【解決手段】放熱端末2に循環液Lを循環させる加熱循環ポンプ32を有する加熱循環回路31に直列に配設された第1加熱熱交換器41および第2加熱熱交換器51と、地中熱源熱交換器45と第1圧縮機43とを有する第1ヒートポンプ回路(4)と、空気熱源熱交換器55と第2圧縮機53とを有する第2ヒートポンプ回路(5)と、を備え、除霜動作を実行する除霜動作実行手段63aと、を有し、除霜動作実行手段63aは、第1ヒートポンプ回路(4)と第2ヒートポンプ回路(5)とを作動させると共に加熱循環ポンプ32を駆動させる暖房運転時から除霜動作を実行する場合には、第2膨張弁54の開度は暖房運転時よりも所定の開度まで拡大し、加熱循環ポンプ32の所定の除霜回転速度は暖房運転時よりも低く設定した第1の除霜回転速度とする。
前記基準除霜時間算出手段は、所定の期間内における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間を算出して当該平均除霜動作時間を前記基準除霜動作時間として採択すること、
を特徴とする請求項2に記載の複合熱源ヒートポンプ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたヒートポンプサイクル装置では、空気熱源か地中熱源のいずれか一方を熱源とするため、特に、冬季の寒冷地等において外気温が低く暖房負荷が過大になるような場合には暖房出力が不足しがちになることが想定される。
【0006】
このため、地中熱ヒートポンプに加勢して空気熱ヒートポンプによってさらに暖房能力を向上させるために、第1圧縮機、第1加熱熱交換器、第1膨張弁、地中熱源熱交換器を有する地中熱ヒートポンプと第2圧縮機、第2加熱熱交換器、第2膨張弁、空気熱源熱交換器を有する空気熱ヒートポンプの第1加熱熱交換器と第2加熱熱交換器とを直列に連結し、地中熱ヒートポンプおよび空気熱ヒートポンプの双方を作動させ、放熱端末側の熱媒(循環液)を加熱して放熱端末による暖房運転を行うヒートポンプサイクル装置が創案されている(例えば、未公開である特願2012−175620)。
【0007】
このような地中熱ヒートポンプと空気熱ヒートポンプとを直列に連結したヒートポンプサイクル装置において、外気温度が低い場合に暖房運転を行っている時は、空気熱ヒートポンプを構成する空気熱源熱交換器が着霜することがあり、空気熱源熱交換器は着霜すると熱交換効率が低下するため、空気熱源熱交換器の除霜をする必要がある。
【0008】
上記除霜の動作としては、空気熱ヒートポンプを構成する第2膨張弁を全開とし、第2圧縮機で圧縮した高温の冷媒を、第2加熱熱交換器を流通させ、第2膨張弁で減圧されることなく第2膨張弁を通過させて空気熱源熱交換器55に供給して、空気熱源熱交換器55に発生した霜を溶かしている(除霜動作)。
【0009】
この除霜動作を行う時に、放熱端末により暖房される被空調空間を無暖房状態としないように、加熱循環ポンプの駆動を継続させることが考えられるが、暖房運転時と同様の回転速度で加熱循環ポンプを駆動したまま除霜動作を行うと、空気熱源熱交換器の除霜用に第2圧縮機で圧縮した冷媒の熱が、第2加熱熱交換器を介して放熱端末側の循環液に奪われるため、除霜動作時間が長引いてしまうという問題が生じる。
【0010】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、好適に暖房出力を確保しながら、かつ除霜動作を速やかに完了させることができる複合熱源ヒートポンプ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、放熱端末に循環液を循環させる加熱循環ポンプを有する加熱循環回路と、この加熱循環回路に配設された凝縮器としての第1加熱熱交換器と、前記加熱循環回路に配設された凝縮器としての第2加熱熱交換器と、地中から採熱して回路内を循環する第1冷媒を加熱する地中熱源熱交換器と、前記第1冷媒を圧縮して前記第1加熱熱交換器に供給する第1圧縮機