(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-148889(P2015-148889A)
(43)【公開日】2015年8月20日
(54)【発明の名称】クロック生成方法およびクロック生成回路
(51)【国際特許分類】
G06F 1/08 20060101AFI20150724BHJP
H03K 5/15 20060101ALI20150724BHJP
G06F 1/10 20060101ALI20150724BHJP
【FI】
G06F1/04 320A
H03K5/15 Z
G06F1/04 330A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-20557(P2014-20557)
(22)【出願日】2014年2月5日
(71)【出願人】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】鰐渕 智弘
【テーマコード(参考)】
5B079
5J039
【Fターム(参考)】
5B079BA03
5B079CC14
5B079DD03
5B079DD06
5B079DD13
5J039AA02
5J039KK09
(57)【要約】
【課題】分周クロックの分周比が変わった場合であっても、制御回路が機能モジュールと正しく通信を行って、その動作を制御することができるクロック生成回路を提供する。
【解決手段】クロック生成回路は、分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成する可変分周回路と、ソースクロックに同期して、可変分周クロックをあらかじめ設定された最大クロック数だけ遅延した第1の遅延クロックを生成し、第1の遅延クロックを制御回路に供給する第1のクロック同期回路と、ソースクロックに同期して、可変分周クロックをそれぞれ最大クロック数だけ遅延した1以上の第2の遅延クロックを生成し、1以上の第2の遅延クロックのそれぞれを、1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する1以上の第2のクロック同期回路とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の機能モジュール、および、前記1以上の機能モジュールの動作を制御する制御回路を搭載する半導体チップにおいて、前記制御回路および前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する遅延クロックを生成するクロック生成方法であって、
分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成するステップと、
前記制御回路と前記1以上の機能モジュールのそれぞれとを前記可変分周クロックに同期して動作させるために、前記可変分周クロックを遅延するクロック同期回路がない場合に、前記可変分周クロックを生成する可変分周回路から前記1以上の機能モジュールに接続される前記可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、前記ソースクロックに同期して前記可変分周クロックを遅延させるクロック数を前記1以上の機能モジュールに接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出するステップと、
前記算出したクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数である最大クロック数を求めるステップと、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックを前記最大クロック数だけ遅延した第1の遅延クロックを生成し、前記第1の遅延クロックを、前記第1の遅延クロックに同期して動作する前記制御回路に供給するステップと、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをそれぞれ前記最大クロック数だけ遅延した1以上の第2の遅延クロックを生成し、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれを、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれに同期して動作する前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給するステップとを含むことを特徴とするクロック生成方法。
【請求項2】
1以上の機能モジュール、および、前記1以上の機能モジュールの動作を制御する制御回路を搭載する半導体チップにおいて、前記制御回路および前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する遅延クロックを生成するクロック生成回路であって、
分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成する可変分周回路と、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをあらかじめ設定された最大クロック数だけ遅延した第1の遅延クロックを生成し、前記第1の遅延クロックを、前記第1の遅延クロックに同期して動作する前記制御回路に供給する第1のクロック同期回路と、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをそれぞれ前記最大クロック数だけ遅延した1以上の第2の遅延クロックを生成し、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれを、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれに同期して動作する前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する1以上の第2のクロック同期回路とを備え、
