(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-148377(P2015-148377A)
(43)【公開日】2015年8月20日
(54)【発明の名称】燃焼制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F23C 1/00 20060101AFI20150724BHJP
F23D 17/00 20060101ALI20150724BHJP
【FI】
F23C1/00
F23D17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-21184(P2014-21184)
(22)【出願日】2014年2月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000199887
【氏名又は名称】川重冷熱工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076705
【弁理士】
【氏名又は名称】塩出 真一
(74)【代理人】
【識別番号】100107283
【弁理士】
【氏名又は名称】塩出 洋三
(72)【発明者】
【氏名】上田 知弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 義人
(72)【発明者】
【氏名】平松 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】清田 一真
【テーマコード(参考)】
3K065
3K091
【Fターム(参考)】
3K065RA02
3K091AA20
3K091BB02
3K091BB25
3K091CC22
3K091CC23
3K091CC24
3K091DD02
(57)【要約】
【課題】ボイラ等の燃焼制御において、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合に、高価な主たる燃料を使用することなく安価な副たる燃料を有効に使用することができる燃焼制御方法及び装置を提供する。
【解決手段】主たる燃料を燃焼させて起動し、主たる燃料と副たる燃料を燃焼させるボイラ50に設置された燃焼装置の燃焼状態を制御する方法において、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の少なくとも3つの燃焼モードを制御盤66のモード切換スイッチ68により切り換えること等により燃焼制御を行うように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たる燃料を燃焼させて起動し、主たる燃料と副たる燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼状態を制御する方法において、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の少なくとも3つの燃焼モードの切換による燃焼制御を行うことを特徴とする燃焼制御方法。
【請求項2】
第1モードから第2モードへ切り換える際は、副たる燃料が存在する場合に、副たる燃料を供給して主たる燃料との混焼に燃焼を継続しながら切り換え、第2モードから第1モードへ切り換える際は、副たる燃料が存在しなくなった場合に、主たる燃料の専焼に燃焼を継続しながら切り換える請求項1記載の燃焼制御方法。
【請求項3】
第2モードから第3モードへ切り換える際は、副たる燃料だけで制御が可能な状態になった場合に、主たる燃料を遮断して副たる燃料の専焼に燃焼を継続しながら切り換え、第3モードから第2モードへ切り換える際は、副たる燃料だけで制御が不可能な状態になった場合に、主たる燃料を供給して副たる燃料との混焼に燃焼を継続しながら切り換える請求項1又は2記載の燃焼制御方法。
【請求項4】
燃焼モードを切り換える際は、主たる燃料を漸増させながら副たる燃料を漸減させたり、主たる燃料を漸減させながら副たる燃料を漸増させたりして、熱量の変化が連続的になるようにした請求項1、2又は3記載の燃焼制御方法。
【請求項5】
副たる燃料がn(n≧2)種類ある場合に、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる各燃料の専焼(第3〜第n+2モード)の多モードの切換による燃焼制御を行う請求項1〜4のいずれかに記載の燃焼制御方法。
【請求項6】
主たる燃料を燃焼させて起動し、主たる燃料と副たる燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼状態を制御する装置において、
主たる燃料を燃焼装置に供給する主たる燃料供給・遮断手段及び主たる燃料の供給量を調整する主たる燃料流量制御手段を有する主たる燃料供給ラインと、
