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特開2015-148831車載情報システム、情報端末、アプリケーション実行方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-148831(P2015-148831A)
(43)【公開日】2015年8月20日
(54)【発明の名称】車載情報システム、情報端末、アプリケーション実行方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/445 20060101AFI20150724BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20150724BHJP
【FI】
   G06F9/06 650A
   B60R16/02 660Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-124542(P2012-124542)
(22)【出願日】2012年5月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084412
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 冬紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121360
【弁理士】
【氏名又は名称】粟田 照久
(74)【代理人】
【識別番号】100149157
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 創史
(72)【発明者】
【氏名】奈良 憲和
(72)【発明者】
【氏名】阿部 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】内藤 雅文
(72)【発明者】
【氏名】松雪 克哉
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE20
5B376AE44
5B376AE51
5B376FA13
5B376GA03
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】携帯型の情報端末と車載装置を適切なタイミングで正しく連携させて情報端末のアプリケーションを実行する。
【解決手段】車載情報システムにおいて、携帯端末2は、制御部20の処理により、車載装置1との間で、第1の通信としての近距離無線通信が確立したか否かを判断すると共に、第2の通信としての映像および音声の通信が確立したか否かを判断する。その結果、第1の通信が確立したと判断し、かつ第2の通信が確立したと判断した場合に、サブアプリケーションMaを起動することで、メモリ部24に記憶されているアプリケーションをフォアグランドで実行するためのランチャ機能を起動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型の情報端末と車載装置とを有する車載情報システムであって、
前記情報端末は、
アプリケーションを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されているアプリケーションを実行する制御手段と、
前記車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断する第1通信接続確認手段と、
前記車載装置との間で前記第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断する第2通信接続確認手段と、
前記第1通信接続確認手段により前記第1の通信が確立したと判断され、かつ、前記第2通信接続確認手段により前記第2の通信が確立したと判断された場合に、前記記憶手段に記憶されているアプリケーションを前記制御手段にフォアグランドで実行させるためのランチャ機能を起動する起動手段とを備えることを特徴とする車載情報システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車載情報システムにおいて、
前記情報端末は、前記制御手段によりフォアグランドで実行されているアプリケーションに応じた画像を前記車載装置へ出力する画像出力手段をさらに備え、
前記車載装置は、
前記情報端末から出力された画像を表示する表示手段と、
ユーザによる操作を入力するための操作入力手段と、
前記操作入力手段により入力された前記操作に応じた操作情報を前記情報端末へ送信する操作情報送信手段とをさらに備え、
前記第1の通信は、前記操作情報送信手段により前記操作情報を前記車載装置から前記情報端末へ送信するための通信を含み、
前記第2の通信は、前記画像出力手段により前記画像を前記情報端末から前記車載装置へ出力するための通信を含むことを特徴とする車載情報システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載情報システムにおいて、
前記起動手段は、前記ランチャ機能を有する第1のサブアプリケーションを前記制御手段に実行させることで前記ランチャ機能を起動することを特徴とする車載情報システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車載情報システムにおいて、
前記制御手段は、前記第1のサブアプリケーションをフォアグランドで実行すると共に、前記第1の通信を行うための通信機能を有する第2のサブアプリケーションをバックグランドで実行することを特徴とする車載情報システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車載情報システムにおいて、
前記車載装置は、前記第1の通信が確立できない場合に所定のエラー画面を表示することを特徴とする車載情報システム。
【請求項6】
アプリケーションを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されているアプリケーションを実行する制御手段と、