前記最大クロック数は、前記制御回路と前記1以上の機能モジュールのそれぞれとを前記可変分周クロックに同期して動作させるために、前記第1のクロック同期回路および前記1以上の第2のクロック同期回路がない場合に、前記可変分周回路から前記1以上の機能モジュールに接続される前記可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、前記1以上の機能モジュールに接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出された、前記ソースクロックに同期して前記可変分周クロックを遅延させるクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数であることを特徴とするクロック生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能モジュール、および、機能モジュールと通信を行ってその動作を制御する制御回路を搭載する半導体チップにおいて、制御回路および機能モジュールに供給するクロックを生成するクロック生成方法およびクロック生成回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造プロセスの微細化が進むにつれて、半導体チップは巨大化、多機能化している。例えば、SOC(システム・オン・チップ)と呼ばれる半導体集積回路の設計手法では、それぞれ所定の機能を実現する1以上の機能モジュールの他、各機能モジュールと通信を行ってその動作を制御する、CPU(中央演算装置)等の制御回路も半導体チップに搭載される場合がある。また、回路の非動作時に動作クロックの周波数を下げることにより、待機時の消費電力を抑えることが行われている。
【0003】
半導体チップが巨大化すると、クロック発生回路から各機能モジュールに接続される動作クロックの物理的な配線距離が長くなり、数ミリに達する場合もある。そのため、制御回路と各機能モジュールとが同じ動作クロックに接続された場合であっても、各機能モジュールには、配線距離に応じて各々遅延し、その位相が、制御回路に供給される動作クロックの位相からずれた動作クロックが供給され、制御回路と各機能モジュールとの間で正しく通信を行うことができない場合がある。
【0004】
このような問題に対処するために、特許文献1には、マスタクロック信号を分周して第1の分周クロック信号として出力し、第1の分周クロック信号をマスタクロック信号により同期あわせを行って第2の分周クロック信号を出力することにより、第2の分周クロック信号のクロックスキューを低減し、第1の分周クロック信号と同位相の第2の分周クロック信号を半導体チップ内の複数の論理回路へ供給することが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、第1のクロック信号を分周して第2のクロック信号を生成し、第1および第2のクロック信号から、第2のクロック信号の周期を有し、かつ論理レベルの変化のタイミングが、第1のクロック信号のタイミングと同じである第3のクロック信号を生成することにより、第1のクロック信号と第3のクロック信号との伝送路におけるチップ内ばらつきによるスキューを抑止し、タイミング収束性を改善することが記載されている。
【0006】
特許文献1,2では、分周クロックをそのソースクロックに同期して保持し直して再生成クロックを生成し、各機能モジュールに分配することにより、OCV(on chip variation:同一半導体チップ内における特性のばらつき)の影響を抑えることができる。しかし、分周クロックの分周比が可変の場合、特許文献1,2では、再生成クロックを生成するためのFF(フリップフロップ)の段数が固定のため、制御回路と各機能モジュールに供給される分周クロックの位相がずれて正しく通信することができない。
【0007】
図7は、従来のクロック生成回路の構成を表す一例の回路図である。同図に示すクロック生成回路56は、機能モジュール(A、B)14,16、および、各機能モジュール14,16と通信を行ってその動作を制御する制御回路12を搭載する半導体チップにおいて、制御回路12および機能モジュール14,16のそれぞれに供給する遅延クロックを生成するものであり、分周回路58と、クロック同期回路60,62とを備えている。
【0008】
分周回路58は、ソースクロックをm分周(mは、2以上の整数)して、ソースクロックの周波数の1/mの周波数を持つ分周クロックを生成するものである。
【0009】
クロック同期回路60は、ソースクロックに同期して、分周クロックを4クロックだけ遅延した遅延クロックAを生成し、生成した遅延クロックAを、遅延クロックAに同期して動作する機能モジュール14に供給するものである。
クロック同期回路62は、ソースクロックに同期して、分周クロックを2クロックだけ遅延した遅延クロックBを生成し、生成した遅延クロックBを、遅延クロックBに同期して動作する機能モジュール16に供給するものである。
【0010】
クロック同期回路60,62がない場合、各機能モジュール14,16には、配線距離に応じて各々遅延した可変分周クロックが供給される。
クロック同期回路60,62により分周クロックを遅延させる4クロックおよび2クロックのクロック数は、制御回路12と各機能モジュール14,16とを分周クロックに同期して動作させるために、クロック同期回路60,62がない場合に、分周回路58から各機能モジュール14,16に接続される分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出された、ソースクロックに同期して可変分周クロックを遅延させる必要があるクロック数である。
【0011】
クロック同期回路60は、遅延させる4クロックに応じて、直列に接続された4段のFF(遅延回路)64,66,68,70を備えている。FF64,66,68,70のクロック入力端子にはソースクロックが入力され、初段のFF64のデータ入力端子には分周クロックが入力されている。FF64,66,68,70のデータ出力端子からは、それぞれ、再生成クロック1〜3および遅延クロックAが出力されている。
分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期して、4段のFF64,66,68,70により1クロックずつ遅延される。その結果、クロック同期回路60からは、分周クロックが、ソースクロックの4クロックだけ遅延された遅延クロックAが出力される。
【0012】
