【解決手段】本体部10に対して旋回可能に取り付けられる第2台車30を備える有軌道台車100であって、本体部10に対する第2台車30の旋回状態を検出する検出部40と、検出部40の検出結果に基づいて第1台車20及び第2台車30を制御する制御部と、を備える。
前記検出部は、前記本体及び前記ボギー台車のいずれか一方に配置される反射型光学センサと、前記反射型光学センサのセンサ光を反射可能でありかつ前記本体及び前記ボギー台車のいずれか他方に配置される反射板と、を有する請求項2記載の有軌道台車。
前記制御部は、前記検出部によって検出された前記非旋回状態、前記右旋回状態、または前記左旋回状態に応じて、前記ボギー台車の給電線センサ、障害物センサ、及び速度のうち、少なくとも1つを、直進用、右カーブ用、左カーブ用に切り換える請求項4記載の有軌道台車。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXY平面とする。このXY平面において有軌道台車100の走行方向であって一の直線方向を便宜上Y方向と表記し、Y方向に直交する方向をX方向と表記する。なお、有軌道台車100の走行方向は、以下の図に示された状態から他の方向に変化可能であり、例えば曲線方向に走行する場合もある。また、XY平面に垂直な方向はZ方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。また、Z軸周りの回転方向をθZ方向と表記する。
【0014】
図1は、実施形態に係る有軌道台車100の一例を示す側面図である。
図1に示すように、有軌道台車100は、本体部(本体)10、第1台車(ボギー台車)20、第2台車(ボギー台車)30、検出部40及び図示しない制御部を有している。また、有軌道台車100は、不図示のリニアモータ機構を有している。このリニアモータ機構は、例えば天井部又はレール70に2次側が配置され、第1台車20及び第2台車30の少なくとも一方に1次側が配置されている。有軌道台車100は、このリニアモータ機構により、クリーンルームの天井部に設けられたレール70に沿って走行する。このクリーンルームには、例えば半導体処理装置やガラス基板処理装置等の各種処理装置が配置されている。
【0015】
図2(a)及び(b)は、XZ平面によるレール70及びその内部(第1台車20、第2台車30)の断面構成を示す図である。レール70は、
図2(a)及び(b)に示すように、上部71と、側部72と、下部73とを有している。上部71は、直線方向及び曲線方向を含む所定方向に延びるように形成されており、天井部に固定されている。側部72は、上部71が延びる方向(
図2(a)及び(b)ではY方向)に対して直交する方向(
図2(a)及び(b)ではX方向)の両端から下方(Z方向)に延びている。下部73は、帯状に形成され、各側部72から内側に向けて突出して設けられる。下部73は、上部71にほぼ平行に配置されている。下部73同士の間は、一定の間隔が空けられている。なお、上記のリニアモータ機構は、有軌道台車100がレール70の直線部に沿って走行する場合と、レール70のカーブ部に沿って走行する場合とで、速度を切り替えることが可能となっている。これにより、直進時とカーブ時とで、有軌道台車100の速度の切り替えが可能となる。
【0016】
有軌道台車100には、不図示の移載装置が装着され、半導体装置を製造するためのシリコンウェハを収容するフープ(FOUP)、液晶装置を製造するためのガラス基板を収容する容器、露光処理を行うためのレチクルなどを収容するレチクルポッドなどを搬送可能となっている。
【0017】
図1に示すように、本体部10は、基部11と、駆動側旋回軸部(旋回軸部)12と、従動側旋回軸部(旋回軸部)13とを有している。基部11は、有軌道台車100の走行方向(Y方向)に長手に形成されており、水平面(XY平面)に沿うように配置されている。基部11は、レール70の下方(−Z側)に出された状態で保持されている。基部11の下方には、例えば上記の移載装置が連結される。
【0018】
駆動側旋回軸部12は、例えば円柱状又は円筒状に形成され、Z方向に沿って配置されている。駆動側旋回軸部12の上側(+Z側)端部は、下部73の間からレール70の内側に入り込んでいる。駆動側旋回軸部12は、基部11の+Y側端部に固定されており、基部11と一体に設けられている。
【0019】
