【課題】互いに異なる形状の嵌合部分を有する2種類のプラグコネクタに対する接続の互換性を有しながらも嵌合軸方向の長さの縮小化を図ることができるレセプタクルコネクタを提供する。
【解決手段】レセプタクルコンタクト列Aの複数のレセプタクルコンタクト14の接点部とレセプタクルコンタクト列Bの複数のレセプタクルコンタクト15の接点部は互いに反対方向を向き、第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部およびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続され、第2の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部が第2の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続される。
第1の嵌合部分を有するプラグコネクタと前記第1の嵌合部分とは異なる形状の第2の嵌合部分を有するプラグコネクタのいずれに対しても同一の嵌合軸に沿って嵌合するレセプタクルコネクタにおいて、
前記第1の嵌合部分を収容するための第1の収容部と前記第2の嵌合部分を収容するための第2の収容部とが互いに少なくとも一部を重複するように形成されたレセプタクルシェルと、
それぞれ前記レセプタクルシェルの前記第1の収容部と前記第2の収容部とが重複する領域内に配列されると共に複数の接点部を有するレセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bと、
を備え、前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部と前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部は互いに反対方向を向き、前記第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときには前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部および前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部のうち少なくとも前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が前記第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続され、前記第2の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときには前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部が前記第2の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続されることを特徴とするレセプタクルコネクタ。
前記第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときに、前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部および前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が前記第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続される請求項1に記載のレセプタクルコネクタ。
前記レセプタクルコンタクト列Aは、前記嵌合軸に直交する方向に配列され且つ規格化されたデータバスの信号および電源を接続するための複数のレセプタクルコンタクトからなり、
前記レセプタクルコンタクト列Bは、前記嵌合軸に直交すると共に前記レセプタクルコンタクト列Aと平行な方向に配列され且つ前記規格化されたデータバス以外の信号または信号および電源を接続するための複数のレセプタクルコンタクトからなる請求項1または2に記載のレセプタクルコネクタ。
前記レセプタクルシェルは、前記レセプタクルコンタクト列Bに対向する部分が前記複数のレセプタクルコンタクトの配列方向に対して直交する方向に膨らむ凸部を有し、前記凸部内に前記第1の収容部の一部が形成されている請求項5に記載のレセプタクルコネクタ。
前記レセプタクルシェルは、嵌合状態にある前記第1の嵌合部分を有するプラグコネクタまたは前記第2の嵌合部分を有するプラグコネクタのロック部材を保持するための一対の開口部を有し、前記凸部は前記一対の開口部の間に形成されている請求項6に記載のレセプタクルコネクタ。
前記レセプタクルシェルの内部に配置されると共に前記第1の収容部と前記第2の収容部とが重複する領域内で前記嵌合軸の方向に延び且つ互いに反対方向を向いた一対の表面を有する舌状部が形成されたレセプタクルインシュレータを備え、
前記レセプタクルコンタクト列Aおよび前記レセプタクルコンタクト列Bは、前記レセプタクルインシュレータにより保持され、前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部は、前記舌状部の前記一対の表面のうちの一方の上に配置され、前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部は、前記舌状部の前記一対の表面のうちの他方の上に配置されている請求項1〜7のいずれか一項に記載のレセプタクルコネクタ。
前記レセプタクルコンタクト列Aおよび前記レセプタクルコンタクト列Bは、それぞれ前記レセプタクルインシュレータの背部から突出する複数の基板実装部を有し、前記レセプタクルコンタクト列Aの複数の基板実装部と前記レセプタクルコンタクト列Bの複数の基板実装部は、互いに前記嵌合軸の方向にずれた位置に配置されている請求項8に記載のレセプタクルコネクタ。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯機器、情報機器等の電子機器の小型化および高密度化に伴い、外部機器との間で信号および電源の授受を行うためのコネクタに対しても小型化が要求されており、また、接続の互換性を確保するために、マイクロ・ユニバーサル・シリアル・バス(μUSB)等の規格化されたコネクタが多く使用されている。
このような電子機器において、機能拡張等を目的として、μUSB以外の信号および電源の授受がさらに望まれる場合には、μUSBコネクタの他にμUSB以外の小型コネクタを装備する必要があった。
