【解決手段】キャビネット本体に設けられた一対のキャビネット側レール部材18aと、一対のキャビネット側レール部材18aに対してスライド可能になった一対の引出し側レール部材18cによってキャビネット本体から進退可能になった引出しを、保持機構を介して一対の引出し側レール部材18cに着脱可能に取り付け、引出しの側板22の下部に、底板21の下面に沿って延びる水平片22bを設けて、底板21と水平片22bの端部の間に引出し側レール部材18cの外側面に対向するガイド部を形成し、ガイド部によって、引出しを引出し側レール部材18cに取り付ける際の位置合わせを容易にした。
キャビネット本体に設けられた一対のキャビネット側レール部材と、前記一対のキャビネット側レール部材に対してそれぞれスライド可能になった一対の引出し側レール部材によって前記キャビネット本体の内部と外部の間で出し入れ可能になり、
保持機構を介して前記一対の引出し側レール部材に着脱可能に取り付けられる引出しであって、
底板と、前記底板の両側に組み付けられ、前記底板の下面に沿って延びる水平片が下部に設けられた一対の側板を備え、前記底板と前記一対の側板の水平片の端部とでそれぞれ前記一対の引出し側レール部材の上面と外側面に対向するガイド部が形成され、
前記引出しが前記一対の引出し側レール部材に取り付けられる際に、前記ガイド部が前記引出し側レール部材の外側面に当接して位置合わせを容易にすることを特徴とする引出し。
前記一対の側板の後端に、コーナ部材を介して後板を連結し、前記コーナ部材の下部に、前記水平片の端部を延長する延長ガイド部を設けた請求項1または2に記載の引出し。
前記保持機構に、前記引出し側レール部材の後端に設けられた引っ掛け部と、前記引っ掛け部に係合できる後部側係合部が備わっており、前記後部側係合部が前記コーナ部材に設けられている請求項3に記載の引出し。
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、前述した従来の引出しは、複数のレール部材からなるレール機構を介してキャビネット本体に取り付けられた状態で前後に移動する際には、ガイド部材が本体側レール部材に当接することによって横移動が規制されるが、引出しをキャビネット本体に取り付ける際には、ガイド部材は横移動を規制するガイドとして機能できない。すなわち、この引出しは、引出し側レール部材にねじで固定されており、このため、引出しをキャビネット本体に取り付ける際には、引出し側レール部材の後端部を中間レール部材の前端部に合わせて水平方向に移動させることによりキャビネット本体に取り付けられる。このため、引出し側レール部材と中間レール部材の位置合わせがし難く、引出しをキャビネット本体に取り付ける操作が面倒になるという問題がある。
【0006】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、キャビネット本体に取り付ける際に、引出し側レール部材への位置合わせが容易にできることから取り付け操作がスムーズになる引出しを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係る引出しの構成上の特徴は、キャビネット本体(12c)に設けられた一対のキャビネット側レール部材(18a)と、一対のキャビネット側レール部材に対してそれぞれスライド可能になった一対の引出し側レール部材(18c)によってキャビネット本体の内部と外部の間で出し入れ可能になり、保持機構(19,19c,27c,30)を介して一対の引出し側レール部材に着脱可能に取り付けられる引出し(20)であって、底板(21)と、底板の両側に組み付けられ底板の下面に沿って延びる水平片(22b)が下部に設けられた一対の側板(22)を備え、底板と一対の側板の水平片の端部とでそれぞれ一対の引出し側レール部材の上面と外側面に対向するガイド部(23a)が形成され、引出しが一対の引出し側レール部材に取り付けられる際に、ガイド部が引出し側レール部材の外側面に当接して位置合わせを容易にすることにある。ここで、水平片が底板の下面に沿うとは、引出しを上方から見たときに、水平片が底板と重なることであり、水平片の全てが底板と重なってもよいし、水平片の一部が底板と重なってもよい。
【0008】
本発明に係る引出しは、キャビネット本体に設けられた一対のキャビネット側レール部材と、一対のキャビネット側レール部材にそれぞれスライド可能になった一対の引出し側レール部材によってキャビネット本体の内部と外部の間で移動可能になっている。この引出しをスライド移動させるレール機構は、一対のキャビネット側レール部材と一対の引出し側レール部材だけで構成してもよいし、キャビネット側レール部材と引出し側レール部材の間にそれぞれ1個または複数の中間レールが設けられたもので構成してもよい。