従動側旋回軸部13は、例えば円柱状又は円筒状に形成され、Z方向に沿って配置されている。従動側旋回軸部13の上側端部は、下部73の間からレール70の内側に入り込んでいる。従動側旋回軸部13は、基部11の−Y側端部に固定されており、基部11及び駆動側旋回軸部12と一体に設けられている。
【0020】
第1台車20は、本体部10に対してθZ方向に旋回可能なボギー台車である。第1台車20は、走行方向の前方に設けられ、有軌道台車100を駆動する。第1台車20は、レール70の内側に配置されており、リニアモータ機構によってレール70に沿って走行する。第1台車20は、走行部21と、受電部22とを有している。第1台車20は、走行部21と受電部22とが一体で設けられている。
【0021】
走行部21は、走行部フレーム23と、従動ローラー24と、ガイドローラー25とを有している。
【0022】
従動ローラー24は、走行部フレーム23のうち+X側端部に1か所、−X側端部に1か所の、合計2か所に設けられている。従動ローラー24は、リニアモータ機構による駆動力を受けて回転する。従動ローラー24は、レール70の下部73に沿って転がるように配置されている。従動ローラー24が下部73を転がることにより、走行部21が走行方向に走行する。
【0023】
ガイドローラー25は、走行部フレーム23のうち+X側に2か所、−Z側に2か所の、合計4か所に設けられている。ガイドローラー25は、Z方向に平行なシャフトを中心としてθZ方向に回転可能である。各ガイドローラー25は、レール70の側部72に当接され、走行部21がレール70に沿って走行するように案内する。
【0024】
受電部22は、給電部60を構成する給電線61、62から電力の供給を受ける。受電部22は、受電部フレーム26と、コア27とを有している。
受電部フレーム26は、走行部フレーム23と一体に設けられている。受電部フレーム26は、X方向の中央部に配置されている。コア27は、受電部フレーム26の+X側端部及び−X側端部にそれぞれ配置されている。
【0025】
コア27は、例えばフェライト等を用いて形成されており、基部27aと、
図1及び
図2(a)に示すように、第1突出部27bと、第2突出部27cと、第3突出部27dとを有している。基部27aは、受電部フレーム26の−X側の端部及び+X側の端部にそれぞれ固定されている。第1突出部27bは、例えば板状に形成されている。
【0026】
第1突出部27bは、基部27aの+Z側端部に設けられている。第2突出部27cは、基部27aのZ方向の中央に設けられている。第2突出部27cは、第1突出部27bとの間にスペースを空けて配置される。このスペースには、給電線61が配置される。給電線61は、基部27a、第1突出部27b及び第2突出部27cとの間で、非接触に設けられる。また、第2突出部27cには、コイルが巻かれている。
【0027】
第3突出部27dは、基部27aの−Z側端部に設けられている。第3突出部27dは、第2突出部27cとの間にスペースを空けて配置される。このスペースには、給電線62が配置される。給電線62は、基部27a、第2突出部27c及び第3突出部27dとの間で、非接触に設けられる。
【0028】
受電部フレーム26の−X側に配置された第1突出部27b、第2突出部27c、第3突出部27dは、それぞれ基部27aから−X方向に突出している。また、受電部フレーム26の+X側に配置された第1突出部27b、第2突出部27c、第3突出部27dは、それぞれ+X方向に突出している。
【0029】
給電線61、62から受電部22に電力の供給を行う場合、給電線61、62に高周波電流を流すことにより磁界を発生させ、この磁界を第2突出部27cのコイルに作用させてこのコイルに誘導電流を発生させる。このようにして、給電線61、62から受電部22に非接触で電力を供給する。供給された電力は、各種機器等に供給する。なお、給電線61、62は、支持部材63、64によってレール70等に支持させることができる。
【0030】
