【解決手段】遊技者の所定の入力に応じて所定の遊技に関する抽選を行う手段と、抽選の結果を表示する手段と、遊技者に想起させる感覚に対応させた触力覚を遊技者に提示する触力覚提示装置1とを備える。
前記触力覚提示装置は、遊技者により操作される入力部であって、該遊技者による操作により前記所定の遊技に関する指示の各々を入力する入力部以外の領域に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
なお、本明細書において、「遊技機」とは、パチンコ機、パチスロ機、カジノ向けゲーミングマシン(カジノ向けスロットマシン、ビデオポーカー、ビデオルーレット、ビデオブラックジャック、ビデオクラップス、ビデオキノ、ビデオビンゴなど)等、遊技者が所定の遊技を実行することが可能な装置である。すなわち、本発明の遊技機とは、所定の遊技に関する抽選を行い、該抽選結果を表示する機能を少なくとも備える装置である。
【0012】
[触力覚提示装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る触力覚提示装置1の構成を示すブロック図である。触力覚提示装置1は、主な機能部として、触力覚制御部2、触力覚付与部3を有する。
【0013】
触力覚制御部2は、他の情報処理装置等(例えば、遊技機の制御基板)から、ユーザに知覚させたい触力覚の情報を受信すると、触力覚付与部3における、ユーザに知覚させたい触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。なお、触力覚制御部2の機能は、上記遊技機の制御基板等、他の制御装置(例えば、コンピュータ)に内蔵されていてもよい。
【0014】
触力覚付与部3は、触力覚制御部2の制御の下、触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、所定の触力覚刺激を遊技者に提示(出力)する。すなわち、触力覚付与部3は、該触力覚付与部3より実際には遊技者に付与されていないが、人の脳に該所定の感触を感じさせるための刺激(触力覚刺激)を遊技者に付与する。
【0015】
触力覚提示装置1は、例えば、振動、電気、その他(超音波等)のメカニズムに基づく触力覚刺激を生成しこれを提示する。つまり、触力覚提示装置1は、触力覚刺激を用いてヒトの機械受容器および神経軸索の少なくとも一方を刺激することで、知覚させたい触力覚を遊技者に模擬的に知覚させる。
【0016】
さて、人間の体性感覚は、大きく分けると、皮膚に由来する皮膚感覚と内部の筋や腱に由来する固有受容感覚に分けることができ、広い意味での触力覚を意味する。しかしながら、一般に触力覚というと前者を指すことが多く、具体的には、冷たい、熱い、柔らかい、硬い、痛い等の感覚を含む様々な皮膚感覚の中の接触覚や圧覚を意味することが多い。
【0017】
皮膚感覚生成メカニズムにおいては、例えば、ヒトの皮膚に見られる機械受容器として、物体の端や小さな不規則性などの細かな変化に反応するマイスナー小体(RA)、物体の表面をなぞったときの振動に反応するパチニ小体(PC)、凹凸や輪郭からの圧力に反応するメルケル細胞(SAI)、皮膚の曲げや圧縮に反応するルフィニ終末(SAII)などが知られている。これら機械受容器には、神経軸索が接続されており、通常、ヒトは機械受容器を介して、各種の触力覚を知覚する。
【0018】
触力覚(接触覚や圧覚を含む)は、各々のこれら受容器に対応しており、例えば、皮膚がへこんだり引っ張られたりした場合、その変形や振動が受容器に伝わり感覚が生じる。また、皮膚感覚においては、感覚点に対応する種々の感覚受容器があり、受容器には基本的に変位と速度と加速度を見るものがあり、それによって触れた物の細かいパターン等を認識している。
【0019】
ここで、触力覚提示装置1において、このような触力覚刺激を再現するには、例えば、機械的に実現する手法や電気的に実現する手法などがある。
【0020】
機械的手法では、振動子で振動を起こし、振動刺激による触力覚刺激を生成する。ヒトが想起する触力覚(感性)と、そのとき提示すべき振動の周波数とには、被験者に対する心理評価実験によって求めた相関関係があるため、機械的手法では、相関関係に基づく周波数で振動を起こし、ユーザに知覚させたい振動刺激を生成、提示するのである。
【0021】
あるデータによれば、ヒトは、例えば、周波数が1Hz〜2Hz付近では、生物的、柔らかい、暖かいという感性を想起するといわれている。また、例えば、ヒトは、周波数50Hz程度以上では、機械的、固い、冷たいという感性を想起する。また、例えば、ヒトは、周波数10Hz付近では、これらのどちらでもない中立的な感性を想起する。
【0022】
機械的手法の場合、触力覚付与部3は、入力された周波数での振動を維持可能な圧電素子や振動子、モータなどの機構により実現される。触力覚付与部3は、ユーザに対し知覚させたい触力覚刺激に対応する周波数帯の振動刺激を提示することで、例えば、生物的、柔らかい、暖かい、機械的、固い、冷たいといった感性を想起させることができる。
【0023】
一方、電気的手法では、皮膚電極を介して電流を発生させ、電気刺激による触力覚刺激を生成する。同様に、ヒトが想起する触力覚(感性)と、提示すべき電流や周波数には、相関関係があるため、電気的手法でも、相関関係に基づく電流又は周波数を電極に流し、ユーザに知覚させたい電気刺激を生成、提示するのである。
【0024】
SAI受容器、PC受容器、RA受容器は、それぞれ電気刺激により、圧覚、高周波振動、低周波振動の感覚を生じることが分かっている。
【0025】
例えば、圧覚のSAI受容器は、電流1.2mAで微小なピリピリ間、1.6mAで明確な電極形状の圧覚、3.2mAで圧覚及び明確な振動感覚を生じさせる。なお、指の圧力を微小に変化させると、ナイフエッジ感覚であったものが、突然柔らかい弾性体を触っている感触になるというデータもある。
【0026】
また、高周波振動のPC受容器は、周波数(パルス振動数)が200Hzで音叉に接触している感覚、800Hzで強い振動特有のしびれ感覚を生じさせる。また、低周波振動のRA受容器は、周波数が100Hz以下とき、生成した感覚は、スピーカのコーン、音叉を触っている感覚を生じさせ、数Hzでは衝突感を生じさせる。
【0027】
電気的手法の場合、触力覚付与部3は、入力された電流を皮膚に荷電させるための電極(アレイ電極)などの機構より実現される。触力覚付与部3は、ユーザに対し知覚させたい触力覚に対応する電流や周波数の電気刺激を提示することで、例えば、圧覚、ナイフエッジ感覚、弾性体感覚、スピーカのコーン、音叉を触っている感覚、しびれ感覚といった感覚や感性を想起させることができる。
【0028】