【0009】
また、引出しに備わった一対の側板は、底板の下面に沿って延びる水平片を下部に備え、底板の下面と側板の水平片の端部とで一対の引出し側レール部材の上面と両外側面に対向する一対のガイド部が形成されている。このため、引出しを一対の引出し側レール部材に取り付ける際に、ガイド部が引出し側レール部材の外側面に当接するため、引出しの横方向への移動が規制され、位置合わせがし易くなる。この場合、引出しは、一対のガイド部間に、一対の引出し側レール部材を位置させるようにして上方または前方から一対の引出し側レール部材の上面に置かれたのちに保持機構に保持される。ここで、引出し側レール部材の外側面とは、引出しの側板と対向する面を言う。また、水平片の端部は、引出し側レール部材の外側面と連続して当接できるように設けてもよいし、間隔をおいて当接するように設けてもよい。保持機構を介して、一対の引出し側レール部材に取り付けられた引出しを、キャビネット本体に対して移動させると、引出し側レール部材は、キャビネット側レール部材に対してスライドして引出しとともに移動する。
【0010】
保持機構としては、引出しを一対の引出し側レール部材に対して位置ずれさせることなく着脱可能に取り付けることができるものであればよいが、引出しの前端と後端の少なくとも一方を一対の引出し側レール部材の少なくとも一方に係合できるものであることが好ましい。この保持機構は、例えば、引出し側レール部材の後端に係合部を設け、引出しの下面前部に引出し側レール部材の前端部に着脱可能に係合する前側係合部材を設けるとともに、引出しの後面に引出し側レール部材の係合部に係合する後側係合部を設けることによって構成することができる。また、水平片は、側板の下端部に設けて側板の断面形状がL形になるようにしてもよいし、側板の下端部近傍に設けてもよい。
【0011】
本発明に係る引出しの他の構成上の特徴は、一対の側板を、それぞれ側板の水平片とで底板の縁部を上下に挟む挟持片(22c)を備えた押出成形材で構成したことにある。
【0012】
本発明によると、側板の水平片と挟持片で底板を挟持するため側板と底板をより強固に連結できるとともに、側板と底板の間の隙間が見えなくなるため美観が向上する。また、側板を構成する押出成形材としては、金属または樹脂を用いることができ、金属を用いた場合には、側板を薄肉にして引出しの収納容積を増加させることができる。樹脂を用いた場合には、軽量化が可能になる。
【0013】
本発明に係る引出しのさらに他の構成上の特徴は、一対の側板の後端に、コーナ部材(27)を介して後板(25)を連結し、コーナ部材の下部に、側板の水平片を延長する延長ガイド部(27g)を設けたことにある。
【0014】
本発明では、一対の側板の後端と後板をコーナ部材で連結しているため、一対の側板の後端と後板の境界部に寸法誤差が生じても容易に組み付けできるとともに、側板と後板の境界部が隠れて美観が増すようになる。また、コーナ部材の下部に延長ガイド部を設けたため、引出しを引出し側レール部材に取り付ける際に、位置合わせがし易くなる。すなわち、引出しを後部が前部よりも下側になるように傾斜させて後端側から引出し側レール部材に位置合わせするときに、後端下部にもガイド部を延長する延長ガイド部が形成されているため、コーナ部材を設けることによって、位置合わせがし難くなることが無くなる。
【0015】
なお、本発明において、延長ガイド部が側板の水平片の端部を延長するとは、ガイド部の引出し側レール部材の外側面と当接できる側面(水平片の端面)と延長ガイド部が、同一面上に位置することであり、水平片の端部と連続して形成されていても、間隔をおいて形成されていてもよい。
【0016】
本発明に係る引出しのさらに他の構成上の特徴は、保持機構に、引出し側レール部材の後端に設けられた引っ掛け部(19)と、引っ掛け部に係合できる後部側係合部(27c)が備わっており、後部側係合部がコーナ部材に設けられていることにある。
【0017】
本発明によると、引出しの後端に設けられた後部側係合部が、引出し側レール部材の後端に設けられた引っ掛け部に係合するため、引出し側レール部材に取り付けられた引出しが左右や上下に位置ずれすることを防止できる。この場合の引っ掛け部と後部側係合部は、引出し側レール部材に対して引出しを前後に移動させることにより着脱でき、係合しているときに引出しが引出し側レール部材に対して位置ずれすることを防止するだけのものであってもよいし、係合しているときに引出しと引出し側レール部材が一緒に移動するようにするものであってもよい。