また、受電部フレーム26の+Y側端面には、障害物センサ29が取り付けられている。障害物センサ29は、第1障害物センサ29aと、第2障害物センサ29bと、第3障害物センサ29cとを有している。第1障害物センサ29aは、比較的遠くの障害物を検出する。第2障害物センサ29bは、比較的近くの障害物を検出する。第3障害物センサ29cは、第1障害物センサ29aで検出可能な距離と第2障害物センサ29bで検出可能な距離との中間の距離において障害物を検出する。各障害物センサ29a〜29cは、それぞれ光射出部と受光部とを有している。光射出部は、走行方向の前方に向けて検出光を射出する。受光部は、走行方向の前方で反射された検出光を受光する。有軌道台車100は、障害物センサ29からから検出光を射出しながら走行する。この有軌道台車100の走行方向の前方に障害物が存する場合、検出光が障害物によって反射され、その反射光が受光部に受光される。これにより、有軌道台車100の前方に障害物が存在するか否かが判別できると共に、有軌道台車100と障害物との距離が算出できる。制御部は、有軌道台車100が直進する場合、進行方向に対して左側にカーブする場合、及び進行方向に対して右側にカーブする場合に、第1障害物センサ29a〜第3障害物センサ29cを切り替えて用いながら障害物の検出動作を行わせる。また、制御部は、障害物との距離が所定値以下になる場合、有軌道台車100を減速または停止させてもよい。
【0031】
一方、第2台車30は、第1台車20と同様に、本体部10に対してθZ方向に旋回可能なボギー台車である。第2台車30は、第1台車20に対して走行方向の後方に設けられている。第2台車30は、レール70の内側に配置されており、リニアモータ機構によってレール70に沿って走行する。第2台車30は、走行部31と、受電部32とを有している。
【0032】
走行部31は、走行部フレーム33と、従動ローラー34と、ガイドローラー35とを有している。走行部フレーム33は、不図示の軸受を介して従動側旋回軸部13に接続されている。従動ローラー34は、走行部フレーム33のうち+X側端部に1か所、−X側端部に1か所の、合計2か所に設けられている。従動ローラー34は、リニアモータ機構による駆動力を受けて回転する。従動ローラー34は、レール70の下部73に沿って転がるように配置されている。従動ローラー34が下部73を転がることにより、走行部31が走行方向に走行する。
【0033】
ガイドローラー35は、走行部フレーム33のうち+X側に2か所、−Z側に2か所の、合計4か所に設けられている。ガイドローラー35は、Z方向に平行なシャフトを中心としてθZ方向に回転可能である。各ガイドローラー35は、レール70の側部72に当接され、走行部31がレール70に沿って走行するように案内する。
【0034】
受電部32は、受電部22と同様に、給電部60を構成する給電線61、62から電力の供給を受ける。受電部32は、受電部フレーム36と、コア37とを有している。受電部フレーム36は、走行部フレーム33と一体に設けられている。受電部フレーム36は、X方向の中央部に配置されている。コア37は、受電部フレーム36の+X側端部及び−X側端部にそれぞれ配置されている。
【0035】
コア37は、第1台車20側のコア27と同一構成である。すなわち、コア37は、例えばフェライト等を用いて形成されており、
図1及び
図2(b)に示すように、基部37aと、第1突出部37bと、第2突出部37cと、第3突出部37dとを有している。第2突出部37cには、コイルが巻かれている。第1突出部37bと第2突出部37cとの間のスペースには、給電線61が非接触で配置されている。また、第2突出部37cと第3突出部37dとの間のスペースには、給電線62が非接触で配置されている。
【0036】
給電線61、62から受電部32に電力の供給を行う場合、受電部22への電力供給と同様に、給電線61、62に高周波電流を流すことにより磁界を発生させ、この磁界を第3突出部37cのコイルに作用させてこのコイルに誘導電流を発生させる。受電部32に供給された電力は、各種機器等に供給することができる。
【0037】
ここで、給電線61、62と受電部32との位置関係について、
図2(a)及び(b)を参照して説明する。
給電線61、62は、有軌道台車100が直線部を走行する場合と、カーブ部を走行する場合とで、支持部材63、64の長さ(すなわち、レール70の側部72からの距離)が異なるように設定されている。つまり、コア27、37のうち基部27a、37aの近くまで給電線61、62を挿入した方が給電効率は高くなる一方、コア27、37において給電線61、62が基部27a、37aに接触するのを回避する必要がある。カーブ部を走行する場合、カーブ部の内側と外側とで、給電線61、62との基部27a、37aとの距離が異なる。このため、直線部を走行する場合には、給電線61、62と基部27a、37aとの距離を近づけるため、コア27、37への挿入が深い第1位置P1に給電線61、62を配置している。また、カーブ部を走行する場合には、給電線61、62と基部27a、37aとの接触を回避するため、第1位置P1よりもコア27、37への挿入が浅い第2位置P2に給電線61、62を配置している。