なお、機械的手法と電気的手法の違いは、前者は受容器を直接刺激するものであるのに対して、後者は受容器に繋がった神経軸索を刺激する点にある。また、近年では、機械的手法と電気的手法の他、超音波手法なども提案され始めているが、触力覚提示装置1は、ヒト(ユーザ)に与えたい感覚や感性を想起させるための触力覚刺激を提示しうる限りにおいて、いずれの手法でも構わない。
【0029】
[第1実施形態]
第1実施形態においては、パチンコ機に対して、触力覚提示装置1を適用した例を示す。
【0030】
(パチンコ機)
図2は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機の外観図である。
図2に示されるように、パチンコ機(弾球遊技機)10は、前面枠101の前面に前面ガラス枠102が左方向に回動可能に取り付けられている。また、前面枠101の内側には、遊技盤103が設けられている。
【0031】
遊技盤103には、複数釘により玉の落下経路が形成されており、大当たり演出等を表示する映像表示装置(液晶パネル)104、遊技球が入賞する毎に大当たり抽選を行う始動口105、大当たり発生時に開放する大入賞口106、非入賞の遊技球を排出する排出口107などが設けられている。また、前面枠101の下部には、遊技球の上受皿108及び下受皿109が設けられ、上受皿108には、例えば、玉貸し/返却ボタン110、十字操作キー111、操作ボタン(演出ボタン)112が設けられている。また、下部パネル113には、遊技球を発射するための操作ハンドル114が右方向に回動可能に取り付けられている。
【0032】
本発明の一実施形態に係るパチンコ機10は、いわゆるデジタルパチンコ機(デジパチ機)である。遊技者が貸出しボタン110を押下すると、遊技球が上受皿108上に貸与される。遊技者が操作ハンドル114への操作によって、貸与された遊技球の打ち出しを行うと、遊技盤103内に遊技球が打ち出される。打ち出された遊技球が始動口105に入賞すると、パチンコ機10内部では、大当たり抽選が行われる。また、始動口105に遊技球が入賞するとほぼ同時に映像表示装置104に表示された図柄が変動し、大当たり抽選に当選した場合、例えば、停止図柄が揃うなどして、大当たり状態が発生する。
【0033】
なお、映像表示装置104の図柄変動に伴い、大当たりへの期待を盛り上げるための各種演出が発生するが、演出の中には、例えば、遊技者に十字操作キー111で選択操作を促したり、操作ボタン(演出ボタン)112の押下を促すものがある。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係るパチンコ機の制御系構成を示す図である。
図3に示されるように、パチンコ機10は、基板系として、主基板120、周辺基板121、及び触力覚基板123を有している。
【0035】
主基板120は、メイン制御部としての機能を有するメイン制御基板である。主基板120は、各種演算、パチンコ機10の制御等を行うCPU120aと、パチンコ機10の各種制御プログラムや遊技抽選用の抽選テーブル等を記憶したROM120bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶等を行う書き換え可能なRAM120cと、ボタンやスイッチ等からの入力、周辺基板121や触力覚基板123にコマンドを送出する等の出力を行う入出力部120dとを備えている。
【0036】
主基板120は、抽選処理、周辺基板121への演出用のコマンドの送出、触力覚基板123へのユーザに知覚させたい触力覚の情報の送出、遊技機に関する規則、規格等に基づいた動作を行うように構成されている。
【0037】
周辺基板121は、サブ制御部としての機能を有するサブ制御基板である。周辺基板121は、主基板120から受信した遊技に要するコマンドに応じて演出処理を実行する。周辺基板121は、演算や映像表示装置104の制御等を行うCPU121aと、映像表示装置104、照明装置125、スピーカ126の制御を行うプログラムを記憶したROM121bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶を行う書き換え可能なRAM121cと、映像表示装置104の駆動を行うVDP(Video
Display Processor)121eと、スピーカ126から音声や効果音を発生するための音源IC121fと、入出力部121dとを備えている。
【0038】
また、周辺基板121には、映像表示装置104、照明装置125及びスピーカ126によって様々な演出を行うための、画像データ等からなる演出データがROM121bに記憶されている。周辺基板121は、主基板120から出力される信号によって、ROM121bに記憶している演出データから演出内容を決定して、演出内容に基づいて映像表示装置104、照明装置125及びスピーカ126の駆動を行う。また、演出の一環として、例えば、映像表示装置104に、演出内容と連動させて、遊技者に十字操作キー111で選択操作を促したり、操作ボタン(演出ボタン)112の押下を促す表示を行って、大当たりへの期待を盛り上げる。また、演出内容と連動させて、ユーザに知覚させたい触力覚の情報を触力覚基板123に送出することで、触力覚付与デバイス123eを介して遊技者に触力覚刺激を提示する。
【0039】
なお、周辺基板121は、映像表示装置104、照明装置125及びスピーカ126の演出を制御する演出制御部を有しており、演出制御部は、周辺基板121のCPU121aが、ROM121bに記憶された演出プログラムを実行することにより機能する。また、周辺基板121は、演出用の制御を行うものであるが、演出に関して遊技機に関する規則、規格等の制限を受けることがなく、このため、パチンコ機10は、周辺基板121によって自由な演出が可能である。
【0040】
触力覚基板123は、触力覚提示装置1の触力覚制御部2としての機能を有するサブ制御基板である。触力覚基板123は、主基板120や周辺基板121から受信したユーザに知覚させたい触力覚の情報に応じて、ユーザに知覚させたい触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。触力覚基板123は、演算や触力覚付与デバイス123eの制御等を行うCPU123aと、触力覚刺激の信号値を設定するためのデータを記憶したROM123bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶を行う書き換え可能なRAM123cと、触力覚付与デバイス123eの駆動を行う入出力部123dとを備えている。
【0041】
