特開2015-149930(P2015-149930A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-149930(P2015-149930A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】食品用保水剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 1/00 20060101AFI20150728BHJP
   A21D 13/00 20060101ALI20150728BHJP
   A21D 2/10 20060101ALI20150728BHJP
   A23G 3/50 20060101ALI20150728BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20150728BHJP
   A21D 13/08 20060101ALI20150728BHJP
   A23L 1/06 20060101ALI20150728BHJP
   A23L 1/16 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
   A23L1/00 N
   A21D13/00
   A21D2/10
   A23G3/00 102
   A23G3/00 101
   A21D13/08
   A23L1/06
   A23L1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-25515(P2014-25515)
(22)【出願日】2014年2月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】井上 一彦
(72)【発明者】
【氏名】藪内 優和
【テーマコード(参考)】
4B014
4B032
4B035
4B041
4B046
【Fターム(参考)】
4B014GB07
4B014GG18
4B014GK12
4B014GP01
4B032DB02
4B032DB10
4B032DB22
4B032DK16
4B032DP13
4B035LC03
4B035LG26
4B035LK08
4B035LP21
4B041LC03
4B041LD01
4B041LH11
4B041LP04
4B046LA01
4B046LC01
4B046LG17
4B046LP03
(57)【要約】
【課題】
本発明は、グミ、ソフトキャンディ、パン、ホットケーキ、麺、クッキー、スナック菓子などの加工食品の保水性に優れると共に、ベトツキ感、食感の低下を抑えた食品用の保水剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
食品用の保水剤であって、該保水剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用保水剤。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用の保水剤であって、該保水剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用保水剤。
【請求項2】
請求項1に記載の食品用保水剤が含有されることを特徴とする、グミ、ソフトキャンディ、パン、ホットケーキ、麺、クッキー、スナック菓子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グミ、ソフトキャンディ、パン、ホットケーキ、麺、クッキー、スナック菓子などの食品用保水剤に関する。
【背景技術】
【0002】
麺やパンなどのように、加工時に比較的水分含量が多くなる加工食品には、経時変化により水分を失い、乾燥して硬くなったり、食感が悪くなったりする問題がある。この問題を解決する方法として、例えば、ゼラチンを生地中に練り込む包麺皮(特許文献1)や、コンニャクゼリーを生地中に練り込むギョウザ、シュウマイ、ワンタンなどの皮(特許文献2)、小麦粉を主体とするパン生地に対し、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤1〜6重量%を配合して焼成してなる電子レンジ加熱に適する冷凍パン(特許文献3)、電子レンジ用ピザクラストの製造方法として、パン生地配合のうち、小麦粉の配合所定量の一部を上新粉に換えて小麦粉と併用したものを使用する製造方法(特許文献4)、小麦粉を飽和水蒸気により処理した小麦粉湿熱処理物を配合する方法(特許文献5)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−67564号公報
【特許文献2】特開平3−35767号公報
【特許文献3】特開平2−222639号公報
【特許文献4】特開平2−92230号公報
【特許文献5】特開平7−147947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの方法は、各種食品に保水性を付与すことができるが、水気が残ることによるベトツキ感、添加する保水剤に起因する食感の低下といった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題点に着目してなされたもので、加工食品の保水性に優れると共に、食品のベトツキ感、食感の低下を抑えた食品用の保水剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の[1]〜[2]を提供するものである。
[1] 食品用の保水剤であって、該保水剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とする食品用保水剤。
[2] [1]に記載の食品用保水剤が含有されることを特徴とする、グミ、ソフトキャンディ、パン、ホットケーキ、麺、クッキー、スナック菓子。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工食品の保水性に優れると共に、食品のベトツキ感、食感の低下を抑えた食品用の保水剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.40、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上88%未満のカルボキシメチルセルロース又はその塩(以下、「カルボキシメチルセルロース」あるいは[CMC]ということがある。)であることを特徴とする食品用保水剤(以下、「保水剤」ということがある。)に関する。
【0009】
本発明は、カルボキシメチルセルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度(以下、「CM−DS」ということがある。)、結晶化度(結晶性)が、保水性、ベタツキ感、食感に、大きく影響することに着目してなされた発明である。
【0010】