車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断する第1通信接続確認手段と、
前記車載装置との間で前記第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断する第2通信接続確認手段と、
前記第1通信接続確認手段により前記第1の通信が確立したと判断され、かつ、前記第2通信接続確認手段により前記第2の通信が確立したと判断された場合に、前記記憶手段に記憶されているアプリケーションを前記制御手段にフォアグランドで実行させるためのランチャ機能を起動する起動手段とを備えることを特徴とする情報端末。
【請求項7】
携帯型の情報端末と車載装置とを有する車載情報システムを用いたアプリケーション実行方法であって、
アプリケーションを前記情報端末に予め記憶し、
前記情報端末により、前記車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断すると共に、前記車載装置との間で前記第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断し、
前記第1の通信および前記第2の通信が両方とも確立したと判断された場合に、前記情報端末により、前記アプリケーションをフォアグランドで実行するためのランチャ機能を起動することを特徴とするアプリケーション実行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載情報システムと、この車載情報システムにおいて用いられる情報端末およびアプリケーション実行方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やスマートフォンなどの携帯型の情報端末と車載装置とを連携することで、情報端末において様々なアプリケーションを実行して画像や音声を情報端末から車載装置へ出力し、その画像や音声を車載装置において出力するシステムが知られている。たとえば特許文献1には、車両に装備された装置が有する機能を特定するための機能情報を無線ICタグ等に保持しておき、この機能情報を情報端末が読み取って対応するアプリケーションのプログラムを自動的に起動することで、情報端末と車両内の装置との間で通信を確立するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−10287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているシステムでは、無線ICタグから所定の通信可能範囲内に情報端末を近づけると、その無線ICタグに保持された機能情報が情報端末において読み取られ、所望のアプリケーションのプログラムが起動される。したがって、この通信可能範囲内に情報端末を誤って近づけると、ユーザが意図しないにも関わらず当該アプリケーションのプログラムが勝手に起動されて通信が確立されてしまうことがある。また、通信可能範囲内に複数の情報端末が存在する場合、車両内の装置では、どの情報端末との間で通信を確立すればよいのかを判断することができない。このように、従来のシステムでは、携帯型の情報端末と車載装置を適切なタイミングで正しく連携させて情報端末のアプリケーションを実行するのが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による車載情報システムは、携帯型の情報端末と車載装置とを有する。情報端末は、アプリケーションを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されているアプリケーションを実行する制御手段と、車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断する第1通信接続確認手段と、車載装置との間で第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断する第2通信接続確認手段と、第1通信接続確認手段により第1の通信が確立したと判断され、かつ、第2通信接続確認手段により第2の通信が確立したと判断された場合に、記憶手段に記憶されているアプリケーションを制御手段にフォアグランドで実行させるためのランチャ機能を起動する起動手段とを備える。
本発明による情報端末は、アプリケーションを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されているアプリケーションを実行する制御手段と、車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断する第1通信接続確認手段と、車載装置との間で第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断する第2通信接続確認手段と、第1通信接続確認手段により第1の通信が確立したと判断され、かつ、第2通信接続確認手段により第2の通信が確立したと判断された場合に、記憶手段に記憶されているアプリケーションを制御手段にフォアグランドで実行させるためのランチャ機能を起動する起動手段とを備える。
本発明によるアプリケーション実行方法は、携帯型の情報端末と車載装置とを有する車載情報システムを用いたものであって、アプリケーションを情報端末に予め記憶し、情報端末により、車載装置との間で第1の通信が確立したか否かを判断すると共に、車載装置との間で第1の通信とは異なる第2の通信が確立したか否かを判断し、第1の通信および第2の通信が両方とも確立したと判断された場合に、情報端末により、アプリケーションをフォアグランドで実行するためのランチャ機能を起動する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、携帯型の情報端末と車載装置を適切なタイミングで正しく連携させて情報端末のアプリケーションを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施の形態による車載情報システムの構成を示す図である。
図2】車載装置および携帯端末の構成を示すブロック図である。
図3】携帯端末におけるソフトウェアの概略構成を示す図である。
図4】連携開始時に車載装置において実行される処理のフローチャートである。
