【解決手段】ハイドロタルサイトにパラジウムイオンが担持されてなる固体触媒、非イオン性界面活性剤、および、塩基性化合物の存在下、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とをクロスカップリング反応させ、式(3)で表されるビアリール化合物を製造する、ビアリール化合物の製造方法。
前記非イオン性界面活性剤の含有量が、前記固体触媒100質量部に対して、200〜1800質量部である、請求項6または7に記載のクロスカップリング反応用触媒組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明のビアリール化合物の製造方法、および、クロスカップリング反応用触媒組成物(以後、単に「組成物」とも称する)の好適態様について説明する。
本発明の特徴点は、上述したように、ハイドロタルサイトにパラジウムイオンが担持されてなる固体触媒および非イオン性界面活性剤を併用する点が挙げられる。
以下では、まず、組成物中の各成分(固体触媒、非イオン性界面活性剤、塩基性化合物など)について詳述し、その後、該組成物を用いたビアリール化合物の製造方法について詳述する。
【0010】
<固体触媒>
組成物中には、ハイドロタルサイトにパラジウムイオンが担持されてなる固体触媒が含まれる。該固体触媒は、パラジウムイオンがハイドロタルサイトの表面上に担持(固定化)された触媒であり、ハイドロタルサイトとパラジウムイオンとを含む。ハイドロタルサイトは、いわゆる担体として機能する。
【0011】
ハイドロタルサイトは、塩基性層状粘土化合物の一種であり、表面塩基性、表面吸着能、中間層のアニオン交換能および基本層のカチオン交換能といった性質を有している。
ハイドロタルサイトとしては、公知または市販のものを使用することができる。また、公知の製法によって得られるものも使用することができる。
より具体的には、ハイドロタルサイトとしては、以下の式(1)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
〔(M
2+)
1-x(M
3+)
x(OH)
2〕
x+〔(A
n-)
x/n・mH
2O〕
x- 式(1)
式(1)中、M
2+は2価の金属イオンを表す。M
2+としては、例えば、Mg
2+、Zn
2+、Mn
2+、Fe
2+、Co
2+、Ni
2+、またはCu
2+などが挙げられ、生成物の収率がより優れる点で、Mg
2+が好ましい。
式(1)中、M
3+は3価の金属イオンを表す。M
3+としては、Al
3+、Fe
3+、Cr
3+、Co
3+、またはIn
3+などが挙げられ、生成物の収率がより優れる点で、Al
3+が好ましい。
式(1)中、A
n-はn価(nは1以上の整数)のアニオンを表す。A
n-としては、OH
-、F
-、Cl
-、Br
-、NO
3-、CO
32-、SO
42-、Fe(CN)
63-、CH
3COO
-、シュウ酸イオン、サリチル酸イオン等が挙げられ、生成物の収率がより優れる点で、CO
32-またはOH
-が好ましい。
式(1)中、xは0<x≦1/3の範囲の数である。mは0≦m≦2の範囲の数である。
【0012】
2価の金属イオンと3価の金属イオンとのモル比(M
2+/M
3+)は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、M
2+/M
3+=2〜7が好ましく、特にM
2+/M
3+=2〜4がより好ましい。
ハイドロタルサイトの形状は特に限定されないが、通常は粉末状、粒子状のものが使用される。
ハイドロタルサイトの大きさは特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点から、平均粒径5〜200μmが好ましく、平均粒径10〜150μmがより好ましい。
平均粒径は、分級、粉砕等により適宜調節することができる。なお、平均粒径は、レーザー回折測定法など公知の方法により測定できる。
なお、ハイドロタルサイトは、単独で使用しても二種類以上を混合使用してもよい。
【0013】
ハイドロタルサイトに担持されるパラジウムイオンは、通常、2価のパラジウムイオン(Pd
2+)である。
固体触媒中におけるパラジウムイオンの担持量は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、ハイドロタルサイト全質量に対して、パラジウムイオンの含有量が0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0014】
(固体触媒の製造方法)
固体触媒の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、溶媒にパラジウム化合物を加えて溶解させた後、この溶液にハイドロタルサイトを加えて攪拌することにより、固体触媒を製造できる。
なお、パラジウム化合物はパラジウム原子が含まれていれば特に制限されないが、例えば、パラジウムの、塩化物、硝酸塩、蟻酸塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
また、パラジウム化合物を溶媒に溶解させる際に、必要に応じて、塩(例えば、KCl)をさらに添加してもよい。
【0015】
使用される溶媒は特に制限されず、パラジウム化合物が溶解すればよく、例えば、水、アセトン、アルコール類等を挙げることができる。
撹拌時の温度は、例えば、20〜80℃の範囲から選択することができるが、通常室温(25℃)で行われる。撹拌時間は撹拌時の温度によっても異なるが、例えば、0.5〜24時間、好ましくは1〜18時間程度である。
撹拌終了後は、必要に応じて水や有機溶媒等で洗浄し、真空乾燥などにより乾燥してもよい。