ところが、2つのコネクタを実装するには、それだけの大きな実装スペースを要し、部品点数が増えることからコストも嵩むこととなる。
そこで、μUSBのプラグコネクタに対してもμUSB以外のプラグコネクタに対しても嵌合し得るレセプタクルコネクタを電子機器に装備することが望まれている。
【0003】
このように、2種類のプラグコネクタに対し接続の互換性を有するレセプタクルコネクタとして、例えば、特許文献1には、
図23に示されるようなレセプタクルコネクタ1が開示されている。
レセプタクルコネクタ1は、シェル2により囲まれたインシュレータ3に、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)用のレセプタクルコンタクト列4とUSB以外のレセプタクルコンタクト列5が互いに異なる高さに保持された構造を有している。USB用のレセプタクルコンタクト列4を構成する複数のコンタクトは、それぞれ、レセプタクルコネクタ1の嵌合軸Lの方向に沿って延び、シェル2の内部に形成されたプラグ収容空間6に露出する接点部7を有している。同様に、USB以外のレセプタクルコンタクト列5を構成する複数のコンタクトも、それぞれ、レセプタクルコネクタ1の嵌合軸Lの方向に沿って延び、プラグ収容空間6に露出する接点部8を有している。USB用のレセプタクルコンタクト列4の各コンタクトの接点部7と、USB以外のレセプタクルコンタクト列5の各コンタクトの接点部8は、互いに嵌合軸Lの方向に対して異なる位置に配置されると共に互いに同一の方向、すなわち、
図23において下方を向いている。
【0004】
レセプタクルコネクタ1のプラグ収容空間6にUSB用のプラグコネクタの嵌合部分を挿入したときには、プラグコネクタの複数のプラグコンタクトの接点部が、それぞれ、USB用のレセプタクルコンタクト列4の対応するコンタクトの接点部7に接触することで、USB用のプラグコネクタがレセプタクルコネクタ1に接続される。一方、USB以外のプラグコネクタの嵌合部分をプラグ収容空間6に挿入したときには、プラグコネクタの複数のプラグコンタクトの接点部が、それぞれ、USB以外のレセプタクルコンタクト列5の対応するコンタクトの接点部8に接触することで、USB以外のプラグコネクタがレセプタクルコネクタ1に接続される。
このように、レセプタクルコネクタ1は、USB用のプラグコネクタとUSB以外のプラグコネクタのいずれに対しても嵌合可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1のレセプタクルコネクタ1では、USB用のレセプタクルコンタクト列4の各コンタクトの接点部7とUSB以外のレセプタクルコンタクト列5の各コンタクトの接点部8を、互いに嵌合軸Lの方向に対して異なる位置で同一の方向を向くように配置することにより、USB用のプラグコネクタとUSB以外のプラグコネクタに対する接続の互換性を確保しているので、必然的にレセプタクルコネクタ1の嵌合軸L方向の長さが長くなるという問題があった。
特に、近年の携帯機器および情報機器においては、薄型化と共に表示画面の大型化を追求するため、例えば、
図24に示されるように、レセプタクルコネクタ9は、嵌合軸Lを表示画面10と平行な方向に向けて表示画面10の外側に設置されることが多く、嵌合軸L方向の長さが短いレセプタクルコネクタが望まれている。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、互いに異なる形状の嵌合部分を有する2種類のプラグコネクタに対する接続の互換性を有しながらも嵌合軸方向の長さの縮小化を図ることができるレセプタクルコネクタを提供することを目的とする。
また、この発明は、そのようなレセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタを提供することも目的とする。
さらに、この発明は、これらのレセプタクルコネクタおよびプラグコネクタからなるコネクタ組立体を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るレセプタクルコネクタは、第1の嵌合部分を有するプラグコネクタと第1の嵌合部分とは異なる形状の第2の嵌合部分を有するプラグコネクタのいずれに対しても同一の嵌合軸に沿って嵌合するレセプタクルコネクタにおいて、第1の嵌合部分を収容するための第1の収容部と第2の嵌合部分を収容するための第2の収容部とが互いに少なくとも一部を重複するように形成されたレセプタクルシェルと、それぞれレセプタクルシェルの第1の収容部と第2の収容部とが重複する領域内に配列されると共に複数の接点部を有するレセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bとを備え、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部とレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部は互いに反対方向を向き、第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部およびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部のうち少なくともレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続され、第2の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部が第2の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続されるものである。
【0009】
第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときに、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部およびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続されるように構成することができる。
レセプタクルコンタクト列Aは、嵌合軸に直交する方向に配列され且つ規格化されたデータバスの信号および電源を接続するための複数のレセプタクルコンタクトからなり、レセプタクルコンタクト列Bは、嵌合軸に直交すると共にレセプタクルコンタクト列Aと平行な方向に配列され且つ規格化されたデータバス以外の信号および電源を接続するための複数のレセプタクルコンタクトからなることが好ましい。