カルボキシメチルセルロースの置換度が高い場合、水に溶解してしまうため、十分な保水性が得られなくなる。また、食品がべたつきやすくなるとともに、食感も悪くなる。一方、置換度が低い場合、水に膨潤しにくいため、保水性が得られないと共に、未溶解物が存在するため食感が悪くなる。また、カルボキシメチルセルロースの結晶化度は、低すぎても高すぎても食感が悪くなる。
【0011】
本発明のカルボキシメチルセルロース又はその塩は、セルロース原料にカルボキシメチル化反応を行うことで製造することができる。
【0012】
セルロース原料としては、晒又は未晒木材パルプ、精製リンター、酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等の天然セルロースや、セルロースを銅アンモニア溶液、モルホリン誘導体等、何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸された再生セルロース、及び上記セルロース系素材の加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等によって解重合処理した微細セルロース又は機械的に処理した微細セルロースが例示される。
【0013】
本発明のカルボキシメチルセルロース又はその塩は公知の方法、例えば、セルロースを発底原料にし、溶媒に3〜20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールの混合割合は、60〜95重量%である。マーセル化剤としては、発底原料のグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。
【0014】
その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜2.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
【0015】
本発明では、グルコース残基当たりカルボキシメチル基の置換度が、0.01〜0.40の範囲にあるカルボキシメチルセルロース又はその塩であることが重要である。CM−DSが0.40を超えた場合には、水へ溶解しやすくなることから、十分な保水性が得られなくなる。また、べたつきやすくなるとともに、食感も悪くなる。一方、CM−DSが0.01以下の場合、水に膨潤しにくいため、保水性が得られないと共に、未溶解物が存在するため食感が悪くなる。
【0016】
また、上記したグルコース残基当たりカルボキシメチル基の置換度が、0.01〜0.40の範囲にあるカルボキシメチルセルロース又はその塩の結晶化度が、40%以上88%未満であることが重要である。カルボキシメチルセルロースの結晶化度(セルロースI型の結晶化度)は、低すぎても高すぎても食感が悪くなる。
【0017】
本発明において、カルボキシメチルセルロース又はその塩の純度をあげるため、公知の方法、即ち溶媒に3〜20重量倍の低級アルコール、具体的にはメタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合物と水の混合媒体を使用し、純分99%まで精製処理し、その後乾燥を行う。
【0018】
他の素材との均一な混合を目的に、精製したカルボキシメチルセルロース又はその塩を機械的処理により微粉砕化及び/又は分級を行っても良い。
【0019】
機械的処理とは具体的には、カッティング式ミル単独、もしくはカッティング式ミル及び衝撃式ミル及び/又は気流式ミルを単独あるいは併用して、さらには同機種で数段処理することができる。カッティング式ミルとしては、メッシュミル((株)ホーライ製)、アトムズ((株)山本百馬製作所製)、ナイフミル(パルマン社製)、グラニュレータ(ヘルボルト製)、ロータリーカッターミル((株)奈良機械製作所製)、等が例示される。
【0020】
また、衝撃式ミルとしては、パルペライザ(ホソカワミクロン(株)製)、ファインインパクトミル製(ホソカワミクロン(株)製)、スーパーミクロンミル(ホソカワミクロン(株))、サンプルミル((株)セイシン製)、トルネードミル(日機装(株))、ターボミル(ターボ工業(株))、ベベルインパクター(相川鉄工(株))等が例示される。一方、気流式ミルとしては、CGS型ジェットミル(三井鉱山(株)製)、ジェットミル(三庄インダストリー(株))、エバラジェットマイクロナイザ((株)荏原製作所製)、セレンミラー(増幸産業(株)製)、が例示される。さらに、媒体ミルとしては、振動ボールミル等が例示される。一方、湿式粉砕機としては、マスコロイダー(増幸産業(株))等が例示される。乾式粉砕工程においては、粉砕後分級工程を設けることによって、微細部分と粗砕部分に分別することもできる。また、分級工程は、湿式粉砕又は摩砕物を乾燥した後の乾燥物に対しても設定することができる。
【0021】
上記、いずれかの粉砕機により微粉砕化されたカルボキシメチルセルロース又はその塩の粉砕後の平均粒子径は、特に制限はないが、0.1〜300μm、好ましくは10〜100μmが望ましい。0.1μm未満では、製造上煩雑であり、300μmを超える場合には、保水剤に使用する食品との均一な混合が難しく好ましくない。
【0022】
本発明の保水剤に使用される食品としては、果汁などをゼラチンで固めた「グミ」、砂糖や水飴を主原料として、低温で煮詰めて柔らかく仕上げるキャラメル、ヌガー、マシュマロなどのソフトキャンディ、パン、ホットケーキ、麺、小麦を原料とするクッキー(ビスケットを含む)、原料にトウモロコシ、米粉、いも類、豆類などの炭水化物を用い、それを食用油で揚げているスナック菓子等が挙げられる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、配合量を示す「部」は全て「重量部」を示す。また、本発明にかかる物質の諸物性の評価は以下の方法で測定した。
【0024】
<CM−DSの測定方法>
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)をH−CMCにした。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−HSOで過剰のNaOHを逆滴定した。CMC−DSは、次式によって算出した。
A=[(100×F’−0.1N−HSO(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾重量(g))
CM−DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CMCの1gの中和に要する1N−NaOH量(mL)
F:0.1N−HSOのファクター
F’:0.1N−NaOHのファクター
【0025】
<結晶化度の測定>
セルロースI型の結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°〜30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
【0026】
<CMCの製造>
