【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、配合量を示す「部」は全て「重量部」を示す。また、本発明にかかる物質の諸物性の評価は以下の方法で測定した。
【0023】
<CM−DSの測定方法>
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)をH−CMCにした。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−H
2SO
4で過剰のNaOHを逆滴定した。CMC−DSは、次式によって算出した。
A=[(100×F’−0.1N−H
2SO
4(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾重量(g))
CM−DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CMCの1gの中和に要する1N−NaOH量(mL)
F:0.1N−H
2SO
4のファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
【0024】
<結晶化度の測定>
セルロースI型の結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°〜30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
【0025】
<CMCの製造>
(CMC1の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム10部を水300部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA10部に溶解したモノクロロ酢酸8部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度(CM−DS)0.05、結晶化度85%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC1)。
【0026】
(CMC2の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム15部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA20部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.16、結晶化度58%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC2)。
【0027】
(CMC3の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム15部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA30部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度40%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC3)。
【0028】
(CMC4の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム30部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.19、結晶化度0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC4)。
【0029】
(CMC5の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム33部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度18%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た。(CMC5)
【0030】
(CMC6の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム48部を水100部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸37部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.50、結晶化度43%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC6)。
【0031】
【表1】
【0032】
<実施例1〜3、比較例1〜3:乳酸菌飲料>
下記乳酸菌飲料の成分比率となるように、グラニュー糖、70%異性化液糖に、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を所定量となるよう計算して水を加え、完全に溶解させた。この溶解液を80℃で10分間殺菌して、20±1℃まで冷却した後、所定量の発酵乳を加えて混合攪拌した。そして、これを150kg/cm
2にてホモジナイザーにて1回通した。ホモジナイズした混合攪拌液を90℃で殺菌した後、20℃まで冷却し、さらに、腐敗防止のために7%安息香酸ナトリウムを2.0ml添加して乳酸菌飲料を得た。得られた乳酸菌飲料の分散安定性及び食感を評価した。
【0033】
(乳酸菌飲料)
発酵乳(無水換算) 3.0部
グラニュー糖 1.5部
70%異性化液糖 9.3部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5部
水 85.7部
【0034】
<分散安定性の評価>
得られた乳酸菌飲料を100mlのメスシリンダーに入れ、2週間放置し、2週間後の円筒管の乳蛋白沈殿量を読んだ。この値が小さいほど乳酸菌飲料に対する安定性が優れていることを示す。
【0035】
<食感の評価>
得られた乳酸菌飲料を10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0036】
【表2】
【0037】
表2より、実施例2〜3は優れた分散安定性を持つ上、食感も良好であった。
【0038】
<実施例4〜6、比較例4〜6:チョコレート飲料>
下記チョコレート飲料の成分比率となるように、ココアパウダー、砂糖、脱脂粉乳、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を所定量となるよう計算して水を加え、ホモミキサーにて攪拌しながら80℃になるまで加熱して予備乳化し、ホモジナイザーにて300kgf/cm
2の圧力下で均質化を行った。その後、缶に充填し、121℃、30分の殺菌を行い、チョコレート飲料を得た。得られたチョコレート飲料の分散安定性及び食感を評価した。
【0039】
(チョコレート飲料)
ココアパウダー 4.0部
砂糖 10.0部
脱脂粉乳 4.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0部
水 80.0部
【0040】
<分散安定性の評価>
得られたチョコレート飲料を100mlのメスシリンダーに入れ、2週間放置し、2週間後の円筒管の沈殿量を読んだ。この値が小さいほどチョコレート飲料に対する安定性が優れていることを示す。
【0041】
<食感の評価>
得られた乳酸菌飲料を10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
【0042】
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
【0043】
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
【0044】
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0045】
【表3】
【0046】
表3より、実施例4〜6は優れた分散安定性を持つ上、食感も良好であった。