規格化されたデータバスとしては、マイクロ・ユニバーサル・シリアル・バスを用いることができる。
【0010】
レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bは、それぞれの配列方向に対して直交する方向に所定の間隔を隔てて重なるように配置され、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部およびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部は、互いに嵌合軸の方向における同じ位置に配置されることが好ましい。
レセプタクルシェルは、レセプタクルコンタクト列Bに対向する部分が複数のレセプタクルコンタクトの配列方向に対して直交する方向に膨らむ凸部を有し、この凸部内に第1の収容部の一部が形成されるように構成することができる。
好ましくは、レセプタクルシェルは、嵌合状態にある第1の嵌合部分を有するプラグコネクタまたは第2の嵌合部分を有するプラグコネクタのロック部材を保持するための一対の開口部を有し、凸部は一対の開口部の間に形成されている。
【0011】
レセプタクルシェルの内部に配置されると共に第1の収容部と第2の収容部とが重複する領域内で嵌合軸の方向に延び且つ互いに反対方向を向いた一対の表面を有する舌状部が形成されたレセプタクルインシュレータを備え、レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bは、レセプタクルインシュレータにより保持され、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部は、舌状部の一対の表面のうちの一方の上に配置され、レセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部は、舌状部の一対の表面のうちの他方の上に配置されることが好ましい。
さらに、レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bは、それぞれレセプタクルインシュレータの背部から突出する複数の基板実装部を有し、レセプタクルコンタクト列Aの複数の基板実装部とレセプタクルコンタクト列Bの複数の基板実装部は、互いに嵌合軸の方向にずれた位置に配置されることが好ましい。
【0012】
第2の発明に係るプラグコネクタは、上記の第1の発明に係るレセプタクルコネクタの第1の収容部に収容される第1の嵌合部分と、レセプタクルコンタクト列Aに対応したプラグコンタクト列Cおよびレセプタクルコンタクト列Bに対応したプラグコンタクト列Dとを備え、プラグコンタクト列Cの複数の接点部とプラグコンタクト列Dの複数の接点部は互いに対向して配置され、レセプタクルコネクタに嵌合したときにプラグコンタクト列Cの複数の接点部がレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部に接続されると共にプラグコンタクト列Dの複数の接点部がレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部に接続されるものである。
【0013】
プラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dは、それぞれの配列方向に対して直交する方向に所定の間隔を隔てて重なるように配置され、プラグコンタクト列Cの複数の接点部およびプラグコンタクト列Dの複数の接点部は、互いに嵌合軸の方向における同じ位置に配置されていることが好ましい。
また、プラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dを保持するプラグインシュレータを備え、プラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dを構成する複数のプラグコンタクトは、それぞれ接点部とプラグインシュレータに保持される保持部とがプラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dの配列方向に互いに偏心していることが好ましい。
【0014】
第3の発明に係るコネクタ組立体は、上記の第1の発明に係るレセプタクルコネクタと、上記の第2の発明に係るプラグコネクタからなる第1のプラグコネクタと、レセプタクルコネクタの第2の収容部に収容される第2の嵌合部分とレセプタクルコンタクト列Aに対応したプラグコンタクト列Eとを備えると共にレセプタクルコネクタに嵌合したときにプラグコンタクト列Eの複数の接点部がレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部に接続される第2のプラグコネクタとを備え、第1のプラグコネクタと第2のプラグコネクタのうちの一方がレセプタクルコネクタに嵌合するものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部とレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が互いに反対方向を向き、第1の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部およびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部のうち少なくともレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部が第1の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続され、第2の嵌合部分を有するプラグコネクタが嵌合するときにはレセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部が第2の嵌合部分を有するプラグコネクタに接続されるので、互いに異なる形状の嵌合部分を有する2種類のプラグコネクタに対する接続の互換性を有しながらも嵌合軸方向の長さの縮小化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施の形態に係るレセプタクルコネクタおよび第1のプラグコネクタの嵌合前の状態を示す斜視図である。
【