同様に、クロック同期回路62は、遅延させる2クロックに応じて、直列に接続された2段のFF72,74を備えている。FF72,74のクロック入力端子にはソースクロックが入力され、初段のFF72のデータ入力端子には分周クロックが入力されている。FF72,74のデータ出力端子からは、それぞれ、再生成クロック1および遅延クロックBが出力されている。
分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期して、2段のFF72,74により1クロックずつ遅延される。その結果、クロック同期回路62からは、分周クロックが、ソースクロックの2クロックだけ遅延された遅延クロックBが出力される。
【0013】
クロック生成回路56では、分周回路58により、ソースクロックがm分周された分周クロックが生成される。
【0014】
続いて、クロック同期回路60により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、分周クロックが4クロックだけ遅延された遅延クロックAが生成され、機能モジュール14に供給される。また、クロック同期回路62により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、分周クロックが2クロックだけ遅延された遅延クロックBが生成され、機能モジュール16に供給される。
【0015】
図8は、分周クロックが2分周クロックの場合の
図7に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
分周クロックが2分周クロックの場合、このタイミングチャートに示すように、分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期してハイレベルおよびローレベルが交互に変化する。再生成クロック1〜3は、同じくソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの1〜3クロックずつ遅延される。遅延クロックA、Bは、ソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの4クロックおよび2クロックずつ遅延される。
【0016】
従って、遅延クロックA、Bおよび分周クロックは同期して、その位相も揃うため、制御回路12は、各機能モジュール14,16と正しく通信を行ってその動作を制御することができる。
【0017】
図9は、分周クロックが5分周クロックの場合の
図7に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
分周クロックが5分周クロックの場合、このタイミングチャートに示すように、分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期してハイレベルおよびローレベルが交互に変化する。分周クロックのハイレベルはソースクロックの2クロックのパルス幅とし、ローレベルはソースクロックの3クロックのパルス幅とする。再生成クロック1〜3は、同じくソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの1〜3クロックずつ遅延される。遅延クロックA、Bは、ソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの4クロックおよび2クロックずつ遅延される。
【0018】
従って、遅延クロックA、Bおよび分周クロックは同期するが、その位相はずれるため、制御回路12は、各機能モジュール14,16と正しく通信を行うことができない。
【0019】
クロック生成回路56のクロック同期回路60,62構成は、分周クロックが2分周クロック固定の場合である。そのため、クロック生成回路56の構成において、分周クロックが2分周クロックから他の分周比の分周クロックに変わると、遅延クロックA、Bおよび分周クロックの位相がずれる。従って、制御回路12は、各機能モジュール14,16と正しく通信を行うことができず、その動作を制御することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−38159号公報
【特許文献2】特開2007−189293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解消し、分周クロックの分周比が変わった場合であっても、制御回路が機能モジュールと正しく通信を行って、その動作を制御することができるクロック生成回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明は、1以上の機能モジュール、および、前記1以上の機能モジュールの動作を制御する制御回路を搭載する半導体チップにおいて、前記制御回路および前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する遅延クロックを生成するクロック生成方法であって、
分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成するステップと、
前記制御回路と前記1以上の機能モジュールのそれぞれとを前記可変分周クロックに同期して動作させるために、前記可変分周クロックを遅延するクロック同期回路がない場合に、前記可変分周クロックを生成する可変分周回路から前記1以上の機能モジュールに接続される前記可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、前記ソースクロックに同期して前記可変分周クロックを遅延させるクロック数を前記1以上の機能モジュールに接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出するステップと、
