前記1種以上のグアニジン化合物またはその塩の部分:前記1種以上のポリエポキシド化合物の部分:前記1種以上のポリハロゲン化合物の部分のモル比が、モノマーモル比に基づいて、0.5〜1:0.5〜1:0.05〜0.5である請求項1の化合物。
1種以上のグアニジン化合物またはその塩と、1種以上のポリエポキシド化合物と、1種以上のポリハロゲン化合物との反応生成物を含む1種以上の化合物、および金属イオンの1種以上のソースを含む組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書を通して使用される場合、文脈が明確に他のことを示さない限りは、以下の略語は以下の意味を有するものとする:A=アンペア;A/dm
2=アンペア/平方デシメートル;℃=摂氏度;g=グラム;ppm=100万あたりの部;L=リットル;μm=ミクロン=マイクロメートル;mm=ミリメートル;cm=センチメートル;DI=脱イオン;mL=ミリリットル;Mw=重量平均分子量;およびMn=数平均分子量。全ての数値範囲は境界値を含み、このような数値範囲が合計で100%になることに制約されるのが明らかな場合以外は任意に組み合わせ可能である。
【0011】
本明細書を通して使用される場合、「フィーチャ」とは基体上の形状をいう。「開口部」とはスルーホールおよびブラインドバイアをはじめとする凹んだフィーチャをいう。本明細書を通して使用される場合、用語「めっき」とは金属電気めっきをいう。「グアニジン化合物」とはグアニジンおよびグアニジンの誘導体を意味する。「堆積」および「めっき」は本明細書を通して交換可能に使用される。「ハライド」とは、フルオリド、クロリド、ブロミド、およびヨージドである。「レベラー」とは実質的に平滑なまたは平面的な金属層を提供できる有機化合物をいう。用語「レベラー」および「レベリング剤」は本明細書を通して交換可能に使用される。「促進剤」とは電気めっき浴のめっき速度を増大させる有機添加剤をいう。「抑制剤」とは、電気めっき中の金属のめっき速度を抑制する有機添加剤をいう。用語「プリント回路板」および「プリント配線板」は本明細書を通して交換可能に使用される。用語「部分」とは、サブ構造(substructure)として官能基全体または官能基の部分を含むことができる、分子またはポリマーの部分を意味する。冠詞「a」および「an」は単数および複数を意味する。
【0012】
化合物は、1種以上のグアニジン化合物またはその塩と、1種以上のポリエポキシド化合物と、1種以上のポリハロゲン化合物との反応生成物である。グアニジン化合物には、これに限定されないが、下記式を有する化合物が挙げられる:
【0014】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じかまたは異なっており、そしてこれに限定されないが、水素、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
10)アルキル、線状もしくは分岐のカルボキシ(C
1−C
10)アルキル、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換アミノ(C
1−C
10)アルキル、置換もしくは非置換アリール、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換アリール(C
1−C
10)アルキル、置換もしくは非置換スルホニル、−N(R
5)
2(式中、R
5は同じかまたは異なっていて良く、そして水素、または線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
10)アルキルである)、式
【化2】
を有する部分(式中、R
6およびR
7は同じかまたは異なっており、そしてこれに限定されないが、水素、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
10)アルキル、−N(R
5)
2(式中、R
5は上で定義された通りである)、線状もしくは分岐のカルボキシ(C
1−C
10)アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換の線状もしくは分岐のアリール(C
1−C
10)アルキルを含む)、式
【化3】
を有する部分(式中、R
6およびR
7は上で定義された通りである)を含む。好ましくは、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じかまたは異なっており、そして水素、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