触力覚付与デバイス123eは、触力覚提示装置1の触力覚付与部3としての機能を有するデバイスである。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、所定の触力覚刺激を遊技者に対して提示する。触力覚付与デバイス123eは、例えば、玉貸し/返却ボタン110、十字操作キー111、操作ボタン112、操作ハンドル114など、遊技者の接触する箇所の少なくとも1つに所望に応じて取り付けられる。このため、遊技者は、触力覚付与デバイス123eと接触することで、冷たい、熱い、柔らかい、硬い、痛い等の感覚を含む様々な皮膚感覚の中の所定の触力覚を知覚することができる。なお、触力覚刺激は、例えば、信号値により変更しうるが、信号値は、主基板120や周辺基板121から受信した触力覚の情報に基づいて設定される。すなわち、主基板120や周辺基板121が、遊技の状態(例えば、抽選結果、演出内容など)に応じて、ユーザに知覚させたい触力覚を制御する。
【0042】
例えば、機械的手法の場合、触力覚基板123は、主基板120や周辺基板121から、ユーザに知覚させたい触力覚として、「暖かい」という情報を受信した場合、暖かいという触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値として、周波数2Hzを設定する。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、触力覚刺激の信号値として、周波数2Hzが入力されると、周波数2Hzで振動子を振動させる。これにより、触力覚付与デバイス123eは、触力覚付与デバイス123eが取り付けられている操作ハンドル114に接触している遊技者に対し、該遊技者が物理的に温かいものを触っていないのにも関わらず暖かさを知覚させる触力覚刺激を提示する。なお、暖かさを一層引き立てるべく、予め、周波数50Hz程度で振動子を振動させることで、触力覚付与デバイス123eが取り付けられている操作ハンドル114に接触している遊技者に対し、冷たいという触力覚刺激を提示してもよい。
【0043】
このように、本実施形態では、操作ハンドル114を触っている遊技者に対して、「熱い」および「冷たい」という感覚を触力覚付与デバイス123eにより付与しているので、遊技者に対して「熱い」知覚と「冷たい」知覚との切替を瞬時に行うことができる。例えば、操作ハンドル114にヒータ等の温度調節部を設け、物理的に操作ハンドル114の温度を変化させて、遊技者への「熱い」感覚付与および「冷たい」感覚付与を切り替える場合、温度調整部により調整された操作ハンドル114の温度自体を上下させる必要がある。よって、例えば、「熱い」感覚付与から「冷たい」感覚付与に切り替える場合、物理的に熱くなった操作ハンドル114を冷まし、かつ所定の温度まで操作ハンドル114の温度を低下させなければならず、時間がかかってしまう。これに対して、本実施形態では、操作ハンドル114の実際の温度を変えることを要さないので、「熱い」感覚と「冷たい」感覚の切替を瞬時に行うことができる。
【0044】
また、例えば、電気的手法の場合、触力覚基板123は、主基板120や周辺基板121から、ユーザに知覚させたい触力覚として、「圧覚」(何かしらの物体を感じさせる)という情報を受信した場合、圧覚という触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値として、電流1.6mAを設定する。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、触力覚刺激の信号値として、電流1.6mAが入力されると、電極に対し電流1.6mAの電流を流すことで、触力覚付与デバイス123eが取り付けられている操作ハンドル114に接触している遊技者に対し、圧覚を知覚させる触力覚刺激を提示する。
【0045】
また、パチンコ機10は、
図3に示すように、入力デバイスとして、上受皿108部分に、例えば、玉貸し/返却ボタン110、十字操作キー111、操作ボタン112を備える。
【0046】
ここで、メイン制御部としての主基板120は、これらの入力デバイスから、入力操作信号を、入出力部120dを介して取得可能に構成されている。例えば、遊技者が十字操作キー111を押下した場合には、十字操作キー111から主基板120に対し、入力操作信号として、十字操作キー111の上、下、左、又は右の何れか押下されたことを示す信号が送信される。また、例えば、遊技者が操作ボタン112を押下した場合には、操作ボタン112から主基板120に対し、入力操作信号として、操作ボタン112が押下されたことを示す信号が送信される。このように、主基板120は、入力デバイスから入力操作信号を、入出力部120dを介して取得することで、遊技者が入力デバイスを押下したことを検知することができる。
【0047】
操作ハンドル114は、遊技盤103に遊技球を打ち出すための操作部である。操作ハンドル114は発射装置と接続されており、発射装置は、前面ガラス枠102内側の遊技盤103に向かって、上受皿108から供給される遊技球を打ち出す。遊技者は、操作ハンドル114を右方向に回転させるほど強い勢いで遊技球を打ち出せる。
【0048】
始動口スイッチ128は、始動口105に設けられ、打ち出された遊技球の始動口105への入賞を検知すると、始動口検知信号を主基板120に送信する。一方、主基板120は、始動口検知信号を受信すると、大当たり抽選を行うとともに、周辺基板121に検知信号を送信し、映像表示装置104に表示されている図柄を変動させる。
【0049】
大入賞口スイッチ129は、大入賞口106に設けられ、遊技球の大入賞口106への入賞を検知すると、大入賞口検知信号を主基板120に送信する。主基板120は、大入賞口検知信号を受信すると、払出ユニット(図示せず)に所定数の遊技球の払い出しを実行させる。
【0050】
(触力覚刺激の提示例1)
パチンコ機10の操作ハンドル114に、触力覚付与デバイス123eを取り付けた場合の例を示す。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態に係る操作ハンドル114の一例(その1)を示す。遊技者は、遊技中、操作ハンドル114を握っている。このため、操作ハンドル114の外周のメッキパーツ部分に、触力覚付与デバイス123eを取り付ける。
【0052】
