特開2015-146516(P2015-146516A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-146516(P2015-146516A)
(43)【公開日】2015年8月13日
(54)【発明の名称】通信端末装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/08 20060101AFI20150717BHJP
   H04L 12/841 20130101ALI20150717BHJP
   H04L 29/06 20060101ALI20150717BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20150717BHJP
【FI】
   H04L13/00 307C
   H04L12/841
   H04L13/00 305C
   G06F3/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-18626(P2014-18626)
(22)【出願日】2014年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】縣 俊成
【テーマコード(参考)】
5K030
5K034
【Fターム(参考)】
5K030GA03
5K030HA08
5K030HB13
5K030HB28
5K030HD03
5K030HD06
5K030JA05
5K030JA11
5K030JT02
5K030LA02
5K030LB19
5K030LC01
5K030MB06
5K030MB10
5K034AA02
5K034EE11
5K034FF13
5K034HH06
5K034HH11
5K034HH63
5K034MM08
5K034MM11
5K034MM24
5K034NN26
(57)【要約】
【課題】多種多様な受信側の通信端末装置が存在するネットワークにおいても、高速通信を可能とした送信側の通信端末装置を提供する。
【解決手段】連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数を特定する最適数特定部10と、特定部10で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部11と、を有する。最適数特定部10は、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間以上であれば、送信パケット数を1つ増やしてデータを再度送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間未満であれば、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数を特定する最適数特定部と、
前記特定部で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部と、を備え、
前記最適数特定部は、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間以上であれば、前記送信パケット数を1つ増やして前記データを再度送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が前記所定時間未満であれば、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する通信端末装置。
【請求項2】
連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数を特定する最適数特定部と、
前記特定部で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部と、を備え、
前記最適数特定部は、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間より長ければ、前記送信パケット数を1つ増やして前記データを再度送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が前記所定時間以下であれば、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する通信端末装置。
【請求項3】
データを送信する際に、当該データの分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定する請求項1又は2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
データを送信する前に、予め設定されたテスト用データを、分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定する請求項1又は2に記載の通信端末装置。
【請求項5】
受信側からの返信である1ACKに対応する送信パケット数に関する情報を送信先毎に予め記憶するパケット情報記憶部と、
前記パケット情報記憶部を参照して、該当する送信先及び送信先に関連づけられた1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部と、を備える通信端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機、NAS(Network Attached Storage)などのパケット通信を行う通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機やNASなどの通信端末装置は、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)によるパケット通信を行うものが多い。パケット通信では、送信対象となるデータを複数個のパケットに分割して送信する。1つのパケットは、送信対象となるデータよりも小さい。
【0003】
一般的に、TCP/IPによるパケット通信では、通信の信頼性を確保するために、受信確認が実行される。具体的には、送信側から所定数のパケットが連続して送信され、受信側が所定数のパケットを受信した場合に、受信側がACK(Acknowledgement)を送信側へ返信する。送信側は、ACKの受信をもって正常に通信できたと判定し、続きのパケットを送信する。受信側は、所定数未満のパケットを受信した場合、所定時間(例えば200msecといった数百msec)経過するまで待機し、これ以上パケットが来ないとしてACKを送信側へ返信する。受信側に設定される1ACKに対応する送信パケット数は、受信側の装置に固有値が設定されるため、統一されていない。