【0018】
引っ掛け部と後部側係合部が係合しているときに引出しが引出し側レール部材に対して位置ずれすることを防止する機能だけを備えたものとした場合には、保持機構に、別途、引出しを引出し側レール部材に着脱するための機構を含ませる。この着脱機構は、例えば、引出しの下面前部に引出し側レール部材の前端部に着脱可能に係合する前部側係合部材を設けたもので構成することができる。この場合の前部側係合部材は、前方から引出し側レール部材の前端部に押し付けると引出し側レール部材の前端部に係合し、所定の操作を行ったり、引出し側レール部材に対して強い力で前方に引っ張ったりすることで引出し側レール部材の前部との係合を解除できるもので構成できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る引出しを図面を用いて詳しく説明する。
図1は、同実施形態に係る引出し20を備えたシステムキッチン10を示している。なお、以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、
図1に基づいたものとし、
図1の手前(正面)側を前方、奥側を後方とする。このシステムキッチン10は、正面から見た状態で、食器洗浄乾燥機11及び引出し20を備えた中央側キャビネット12の右側にコンロキャビネット13を組み付け、中央側キャビネット12の左側にシンクキャビネット14を組み付けて構成されている。
【0021】
システムキッチン10の上面部はカウンター15で構成されており、コンロキャビネット13の上部におけるカウンター15の部分には、コンロ台16が設けられ、シンクキャビネット14の上部におけるカウンター15の部分には、シンク17及び水栓17aが設けられている。また、中央側キャビネット12には、引出し20の他、引出し12a,12bも設けられている。そして、コンロキャビネット13には引出し13a,13bが設けられ、シンクキャビネット14には引き出し14a,14bが設けられている。
【0022】
図2に示したように、中央側キャビネット12のキャビネット本体12cの側板12dには、前後方向に伸縮可能なレール機構18が取り付けられており、引出し20は、このレール機構18よってキャビネット本体12cの内部と外部との間でスライド移動可能になっている。レール機構18は、引出し20の下端部に位置するように設置されており、キャビネット側レール部材18aと、中間レール部材18bと、引出し側レール部材18cで構成されている。キャビネット側レール部材18aは、側板12dの中央より少し後部から前部にかけての部分に水平方向に延びた状態で固定されている。中間レール部材18bは、ベアリング18d(
図6参照)を介してキャビネット側レール部材18aにスライド可能に連結されており、引出し側レール部材18cは、ベアリング18eを介して中間レール部材18bにスライド可能に連結されている。
【0023】
引出し側レール部材18cが、キャビネット本体12cの内部に位置しているときには、キャビネット側レール部材18aと、中間レール部材18bと、引出し側レール部材18cは重なり合った状態になる。その状態から引出し側レール部材18cを前方に引っ張ると、引出し側レール部材18cは、中間レール部材18bがキャビネット側レール部材18aに対して前方に移動できる距離と、引出し側レール部材18cが中間レール部材18bに対して前方に移動できる距離との合計距離分前方に移動できる。
【0024】
引出し側レール部材18cの後端部には、引っ掛け部19が設けられている。この引っ掛け部19は、引出し側レール部材18cの後端部から上方に延びる垂直部19aと、垂直部19aの上部から前方に延びる水平部19bで構成されている。垂直部19aは、正面視が略正方形の板状に形成され、水平部19bは、平面視で、左右の幅よりも前後の長さが長い板状に形成されている。また、引出し側レール部材18cの先端部は、他の部分よりも細くなっており、その先端部に、左右に延びる係合穴を備えた挿し込み部19c(
図3参照)が取り付けられている。このように構成されたレール機構18は、左右対称に一対設けられており、
図3に示したように、もう一方のレール機構18は、左側の側板12dに対向する右側の側板12dに取り付けられている。
【0025】
引出し20は、
図4及び