図5】エラー画面の例を示す図である。
図6】連携開始時に携帯端末において実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による車載情報システムの構成を示す図である。図1に示す車載情報システムは、車両に搭載されて使用されるものであり、車載装置1と携帯端末2が近距離無線通信および映像・音声ケーブル3を介した有線通信で互いに接続されることによって実現される。車載装置1は、車両内に固定されており、たとえば車両のインストルメントパネル内などに設置されている。携帯端末2は、ユーザが持ち運び可能な携帯型の情報端末であり、たとえば携帯電話やスマートフォンなどである。なお、車載装置1と携帯端末2の間で行われる近距離無線通信には、たとえばBluetooth(登録商標)などを用いることができる。また、映像・音声ケーブル3を介した有線通信には、たとえばHDMI(登録商標)などを用いることができる。
【0009】
車載装置1には、表示部11と、操作キー(操作スイッチ)12a、12b、12c、12dおよび12eとが設けられている。表示部11は、各種の画像や映像を表示可能な表示モニタであり、たとえば液晶ディスプレイによって構成される。操作キー12a〜12eは、ユーザの入力操作を検出するための操作スイッチ類であり、車載装置1が実行中の処理に応じて様々な機能が割り当てられる。ユーザは、操作キー12a〜12eのうち任意の操作キーを操作することで、所望の機能を車載装置1に実行させることができる。なお、図1では操作キー12a〜12dを押圧可能なボタン式のスイッチとし、操作キー12eを左右に回転可能なダイヤル式のスイッチとした例を示しているが、各操作キーの配置、構造、数などはこの例に限定されない。また、表示部11をタッチパネル式の表示モニタとし、操作キーの一部または全部を省略してもよい。
【0010】
携帯端末2には、表示部21が設けられている。表示部21は、各種の画像や映像を表示可能なタッチパネル式の表示モニタであり、たとえばタッチ位置を検出するタッチセンサと液晶ディスプレイとを組み合わせて構成される。ユーザは、表示部21に表示される画像や映像の内容に応じて、表示部21上で任意の位置を指等でタッチすることで、所望の機能を携帯端末2に実行させることができる。なお、ここでは表示部21をタッチパネル式の表示モニタとした例を説明したが、タッチパネル式ではない通常の表示モニタとしてもよい。その場合、携帯端末2が実行する処理の内容に応じた各種の操作スイッチを携帯端末2に設けることが好ましい。あるいは、表示部21をタッチパネル式の表示モニタとし、さらに所定の操作に対応する操作スイッチを携帯端末2に設けてもよい。
【0011】
図2は、車載装置1および携帯端末2の構成を示すブロック図である。図2に示すように車載装置1は、制御部10、表示部11、操作部12、音声出力部13、メモリ部14、近距離無線通信インタフェース部15および映像・音声信号入力部16を有する。一方、携帯端末2は、制御部20、表示部21、操作部22、音声出力部23、メモリ部24、近距離無線通信インタフェース部25、映像・音声信号出力部26、無線通信部27およびGPS(Global Positioning System)受信部28を有する。
【0012】
車載装置1において、制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、メモリ部14に記録されている制御プログラムに基づいて各種の処理を実行する。この制御部10が行う処理により、各種の画像表示処理や音声出力処理などが実行される。
【0013】
さらに制御部10は、車両から出力される車速信号およびパーキング信号を取得する。この車速信号およびパーキング信号に基づいて、制御部10は、車両の走行状態が走行中または停車中のいずれであるかを判断する。なお、車両から制御部10への車速信号およびパーキング信号の出力は、たとえば、車両内に設けられた通信ネットワークである不図示のCAN(Controller Area Network)を経由して、車両に搭載された車速センサから車速パルスが出力されることにより行われる。
【0014】
表示部11は、図1を用いて前述したように、液晶ディスプレイ等によって構成される表示モニタである。操作部12は、ユーザの入力操作を検出するためのスイッチであり、たとえば図1に示した操作キー12a〜12eによって実現される。なお、前述のように表示部11をタッチパネル式の表示モニタとすることで、表示部11と操作部12を一体化された構成としてもよい。操作部12に対して行われたユーザの入力操作内容は制御部10へ出力され、制御部10が行う処理に反映される。
【0015】
音声出力部13は、アンプ、スピーカ等を有しており、制御部10の制御によって各種の音声を出力することができる。たとえば、携帯端末2または不図示の記録媒体から読み出された音楽データを再生した音楽や、車両を目的地まで誘導するための誘導音声などが音声出力部13から出力される。
【0016】
メモリ部14は、不揮発性のデータ格納装置であり、たとえばHDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリ等によって実現される。メモリ部14には、たとえば制御部10において用いられる前述の制御プログラムなど、各種のデータが記憶されている。メモリ部14におけるデータの読み出しおよび書き込みは、制御部10の制御により必要に応じて行われる。
【0017】
近距離無線通信インタフェース部15は、制御部10の制御により、携帯端末2との間で近距離無線通信を行う際に必要な無線インタフェース処理を行う。たとえば、制御部10から出力された情報を所定の無線信号形式に変換して携帯端末2へ送信したり、携帯端末2から所定の無線信号形式で出力された情報を受信して制御部10へ出力したりする。近距離無線通信インタフェース部15によるインタフェース処理は、Bluetooth等の所定の通信規格に従って行われる。
【0018】
映像・音声信号入力部16は、映像・音声ケーブル3を介して携帯端末2から入力される映像信号と音声信号を画面表示用の映像データと音声出力用の音声データにそれぞれ変換し、制御部10へ出力する。映像・音声信号入力部16から制御部10へ映像データと音声データが出力されると、制御部10は、表示部11を制御してその映像データに基づく画面を表示部11に表示させると共に、音声出力部13を制御してその音声データに基づく音声を音声出力部13に出力させる。