図2】レセプタクルコネクタを示し、(A)は正面側の斜め上方から見た斜視図、(B)は背面側の斜め上方から見た斜視図、(C)は正面側の斜め下方から見た斜視図、(D)は正面図、(E)は平面図、(F)は底面図、(G)は側面図、(H)は背面図である。
【
図4】レセプタクルコネクタに用いられた組み立て前のレセプタクルシェルを示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【
図5】レセプタクルコネクタに用いられたレセプタクルインシュレータを示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【
図6】レセプタクルコネクタに用いられたレセプタクルコンタクト列Aを示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【
図7】レセプタクルコネクタに用いられたレセプタクルコンタクト列Bを示し、(A)は正面側から見た斜視図、(B)は背面側から見た斜視図である。
【
図8】レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bを保持するレセプタクルインシュレータを示し、(A)は平面図、(B)は底面図、(C)は正面図である。
【
図10】レセプタクルコネクタを示し、(A)は第1の収容部を示す正面図、(B)は第2の収容部を示す正面図である。
【
図11】レセプタクルコネクタと嵌合する第1のプラグコネクタを示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図、(C)は平面図、(D)は底面図、(E)は正面図、(F)は側面図、(G)は背面図である。
【
図13】(A)は
図11(F)のII−II線断面図、(B)は
図11(F)のIII−III線断面図である。
【
図14】第1のプラグコネクタに用いられた組み立て前のプラグシェルを示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図である。
【
図15】第1のプラグコネクタに用いられたプラグインシュレータを示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図である。
【
図16】第1のプラグコネクタに用いられたプラグコンタクト列Cを示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図である。
【
図17】第1のプラグコネクタに用いられたプラグコンタクト列Dを示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図である。
【
図18】第1のプラグコネクタに用いられたロック部材を示し、(A)は背面側から見た斜視図、(B)は正面側から見た斜視図である。
【
図20】レセプタクルコネクタに第1のプラグコネクタを嵌合した状態を示す断面図である。
【
図21】レセプタクルコネクタと嵌合する第2のプラグコネクタを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図、(D)は側面図である。
【
図22】第2のプラグコネクタが嵌合した状態のレセプタクルコネクタを示す断面図である。
【
図23】従来のレセプタクルコネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、実施の形態に係るレセプタクルコネクタ11および第1のプラグコネクタ21を示す。レセプタクルコネクタ11は、携帯機器および情報機器等の電子機器内における回路基板P1に固定され、第1のプラグコネクタ21は、他の回路基板P2に固定されている。第1のプラグコネクタ21をレセプタクルコネクタ11に位置決めし、嵌合軸Lに沿って押し込むことにより、第1のプラグコネクタ21がレセプタクルコネクタ11に嵌合する。
ここで、回路基板P1およびP2は、互いに平行な平面上に位置するものとし、便宜上、回路基板P1の表面をXY面、第1のプラグコネクタ21からレセプタクルコネクタ11に向けて嵌合軸Lが延びる方向を+Y方向、XY面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶものとする。
【0018】
図2(A)〜(H)に示されるように、レセプタクルコネクタ11は、レセプタクルシェル12を有し、レセプタクルシェル12の内部にレセプタクルインシュレータ13が配置され、レセプタクルインシュレータ13によりレセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bが保持されている。
レセプタクルコンタクト列Aは、規格化された汎用のマイクロ・ユニバーサル・シリアル・バス(μUSB)に対応したコンタクト列であり、レセプタクルコンタクト列Bは、μUSB以外の信号または信号および電源の授受を行うためのコンタクト列である。レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bは、それぞれ、レセプタクルコネクタ11の嵌合軸Lに沿って延びると共に嵌合軸Lに直交する方向に配列された複数のレセプタクルコンタクトから構成され、レセプタクルコンタクト列Aにおける複数のレセプタクルコンタクトの配列面とレセプタクルコンタクト列Bにおける複数のレセプタクルコンタクトの配列面は互いに平行となっている。
【0019】
レセプタクルシェル12は、金属材料から形成され、嵌合軸Lに直交するX方向に扁平で且つ嵌合軸Lに沿ったY方向の両端、すなわち、正面側と背面側が共に開放された中空の形状を有している。また、レセプタクルシェル12は、互いにZ方向に対向する上板部12aおよび下板部12bを有しており、下板部12bのX方向の中央部に、嵌合軸Lに沿って下方に膨らむ凸部12cが形成されている。この凸部12cの存在により、下板部12bは、凸部12cのX方向の両側に位置し且つY方向に延びる一対の上段部12dと、これら一対の上段部12dの間で上段部12dよりも−Z方向側に位置し且つY方向に延びる下段部12eとを有している。
【0020】
さらに、レセプタクルシェル12は、下板部12bの上段部12dのY方向に延びる側縁から−Z方向に向かって突出する複数の突起部12fと、上板部12aの+Y方向側(背面側)の端部から−Z方向に向かって突出する一対の突起部12gとを有している。下板部12bの上段部12dから突出する突起部12fは、回路基板P1のスルーホールに挿入されて半田付けされることにより、レセプタクルコネクタ11を回路基板P1に固定するためのものであり、上板部12aから突出する突起部12gは、レセプタクルシェル12内に配置されたレセプタクルインシュレータ13をレセプタクルシェル12に対して保持するためのものである。