と、前記第1加熱熱交換器から流出された前記第1冷媒を減圧する第1膨張弁と、を有し、前記第1加熱熱交換器を介して前記循環液を加熱する第1ヒートポンプ回路と、外気から採熱して回路内を循環する第2冷媒を加熱する空気熱源熱交換器と、前記第2冷媒を圧縮して前記第2加熱熱交換器に供給する第2圧縮機と、前記第2加熱熱交換器から流出された前記第2冷媒を減圧する第2膨張弁と、を有し、前記第2加熱熱交換器を介して前記循環液を加熱する第2ヒートポンプ回路と、動作を制御する制御装置と、を備えた複合熱源ヒートポンプ装置であって、前記第1加熱熱交換器は、前記加熱循環回路における第2加熱熱交換器の上流側に直列に配設され、前記制御装置は、前記加熱循環ポンプを所定の除霜回転速度で駆動させた状態で、前記第2圧縮機によって加熱された第2冷媒を前記空気熱源熱交換器に供給して当該空気熱源熱交換器の除霜動作を実行する除霜動作実行手段を有し、前記第1ヒートポンプ回路と前記第2ヒートポンプ回路とを作動させると共に前記加熱循環ポンプを駆動させて前記循環液を加熱する暖房運転時において、前記暖房運転時から前記除霜動作実行手段が除霜動作を実行する場合には、前記第2膨張弁の開度は、前記暖房運転時よりも所定の開度まで拡大し、前記加熱循環ポンプの所定の除霜回転速度は、前記暖房運転時よりも低く設定した第1の除霜回転速度とすること、を特徴とする。
【0012】
本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、地中熱熱源で加熱する前記第1加熱熱交換器を前記加熱循環回路における空気熱熱源で加熱する第2加熱熱交換器の上流側に直列に配設したことで、冬季の寒冷地等において外気温が低く暖房負荷が過大になるような環境では、第1加熱熱交換器が加熱した循環液をさらに第2加熱熱交換器で加熱することができるため、暖房出力を増大させて放熱端末を加熱する循環液を迅速に目標温度まで到達させることができる。
【0013】
また、本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、例えば、前記外気温度が所定の基準温度よりも高い場合には、前記第2圧縮機を選択して駆動し、前記外気温度が所定の基準温度よりも低い場合には、前記第1圧縮機を選択して駆動することができるため、採熱効率の高い熱源を選択して駆動することで、効率よく暖房出力を確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、除霜動作実行手段により、前記第2膨張弁の開度は、前記暖房運転時よりも所定の開度まで拡大し、前記加熱循環ポンプの所定の除霜回転速度は、前記暖房運転時よりも低く設定することで、暖房運転を継続し所定の暖房能力を保持したままで円滑かつ迅速に除霜動作を完了することができる。
【0015】
つまり、前記第2膨張弁の開度は、前記暖房運転時よりも所定の開度まで拡大することで、第2冷媒は第2膨張弁で減圧されることなく温度を高く保ったまま空気熱源熱交換器に供給され、効果的に空気熱源熱交換器を加熱して除霜動作を実行することができる。また、前記加熱循環ポンプの所定の除霜回転速度は、前記暖房運転時よりも低く設定することで、空気熱源熱交換器の除霜用に第2圧縮機で圧縮した第2冷媒の熱が、第2加熱熱交換器を介して放熱端末側の循環液に奪われすぎないように適切に調整することができるため、速やかに除霜動作を完了することができる。
【0016】
このようにして、本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、好適に暖房出力を確保しながら、かつ除霜を速やかに完了させることができる。