【0019】
一方、携帯端末2において、制御部20は、車載装置1の制御部10と同様にマイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、メモリ部24に記録されている制御プログラムに基づいて各種の処理を実行する。
【0020】
表示部21は、前述したようなタッチパネル式の表示モニタである。操作部22は、ユーザの入力操作を検出するための部分である。なお、図2では表示部21と操作部22を別々の構成として示しているが、実際には、操作部22はタッチパネル式の表示部21と一体化された構造を有している。あるいは、前述のように操作スイッチを携帯端末2に設けた場合は、その操作スイッチが操作部22に対応する。操作部22に対して行われたユーザの入力操作内容は制御部20へ出力され、制御部20が行う処理に反映される。
【0021】
音声出力部23は、アンプ、スピーカ等を有しており、制御部20の制御によって各種の音声を出力することができる。たとえば、携帯端末2を用いて通話を行ったときには、通話相手の音声が音声出力部23から出力される。
【0022】
メモリ部24は、車載装置1のメモリ部14と同様の不揮発性のデータ格納装置であり、制御部20の処理において利用するための各種のデータが記憶されている。このメモリ部24には、ユーザが予め入手した様々なアプリケーションプログラム(以下、単にアプリケーションと称する)が記憶されている。ユーザは、メモリ部24に記憶された各種アプリケーションの中からいずれかを選択して制御部20に実行させることにより、様々な機能を携帯端末2において実現することができる。
【0023】
近距離無線通信インタフェース部25は、車載装置1の近距離無線通信インタフェース部15と同様に、所定の通信規格に基づいた無線インタフェース処理を行う。すなわち、車載装置1と携帯端末2との間の情報通信は、近距離無線通信インタフェース部15と近距離無線通信インタフェース部25とが互いに無線通信で情報を授受することにより実現される。
【0024】
映像・音声信号出力部26は、制御部20により生成された画像(映像)と音声を、たとえばHDMI等の所定の通信規格に応じた映像信号と音声信号にそれぞれ変換し、映像・音声ケーブル3を介して車載装置1へ出力する。この映像信号と音声信号が車載装置1において映像・音声信号入力部16に入力されると、携帯端末2において表示部21に表示されるのと同一の画面が車載装置1の表示部11にも表示される。また、携帯端末2において音声出力部23から出力されるのと同一の音声が車載装置1の音声出力部13からも出力される。こうした機能はビデオミラーリングと呼ばれている。
【0025】
無線通信部27は、不図示の無線通信回線網を介して携帯端末2を他の携帯端末やサーバに接続するための無線通信を行う。携帯端末2は、無線通信部27が行う無線通信により、他の携帯端末との間で通話を行ったり、サーバから任意のアプリケーションをダウンロードしたりすることができる。なお、無線通信部27が行う無線通信では、たとえば携帯電話回線網や、無線LANを介したインターネット回線網などを無線通信回線網として利用することができる。
【0026】
GPS受信部28は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部20へ出力する。GPS信号には、携帯端末2の現在位置と現在時刻を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて現在位置と現在時刻を制御部20において算出することができる。
【0027】
次に、本車載情報システムにおける車載装置1と携帯端末2との連携機能について説明する。本車載情報システムは、車載装置1と携帯端末2との連携機能を有している。この連携機能を用いることで、車載装置1と携帯端末2とが互いに接続された状態で携帯端末2において様々なアプリケーションを実行すると、車載装置1において当該アプリケーションに応じた画像表示や音声出力を行うことができる。また、車載装置1に対して行われたユーザの操作内容を、携帯端末2において実行されているアプリケーションの動作に反映させることができる。
【0028】
たとえば、携帯端末2においてナビゲーション用のアプリケーションを実行することにより、車両を目的地まで誘導するためのナビゲーション処理を行うことができる。このナビゲーション処理では、携帯端末2において現在位置付近の地図を描画した地図画面を作成し、その地図画面に応じた映像信号を映像・音声信号出力部26から映像・音声ケーブル3を介して映像・音声信号入力部16へ出力する。これにより、携帯端末2から車載装置1へ地図画面を送信し、車載装置1の表示部11において現在位置付近の地図画面を表示できるようにする。また、車載装置1の操作部12または携帯端末2の操作部22を操作してユーザが目的地を設定すると、車両の現在位置を出発地として、そこから設定された目的地までの推奨経路を携帯端末2において探索する。そして、推奨経路上の誘導地点に車両が近づくと、その誘導地点における車両の進行方向に応じた誘導音声を携帯端末2から車載装置1へ送信する。これにより、車載装置1の音声出力部13から誘導音声を出力できるようにする。なお、このとき携帯端末2から車載装置1に対して、誘導音声出力の開始と終了のタイミングに応じてそれぞれ所定の信号を出力してもよい。このようにすれば、車載装置1においてラジオ放送や再生中のCD等による音声が出力されている場合であっても、その音声のボリュームを誘導音声の出力中には低下させ、ユーザが誘導音声を聞き取りやすくすることができる。以上説明したように、表示部11に地図画像を表示したり、音声出力部13から誘導音声を出力したりすることで、車載装置1は、ユーザが迷わずに車両を目的地まで運転できるようにするための報知をユーザに対して行う。
【0029】