5)アルキル、線状もしくは分岐のカルボキシ(C
1−C
5)アルキル、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換アミノ(C
1−C
5)アルキル、置換もしくは非置換フェニル、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換フェニル(C
1−C
5)アルキル、−N(R
5)
2(式中、R
5は同じかまたは異なっており、そして水素、または置換もしくは非置換の線状もしくは分岐の(C
1−C
5)アルキルである)、式(II)の部分、並びに式(I)の塩から選択される。より好ましくは、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じかまたは異なっており、そして水素、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
4)アルキル、線状もしくは分岐のカルボキシ(C
1−C
4)アルキル、線状もしくは分岐の置換もしくは非置換アミノ(C
1−C
4)アルキル、置換もしくは非置換フェニル、−N(R
5)
2(式中、R
5は同じかまたは異なっており、そして水素、または置換もしくは非置換の線状もしくは分岐の(C
1−C
4)アルキルである)、式(II)の部分、並びに式(I)の塩から選択される。最も好ましくは、R
1、R
2、R
3およびR
4は同じかまたは異なっており、そして水素、置換もしくは非置換(C
1−C
2)アルキル、置換もしくは非置換アミノ(C
1−C
2)アルキル、置換もしくは非置換フェニル、−N(R
5)
2(式中、R
5は同じかまたは異なっており、そして水素、または置換もしくは非置換(C
1−C
2)アルキルである)、カルボキシ(C
1−C
2)アルキル、式(II)の部分、並びに式(I)の塩から選択される。
【0015】
グアニジン塩には、これに限定されないが、下記式を有する塩が挙げられる:
【化4】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4は上で定義された通りであり、並びにY
−は対アニオンであり、この対アニオンには、これに限定されないが、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、ホウ酸イオン、過塩素酸イオン、亜リン酸イオンまたはリン酸イオンが挙げられる。好ましくは、Y
−はハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、または炭酸水素イオンである。より好ましくは、Y
−はハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、または炭酸水素イオンである。最も好ましくは、Y
−はハロゲン化物イオン、硫酸イオン、または炭酸水素イオンである。ハロゲン化物イオンは塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、およびヨウ化物イオンから選択される。好ましくは、ハロゲン化物イオンは塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンである。より好ましくは、ハロゲン化物イオンは塩化物イオン、または臭化物イオンである。
【0016】
前記様々なR上の置換基には、これに限定されないが、ヒドロキシル、線状もしくは分岐のヒドロキシ(C
1−C
5)アルキル、メルカプト、線状もしくは分岐のメルカプト(C
1−C
5)アルキル、線状もしくは分岐の(C
1−C
5)アルキル、カルボキシ(C
1−C
5)アルキル、フェニル、フェニル(C
1−C
5)アルキル、−N(R’)
b(式中、R’は同じかまたは異なっており、そして、これに限定されないが、水素、または(C
1−C
5)アルキルが挙げられ、並びにbは2〜3の整数である)が挙げられる。好ましくは、この置換基は、ヒドロキシル、ヒドロキシ(C
1−C
2)アルキル、メルカプト、メルカプト(C
1−C
2)アルキル、(C
1−C
2)アルキル、フェニル、および−N(R’)
b(式中、R’は同じかまたは異なっており、そして、これに限定されないが、水素、または(C
1−C
2)アルキルが挙げられ、並びにbは2〜3の整数である)から選択される。より好ましくは、この置換基は、ヒドロキシル、メルカプト、(C
1−C
2)アルキル、および−N(R’)
b(式中、R’は同じかまたは異なっており、そして、これに限定されないが、水素、またはメチルが挙げられ、並びにbは2〜3の整数である)から選択される。
【0017】