(CMC1の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム10部を水300部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA10部に溶解したモノクロロ酢酸8部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度(CM−DS)0.05、結晶化度85%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC1)。
【0027】
(CMC2の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム15部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA20部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.16、結晶化度58%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC2)。
【0028】
(CMC3の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム15部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA30部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度40%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC3)。
【0029】
(CMC4の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム30部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.19、結晶化度0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC4)。
【0030】
(CMC5の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム33部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度18%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た。(CMC5)
【0031】
(CMC6の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム48部を水100部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸37部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.50、結晶化度43%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC6)。
【0032】
【表1】
【0033】
<実施例1〜3、比較例1〜3:パン類>
本例では、ストレート法にて、角形食パンを製造するのに際して、以下に示す配合で実施例、比較例の生地を調整した。その際、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を所定量混合した。その後、得られた各生地を、通常のストレート法の工程により発酵し、焼成して、角形食パンを得た。得られた食パンについて、焼成後の保水性と食感を評価した。結果を表2に示す。
【0034】
(パン類)
小麦粉 100.0部
イースト 2.0部
イーストフード 0.05部
砂糖 7.0部
塩 2.0部
脱脂粉乳 2.0部
ショートニング 4.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5部
水 72.0部
【0035】
<保水性の評価>
焼成後24時間経過後に厚さ20mmにスライスし、このスライス3枚を25℃、65%R.H.に3時間放置し、放置前と放置後との重量差を水分蒸散量とし、放置前後の水分量から、以下の式より保水性を求めた。
(式)保水性=(放置前の水分量−水分蒸散量)/放置前の水分量×100(%)
【0036】
<食感の評価>
得られたパンを10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0037】
【表2】
【0038】
表2より、実施例2〜3は優れた保水性を持つ上、食感も良好であった。
【0039】
<実施例4〜6、比較例4〜6:グミ>
下記グミの成分比率となるように、還元水飴、粉糖、クエン酸、グレープ香料、表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を25℃の温度下で混合し、グミ原液を調整した。得られたグミ原液をPP製のモールド(縦×横×高さ=20mm×20mm×15mm)に高さ10mmとなるよう充填した。直径24cm、高さ14cmのIHヒーター専用鍋に、直径20cm、高さ6cmのメッシュの底面を上向きにして置き、水1リットルを入れた。IHヒーターを用いて鍋を加熱し、水が沸騰し、蒸気が出始めたところで保温設定にした。この時の鍋の内部の温度は100℃であった。グミ原液を充填したPP製モールドをメッシュの底面に置き、鍋と蓋との間に濡れ布巾を挟んだ状態にして蓋をし、30分間蒸気加熱することで、グミを得た。得られたグミについて、加熱後の保水性とベタツキ感、食感を評価した。結果を表3に示す。
【0040】
(グミ)
還元水飴 49.4部
粉糖 42.8部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 6.4部
クエン酸 1.2部
グレープ香料 0.2部
【0041】
<ベタツキ感の評価>
得られたグミを触って、ベタツキ度合いを感応評価した。
○:全くべたつかない。
△:ほとんどべたつかない。
×:ベタツキ感が強い。
【0042】
<保水性の評価>
加熱後24時間経過後に2cmにカットし、このカットしたグミ10個を25℃、65%R.H.に3時間放置し、放置前と放置後との重量差を水分蒸散量とし、放置前後の水分量から、以下の式より保水性を求めた。
(式)保水性=(放置前の水分量−水分蒸散量)/放置前の水分量×100(%)
【0043】
<食感の評価>
得られたグミを10人に試飲してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
【0044】
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
【0045】
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
【0046】
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
【0047】
【表3】
【0048】
表3より、実施例4〜6は優れた保水性を持つ上、食感、ベタツキ感も良好であった。