【0017】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の複合熱源ヒートポンプ装置であって、前記制御装置は、除霜動作の開始から完了までの除霜動作時間の基準値である基準除霜動作時間を算出する基準除霜時間算出手段と、この基準除霜時間算出手段が求めた基準除霜動作時間が所定の閾値内であるかどうかを判定する基準除霜時間判定手段と、を有し、前記基準除霜動作時間が前記所定の閾値を超えている場合には、前記第1の除霜回転速度よりも回転速度を低く設定した第2の除霜回転速度で前記加熱循環ポンプを駆動させながら除霜動作を実行すること、を特徴とする。
【0018】
本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、基準除霜時間判定手段により、基準除霜時間算出手段が求めた基準除霜動作時間が所定の閾値を超えている場合には、予め設定した所定の除霜回転速度よりも回転速度をより低くして除霜動作を実行することで、除霜が完了するまでに時間がかかりすぎるような場合には、空気熱源熱交換器の除霜用に第2圧縮機で圧縮した第2冷媒の熱が、第2加熱熱交換器を介して放熱端末側の循環液に奪われすぎないように適切に加熱循環ポンプの回転速度を調整することができるため、速やかに除霜動作を完了することができる。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の複合熱源ヒートポンプ装置であって、前記基準除霜時間算出手段は、所定の期間内における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間を算出して当該平均除霜動作時間を前記基準除霜動作時間として採択すること、を特徴とする。
【0020】
本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、所定の期間内における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間を算出することで、設置環境においてばらつきのない基準除霜動作時間を算出することができるため、設置環境に適応してより安定した適切な暖房運転および除霜動作を実行することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、好適に暖房出力を確保しながら、かつ除霜を速やかに完了させることができる。
また、本発明に係る複合熱源ヒートポンプ装置は、施工状況の違いに関係なく、設置環境に応じて除霜動作時の加熱循環ポンプの回転速度を適切に設定するので、除霜動作時間が長引くことなく、且つ暖房も適切に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態に係る複合熱源ヒートポンプ装置1の構成について適宜
図1と
図2を参照しながら詳細に説明する。
複合熱源ヒートポンプ装置1は、
図1に示すように、放熱端末2に熱媒としての循環液L(例えば、温水)を循環させる加熱熱交換部3と、地中熱を熱源とする地中熱ヒートポンプ装置4と、空気熱を熱源とする空気熱ヒートポンプ装置5と、動作を制御する制御装置6(61,62,63)と、制御装置6に信号を送るリモコン60と、を備えている。
【0024】
複合熱源ヒートポンプ装置1は、
図2に示すように、第1ヒートポンプ回路である地中熱ヒートポンプ装置4と、第2ヒートポンプ回路である空気熱ヒートポンプ装置5とを直列に連結したハイブリッド型のヒートポンプ装置であり、暖房装置および冷房装置として機能させることができるが、以下の実施形態においては主として暖房装置として使用している場合の構成要素および動作について説明する。
【0025】
放熱端末2(21,22)は、
図2に示すように、被空調空間を加熱する床暖房パネルやパネルコンベクタであり、複数を配設することができるが、数量や仕様が特に限定されるものではないため、詳細な説明は省略する。
【0026】
加熱熱交換部3は、放熱端末2に循環液Lを循環させる加熱循環回路31と、加熱循環回路31に配設され循環液Lを圧送する加熱循環ポンプ32と、放熱端末2に供給する循環液Lの供給をそれぞれ制御する熱動弁33(33a,33b)と、放熱端末2から流出して戻ってくる循環液Lの温度を計測する端末温度センサ34と、流路の圧力を調整するシスターン35と、を備えている。