なお、携帯端末2がナビゲーション用のアプリケーションを実行するために必要な地図データ等の各種データは、携帯端末2のメモリ部24において予め記憶されたものを使用してもよい。あるいは、メモリ部24には必要最小限のデータのみを記憶しておき、携帯端末2がナビゲーション用のアプリケーションを実行したときには、無線通信部27を用いて所定のサーバに接続し、必要なデータをその都度取得するようにしてもよい。
【0030】
携帯端末2では、上記のようなナビゲーション用のアプリケーションを含む複数のアプリケーションのうち、ユーザに選択されたアプリケーションを実行する。ユーザは、携帯端末2の表示部21に表示されるメニュー画面において、操作部22を操作して所望のアプリケーションを選択することにより、携帯端末2に実行させるアプリケーションの選択を行うことができる。このメニュー画面には、たとえば、連携機能を利用可能な各アプリケーションのアイコンが並べて表示されている。ユーザがメニュー画面上でいずれかのアイコンをタッチパネル操作等により選択すると、そのアイコンに対応するアプリケーションが携帯端末2において実行される。
【0031】
さらに携帯端末2は、映像・音声信号出力部26からの映像信号によりメニュー画面を車載装置1へ送信する。車載装置1は、携帯端末2から送信された映像信号に基づいて、表示部11にメニュー画面を表示する。このメニュー画面において、ユーザが操作部12を操作して所望のアプリケーションを選択すると、その操作内容に応じた操作情報が近距離無線通信インタフェース部15により車載装置1から携帯端末2へ送信される。なお、車載装置1は、操作情報として、たとえばユーザのボタン操作の内容を表すボタン情報、またはタッチパネル操作により指定された表示部11の画面上の位置を表す座標情報を携帯端末2へ出力する。
【0032】
車載装置1から送信された操作情報は、携帯端末2において近距離無線通信インタフェース部25により受信され、制御部20へ出力される。こうして受信された操作情報に基づいて、制御部20は、車載装置1においてどのアプリケーションがユーザに選択されたかを認識し、当該アプリケーションを実行する。これによりユーザは、携帯端末2の表示部21に表示されるメニュー画面を用いた場合と同様に、所望のアプリケーションを車載装置1において選択し、携帯端末2に実行させることができる。
【0033】
なお、制御部20は、各アプリケーションをフォアグランドまたはバックグランドで実行することができる。フォアグランドで実行した場合、そのアプリケーションは車載装置1および携帯端末2において画像表示や操作入力の対象とされる。一方、バックグランドで実行した場合、そのアプリケーションに応じた処理が制御部20により実行されるが、そのアプリケーションは車載装置1および携帯端末2において画像表示や操作入力の対象とはされない。ただし、音声についてはバックグランド実行中のアプリケーションから出力してもよい。
【0034】
車載装置1と携帯端末2とを互いに接続して前述のような連携機能を実現するために、携帯端末2には、アプリケーションマネージャと呼ばれるアプリケーションが予めインストールされてメモリ部24に記憶されている。すなわち、メモリ部24には、アプリケーションマネージャを含む複数のアプリケーションが記憶されている。車載装置1に携帯端末2が接続されると、このアプリケーションマネージャがメモリ部24から読み出され、制御部20において実行される。
【0035】
図3は、携帯端末2におけるソフトウェアの概略構成を示す図である。図3において、アプリケーションマネージャ201は、サブアプリケーションMaと、サブアプリケーションMsとを有している。
【0036】
サブアプリケーションMaは、アプリケーションマネージャ201以外のアプリケーションを起動するためのランチャ機能と、各アプリケーションの規制情報を取得するための規制情報取得機能とを有している。制御部20は、サブアプリケーションMaをフォアグランドで実行することにより、これらの機能を利用することができる。たとえば、ランチャ機能を用いて、他のアプリケーションを呼び出し、サブアプリケーションMaに代えてそのアプリケーションを制御部20にフォアグランドで実行させることができる。また、規制情報取得機能を用いて、メモリ部24に記憶されている各アプリケーションに対する車両走行中の動作規制の内容を示す規制情報を、メモリ部24や外部のサーバ等から取得することができる。
【0037】
サブアプリケーションMsは、携帯端末2を車載装置1に接続するための通信機能と、車両走行中の動作規制を行うための動作規制機能とを有している。制御部20は、サブアプリケーションMsをバックグランドで実行することにより、これらの機能を利用することができる。たとえば、通信機能を用いて、携帯端末2と車載装置1との間で連携時に必要な情報を送受信するための通信処理を実行することができる。また、動作規制機能を用いて、上記のサブアプリケーションMaにより規制情報取得機能を用いて取得された規制情報を参照して、フォアグランドで実行中のアプリケーションに対する車両走行中の動作規制の内容を判断することができる。この判断結果を示した制限情報は、上記の通信機能により携帯端末2から車載装置1へ送信され、車載装置1において車両走行中の動作制限を行う際に利用される。
【0038】
以上説明したように、アプリケーションマネージャ201は、制御部20においてフォアグランドで実行されるサブアプリケーションMaと、制御部20においてバックグランドで実行されるサブアプリケーションMsとに分けて構成されている。このようにすることで、アプリケーションマネージャ201の機能分担を最適化し、フォアグランドとバックグランドでそれぞれ実行するのに適した機能分担とすることができる。
【0039】
アプリケーションマネージャ201は、サブアプリケーションMaのランチャ機能により、アプリケーション202に含まれる各アプリケーションのいずれかを呼び出す。すると、制御部20により、このアプリケーションがサブアプリケーションMaに代えてフォアグランドで実行される。なお、図3に対する以下の説明では、アプリケーションAが実行されているものとして説明する。
【0040】
