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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-149929(P2015-149929A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】食品用分散安定剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/03 20060101AFI20150728BHJP
   A23C 9/13 20060101ALI20150728BHJP
   A23L 2/38 20060101ALI20150728BHJP
   A23G 1/00 20060101ALI20150728BHJP
   A23G 1/30 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
   A23L1/03
   A23C9/13
   A23L2/38 P
   A23G1/00
   A23L2/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-25514(P2014-25514)
(22)【出願日】2014年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】井上 一彦
(72)【発明者】
【氏名】藪内 優和
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B017
4B035
【Fターム(参考)】
4B001AC03
4B001AC20
4B001AC31
4B001BC03
4B001EC53
4B014GB05
4B014GK07
4B014GL11
4B017LE10
4B017LK13
4B017LK18
4B017LK21
4B017LL06
4B035LC16
4B035LG26
4B035LK12
4B035LP21
(57)【要約】
【課題】
本発明は、飲料に含有されている成分の分散安定性に優れると共に、ベタツキ、糊感による喉越し等の食感を大きく損なうことのない食品用分散安定剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
食品用の分散安定剤であって、該分散安定剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用分散安定剤。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用の分散安定剤であって、該分散安定剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用分散安定剤。
【請求項2】
請求項1に記載の食品用分散安定剤が含有されることを特徴とする、乳酸菌飲料、フルーツ入り乳飲料、プラスチック製の容器の中にジュースが詰められている飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、チョコレート飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌飲料、フルーツ入り乳飲料、プラスチック製の容器の中にジュースが詰められている飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、チョコレート飲料などの食品用分散安定剤に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌飲料、フルーツ入り乳飲料等の乳含有飲料の製造において、乳蛋白を安定化させる為の方法としては、種々の方法が提案されている。例えば、酸性乳飲料に増粘安定剤とともに平均粒子径が20μm以下の微細セルロースを含有させる方法(特許文献1)、ペクチン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、大豆多糖類等を安定剤として使用する方法(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3497666号公報
【特許文献2】特許第3462637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の方法では乳蛋白の安定化が不十分であるとともに、生成した沈殿物が容器の底面で硬くかたまってしまうため、乳含有飲料を開けた時に容器底面に付着して見え、商品価値を低下させるという問題がある。この問題に対しては、乳蛋白の分散安定剤の添加量を増やす方法があるが、乳含有飲料の粘度が高くなるため、ベタツキ、糊感により、喉越し等の食感を大きく損なうという問題が生じる。また、ココア等の微粉末を分散させた飲料、コーヒー飲料、チョコレート飲料、各種添加剤により味付け、色付けしているプラスチック製の容器の中にジュースが詰められている飲料においても、沈殿を生じさせないための改良方法は多く提案されているが、長期にわたって沈殿を防止することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、飲料に含有されている成分の分散安定性に優れると共に、ベタツキ、糊感による喉越し等の食感を大きく損なうことのない食品用分散安定剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]〜[2]を提供するものである。
[1] 食品用の分散安定剤であって、該分散安定剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用分散安定剤。
[2] [1]に記載の食品用分散安定剤が含有されることを特徴とする、乳酸菌飲料、フルーツ入り乳飲料、プラスチック製の容器の中にジュースが詰められている飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、チョコレート飲料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飲料に含有されている成分の分散安定性に優れると共に、ベタツキ、糊感による喉越し等の食感を大きく損なうことのない食品用分散安定剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩(以下、「カルボキシメチルセルロース」あるいは[CMC]ということがある。)であることを特徴とする食品用分散安定剤(以下、「分散安定剤」ということがある。)に関する。
【0009】
本発明は、カルボキシメチルセルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基(以下、「置換度」あるいは「CM−DS」ということがある。)、結晶化度(結晶性)が、分散安定性、べたつき、あるいは食感に、大きく影響することに着目してなされた発明である。
【0010】
具体的には、本発明は、食品の種類によってその影響の大きさは異なるものの、以下のグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基、結晶化度と分散安定性、べたつき、食感との関連性に着目してなされた発明である。
【0011】
カルボキシメチルセルロースの置換度が高い場合、水に溶解しやすくなるため、十分な分散安定性が得られなくなる。また、べたつきやすくなるとともに、食感も悪くなる。一方、置換度が低い場合、水に膨潤あるいは溶解しにくいため、分散安定性が得られないと共に、未溶解物が存在するため食感が悪くなる。また、カルボキシメチルセルロースの結晶化度は、低すぎても高すぎても食感が悪くなる。
【0012】
本発明のカルボキシメチルセルロース又はその塩は、セルロース原料にカルボキシメチル化反応を行うことで製造することができる。セルロース原料としては、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
【0013】
本発明のカルボキシメチルセルロース又はその塩は公知の方法、例えば、セルロースを発底原料にし、溶媒に3〜20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料のグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜2.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
【0014】
本発明では、グルコース残基当たりカルボキシメチル基の置換度が、0.01〜0.40の範囲にあるカルボキシメチルセルロース又はその塩であることが重要である。CM−DSが0.40を超えた場合には、水溶性部分が増加し、水への溶解性が増すことから、十分な分散安定性が得られなくなる。また、べたつきやすくなるとともに、食感も悪くなる。一方、CM−DSが0.01以下の場合、水に膨潤あるいは溶解しにくいため、分散安定性が得られないと共に、未溶解物が存在するため食感が悪くなる。
【0015】
また、上記したグルコース残基当たりカルボキシメチル基の置換度が、0.01〜0.40の範囲にあるカルボキシメチルセルロース又はその塩の結晶化度が、40%以上88%未満であることが重要である。カルボキシメチルセルロースの結晶化度(セルロースI型の結晶化度)は、低すぎても高すぎても食感が悪くなる。
【0016】
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩の純度をあげるため、公知の方法、即ち溶媒に3〜20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用し、純分99%まで精製処理し、その後乾燥を行う。
【0017】
他の素材との均一な混合を目的に、精製したカルボキシメチルセルロース又はその塩を機械的処理により微粉砕化及び/又は分級を行っても良い。
【0018】