【0027】
加熱循環回路31は、地中熱ヒートポンプ装置4の凝縮器としての第1加熱熱交換器41と、空気熱ヒートポンプ装置5の凝縮器としての第2加熱熱交換器51と、を備えている。
第1加熱熱交換器41は、加熱循環回路31における第2加熱熱交換器51の上流側に直列に配設されている。
【0028】
かかる構成により、冬季の寒冷地等において外気温が低く暖房負荷が過大になるような環境では、第1加熱熱交換器41が加熱した循環液Lをさらに第2加熱熱交換器51で加熱することができるため、放熱端末2を加熱する循環液Lを迅速に目標温度まで到達させることができる。
【0029】
端末温度センサ34は、加熱循環回路31における第1加熱熱交換器41の上流側に配設され、放熱端末2から流出した循環液Lの温度を検出して快適な暖房が得られるように制御装置6で制御する。
【0030】
地中熱ヒートポンプ装置4は、第1加熱熱交換器41に高温の第1冷媒C1(例えば、R410AやR32等のHFC冷媒や、二酸化炭素冷媒)を供給する冷媒循環路42と、第1加熱熱交換器41に第1冷媒C1を圧縮して送出する第1圧縮機43と、第1圧縮機43から第1加熱熱交換器41までの冷媒循環路42に設けられ第1圧縮機43で圧縮された第1冷媒C1の温度を検出する温度センサ42aと、第1加熱熱交換器41から流出された第1冷媒C1を減圧する第1膨張弁44と、第1膨張弁44から後記の地中熱源熱交換器45までの冷媒循環路42に設けられ第1膨張弁44によって減圧された低温の第1冷媒C1の温度を検出する温度センサ42bと、第1膨張弁44によって減圧された低温の第1冷媒C1を加熱する地中熱源熱交換器45と、地中熱源熱交換器45に熱媒H1(例えば、不凍液)を供給する熱媒循環路46と、熱媒循環路46の熱媒H1を圧送する地中熱循環ポンプ47と、熱媒循環路46に配設された地中熱交換器48と、熱媒循環路46の圧力を調整するシスターン49と、を備えている。
【0031】
かかる構成により、地中熱ヒートポンプ装置4は、地中熱源熱交換器45では、熱媒循環路46を循環する熱媒H1と冷媒循環路42を循環する第1冷媒C1とが対向して流れて熱交換が行われるため、地中熱交換器48が採熱した地中熱を第1冷媒C1に伝達する。そして、この第1冷媒C1を第1圧縮機43により圧縮して第1加熱熱交換器41に供給する。
第1加熱熱交換器41では、第1圧縮機43により圧縮された高温の第1冷媒C1と加熱循環回路31を通って放熱端末2から戻ってきた低温の循環液Lとが対向して流れて熱交換が行われ、循環液Lを加熱するようになっている。
【0032】
空気熱ヒートポンプ装置5は、第2加熱熱交換器51に高温の第2冷媒C2(例えば、R410AやR32等のHFC冷媒や、二酸化炭素冷媒)を供給する冷媒循環路52と、第2加熱熱交換器51に第2冷媒C2を圧縮して送出する第2圧縮機53と、第2圧縮機53から第2加熱熱交換器51までの冷媒循環路52に設けられ第2圧縮機53で圧縮された第2冷媒C2の温度を検出する温度センサ52aと、第2加熱熱交換器51から流出された第2冷媒C2を減圧する第2膨張弁54と、第2膨張弁54から後記の空気熱源熱交換器55までの冷媒循環路52に設けられ第2膨張弁54によって減圧された低温の第2冷媒C2の温度を検出する温度センサ52bと、第2膨張弁54によって減圧された低温の第2冷媒C2を加熱する空気熱源熱交換器55と、空気熱源熱交換器55から流出する第2冷媒C2の温度を検出する温度センサ52cと、外気温を検出する外気温センサ57と、冷媒循環路52における第2冷媒C2の流れ方向を変えて暖房と冷房を切り替える4方弁58と、を備えている。
空気熱源熱交換器55は、送風ファン56から送風される空気と第2冷媒C2との熱交換を行って第2冷媒C2を加熱する。
【0033】