副たる燃料を燃焼装置に供給する副たる燃料供給・遮断手段及び副たる燃料の供給量を調整する副たる燃料流量制御手段を有する副たる燃料供給ラインと、
主たる燃料供給・遮断手段、主たる燃料流量制御手段、副たる燃料供給・遮断手段及び副たる燃料流量制御手段に接続され、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の少なくとも3つの燃焼モードを切り換えて燃焼制御を行う燃焼モード切換制御手段と、を備えたことを特徴とする燃焼制御装置。
【請求項7】
副たる燃料がn(n≧2)種類ある場合に、n個の副たる燃料供給ラインを設けるとともに、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる各燃料の専焼(第3〜第n+2モード)の多モードの燃焼モードを切り換える燃焼モード切換制御手段を設けた請求項6記載の燃焼制御装置。
【請求項8】
燃焼装置が、ボイラに設置された燃焼装置である請求項6又は7記載の燃焼制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ、炉等に設置された燃焼装置において燃料を燃焼させる際の燃焼制御方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学製品などの生産過程から副産物として発生する副生燃料(副たる燃料)は、有効利用の要望が高まっている。しかしながら、副たる燃料は発生量が安定しない。このため、例えば、ボイラにて必要蒸気量を確保しようとする場合、不足分は主たる燃料である化石燃料で補い、主たる燃料と副たる燃料とを混焼(混合燃焼)させる方法が採られている。
【0003】
この場合の燃焼制御として、従来は、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)との2つの燃焼モードを切り換えることで、一例として、ボイラを用いた場合の蒸気(スチーム)需要に対応していた。
【0004】
従来、燃焼制御装置の一例として、
図3に示すものが知られている。
図3において、ボイラ10の起動(燃焼開始)は、「主たる燃料の専焼」(第1モード)で行う。自動制御手順に従って主たる燃料遮断弁12を開き着火する。そして、ボイラ10が所定の圧力(常用圧力)に達すると、ボイラ10の圧力が一定になるように主たる燃料流量制御弁14を開閉する。その燃料を燃焼させるのに必要な空気量になるように、燃焼用空気操作器16を介して燃焼用空気ダンパ18を開閉し、適量の空気をバーナ20に送る。22はボイラ圧力発信器、24はボイラ圧力調節計である。
【0005】
その後、副たる燃料が供給状態になると、副たる燃料流量指令計30により副たる燃料量を手動又は自動で設定する。そして、制御盤26のモード切換スイッチ28を「主たる燃料の専焼」から「主たる燃料と副たる燃料の混焼」に切り換え、「主たる燃料と副たる燃料の混焼」(第2モード)とする。自動制御手順に従って副たる燃料遮断弁32を開き燃焼を継続しながら混焼燃焼を開始する。副たる燃料流量調節計34と主たる燃料流量調節計36にて演算、制御してドラム圧力(ボイラ圧力)が一定になるように自動制御する。38は副たる燃料流量制御弁、40は主たる燃料流量計、42は副たる燃料流量計である。なお、燃焼を継続しながら主たる燃料の専焼にする場合は、これを逆の手順で行う。
【0006】
そして、
図4は従来の燃焼制御方法における制御フローの一例を示している。
図4において、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)との燃焼モードの切換は、例えば、次のように行う。すなわち、副たる燃料が存在する場合は混焼(第2モード)に切り換え、副たる燃料が存在しなくなると専焼(第1モード)に切り換える。副たる燃料の存在は、例えば、副たる燃料が貯留されるタンクの液位、圧力により検知し、手動又は自動的に燃焼モードを切り換える。
【0007】
また、下記の特許文献1には、バイオガス混合燃料を用いる燃焼装置において安定した燃焼を確保するために、標準燃料(主燃料)とバイオガス(副燃料)の混合燃料又は標準燃料(主燃料)の流量を多段階の燃焼モードに応じて制御する燃焼装置が開示されている。下記の特許文献1の技術では、副たる燃料であるバイオガスの専焼モードは存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−247554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の燃焼制御では、主たる燃料と副たる燃料の燃焼において、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)との2つの燃焼モードでの制御しか行うことができなかった。このため、例えば、ボイラを用いた場合に、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえるときでも、化石燃料である主たる燃料を使用することになっていた。さらに、副たる燃料が1種類ではなく複数種類の場合においても、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼による燃焼制御しかできなかった。
