、用紙送出機構3を作動禁止状態に設定する(S5)。
【0036】
これにより、最端の投票用紙Pが回収部5へ回収された状態で、用紙送出機構3が停止し、操作者は、警告部73による警告を受ける。この警告により、操作者は、回収された投票用紙Pの種類の確認作業を促され、回収された投票用紙Pの種類が「正しい」か「誤り」か、を確認する(S6)。なお、回収された投票用紙Pの種類が「正しい」場合は、収容部2にセットされた投票用紙の種類が「正しい」ことが認められ、回収された投票用紙Pの種類が「誤り」である場合は、収容部2にセットされた投票用紙の種類が「誤り」であることが認められる。
【0037】
操作者は、回収された投票用紙Pの種類が「正しい」ことを確認した場合、すなわち、「YES」の場合、第1確認スイッチ95を押す(S7)。
【0038】
第1確認スイッチ95が押されると、解除部75が作動して、警告部73による警告、及び、禁止部74による作動禁止状態、が解除される(S8)。この際、解除部75は、次のように作動する。
(A)第1確認スイッチ95が所定時間以上押され続けた場合のみに、作動する。この所定時間とは、例えば、2秒間である。
(B)警告部73が作動して所定時間経過した後に第1確認スイッチ95が押された場合のみに、作動する。この所定時間とは、例えば、3秒間である。
(C)第1確認スイッチ95が押されると、スピーカー62を作動させる。
【0039】
すなわち、警告部73が作動して所定時間経過した後に、第1確認スイッチ95が所定時間以上押され続けた場合に、警告部73による警告、及び、禁止部74による作動禁止状態、が解除され、その解除を知らせる音又は音声がスピーカー62から出る。これにより、操作者は、交付装置10が交付作業を実施できる状態となったことを、知る。
【0040】
そして、操作者は、交付作業を実施する(S9)。すなわち、操作者は、投票者が一人来ると、操作キー92又は93を1回オンする。このとき、投票者が男性の場合には男性用の操作キー92をオンし、投票者が女性の場合には女性用の操作キー93をオンする。
【0041】
操作キー92又は93が1回オンされると、用紙送出機構3が1回作動して、収容部2における最端の投票用紙Pが、収容部2から取り出され、搬送路31を通して搬送されて、用紙取出口32から突出する。用紙取出口32から突出した投票用紙Pは、投票者によって抜き出され、これにより、投票者の男女別の数が、カウントされて、表示パネル94に表示される。抜き出された投票用紙Pは、投票に使用される。操作キー92又は93は、投票者が来る度に、1回オンされ、その度に、用紙送出機構3は、1回作動する。
【0042】
以上のようにして、投票用紙の交付作業を行う。そして、収容部2にセットした投票用紙Pが無くなった場合や少なくなった場合には、操作者は、開閉蓋111を開けて、上記と同様に、投票用紙Pをセットする(S1)。
【0043】
なお、操作者は、回収された投票用紙Pが「誤り」であることを確認した場合、すなわち、「NO」である場合、電源スイッチ101をオフし、開閉蓋111を開け、収容されている投票用紙Pを正しい投票用紙と交換する。その後、操作者は、開閉蓋111を閉じて、電源スイッチ101をオンする。これにより、前記と同様の作動が行われる(S3〜S9)。なお、この場合は、操作者は、電源スイッチ101をオフしないで、開閉蓋111を開け、収容されている投票用紙Pを正しい投票用紙と交換し、開閉蓋111を閉じて、第1確認スイッチ95を押してもよい。これによれば、前記と同様の作動が行われる(S8〜S9)。
【0044】
上記構成の交付装置10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0045】
(1)交付1枚目の投票用紙Pを回収部4へ強制的に回収し、用紙送出機構3を作動禁止状態に設定し、外部に対して警告を発するので、操作者に対して、回収された投票用紙Pの種類の確認作業、すなわち、その結果として、セットされている投票用紙Pの種類の確認作業を、促すことができる。これにより、操作者は、収容部2にセットされている投票用紙Pの種類を積極的に確認し、投票用紙Pの種類が「誤り」である場合には、「正しい」種類の投票用紙と交換するようになる。したがって、投票用紙の誤交付を防止できる。
【0046】
(2)警告が、第1確認スイッチ95の表示ランプをオンすることであるので、操作者は、手元において警告に気付き易い。また、警告が、照明具61をオンすることであるので、装置本体1の全体が明るく見えるようになり、操作者は、警告に気付き易い。また、警告が、表示パネル94に警告を表示することであるので、操作者は、手元において警告に気付き易い。更に、警告が、スピーカー62を作動させることであるので、操作者は、よそ見をしていても警告に気付き易い。そして、本実施形態では、これらの全ての警告が一緒に出されるので、操作者は、より確実に、警告に気付くこととなる。したがって、操作者に対して、より確実に、回収された投票用紙Pの種類の確認作業を促すことができる。
【0047】
(3)操作者が第1確認スイッチ95を押さない場合には、解除部75は作動せず、したがって、交付装置10は、交付作業を実施できる状態にはならない。したがって、操作者は、交付作業を実施しようとする際には、必ず、第1確認スイッチ95を押すこととなり、その前提として、回収された投票用紙Pの種類の確認作業を行うこととなる。この点からも、操作者に対して、回収された投票用紙Pの種類の確認作業を促すことができる。
【0048】