かかる構成により、空気熱ヒートポンプ装置5は、第2加熱熱交換器51では、第2圧縮機53により圧縮された高温の第2冷媒C2と加熱循環回路31の上流側に配設された第1加熱熱交換器41から流出してくる循環液Lとが対向して流れて熱交換が行われ、第1加熱熱交換器41で加熱された循環液Lをさらに加熱できるようになっている。
【0034】
制御装置6は、加熱熱交換部3および地中熱ヒートポンプ装置4の動作を制御する地中熱ヒートポンプ制御装置61と、空気熱ヒートポンプ装置5の動作を制御する空気熱ヒートポンプ制御装置62と、除霜動作を制御する除霜動作制御装置63と、を備えている。制御装置6は、外気温センサ57や温度センサ42a,42b等の各温度センサ、およびリモコン60からの信号を受けて、複合熱源ヒートポンプ装置1の動作を制御できるようになっている。
【0035】
除霜動作制御装置63は、
図2に示すように、除霜動作を実行する除霜動作実行手段63aと、除霜動作時間の基準値である基準除霜動作時間を算出する基準除霜時間算出手段63bと、この基準除霜動作時間が所定の閾値(予め設定した規定時間)内であるかどうかを判定する基準除霜時間判定手段63cと、を有し、基準除霜動作時間が所定の閾値を超えている場合には、所定の除霜回転速度よりも回転速度を低く設定した状態で加熱循環ポンプ32を駆動させながら除霜動作を実行する。
【0036】
<除霜動作実行手段>
除霜動作実行手段63aは、加熱循環ポンプ32を所定の除霜回転速度で駆動させ放熱端末2による暖房運転を継続した状態で、第2圧縮機53によって加熱された第2冷媒C2を空気熱源熱交換器51に供給して空気熱源熱交換器51の除霜動作を実行する。
【0037】
[暖房運転]
制御装置6は、外気温センサ57の検出する外気温度に基づき、地中熱ヒートポンプ装置4および空気熱ヒートポンプ装置5のうち、熱源として採熱効率のよい方を選択して暖房運転を実行する。
また、外気温度がさらに低下する等して暖房負荷が大きくなり一方の作動のみでは所望の暖房出力が得られないときなどには、制御装置6は、地中熱ヒートポンプ装置4および空気熱ヒートポンプ装置5の両方を作動させる。
【0038】
例えば春季や秋季のように外気温度がそれほど低くない場合(例えば5℃以上)で、暖房負荷が小さい場合には、制御装置6は、空気熱ヒートポンプ装置5のみを作動させる。
この場合、制御装置6は、第2圧縮機53、第2膨張弁54、送風ファン56、および加熱循環ポンプ32の駆動を開始させ、負荷運転としての暖房運転が開始される。暖房運転が開始されると、第2加熱熱交換器51では加熱循環ポンプ32により循環される循環液Lと第2圧縮機53から吐出された高温高圧の第2冷媒C2とが熱交換され、加熱された循環液Lが放熱端末2に供給され被空調空間を加熱するとともに、空気熱源熱交換器55では、送風ファン56の作動により送られる空気と第2膨張弁54から吐出された低温低圧の第2冷媒C2とが熱交換され、空気熱により第2冷媒C2を加熱し蒸発させる。なお、この場合、加熱循環回路31を循環する循環液Lは、第1加熱熱交換器41も通過することになるが、このときには地中熱ヒートポンプ装置4は作動していないため、第1加熱熱交換器41では加熱されることなく通過する。
【0039】
一方、冬季のように外気温度が低い場合(例えば5℃以下)には、制御装置6は、地中熱源を利用する地中熱ヒートポンプ装置4のみを作動させる。
この場合、制御装置6は、第1圧縮機43、第1膨張弁44、地中熱循環ポンプ47、および加熱循環ポンプ32の駆動を開始させ、負荷運転としての暖房運転が開始される。暖房運転が開始されると、第1加熱熱交換器41では加熱循環ポンプ32により循環される循環液Lと第1圧縮機43から吐出された高温高圧の第1冷媒C1とが熱交換され、加熱された循環液Lが放熱端末2に供給され被空調空間を加熱するとともに、地中熱源熱交換器45では、地中熱循環ポンプ47により循環され地中熱交換器23を介して地中熱を採熱した熱媒H1と第1膨張弁44から吐出された低温低圧の第1冷媒C1とが熱交換され、地中熱により第1冷媒C1を加熱し蒸発させる。なお、この場合、加熱循環回路31を循環する循環液Lは、第2加熱熱交換器51も通過することになるが、このときには空気熱ヒートポンプ装置5は作動していないため、第2加熱熱交換器51では加熱されることなく通過する。