一例として、リーチ演出中、今回大当たり期待値が特に高いリーチであることを示唆するため、演出内容を司る周辺基板121は、そのタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚(熱い・高温)の情報を、触力覚基板123に送信する。触力覚基板123は、主基板120又は周辺基板121から抽選結果(例えば、大当たりに当選)に応じて受信される触力覚(熱い・高温)の情報に従って、触力覚(熱い・高温)を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、熱い・高温という触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が熱い・高温と仮想的に知覚する触力覚刺激を提示する。
【0053】
また、一例として、映像表示装置104において、岩を砕くイメージで図柄を破壊しながら大当たり図柄へ向かってコマ送りするといったリーチ演出中、演出内容を司る周辺基板121は、そのタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚(硬い)の情報を、触力覚基板123に送信する。触力覚基板123は、周辺基板121から演出内容に応じて受信される触力覚(硬い)の情報に従って、触力覚(硬い)を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、硬いという触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が硬いと仮想的に知覚する触力覚刺激を提示する。
【0054】
また、一例として、パチンコ機10の特定状態中(例えば、確率変動状態中)、演出内容を司る周辺基板121は、そのタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚(熱い・高温)の情報を、触力覚基板123に送信する。触力覚基板123は、主基板120又は周辺基板121から遊技状態(例えば、確率変動状態中)に応じて受信される受信した触力覚(熱い・高温)の情報に応じて、触力覚(熱い・高温)を実現するための触力覚刺激の信号値を設定する。触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、熱い・高温という触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が熱い・高温と知覚する触力覚刺激を提示する。一方、パチンコ機10の非状態中(例えば、通常変動状態中)、遊技者が冷たい・低温と知覚する触力覚刺激を提示しうる。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係る操作ハンドル114の一例(その2)を示す。操作ハンドル114の手のひら接触部分に、触力覚付与デバイス123eを取り付ける。
【0056】
一例として、
図5に示されるように、操作ハンドル114には、触力覚付与デバイス123eとしての電極123e−1が複数設けられている。複数の電極123e−1は、上方から下方に向かってアレイ状に配列されており、上方から下方に向かって、第1の電極列A1、第2の電極列A2、・・・第kの電極列Ak(kは3以上の整数)として配列されている。すなわち、電極列をn個(nは2以上の整数)配列させている。
【0057】
同一列内における隣り合う電極間の距離、および各電極において、隣接する電極列の最も近い電極までの距離は共に、遊技球(パチンコ玉)の直径である11mmに設定されている。よって、仮想的な遊技球123e−2を想定すると、電極123e−1の各々について、最も近い隣の電極123e−1までの距離は、2つの仮想的な遊技球123e−2が接する場合の仮想的な遊技球123e−2の中心間距離に対応する。
【0058】
また、電極123e−1の面積は、遊技玉が遊技者の手のひらに触れた際、遊技者の手のひらに接する面積にすることが好ましい。例えば、遊技球123e−2は遊技者の手に直径2mmの領域で接すると仮定して、電極123e−1の面積を12.56mm
2と設定すればよい。
【0059】
触力覚基板123は、例えば、大当たりの際に出玉が上受皿108又は下受皿109に払い出されるタイミングと同期させて、第1の電極列A1、第2の電極列A2・・・、第kの電極列Akといったように、各々の電極123e−1への電流付与のタイミングを順番にずらして付与する。なお、例えば、各々の電極123e−1へは、3.2mAの電流を付与することで、遊技者の圧覚のSAI受容器に、圧覚及び明確な振動感覚を生じさせうる。
【0060】
このようにすることで、重力方向に上受皿108又は下受皿109に払い出される遊技球を触っている感覚、いわゆる出玉感(ジャラジャラ感)を、操作ハンドル114を握る遊技者の手のひらに提示することができる。すなわち、遊技者は、操作ハンドル114を握っている手が、実際には触っていない遊技玉にあたかも触っているかのように知覚できる。
【0061】
また、遊技店舗等では、例えば、コスト面や規制、その他の要請から、実際の遊技球(鉄球、真ちゅう球など)を使用しない場合(例えば、封入式パチンコなど)であっても、遊技者は仮想的ながら、出玉感の醍醐味を楽しむことも可能となる。
【0062】
なお、上述の距離11mm、電極の面積の数値自体はこれに限られず、遊技玉の出玉感を出すことができる数値であれば、いずれの値も採用可能である。
【0063】
このように、操作ハンドル114は、遊技者が遊技中は常に接触している箇所であるため、操作ハンドル114を介して様々なタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚刺激を提示し仮想的に知覚させることができる。
【0064】
(触力覚刺激の提示例2)
パチンコ機10の十字操作キー111、操作ボタン112などの操作パーツに、触力覚付与デバイス123eを取り付けた場合の例を示す。
【0065】
演出の一環として大当たりへの期待を盛り上げる遊技者参加型システムにおいて、例えば、映像表示装置104に演出内容と連動させて、遊技者に十字操作キー111で選択操作を促したり、操作ボタン112の押下を促す表示を行う。
【0066】
演出内容を司る周辺基板121は、表示のタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚の情報を、触力覚基板123に送信する。触力覚基板123は、周辺基板121から演出内容に応じて受信される触力覚の情報に従って、触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値を設定する。十字操作キー111、操作ボタン112に取り付けられた触力覚付与デバイス123eは、触力覚基板123の制御の下、触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が知覚する触力覚刺激を提示する。
【0067】