使用されうるポリエポキシド化合物は、連結によって一緒に結合された2以上のエポキシド部分を有するものである。このポリエポキシド化合物には、これに限定されないが、下記式を有する化合物が挙げられる:
【0019】
式中、R
8およびR
9は独立して、水素、および(C
1−C
4)アルキルから選択され、A=OR
10またはR
11であり、R
10=((CR
12R
13)
mO)、(アリール−O)
p、CR
12R
13−Z−CR
12CR
13、またはOZ’
tOであり、R
11=(CH
2)
yであり、Bは(C
5−C
12)シクロアルキルであり、Z=5−または6−員環であり、Z’はR
14OArOR
14、(R
15O)
aAr(OR
15)、または(R
15O)
a、Cy(OR
15)であり、Cy=(C
5−C
12)シクロアルキルであり、各R
12およびR
13は独立して水素、メチルまたはヒドロキシルから選択され、各R
14は(C
1−C
8)アルキルを表し、各R
15は(C
2−C
6)アルキレンオキシを表し、各a=1〜10、m=1〜6、p=1〜6、t=1〜4、およびy=0〜6である。R
8およびR
9は好ましくは、独立して、水素および(C
1−C
2)アルキルから選択される。R
8およびR
9が環式化合物を形成するように結合されていない場合には、R
8およびR
9が両方とも水素であるのが好ましい。R
8およびR
9が結合されて環式化合物を形成する場合には、AがR
11または化学結合であり、かつ(C
8−C
10)炭素環式環が形成されるのが好ましい。m=2〜4が好ましい。フェニル−Oが、R
10についての好ましいアリール−O基である。p=1〜4であるのが好ましく、より好ましくは1〜3であり、さらにより好ましくは1〜2である。Zは好ましくは5−または6−員炭素環式環であり、より好ましくは、Zは6−員炭素環式環である。好ましくは、y=0〜4であり、より好ましくは=1〜4である。A=R
11およびy=0の場合には、Aは化学結合である。好ましくは、Z’=R
14OArOR
14、または(R
15O)
aAr(OR
15)である。各R
14は好ましくは、(C
1−C
6)アルキルであり、より好ましくは、(C
1−C
4)アルキルである。各R
15は好ましくは、(C
2−C
4)アルキレンオキシである。t=1〜2が好ましい。好ましくは、a=1〜8であり、より好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜4である。各Ar基は、1以上の置換基で置換されていてもよく、この置換基には、これに限定されないが、(C
1−C
4)アルキル、(C
1−C
4)アルコキシ、またはハロゲンが挙げられる。好ましくは、Arは(C
6−C
15)アリールである。典型的なアリール基は、フェニル、メチルフェニル、ナフチル、ピリジニル、ビスフェニルメチル、および2,2−ビスフェニルプロピルである。好ましくは、Cyは(C
6−C
15)シクロアルキルである。Bについての(C
5−C
12)シクロアルキル基は、単環式、スピロ環式、縮合または二環式基であり得る。好ましくは、Bは(C
8−C
10)シクロアルキル、より好ましくはシクロオクチルである。
【0020】
式(V)の典型的な化合物には、これに限定されないが、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグジグリシジルエーテル、およびポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0021】
ポリハロゲン化合物には、1以上のグアニジン化合物またはその塩と反応しうる、2以上のハロゲンを含むハロゲン含有化合物が挙げられる。このポリハロゲン化合物には、これに限定されないが、下記式を有する化合物が挙げられる:
【0023】
式中、X
1およびX
2は同じかまたは異なっていてよく、そして塩素、臭素、フッ素およびヨウ素から選択されるハロゲンである。好ましくは、X
1およびX
2は独立して、塩素、臭素およびヨウ素である。より好ましくは、X
1およびX
2は独立して、塩素および臭素である。R
16は式:
【化8】
(式中、R
17は線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
18)アルキル、置換もしくは非置換(C
6−C
12)シクロアルキル、置換もしくは非置換(C
6−C
15)アリール、−CH
2−O−(R
18−O)
q−CH
2−であり、式中、R
18は置換もしくは非置換の線状もしくは分岐の(C
2−C
10)アルキルであり、およびqは1〜10の整数である)を有する部分である。好ましくは、R
17は線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