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、例えば、ボイラを用いた場合に、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえるときでも、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)との2つの燃焼モードでの制御しか行うことができないために、主たる燃料である高価な化石燃料を使用しなければならず、安価な副たる燃料を有効に使用することができないという点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一例として、ボイラの燃焼制御において、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合に、高価な主たる燃料を使用することなく安価な副たる燃料を有効に使用することができる燃焼制御方法及び装置を提供するために、主たる燃料と副たる燃料の燃焼において、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)に加えて、副たる燃料の専焼(第3モード)等の付加による少なくとも3つの燃焼モードでの制御を行うことを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明の燃焼制御方法は、主たる燃料を燃焼させて起動し、主たる燃料と副たる燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼状態を制御する方法において、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の少なくとも3つの燃焼モードの切換による燃焼制御を行うことを特徴としている。
【0013】
上記の方法において、第1モードから第2モードへ切り換える際は、副たる燃料が存在する場合に、副たる燃料を供給して主たる燃料との混焼に燃焼を継続しながら切り換え、第2モードから第1モードへ切り換える際は、副たる燃料が存在しなくなった場合に、主たる燃料の専焼に燃焼を継続しながら切り換えることができる。また、上記の方法において、第2モードから第3モードへ切り換える際は、副たる燃料だけで制御が可能な状態になった場合に、主たる燃料を遮断して副たる燃料の専焼に燃焼を継続しながら切り換え、第3モードから第2モードへ切り換える際は、副たる燃料だけで制御が不可能な状態になった場合に、主たる燃料を供給して副たる燃料との混焼に燃焼を継続しながら切り換えることができる。
【0014】
また、これらの方法において、燃焼モードを切り換える際は、主たる燃料を漸増させながら副たる燃料を漸減させたり、主たる燃料を漸減させながら副たる燃料を漸増させたりして、熱量の変化が連続的になるようにすることが好ましい。燃料が漸増・漸減的に変わる制御を行わないと、専焼と混焼のモード切換時は熱量が断続的に変わる。一方、どの燃焼モードにおいても、必要な熱量が自動制御により連続的に変わることが好ましい。例えば、主たる燃料の専焼(第1モード)から主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)に切り換えるときは、切換信号入力に際して、主たる燃料を漸減しながら、副たる燃料を漸増して、熱量の変化が連続的になるようにする。
【0015】
また、これらの方法において、副たる燃料がn(n≧2)種類ある場合に、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる各燃料の専焼(第3〜第n+2モード)の多モードの切換による燃焼制御を行うことができる。なお、副たる燃料としては、例えば、工場等の生産過程から副産物として発生する水素、COG(コークス炉ガス)、バイオマスにより発生したガスなどの副生ガス、及び植物油、動物油、溶剤などの副生油等を用いることができる。
【0016】
本発明の燃焼制御装置は、主たる燃料を燃焼させて起動し、主たる燃料と副たる燃料を燃焼させる燃焼装置の燃焼状態を制御する装置において、主たる燃料を燃焼装置に供給する主たる燃料供給・遮断手段及び主たる燃料の供給量を調整する主たる燃料流量制御手段を有する主たる燃料供給ラインと、副たる燃料を燃焼装置に供給する副たる燃料供給・遮断手段及び副たる燃料の供給量を調整する副たる燃料流量制御手段を有する副たる燃料供給ラインと、主たる燃料供給・遮断手段、主たる燃料流量制御手段、副たる燃料供給・遮断手段及び副たる燃料流量制御手段に接続され、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の少なくとも3つの燃焼モードを切り換えて燃焼制御を行う燃焼モード切換制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