また、レセプタクルシェル12の下板部12bの一対の上段部12dには、それぞれ、レセプタクルコネクタ11に嵌合されるプラグコネクタのロック部材を保持するための開口部12hが形成されている。
【0021】
このようなレセプタクルシェル12の内部にレセプタクルインシュレータ13が挿入されている。
図3に示されるように、レセプタクルインシュレータ13は、レセプタクルシェル12の内部空間のうち+Y方向側(背面側)の領域を埋め尽くすインシュレータ本体部13aを有すると共に、インシュレータ本体部13aから嵌合軸Lに沿って−Y方向側(正面側)に延びる舌状部13bを有している。舌状部13bは、XY面上に延びる平板形状でレセプタクルシェル12の内壁部に接触することはなく、レセプタクルシェル12内の中心部に位置しており、レセプタクルシェル12の内部空間のうち−Y方向側(正面側)の領域には、舌状部13bを中心として、プラグコネクタの嵌合部分を収容するための収容空間Sが確保されている。
【0022】
レセプタクルコンタクト列Aは、それぞれ、嵌合軸Lに沿ってY方向に延び且つX方向に配列された複数のレセプタクルコンタクト14を有している。同様に、レセプタクルコンタクト列Bは、それぞれ、嵌合軸Lに沿ってY方向に延び且つX方向、すなわち、レセプタクルコンタクト列Aと平行な方向に配列された複数のレセプタクルコンタクト15を有している。
また、レセプタクルコンタクト列Aとレセプタクルコンタクト列Bは、それぞれの配列方向に対して直交するZ方向に所定の間隔を隔てて重なるように配置され、レセプタクルコンタクト列Aの各レセプタクルコンタクト14の−Y方向端部とレセプタクルコンタクト列Bの各レセプタクルコンタクト15の−Y方向端部は、互いに嵌合軸Lに沿ったY方向における同じ位置に配置されている。
【0023】
図4(A)および(B)に示されるように、レセプタクルシェル12の上板部12aから突出する突起部12gは、レセプタクルインシュレータ13を組み込む前は、上板部12aの端部で屈曲されることなく、上板部12aと同一面を形成するように嵌合軸Lに沿って延びており、レセプタクルシェル12の内部にレセプタクルインシュレータ13が挿入された後に、
図2に示したように、−Z方向に延びるように屈曲される。これにより、レセプタクルシェル12内に配置されたレセプタクルインシュレータ13がレセプタクルシェル12に対して保持される。
【0024】
図5(A)および(B)に示されるように、レセプタクルインシュレータ13の舌状部13bは、互いに反対方向を向いた一対の表面、すなわち、+Z方向を向いた上面13cと−Z方向を向いた下面13dを有し、上面13cにレセプタクルコンタクト列Aの各レセプタクルコンタクト14の一部を収容する複数の溝13eが形成され、下面13dにレセプタクルコンタクト列Bの各レセプタクルコンタクト15の一部を収容する複数の溝13fが形成されている。
【0025】
図6(A)および(B)に、レセプタクルコンタクト列Aを示す。レセプタクルコンタクト列Aの各レセプタクルコンタクト14は、レセプタクルインシュレータ13内に埋設されて保持される保持部14aと、保持部14aの−Y方向側に位置してレセプタクルインシュレータ13の舌状部13bの溝13eに挿入される接点部14bと、保持部14aの+Y方向側に位置してレセプタクルインシュレータ13の背部に突出する基板実装部14cとを有している。
同様に、
図7(A)および(B)に、レセプタクルコンタクト列Bを示す。レセプタクルコンタクト列Bの各レセプタクルコンタクト15は、レセプタクルインシュレータ13内に埋設されて保持される保持部15aと、保持部15aの−Y方向側に位置してレセプタクルインシュレータ13の舌状部13bの溝13fに挿入される接点部15bと、保持部15aの+Y方向側に位置してレセプタクルインシュレータ13の背部に突出する基板実装部15cとを有している。
【0026】
レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bは、例えば、樹脂を用いてインサート成形することにより、
図8(A)〜(C)に示されるように、レセプタクルインシュレータ13に組み込むことができる。レセプタクルインシュレータ13の舌状部13bの一対の表面のうち一方の表面である上面13cに形成された複数の溝13eにレセプタクルコンタクト列Aの複数のレセプタクルコンタクト14の接点部14bが挿入され、他方の表面である下面13dに形成された複数の溝13fにレセプタクルコンタクト列Bの複数のレセプタクルコンタクト15の接点部15bが挿入されている。
また、
図8(B)に示されるように、レセプタクルコンタクト列Aの各レセプタクルコンタクト14の基板実装部14cとレセプタクルコンタクト列Bの各レセプタクルコンタクト15の基板実装部15cは、互いにY方向にずれた位置に配置されており、これにより、レセプタクルコネクタ11を回路基板P1に実装する際に、これら基板実装部14cと基板実装部15cを互いの間隔が十分に確保された状態で回路基板P1の配線パターンに半田付けすることができるように構成されている。
【0027】
そして、レセプタクルコンタクト列Aおよびレセプタクルコンタクト列Bが組み込まれたレセプタクルインシュレータ13を、
図9に示されるように、嵌合軸Lに沿ってレセプタクルシェル12の+Y方向側端部からレセプタクルシェル12内に挿入し、レセプタクルシェル12の一対の突起部12gを−Z方向に向けて屈曲させてレセプタクルインシュレータ13をレセプタクルシェル12に対して保持することにより、レセプタクルコネクタ11が作製される。
【0028】
レセプタクルコネクタ11には、レセプタクルシェル12の下板部12bに下方に膨らむ凸部12cが形成されているので、レセプタクルシェル12の正面側の内部に確保されている収容空間S内に、
図10(A)に斜線部で示されるような第1の収容部S1と、
図10(B)に斜線部で示されるような第2の収容部S2とが、互いに少なくとも一部を重複するように形成されている。第1の収容部S1は、上板部12aと下板部12bの一対の上段部12dおよび下段部12eとにより規定され、第2の収容部S2は、上板部12aと下板部12bの一対の上段部12dとにより規定されている。
第1の収容部S1および第2の収容部S2は、互いに重複する領域内にレセプタクルインシュレータ13の舌状部13bが位置するように形成されている。