遊技者は、指先又は手のひら全体で十字操作キー111、操作ボタン112に接触するので、操作パーツに対して触力覚付与デバイス123eを取り付けることで、触力覚刺激を遊技者に提示することが可能である。
【0068】
一例として、遊技者が十字操作キー111の上、左、又は右のいずれかを選択(押下)した場合、その押下感覚に差異をつける。具体的には、進行ルートを選択する演出時など、正解ルートは柔らかいボタンの質感を、非正解ルート(行き止まり)は硬いボタンの質感を知覚させることで、演出と一体感のある体感型として提供することが可能である。
【0069】
また、一例として、操作ボタン112連打中、その感触が変化し、操作ボタン112が柔らかくなるといった体感的な驚きを提示する。具体的には、扉を開ける演出時など、ボタンの質感を徐々に変えることで、扉の重みをリアルに表現し、演出と一体感のある体感型として提供することも可能である。
【0070】
また、その他にも、演出上の生物やキャラクターと触れ合うような演出内容の場合、触力覚付与デバイス123eを搭載したキャラクター型操作パーツ(例えば、キャラクター人形)を用いることで、演出上の生物やキャラクターを実際に触っているかのような感覚を提供することが可能となる。また、演出上、子犬や子猫などを可愛がるようなものがあるが、それらの温かみを感じることが可能となる。
【0071】
(触力覚刺激の提示例3)
パチンコ機10の上受皿108又は下受皿109に、触力覚付与デバイス123eを取り付けた場合の例を示す。
【0072】
遊技中、遊技者は右手で操作ハンドル114を操作する間、左手は遊技に関与しておらず遊んでいる状態となる場合が多い。そのようなとき、遊技者が何気なく左手で上受皿108又は下受皿109を接触した際、上受皿108又は下受皿109に取り付けた触力覚付与デバイス123eを介して、触力覚刺激を知覚させる。このように構成することで、通常の遊技時では遊んでいる手により、演出に関連した感触(触力覚刺激)を味わうことができる。また、遊技の指示入力とは関係無い領域(例えば、上受皿108、下受皿109など)に触力覚付与デバイス123eを設けることにより、遊技に関する指示の各々を入力する操作を片方の手で行いながら、該操作を行っていない、通常は遊んでいる手により、触力覚による演出を楽しむことができる。すなわち、上記遊技に関する指示の各々を遊技者に入力させる入力デバイス(ここでは、貸出ボタン110、十字操作キー111、操作ボタン112、操作ハンドル114など)以外の領域に設けることにより、遊技操作中においても上記入力とは関係無い手により所定の演出を遊技者に感じさせることができる。
【0073】
(触力覚刺激の提示例4)
パチンコ機10の玉貸し/返却ボタン110に、触力覚付与デバイス123eを取り付けた場合の例を示す。
【0074】
遊技者は遊技玉の貸与を受ける場合、玉貸し110を押下する。よって、遊技を開始する遊技者が必ず接触する箇所であり、玉貸し/返却ボタン110に取り付けた触力覚付与デバイス123eを介して、触力覚刺激を知覚させる。
【0075】
但し、心理上、遊技者が玉貸し110を押下するタイミングにおいて、心理上、良い心理方向ではない場合が多い。しかしながら、玉貸し110の触り心地によっては、心理的状態の緩和に寄与しうる。また、押しても嫌な気がしない、また押してみたいと思わせる知覚を提示させる。
【0076】
[第2実施形態]
第2実施形態においては、スロット機(パチスロ機)に対して、触力覚提示装置1を適用した例を示す。
【0077】
(スロット機)
図6は、本発明の一実施形態に係るスロット機の外観構成を示す図である。
図6に示されるように、スロット機20は、所謂「パチスロ機」と称されるゲーム遊技装置であり、図柄の組合せによってメダルの獲得数を増やすことを楽しむものである。
【0078】
スロット機20は、筐体の前面上部に設けられた、様々な演出等を表示する液晶画面等の映像表示装置200を備えている。映像表示装置200の下方の中央の透明板に覆われた内側には、回胴の表示窓201と、メダル保有数を表示するためのメダル保有数表示部203とが設けられている。
【0079】
表示窓201には、3つの縦長矩形の図柄表示窓201a、201b、201cが並列に配されており、各図柄表示窓201a〜201cには、それぞれ外周の前面部分を表示させた3個の回胴202a、202b、202cが回転自在に設けられている。回胴202a〜202cは、偏平円筒状をなし外周面に複数種の図柄が一周に亘って配列されたものである。かかる回胴202a〜202cが左右水平方向に指向した回転中心軸を中心に回転自在に支持され、それぞれステップモータ(図示せず)により同一方向に回転され、各図柄表示窓201a〜201cには対応する回胴202a〜202cの前面に位置した3個の図柄が表示される。3個の回胴202a〜202cが停止した状態で、各回胴202a〜202cにつき3個の図柄が表示される。よって、全体で9個の図柄が、3行3列に配置されることになり、上中下ラインの水平一直線の3行及び中央の図柄を通る斜めライン一直線の2行の合計5行のラインが入賞ラインとなる(但し、機種によっては、例えば、中ラインの水平一直線の1行のみのものもある)。
【0080】
また、表示窓201の右側には、再遊技、スタート、ウエイト等のプレイ状態を示す表示器204が設けられている。表示窓201及び表示器204の下端は若干前方に張り出しており、その上面右端にはメダル投入口205が配設され、左端にはMAXBETボタン206a、2BETボタン206b、1BETボタン206c、十字操作キー207、操作ボタン208が配置される。
【0081】
また、MAXBETボタン206aのすぐ下方の張出部には、遊技者が遊技開始時に操作して、各回胴の回転及び当選役の抽選の開始を行うための操作レバーであるスタートレバー209が配置される。そして、スタートレバー209の左下方には、精算ボタン210が配置される。また、張出部の前面には3個の回胴202a〜202cの下方にそれぞれ対応して、停止操作部としての第1回胴停止ボタン211a、第2回胴停止ボタン211b、第3回胴停止ボタン211cが配設されている。第1回胴停止ボタン211aは、第1回胴202aの回転を停止させ、第2回胴停止ボタン211bは、第2回胴202bの回転を停止させ、第3回胴停止ボタン211cは、第3回胴202cの回転を停止させるための操作ボタンである。なお、本実施形態では、回胴停止ボタンを3個としているが、4個以上であっても良い。
【0082】
また、筐体の下部には、メダルの払出し口212があり、受皿213が前方に突設されていて、筐体内部に設けられたホッパーユニット(図示せず)により排出されたメダルが払出し口212から受皿213に払い出される。筐体の側板に沿ってスピーカ214が内蔵されており、種々の効果音を発音するようになっている。