上記の装置において、副たる燃料がn(n≧2)種類ある場合に、n個の副たる燃料供給ラインを設けるとともに、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる各燃料の専焼(第3〜第n+2モード)の多モードの燃焼モードを切り換える燃焼モード切換制御手段を設けた構成とすることができる。また、これらの装置において、燃焼装置としては、ボイラに設置された燃焼装置を用いることができるが、他の炉の燃焼装置も、勿論、用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の燃焼制御方法及び装置は、副たる燃料だけで制御が可能な状態である場合に、高価な主たる燃料を使用しないで済むので、安価な副たる燃料を有効に使用することができる。例えば、ボイラの燃焼制御において、副たる燃料だけで蒸気(スチーム)需要をまかなえる場合に、高価な主たる燃料をまったく使用することなく、安価な副たる燃料を有効利用することができるので、生産コストを低減することができる。
【0019】
本発明の燃焼方式では、通常において、主たる燃料は外部より購入する化石燃料であり、副たる燃料は設置場所において生産活動により副生的に発生する燃料(以下、「副生燃料」という。)である。副生燃料は、外部販売もできるが化石燃料に比べると安価である。このため、副生燃料により蒸気需要がまかなえる場合においては、化石燃料をまったく使用することなく、生産コストを低減することができる。
【0020】
また、燃焼モードを切り換える際に、燃料が漸増・漸減的に変わるように制御する場合は、熱量が断続的に変化することなく、熱量の変化が連続的になるので、安定的に燃焼制御をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明の燃焼制御装置の構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は本発明の燃焼制御方法における制御フローの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は従来の燃焼制御装置の構成の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は従来の燃焼制御方法における制御フローの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
主たる燃料と副たる燃料を燃焼させるボイラ等の燃焼制御において、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合に、高価な主たる燃料を使用することなく安価な副たる燃料を有効に使用することができる燃焼制御方法及び装置を提供するという目的を、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)に加えて、副たる燃料の専焼(第3モード)等の付加による少なくとも3つの燃焼モードでの制御を行うことにより実現した。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施できるものである。例えば、下記の実施形態では、ボイラに設置された燃焼装置について説明しているが、焼却炉、燃焼炉、吸収式冷凍機等、ボイラ以外の機器に設置された燃焼装置に対しても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0024】
図1は、本発明の実施の第1形態における燃焼制御装置を示している。本実施の形態は、一例として、下記のような3モードの切換による燃焼制御を行うものである。主たる燃料供給ライン44には、主たる燃料供給・遮断手段として制御盤66等に接続された主たる燃料遮断弁52、主たる燃料流量制御手段として主たる燃料流量調節計76等に接続された主たる燃料流量制御弁54が設けられている。また、副たる燃料供給ライン46には、副たる燃料供給・遮断手段として制御盤66等に接続された副たる燃料遮断弁72、副たる燃料流量制御手段として副たる燃料流量調節計74等に接続された副たる燃料流量制御弁78が設けられている。そして、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる燃料の専焼(第3モード)の3つの燃焼モードを切り換えて燃焼制御を行う燃焼モード切換制御手段として、モード切換スイッチ68、副たる燃料流量指令計70、副たる燃料流量調節計74、主たる燃料流量調節計76、2入力接点切換器84等を備えた制御盤66が設けられている。