図5に示したように、水平に配置された底板21の左右両縁部に一対の側板22を垂直にして固定し、底板21の前端面と一対の側板22の前端面に化粧板24を垂直にして固定するとともに、底板21の後端面と一対の側板22の後端部に後板25を垂直にして固定することにより本体部分が形成されている。底板21は、左右の長さよりも前後の長さが長い矩形の木材板からなり、一対の側板22はそれぞれ上下の長さよりも前後の長さが長い矩形の金属板からなっている。この側板22は押出成形によって成形されたものである。
【0026】
一対の側板22は、左右対称に配置された同一のもので構成されており、
図6に示した断面図のように、板本体22aと、板本体22aの内面の下端近傍から水平に延びる水平片22bと、板本体22aの内面における水平片22bの上方に水平片22bと平行して形成された挟持片22cを備えている。水平片22bの上面と、挟持片22cの下端部との間隔は、底板21の厚みと略同じに設定されている。また、各側板22の内面上端には、内側に突出する補強用突条22dが各側板22の縁部に沿って形成されている。
【0027】
さらに、各側板22の外面には、水平に延びる4つの保護用突条22eが上下に間隔をおいて設けられ、水平片22bには上下に貫通する2つのねじ挿通穴(図示せず)が前後に間隔をおいて設けられている。また、挟持片22cと補強用突条22dには、それぞれ前後に貫通する貫通孔22fが形成されている。なお、挟持片22cの下部は開口しており、貫通孔22fは溝状に形成されている。
【0028】
保護用突条22eは、押出成形後の側板22を外面を下に向けて置いたときに、外面に傷がつくことを防止するために形成されたものであり、側板22の上端と、下端と、中央部分と、下端と中央部分の間にそれぞれ形成されている。この保護用突条22eによって側板22の美観も向上する。底板21と各側板22は、各側板22のそれぞれの水平片22bと挟持片22cの間に、底板21の左右両側の縁部を挿し込むことによって組み付けられ、水平片22bの下方からねじ挿通穴にねじ23を通し、そのねじ23のねじ部を底板21に螺合させることにより固定されている。
【0029】
なお、各側板22の平面部分の厚みはそれぞれ2mmになっており、このため、底板21の下面と、各水平片22bの端面とでそれぞれ高さが2mmのガイド部23aが形成されている。両ガイド部23a(両水平片22bの端面)の間隔は、一対の引出し側レール部材18cの両外側の側面の間隔に対応しており、各水平片22bの端面が、対向する引出し側レール部材18cの外側面との間に僅かな隙間が生じるように設定されている。
【0030】
化粧板24は、左右の長さが底板21よりも少し長く設定され、上下の長さが側板22の略2倍に設定された矩形の木材板で構成されており、前面に模様や色彩からなる意匠が施されている。また、化粧板24の前面上部には取っ手24aが取り付けられている。この化粧板24は、後面の下部における左右の端部近傍部分に、一対の位置調節部材26を介して一対の側板22の前端部を固定することにより底板21と一対の側板22に組み付けられている。なお、図示は省略するが、位置調節部材26は、挿通穴が形成された板部材やカム部を有するねじを備えており、挿通穴に対するカム部の位置を変えることにより、化粧板24の位置を変更できる構成になっている。
【0031】
後板25は、左右の長さが底板21よりも少し短く設定され、上下の長さが側板22よりも少し短く設定された矩形の木材板で構成されている。この後板25は、左右両側部分が、一対のコーナ部材27によって一対の側板22の後端部に固定されることにより底板21と一対の側板22に組み付けられている。一対のコーナ部材27は、左右対称に形成された縦長の樹脂成形品で構成されている。そして、左右に配置される一対のコーナ部材27のうち右側に配置されるコーナ部材27は、
図7ないし
図9に示したように形成されており、側板22に固定される側板固定部28と、後板25に固定される後板固定部29を備えている。
【0032】
側板固定部28と、後板固定部29は、縦長の仕切壁27aを挟んで左右に設けられており、仕切壁27aの上端には、側板固定部28と後板固定部29の双方の上端部を構成する天井部27bが水平に形成されている。側板固定部28は、天井部27bの右側部分(
図7では左側部分)の他、前面部28aと、側面部28bと、底面部28cを備えており、上下方向の長さが側板22よりも少し長くなっている。また、前面部28aは、上下方向の長さが仕切壁27aと同じになっており、仕切壁27aの前縁部に直交して仕切壁27aの右側に位置している。
【0033】