【0016】
<非イオン性界面活性剤>
組成物中には、非イオン性界面活性剤が含まれる。該非イオン性界面活性剤は、親水性基(例えば、ヒドロキシル基、ポリオキシアルキレン基など)と疎水性基(例えば、炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはこれらを組み合わせた基))を有する両親媒性化合物であることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、公知の非イオン性界面活性剤を使用することができ、例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤またはエステル型非イオン性界面活性剤が挙げられ、より具体的には、エーテル型としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられ、エステル型としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
なかでも、非イオン性界面活性剤としては、生成物の収率がより優れる点で、ポリオキシアルキレン基を含むことが好ましい。ポリオキシアルキレン基として、*1−(O−L)n−*2で表される基が好ましい。Lは、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基)を表す。nは、2以上の数(好ましくは、2〜20の数)を表す。*1および*2は、それぞれ結合位置を示す。なお、*1の位置には、R
Aで表される基が結合していてもよい(つまり、R
A−(O−L)n−で表される基あってもよい)。R
Aは、水素原子または置換基(例えば、炭化水素基)を表す。
また、非イオン性界面活性剤の好適態様の一つとしては、上記ポリオキシアルキレン基および炭化水素基(脂肪族炭化水素基(特に、アルキル基が好ましい)、芳香族炭化水素基、または、これらを組み合わせた基。好ましくは、炭素数4以上。)を含む非イオン性界面活性剤が挙げられる。該非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(TritonX−100、TritonX−114、Nonidet P40等)などが挙げられる。
【0017】
<塩基性化合物>
組成物中には、塩基性化合物が含まれる。
塩基性化合物の種類は特に制限されず、公知の塩基性化合物が使用できる。なかでも、生成物の収率がより優れる点で、塩基性無機化合物が好ましく挙げられる。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリム等の炭酸塩が挙げられる。
【0018】
<クロスカップリング反応用触媒組成物>
上述したように、組成物には、固体触媒、非イオン性界面活性剤、および、塩基性化合物が含まれる。
組成物中における固体触媒と非イオン性界面活性剤との質量比は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、固体触媒100質量部に対して、非イオン性界面活性剤の含有量が50〜2500質量部が好ましく、200〜1800質量部がより好ましい。
組成物中における塩基性化合物と非イオン性界面活性剤とのモル比(塩基性化合物のモル量/非イオン性界面活性剤のモル量)は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、上記モル比は1〜40が好ましく、2〜20がより好ましい。
該組成物には、必要に応じて、他の成分(例えば、後述する溶媒)が含まれていてもよい。
【0019】
<ビアリール化合物の製造方法>
ビアリール化合物の製造方法は、上述した固体触媒、非イオン性界面活性剤、および、塩基性化合物の存在下(組成物の存在下)、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物とをクロスカップリング反応させ、式(3)で表されるビアリール化合物を製造する方法である。
【0021】
まず、本製造方法で使用される反応基質について詳述し、その後、方法の手順について詳述する。
【0022】
上記式(1)で表される化合物は、いわゆるアリールホウ素化合物である。また、上記式(2)で表される化合物は、いわゆるハロゲン化アリール(クロロ基を含む)である。
式(1)〜(3)中、Ar
1およびAr
2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表す。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。
なお、アリール基には、置換基が含まれていてもよい。置換基の種類は特に制限されないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、複素環基、またはこれらを組み合わせた基などが挙げられる。
置換基の数は特に制限されず、例えば、1〜4個が挙げられる。
なお、Ar
1およびAr
2が置換基を有するアリール基である場合、式(1)および式(2)で表される化合物は、以下式として表される。なお、以下式中、Rは置換基を表し、mは1以上の整数を表し、好ましくは1〜4の整数を表す。
【0024】
本製造方法の手順は特に制限されず、固体触媒、非イオン性界面活性剤、および、塩基性化合物の存在下、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を混合する方法が好ましく挙げられる。より具体的には、固体触媒、非イオン性界面活性剤、および、塩基性化合物を溶媒中に溶解させて反応溶液を調製し、該反応溶液に式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を添加して、反応させる方法が挙げられる。
