【解決手段】施設に訪れたユーザによって携帯される通信端末と無線通信を行う中継装置と通信端末とが無線通信を開始したことを示す接続通知を受信し、接続通知に基づいて中継装置と通信端末とが無線通信を開始した時刻を判定し、時刻から所定のタイミングが経過した後に、通信端末に対して情報を提供する。
前記情報提供部は、受信された前記接続通知又は前記切断通知に含まれる前記識別情報に基づいて、前記中継装置が設置された施設を特定し、特定された施設に応じた情報を前記通信端末に対して提供する、請求項3に記載の情報提供装置。
前記情報提供部は、前記ユーザの行動履歴、前記ユーザの属性情報、環境情報のいずれか一つ又は複数に基づいて、提供される前記情報を決定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[概略]
通信システムでは、施設に設置されている中継装置に対して通信端末が無線接続を開始した後の所定のタイミングで、通信端末に対し第一提供情報が提供される。また、中継装置と通信端末との無線接続が解除された後の所定のタイミングで、通信端末に対し第二提供情報が提供される。
【0014】
第一提供情報は、施設内にてユーザに提供されることが望ましい情報である。第一提供情報は、例えば、施設内にて利用可能なクーポン情報又はポイント情報、施設に関する情報、施設で行われるイベントに関する情報である。
【0015】
第二提供情報は、施設の利用後にユーザに提供されることが望ましい情報である。第二提供情報は、例えば、次回の訪問時に利用可能なクーポン情報又はポイント情報、この施設の付近に位置する他の施設にて利用可能なクーポン情報又はポイント情報、この施設の付近に位置する他の施設に関する情報である。
このように情報が提供されることにより、より有用な情報をユーザに対して提供することが可能となる。より具体的には、場所に応じた情報、ユーザの行動に応じた情報、入店や退店などのタイミングに応じた情報を提供することが可能となる。
【0016】
[詳細]
図1は、通信システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。
通信端末10は、ユーザ20によって携帯される通信装置である。通信端末10は、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット、携帯型ゲーム機である。通信端末10は、中継装置30及び基地局装置80と無線通信可能である。通信端末10は、中継装置30及び第一ネットワーク60を介して情報提供装置50と通信する。また、通信端末10は、基地局装置80及び第二ネットワーク70を介して情報提供装置50と通信する。
【0017】
ユーザ20は、通信端末10を携帯し、中継装置30が設置されている施設40に訪れる。
中継装置30は、通信端末10と第一ネットワーク60との間の通信を中継する中継装置である。中継装置30は、例えば無線LANのアクセスポイントである。通信システム1には、複数の中継装置30(中継装置30−1及び中継装置30−2)が設置される。各中継装置30は、施設40と対応付けて設置される。中継装置30と施設40との対応関係に関する情報は、情報提供装置50に記憶されている。
中継装置30が通信端末10と通信可能な距離は、例えば中継装置30が設置される施設40の領域と同程度であることが好ましい。このように構成された場合、中継装置30と通信可能である通信端末10のユーザについて、施設40を訪れているユーザであると判定できる。同様に、中継装置30と通信可能でない通信端末10のユーザについて、施設40の外に位置していると判定できる。
【0018】
施設40は、ユーザに対して何らかのサービスを提供する施設である。施設40においてユーザに提供されるサービスはどのようなものであってもよい。サービスは、例えば飲食物の提供、映像の提供、スポーツ観戦や演劇鑑賞の提供、商品の販売、交通機関による移動であってもよい。
【0019】
情報提供装置50は、第一ネットワーク60及び第二ネットワーク70のいずれか一方又は双方を介し、通信端末10に対して第一提供情報及び第二提供情報を送信する。情報提供装置50は、サーバやパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成される。
【0020】
第一ネットワーク60は、中継装置30と情報提供装置50とを通信可能に接続するネットワークである。第一ネットワーク60は、例えば公衆無線LANを含むネットワークである。
【0021】
第二ネットワーク70は、基地局装置80と情報提供装置50とを通信可能に接続するネットワークである。第二ネットワーク70は、例えば3G(第三世代)ネットワークやLTE(Long Term Evolution)等の携帯通信網を含むネットワークである。