そして、前面部28aの右寄り部分の上部と下部にそれぞれ前後に貫通するねじ挿通孔28dが形成されている。この2つのねじ挿通孔28dのうち下部のねじ挿通孔28dは円形に形成され、上部のねじ挿通孔28dは縦長の長円形に形成されている。また、2つのねじ挿通孔28dの中心の間隔は、側板22の挟持片22cと補強用突条22dにそれぞれ形成された2つの貫通孔22fの中心の間隔と同じになっている。また、側面部28bは、前面部28aに直交して前面部28aの右側後方に位置しており、前面部28aの上端から底面部28cの下端に対応する位置に延びている。
【0034】
底面部28cは後方が開口した箱状に形成されており、その前面は前面部28aの下端と間隔をおいて下方に位置している。この底面部28cは、コーナ部材27を側板22に取り付けたときに、下面が側板22の下端よりも少し上方に位置する(
図10参照)ように形成されており、その下面の右端前部に凹状嵌合部28eが形成されている。この凹状嵌合部28eは、側板22の下端部の後端部を挿し込める形状に形成されている。なお、コーナ部材27を側板22に取り付けたときに、底面部28cの上面は、側板22の水平片22bの下面と同じ高さになって、底面部28cの上面前端部は、水平片22bの後端部に重なる。また、底面部28cの内側面は、延長ガイド部27gとされ、(
図9の左縁部)水平片22bの端部と同一面上に位置し、水平片22bの端部を延長する。
【0035】
また、天井部27bの右側部分、側面部28b及び凹状嵌合部28eの外側から下部にかけての部分の前縁部は、前面部28a及び底面部28cの前面よりも僅かに前方に突出しており、前面部28aの上縁部と外側縁部、底面部28cの外側縁部及び凹状嵌合部28eの外側縁部から下縁部にかけての部分には、位置決め用の段部28fが形成されている。そして、側板固定部28の後部における前面部28aと底面部28cの間の隙間に対応する部分には、小後面部28gが形成され、仕切壁27aと側面部28bの間には、1つの縦桟と複数の横桟からなる補強リブ28hが形成されている。
【0036】
後板固定部29は、側板固定部28の左側(左側に配置されるコーナ部材27では右側)に位置しており、天井部27bの左側部分の他、後面部29aを備えている。後面部29aは、仕切壁27aの後縁部に直交して仕切壁27aの左側に位置しており、前面部28aの上端から、底面部28cの上端に対応する位置に延びている。また、後面部29aの上部と下部にはそれぞれねじ挿通孔29bが形成されており、後面部29aの後面下端には、本発明に係る後部側係合部としての引っ掛かり部27cが形成されている。この引っ掛かり部27cは、前後の長さよりも左右の長さが長く、左右の長さよりも上下の長さがながくなった四角枠状の突部の内部に左右に延びる隔壁27dを形成することによって形成されている。
【0037】
そして、後面部29aにおける四角枠状の突部の上部と隔壁27dで囲まれた空間に対応する部分に前後に貫通する孔を設けることによって正面視が横長長円形のガイド孔27eが形成されている。このガイド孔27eは、コーナ部材27が引出し20に組み込まれたときに、引出し側レール部材18cの引っ掛け部19の水平部19bに対応するように形成されており、内部に水平部19bを挿入できる。さらに、コーナ部材27が引出し20に組み込まれたときに、後面部29aの下端部の高さは、底板21の下面の高さと同じになる。すなわち、後面部29aの下面と底板21の下面は同一面上に位置する。また、後面部29aの下面と延長ガイド部27g、底板21の下面および後板25の下面と延長ガイド部27gとで、延長ガイド段部27fが形成されている。
【0038】
このように構成されたコーナ部材27を用いて、一対の側板22に後板25を連結するときには、まず、予め組み付けられた底板21と一対の側板22の後端に、後板25を配置する。つぎに、一方の側板22の後端の外側縁部に位置決め用の段部28fを沿わせて、側板22の後端面に側板固定部28の前面部28aを合わせる。このとき、後板固定部29の後面部29aと天井部27bの左側部分に後板25が当接する。
【0039】
その状態で、後方から前面部28aの2つのねじ挿通孔28dにそれぞれねじ(図示せず)を通し、そのねじ部を側板22の2つの貫通孔22fに螺合させる。この場合、上部のねじ挿通孔28dが縦長になっているため、前面部28aの下部と側板22の後端下部を固定したのちに、前面部28aの上部と側板22の後端上部を固定する。これによって、一方の側板22の後端にコーナ部材27が固定される。同様の操作で、もう一方の側板22の後端にもコーナ部材27を固定する。
【0040】
