(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-151064(P2015-151064A)
(43)【公開日】2015年8月24日
(54)【発明の名称】車両用表示装置、及び、そのための表示決定方法
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20060101AFI20150728BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20150728BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20150728BHJP
G09G 5/14 20060101ALI20150728BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20150728BHJP
G01D 7/00 20060101ALI20150728BHJP
G01D 7/02 20060101ALI20150728BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
B60R16/02 640K
G09G5/00 510A
G09G5/14 A
G09G5/36 520L
G01D7/00 K
G01D7/00 303Z
G01D7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-28177(P2014-28177)
(22)【出願日】2014年2月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】森本 義章
(72)【発明者】
【氏名】山岸 正知
【テーマコード(参考)】
2F041
3D344
5C082
【Fターム(参考)】
2F041EA02
2F041EA08
2F041TA06
3D344AA20
3D344AA26
3D344AB01
3D344AD02
3D344AD13
5C082BA12
5C082CA55
5C082CB01
5C082MM10
(57)【要約】
【課題】注視させる表示物を運転者の視線移動が少ない方法で表示可能な安全な運転を可能にする車両用表示装置、そのための表示決定方法を提供する。
【解決手段】 車両に関する情報を、当該車両内に配置された表示装置上に表示する、車両用表示装置のための表示決定方法であって、車両内の情報である車両情報と、当該車両外からの情報である車両外の情報と、前記表示装置上に表示する表示物を定義する表示物定義データと、前記表示装置上における既表示物の表示状態を定義する既表示物表示状態データと、表示する表示物の評価を定義する表示物評価定義データとを入力情報として入力し、前記入力した入力情報に基づいて、前記表示装置上に表示して注視させる表示物を決定し、前記決定された注視させる表示物の表示装置上での表示方法を、当該表示装置上に既に表示された前記既表示物の表示方法との間で決定する車両用表示装置のための表示決定方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する情報を、当該車両内に配置された表示装置上に表示する、車両用表示装置のための表示決定方法であって、
車両内の情報である車両情報と、当該車両外からの情報である車両外の情報と、前記表示装置上に表示する表示物を定義する表示物定義データと、前記表示装置上における既表示物の表示状態を定義する既表示物表示状態データと、表示する表示物の評価を定義する表示物評価定義データとを入力情報として入力し、
前記入力した入力情報に基づいて、前記表示装置上に表示して注視させる表示物を決定し、
前記決定された注視させる表示物の表示装置上での表示方法を、当該表示装置上に既に表示された前記既表示物の表示方法との間で決定することを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載した表示決定方法において、
前記決定された注視させる表示物の表示装置上での表示を、前記既に表示された前記既表示物からの視線の移動が少なくなるように決定することを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項3】
前記請求項2に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物と前記既表示物は、同時に視認が必要な注視させる表示物と既表示物であることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項4】
前記請求項3に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物の前記表示物評価定義データは、同時に視認が必要な表示物の情報を含んでいることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項5】
前記請求項4に記載した表示決定方法において、
前記同時視認が必要な表示物の情報は、前記同時視認が必要な表示物の情報のスキーマと、前記同時視認が必要な表示物の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項6】
前記請求項5に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物の情報を、前記車両情報から決定することを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項7】
前記請求項6に記載した表示決定方法において、
前記車両情報は、当該車両情報のスキーマと、当該車両の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項8】
前記請求項1に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物の情報を、前記車両外の情報から決定することを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項9】
前記請求項8に記載した表示決定方法において、