8)アルキル、置換もしくは非置換(C
6−C
8)シクロアルキル、置換もしくは非置換フェニル、−CH
2−O−(R
18−O)
q−CH
2−であり、式中、R
18は置換もしくは非置換の線状もしくは分岐の(C
2−C
8)アルキルであり、およびqは1〜8の整数である。より好ましくは、R
17は線状もしくは分岐の置換もしくは非置換(C
1−C
4)アルキル、置換もしくは非置換シクロヘキシル、フェニル、−CH
2−O−(R
18−O)
q−CH
2−であり、式中、R
18は置換もしくは非置換(C
2−C
3)アルキルであり、およびqは1〜5の整数である。置換基には、これに限定されないが、ハロゲン、ヒドロキシル、線状もしくは分岐のヒドロキシ(C
1−C
5)アルキル、または線状もしくは分岐の(C
1−C
5)アルコキシが挙げられる。好ましくは、置換基はハロゲン、ヒドロキシル、または線状もしくは分岐の(C
1−C
5)アルコキシである。より好ましくは、置換基はヒドロキシル、または線状もしくは分岐の(C
1−C
5)アルキルである。最も好ましくは、置換基は線状もしくは分岐の(C
1−C
3)アルキルである。
【0024】
このポリハロゲンの例は、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジブロモプロパン、1,3−ジクロロプロパン、1,3−ジヨードプロパン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジヨードブタン、1,5−ジブロモペンタン、1,5−ジクロロペンタン、1,5−ジヨードペンタン、1,6−ジブロモヘキサン、1,6−ジクロロヘキサン、1,6−ジヨードヘキサン、1,7−ジブロモヘプタン、1,7−ジクロロヘプタン、1,7−ジヨードヘプタン、1,8−ジブロモオクタン、1,8−ジクロロオクタン、1,8−ジヨードオクタン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,4−ジクロロ−2,3−ブタンジオール、1−ブロモ−3−クロロエタン、1−クロロ−3−ヨードエタン、1,2,3−トリクロロプロパン、1−ブロモ−3−クロロプロパン、1−クロロ−3−ヨードプロパン、1,4−ジクロロ−2−ブタノール、2,3−ジクロロ−1−プロパノール、1,4−ジクロロシクロヘキサン、1−ブロモ−3−クロロ−2−メチルプロパン、1,5−ジクロロ[3−(2−クロロエチル)]ペンタン、1,10−ジクロロデカン、1,18−ジクロロオクタデカン、2,2’−ジクロロエチルエーテル、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン、ジエチレングリコールビス(2−クロロエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2−クロロエチル)エーテル、2,2’−ジクロロプロピルエーテル、2,2’−ジクロロブチルエーテル、テトラエチレングリコールビス(2−ブロモエチル)エーテルおよびヘプタエチレングリコールビス(2−クロロエチル)エーテルである。
【0025】
1種以上のグアニジン化合物またはその塩は、典型的には、80℃でイソプロパノール中に懸濁され、1種以上のポリエポキシドと1種以上のポリハロゲンとの混合物の滴下添加を伴う。この加熱浴の温度は、次いで、80℃から95℃に上げられる。攪拌しつつ加熱が2時間〜8時間にわたって行われる。この加熱浴の温度は、次いで、攪拌しつつ12時間〜24時間にわたって室温まで下げられる。それぞれの成分の量は変化しうるが、一般に、グアニジンまたはその塩からの部分:ポリエポキシドからの部分:ポリハロゲンからの部分のモル比が、モノマーモル比に基づいて0.5〜1:0.5〜1:0.05〜0.5の範囲である生成物を提供するのに充分な量のそれぞれの反応物質が添加される。
【0026】
1種以上の反応生成物を含むめっき組成物および方法は、プリント回路板または半導体チップのような基体上に実質的に平滑なめっき金属層を提供するのに有用である。また、このめっき組成物および方法は基体における開口部を金属で充填するのに有用である。この金属堆積物は良好な均一電着性を有し、かつ熱衝撃応力試験に応じた良好な物理的信頼性を有する。
【0027】