つぎに、後板25を上下方向及び左右方向に移動して一方の側板22に対する後板25の位置を適正位置に調節したのちに、後方から後面部29aの2つのねじ挿通孔29bに、それぞれねじ29cを通し、そのねじ部を後板25に螺合させる。これによって、一方の側板22の後端にコーナ部材27を介して後板25の一方の縁部が連結される。同様の操作で、もう一方の側板22の後端にもコーナ部材27を介して後板25のもう一方の縁部を連結する。これによって、一対の側板22に後板25が連結される。
【0041】
また、後板25が一対の側板22に連結されたときに、
図10に示したように、延長ガイド段部27fの角部とガイド部23aの角部が間隔をおいて同一線上に位置するようになる。このとき、底面部28cと後板25の間にも角部が生じるが、前述した後板25の位置調節の際に、後板25の下端面が底板21の下面と同じ高さかそれよりも僅かに上方に位置するようにして、底面部28cと後板25の角部が底板21の下面よりも高い位置になるようにしておく。これによって、同一線上に位置する延長ガイド段部27fの角部とガイド部23aの角部の間に底板21の下端部が位置して、ガイド機能の障害になることがなくなる。
【0042】
また、底板21の下面前部の左右両側には、
図5に示したように、一対の前部側係合部材30が取り付けられている。この前部側係合部材30は、それぞれ解除レバー部31と回転固定部32を備えている。解除レバー部31は、前後に長く上下が短い箱状に形成されており、左右方向の外側が開口している。そして、この解除レバー部31は、前端部分が支持部31aに回転可能に支持され、ばね(図示せず)によって後部が左右方向の内側に付勢されている。
【0043】
回転固定部32は、一部を解除レバー部31内に入れて解除レバー部31と連動して回転するように構成された回転部33と、回転部33に対向して底板21に固定された固定部34で構成されている。回転部33は、ばねによって後部が左右方向の外側に付勢されており、解除レバー部31と連動して互いに反対方向に回転する。また、回転部33の後部には後端が前部よりも内側に位置する傾斜部33aが形成され、回転部33の前部側には、固定部34側に突出する突部33bが形成されている。
【0044】
一対の前部側係合部材30における回転固定部32の間隔は、一対の引出し側レール部材18cの間隔と同じに設定され、回転部33と、固定部34の間には、引出し側レール部材18cの先端に取り付けられた挿し込み部19cを挿し込むことができる。また、回転部33の突部33bは、挿し込み部19cの係合穴に係合可能になっている。そして、一対の引出し側レール部材18cの先端にそれぞれ傾斜部33aを合わせて前部側係合部材30を後方に移動させると、回転部33が引出し側レール部材18cの先端に押されて回転し、挿し込み部19cは回転部33と固定部34の間に入っていく。
【0045】
また、引出し側レール部材18cの内側面における挿し込み部19cの後方には、回転部33の後部(傾斜部33aが形成された部分とその前方側の外側に突出した部分)が入ることのできる凹部が形成されている。このため、挿し込み部19cが回転部33の後部を通過すると、ばねの付勢力によって回転部33は元の状態に復帰して、引出し側レール部材18cの凹部に回転部33の後部が入り、挿し込み部19cの係合穴に突部33bが係合する。
【0046】
また、前部側係合部材30と引出し側レール部材18cの係合を解除するときには、解除レバー部31の後部を左右方向の外側に押して挿し込み部19cの係合穴と突部33bの係合を解除したのちに、引出し側レール部材18cに対して前部側係合部材30を前方に移動させる。これによって、前部側係合部材30は、引出し側レール部材18cから離れる。なお、前部側係合部材30と引出し側レール部材18cの先端に取り付けられた挿し込み部19c及び引っ掛かり部27cと引出し側レール部材18cの引っ掛け部19で本発明に係る保持機構が構成される。
【0047】
また、
図4に示したように、一対の側板22の上端には、倒れ防止棒35が取り付けられている。この倒れ防止棒35は、樹脂からなっており、棒本体35aの両端に把持部35bをそれぞれ固定して構成されている。把持部35bは、棒本体35aの端部を覆った状態で棒本体35aに固定された筒状部分と、筒状部分から外部側に突出し、側板22の上端に形成された補強用突条22dを上方から覆って係合するC字状部分で構成されており、C字状部分は弾性を備えている。この倒れ防止棒35は、一対の側板22の上端の任意の位置に掛け渡して取り付けることができ、取り付けられた状態では、把持部35bのC字状部分が補強用突条22dを把持することで物が当たった程度では位置ずれすることがない。