【0083】
図7は、本発明の一実施形態に係るスロット機の制御系構成を示す図である。
図7に示すように、スロット機20は、基板系として、主基板220、周辺基板221、及び触力覚基板223を有している。
【0084】
主基板220は、メイン制御部としての機能を有するメイン制御基板である。主基板220は、各種演算、スロット機20の制御等を行うCPU220aと、スロット機20の各種制御プログラムや遊技抽選用の抽選テーブル等を記憶したROM220bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶等を行う書き換え可能なRAM220cと、ボタンやスイッチ等からの入力、LED等への出力、回胴ユニット224等の駆動振動や周辺基板221にコマンドを送出を行う入出力部220dとを備えている。
【0085】
主基板220は、抽選処理、回胴ユニット224の制御、周辺基板221への演出用のコマンドの送出、触力覚基板223へのユーザに知覚させたい触力覚の情報の送出、遊技機に関する規則、規格等に基づいた動作を行うように構成されている。
【0086】
周辺基板221は、サブ制御部としての機能を有するサブ制御基板である。周辺基板221は、主基板220から受信した遊技に要するコマンドに応じて演出処理を実行する。周辺基板221は、演算や映像表示装置200の制御等を行うCPU221aと、映像表示装置200、照明装置225、スピーカ214の制御を行うプログラムを記憶したROM221bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶を行う書き換え可能なRAM221cと、映像表示装置200の駆動を行うVDP221e、スピーカ214から音声や効果音を発生するための音源IC221f、照明等の駆動を行う入出力部221dとを備えている。
【0087】
また、周辺基板221には、映像表示装置200、照明装置225及びスピーカ214によって様々な演出を行うための、画像データ等からなる演出データがROM221bに記憶されている。周辺基板221は、主基板220から出力される信号によって、ROM221bに記憶している演出データから演出内容を決定して、演出内容に基づいて映像表示装置200、照明装置225及びスピーカ214の駆動を行う。例えば、映像表示装置200に、停止ボタンの押し順の提示等を行って、遊技者を支援する演出を行う。
【0088】
また、周辺基板221は、演出の一環として、例えば、映像表示装置200に、演出内容と連動させて、遊技者に十字操作キー207で選択操作を促したり、操作ボタン208の押下を促す表示を行って、大当たりへの期待を盛り上げる。また、演出内容と連動させて、ユーザに知覚させたい触力覚の情報を触力覚基板223に送出することで、触力覚付与デバイス223eを介して遊技者に触力覚刺激を提示する。
【0089】
なお、周辺基板221は、映像表示装置200、照明装置225及びスピーカ214の演出を制御する演出制御部を有しており、演出制御部は、周辺基板221のCPU221aが、ROM221bに記憶された演出プログラムを実行することにより機能する。また、周辺基板221は、演出用の制御を行うものであるが、演出に関して遊技機に関する規則、規格等の制限を受けることがなく、このため、スロット機20は、周辺基板221によって自由な演出が可能である。
【0090】
触力覚基板223は、触力覚提示装置1の触力覚制御部2としての機能を有するサブ制御基板である。触力覚基板223は、主基板220や周辺基板221から受信したユーザに知覚させたい触力覚の情報に応じて、ユーザに知覚させたい触力覚を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。触力覚基板223は、演算や触力覚付与デバイス223eの制御等を行うCPU223aと、触力覚刺激の信号値を設定するためのデータを記憶したROM223bと、プログラムの作業領域としての又は一時的なデータの記憶を行う書き換え可能なRAM223cと、触力覚付与デバイス223eの駆動を行う入出力部223dとを備えている。
【0091】
触力覚付与デバイス223eは、触力覚提示装置1の触力覚付与部3としての機能を有するデバイスである。触力覚付与デバイス223eは、触力覚基板223の制御の下、触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者に触力覚刺激を提示する。触力覚付与デバイス223eは、例えば、MAXBETボタン206a、2BETボタン206b、1BETボタン206c、十字操作キー207、操作ボタン208、スタートレバー209、精算ボタン210、第1回胴停止ボタン211a、第2回胴停止ボタン211b、第3回胴停止ボタン211c、メダル投入口205など、遊技者の接触する箇所に取り付けられる。このため、遊技者は、触力覚付与デバイス223eと接触することで、冷たい、熱い、柔らかい、硬い、痛い等の感覚を含む様々な皮膚感覚の中の所定の触力覚を知覚することができる。なお、触力覚刺激は、例えば、信号値により変更しうるが、信号値は、主基板220や周辺基板221から受信した触力覚の情報に基づいて設定される。すなわち、主基板220や周辺基板221が、遊技の状態(例えば、演出内容)に応じて、ユーザに知覚させたい触力覚刺激を制御する。
【0092】
また、スロット機20は、
図7に示すように、入力デバイスとして、ドアベース(図示せず)の前面に配されたMAXBETボタン206a、2BETボタン206b、1BETボタン206c、十字操作キー207、操作ボタン208、スタートレバー209、精算ボタン210、第1回胴停止ボタン211a、第2回胴停止ボタン211b、第3回胴停止ボタン211cを備える。
【0093】
ここで、メイン制御部としての主基板220は、これらの入力デバイスから、入力操作信号を、入出力部220dを介して取得可能に構成されている。例えば、遊技者がMAXBETボタン206aを押下した場合には、MAXBETボタン206aから主基板220に対し、入力操作信号として、MAXBETボタンが押下されたことを示す遊技者押下信号が送信される。主基板220は、MAXBETボタン206aから入力操作信号としての遊技者押下信号を、入出力部220dを介して取得することで、遊技者がMAXBETボタン206aを押下したことを検知することができる。
【0094】