その上に金属が電気めっきされうるあらゆる基体が、この反応生成物を含む金属めっき組成物と共に、基体として使用されうる。このような基体には、これに限定されないが、プリント回路板、集積回路、半導体パッケージ、リードフレームおよびインターコネクトが挙げられる。集積回路基体はデュアルダマシン製造プロセスに使用されるウェハであり得る。このような基体は典型的には、様々なサイズを有する、多数のフィーチャ、特に開口部を含む。PCBにおけるスルーホールは様々な直径、例えば、50μm〜350μmの直径を有しうる。この様なスルーホールは深さが、例えば、0.8mmから10mmまで変動しうる。PCBは様々なサイズ、例えば、200μmまでの直径および150μmもしくはそれより大きな深さを有するブラインドバイアを含む。
【0028】
従来の金属めっき組成物が使用されうる。この金属めっき組成物は金属イオンのソース、電解質、およびレベリング剤を含み、このレベリング剤は1種以上のグアニジン化合物またはその塩と、1種以上のポリエポキシド化合物と、1種以上のポリハロゲン化合物との反応生成物である。金属めっき組成物はハロゲン化物イオンのソース、促進剤および抑制剤を含むことができる。この組成物から電気めっきされうる金属には、これに限定されないが、銅、スズ、およびスズ/銅合金が挙げられる。
【0029】
適する銅イオンソースは銅塩であり、そして限定されないが、硫酸銅、ハロゲン化銅、例えば、塩化銅、酢酸銅、硝酸銅、テトラフルオロホウ酸銅、アルキルスルホン酸銅、アリールスルホン酸銅、スルファミン酸銅、過塩素酸銅、およびグルコン酸銅が挙げられる。典型的なアルカンスルホン酸銅には、(C
1−C
6)アルカンスルホン酸銅が挙げられ、より好ましくは(C
1−C
3)アルカンスルホン酸銅が挙げられる。好ましい、アルカンスルホン酸銅は、メタンスルホン酸銅、エタンスルホン酸銅、およびプロパンスルホン酸銅である。典型的なアリールスルホン酸銅には、限定されないが、ベンゼンスルホン酸銅、p−トルエンスルホン酸銅が挙げられる。銅イオンソースの混合物が使用されてもよい。銅イオン以外の金属イオンの1種以上の塩が本発明の電気めっき浴に添加されても良い。典型的には、銅塩はめっき液の10〜400g/Lの銅金属の量を提供するのに充分な量で存在する。
【0030】
適するスズ化合物には、これに限定されないが、ハロゲン化スズ、硫酸スズ、アルカンスルホン酸スズ、例えば、メタンスルホン酸スズ、アリールスルホン酸スズ、例えば、ベンゼンスルホン酸スズ、およびp−トルエンスルホン酸スズが挙げられる。これら電解質組成物におけるスズ化合物の量は典型的には、5〜150g/Lの範囲のスズ含有量を提供する量である。スズ化合物の混合物が上述のような量で使用されうる。
【0031】
本発明において有用な電解質はアルカリ性であっても、または酸性であっても良い。典型的には、電解質は酸性である。適する酸性電解質には、これに限定されないが、硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、アルカンスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸およびトリフルオロメタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、クロム酸、およびリン酸が挙げられる。本発明の金属めっき浴において、酸の混合物が有利に使用されうる。好ましい酸には、硫酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、塩酸およびこれらの混合物が挙げられる。酸は1〜400g/Lの範囲の量で存在しうる。電解質は概して、様々なソースから商業的に入手可能であり、そしてさらなる精製なしに使用されうる。
【0032】
この電解質は場合によってはハロゲン化物イオンのソースを含んでいても良い。典型的には、塩化物イオンが使用される。典型的な塩化物イオンのソースには、塩化銅、塩化スズ、塩化ナトリウム、塩化カリウムおよび塩酸が挙げられる。広範囲のハロゲン化物イオン濃度が本発明において使用されうる。典型的には、ハロゲン化物イオン濃度はめっき浴に基づいて0〜100ppmの範囲である。このようなハロゲン化物イオンのソースは、概して、商業的に入手可能であり、そしてさらなる精製なしに使用されうる。
【0033】
めっき組成物は典型的には促進剤を含む。任意の促進剤(光沢剤とも称される)が本発明における使用に適する。このような促進剤は当業者に周知である。