【0038】
図3は、第1台車20の走行部21及び第2台車30の走行部31の一例を示す平面図である。
図3に示すように、第1台車20は、例えば走行部フレーム23に設けられた不図示の軸受を介して駆動側旋回軸部12に接続されている。この軸受により、第1台車20は、駆動側旋回軸部12に対してθZ方向に旋回可能に設けられている。したがって、第1台車20は、本体部10に対してθ方向に旋回可能となっている。
【0039】
また、第2台車30は、例えば走行部フレーム33に設けられた不図示の軸受を介して従動側旋回軸部13に接続されている。この軸受により、第2台車30は、従動側旋回軸部13に対してθZ方向に旋回可能に設けられている。したがって、第2台車30は、本体部10に対してθZ方向に旋回可能となっている。
【0040】
有軌道台車100がレール70のカーブ部を走行する場合、第1台車20と第2台車30とが互いにθZ方向について反対の方向に旋回する。このように、第1台車20及び第2台車30が本体部10と独立して回転するため、カーブ部の通過をスムーズに行うことが可能となる。
【0041】
続いて、
図1〜
図3に示すように、検出部40は、本体部10に対する第2台車30の旋回状態を検出する。検出部40は、反射型光学センサ41と、反射板42とを有している。反射型光学センサ41は、走行部フレーム33の下面に固定されている。これに対して、反射板42は、基部11の上面11aに固定されている。なお、反射型光学センサと反射板に代えて、投光センサ及び受光センサ等を用いてもよい。
【0042】
反射型光学センサ41は、第1センサ41a及び第2センサ41bを有している。第1センサ41a及び第2センサ41bは、センサ光を射出する光射出部(不図示)と、反射板42で反射されたセンサ光を検出する受光部(不図示)とを有している。第1センサ41a及び第2センサ41bでは、光射出部よりセンサ光を射出し続けると共に、受光部において反射されたセンサ光を検出し続ける。反射されたセンサ光が受光部によって検出された場合、受光部で光電変換され、第1センサ41a及び第2センサ41bから受光信号が出力される。この受光信号は、制御部に送信される。
【0043】
図3に示すように、第1センサ41a及び第2センサ41bは、例えば従動側旋回軸部13の周囲に固定されている。第1センサ41a及び第2センサ41bは、従動側旋回軸部13をX方向に挟む位置に配置されている。第1センサ41a及び第2センサ41bは、−Z方向にセンサ光を射出するように配置される。
【0044】
反射板42は、
図3に示すように、従動側旋回軸部13に対して走行方向の前方(+Y側)に配置されている。反射板42は、従動側旋回軸部13に沿って扇状に形成されている。
図3では、従動側旋回軸部13の周方向の半分の領域に亘って反射板42が設けられているが、この形状に限定されるものではない。反射板42は、第1センサ41a及び第2センサ41bからのセンサ光をそれぞれ+Z方向に反射する。
【0045】
図4は、第1センサ41a及び第2センサ41bと、反射板42との位置関係を示す平面図であり、検出部40による検出動作の一例を説明するための図である。なお、
図4(a)は有軌道台車100がレール70の直線部を走行する場合、(b)は有軌道台車100が進行方向の左側に湾曲する左カーブ部を走行する場合、(c)は有軌道台車100が進行方向の右側に湾曲する右カーブ部を走行する場合を示している。なお、
図4(a)〜(c)において、図中の時計回りの方向を+θZ方向と表記し、反時計回りの方向を−θZ方向と表記する。
【0046】
有軌道台車100がレール70の直線部を走行する場合、前方を走行する第1台車20、及び後方を走行する第2台車30は、θZ方向に旋回していない状態(非旋回状態)となる。この場合、
図4(a)に示すように、第1センサ41a及び第2センサ41bは、反射板42から外れた位置に配置される。このため、第1センサ41a及び第2センサ41bでは、反射光が検出されず、受光信号が出力されない。又は、基部11の上面11aで反射されたわずかな光のみが検出され、反射板42による反射光と比べて微小の受光信号のみが出力される。制御部は、第1センサ41a及び第2センサ41bから受光信号が出力されない場合又は微笑の受光信号のみが出力される場合、有軌道台車100がレール70の直線部を走行していると判断する。