反応温度は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、50〜150℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。
反応時間は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる、および、生産性の点から、0.5〜12時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。
【0025】
式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物との混合モル比(式(1)で表される化合物のモル量/式(2)で表される化合物のモル量)は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、0.5〜3.0が好ましく、1.2〜2.0がより好ましい。
式(2)で表される化合物と、非イオン性界面活性剤との混合モル比(式(2)で表される化合物のモル量/非イオン性界面活性剤のモル量)は特に制限されないが、生成物の収率がより優れる点で、1〜20が好ましく、2〜10がより好ましい。
【0026】
上述したように、上記反応においては、さらに溶媒の存在下にて実施してもよい。
溶媒の種類は特に制限されず、公知の溶媒(例えば、水、有機溶媒)を使用することができる。例えば、メタノール等のアルコール系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、ホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、トルエン等の炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒などが挙げられる。
なかでも、生成物の収率がより優れる点で、アルコール系溶媒が好ましく、エタノール、プロパノールなどの1級アルコール系溶媒がより好ましく、エタノールが特に好ましい。
【0027】
本製造方法においては、上記組成物および反応基質の混合方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。また、各成分を加える順番も特に限定されず、反応容器に上記成分を同時に添加しても、それぞれ順番に添加してもよい。
上記反応系においては、反応終了後、固体触媒は濾過または遠心分離のような分離方法により生成物と容易に分離することができ、工業的な観点から優れた系であるといえる。
なお、上記工程で生成されたビアリール化合物は、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
(合成例1:固体触媒の製造)
PdCl
2(91mg)とKCl(400mg)を溶媒(水、50mL)に溶解させた反応溶液に、ハイドロタルサイト(富田製薬株式会社製、トミターAD、Mg/Al=5.0, 1.0g)を加えて、室温下にて、16時間撹拌した。攪拌終了後、遠心分離によりハイドロタルサイトを回収し、蒸留水で洗浄した後、室温にて減圧乾燥して乾燥させ、ハイドロタルサイトにパラジウムイオン(Pd
2+)が担持された固体触媒Xを得た。
なお、得られた固体触媒X中におけるパラジウムイオンの担持量は、ハイドロタルサイト全質量に対して、5質量%であった。
【0030】
<実施例A>
<実施例1>
エタノール(5mL)に、上記固体触媒X(25mg)、トリトンX−100(TX−100)(東京化成工業社製)(0.5mmol)、炭酸カリウム(K
2CO
3)(2.0mmol)を加えた後、さらに、フェニルホウ酸(1.2mmol)およびクロロベンゼン(1.0mmol)を添加して、100℃にて12時間撹拌して、反応を実施した。
反応終了後、生成物をガスクロマトグラフィーにより分析してビフェニルを同定し、クロロベンゼンに対する収率(ビフェニルのモル量/クロロベンゼンのモル量)を求めた。結果を表1に示す。
なお、上記トリトンX−100の構造式を以下に示す。
【0031】
【化3】
【0032】
<実施例2>
固体触媒Xの使用量を25mgから50mgに変更し、撹拌時間(反応時間)を12時間から1時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すように、上記クロスカップリング反応用触媒組成物を使用すれば、比較的低温の条件にて、短時間にビフェニルを高収率で得られることが確認された。
【0035】
<実施例B>
<実施例3>
固体触媒Xの使用量を25mgから20mgに変更し、撹拌時間(反応時間)を12時間から6時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表1に示す。
【0036】
<実施例4>
トリトンX−100の代わりに、非イオン性界面活性剤であるモノラウリル(モノラウリン酸グリセリル)(和光純薬社製)を用い、固体触媒Xの使用量を25mgから20mgに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表2に示す。
なお、上記モノラウリルの構造式を以下に示す。
【0037】
【化4】
【0038】
<比較例1>
トリトンX−100の代わりに、カチオン性界面活性剤であるテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)(東京化成工業社製)を用いた以外は、実施例3と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表2に示す。