基地局装置80は、通信端末10と第二ネットワーク70との間の通信を中継する中継装置である。基地局装置80は、例えば携帯通信網の基地局装置である。
【0022】
図2は、通信端末10の機能構成を表す概略ブロック図である。通信端末10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。通信端末10は、情報取得プログラムを実行することによって、通信部101、SSID記憶部102、通信制御部103、入力部104、出力部105及び制御部106を備える装置として機能する。なお、通信端末10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。情報取得プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。情報取得プログラムは、電気通信回線を介して提供されても良い。SSID記憶部102及び通信制御部103は、情報取得プログラムが通信端末10において起動されることによって動作を開始してもよい。
【0023】
通信部101は、中継装置30及び基地局装置80と無線通信する。通信部101は、中継装置30及び基地局装置80と同一の通信形式(例えば無線LAN)で通信を行ってもよい。通信部101は、中継装置30及び基地局装置80と、それぞれ異なる通信形式で通信を行ってもよい。例えば、通信部101は、中継装置30との間で無線LANで通信を行い、基地局装置80との間で3G又はLTEで通信を行ってもよい。
【0024】
SSID記憶部102は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。SSID記憶部102は、予め通信部101を介して取得されたSSIDテーブルを記憶する。
【0025】
通信制御部103は、通信部101が無線通信を行う通信先を制御する。通信制御部103は、SSIDテーブルに登録されているSSIDの無線LANネットワークが検出されると、検出された無線LANネットワークに接続するように通信部101を制御する。
【0026】
入力部104は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部104は、ユーザの指示を通信端末10に入力する際にユーザによって操作される。入力部104は、入力装置を通信端末10に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部104は、入力装置においてユーザの入力に応じ生成された入力信号を通信端末10に入力する。
【0027】
出力部105は、通信端末10に設けられた出力装置であり、通信端末10のユーザに対してデータの出力を行う。出力装置は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力装置は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成できる。また、出力装置は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されても良い。この場合、出力装置は、音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成できる。
【0028】
制御部106は、通信端末10を制御する。例えば、制御部106は、入力部104に対するユーザ20の操作に応じて送信データを生成し、生成された送信データを通信部101を介してネットワークへ送信する。例えば、制御部106は、通信部101を介して受信された情報(例えば、第一提供情報又は第二提供情報)を出力部105に表示させる。
【0029】
図3は、SSIDテーブルの具体例を示す図である。SSIDテーブルは、中継装置30を介して接続可能な無線LANネットワークの識別情報(SSID)と、各無線LANネットワークに接続する際に用いられるパスワードと、の組み合わせを表す。
【0030】
図4は、情報提供装置50の機能構成を示す概略ブロック図である。情報提供装置50は、1台又は複数台の情報処理装置によって構成される。例えば、情報提供装置50が一台の情報処理装置で構成される場合、情報処理装置は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、情報提供プログラムを実行する。情報提供プログラムの実行によって、情報処理装置は、通信部501、情報提供部502、提供情報記憶部503、AP情報記憶部504、ユーザ情報記憶部505、タイミング情報記憶部506、解析部507を備える装置として機能する。なお、情報提供装置50の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、情報提供装置50は、専用のハードウェアによって実現されても良い。情報提供プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM、半導体記憶装置等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。情報提供プログラムは、電気通信回線を介して提供されても良い。