【0040】
また、暖房運転の立ち上げ時や、地中熱ヒートポンプ装置4または空気熱ヒートポンプ装置5のどちらか一方が作動している時に、外気温度がさらに低下する等して暖房負荷が大きくなり一方の作動のみでは所望の暖房出力が得られないときなどに、制御装置6は、地中熱ヒートポンプ装置4および空気熱ヒートポンプ装置5の両方を作動させる。
【0041】
地中熱ヒートポンプ装置4および空気熱ヒートポンプ装置5の両方が作動している暖房運転を例とした場合、制御装置6は、第1圧縮機43、第1膨張弁44、地中熱循環ポンプ47、第2圧縮機53、第2膨張弁54、送風ファン56、および加熱循環ポンプ32を駆動させ暖房運転が行われる。暖房運転中は、第1加熱熱交換器41では、加熱循環ポンプ32により循環される循環液Lと第1圧縮機43から吐出された高温高圧の第1冷媒C1とが対向して流れて熱交換が行われて循環液Lが加熱され、また、第2加熱熱交換器51では、加熱循環ポンプ32により循環される循環液Lと第2圧縮機53から吐出された高温高圧の第2冷媒C2とが対向して流れて熱交換が行われて循環液Lが加熱される。このように、加熱循環回路31を循環する循環液Lは、第1加熱熱交換器41で加熱された後、第2加熱熱交換器51でも加熱されて、熱動弁33を介して放熱端末2に送られ、リモコン60により指示された被空調空間を加熱する。
【0042】
[除霜動作]
このように、地中熱ヒートポンプ装置4と空気熱ヒートポンプ装置5とを作動させると共に加熱循環ポンプ32を駆動させて循環液Lを加熱する暖房運転時において、除霜動作実行手段63aは、除霜動作を実行する場合には、第2膨張弁54の開度は、暖房運転時よりも所定の開度である全開まで拡大し、加熱循環ポンプ32の所定の除霜回転速度は、暖房運転時よりも低く設定した第1の除霜回転速度とする。
【0043】
[除霜回転速度]
加熱循環ポンプ32の第1の除霜回転速度は、通常の暖房運転における回転速度よりも低く設定されている。例えば、通常の暖房運転における回転速度が3500rpmとすると、加熱循環ポンプ32の第1の除霜回転速度は、3500rpmよりも低い2500rpmとすることができる。
【0044】
なお、本実施形態においては、通常の暖房運転における加熱循環ポンプ32の回転速度を3500rpmとし、除霜動作を行っている時の加熱循環ポンプ32の除霜回転速度を2500rpmとしたが、これに限定されるものではなく、通常の暖房運転における加熱循環ポンプ32の回転速度、および除霜回転速度は、ヒートポンプ装置の仕様や圧縮機の性能、設置環境、熱負荷等を勘案しながら、必要な暖房出力と除霜動作時間とのバランスを考慮して適宜設定される。
【0045】
かかる構成により、複合熱源ヒートポンプ装置1は、加熱循環ポンプ32の回転速度を通常の暖房運転における回転速度よりも適宜低く設定することで、通常の暖房運転の時よりも除霜運転の時の方が、第2加熱熱交換器51を介して冷媒循環回路52から加熱循環回路31に伝達される熱量を少なくすることができる。
このようにして、複合熱源ヒートポンプ装置1は、空気熱源熱交換器55の除霜用に第2圧縮機53で圧縮した第2冷媒C2の熱が、第2加熱熱交換器51を介して放熱端末2側の循環液Lに奪われすぎないようにより適切に加熱循環ポンプ32の回転速度を調整することができるため、より速やかに除霜動作を完了することができる。
【0046】
除霜動作は、第2圧縮機53で圧縮した高温の第2冷媒C2を空気熱源熱交換器55に供給して空気熱源熱交換器55の除霜を行う動作である。
除霜動作の形態は、
図3に示すように、暖房動作(
図1参照)と同様に同じ方向に第2冷媒C2を循環させて除霜する。
【0047】