【0047】
有軌道台車100がレール70の左カーブ部を走行する場合、前方を走行する第1台車20は左方向(−θZ方向)に旋回した状態(左旋回状態)となり、後方を走行する第2台車30は右方向(+θZ方向)に旋回した状態(右旋回状態)となる。この場合、
図4(b)に示すように、走行部フレーム33は、従動側旋回軸部13を中心として、本体部10に対して+θZ方向に回動する。したがって、第1センサ41a及び第2センサ41bは、走行部フレーム33と一体で+θZ方向に移動する。一方、本体部10はθZ方向には旋回しない。このため、第1センサ41aが反射板42に重なる位置に配置される。なお、第2センサ41bは、反射板42から外れた位置に配置される。これにより、第1センサ41aから射出されるセンサ光が反射板42で反射され、受光部で検出される。そして、第1センサ41aから受光信号が制御部に出力される。また、第2センサ41bについては、センサ光が反射されないため、受光信号は出力されない。又は、微小の受光信号のみが出力される。制御部は、第1センサ41aで受光信号が検出され、第2センサ41bで受光信号が検出されない又は受光信号が微小の場合、有軌道台車100がレール70の左カーブ部を走行していると判断する。
【0048】
逆に、有軌道台車100がレール70の右カーブ部を走行する場合、前方を走行する第1台車20は右旋回状態となり、後方を走行する第2台車30は左旋回状態となる。この場合、
図4(c)に示すように、走行部フレーム33は、従動側旋回軸部13を中心として、本体部10に対して−θZ方向に回動する。したがって、第1センサ41a及び第2センサ41bは、走行部フレーム33と一体で−θZ方向に移動する。一方、本体部10はθZ方向には旋回しない。このため、第2センサ41bが反射板42に重なる位置に配置される。なお、第1センサ41aは、反射板42から外れた位置に配置される。これにより、第2センサ41bから射出されるセンサ光が反射板42で反射され、受光部で検出される。そして、第2センサ41bから受光信号が制御部に出力される。また、第1センサ41aについては、センサ光が反射されないため、受光信号は出力されない。又は、微小の受光信号のみが出力される。制御部は、第2センサ41bで受光信号が検出され、第1センサ41aで受光信号が検出されない又は受光信号が微小の場合、有軌道台車100がレール70の右カーブ部を走行していると判断する。
【0049】
なお、第1センサ41a、第2センサ41b及び反射板42は、例えば第2台車30が5°程度旋回した時に受光信号を出力するように位置を設定することができるが、これに限定するものではない。例えば、第2台車30が10°程度旋回したときに受光信号を出力するように位置を設定してもよい。
【0050】
続いて、
図1に示すように、受電部フレーム26には、第1給電線センサ(給電線センサ)28が設けられている。また、受電部フレーム36には、第2給電線センサ(給電線センサ)38及び第3給電線センサ(給電線センサ)39が設けられている。第1給電線センサ28、第2給電線センサ38、及び第3給電線センサ39は、それぞれ、給電線61、62がコア27の基部27a側にはみだしているか否かを検出する。第1給電線センサ28は、レール70の直線部において給電線61、62のはみ出しを検出する。第2給電線センサ38は、レール70のカーブ部においてカーブの内側に配置される給電線61、62のはみ出しを検出する。第3給電線センサ39は、レール70のカーブ部においてカーブの外側に配置される給電線61、62のはみ出しを検出する。
【0051】
第1給電線センサ28は、フレーム28fと、光射出部28aと、受光部28bとを有している。フレーム28fは、受電部フレーム26に固定されている。光射出部28aは、フレーム28fに固定されており、−Z方向へ向けてセンサ光を射出する。受光部28bは、フレーム28fのうちセンサ光の光軸上に固定されている。受光部28bは、センサ光を受光して光電変換し、受光信号を出力する。受光信号は、例えば制御部に送信される。
【0052】