【0025】
図1において、ボイラ50の起動(燃焼開始)は、「主たる燃料の専焼」(第1モード)で行う。自動制御手順に従って主たる燃料遮断弁52を開き着火する。そして、ボイラ50が所定の圧力(常用圧力)に達すると、ボイラ50の圧力が一定になるように主たる燃料流量制御弁54を開閉する。その燃料を燃焼させるのに必要な空気量になるように、燃焼用空気操作器56を介して燃焼用空気ダンパ58を開閉し、適量の空気をバーナ60に送る。ボイラ50の圧力は、圧力信号をボイラ圧力発信器62からボイラ圧力調節計64に送信し、ボイラ圧力調節計64から燃料流量信号やダンパ開閉信号として発信することで一定に保たれる。また、主たる燃料流量計80から主たる燃料流量調節計76へ主たる燃料流量をフィードバック信号として送ることで、主たる燃料流量指示との偏差がなくなるように制御を行う。なお、ボイラとしては、例えば、炉筒煙管ボイラ、水管ボイラ、貫流ボイラ等を用いることができる。
【0026】
その後、副たる燃料が供給状態になると、副たる燃料流量指令計70により副たる燃料量を手動又は自動で設定する。そして、制御盤66のモード切換スイッチ68を「主たる燃料の専焼」から「主たる燃料と副たる燃料の混焼」に切り換え、「主たる燃料と副たる燃料の混焼」(第2モード)とする。自動制御手順に従って副たる燃料遮断弁72を開き燃焼を継続しながら混焼燃焼を開始する。副たる燃料流量調節計74と主たる燃料流量調節計76にて演算、制御してドラム圧力(ボイラ圧力)が一定になるように自動制御する。混焼燃焼の制御としては、一例として、副たる燃料を燃焼させながら主たる燃料による燃焼を自動制御する。この際、副たる燃料流量調節計74から主たる燃料流量調節計76へ副たる燃料流量信号を送信し、副たる燃料流量の熱量を減算することで、主たる燃料流量を制御する。また、主たる燃料流量計80から主たる燃料流量調節計76へ主たる燃料流量をフィードバック信号として送ることで、主たる燃料流量指示との偏差がなくなるように制御を行うとともに、副たる燃料流量計82から副たる燃料流量調節計74へ副たる燃料流量をフィードバック信号として送ることで、副たる燃料流量指示との偏差がなくなるように制御を行う。なお、主たる燃料としては、化石燃料、例えば、都市ガス等を用いることができる。副たる燃料としては、一例として、化学製品などの生産過程から副産物として発生する副生水素等を用いることができる。
【0027】
そして、例えば、副たる燃料にて蒸気需要がまかなえる場合は、制御盤66のモード切換スイッチ68を「主たる燃料と副たる燃料の混焼」から「副たる燃料の専焼」に切り換える。自動制御手順に従って主たる燃料遮断弁52を閉じて主たる燃料の供給を止め、燃焼を継続しながら「副たる燃料の専焼」(第3モード)とする。そして、副たる燃料量の指令を副たる燃料流量指令計70から2入力接点切換器84に入力し、2入力接点切換器84により「副たる燃料流量信号」に信号を切り換えて、副たる燃料流量調節計74にて演算、制御して副たる燃料流量制御弁78を開閉し、ドラム圧力(ボイラ圧力)が一定になるように自動制御する。このように、主たる燃料による自動制御から副たる燃料による自動制御に切り換える。
【0028】
以上が新たな3モード制御の一例である。これにより、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合等に、高価な主たる燃料をまったく使用することなく、安価な副たる燃料を有効利用することができる。なお、燃焼を継続しながら主たる燃料の専焼にする場合は、段落[0026]及び[0027]に記載された手順を逆の手順で行えばよい。また、本実施の形態のような3モード制御の場合、「副たる燃料の専焼」(第3モード)においてもボイラの起動(燃焼開始)が可能である。
【0029】
そして、
図2は本発明の燃焼制御方法における制御フローの一例を示している。
図2において、まず、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)との燃焼モードの切換は、例えば、次のように行う。すなわち、副たる燃料が存在する場合は混焼(第2モード)に切り換え、副たる燃料が存在しなくなると専焼(第1モード)に切り換える。副たる燃料の存在は、例えば、副たる燃料が貯留されるタンクの液位、圧力により検知し、手動又は自動的に燃焼モードを切り換える。
【0030】