具体的には、除霜動作は、第2圧縮機53で圧縮した高温の第2冷媒C2を第2加熱熱交換器51に供給して循環液Lとの熱交換を行ない第2膨張弁54を通過させて空気熱源熱交換器55に供給し空気熱源熱交換器55の除霜を行うものであり、この除霜動作時は、第2膨張弁54の開度を所定の開度である全開まで拡大することで、第2膨張弁54では第2冷媒C2は減圧されることなく通過して、第2冷媒C2は暖かいまま空気熱源熱交換器55に供給され、空気熱源熱交換器55に発生した霜を溶かすものである。
【0048】
除霜動作時間は、除霜動作の開始から完了までの時間であり、パイロットランプ(不図示)等の表示手段で外部からも確認することができる。
除霜動作の開始は、例えば、外気温センサ57(
図2参照)で検出した外気温、または外気温と温度センサ52c(
図2参照)で検出した空気熱源熱交換器55の温度との温度差から制御装置6が判断して除霜動作を開始することができる。また、除霜動作の完了は、例えば、温度センサ52c(
図2参照)で検出した空気熱源熱交換器55の温度上昇から制御装置6が判断して除霜動作を終了することができる。
【0049】
<基準除霜時間算出手段>
基準除霜時間算出手段63bは、
図4に示すように、所定の期間内(例えば、1週間)における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間を算出してこの平均除霜動作時間を基準除霜動作時間として採択する。
【0050】
具体的には、基準除霜時間算出手段63bは、
図4に示すように、所定の期間内として、例えば、1週間(第1日から第7日まで)とし、第1日目には複数回(N回、例えば2回)の除霜動作を実行し、第1日から第7日までに実行した合計の複数回(例えば14回)実行した除霜動作から平均除霜動作時間(200秒)を算出してこの平均除霜動作時間(200秒)を基準除霜動作時間として採択する。また、所定の期間内である1週間(第1日から第7日まで)の次の1週間(第8日から第14日まで)も同様に算出して、1週間ごとに上書きして更新した基準除霜動作時間を採択する。
【0051】
なお、本実施形態においては、所定の期間内(1週間)における平均除霜動作時間を基準除霜動作時間として採択したが、これに限定されるものではなく、所定の期間内における最大除霜動作時間を基準除霜動作時間として採択してもよい。また、本実施形態においては、不用意な変動やバラツキを回避するために所定の期間内として1週間を採用したが、1日の平均除霜動作時間(例えば、第1日では180秒、第2日では200秒)を採択して毎日更新してもよい。
【0052】
<基準除霜時間判定手段>
基準除霜時間判定手段63cは、基準除霜時間算出手段63bが求めた基準除霜動作時間である平均除霜動作時間(200秒)が所定の閾値(予め設定した規定時間、例えば、170秒)以内であるかどうかを判定する。
そして、除霜動作制御装置63は、基準除霜動作時間である平均除霜動作時間(200秒)が所定の閾値(170秒)を超えている場合には、所定の期間内である第1週目の1週間(第1日から第7日まで)の翌週の第2週目の1週間(第8日から第14日まで)に対しては、第1の除霜回転速度(例えば、2500rpm)よりも所定の回転速度ΔRrpm(例えば、100rpm)だけ低く補正した第2の除霜回転速度(2500−ΔR=2400rpm)で加熱循環ポンプ32を駆動させながら除霜動作を実行する。
【0053】
続いて、本発明の実施形態に係る複合熱源ヒートポンプ装置1における動作について、主として
図5と
図6を参照しながら説明する。
参照する
図5は複合熱源ヒートポンプ装置1の動作を示す流れ図である。
図6は、動作の具体例を示す図であり、(a)は第1週目の状態、(b)は加熱循環ポンプの回転速度を(a)の状態から所定の回転速度だけ低く補正した第2週目の状態、(c)は(b)の状態からさらに所定の回転速度だけ低く補正して除霜動作時間が規定時間以内になった第3週目の状態である。
【0054】
図5に示すように、基準除霜時間算出手段63b(