【0048】
このように構成された引き出し20を中央側キャビネット12のキャビネット本体12cに取り付けるときには、まず、キャビネット本体12cの内部から一対の引出し側レール部材18cを前方に引っ張り出す(
図3参照)。つぎに、
図11に示したようにして、引出し側レール部材18cに引き出し20を取り付ける。このとき、一対の延長ガイド部27g間に、一対の引出し側レール部材18cを入れるようにして、引き出し20を傾けてその後端下部を一対の引出し側レール部材18cに重ねる。そして、引き出し20を水平方向に向けながら一対のガイド部23aを後部側から一対の引出し側レール部材18cの外側面に沿わせていく。
【0049】
その状態で、一対の引出し側レール部材18cに対して引き出し20を後方に移動させると、引っ掛かり部27cのガイド孔27e内に引っ掛け部19の水平部19bが入り、前部側係合部材30に、引出し側レール部材18cの挿し込み部19cが係合する。これによって、引き出し20は、一対の引出し側レール部材18cに保持されて、
図12の状態になる。この状態では、引き出し20は、ガイド部23aによって一対の引出し側レール部材18cに対する横ずれが防止され、前部が引出し側レール部材18cの先端に係合し、後部が引っ掛け部19に係合することによって前後方向へのずれ及び上下方向へのがたつきが防止される。このため、引き出し20は、位置ずれやがたつきを防止された状態で一対の引出し側レール部材18cとともに前後移動が可能になる。
【0050】
以上のように、本実施形態に係る引出し20では、側板22の下部に水平片22bが設けられているため側板22を底板21に組み付けたときに、底板21の下面と水平片22bの端面の間にガイド部23aが形成される。このため、引出し20を一対の引出し側レール部材18cに取り付けるときに、ガイド部23aが引出し側レール部材18cの外面に当接して横ずれを防止するガイドとして機能する。これによって、引出し20を一対の引出し側レール部材18cに取り付ける操作が容易になる。
【0051】
また、側板22には、水平片22bとで底板21の側部を上下に挟む挟持片22cが備わっているため、側板22と底板21をより強固に連結できるとともに、側板22と底板21の間の隙間が見えなくなるため美観が向上する。さらに、側板22は、金属の押出成形材からなっているため、側板22を薄肉にして引出し20の収納容積を増加させることができる。また、一対の側板22と後板25を一対のコーナ部材27で連結したため、一対の側板22の後端と後板25の縁部の間に寸法誤差が生じても容易に組み付けできるとともに、側板22と後板25の境界部が隠れて美観が増すようになる。
【0052】
さらに、コーナ部材27に延長ガイド部27gを形成したため、コーナ部材27を設けることによって、位置合わせがし易い。また、引き出し20の前部に引出し側レール部材18cの先端部に係合できる前部側係合部材30を取り付けるとともに、引き出し20の後部に引出し側レール部材18cの引っ掛け部19に係合する引っ掛かり部27cを設けている。このため、引き出し20が位置ずれしたりがたついたりすることなく、引出し側レール部材18cに保持させることができる。
【0053】
本発明に係る引出しは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜、変更して実施することが可能である。例えば、側板22の水平片22bと底板21との間に隙間を設けてガイド部を形成してもよい。また、前述した実施形態では、レール機構18を、キャビネット側レール部材18aと、中間レール部材18bと、引出し側レール部材18cで構成しているが、このレール機構は、中間レール部材18bのないもので構成してもよいし、2個以上の中間レール部材18bを備えたもので構成してもよい。また、保持機構は、引出し20を一対の引出し側レール部材18cに対して着脱可能に取り付けることができるものであれば、前述した実施形態と異なる構成をしていてもよい。
【0054】
さらに、水平片22bは、側板22の下端部に設けてもよく、挟持片22cは省略してもよい。また、側板22は、金属でなく樹脂や木材で構成してもよい。さらに、前述した実施形態等では、引出し20がシステムキッチン10の中央側キャビネット12に備わっているが、本発明に係る引出しは、これに限定するものでなく、コンロキャビネット13やシンクキャビネット14に備わった引出し13a等で構成してもよいし、食器棚や机の引出し等、物品を収納する種々の家具に用いることができる。