前記算出したクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数である最大クロック数を求めるステップと、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックを前記最大クロック数だけ遅延した第1の遅延クロックを生成し、前記第1の遅延クロックを、前記第1の遅延クロックに同期して動作する前記制御回路に供給するステップと、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをそれぞれ前記最大クロック数だけ遅延した1以上の第2の遅延クロックを生成し、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれを、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれに同期して動作する前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給するステップとを含むことを特徴とするクロック生成方法を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、1以上の機能モジュール、および、前記1以上の機能モジュールの動作を制御する制御回路を搭載する半導体チップにおいて、前記制御回路および前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する遅延クロックを生成するクロック生成回路であって、
分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成する可変分周回路と、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをあらかじめ設定された最大クロック数だけ遅延した第1の遅延クロックを生成し、前記第1の遅延クロックを、前記第1の遅延クロックに同期して動作する前記制御回路に供給する第1のクロック同期回路と、
前記ソースクロックに同期して、前記可変分周クロックをそれぞれ前記最大クロック数だけ遅延した1以上の第2の遅延クロックを生成し、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれを、前記1以上の第2の遅延クロックのそれぞれに同期して動作する前記1以上の機能モジュールのそれぞれに供給する1以上の第2のクロック同期回路とを備え、
前記最大クロック数は、前記制御回路と前記1以上の機能モジュールのそれぞれとを前記可変分周クロックに同期して動作させるために、前記第1のクロック同期回路および前記1以上の第2のクロック同期回路がない場合に、前記可変分周回路から前記1以上の機能モジュールに接続される前記可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、前記1以上の機能モジュールに接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出された、前記ソースクロックに同期して前記可変分周クロックを遅延させるクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数であることを特徴とするクロック生成回路を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明のクロック生成回路では、可変分周クロックをあらかじめ設定されたソースクロックのクロック数だけ遅延した遅延クロックが生成される。そのため、可変分周クロックの分周比にかかわらず、遅延クロックは常に同期され、その位相が揃う。従って、可変分周クロックの分周比が変わった場合であっても、遅延クロックは常に同期し、その位相が揃うため、制御回路は、各機能モジュールと常に正しく通信を行ってその動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のクロック生成回路の構成を表す第1の実施形態の回路図である。
【
図2】最大クロック数を求める場合の一例のフローチャートである。
【
図3】
図1に示すクロック生成回路の動作を表す一例のフローチャートである。
【
図4】可変分周クロックが2分周クロックの場合の
図1に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
【
図5】可変分周クロックが5分周クロックの場合の
図1に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
【
図6】本発明のクロック生成回路の構成を表す第2の実施形態の回路図である。
【
図7】従来のクロック生成回路の構成を表す一例の回路図である。
【
図8】分周クロックが2分周クロックの場合の
図7に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
【
図9】分周クロックが5分周クロックの場合の
図7に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のクロック生成回路を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のクロック生成回路の構成を表す第1の実施形態の回路図である。同図に示すクロック生成回路10は、機能モジュール(A、B)14,16、および、各機能モジュール14,16と通信を行ってその動作を制御する制御回路12を搭載する半導体チップにおいて、制御回路12および各機能モジュール14,16のそれぞれに供給する遅延クロックを生成するものであり、可変分周回路18と、クロック同期回路20,22,24とを備えている。
【0028】
可変分周回路18は、分周比設定信号に応じて、ソースクロックをN分周(Nは、分周比設定信号により決定される2以上の整数)して、分周比設定信号に応じた分周比、つまり、ソースクロックの周波数の1/Nの周波数を持つ可変分周クロックを生成するものである。
分周比設定信号およびソースクロックは、例えば、半導体チップの外部から、もしくは、半導体チップに搭載された他の機能モジュールから入力される。
【0029】
続いて、クロック同期回路20は、ソースクロックに同期して、可変分周クロックをあらかじめ設定された最大クロック数だけ遅延した遅延クロックCを生成し、生成した遅延クロックCを、遅延クロックCに同期して動作する制御回路12に供給するものである。
【0030】
クロック同期回路22,24がない場合、各機能モジュール14,16には、配線距離に応じて各々遅延した可変分周クロックが供給される。