また、回胴ユニット224は、第1回胴202a、第2回胴202b及び第3回胴202cを、それぞれ回転させるためのステッピングモータを備えた第1回胴駆動部224a、第2回胴駆動部224b、第3回胴駆動部224cを有し、各回胴を独立して回転、停止することが可能となっている。また、回胴ユニット224は、第1回胴202a、第2回胴202b及び第3回胴202cの各回胴の回転中の位置を検出するための第1回胴位置センサ224d、第2回胴位置センサ224e及び第3回胴位置センサ224fを有している。例えば、回転中の第1回胴の所定の位置を第1回胴位置センサ224dで検出し、第1回胴位置センサ224dで検出した第1回胴の所定の位置からステッピングモータを駆動したパルス数をカウントすることにより、第1回胴の位置情報を得ることができる。同様に、第2回胴及び第3回胴についても、第2回胴位置センサ224e及び第3回胴位置センサ224fによりそれぞれの回胴の位置情報を得ることができる。
【0095】
(触力覚刺激の提示例5)
スロット機20のBETボタン(MAXBETボタン206a、2BETボタン206b、及び1BETボタン206c)、スタートレバー209、回胴停止ボタン(第1回胴停止ボタン211a、第2回胴停止ボタン211b、及び第3回胴停止ボタン211c)に、触力覚付与デバイス223eを取り付けた場合の例を示す。
【0096】
遊技者は、遊技中、BETボタン、スタートレバー209及び回胴停止ボタンを操作する。このため、BETボタン、スタートレバー209及び回胴停止ボタンの表面パーツ部分に、触力覚付与デバイス223eを取り付ける。
【0097】
一例として、遊技者がBETボタンを押すタイミングを図って、触力覚付与デバイス223eを介して、突如BETボタンが柔らかくなる知覚を提示する。BETボタンが柔らかくなった場合、例えば、既にボーナス役が成立済みであることの示唆演出として活用しうる。
【0098】
また、一例として、スロット遊技には、フリーズ演出とよばれるゲーム性が搭載されるものがあるが、映像表示装置200において、このフリーズ演出時、”スタートレバー209を長押し”と遊技者に促し、遊技者がスタートレバー209を押しているタイミングを図って、触力覚付与デバイス223eを介して、突如スタートレバー209が柔らかくなる知覚を提示する。また、特定図柄当選時、成立役ごとに対応させた異なる知覚を提示するようにすることで、スタートレバー209を押した際の知覚を通じて、遊技者は当選している成立役を察知しうる。
【0099】
また、一例として、遊技者が回胴停止ボタンを押すタイミングを図って、触力覚付与デバイス223eを介して、突如回胴停止ボタンが柔らかくなる知覚を提示する。例えば、回胴停止ボタンを押した際の知覚を通じて、遊技者は成立役の当選を察知しうる。また、成立役図柄によっては、回胴停止ボタンを押した際の知覚を通じて、遊技者は目押しの成否(取りこぼしの有無)を察知しうる。また、柔らかい回胴停止ボタンを押した場合には、回胴駆動速度を制御して、通常時又は硬い場合と比べ、回胴の停止速度が遅くなるような演出も行いうる。
【0100】
演出内容を司る周辺基板221は、そのタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚(柔らかい)の情報を、触力覚基板223に送信する。触力覚基板223は、主基板220又は周辺基板221から遊技状態(例えば、ボーナス役に当選済み)、演出内容(例えば、フリーズ演出)、又は抽選結果(例えば、小役やボーナス役に当選)に応じて受信される触力覚(柔らかい)の情報に応じて、触力覚(柔らかい)を実現するための触力覚刺激の信号値を設定(決定)する。触力覚付与デバイス223eは、触力覚基板223の制御の下、硬いという触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が柔らかいと知覚する触力覚刺激を提示する。
【0101】
勿論、触力覚基板223は、柔らかいという知覚のほかにも、周辺基板221から受信した触力覚の情報に従って、冷たい、熱い、硬い、痛い等の感覚を含む様々な皮膚感覚の中の触力覚刺激を提示しうる。
【0102】
(その他)
スロット機20の十字操作キー207、操作ボタン208などの操作パーツに、触力覚付与デバイス223eを取り付けることも可能である。遊技者参加型システムにおいて、スロット機20は、演出内容と連動させて、十字操作キー207又は操作ボタン208の操作を遊技者に促し、触力覚付与デバイス223eを介して、演出に応じた様々な知覚を提示する。
【0103】
また、スロット機20のメダル投入口205、精算ボタン210に、触力覚付与デバイス223eを取り付けることも可能である。メダル投入口205は、遊技に伴うメダル投入の際、遊技者が接触する箇所である。精算ボタン210は、主に遊技終了時などに、内部貯留されたメダルを精算する際、遊技者が接触する箇所である。心理上、遊技者が精算ボタン210、メダル投入口205を押下するタイミングにおいて、心理上、良い心理方向ではない場合が多い。しかしながら、精算ボタン210、メダル投入口205の触り心地によっては、心理的状態の緩和に寄与しうる。また、押しても嫌な気がしない、また押してみたいと思わせる知覚を提示させる。
【0104】
[第3実施形態]
第3実施形態においては、スロット機(カジノスロット機)に対して、触力覚提示装置1を適用した例を示す。
【0105】
(スロット機)
図8は、本発明の一実施形態に係るスロット機の外観構成を示す図である。
図8に示されるように、スロット機30は、カジノスロット機と称されるゲーム遊技装置であり、図柄の組合せによってメダルの獲得数を増やすことを楽しむものである。なお、カジノスロット機と称されるスロット機30は、は、
図6に示されるパチスロ機と違いの大きな違いの一つとして、遊技者が自ら回胴を停止させるか、自動的に回胴が停止するかの点がある。
【0106】
スロット機30は、筐体の前面上部に設けられた、様々な演出等を表示する液晶画面等の映像表示装置300を備えている。映像表示装置300の下方の中央の透明板に覆われた内側には、回胴の表示窓301と、メダル保有数を表示するためのメダル保有数表示部303とが設けられている。
【0107】
表示窓301には、3つの縦長矩形の図柄表示窓301a、301b、301cが並列に配されており、各図柄表示窓301a〜301cには、それぞれ外周の前面部分を表示させた3個の回胴302a、302b、302cが回転自在に設けられている。回胴302a〜302cは、偏平円筒状をなし外周面に複数種の図柄が一周に亘って配列されたものである。かかる回胴302a〜302cが左右水平方向に指向した回転中心軸を中心に回転自在に支持され、それぞれステップモータ(図示せず)により同一方向に回転され、各図柄表示窓301a〜301cには対応する回胴302a〜302cの前面に位置した3個の図柄が表示される。3個の回胴302a〜302cが停止した状態で、各回胴302a〜302cにつき3個の図柄が表示される。よって、全体で9個の図柄が、3行3列に配置されることになり、中ラインの水平一直線の1行のラインが入賞ラインとなる(但し、機種によっては、例えば、上中下ラインの水平一直線の3行及び中央の図柄を通る斜めライン一直線の2行の合計5行のラインが入賞ラインのものもある)。