【0031】
通信部501は、第一ネットワーク60及び第二ネットワーク70を介して通信端末10と通信する。
情報提供部502は、通信部501を介して、通信端末10に対し情報を提供する。
提供情報記憶部503は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。提供情報記憶部503は、提供情報テーブルを記憶する。提供情報テーブルには、情報提供部502によって通信端末10に提供される情報(以下、「提供情報」という。)が登録されている。
【0032】
AP情報記憶部504は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。AP情報記憶部504は、AP情報テーブルを記憶する。AP情報テーブルには、各中継装置30に関する情報が登録されている。
ユーザ情報記憶部505は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。ユーザ情報記憶部505は、ユーザ情報テーブルを記憶する。ユーザ情報テーブルには、各ユーザ20に関する情報が登録されている。
【0033】
タイミング情報記憶部506は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。タイミング情報記憶部506は、タイミングテーブルを記憶する。タイミングテーブルには、通信端末10に対して情報が提供されるタイミングが登録されている。
解析部507は、通信端末10が中継装置30に接続を開始したタイミングと、通信端末10が中継装置30の接続が終了したタイミングと、を解析することによって、各情報が提供されるべきタイミングを判定する。
【0034】
図5は、提供情報テーブルの具体例を示す図である。提供情報テーブルは、施設40と、その施設40を訪れたユーザ20の通信端末10に提供される提供情報との対応関係を表すテーブルである。提供情報テーブルは、複数のレコード91を有する。レコード91は、FID、第一提供情報及び第二提供情報の値を有する。FIDの値は、施設40を一意に表す識別情報である。第一提供情報は、同じレコード91のFIDが表す施設40の中継装置30に接続を開始してから所定の時間が経過したタイミングで通信端末10に提供される情報である。第二提供情報は、同じレコード91のFIDが表す施設40の中継装置30との接続が終了したタイミングで通信端末10に提供される情報である。
【0035】
図5の最も上に位置するレコード91によれば、Xそば店に訪れたユーザ20の通信端末10には、Xそば店に設置された中継装置30と通信が開始されてから所定時間経過後に、クーポン1の情報が提供されることが分かる。クーポン1の情報は、例えばXそば店で利用可能なクーポンである。また、Xそば店に訪れたユーザ20の通信端末10には、Xそば店に設置された中継装置30との通信が終了したタイミングで、店舗情報1が提供されることが分かる。店舗情報1は、例えばXそば店の近隣に位置する喫茶店を紹介するための情報である。このような情報が各タイミングで提供されることにより、ユーザ20は、訪れたXそば店で利用可能なクーポン1を会計前に取得することが可能であり、食事の後にお茶を飲むためのお店を知ることが可能となる。
【0036】
図5の上から2番目に位置するレコード91によれば、Y水族館に訪れたユーザ20の通信端末10には、Y水族館に設置された中継装置30と通信が開始されてから所定時間経過後に、特別展示情報2が提供されることが分かる。特別展示情報2は、例えばY水族館で行われている特別展示に関する情報である。また、Y水族館に訪れたユーザ20の通信端末10には、Y水族館に設置された中継装置30との通信が終了したタイミングで、店舗情報2が提供されることが分かる。店舗情報2は、例えばY水族館の近隣に位置する喫茶店を紹介するための情報である。このような情報が各タイミングで提供されることにより、ユーザ20は、訪れたY水族館における特別展示の情報を退場前に取得することが可能であり、水族館を見た後に休憩するためのお店を知ることが可能となる。
【0037】
図6は、AP情報テーブルの具体例を示す図である。AP情報テーブルは、各施設40に設置されている中継装置30に関する情報を表すテーブルである。AP情報テーブルは、複数のレコード92を有する。レコード92は、FID、SSID、IP、MAC及びAPIDの値を有する。FIDの値は、施設40を一意に表す識別情報である。SSIDの値は、同じレコード92のFIDが表す施設40の中継装置30を介して提供される無線LANのSSIDを表す。IPの値は、同じレコード92のFIDが表す施設40の中継装置30に割り当てられているIPアドレスを表す。MACの値は、同じレコード92のFIDが表す施設40の中継装置30に割り当てられているMACアドレスを表す。APIDの値は、同じレコード92のFIDが表す施設40の中継装置30を一意に表す識別情報である。