【0039】
<比較例2>
トリトンX−100の代わりに、カチオン性界面活性剤であるヘキサデシルピリジニウムブロマイド(HPB)(東京化成工業社製)を用いた以外は、実施例3と同様の手順に従って、ビフェニルの製造を試みたが、ビフェニルは得られなかった。結果を表2に示す。
【0040】
なお、表2中の「収率相対比」は、実施例1の収率(%)を「1.00」として、各実施例および比較例の収率(%)を相対値(各実施例または比較例の収率/実施例1の収率)として記載した。
また、表2中の「非イオン」とは非イオン性界面活性剤を意図し、「カチオン」とはカチオン性界面活性剤を意図する。
【0041】
【表2】
【0042】
表2に示すように、非イオン性界面活性剤を使用した場合は、収率が高く、所望の効果が得られた。
一方、カチオン性界面活性剤を用いた場合は、収率が大きく低下した。
【0043】
<実施例C>
<実施例5>
固体触媒Xの使用量を25mgから20mgに変更し、撹拌時間(反応時間)を12時間から1時間に変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表3に示す。
【0044】
<比較例3>
上記固体触媒Xの代わりに、後述する方法で製造される固体触媒Y(酸化ケイ素(SiO
2)にパラジウムイオンが担持された固体触媒)を用いた以外は、実施例5と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表3に示す。
【0045】
(合成例2:固体触媒Yの製造)
PdCl
2(91mg)とKCl(400mg)を溶媒(水、50mL)に溶解させた反応溶液に、酸化ケイ素(関東化学社製)(1.0g)を加えて、室温下にて、16時間撹拌して反応させた。攪拌終了後、遠心分離により酸化ケイ素を回収し、蒸留水で洗浄した後、室温にて減圧乾燥して乾燥させ、酸化ケイ素にパラジウムイオン(Pd
2+)が担持された固体触媒Yを得た。
なお、得られた固体触媒Y中におけるパラジウムイオンの担持量は、酸化ケイ素全質量に対して、5質量%であった。
【0046】
<比較例4>
上記固体触媒Xの代わりに、後述する方法で製造される固体触媒Z(酸化アルミニウム(Al
2O
3)にパラジウムイオンが担持された固体触媒)を用いた以外は、実施例5と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表3に示す。
【0047】
(合成例3:固体触媒Zの製造)
PdCl
2(91mg)とKCl(400mg)を溶媒(水、50mL)に溶解させた反応溶液に、酸化アルミニウム(和光純薬社製)(1.0g)を加えて、室温下にて、16時間撹拌して反応させた。攪拌終了後、遠心分離により酸化アルミニウムを回収し、蒸留水で洗浄した後、室温にて減圧乾燥して乾燥させ、酸化アルミニウムにパラジウムイオン(Pd
2+)が担持された固体触媒Zを得た。
なお、得られた固体触媒Z中におけるパラジウムイオンの担持量は、酸化アルミニウム全質量に対して、5質量%であった。
【0048】
なお、表3中の「収率相対比」は、実施例5の収率(%)を「1.00」として、各比較例の収率(%)を相対値(各実施例の収率/実施例5の収率)として記載した。
【0049】
【表3】
【0050】
表3に示すように、固体触媒の担体としてハイドロタルサイトを使用した場合は、所望の効果が得られるが、それ以外の担体を使用した場合は、収率が大きく低下した。
【0051】
<実施例D>
<実施例6>
固体触媒の使用量を25mgから20mgに変更し、撹拌時間(反応時間)を12時間から3時間に変更し、トリトンX−100(TX−100)の使用量を0.5mmolから0.1mmolに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表4に示す。
【0052】
<実施例7>
トリトンX−100(TX−100)の使用量を0.1mmolから0.3mmolに変更した以外は、実施例6と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表4に示す。
【0053】
<実施例8>
トリトンX−100(TX−100)の使用量を0.1mmolから0.5mmolに変更した以外は、実施例6と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。結果を表4に示す。
【0054】
なお、表4中の「収率相対比」は、実施例6の収率(%)を「1.00」として、各実施例の収率(%)を相対値(各実施例の収率/実施例6の収率)として記載した。
【0055】
【表4】
【0056】
表4に示すように、界面活性剤の使用量を変更した場合も所望の効果が得られることが確認された。特に、使用量が0.3〜0.5mmolにおいてより優れた効果が得られた。
【0057】
<実施例E>
<実施例9>
反応温度を100℃から85℃に変更した以外は、実施例8と同様の手順に従って、ビフェニルを製造した。
ビフェニルの収率は、実施例8と同程度であり、温度条件を変更しても、優れた収率を示すことが確認された。
【0058】
なお、塩基性化合物として、炭酸カリウム以外の他の塩基性化合物(炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなど)を使用した場合も、上記反応が進行することが確認された。
さらに、溶媒として、エタノール以外の溶媒(例えば、1−プロパノール、n−ブタノール、2−プロパノール、水、ジメチルアセトアミド、トルエン、ジメチルホルムアミド)を使用した場合も、上記反応が進行することが確認された。