つぎに、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)と副たる燃料の専焼(第3モード)との燃焼モードの切換は、例えば、次のように行う。すなわち、何らかの副たる燃料の存在だけで自動制御が可能な状態になった場合(例えば、副たる燃料である副生水素だけで蒸気需要がまかなえる場合など)は、主たる燃料を遮断して副たる燃料の専焼(第3モード)に切り換える。そして、副たる燃料だけで自動制御が不可能な状態になった場合(例えば、副たる燃料である副生水素だけでは蒸気需要がまかなえなくなった場合など)は、主たる燃料を供給して副たる燃料との混焼(第2モード)に切り換える。副たる燃料だけで自動制御が可能かどうかは、例えば、ボイラ負荷により判断し、手動又は自動で燃焼モードを切り換える。
【0031】
また、本発明の実施の第1形態において、制御盤66のモード切換スイッチ68により燃焼モードを切り換える際は、どのモード切換においても必要な熱量が自動制御により連続的に変わることが望ましい。そこで、
図1に示す装置においては、断続的に熱量が変わらず、漸増・漸減的に熱量が変わる制御とすることが好ましい。具体的には、主たる燃料を漸増させながら副たる燃料を漸減させたり、主たる燃料を漸減させながら副たる燃料を漸増させたりすることになる。
【0032】
例えば、主たる燃料の専焼(第1モード)から主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)に切り換えるときは、切換信号入力に際して、主たる燃料流量調節計76等に接続された主たる燃料流量制御弁54の開閉により主たる燃料を漸減しながら、副たる燃料流量調節計74等に接続された副たる燃料流量制御弁78の開閉により副たる燃料を漸増して、熱量の変化が連続的になるようにする。同様に、主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)から副たる燃料の専焼(第3モード)に切り換えるときは、切換信号入力に際して、主たる燃料流量調節計76等に接続された主たる燃料流量制御弁54の開閉により主たる燃料を漸減しながら、副たる燃料流量調節計74等に接続された副たる燃料流量制御弁78の開閉により副たる燃料を漸増して、熱量の変化が連続的になるようにする。
【実施例2】
【0033】
本発明の実施の第2形態は、
図1に示すような装置において、副たる燃料が1種類ではなく複数種類、一例として、2種類ある場合に、下記のような4モードの切換による燃焼制御を行うものである。なお、副たる燃料が3種類以上の場合にも本発明を適用できることは言うまでもない。本実施の形態は、例えば、ボイラの燃焼制御において、各々の副たる燃料だけで蒸気需要がまかなえる場合に適用することができる。
【0034】
具体的には、副たる燃料が2種類ある場合、2個の副たる燃料供給ラインを設けるとともに、主たる燃料の専焼(第1モード)、主たる燃料及び複数の副たる燃料の混焼(第2モード)、並びに副たる各燃料の専焼(第3モード、第4モード)の4つの燃焼モードを切り換えて燃焼制御を行う燃焼モード切換制御手段として、モード切換スイッチ、2個の副たる燃料流量指令計、2個の副たる燃料流量調節計、主たる燃料流量調節計等を備えた制御盤を設ける。2種類の副たる燃料としては、一例として、工場等の生産過程から副産物として発生する水素とバイオマスにより発生したガス(2種類の副生ガス)を用いることができる。なお、その他にも、COG(コークス炉ガス)などの副生ガス、及び植物油、動物油、溶剤などの副生油等を用いることができる。
【0035】
本実施の形態のような構成とすることにより、各々の副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合等に、高価な主たる燃料をまったく使用することなく、安価な副たる燃料を各々有効利用することができる。他の構成及び作用等は、実施の第1形態の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
主たる燃料と副たる燃料を燃焼させるボイラ等の燃焼制御において、主たる燃料の専焼(第1モード)と主たる燃料及び副たる燃料の混焼(第2モード)に加えて、副たる燃料の専焼(第3モード)等の付加による少なくとも3つの燃焼モードでの制御を行うことにより、副たる燃料だけで蒸気需要をまかなえる場合に、高価な主たる燃料をまったく使用することなく、安価な副たる燃料を有効に使用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10、50 ボイラ
12、52 主たる燃料遮断弁
14、54 主たる燃料流量制御弁
16、56 燃焼用空気操作器
18、58 燃焼用空気ダンパ
20、60 バーナ
22、62 ボイラ圧力発信器
24、64 ボイラ圧力調節計
26、66 制御盤
28、68 モード切換スイッチ
30、70 副たる燃料流量指令計
32、72 副たる燃料遮断弁
34、74 副たる燃料流量調節計
36、76 主たる燃料流量調節計
38、78 副たる燃料流量制御弁
40、80 主たる燃料流量計
42、82 副たる燃料流量計
44 主たる燃料供給ライン
46 副たる燃料供給ライン
84 2入力接点切換器