【0004】
大容量のデータを細かなパケットに分割して送信するにあたり、分割の仕方によっては、所定時間経過するまでACKが受信側から送信側へ返ってこない場合がある。通信の分野では数百msecは長い時間であり、待機時間が頻発すれば、全てのデータを送信するまでに要する時間が膨大となってしまう。
【0005】
このような不具合を解決するための一つの手段として、特許文献1に記載の印刷システムでは、ホスト装置と印刷装置との間でパケット通信を行うにあたり、ホスト装置が印刷装置に対して幾つのパケットに分割して送信されるかを問い合わせ、その返答結果に基づいた分割数のパケットで通信を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−48069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように、1ACKに対応する送信パケット数を問い合わせるようにするためには、送信側と受信側の双方が互いに対応する必要がある。オフィスや家庭に設置されるLAN(Local Area Network)等のネットワークには、多種多様なベンダーの受信装置が存在するため、上記方法は採用できない。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、多種多様な受信側の通信端末装置が存在するネットワークにおいても、高速通信を可能とした送信側の通信端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0010】
すなわち、本発明の通信端末装置は、連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数を特定する最適数特定部と、前記特定部で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部と、を備え、
前記最適数特定部は、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間以上であれば、前記送信パケット数を1つ増やして前記データを再度送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が前記所定時間未満であれば、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する。
【0011】
前記最適数特定部が、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間より長ければ、前記送信パケット数を1つ増やして前記データを再度送信し、送信後にACKが返信されるまでの時間が前記所定時間以下であれば、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定するように、前記最適数特定部を構成してもよい。
【0012】
上記構成によれば、最適数特定部が、連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数(連続送信パケット数)を特定する。送信部が、その結果を用いてパケット通信を行うので、1ACKに対応する送信パケット数未満となって待機時間が発生することを防止でき、待機時間の頻発による低速を防ぎ、高速通信を可能とした送信側の通信端末装置を提供することが可能となる。
【0013】
動的に最適なパケット数を特定するためには、データを送信する際に、当該データの分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定することが好ましい。
【0014】
実際に送信したいデータの送信速度を損なうことを防止するためには、データを送信する前に、予め設定されたテスト用データを、分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定することが好ましい。
【0015】
本発明の他の形態の通信端末装置は、受信側からの返信である1ACKに対応する送信パケット数に関する情報を送信先毎に予め記憶するパケット情報記憶部と、前記パケット情報記憶部を参照して、該当する送信先及び送信先に関連づけられた1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部と、を備えることが挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上説明した構成であるので、受信側からの返信である1ACKに対応する送信パケット数を特定でき、当該パケット数に合致した送信が行えるので、待機時間を低減でき、多種多様な受信側の通信端末装置が存在するネットワークにおいても、高速通信を可能とした送信側の通信端末装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る送信側の通信端末装置を示すブロック図。
図2A】送信機と受信機の通信状態を示す説明図。
図2B】送信機と受信機の通信状態を示す説明図。
図3】送信機となる通信端末装置で実行されるフローチャート。
図4】本発明の他の実施形態に係る送信側の通信端末装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る通信端末装置を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に概略的に示すように、通信端末装置1は、複合機やNAS、「村田機械株式会社製、製品名:OM−BOX」等のパケット通信を行う装置である。通信端末装置1は、最適数特定部10と、送信部11と、パケット情報記憶部12と、を有する。これら各部10〜12は、図示しないCPU、メモリ、ネットワークインターフェイスを含むコンピュータで構成される情報処理装置において、メモリに記憶される所定のプログラムがCPUで実行されることにより、ソフトウェアとハードウェアが協働して実現される。
【0020】
送信部11は、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する。TCP/IPの通信では、送信側が送信したパケットを受信側が所定数受信すれば、正常に受信できたとしてACKを送信側へ向けて返信する。ACKを返信するタイミングは、主に2つある。1つ目は、図2Aに例示するように、受信側において設定される1ACKに対応する送信パケット数分のパケットを受信した場合には、即時にACKを返信する。同図では、2つのパケットを受信した場合にACKを返信する例を示している。2つ目は、図2Bに示すように、最後にパケットを受信してから所定時間(例えば200msecといった数百msec)経過するまで待機し、これ以上パケットが来ないとしてACKを送信側へ返信する。同図では、受信側の装置が、2つのパケットを受信した場合にACKを返信するように設定された例であるが、1つのパケットが送信され、所定時間待機したあとにACKを返信する例を示している。