【0029】
次に、レセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1に嵌合し得る、第1のプラグコネクタ21の構成を
図11(A)〜(G)に示す。この第1のプラグコネクタ21は、汎用のコネクタではなく、レセプタクルコネクタ11のみに嵌合する専用のプラグコネクタである。
第1のプラグコネクタ21は、プラグシェル22を有し、プラグシェル22の内部にプラグインシュレータ23が配置され、プラグインシュレータ23によりプラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dが保持されている。
【0030】
プラグコンタクト列Cは、μUSB用の信号および電源の授受を行うためのものであり、プラグコンタクト列Dは、μUSB以外の信号または信号および電源の授受を行うためのものである。これらプラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dは、それぞれ、第1のプラグコネクタ21の嵌合軸Lに沿って延びると共に嵌合軸Lに直交する方向に配列された複数のプラグコンタクトから構成され、プラグコンタクト列Cにおける複数のプラグコンタクトの配列面とプラグコンタクト列Dにおける複数のプラグコンタクトの配列面は互いに平行となっている。
第1のプラグコネクタ21の+Y方向側(正面側)の端部には、レセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1に嵌合する第1の嵌合部分F1が形成されている。
【0031】
プラグシェル22は、金属材料から形成されており、第1の嵌合部分F1におけるプラグシェル22は、嵌合軸Lに直交するX方向に扁平で且つ嵌合軸Lに沿ったY方向の両端が共に開放された中空の形状を有している。第1の嵌合部分F1におけるプラグシェル22は、互いにZ方向に対向する上板部22aおよび下板部22bを有しており、下板部22bのX方向の中央部に、嵌合軸Lに沿って下方に膨らむ凸部22cが形成されている。この凸部22cの存在により、下板部22bは、凸部22cのX方向の両側に位置し且つY方向に延びる一対の上段部22dと、これら一対の上段部22dの間で上段部22dよりも下方に位置し且つY方向に延びる下段部22eとを有している。
【0032】
さらに、プラグシェル22の−Y方向側(背面側)の端部には、プラグシェル22の下端から−Z方向に向かって突出する4本の突起部22fとプラグシェル22の上端からプラグインシュレータ23の−Y方向端部を巻き込むように屈曲されて延びる一対の突起部22gが形成されている。突起部22fは、回路基板P2のスルーホールに挿入されて半田付けされることにより、第1のプラグコネクタ21を回路基板P2に固定するためのものであり、突起部22gは、プラグシェル22内に配置されたプラグインシュレータ23をプラグシェル22に対して保持するためのものである。
また、第1のプラグコネクタ21の第1の嵌合部分F1内には、一対のロック部材26が配置されており、これらのロック部材26のロック部26aが、プラグシェル22の下板部22bの一対の上段部22dに形成された一対の開口部22hを通して−Z方向(下方)に突出している。
【0033】
このようなプラグシェル22の内部にプラグインシュレータ23が挿入されている。
図12および
図13(A)、(B)に示されるように、プラグインシュレータ23は、プラグシェル22の内部空間の−Y方向端部から+Y方向端部まで延びており、プラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dを保持している。
【0034】
プラグコンタクト列Cは、それぞれ、嵌合軸Lに沿ってY方向に延び且つX方向に配列された複数のプラグコンタクト24を有している。同様に、プラグコンタクト列Dは、それぞれ、嵌合軸Lに沿ってY方向に延び且つX方向、すなわち、プラグコンタクト列Cと平行な方向に配列された複数のプラグコンタクト25を有している。
また、プラグコンタクト列Cとプラグコンタクト列Dは、それぞれの配列方向に対して直交するZ方向に所定の間隔を隔てて重なるように配置され、プラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24の+Y方向端部とプラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25の+Y方向端部は、互いにY方向における同じ位置に配置されている。
【0035】
図14(A)および(B)に示されるように、プラグシェル22の−Y方向端部の上端から延びる突起部22gは、プラグインシュレータ23を組み込む前は、屈曲されることなく、+Z方向(上方)に延びており、プラグシェル22の内部にプラグインシュレータ23が挿入された後に、プラグインシュレータ23の−Y方向端部を巻き込むように屈曲される。これにより、プラグシェル22内に配置されたプラグインシュレータ23がプラグシェル22に対して保持される。
図15(A)および(B)に示されるように、第1の嵌合部分F1に対応するプラグインシュレータ23の+Y方向端部には、プラグコンタクト列Cの複数のプラグコンタクト24の一部を収容する複数の溝23aとプラグコンタクト列Dの複数のプラグコンタクト25の一部を収容する複数の溝23bが形成されている。
【0036】
図16(A)および(B)に、プラグコンタクト列Cを示す。プラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24は、プラグインシュレータ23内に埋設されて保持される保持部24aと、保持部24aから+Y方向に延びる伸張部24bと、伸張部24bの+Y方向端部において−Z方向に突出し且つプラグインシュレータ23の溝23aに挿入される接点部24cと、保持部24aの−Y方向側に位置してプラグインシュレータ23の背部に突出する基板実装部24dとを有している。
また、それぞれのプラグコンタクト24の伸張部24bおよび接点部24cは、保持部24aおよび基板実装部24dに対してプラグコンタクト列Cの配列方向であるX方向に偏心している。
【0037】
同様に、