前記車両外の情報は、当該車両外の情報のスキーマと、当該車両外の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項10】
前記請求項1に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物の情報は、当該注視させる表示物の情報のスキーマと、当該注視させる表示物の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項11】
前記請求項1に記載した表示決定方法において、
前記既表示物の表示状態データは、当該既表示物の表示状態データのスキーマと、当該既表示物の表示状態データとから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項12】
車両に関する情報を、当該車両内に配置された表示装置上に表示する、車両用表示装置であって、
車両内の情報である車両情報を入力する車両情報入力部と、
当該車両外からの情報である車両外情報を入力する車両外情報入力部と、
前記表示装置上に表示する表示物を定義する表示物定義データと、前記表示装置上における既表示物の表示状態を定義する既表示物表示状態データと、表示する表示物の評価を定義する表示物評価定義データとを格納した記憶装置と、
前記車両情報入力部からの前記車両情報と、前記車両外情報入力部からの前記車両外情報と、前記記憶装置内に格納した前記表示物定義データ、前記既表示物表示状態データ、及び、前記表示物評価定義データに基づいて、前記表示装置上に表示して注視させる表示物を決定する注視表示物決定部と、
前記注視表示物決定部で決定された注視させる表示物の表示装置上での表示方法を、当該表示装置上に既に表示された前記既表示物の表示方法との間で決定する表示方法決定部と、
前記表示方法決定部からの出力に基づいて、前記注視させる表示物を前記表示装置上に表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項13】
前記請求項12に記載した車両用表示装置において、
前記表示方法決定部は、前記決定された注視させる表示物の表示装置上での表示を、前記既に表示された前記既表示物からの視線の移動が少なくなるように決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項14】
前記請求項13に記載した車両用表示装置において、
前記注視させる表示物と前記既表示物は、同時に視認が必要な注視させる表示物と既表示物であることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項15】
前記請求項14に記載した車両用表示装置において、
前記注視させる表示物の前記表示物評価定義データは、同時に視認が必要な表示物の情報を含んでいることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項16】
前記請求項15に記載した車両用表示装置において、
前記同時視認が必要な表示物の情報は、前記同時視認が必要な表示物の情報のスキーマと、前記同時視認が必要な表示物の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項17】
前記請求項16に記載した車両用表示装置において、
前記注視させる表示物の情報を、前記車両情報から決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項18】
前記請求項17に記載した車両用表示装置において、
前記車両情報は、当該車両情報のスキーマと、当該車両の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項19】
前記請求項12に記載した車両用表示装置において、
前記注視させる表示物の情報を、前記車両外の情報から決定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項20】
前記請求項19に記載した車両用表示装置において、
前記車両外の情報は、当該車両外の情報のスキーマと、当該車両外の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項21】
前記請求項12に記載した表示決定方法において、
前記注視させる表示物の情報は、当該注視させる表示物の情報のスキーマと、当該注視させる表示物の情報とから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【請求項22】
前記請求項12に記載した表示決定方法において、
前記既表示物の表示状態データは、当該既表示物の表示状態データのスキーマと、当該既表示物の表示状態データとから構成されていることを特徴とする車両用表示装置のための表示決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等において、速度や燃料量などを表示する車両用表示装置に関し、更には、そのための、注視すべき表示物の表示を運転者の少ない視線の移動で実現可能な、表示決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチウィンドウシステムにおけるウィンドウの配置方法として、例えば、以下の特許文献1によれば、マルチウィンドウ表示における複数画面の重なりを少なくてマルチウィンドウ表示の視認性や操作性を高めるため、表示基準に基づいて表示の重なりを判断し、当該判断された表示の重なり具合にもとづいて表示位置や大きさを変更するウィンドウ表示装置が既に知られている。
【0003】
また、従来、やはりマルチウィンドウシステムにおける新たな表示を、複数の既表示物との重なりを少なくするよう表示する技術として、例えば、以下の特許文献2には、新たな表示物を、表示の空いているところに表示する、又は、そのような領域がない場合には、最も古い表示物の位置に表示するウィンドウの配置方法が既に知られている。
【0004】
一方、車両等において速度や燃料量などを表示する車両用表示装置では、例えば、以下の特許文献3によれば、小さい表示領域であっても視認性の高い警告表示が可能な車両用表示装置として、車両に関する各種警告状態を示す警告マークを表示するものであって、複数の警告マークを順次切り換えて表示可能な警告表示部を備えたものが既に知られている。