促進剤には、これに限定されないが、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル、3−メルカプト−プロピルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸カリウム塩を伴うカルボン酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル、ビス−スルホプロピルジスルフィド、ビス−(ナトリウムスルホプロピル)−ジスルフィド、3−(ベンゾチアゾリル−S−チオ)プロピルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムプロピルスルホベタイン、1−ナトリウム−3−メルカプトプロパン−1−スルホナート、N,N−ジメチル−ジチオカルバミン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルプロピルスルホン酸−(3−スルホエチル)エステル、3−メルカプト−エチルスルホン酸ナトリウム塩、3−メルカプト−1−エタンスルホン酸カリウム塩を伴うカルボン酸−ジチオ−o−エチルエステル−s−エステル、ビス−スルホエチルジスルフィド、3−(ベンゾチアゾリル−S−チオ)エチルスルホン酸ナトリウム塩、ピリジニウムエチルスルホベタイン、および1−ナトリウム−3−メルカプトエタン−1−スルホナートが挙げられる。促進剤は様々な量で使用されうる。一般に、促進剤は0.1ppm〜1000ppmの量で使用される。
【0034】
金属めっき速度を抑制できる任意の化合物が、本発明の電気めっき組成物において抑制剤として使用されうる。適する抑制剤には、これに限定されないが、ポリプロピレングリコールコポリマー、およびポリエチレングリコールコポリマー、例えば、エチレンオキシド−プロピレンオキシド(EO/PO)コポリマー、およびブチルアルコール−エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーが挙げられる。適するブチルアルコール−エチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーは、100〜100,000、好ましくは500〜10,000の重量平均分子量を有するものである。このような抑制剤が使用される場合には、抑制剤は典型的には組成物の重量を基準にして1〜10,000ppm、より典型的には5〜10,000ppmの範囲の量で存在する。本発明のレベリング剤は抑制剤として機能することができる官能基も有しうる。
【0035】
概して、反応生成物は、200〜10,000、典型的には300〜50,000、好ましくは500〜8000の数平均分子量(Mn)を有するが、他のMn値を有する反応生成物が使用されてもよい。このような反応生成物は1000〜50,000、典型的には5000〜30,000の範囲の重量平均分子量(Mw)値を有しうるが、他のMw値が使用されてもよい。
【0036】
金属電気めっき組成物に使用される反応生成物(レベリング剤)の量は、選択される具体的なレベリング剤、電気めっき組成物中の金属イオンの濃度、使用される具体的な電解質、電解質の濃度、および印加される電流密度に応じて変化する。概して、電気めっき組成物中のレベリング剤の合計量は、めっき組成物の全重量を基準にして、0.01ppm〜500ppm、好ましくは0.1ppm〜250ppm、最も好ましくは0.5ppm〜100ppmの範囲であるが、より多いまたはより少ない量が使用されてもよい。
【0037】
電気めっき組成物は任意の順に成分を一緒にすることによって調製されうる。無機成分、例えば、金属イオンのソース、水、電解質および任意成分のハロゲン化物イオンのソースが最初に浴容器に入れられ、その後で、有機成分、例えば、レベリング剤、促進剤、抑制剤および他の有機成分を入れるのが好ましい。
【0038】
電気めっき組成物は場合によっては、少なくとも一種の追加のレベリング剤を含んでいても良い。このような追加のレベリング剤は、本発明の別のレベリング剤であっても良いし、あるいは任意の従来のレベリング剤であっても良い。本発明のレベリング剤と一緒に使用されうる適する従来のレベリング剤には、限定されないが、Stepらへの米国特許第6,610,192号、Wangらへの米国特許第7,128,822号、Hayashiらへの米国特許第7,374,652号、およびHagiwaraらへの米国特許第6,800,188号に開示されているものが挙げられる。レベリング剤のこのような組み合わせは、レベリング能力および均一電着性をはじめとするめっき浴の特性を調節するために使用されうる。
【0039】
典型的には、めっき組成物は10〜65℃、またはそれより高い任意の温度で使用されうる。好ましくは、めっき組成物の温度は10〜35℃であり、より好ましくは、15〜30℃である。
【0040】
概して、金属電気めっき組成物は使用中に攪拌される。任意の適する攪拌方法が使用されることができ、そしてこのような方法は当該技術分野において周知である。適する攪拌方法には、これに限定されないが、エアスパージング、ワークピース攪拌、およびインピンジメント(impingment)が挙げられる。
【0041】