また、第2給電線センサ38は、フレーム38fと、光射出部38aと、受光部38bとを有している。光射出部38a及び受光部38bの構成は、第1給電線センサ28の光射出部28a及び受光部28bとそれぞれと同一である。また、第2給電線センサ39は、フレーム39fと、光射出部39aと、受光部39bとを有している。光射出部39a及び受光部39bの構成は、第1給電線センサ28の光射出部28a及び受光部28bとそれぞれと同一である。
【0053】
図5(a)は第1給電線センサ28の一例、(b)は第2給電線センサ38の一例、(c)は第3給電線センサ39の一例をそれぞれ示す図である。
図5(a)に示すように、光射出部28a及び受光部28bは、基部27aから外側に第1距離d1だけ離れた位置を検出するように配置される。第1距離d1は、第1位置P1(
図2参照)に配置される給電線61、62のはみ出しを検出可能な距離であり、一例として5mm程度と設定できるが、これには限定されない。
【0054】
また、
図5(b)に示すように、第2給電線センサ38では、光射出部38a及び受光部38bは、基部37aから外側に第2距離d2だけ離れた位置を検出するように配置される。第2距離d2は、第2位置P2(
図2参照)に配置される給電線61、62のはみ出しを検出可能な距離であり、一例として10.5mm程度と設定できるが、これには限定されない。
【0055】
また、
図5(c)に示すように、第3給電線センサ39では、光射出部39a及び受光部39bは、基部37aから外側に第3距離d3だけ離れた位置を検出するように配置される。第3距離d3は、第2位置P2(
図2参照)に配置される給電線61、62のはみ出しを検出可能な距離であり、一例として9mmと設定できるが、これには限定されない。
【0056】
給電線61、62がコア27、37の基部27a、37a側にはみ出している場合、給電線61、62によってセンサ光が遮光され、第1給電線センサ28、第2給電線センサ38、及び第3給電線センサ39の受光信号が出力されない又は低下する。制御部では、この出力信号の変化に基づいて給電線61、62のはみ出しを検出することができる。
【0057】
例えば、有軌道台車100がレール70の直線部を走行する場合、給電線61、62は第1位置P1に配置されている。このため、第1位置P1に対応する第1給電線センサ28を用いて給電線61、62のはみ出しを検出すればよい。しかしながら、第2位置P2に対応する第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39を作動させた場合、正常な位置に給電線61、62が存在する場合であっても、第2給電線センサ38又は第3給電線センサ39のセンサ光を遮光してしまえば、はみ出しとして検出されてしまう。この場合、誤検出となってしまう。したがって、レール70の直線部を走行する場合には、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39をオフにし、第1給電線センサ28のみをオンにしておく必要がある。
【0058】
また、有軌道台車100がレール70のカーブ部を走行する場合、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39を用いて、給電線61、62のはみ出しを検出すればよい。この場合、給電線61、62は第2位置P2に配置されており、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39によってはみ出しが検出されない場合には、第1給電線センサ28によってはみ出しが検出されることはない。したがって、有軌道台車100がレール70のカーブ部を走行する場合、第1給電線センサ28はオフにしなくてもよい。なお、省電力化の観点から、有軌道台車100がレール70のカーブ部を走行する場合に第1給電線センサ28をオフにしてもよい。
【0059】
続いて、制御部は、本体部10、第1台車20、第2台車30及び検出部40の各部を統括的に制御する。制御部は、例えば、CPU(中央演算処理装置)や各種記憶装置等を備え、これらがデータバス等によって接続された構成を有している。また、制御部は、外部の中央制御装置等に対して無線または有線で接続されてもよい。有軌道台車100の走行開始時において、制御部には、軌道情報は記憶されていない。
【0060】