機械的処理とは具体的には、カッティング式ミル単独、もしくはカッティング式ミル及び衝撃式ミル及び/又は気流式ミルを単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができる。カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。
【0019】
また、衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインインパクトミル製(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株))、サンプルミル((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。一方、気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株))、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、が例示される。さらに、媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。一方、湿式粉砕機としては、マスコロイダー(増幸産業(株))等が例示される。
乾式粉砕工程においては、粉砕後分級工程を設けることによって、微細部分と粗砕部分に分別することもできる。また、分級工程は、湿式粉砕又は摩砕物を乾燥した後の乾燥物に対しても設定することができる。
【0020】
上記、いずれかの粉砕機により微粉砕化されたカルボキシメチルセルロース又はその塩の粉砕後の平均粒子径は、特に制限はないが、0.1〜300μm、好ましくは10〜100μmが望ましい。0.1μm未満では、製造上煩雑であり、300μmを超える場合には、分散安定剤に使用する食品との均一な混合が難しく好ましくない。
【0021】
本発明の分散安定剤に使用される食品途としては、乳酸菌飲料、フルーツ入り乳飲料、ポリジュース(商品名)やチューペット(商品名)などのプラスチック製の容器の中にジュースが詰められている飲料、ココア飲料、コーヒー飲料、チョコレート飲料等が挙げられる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、配合量を示す「部」は全て「重量部」を示す。また、本発明にかかる物質の諸物性の評価は以下の方法で測定した。
【0023】
<CM−DSの測定方法>
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)をH−CMCにした。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−HSOで過剰のNaOHを逆滴定した。CMC−DSは、次式によって算出した。
A=[(100×F’−0.1N−HSO(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾重量(g))
CM−DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CMCの1gの中和に要する1N−NaOH量(mL)
F:0.1N−HSOのファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
【0024】
<結晶化度の測定>
セルロースI型の結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°〜30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
【0025】
<CMCの製造>
(CMC1の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム10部を水300部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA10部に溶解したモノクロロ酢酸8部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度(CM−DS)0.05、結晶化度85%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC1)。
【0026】
(CMC2の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム15部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA20部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.16、結晶化度58%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC2)。
【0027】
(CMC3の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム15部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA30部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度40%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC3)。
【0028】
(CMC4の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム30部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.19、結晶化度0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC4)。
【0029】
(CMC5の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム33部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度18%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た。(CMC5)
【0030】
(CMC6の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム48部を水100部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸37部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.50、結晶化度43%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC6)。
【0031】
【表1】
【0032】
<実施例1〜3、比較例1〜3:乳酸菌飲料>
下記乳酸菌飲料の成分比率となるように、グラニュー糖、70%異性化液糖に、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を所定量となるよう計算して水を加え、完全に溶解させた。この溶解液を80℃で10分間殺菌して、20±1℃まで冷却した後、所定量の発酵乳を加えて混合攪拌した。そして、これを150kg/cmにてホモジナイザーにて1回通した。ホモジナイズした混合攪拌液を90℃で殺菌した後、20℃まで冷却し、さらに、腐敗防止のために7%安息香酸ナトリウムを2.0ml添加して乳酸菌飲料を得た。得られた乳酸菌飲料の分散安定性及び食感を評価した。
【0033】
(乳酸菌飲料)
発酵乳(無水換算) 3.0部
グラニュー糖 1.5部
70%異性化液糖 9.3部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5部
水 85.7部
【0034】
<分散安定性の評価>
得られた乳酸菌飲料を100mlのメスシリンダーに入れ、2週間放置し、2週間後の円筒管の乳蛋白沈殿量を読んだ。この値が小さいほど乳酸菌飲料に対する安定性が優れていることを示す。
【0035】
<食感の評価>
得られた乳酸菌飲料を10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0036】
【表2】
【0037】
表2より、実施例2〜3は優れた分散安定性を持つ上、食感も良好であった。
【0038】
<実施例4〜6、比較例4〜6:チョコレート飲料>
下記チョコレート飲料の成分比率となるように、ココアパウダー、砂糖、脱脂粉乳、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を所定量となるよう計算して水を加え、ホモミキサーにて攪拌しながら80℃になるまで加熱して予備乳化し、ホモジナイザーにて300kgf/cmの圧力下で均質化を行った。その後、缶に充填し、121℃、30分の殺菌を行い、チョコレート飲料を得た。得られたチョコレート飲料の分散安定性及び食感を評価した。
【0039】
(チョコレート飲料)
ココアパウダー 4.0部
砂糖 10.0部
脱脂粉乳 4.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2.0部
水 80.0部
【0040】
<分散安定性の評価>
得られたチョコレート飲料を100mlのメスシリンダーに入れ、2週間放置し、2週間後の円筒管の沈殿量を読んだ。この値が小さいほどチョコレート飲料に対する安定性が優れていることを示す。
【0041】
<食感の評価>
得られた乳酸菌飲料を10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
【0042】
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
【0043】
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
【0044】
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0045】
【表3】
【0046】
表3より、実施例4〜6は優れた分散安定性を持つ上、食感も良好であった。