(4)電源スイッチ101がオフの場合には、収容部2の投票用紙を全部入れ替えたり一部補充したりする作業が行われることがあり、誤った種類の投票用紙がセットされる恐れがある。しかるに、本実施形態では、電源スイッチ101をオンした後に最初に収容部2から取り出される投票用紙を、交付1枚目の投票用紙として回収するので、操作者に対して、電源オフの場合にセットされた投票用紙の種類の確認作業を確実に促すことができる。
【0049】
(5)解除部75が、第1確認スイッチ95が所定時間以上押され続けた場合のみに、作動するので、操作者が第1確認スイッチ95を安易に押すのを、防止できる。また、解除部75が、警告部73が作動して所定時間経過した後に第1確認スイッチ95が押された場合のみに、作動するので、この点からも、操作者が第1確認スイッチ95を安易に押すのを、防止できる。したがって、操作者が警告を受けたにも拘わらず充分な確認をしないままに第1確認スイッチ95を押してしまうのを、防止できる。
【0050】
(6)第1確認スイッチ95が押されると、スピーカー62が作動するので、操作者は、交付装置10が交付作業を実施できるようになったことを、耳から容易に認識できる。
【0051】
(7)第1確認スイッチ95が表示ランプを兼ねているので、操作者は、警告の意義に気付き易い。この点からも、操作者に対して、回収された投票用紙Pの種類の確認作業を促すことができる。
【0052】
(8)開閉蓋111が透明であるので、交付作業中に、収容部2における投票用紙の残り具合を確認できる。したがって、投票用紙を適切な時期に収容部2に補充できる。
【0053】
(9)照明具61が、収容部2を照らすように設けられている。したがって、交付装置10が設置されている室内の照明が、不十分な場合でも、投票用紙を収容部2に適切にセットできる。
【0054】
(10)照明具61が、回収部5を照らすように設けられている。したがって、操作者に対して、投票用紙Pの種類の確認場所を明確に示すことができる。しかも、交付装置10が設置されている室内の照明が、不十分な場合でも、回収された投票用紙Pの種類を確認できる。
【0055】
(11)照明具61として、白色LED又は白色系電球を用いているので、自然光に近い光の下で、投票用紙を見ることができる。したがって、投票用紙の色を正確に認識でき、それ故、投票用紙の種類が色によって表されている場合に、投票用紙の種類を正しく認識できる。なお、白色LEDとしては、三原色系の白色LEDを用いるのが最も好ましい。
【0056】
なお、上記構成の交付装置10は、次のような変形構成を採用してもよい。
【0057】
(i)装置本体1とコントローラ部9とを、一体に設ける。具体的には、図6に示されるように、コード91が省かれて、コントローラ部9が装置本体1に合体されている。これによれば、交付装置10の、搬送、設置、及び保管の各作業が、容易となる。
【0058】
(ii)強制リジェクト部72が、開閉蓋111を開閉した後に最初に収容部2から取り出される投票用紙を、交付1枚目の投票用紙として回収するように、回収機構4を制御するようになっている。この構成は、上記構成の交付装置10に加えて採用してもよい。
(iii)警告部73が、前記(a)〜(d)の態様の内の、任意の1つ以上の態様を、採用する。
(iv)解除部75が、前記(A)〜(C)の態様の内の、任意の1つ以上の態様を、採用する。
【0059】
(v)第1確認スイッチを、装置本体1に設ける。
(vi)表示パネル94を、装置本体1に設ける。
(vii)第1確認スイッチと表示ランプとを、別体で設ける。
【0060】
(viii)上記構成の交付装置10に加えて、表示パネル94に表示された警告を確認した後に押す第2確認スイッチ(図示せず)を、装置本体1又はコントローラ部9に設ける。これによれば、操作者が警告を受けたことを失念するのを防止できる。
【0061】
そして、第2確認スイッチを設けた場合には、次の構成を採用するのが好ましい。
(viii-1)第1確認スイッチ95だけでなく第2確認スイッチも押さない限り、解除部75が作動しない。
(viii-2)第1確認スイッチ95は、第2確認スイッチを押さない限り、押すことができない。
【0062】
前記(viii-1)又は(viii-2)によれば、操作者に対して、コントロール部9の表示パネル94のメッセージの確認を、まず、促すことができ、その結果、回収された投票用紙Pの種類の確認作業をより確実に促すことができる。
【0063】
(ix)開閉蓋111が、不透明である。但し、その場合、開閉蓋111は、収容部2又は回収部5を視認するための透視窓を、有するのが好ましい。
【0064】
(x)照明具61が、開閉蓋111を開くと点灯し、閉じると消灯するようになっている。
【0065】
(xi)開閉蓋111を開いて、投票用紙をセットし、開閉蓋111を閉じると、警告が出るようにする。
【0066】
(xii)交付1枚目の投票用紙を強制的にリジェクトすることなく、警告が出るようにする。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の投票用紙交付装置は、操作者に対して投票用紙の種類の確認作業を促すことができるので、投票用紙の誤交付を防止でき、よって、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0068】
1 装置本体 111 開閉蓋 2 収容部 3 用紙送出機構 32 用紙取出口
4 回収機構 5 回収部 61 照明具 62 スピーカー(第1音発生部)
70 制御部 71 送出制御部 72 強制リジェクト部 73 警告部
74 禁止部 75 解除部 9 コントローラ部 94 表示パネル
95 第1確認スイッチ 10 投票用紙交付装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6