【0108】
また、表示窓301の下端は若干前方に張り出しており、その上面右端にはメダル投入口304及び紙幣投入口305が配設され、左端には呼出ボタン306、精算ボタン307、スピンボタン308、1BETボタン309a、MAXBETボタン309bが配置される。なお、本スロット機30は、コイン投入後、回胴302a、302b、302cの回転を開始させる場合、スタートレバーに代え、スピンボタン308を押下する。
【0109】
また、筐体の下部には、メダルの払出し口310があり、受皿311が前方に突設されていて、筐体内部に設けられたホッパーユニット(図示せず)により排出されたメダルが払出し口310から受皿311に払い出される。筐体の側板に沿ってスピーカ312が内蔵されており、種々の効果音を発音するようになっている。また、筐体の上板には、ランプ313が設けられており、大当たり時などに点灯又は点滅するようになっている。
【0110】
以上、本実施形態に係るスロット機30の外観構成である。なお、本実施形態に係るスロット機30の制御系構成について、主な構成は
図7に準ずるため、再度の説明は省略する。
【0111】
(触力覚刺激の提示例6)
スロット機30のスピンボタン308に、触力覚付与デバイス223eを取り付けた場合の例を示す。
【0112】
遊技者は、遊技中、スピンボタン308を操作する。このため、スピンボタン308の表面パーツ部分に、触力覚付与デバイス223eを取り付ける。なお、スピンボタン308は、スタートレバー209と同じように、回胴回転を開始させるための回胴開始ボタンである。
【0113】
一例として、遊技者がスピンボタン308を押すタイミングを図って、触力覚付与デバイス223eを介して、突如スピンボタン308が柔らかくなる知覚を提示する。例えば、特定図柄当選時、当選成立役ごとに対応させた異なる知覚を提示するようにすることで、スピンボタン308を押した際の知覚を通じて、遊技者は成立役の当選を察知しうる。また、柔らかい回胴停止ボタンを押した場合には、回胴駆動速度を制御して、通常時又は硬い場合と比べ、回胴の回転速度が遅くなるような演出も行いうる。
【0114】
本実施形態においても、演出内容を司る周辺基板221(
図7参照)は、そのタイミングで、ユーザに知覚させたい触力覚(柔らかい)の情報を、触力覚基板223に送信する。触力覚基板223は、周辺基板221から受信した触力覚(柔らかい)の情報に応じて、触力覚(柔らかい)を実現するための触力覚刺激の信号値を設定する。触力覚付与デバイス223eは、触力覚基板223の制御の下、硬いという触力覚刺激の信号値が入力されると、入力信号値に従って、遊技者が柔らかいと知覚する触力覚刺激を提示する。
【0115】
勿論、触力覚基板223は、柔らかいという知覚のほかにも、周辺基板221から受信した触力覚の情報に従って、冷たい、熱い、硬い、痛い等の感覚を含む様々な皮膚感覚の中の触力覚刺激を提示しうる。例えば、触力覚付与デバイス223eをスピンボタン308に設け、映像表示装置300にて炎の演出を行う場合、該炎の演出の直後のゲーム開始時に触力覚付与デバイス223eによりスピンボタン308を熱く知覚するように制御する。これにより、遊技者は、実際には物理的に熱く無いスピンボタン308により前回の演出の余韻を楽しむことができる。
【0116】
[変形例]
遊技機の椅子に、触力覚付与デバイスを取り付けた場合の例を示す。遊技者は遊技中、椅子に着座するため、遊技開始時から遊技終了時までの間、椅子に設けられた触力覚付与デバイスeを介して触力覚を知覚させる。
【0117】
例えば、一例として、遊技者が長時間の遊技を快適に行えるように、遊技者が着席後からの座部の暖かく知覚させたり、遊技者着座後からしばらくの間は椅子を柔らかく感じるよう知覚させるなどすることで、遊技機の稼働率の向上への取り組みに利用する。また、各機種の演出内容と連動させ、例えば、各種の知覚刺激を提示することも可能である。
【0118】
遊技機本体と椅子とは予め通信可能に接続されており、椅子に取り付けられた触力覚付与デバイスは、遊技機本体の触力覚基板から受信される触力覚刺激の入力信号値に従って、遊技者が知覚する各種の触力覚刺激を提示する。
【0119】
また、遊技中(着席中)において、例えば、遊技機が有する映像表示装置にて炎の演出を行う場合、該炎の演出中に椅子に設けられた触力覚付与デバイスにより遊技者に対して熱い触力覚を提示しても良い。また、例えば、遊技機が有する映像表示装置にて凍っていた氷が炎により融ける演出の場合、上記氷の演出時には椅子に設けられた触力覚付与デバイスにより遊技者に対して冷たい触力覚を提示し、上記融ける瞬間に椅子に設けられた触力覚付与デバイスにより遊技者に対して熱い触力覚を提示しても良い。このとき、椅子は実際には物理的に温度は劇的に変化してない(冷たい状態から熱い状態への温度変化が無い)ので、遊技者の近くを、冷たい知覚から熱い知覚に瞬間的に変えることができる。
【0120】
このように、遊技の指示入力とは関係無い領域である椅子に触力覚付与デバイス123eを設けることにより、遊技者にとっては想定していない領域により、遊技者に様々な感触を味あわせることができる。
【0121】
以上、本実施形態に係る遊技機は、触力覚提示装置を備えており、遊技者の接触する様々な箇所には、触力覚付与デバイスが取り付けられ得る。遊技機は、抽選結果、演出内容、遊技状態などと連動させて、接触箇所を介して遊技者に知覚させたい触力覚刺激を付与する。これにより、遊技者は、遊技と連動しつつ、自身の触覚を通じて様々な触力覚を知覚することが可能となるため、遊技をより一層楽しむことができる。また、遊技機は、抽選結果、演出内容、遊技状態などと連動させながら様々な触力覚刺激を付与することで、様々な演出手法を提案し、より遊技者を楽しませることが可能である。
【0122】
以上、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正及び変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細及び添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。