OS(オペレーティングシステム)203は、携帯端末2の全体的な動作を管理するためのソフトウェアである。携帯端末2を車載装置1に接続した場合、OS203は、制御部20においてバックグランドで実行されるサブアプリケーションMsと、SPPプロファイル204およびHIDプロファイル205との間で入出力される情報の仲介を行う。SPPプロファイル204およびHIDプロファイル205は、車載装置1と携帯端末2の間で行われる近距離無線通信において利用されるドライバであり、Bluetoothで用いられる規格の一部として標準化されている。
【0041】
SPPプロファイル204は、サブアプリケーションMsの動作規制機能による動作規制内容の判断結果を示した前述の制限情報を送信するための処理や、車両の走行状態に応じて車載装置1から送信される走行情報を受信するための処理を行う。一方、HIDプロファイル205は、車載装置1におけるユーザの操作内容に応じて出力される操作情報を受信するための処理を行う。SPPプロファイル204およびHIDプロファイル205により受信された各情報の内容は、OS203を介してサブアプリケーションMsに出力され、サブアプリケーションMsの通信機能により実行中のアプリケーションへと受け渡される。なお、これらの各情報の送受信は、車載装置1の近距離無線通信インタフェース部15と携帯端末2の近距離無線通信インタフェース部25との間で無線通信により行われる。
【0042】
制御部20においてサブアプリケーションMaをフォアグランドで実行中の場合、サブアプリケーションMaは、前述のランチャ機能により、ユーザに実行するアプリケーションを選択させるためのメニュー画面の画像を生成する。また、制御部20においてアプリケーションAをフォアグランドで実行中の場合、アプリケーションAは、サブアプリケーションMsから受け渡された走行情報や操作情報を必要に応じて利用し、所定の画像や音声を生成する。これらの画像や音声は、音声・画像メモリ206に一時的に記憶された後、HDMIドライバ207へ出力される。
【0043】
HDMIドライバ207は、HDMIで定められた方式に従って、サブアプリケーションMaやアプリケーションAにより生成された画像や音声を映像信号や音声信号に変換する処理を行う。この映像信号や音声信号は、映像・音声信号出力部26により、映像・音声ケーブル3を介して車載装置1へ出力される。
【0044】
携帯端末2は、以上説明したようなソフトウェア構成を有している。なお、こうしたソフトウェア構成は、たとえばAndroid(登録商標)を用いて実現することができる。この場合、たとえばサブアプリケーションMaを「Activity」と呼ばれるスレッドで実行し、サブアプリケーションMaを「Service」と呼ばれるスレッドで実行することにより、制御部20においてサブアプリケーションMaをフォアグランドで実行しつつ、サブアプリケーションMsをバックグランドで実行することができる。
【0045】
次に、車載装置1と携帯端末2の間で連携を開始するときの動作について説明する。携帯端末2では、通常、制御部20において前述のサブアプリケーションMsがバックグランドで常に実行されている。このサブアプリケーションMsの通信機能により、車両内に携帯端末2が持ち込まれると、車載装置1と携帯端末2の間で近距離無線通信による通信が確立される。その後、車載装置1と携帯端末2が映像・音声ケーブル3を介して互いに接続されると、サブアプリケーションMsからサブアプリケーションMaが起動され、制御部20においてフォアグランドで実行される。これにより、サブアプリケーションMaのランチャ機能を用いて、携帯端末2の表示部21および車載装置1の表示部11においてメニュー画面がそれぞれ表示される。その後、ユーザが任意のアプリケーションをメニュー画面上で選択すると、そのアプリケーションが携帯端末2において制御部20により実行され、前述のような連携機能を用いたアプリケーション動作が車載装置1と携帯端末2でそれぞれ行われる。
【0046】
図4は、以上説明したような連携開始時に車載装置1において実行される処理のフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、車載装置1の電源が投入されると制御部10により実行されるものである。
【0047】
ステップS10において、制御部10は、近距離無線通信インタフェース部15を用いて、所定の通信範囲内に携帯端末2が存在するか否かを判定する。この通信範囲は、近距離無線通信インタフェース部15の仕様に応じて予め定められており、たとえば10m程度である。車載装置1と無線通信可能な携帯端末2が通信範囲内に存在する場合は、次のステップS20へ進む。
【0048】
ステップS20において、制御部10は、ステップS10で通信範囲内にあると判定した携帯端末2に対して、近距離無線通信インタフェース部15を用いて、近距離無線通信を確立するための接続要求を送信する。この接続要求を受けると、携帯端末2は後で説明するように、車載装置1に対して応答を返信する。
【0049】
なお、通信範囲内に通信可能な携帯端末2が複数存在する場合、ステップS20では、そのうちいずれかを選択して接続要求を送信することが好ましい。たとえば、前回接続した携帯端末2が通信範囲内にある場合は、その携帯端末2を優先的に選択して接続要求を送信することができる。あるいは、車載装置1において接続対象とする携帯端末2を優先度に応じて予め登録しておき、これを基にして接続要求を送信する携帯端末2を選択してもよい。この他にも様々な方法により、複数の携帯端末2の中から接続要求を送信するものを選択することができる。
【0050】
ステップS30において、制御部10は、ステップS20で送信した接続要求に対して携帯端末2からの応答があったか否かを判定する。応答があった場合はステップS40へ進み、応答がない場合はステップS50へ進む。
【0051】
ステップS40において、制御部10は、ステップS20で接続要求を送信した携帯端末2との間で、近距離無線通信による通信を確立する。このとき制御部10は、近距離無線通信インタフェース部15を用いて、携帯端末2が車載装置1と連携して動作するために必要な情報、たとえば車載装置1の機種などの情報を携帯端末2に対して送信する。
【0052】