最大クロック数は、制御回路12と各機能モジュール14,16とを可変分周クロックに同期して動作させるために、クロック同期回路22,24がない場合に、可変分周回路18から各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出された、ソースクロックに同期して可変分周クロックを遅延させるクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数である。
【0031】
なお、最大クロック数を、各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれについて遅延させるクロック数のうちの最も大きいクロック数とすることにより、クロック同期回路20,22,24の回路規模を必要最低限にすることができる。
【0032】
クロック同期回路20は、最大クロック数が4クロックの場合のものであり、これに応じて、直列に接続された4段のFF(遅延回路)26,28,30,32を備えている。FF26,28,30,32のクロック入力端子にはソースクロックが入力され、初段のFF26のデータ入力端子には可変分周クロックが入力されている。FF26,28,30,32のデータ出力端子からは、それぞれ、再生成クロック1〜3および遅延クロックCが出力されている。
可変分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期して、4段のFF26,28,30,32により1クロックずつ遅延される。その結果、クロック同期回路20からは、可変分周クロックが、ソースクロックの4クロックだけ遅延された遅延クロックCが出力される。
【0033】
同様に、クロック同期回路22は、ソースクロックに同期して、可変分周クロックを最大クロック数だけ遅延した遅延クロックAを生成し、生成した遅延クロックAを、遅延クロックAに同期して動作する機能モジュール14に供給するものである。
クロック同期回路24は、ソースクロックに同期して、可変分周クロックを最大クロック数だけ遅延した遅延クロックBを生成し、生成した遅延クロックBを、遅延クロックBに同期して動作する機能モジュール16に供給するものである。
【0034】
クロック同期回路22,24は、クロック同期回路20と同じ構成のものであり、4段のFF26,28,30,32のうち、前半2段のFF26,28は機能モジュール14,16の外部に設けられ、後半2段のFF30,32は機能モジュール14,16の内部に設けられている。そして、遅延クロックA、Bは、それぞれ、遅延クロックA、Bに同期して動作する機能モジュール14,16の内部回路に供給されている。このように、クロック同期回路22,24を構成する各々の遅延回路は、各々の機能モジュール14,16の外部だけでなく、その内部に設けられていてもよい。
【0035】
次に、
図2および
図3に示すフローチャートを参照して、最大クロック数の求め方および
図1に示すクロック生成回路10の動作を説明する。
【0036】
最大クロック数を求める場合、まず、可変分周回路18により、分周比設定信号に応じて、ソースクロックを分周した可変分周クロックを生成する(
図2のステップS1)。
前述のように、各クロック同期回路22,24がない場合、各機能モジュール14,16には、可変分周回路18から、配線距離に応じて各々遅延した可変分周クロックが供給される。
【0037】
続いて、制御回路12と各機能モジュール14,16のそれぞれとを可変分周クロックに同期して動作させるために、各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれの配線距離に応じて、ソースクロックに同期して可変分周クロックを遅延させるクロック数を各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックのそれぞれについて算出する(
図2のステップS2)。
【0038】
そして、算出したクロック数のうち、最も大きいクロック数以上のクロック数である最大クロック数を求める(
図2のステップS3)。
図7に示す従来のクロック生成回路56のように、各機能モジュール14,16に接続される可変分周クロックを遅延させるクロック数が4クロックおよび2クロックの場合、例えば、最大クロック数を4クロックとする。この場合、
図1に示すように、各クロック同期回路20,22,24を構成するFFの段数は4段となる。
【0039】
クロック生成回路10では、可変分周回路18により、分周比設定信号に応じて、ソースクロックが分周されて、分周比設定信号に応じた分周比の可変分周クロックが生成される(
図3のステップS4)。
【0040】
続いて、クロック同期回路20により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、可変分周クロックがソースクロックの4クロックだけ遅延された遅延クロックCが生成され、制御回路12に供給される(
図3のステップS5)。
【0041】
同様に、クロック同期回路22により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、可変分周クロックが4クロックだけ遅延された遅延クロックAが生成され、機能モジュール14に供給される。また、クロック同期回路24により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、可変分周クロックが4クロックだけ遅延された遅延クロックBが生成され、機能モジュール16に供給される(
図3のステップS6)。
【0042】
図4は、可変分周クロックが2分周クロックの場合の
図1に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
可変分周クロックが2分周クロックの場合、このタイミングチャートに示すように、可変分周クロックおよび再生成クロック1〜3は、
図8に示す分周クロックおよび再生成クロック1〜3と同様に動作する。また、遅延クロックA、B、Cは、ソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの4クロックずつ遅延される。
【0043】
従って、遅延クロックA、B、Cは同期して、その位相も揃うため、制御回路12は、各機能モジュール14,16と正しく通信を行ってその動作を制御することができる。
【0044】
図5は、可変分周クロックが5分周クロックの場合の