APIDが通信端末10から情報提供装置50に送信される処理として、以下のような処理が行われてもよい。まず、通信端末10が中継装置30に接続する。次に、通信端末10が、中継装置30のローカルのネットワーク内に設けられたAPI(APIDサーバ)にアクセスする。APIは、各中継装置30のIPアドレスと、各中継装置30のAPIDとの対応付けが定義されたテーブルを予め記憶している。APIは、テーブルを参照し、中継装置30のローカルのIPアドレスを元に、中継装置30のAPIDを通信端末10に返す。そして、通信端末10はAPIから取得したAPIDを、情報提供装置50に送信する。
【0038】
図6の最も上に位置するレコード92によれば、Xそば店に設置された中継装置30の識別情報はap1であり、IPアドレス及びMACアドレスはそれぞれxxx.xxx.xxx.xx1及びxx-xx-xx-xx-xx-x1であり、提供される無線LANのSSIDはxx1であることが分かる。
図6の上から2番目に位置するレコード92によれば、Y水族館に設置された中継装置30の識別情報はap2であり、IPアドレス及びMACアドレスはそれぞれxxx.xxx.xxx.xx2及びxx-xx-xx-xx-xx-x2であり、提供される無線LANのSSIDはxx2であることが分かる。
【0039】
図7は、ユーザ情報テーブルの具体例を示す図である。ユーザ情報テーブルは、各ユーザ20に関する情報を表すテーブルである。ユーザ情報テーブルは、複数のレコード93を有する。レコード93は、ユーザID、アプリID、属性情報及び行動履歴の値を有する。ユーザIDの値は、ユーザ20を一意に表す識別情報である。アプリIDの値は、同じレコード93のユーザIDが表すユーザ20が利用する通信端末10にインストールされているアプリケーションに割り当てられている識別情報を表す。アプリIDは、通信端末10を一意に表す識別情報である。属性情報の値は、同じレコード93のユーザIDが表すユーザ20に関する情報(例えば、性別、年齢)を表す。行動履歴の値は、同じレコード93のユーザIDが表すユーザ20の行動の履歴を表す。行動履歴は、例えば各ユーザ20の通信端末10が接続した中継装置30のAPIDと、接続開始時刻と、接続終了時刻と、を含んでもよい。
【0040】
図7の最も上に位置するレコード93によれば、ユーザIDがu1であるユーザ20は、24歳の男性であり、所持する通信端末10にインストールされているアプリケーションにはapl−1という識別情報が割り当てられており、その行動履歴はlog1というファイルに記録されていることが分かる。
図7の上から2番目に位置するレコード93によれば、ユーザIDがu2であるユーザ20は、39歳の女性であり、所持する通信端末10にインストールされているアプリケーションにはapl−2という識別情報が割り当てられており、その行動履歴はlog2というファイルに記録されていることが分かる。
【0041】
図8は、タイミングテーブルの具体例を示す図である。タイミングテーブルは、各施設40において第一提供情報が提供されるタイミングを表すテーブルである。タイミングテーブルは、複数のレコード94を有する。レコード94は、FID及びタイミング情報の値を有する。FIDの値は、各施設40を一意に表す識別情報である。タイミング情報の値は、同じレコード94のFIDが表す施設40の中継装置30に接続した通信端末10に対して第一提供情報が提供されるタイミングを表す。
図8の例では、タイミング情報は、通信端末10が中継装置30に接続を開始してから第一提供情報が提供されるまでの時間を表す。
【0042】
図8の最も上に位置するレコード94によれば、Xそば店では、中継装置30に通信端末10が接続してから20分後に第一提供情報が提供されることがわかる。
図8の上から2番目に位置するレコード94によれば、Y水族館では、中継装置30に通信端末10が接続してから5分後に第一提供情報が提供されることがわかる。
【0043】
図9は、通信システム1が第一提供情報を送信する際の動作の具体例を示すシーケンスチャートである。まず、通信端末10を携帯するユーザ20が施設40を訪れていない場合には、通信端末10は基地局装置80及び第二ネットワーク70を介して通信を行う。ユーザ20が施設40を訪れると、ユーザ20が携帯する通信端末10が、施設40に設置されている中継装置30の圏内に入る。そのため、中継装置30から送信されるBeacon(ビーコン)を通信端末10が受信する(ステップS101)。
【0044】