制御部は、第1センサ41a及び第2センサ41bで出力された受光信号を受信可能となっている。制御部は、この受光信号に基づいて、第2台車30の旋回状態が、非旋回状態、右旋回状態、及び左旋回状態のいずれであるかを検出することが可能である。また、制御部は、旋回状態を検出することにより、レール70の直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれを走行しているかを判断することが可能である。
【0061】
制御部は、第2台車30の旋回状態を検出し、レール70の直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれを走行しているかを判断することにより、例えば第1給電線センサ28、第2給電線センサ38、及び第3給電線センサ39の切り替え制御を行わせることができる。なお、この制御は、有軌道台車100の走行を最初に行う際に行わせることができる。制御部は、この制御により、レール70の軌道情報を記憶させていくことができる。
【0062】
例えば制御部は、第2台車30が非旋回状態であることを検出した場合、直線部を走行していると判断する。この場合、制御部は、第1給電線センサ28のみをオンにして、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39をオフにする。これにより、直線部を走行する際に、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39の誤検出を回避することができる。
【0063】
また、制御部は、第2台車30が右旋回状態又は左旋回状態であることを検出した場合、カーブ部を走行していると判断する。この場合、制御部は、第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39をオンにする。また、制御部は、第1給電線センサ28については、オンにするかオフにするかを適宜判断することができる。これにより、カーブ部を走行する際に、給電線61、62のはみ出しを確実に検出することができる。
【0064】
なお、左右の第2給電線センサ38及び第3給電線センサ39について、左右で個別にオン及びオフを設定できる場合、制御部は、第2台車30の旋回方向に応じて左右のうち不要な方をオフにしてもよい。例えば、第2台車30が右旋回状態の場合、カーブ部の湾曲方向は左である。したがって、走行方向に対して左側がカーブの内側であり、右側がカーブの外側である。この場合、制御部は、カーブ部の内側の給電線61、62を検出するためには右側の第2給電線センサ38のみをオンにすればよい。また、制御部は、カーブ部の外側の給電線61、62を検出するためには左側の第3給電線センサ39のみをオンにすればよい。これにより、省電力化を図ることができる。
【0065】
また、制御部は、第2台車30の旋回状態を検出し、レール70の直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれを走行しているかを判断することにより、例えば障害物センサ29のうち第1障害物センサ29a〜第3障害物センサ29cのいずれを用いるかを切り替えることができる。
【0066】
例えば、制御部は、第2台車30が非旋回状態であることを検出した場合、直線部を走行していると判断し、第1障害物センサ29aを用いて障害物の検出を行う。また、制御部は、第2台車30が右旋回状態であることを検出した場合、左カーブ部を走行していると判断し、第2障害物センサ29b又は第3障害物センサ29cを用いて障害物の検出を行う。また、制御部は、第2台車30が左旋回状態であることを検出した場合、右カーブを走行していると判断し、第2障害物センサ又は第3障害物センサ29cを用いて障害物の検出を行う。なお、第1障害物センサ29a〜第3障害物センサ29cの切り替えの例は、上記説明に限定されるものではない。制御部は、直線部を走行する場合に第2障害物センサ29bや第3障害物センサ29cを用いてもよいし、カーブ部を走行する場合に第1障害物センサ29aを用いてもよい。
【0067】
また、制御部は、第2台車30の旋回状態を検出し、レール70の直線部、左カーブ部、右カーブ部のいずれを走行しているかを判断することにより、リニアモータ機構を制御して有軌道台車100の速度を調整してもよい。例えば、制御部は、第2台車30がレール70の直線部に沿って走行していると判断した場合(非旋回状態)には、所定の第1速度で走行するようにリニアモータ機構を制御する。また、第2台車30がレール70のカーブ部に沿って走行していると判断した場合(左旋回状態又は右旋回状態)には、第1速度よりも遅い第2速度で走行するようにリニアモータ機構を制御する。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、本体部10に対する第2台車30の旋回状態を検出し、検出結果に基づいて第1台車20及び第2台車30を制御するため、第2台車30の旋回状態を検出するだけで、複雑な制御を要することなく第1台車20及び第2台車30の制御が可能となる。これにより、軌道情報を有していない場合でも容易に種々の制御を行うことが可能となる。