図1に示すクロック生成回路の動作を表す一例のタイミングチャートである。
可変分周クロックが5分周クロックの場合、このタイミングチャートに示すように、可変分周クロックおよび再生成クロック1〜3は、
図9に示す分周クロックおよび再生成クロック1〜3と同様に動作する。また、遅延クロックA、B、Cは、ソースクロックの立ち上がりに同期してレベルが変化し、それぞれ、分周クロックからソースクロックの4クロックずつ遅延される。
【0045】
従って、遅延クロックA、B、Cは同期して、その位相も揃うため、制御回路12は、各機能モジュール14,16と正しく通信を行ってその動作を制御することができる。
【0046】
クロック生成回路10では、可変分周クロックをソースクロックの4クロックだけ遅延した遅延クロックA、B、Cが生成される。そのため、可変分周クロックの分周比にかかわらず、遅延クロックA、B、Cは常に同期され、その位相が揃う。従って、可変分周クロックの分周比が変わった場合であっても、遅延クロックA、B、Cは常に同期し、位相が揃うため、制御回路12は、各機能モジュール14,16と常に正しく通信を行ってその動作を制御することができる。
【0047】
なお、
図4および
図5に示す遅延クロックA、B、Cは、ソースクロックの立ち上がりから所定の時間だけずれている。この所定の時間は、
図1に示すクロック同期回路20,22,24の最終段のFF32から出力される遅延クロックA、B、Cが、それぞれ対応する、機能モジュール14,16および制御回路12の内部回路に供給されるまでの配線により遅延される時間を表したものである。
【0048】
次に、
図6は、本発明のクロック生成回路の構成を表す第2の実施形態の回路図である。同図に示すクロック生成回路34は、可変分周回路18と、クロック同期回路36,38とを備えている。
【0049】
可変分周回路18は、
図1に示すものと同じものである。
【0050】
クロック同期回路36,38は、それぞれ、ソースクロックに同期して、可変分周クロックを分周比設定信号により設定されたクロック数だけ遅延した遅延クロックA、Bを生成し、生成した遅延クロックA、Bを、それぞれ、遅延クロックA、Bに同期して動作する機能モジュール14,16の内部回路に供給するものである。
【0051】
クロック同期回路36は、直接に接続された5段のFF40,42,44,46,48と、マルチプレクサ50と、直列に接続された2段のFF52,54とを備えている。FF40,42,44,46,48,52,54のクロック入力端子にはソースクロックが入力され、初段のFF40のデータ入力端子には可変分周クロックが入力されている。FF42,44,46,48のデータ出力端子からは、それぞれ、再生成クロック1〜4が出力され、マルチプレクサ50に入力されている。FF52のデータ入力端子にはマルチプレクサ50の出力信号が入力され、最終段のFF54のデータ出力端子からは、遅延クロックAが出力されている。
可変分周クロックは、ソースクロックの立ち上がりに同期して、5段のFF40,42,44,46,48により1クロックずつ遅延される。マルチプレクサ50からは、図示していない分周比設定信号に応じて、再生成クロック1〜4のうちの1つの再生成クロックが出力される。マルチプレクサ50の出力信号は、さらに、ソースクロックの立ち上がりに同期して、2段のFF52,54により1クロックずつ遅延される。その結果、クロック同期回路36からは、可変分周クロックが、分周比設定信号により設定されたクロック数だけ遅延された遅延クロックAが出力される。
【0052】
クロック同期回路38は、クロック同期回路36において、直列に接続された2段のFF52,54が1段のFF54のみになっていること以外、クロック同期回路36と同じ構成のものであり、クロック同期回路36と同様に動作する。
【0053】
同様に、クロック同期回路36,38を構成する各々の遅延回路およびマルチプレクサは、各機能モジュール14,16の外部だけでなく、その内部に設けられていてもよい。
【0054】
次に、
図6に示すクロック生成回路34の動作を説明する。
【0055】
クロック生成回路34では、可変分周回路18により、分周比設定信号に応じて、ソースクロックが分周されて、分周比設定信号に応じた分周比の可変分周クロックが生成される。
【0056】
続いて、クロック同期回路36により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、可変分周クロックが分周比設定信号により設定されたクロック数だけされた遅延クロックAが生成され、機能モジュール14に供給される。また、クロック同期回路38により、ソースクロックの立ち上がりに同期して、可変分周クロックが分周比設定信号により設定されたクロック数だけされた遅延クロックBが生成され、機能モジュール16に供給される。
【0057】
クロック生成回路34では、分周比設定信号により設定されたクロック数だけ遅延された遅延クロックA、Bが生成される。そのため、クロック生成回路10の場合と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、クロック生成回路34では、可変分周回路18により分周可能な可変分周クロックの分周比が多くなるに従って、クロック同期回路36,38を構成するFFの段数やマルチプレクサのサイズが大きくなるため、冗長な回路が増大する。従って、クロック生成回路10,34は同様の機能を実現するものであるが、クロック生成回路10の方が、クロック生成回路34よりも回路構成が簡単で、同様の機能を実現するための回路規模を削減することができるというメリットがある。
【0059】
なお、可変分周回路、クロック同期回路、遅延回路の具体的な回路構成は何ら限定されず、同様の機能を実現する各種構成の回路を採用することができる。また、機能モジュールの個数は2つに限らず、1以上何個であってもよい。
【0060】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10,34,56 クロック生成回路
12 制御回路
14,16 機能モジュール
18 可変分周回路
20,22,24,36,38,60,62 クロック同期回路
26,28,30,32,40,42,44,46,48,52,54,64,66,68,70,72,74 FF(遅延回路)
50 マルチプレクサ
58 分周回路