ステップS50において、制御部10は、携帯端末2との間で通信が確立できない旨をユーザに通知するための所定のエラー画面を表示部11に表示する。図5は、ステップS50で表示されるエラー画面の例を示す図である。図5に示すエラー画面50には、接続要求を行った携帯端末2との間で通信が確立できないことを説明すると共に、携帯端末2におけるアプリケーションマネージャの実行状態を確認するようユーザに促す文章が記載されている。すなわち、アプリケーションマネージャ(サブアプリケーションMs)が携帯端末2においてインストールされていないか、インストールされていても実行されていない状態では、車載装置1から携帯端末2へ接続要求を行っても、携帯端末2からの応答は返信されず、通信を確立することができない。そのため、携帯端末2がこのような状態であるか否かをユーザに確認させることで、通信が確立できない原因を特定して必要な措置を取るようユーザに促すようにする。なお、図5に示したエラー画面50は一例であり、これ以外の内容としてもよい。
【0053】
ステップS40またはステップS50を実行したら、制御部10は図4のフローチャートを終了する。その後、制御部10は、ステップS40を実行した場合は、携帯端末2において実行中のアプリケーションと連携して所定の画像表示等を行う。一方、ステップS50を実行した場合は、図5に例示したようなエラー画面を所定時間表示した後、ステップS10から処理を再開する。
【0054】
図6は、連携開始時に携帯端末2において実行される処理のフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、携帯端末2において、サブアプリケーションMsがバックグランドで実行されているときに制御部20により実行されるものである。
【0055】
ステップS110において、制御部20は、車載装置1からの接続要求があったか否かを判定する。図4のステップS20の処理が車載装置1において実行されることで、車載装置1から送信された接続要求を近距離無線通信インタフェース部25により受信した場合は、接続要求ありと判定してステップS120へ進む。一方、こうした車載装置1からの接続要求がない場合は、ステップS140へ進む。
【0056】
ステップS120において、制御部20は、近距離無線通信インタフェース部25を用いて、ステップS110の判定時に車載装置1から受信した接続要求に対する応答を車載装置1へ返信する。この応答が車載装置1において近距離無線通信インタフェース部15により受信されることで、図4のステップS30で応答ありとの判定が行われる。
【0057】
ステップS130において、制御部20は、ステップS120で応答を返信した車載装置1との間で、近距離無線通信による通信を確立する。このとき制御部20は、近距離無線通信インタフェース部25を用いて、車載装置1が携帯端末2と連携して動作するために必要な情報、たとえば表示部21の解像度などの情報を車載装置1に対して送信する。
【0058】
なお、ステップS130において通信が確立された後は、車載装置1の近距離無線通信インタフェース部15と携帯端末2の近距離無線通信インタフェース部25との間で、所定の通信形式に従って近距離無線通信が行われる。この近距離無線通信により、携帯端末2におけるサブアプリケーションMsの通信機能が実現される。すなわち、車載装置1から携帯端末2には、前述の走行情報や操作情報が送信され、携帯端末2から車載装置1には、実行中のアプリケーションに対する車両走行中の動作規制の内容に応じた制限情報などが送信される。
【0059】
ステップS140において、制御部20は、携帯端末2と車載装置1の間で通信が確立された状態であるか否かを判定する。前述のステップS130が実行済みであり、それによって車載装置1との間で既に近距離無線通信が確立されている場合は、ステップS150へ進む。一方、ステップS130を未実行であり、車載装置1との間で近距離無線通信が確立されていない場合は、ステップS110へ戻る。
【0060】
ステップS150において、制御部20は、映像・音声ケーブル3を介して車載装置1との接続が行われているか否かを判定する。この判定は、たとえば前述のHDMIドライバ207を用いて周知のHDMI接続検出を行うことによって実現できる。その結果、携帯端末2の映像・音声信号出力部26と車載装置1の映像・音声信号入力部16との間が映像・音声ケーブル3を介して接続されている場合はステップS160へ進み、接続されていない場合はステップS110へ戻る。このようにしてステップS150の判定を行うことにより、制御部20は、ステップS140で判定した前述の近距離無線通信とは別に、携帯端末2と車載装置1との間で映像および音声の通信が確立されているか否かを判断することができる。
【0061】
ステップS160において、制御部20は、サブアプリケーションMaを起動する。これにより、制御部20においてサブアプリケーションMaがフォアグランドで実行され、前述のようなランチャ機能が起動される。なお、このときサブアプリケーションMsは、そのままバックグランドでの実行が継続される。
【0062】
ステップS160を実行したら、制御部20は図6のフローチャートを終了する。その後、制御部20は、サブアプリケーションMaのランチャ機能によりメニュー画面を生成し、そのメニュー画面を表示部21に表示すると共に、映像・音声信号出力部26から映像・音声ケーブル3を介して車載装置1へ出力することで、車載装置1の表示部11にメニュー画面を表示させる。そして、いずれかのメニュー画面上でユーザに選択されたアプリケーションを実行し、そのアプリケーションに応じた画像や音声を車載装置1へ出力することで、車載装置1との連携機能を実現する。
【0063】
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、次の(1)〜(5)のような作用効果を奏する。
【0064】
(1)車載情報システムにおいて、携帯端末2は、制御部20の処理により、車載装置1との間で、第1の通信としての近距離無線通信が確立したか否かを判断する(ステップS140)と共に、第2の通信としての映像および音声の通信が確立したか否かを判断する(ステップS150)。その結果、第1の通信が確立したとステップS140で判断し、かつ第2の通信が確立したとステップS150で判断した場合に、サブアプリケーションMaを起動することで、メモリ部24に記憶されているアプリケーションをフォアグランドで実行するためのランチャ機能を起動する(ステップS160)。このようにしたので、携帯端末2と車載装置1を適切なタイミングで正しく連携させて携帯端末2のアプリケーションを実行することができる。