【0021】
なお、受信側に設定されている上記1ACKに対応する送信パケット数は、送信側には不明である。
【0022】
最適数特定部10は、上記1ACKに対応する送信パケット数を特定するために、ACKの受信を待たずに連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後にACKが返信されるまでの時間を計測し、当該時間に応じて受信側からの返信である1ACKに対応する送信パケット数を特定する。
【0023】
具体的には、図3に示すように、ステップST1において1ACKに対応する送信パケット数(連続送信パケット数)を1とする。次のステップST2において、当該連続送信パケット数になるように送信対象となるデータを分割し、順次連続送信する。次のステップST3では、ACKの受信を待ち、送信後にACKが返信されるまでの時間を計測する。次のステップST4では、計測した時間が所定時間以上(200ms以上)であれば(ST4:YES)、次のステップST5において、1ACKに対応する送信パケット数を1つ増やし、ステップST2に戻り、増加後のパケット数になるようにデータを分割して再送信を行う。ステップST4において、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間未満(200ms未満)であれば(ST4:NO)、ステップST6において、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する。
【0024】
送信部11は、特定部で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する。
【0025】
なお、図1に示すように、最適数特定部10が特定した送信パケット数(連続送信パケット数)を送信先の情報(IPアドレスやMACアドレス等)に関連づけて、パケット情報記憶部12に記憶しておき、送信部11は、パケット情報記憶部12を参照して、該当する送信先及び送信パケット数があれば、それを用いて通信し、該当する送信先及び送信パケット数がなければ、最適数特定部10による処理を実行するように構成してもよい。勿論、パケット情報記憶部12を設けなくともよい。
【0026】
また、本実施形態では、データを送信する際に、当該送信対象となるデータの分割数を変更しながら、最適数特定部10が最適な数を特定している。もちろん、これに限定されない。例えば、データを送信する前に、予め設定されたテスト用データを、分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定する事前処理を実行し、その後、データを送信するようにしてもよい。
【0027】
以上のように、本実施形態の通信端末装置1は、連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数を特定する最適数特定部10と、特定部10で特定した1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する送信部11と、を備える。また、最適数特定部10は、1ACKに対応する送信パケット数が1となるように送信対象となるデータを分割して送信し(ST1、ST2)、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間以上であれば(ST3、ST4:YES)、1ACKに対応する送信パケット数を1つ増やしてデータを再度送信し(ST5)、送信後にACKが返信されるまでの時間が所定時間未満であれば(ST3,ST4:NO)、その場合の送信パケット数が1ACKに対応する送信パケット数であると特定する(ST6)。
【0028】
この構成によれば、最適数特定部10が、連続送信するパケット数を変化させ、連続送信後に受信側からACKが返信されるまでの時間に応じて、1ACKに対応する送信パケット数(連続送信パケット数)を特定し、送信部11が、その結果を用いてパケット通信を行うので、1ACKに対応する送信パケット数未満となって待機時間が発生することを防止でき、待機時間の頻発による低速を防ぎ、高速通信を可能とした送信側の通信端末装置を提供することが可能となる。
また、1ACKに対応する送信パケット数(連続送信パケット数)を1から順次カウントアップするので、ランダムな数で試行するのに比べて漏れなく的確に特定することが可能となる。
【0029】
なお、ステップST4において、「計測時間が所定時間以上であるか、計測時間が所定時間未満であるか」という条件で判定しているが、これに限定されない。「計測時間が所定時間より長いか、計測時間が所定時間以下であるか」という条件に適宜変更可能である。
【0030】
本実施形態において、データを送信する際に、当該データの分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定する。この構成によれば、動的に最適なパケット数を特定でき、有用である。
【0031】
本実施形態において、データを送信する前に、予め設定されたテスト用データを、分割数を変化させて送信することにより、1ACKに対応する送信パケット数を特定する。この構成によれば、テスト用データを用いて送信パケット数を予め特定するので、実際に送信したいデータの送信速度を損なうことがない。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0033】
例えば、上記実施形態では、最適数特定部10が実際にデータの分割数(連続送信パケット数;1ACKに対応する送信パケット数)を変化させて、最適な数を特定しているが、図4に示すように最適数特定部10を設けなくてもよい。この場合、ユーザ(管理者)が、受信側からの返信である1ACKに対応する送信パケット数に関する情報を送信先毎にパケット情報記憶部12に予め記憶しておき、送信部11は、パケット情報記憶部12を参照して、該当する送信先及び送信先に関連づけられた1ACKに対応する送信パケット数になるように、送信対象となるデータを複数のパケットに分割して送信する。
【0034】
この構成によれば、必要な情報は予めパケット情報記憶部12に記憶されているので、実際に送信することによるACKの待機時間が発生せず、有用である。
【0035】
各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…通信端末装置
10…最適数特定部
11…送信部
12…パケット情報記憶部
図1
図2A
図2B
図3
図4