【0069】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上述した説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、検出部40において、反射板42の反射率が一定である場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、第2台車30の旋回角度に応じて反射率が異なるようにしてもよい。
【0070】
図6は、変形例に係る検出部40Aの一例を示す平面図である。
図6に示すように、検出部40Aでは、反射板42Aが反射率の異なる2つの反射領域42A1及び42A2に区画されている。反射領域42A1は、例えばカーブ径が400mmに設定されたレール70のカーブ部を有軌道台車100が走行する場合の、第2台車30の旋回角度に対応している。また、反射領域42A2は、カーブ径が500mmに設定されたレール70のカーブ部を有軌道台車100が走行する場合の、第2台車30の旋回角度に対応している。
【0071】
制御部では、反射板42Aで反射されるセンサ光の光量によって、400mmのカーブ部を走行しているか、500mmのカーブ部を走行しているかを区別することができる。なお、この場合、給電線センサについても、400mmのカーブに対応したものと、500mmのカーブに対応したものとを搭載し、カーブ径に応じて使用する給電線センサを切り替えるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、第1給電線センサ28、第2給電線センサ38、及び第3給電線センサ39の少なくとも1つで給電線61、62のはみ出しが検出された場合、制御部は、有軌道台車100の走行を停止させるようにしてもよい。また、制御部は、この場合にアラーム等が鳴るようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、検出部40の構成として、本体部10側に反射板42を配置し、第2台車30側に反射型光学センサ41を配置する構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、本体部10側に反射型光学センサを配置し、第2台車30側に反射板を配置してもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、クリーンルームなどの天井を走行する有軌道台車を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、天井以外を走行する有軌道台車においても適用可能である。
【0075】
また、上記実施形態では、第2台車30の旋回状態を検出する検出部40として、反射型光学センサ41及び反射板42を用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、旋回状態を検出できれば、例えばジャイロセンサなど、他のセンサを用いてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第2台車30の旋回状態を検出する場合を例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく、第1台車20の旋回状態を検出し、その検出結果に基づいて制御を行うようにしてもよい。なお、この場合、第1台車20が直線部からカーブ部に差し掛かるような場合、第2台車30は直線部を走行しているため、第1台車20の旋回状態を即時に用いて制御を行うと、第2台車30側で不具合を起こす可能性がある。したがって、この場合には、第1台車20がカーブ部に差し掛かった後、第2台車30がそのカーブ部に差し掛かるまでの時間を空けて制御を行うようにすればよい。これにより、第1台車20の検出結果を用いて制御を行うことができる。