図2参照)は、所定の期間内(例えば、1週間)における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間(200秒)を算出して、この平均除霜動作時間(200秒)を基準除霜動作時間として採択する(S1)。
基準除霜時間判定手段63c(
図2参照)は、基準除霜動作時間である平均除霜動作時間(200秒)が所定の閾値(予め設定した規定時間、例えば、170秒)以内であるかどうかを判定する(S2)。
【0055】
ステップS2において、平均除霜動作時間(200秒)が規定時間(170秒)以内に終了しなかったと基準除霜時間判定手段63cが判断した場合(
図5のS2のNo)には(
図6(a)参照)、除霜動作制御装置63は、除霜動作を実行する際に、第1の除霜回転速度(例えば、2500rpm)よりも所定の回転速度ΔRrpm(例えば、100rpm)だけ低く補正した第2の除霜回転速度(2500−ΔR=2400rpm)で加熱循環ポンプ32を駆動させる(
図5のS4)。
【0056】
加熱循環ポンプ32を第1週目の回転速度よりもΔRrpm(例えば、100rpm)だけ低く設定して駆動することで、第2週目(第8日から第14日まで)の平均除霜動作時間は第1週目の200秒よりも短縮されて、(200−ΔT1)秒となる。
つまり、加熱循環ポンプ32の回転速度を第1週目よりもΔRrpm(例えば、100rpm)だけ低く設定することで、第2加熱熱交換器51を介して冷媒循環回路52を流れる第2冷媒C2から加熱循環回路31を流れる循環液Lに伝達される熱量を少なくすることができるため、第2週目では、平均除霜動作時間を短縮してより速やかに除霜動作を完了することができる(
図6(b)参照)。
【0057】
このようにして、
図6(b)に示すように、第2週目における平均除霜動作時間は、第1週目の200秒よりも短縮されて、(200−ΔT1)秒となるが、規定時間(170秒)を超えているため、除霜動作制御装置63は、除霜動作を実行する際に、第3週目ではさらに加熱循環ポンプ32の回転速度をΔRrpm(例えば、100rpm)だけ低く設定した状態(2400−ΔR=2300rpm)で加熱循環ポンプ32を駆動させる(
図5のS1,S2,S4)。
これによって、
図6(c)に示すように、第3週目における平均除霜動作時間は、第2週目の(200−ΔT1)秒よりもさらに短縮されて、(200−ΔT1−ΔT2)秒となる。
【0058】
このため、
図5のS2のYesに示すように、ステップS2において、平均除霜動作時間(200−ΔT1−ΔT2)秒が規定時間(170秒)以内に終了したと基準除霜時間判定手段63cが判断した場合(
図6(c)参照)には、除霜動作制御装置63は、除霜動作を実行する際に、第4週目では加熱循環ポンプ32の回転速度を、第3週目での加熱循環ポンプ32の回転速度と同じ2300rpmに維持する(
図5のS3)。
【0059】
以上のように構成した本発明の実施形態に係る複合熱源ヒートポンプ装置1は、以下のような作用効果を奏する。
すなわち、所定の期間内(1週間)における複数回実行した除霜動作から平均除霜動作時間を算出することで、設置環境においてばらつきのない基準除霜動作時間を算出することができ、さらに、算出された基準除霜動作時間が予め設定された規定時間以内になるように、加熱循環ポンプ32の回転速度が設定されるので、放熱端末2の種類や放熱端末2までの加熱循環回路31の配管長の違いといった施工状況の違いに関係なく、設置環境に応じて自動で除霜動作時の加熱循環ポンプの回転速度を適切に設定するので、除霜動作時間が長引くことなく、且つ暖房も適切に行うことができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されず、適宜変形して実施することが可能である。例えば、本実施形態においては、地中熱ヒートポンプ装置4と空気熱ヒートポンプ装置5の2台のヒートポンプを直列に連結したが、これに限定されるものではなく、3台以上を連結してもよい。