通信端末10は、ビーコンを受信すると、中継装置30との間で無線接続を開始する(ステップS102)。この後、通信端末10は、中継装置30及び第一ネットワーク60を介して通信する事が可能となる。通信端末10は、情報提供装置50に対し、接続通知を送信する(ステップS103)。接続通知は、通信端末10に関する情報(例えばユーザID及びアプリID)と、接続した中継装置30に関する情報(例えばIPアドレス、MACアドレス及びAPID、SSID)と、接続が開始された日時を表す情報と、を含む。接続通知は、中継装置30及び第一ネットワーク60を介して情報提供装置50に送信されてもよいし、基地局装置80及び第二ネットワーク70を介して情報提供装置50に送信されてもよい。
【0045】
情報提供装置50は、接続通知を受信すると、接続通知に含まれる情報に基づいてユーザ情報テーブルのレコード93の行動履歴を更新する(ステップS104)。その後、情報提供装置50は、通信端末10が中継装置30に接続を開始してから所定時間が経過したか否か判定する(ステップS105)。情報提供装置50は、所定時間が経過するまでは第一提供情報の提供を行わない(ステップS105)。なお、所定時間は、タイミングテーブルのタイミング情報の値を参照することによって判断される。例えば、接続通知に含まれるAPIDに基づいてAP情報テーブルを参照することによりFIDが判断され、このFIDに基づいてタイミングテーブルを参照することによりタイミング情報が判断される。所定時間が経過すると(ステップS105−YES)、情報提供装置50は、通信端末10に対して第一提供情報を送信する(ステップS106)。
【0046】
図10は、通信システム1が第二提供情報を送信する際の動作の具体例を示すシーケンスチャートである。まず、通信端末10を携帯するユーザ20が施設40内に滞在している場合には、通信端末10は施設40に設置されている中継装置30の圏内に位置している。そのため、通信端末10と中継装置30との間の通信は切断しない(ステップS201−NO)。
【0047】
一方、ユーザ20が施設40から離れると、通信端末10は施設40に設置されている中継装置30の圏外に出る。その場合、無線LANの通信が切断してしまう(ステップS201−YES)。無線LANの通信が切断すると、通信端末10は、切断通知を情報提供装置50に送信する(ステップS202)。切断通知には、通信端末10に関する情報(例えばユーザID及びアプリID)と、切断する直前まで接続していた中継装置30に関する情報(例えばIPアドレス、MACアドレス及びAPID、SSID)と、接続が切断された日時を表す情報と、を含む。切断通知は、基地局装置80及び第二ネットワーク70を介して情報提供装置50に送信される。
【0048】
情報提供装置50は、切断通知を受信すると、切断通知に含まれる情報に基づいてユーザ情報テーブルのレコード93の行動履歴を更新する(ステップS203)。その後、情報提供装置50は、第二提供情報を通信端末10に送信する(ステップS204)。
【0049】
次に、情報提供装置50の解析部507の処理について説明する。解析部507は、ユーザ情報記憶部505に蓄積された行動履歴の情報を解析することによって、タイミングテーブルのタイミング情報の値を決定する。具体的には以下のとおりである。
【0050】
解析部507は、FID毎に、接続通知が受信されてから切断通知が受信されるまでの時間の統計値(例えば平均値)を取得する。この時間は、接続通知に含まれる時刻と切断通知に含まれる時刻との差の統計値として取得されてもよい。解析部507は、取得された値に基づいて、タイミング情報の値を決定する。解析部507は、例えば取得された値をそのままタイミング情報の値として決定してもよい。解析部507は、例えば取得された値に対して所定の演算を行うことによってタイミング情報を値を決定してもよい。所定の演算は、施設40の種別や第一提供情報の内容などに応じて定められてもよい。例えば、Xそば店のように飲食店においてクーポンが提供される場合には、統計値から会計に要する一般的な時間(例えば10分)を減算することが所定の演算として適用されてもよい。例えば、Y水族館のように提示を行う施設において特別展示等のような展示に関する情報が提供される場合には、統計値から他の展示の鑑賞に要する一般的な時間(例えば30分)を減算することが所定の演算として適用されてもよい。
【0051】
このように構成された通信システム1では、より有用な情報をユーザに対して提供することが可能となる。以下、詳細について説明する。
【0052】
通信システム1では、ユーザ20が施設40を訪れてから所定のタイミングで第一提供情報が提供される。ユーザ20が施設40を訪れたことは、通信端末10が中継装置30に接続したことに応じて接続通知が送信されるため、情報提供装置50において自動的に判定される。第一提供情報は、施設内にてユーザ20に提供されることが望ましい情報である。上記のように通信システム1が動作することにより、ユーザ20が施設40に滞在しているタイミングで第一提供情報をユーザ20に提供することが可能となる。