図17(A)および(B)に、プラグコンタクト列Dを示す。プラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25は、プラグインシュレータ23内に埋設されて保持される保持部25aと、保持部25aに連結されて+Y方向に延びる伸張部25bと、伸張部25bの+Y方向端部において+Z方向に突出し且つプラグインシュレータ23の溝23bに挿入される接点部25cと、保持部25aの−Y方向側に位置してプラグインシュレータ23の背部に突出する基板実装部25dを有している。
また、それぞれのプラグコンタクト25の伸張部25b、接点部25cおよび基板実装部25dは、保持部25aに対してプラグコンタクト列Dの配列方向であるX方向に偏心している。
【0038】
このようにプラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24およびプラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25にそれぞれX方向に偏心する偏心部分を形成することにより、プラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24の保持部24aとプラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25の保持部25aがZ方向に重ならないようにプラグコンタクト列Cおよびプラグコンタクト列Dを配置しやすくなり、プラグコンタクト列Cとプラグコンタクト列Dとの間にプラグインシュレータ23の肉薄の部分が形成されることを回避して、第1のプラグコネクタ21の強度を確保している。
【0039】
図18(A)および(B)に、ロック部材26を示す。ロック部材26は、プラグインシュレータ23内に埋設されて保持される保持部26bを有し、保持部26bから+Y方向に伸張部26cが延び、伸張部26cの+Y方向端部に−Z方向に突出するロック部26aが形成されている。ロック部26aは、伸張部26cの存在によりバネ性を有してZ方向に移動可能であり、
図11(D)〜(F)に示したように、プラグシェル22の開口部22hから−Z方向に突出している。
【0040】
プラグコンタクト列C、プラグコンタクト列Dおよび一対のロック部材26は、例えば、樹脂を用いてインサート成形することにより、プラグインシュレータ23に組み込むことができる。プラグインシュレータ23の複数の溝23aにプラグコンタクト列Cの複数のプラグコンタクト24の一部が収容され、複数の溝23bにプラグコンタクト列Dの複数のプラグコンタクト25の一部が収容される。
このとき、
図12に示されるように、プラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24の基板実装部24dとプラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25の基板実装部25dは、互いにY方向にずれた位置に配置されており、これにより、第1のプラグコネクタ21を回路基板P2に実装する際に、これら基板実装部24dと基板実装部25dを互いの間隔が十分に確保された状態で回路基板P2の配線パターンに半田付けすることができるように構成されている。
【0041】
そして、
図19に示されるように、プラグコンタクト列C、プラグコンタクト列Dおよび一対のロック部材26が組み込まれたプラグインシュレータ23を、嵌合軸Lに沿ってプラグシェル22の−Y方向側端部からプラグシェル22内に挿入し、プラグインシュレータ23の−Y方向端部を巻き込むようにプラグシェル22の一対の突起部22gを屈曲させてプラグインシュレータ23をプラグシェル22に対して保持することにより、第1のプラグコネクタ21が作製される。
【0042】
このような第1のプラグコネクタ21の+Y方向側端部に形成されている第1の嵌合部分F1は、
図11(E)に示されるように、嵌合軸Lの方向から見たときに、レセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1に対応した形状を有している。
第1のプラグコネクタ21の第1の嵌合部分F1を嵌合軸Lに沿ってレセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1に挿入することにより、第1のプラグコネクタ21がレセプタクルコネクタ11に嵌め合わされる。このとき、
図20に示されるように、第1のプラグコネクタ21のプラグコンタクト列Cの先端部がレセプタクルコネクタ11の舌状部13bの上に位置し、プラグコンタクト列Cを構成する複数のプラグコンタクト24の接点部24cがレセプタクルコネクタ11の舌状部13bの上面13cに配置されたレセプタクルコンタクト列Aを構成する複数のレセプタクルコンタクト14の接点部14bに接触する。同時に、プラグコンタクト列Dの先端部がレセプタクルコネクタ11の舌状部13bの下に位置し、プラグコンタクト列Dを構成する複数のプラグコンタクト25の接点部25cがレセプタクルコネクタ11の舌状部13bの下面13dに配置されたレセプタクルコンタクト列Bを構成する複数のレセプタクルコンタクト15の接点部15bに接触する。これにより、第1のプラグコネクタ21のプラグコンタクト列CおよびDとレセプタクルコネクタ11のレセプタクルコンタクト列AおよびBとの間でそれぞれ電気的導通がなされる。
【0043】
また、第1のプラグコネクタ21の第1の嵌合部分F1をレセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1に挿入することで、第1のプラグコネクタ21の一対のロック部材26のロック部26aが、レセプタクルコネクタ11のレセプタクルシェル12に形成された一対の開口部12hに挿入され、レセプタクルコネクタ11と第1のプラグコネクタ21との嵌合状態がロックされる。なお、ロック部材26のバネ力に抗して第1のプラグコネクタ21の第1の嵌合部分F1をレセプタクルコネクタ11の第1の収容部S1から引き抜くことにより、レセプタクルコネクタ11と第1のプラグコネクタ21との嵌合状態を解消することができる。
【0044】
図21(A)〜(D)に、レセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2に嵌合し得る第2のプラグコネクタ31の構成を示す。この第2のプラグコネクタ31は、汎用のマイクロ・ユニバーサル・シリアル・バス(μUSB)用のプラグコネクタであり、回路基板に固定されるものではなく、ケーブル30の先端に取り付けられ、レセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2に嵌合される第2の嵌合部分F2を有している。