【0065】
(2)携帯端末2は、映像・音声信号出力部26を用いて、制御部20によりフォアグランドで実行されているアプリケーションに応じた画像を車載装置1へ出力する。一方、車載装置1は、携帯端末2から出力された画像を表示部11に表示すると共に、ユーザによる操作を操作部12により入力し、その操作に応じた操作情報を近距離無線通信インタフェース部15により携帯端末2へ送信する。すなわち、上記の第1の通信としての近距離無線通信は、近距離無線通信インタフェース部15により操作情報を車載装置1から携帯端末2へ送信するための通信を含む。また、第2の通信としての映像および音声の通信は、映像・音声信号出力部26により画像を携帯端末2から車載装置1へ出力するための通信を含む。このようにしたので、携帯端末2と車載装置1を連携させたアプリケーションの実行を実現することができる。
【0066】
(3)ステップS160では、ランチャ機能を有するサブアプリケーションMaをフォアグランドで制御部20に実行させることでランチャ機能を起動する。このようにしたので、ランチャ機能の起動を確実に実現することができる。
【0067】
(4)制御部20は、サブアプリケーションMaをフォアグランドで実行すると共に、前述の第1の通信としての近距離無線通信を行うための通信機能を有するサブアプリケーションMsをバックグランドで実行する。このようにしたので、ランチャ機能を実現しつつ、同時に通信機能を実現することができる。
【0068】
(5)車載装置1は、第1の通信としての近距離無線通信が確立できない場合に、図5に例示したような所定のエラー画面を表示部11に表示する(ステップS50)。このようにしたので、第1の通信が確立できないことをユーザに通知して必要な措置を促すことができる。
【0069】
なお、以上説明した実施の形態では、映像・音声ケーブル3を介して車載装置1と携帯端末2を互いに接続することで、携帯端末2から車載装置1へ映像信号と音声信号を送信する例を説明した。また、Bluetooth等の所定の通信規格に従って行われる近距離無線通信により、車載装置1と携帯端末2との間で通信を行う例を説明した。しかし、他の通信方式や信号伝送方式を用いても本発明は実現可能である。たとえば、携帯端末2から車載装置1への映像信号や音声信号を無線通信で送信してもよい。この場合、図6のステップS150では、ステップS140と同様の判定方法を用いて、携帯端末2と車載装置1の間で映像および音声の通信が確立されているか否かを判断することができる。すなわち、ステップS150の判定に先だって、携帯端末2と車載装置1の間で映像信号や音声信号に関する無線通信を確立するための所定の処理を行う。この処理によって通信が確立できた場合はステップS150を肯定判定し、確立できなかった場合はステップS150を否定判定する。また、車載装置1と携帯端末2との間の通信をUSB等の有線通信を用いて行うこともできる。車載装置1と携帯端末2との間で必要な信号や情報を送受信可能なものである限り、どのような通信方式を採用してもよい。
【0070】
また、以上説明した実施の形態では、第1の通信を近距離無線通信とし、第2の通信を映像および音声の通信として、これらの両方が車載装置1と携帯端末2の間で確立した場合に携帯端末2においてランチャ機能を起動する例を説明した。しかし、本発明を適用可能な通信の種類はこの例に限定されない。互いに異なる2つの通信方式を用いて情報端末と車載装置の間で情報の送受信を行うものであれば、どのような車載情報システムにおいても本発明を適用可能である。
【0071】
以上説明した実施の形態において、車速信号やパーキング信号以外にも、車両から出力される様々な車両情報を車載装置1において取得するようにしてもよい。このとき取得された車両情報は、車載装置1が実行する処理において利用してもよいし、あるいは、車載装置1から携帯端末2へ出力し、携帯端末2が実行する処理において利用してもよい。一例として、車両情報に応じた起動条件をアプリケーションごとに予め設定しておき、その起動条件を満たす車両情報が車両から出力されたときに、当該アプリケーションを携帯端末2において自動的に起動するようにすることができる。この場合、各アプリケーションの起動条件を示す情報を携帯端末2から車載装置1へ送信し、車載装置1において起動条件を満たすか否かを車両情報に基づいて判定してもよい。あるいは、車載装置1から携帯端末2へ車両情報を送信し、その車両情報に基づいて起動条件を満たすか否かを携帯端末2において判定してもよい。これにより、たとえば、燃料残量が所定値未満まで減ってきたという車両情報が車両から出力されたときに、現在位置周辺のガソリンスタンドを検索するためのアプリケーションを携帯端末2において自動的に起動することができる。
【0072】
以上説明した実施の形態では、ユーザのボタン操作の内容を表すボタン情報やタッチパネル操作で指定された画面上の位置を表す座標情報を操作情報として車載装置1から携帯端末2へ送信し、その操作情報に基づいてユーザの操作内容を携帯端末2が判断する例を説明した。しかし、このようにはせず、ユーザの操作内容を車載装置1において判断し、その判断結果に応じて車載装置1から携帯端末2へアプリケーションの起動指令や停止指令などを送信してもよい。
【0073】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記実施の形態と変形例とを任意に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:車載装置、2:携帯端末、3:映像・音声ケーブル、10:制御部、11:表示部、12:操作部、13:音声出力部、14:メモリ部、15:近距離無線通信インタフェース部、16:映像・音声信号入力部、20:制御部、21:表示部、22:操作部、23:音声出力部、24:メモリ部、25:近距離無線通信インタフェース部、26:映像・音声信号出力部、27:無線通信部、28:GPS受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6