【0053】
通信システム1では、ユーザ20が施設40を去ったタイミングで第二提供情報が提供される。ユーザ20が施設40を去ったことは、通信端末10と中継装置30との接続が切断することに応じて切断通知が送信されるため、情報提供装置50において自動的に判定される。第二提供情報は、施設の利用後にユーザ20に提供されることが望ましい情報である。上記のように通信システム1が動作することにより、ユーザ20が施設40から去ったタイミングで第二提供情報をユーザ20に提供することが可能となる。
【0054】
通信システム1では、第一提供情報が提供されるタイミングが、ユーザ20の過去の動作に基づいて決定される。そのため、より実情に即した適切なタイミングでユーザ20に対して情報を提供することが可能となる。
【0055】
<変形例>
図5に示される提供情報テーブルでは、FID毎に第一提供情報と第二提供情報とが予め登録されている。しかし、第一提供情報又は第二提供情報のいずれか一方又は双方は、FIDに対して予め対応付けが決定されていなくともよい。この場合、例えば以下のような構成により第一提供情報又は第二提供情報が決定されてもよい。なお、以下の説明では、具体例として第二提供情報が提供される場合の処理について説明する。
【0056】
各FIDが示す施設40同士の位置関係を表す情報が予め情報提供装置50に登録されている。例えば、各FIDが示す施設40の座標が登録されてもよいし、各FIDが示す施設40同士の距離が登録されてもよい。情報提供装置50は、第二提供情報を送信するタイミングになると、通信端末10が接続していた中継装置30のAPIDに対応付けられたFIDと、上述した各FIDが示す施設40同士の位置関係を表す情報と、に基づいて、通信端末10が接続していた中継装置30の施設40の近隣に位置する他の施設40のFIDを取得する。そして、情報提供装置50は、取得されたFIDに関する情報を、第二提供情報として決定する。例えば、情報提供装置50は、取得されたFIDに対応付けられた第一提供情報を、送信される第二提供情報として決定してもよい。
【0057】
図5に示される提供情報テーブルにおいて、第一提供情報又は第二提供情報のいずれか一方又は双方は、ユーザの行動履歴等の情報に基づいて決定されてもよい。例えば、各施設40にユーザが訪問した際の環境情報(例えば、天気、時刻、日時、曜日、月、季節)、各ユーザの属性情報(例えば性別、年代、趣味、職業)、それまでに訪れた施設40の履歴(行動履歴)などの情報を用いて、協調フィルタリング等のレコメンドアルゴリズムを実行することによって、第一提供情報又は第二提供情報が提供されるタイミングでユーザの次の行動の予測が行われてもよい。そして、その予測結果に応じて提供情報が決定されてもよい。このような決定は、情報提供部502によって行われてもよいし、解析部507によって行われてもよい。
【0058】
図6に示されるAP情報テーブルのレコード92は、IP、MAC及びAPIDの値を含む。しかしながら、AP情報テーブルのレコード92は、これらの値のうちいずれか一つ又は二つを含むように構成されてもよい。
上述の例では、通信端末10が第一ネットワーク60(例えばインターネット)に接続する際に、通信端末10について認証は行われていない。しかしながら、通信端末10は、第一ネットワーク60に接続する際に、不図示の認証装置から認証を受けるように構成されてもよい。この場合、通信端末10は、具体的に以下のように処理を行ってもよい。
【0059】
まず、通信端末10は、SSID記憶部に記憶されている所定のSSIDに接続する。所定のSSIDに接続した後、通信端末10は、中継装置30のAPI(APIDサーバ)にアクセスし、中継装置30のAPIDを取得する。通信端末10は、自身が接続可能な中継装置30のAPIDを予め記憶している。そこで、通信端末10は、APIから取得したAPIDが、予め記憶されている上記APIDと一致する場合に、第一ネットワーク60へ接続するための認証を受ける。そして、第一ネットワーク60に接続した後、通信端末10は、各契機で提供情報を受信する。
このように構成されることにより、例えば複数の中継装置30が共通のSSIDを用いている場合であっても、所定の中継装置30を介して第一ネットワーク60に接続することが可能となる。
【0060】
端末装置10は、入力部104を備えないように構成されてもよい。
ステップS101において中継装置30から送信される信号は、Beacon(ビーコン)に限定される必要は無い。例えば、ステップS101において中継装置30から音波信号が送信されてもよいし、他の形態の信号が送信されてもよい。
【0061】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。