第2の嵌合部分F2は、嵌合軸Lの方向から見たときにレセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2に対応した形状を有するプラグシェル32と、プラグシェル32の内部に配置されたプラグインシュレータ33と、プラグインシュレータ33により保持されたプラグコンタクト列Eを有している。プラグコンタクト列Eは、μUSB用の信号および電源の授受を行うために、複数のプラグコンタクト34がX方向に1列に配列されたものである。
また、第2の嵌合部分F2内には、一対のロック部材36が配置されており、これらのロック部材36のロック部36aが、プラグシェル32の−Z方向を向いた表面に形成されている一対の開口部32aを通して−Z方向に突出している。
【0045】
第2の嵌合部分F2を嵌合軸Lに沿ってレセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2に挿入することにより、第2のプラグコネクタ31がレセプタクルコネクタ11に嵌め合わされる。このとき、
図22に示されるように、第2のプラグコネクタ31のプラグコンタクト列Eの先端部がレセプタクルコネクタ11の舌状部13bの上に位置し、プラグコンタクト列Eを構成する複数のプラグコンタクト34の接点部34aが、レセプタクルコネクタ11の舌状部13bの上面13cに配置されたレセプタクルコンタクト列Aを構成する複数のレセプタクルコンタクト14の接点部14bに接触し、第2のプラグコネクタ31のプラグコンタクト列Eとレセプタクルコネクタ11のレセプタクルコンタクト列Aとの間で電気的導通がなされる。
【0046】
また、第2のプラグコネクタ31の第2の嵌合部分F2をレセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2に挿入することで、第2のプラグコネクタ31の一対のロック部材36のロック部36aが、レセプタクルコネクタ11のレセプタクルシェル12に形成された一対の開口部12hに挿入され、レセプタクルコネクタ11と第2のプラグコネクタ31との嵌合状態がロックされる。なお、ロック部材36のバネ力に抗して第2のプラグコネクタ31の第2の嵌合部分F2をレセプタクルコネクタ11の第2の収容部S2から引き抜くことにより、レセプタクルコネクタ11と第2のプラグコネクタ31との嵌合状態を解消することができる。
【0047】
このように、実施の形態に係るレセプタクルコネクタ11は、μUSB用のプラグコンタクト列CおよびμUSB以外のプラグコンタクト列Dを有すると共に第1の嵌合部分F1を有する第1のプラグコネクタ21と、μUSB用のプラグコンタクト列Eのみを有し且つ第1のプラグコネクタ21の第1の嵌合部分F1とは異なる形状の第2の嵌合部分F2を有する第2のプラグコネクタ31のいずれに対しても、嵌合可能である。
【0048】
また、レセプタクルコネクタ11のレセプタクルコンタクト列Aを構成する複数のレセプタクルコンタクト14の接点部14bとレセプタクルコンタクト列Bを構成する複数のレセプタクルコンタクト15の接点部15bが互いに反対方向を向き、第1のプラグコネクタ21が嵌合するときには、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部14bおよびレセプタクルコンタクト列Bの複数の接点部15bの双方が第1のプラグコネクタ21のプラグコンタクト列Cの複数の接点部24cおよびプラグコンタクト列Dの複数の接点部25cに接続され、第2のプラグコネクタ31が嵌合するときには、レセプタクルコンタクト列Aの複数の接点部14bが第2のプラグコネクタ31のプラグコンタクト列Eの複数の接点部34aに接続されるので、レセプタクルコネクタ11の嵌合軸L方向の長さの縮小化を図ることが可能となる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、第1のプラグコネクタ21がプラグシェル22の突起部22fを用いて回路基板P2に固定されるものであったが、
図21(A)に示した第2のプラグコネクタ31のように、ケーブル30の先端に取り付けられていてもよく、あるいは、フレキシブルプリント基板(FPC)に実装されていてもよい。
また、第1のプラグコネクタ21のプラグコンタクト列Cの各プラグコンタクト24およびプラグコンタクト列Dの各プラグコンタクト25が偏心部分を有していたが、プラグコンタクト列Cとプラグコンタクト列Dとの間に位置するプラグインシュレータ23の肉厚を確保できる場合には、それぞれのプラグコンタクトに偏心部分を形成しなくてもよい。
【0050】
上記の実施の形態においては、μUSB用のレセプタクルコンタクト列AおよびμUSB以外のレセプタクルグコンタクト列Bを有するレセプタクルコネクタ11に、μUSB用のプラグコンタクト列CおよびμUSB以外のプラグコンタクト列Dを有する第1のプラグコネクタ21と、μUSB用のプラグコンタクト列Eのみを有する第2のプラグコネクタ31の一方を嵌合したが、μUSB以外のプラグコンタクト列のみを有するプラグコネクタをレセプタクルコネクタ11に嵌合することもできる。
【0051】
また、レセプタクルコネクタ11が、μUSB用のレセプタクルコンタクト列AおよびμUSB以外のレセプタクルグコンタクト列Bを有していたが、μUSBに限るものではない。例えば、USB用のレセプタクルコンタクト列とUSB以外のレセプタクルグコンタクト列を有していてもよく、また、ミニUSB用のレセプタクルコンタクト列とミニUSB以外のレセプタクルコンタクト列を有していてもよく、あるいは、その他の規格化されたデータバス用のレセプタクルコンタクト列と規格化されていないレセプタクルコンタクト列とを有していてもよい。上記の実施の形態と同様にして、規格化されたデータバス用のプラグコンタクト列および規格化されていないプラグコンタクト列とを有する第1のプラグコネクタと、規格化されたデータバス用のプラグコンタクト列のみを有する第2のプラグコネクタのいずれに対しても嵌合可能でありながら、嵌合軸方向の長さを縮小したレセプタクルコネクタを実現することができる。
【0052】
さらに、レセプタクルコネクタが、互いに異なる規格により規格化された2つのレセプタクルコンタクト列を有し、これらの規格により規格化された2つのプラグコンタクト列を有する第1のプラグコネクタと、一方の規格により規格化された1つのプラグコンタクト列のみを有する第2のプラグコネクタとの間の接続の互換性を持たせることもできる。