典型的には、基体をめっき組成物に接触させることによって、基体は電気めっきされる。基体は典型的にはカソードとして機能する。めっき組成物はアノードを収容し、アノードは可溶性でも不溶性でも良い。典型的には電圧が電極に印加される。充分な電流密度が印加され、基体上に所望の厚さを有する金属層を堆積させ、並びにブラインドバイア、トレンチおよびスルーホールを充填し、またはスルーホールを共形的にめっきするのに充分な期間にわたってめっきが行われる。電流密度は0.05〜10A/dm
2の範囲であり得るが、より高いおよびより低い電流密度が使用されてもよい。具体的な電流密度は、部分的には、めっきされるべき基体、めっき浴の組成、および望まれる表面金属厚さに応じて決まる。このような電流密度の選択は当業者の能力の範囲内のことである。
【0042】
本発明の利点は、実質的に平滑な金属堆積物がPCB上に得られることである。PCBにおけるスルーホールおよび/またはブラインドバイアが実質的に充填される。本発明のさらなる利点は、広範囲の開口部および開口部サイズが、望ましい均一電着性で充填されることができまたは共形的に(conformally)めっきされうる。
【0043】
均一電着性はスルーホールの中央においてめっきされた金属の平均厚さの、PCBサンプルの表面にめっきされた金属の平均厚さに対する比率として定義され、パーセンテージとして報告される。均一電着性がより高くなると、めっき組成物がスルーホールを共形的にめっきすることができることがより良好になる。本発明の金属めっき組成物は65%以上、好ましくは70%以上の均一電着性を有する。
【0044】
本発明の化合物は、小さなフィーチャを有する基体上および様々なフィーチャサイズを有する基体上でさえ、基体にわたって実質的に平滑な表面を有する金属層を提供する。本発明のめっき方法は、金属めっき組成物が良好な均一電着性を有する様にスルーホール内に金属を効果的に堆積させる。
【0045】
本発明の方法は概して、プリント回路板製造を参照して説明されたが、本発明は、本質的に平滑または平らな金属堆積物および充填されたまたは共形的にめっきされた開口部が望まれる、あらゆる電解プロセスにおいて有用であり得ることが認識される。このようなプロセスには、半導体パッケージングおよびインターコネクト製造が挙げられる。
【0046】
以下の実施例は本発明をさらに例示することを意図しており、発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0047】
実施例1
凝縮器、温度計および攪拌棒を備えた100mLの三ツ口丸底フラスコ内で、80℃で、塩酸グアニジン(9.56g、0.1モル)が20mLのイソプロパノール中に懸濁された。1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(12.13g、0.060モル)および1,4−ジブロモブタン(0.71g、0.003モル)が一緒に混合され、前記溶液に滴下添加され、そして1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよび1,4−ジブロモブタンを収容しているバイアルが2mLのイソプロパノールですすがれた。加熱浴温度が95℃に上げられた。得られた混合物は4時間にわたって加熱され、次いで室温で一晩攪拌したままにされた。この反応混合物は、貯蔵のためのポリエチレンボトルに水ですすぎ込まれ、そして50%硫酸(10.8g)が添加され、この反応生成物を可溶化させた。グアニジン部分:エポキシド部分:ジハロゲンからの脂肪族部分のモル比は、モノマーモル比に基づいて1:0.6:0.03であった。
【0048】
実施例2
凝縮器、温度計および攪拌棒を備えた100mLの三ツ口丸底フラスコ内で、80℃で、塩酸グアニジン(9.53g、0.1モル)が20mLのイソプロパノール中に懸濁された。この溶液に、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(12.11g、0.06モル)が滴下添加され、そして1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを収容しているバイアルが2mLのイソプロパノールですすがれた。加熱浴温度が95℃に上げられた。得られた混合物は4時間にわたって加熱され、そしてこの反応混合物に1,4−ジブロモブタン(0.69g、0.003モル)が滴下添加された。油浴温度が95℃に1時間維持され、次いで、この反応は室温で一晩攪拌したままにされた。この反応混合物は、貯蔵のためのポリエチレンボトルに水ですすぎ込まれ、そして50%硫酸(4.6g)が添加され、この反応生成物を可溶化させた。グアニジン部分:エポキシド部分:ジハロゲンからの脂肪族部分のモル比は、モノマーモル比に基づいて1:0.6:0.03であると決定された。
【0049】
実施例3
硫酸銅五水和物として75g/Lの銅、240g/Lの硫酸、60ppmの塩化物イオン、1ppmの促進剤および1.5g/Lの抑制剤を一緒にすることによって、複数の銅電気めっき浴が調製された。促進剤はビス(ナトリウム−スルホプロピル)ジスルフィドであった。抑制剤は、5,000未満の重量平均分子量および末端ヒドロキシル基を有するEO/POコポリマーであった。この電気めっき浴は、また、実施例1からの反応生成物を1、5、10または20ppmの量で、または実施例2からの反応生成物を1、5または10ppmの量で含んでいた。この反応生成物は精製することなく使用された。
【0050】
実施例4
複数のスルーホールを有する、3.2mmまたは1.6mm厚さの両面FR4PCB(5cm×9.5cm)のサンプルが実施例3の銅電気めっき浴を用いてハーリングセル内で、銅で電気めっきされた。3.2mm厚さのサンプルは0.3mm直径のスルーホールを有しており、および1.6mm厚さのサンプルは0.25mm直径のスルーホールを有していた。それぞれの浴の温度は25℃であった。3.2mmのサンプルに80分間にわたって2.16A/dm
2の電流密度が印加され、1.6mmのサンプルに44分間にわたって3.24A/dm
2の電流密度が印加された。実施例1からの反応生成物を含んでいた銅浴は、1.6mm厚さであったPCBをめっきするためだけに使用された。実施例2の反応生成物を含んでいた銅浴は、3.2mmおよび1.6mmの双方のPCB上に銅をめっきするために使用された。銅めっきプロセスは、両方のタイプのPCB上に、実施例2の反応生成物を含む銅浴を使用して繰り返された。銅めっきされたサンプルは分析され、以下の方法に従って、めっき浴の均一電着性(TP)およびクラッキングパーセントを決定した。
【0051】
均一電着性は、PCBサンプルの表面においてめっきされた金属の平均厚さと比較した、スルーホールの中央においてめっきされた金属の平均厚さの比率を決定することにより計算された。均一電着性はパーセンテージで表1に報告される。
【0052】
クラッキングパーセントは業界標準手順IPC−TM−650−2.6.8.Thermal Stress, Plated−Through Holes,IPC(米国、イリノイ州、ノースブルック)により出版、2004年5月、追補Eに従って決定された。
【0053】
【表1】
【0054】
結果は均一電着性が70%を超えたことを示しており、このことは、実施例1および2の反応生成物について優れた均一電着性の性能を示した。さらに、クラッキングは、実施例1の反応生成物でめっきされた銅の1つのサンプルにおいてのみ観察された。クラッキングのパーセンテージが小さいほど、めっき性能が良好である。
【0055】
実施例5〜9
モノマーのモル比が以下の表2に開示されたように変えられた以外は、実施例1に記載された方法に従って5つの反応生成物が調製された。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例10
凝縮器、温度計および攪拌棒を備えた100mLの三ツ口丸底フラスコ内で、80℃で、塩酸グアニジン(4.78g、0.05モル)およびジフェニルグアニジン(10.50g、0.05モル)が20mLのイソプロパノール中に懸濁された。1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(11.47g、0.057モル)および1,4−ジブロモブタン(1.36g、0.006モル)が一緒に混合され、前記溶液に滴下添加され、そして1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルおよび1,4−ジブロモブタンを収容しているバイアルが3mLのイソプロパノールですすがれた。加熱浴温度が95℃に上げられた。得られた混合物は4時間にわたって加熱され、次いで室温で一晩攪拌したままにされた。この反応混合物は、貯蔵のためのポリエチレンボトルに水ですすぎ込まれ、そして50%硫酸(11.5g)が添加され、この反応生成物を可溶化させた。塩酸グアニジン:1,3−ジフェニルグアニジン:エポキシド部分:ジハロゲンからの脂肪族部分のモル比は、モノマーモル比に基づいて0.5:0.5:0.57:0.06であった。
【0058】
実施例11〜28
上記実施例5〜10に記載されたプロセスに実質的に従って、表3の化合物が一緒に反応させられた。各成分のモル比は表3に記載される。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】