【0005】
また、車両のエアコンパネルに取り付けられる車両用表示装置では、良好な操作性や視認性を確保すると共に、取り付けスペースの確保を考慮して、1つの表示装置の表示盤に、エアコンに関する2つの動作内容を同時に表示する車両用表示装置が既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−116686号公報
【特許文献2】特開平1−128089号公報
【特許文献3】特開2013−49294号公報
【特許文献4】特開2009−202654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車両等において速度や燃料量などを表示する車両用表示装置では、注視させる表示物を、運転者の視線移動が少ない方法で行う表示方法が求められているが、しかしながら、上述した従来技術は、かかる要望を満足するに十分にものとは言えないものであった。
【0008】
本発明は、上述した従来技術における課題に鑑みて達成されたものであり、その目的は、注視させる表示物を、運転者の視線移動が少ない方法で表示可能であり、安全な運転を可能にする車両用表示装置、更には、そのための表示決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、その代表的な一例を示せば、以下のように、車両に関する情報を、当該車両内に配置された表示装置上に表示する、車両用表示装置のための表示決定方法であって、車両内の情報である車両情報と、当該車両外からの情報である車両外の情報と、前記表示装置上に表示する表示物を定義する表示物定義データと、前記表示装置上における既表示物の表示状態を定義する既表示物表示状態データと、表示する表示物の評価を定義する表示物評価定義データとを入力情報として入力し、前記入力した入力情報に基づいて、前記表示装置上に表示して注視させる表示物を決定し、前記決定された注視させる表示物の表示装置上での表示方法を、当該表示装置上に既に表示された前記既表示物の表示方法との間で決定する車両用表示装置のための表示決定方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記の目的を達成するため、車両に関する情報を、当該車両内に配置された表示装置上に表示する、車両用表示装置であって、車両内の情報である車両情報を入力する車両情報入力部と、当該車両外からの情報である車両外情報を入力する車両外情報入力部と、前記表示装置上に表示する表示物を定義する表示物定義データと、前記表示装置上における既表示物の表示状態を定義する既表示物表示状態データと、表示する表示物の評価を定義する表示物評価定義データとを格納した記憶装置と、前記車両情報入力部からの前記車両情報と、前記車両外情報入力部からの前記車両外情報と、前記記憶装置内に格納した前記表示物定義データ、前記既表示物表示状態データ、及び、前記表示物評価定義データに基づいて、前記表示装置上に表示して注視させる表示物を決定する注視表示物決定部と、前記注視表示物決定部で決定された注視させる表示物の表示装置上での表示方法を、当該表示装置上に既に表示された前記既表示物の表示方法との間で決定する表示方法決定部と、前記表示方法決定部からの出力に基づいて、前記注視させる表示物を前記表示装置上に表示する
車両用表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、注視させる表示物の新たな表示を、運転者による視線の移動が少なくして行うことが可能になる。これにより、運転者の視線移動の少ない安全運転を可能とする車両用表示装置、及び、そのための表示決定方法が提供されるという、実用的にも優れた効果を達成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】上記車両用表示装置における表示決定方法の一例を示すフローチャート図である。
【
図3】上記車両用表示装置における表示物定義データ構成の一例を示す図である。
【
図4】上記車両用表示装置における表示状態データの一例を示す図である。
【
図5】上記車両用表示装置における表示物評価定義データ構成の一例を示す図である。
【
図6】上記車両用表示装置における車両情報の一例を示す図である。
【
図7】上記車両用表示装置における車両外情報の一例を示す図である。
【
図8】上記車両用表示装置の注視表示物決定部における注視させる表示物情報と表示指令を決定する処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図9】上記車両用表示装置の変更表示物決定部における表示方法を変更する表示物を決定する処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図10】上記車両用表示装置の表示物方法決定部における視線移動が少ない表示方法へ変更する処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図11】上記車両用表示装置における表示方法の変更の一例を示す図である。
【
図12】上記車両用表示装置における表示方法の変更の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態になる車両用表示装置、及び、それを用いた車両用表示システムについて、添付の図面を参照しながら詳細に説明するが、先ず、それに先立って、本発明の基礎となる、発明者によりなされた各種の検討や知見等について、以下に説明する。
【0014】
まず、車両のダッシュボード等に搭載される車両用表示装置では、表示物が既に表示されている表示装置上に、更に、新たに、注視させる表示物を表示する際、表示物の位置変更や大きさ変更が大きいと、当該変更に運転手の視線が引き寄せられてしまい、即ち、運転者の視線移動が大きくなり、運転に危険を生じる。即ち、注視させる表示物を新たに表示する際には、運転者の視線移動が少ない方法でおこなうことが望まれる。
【0015】
ところで、現状では、既に存在する表示物のうち、注視させるべき表示物を、運転者の視線移動が少ない方法で、新たに表示する場合には、例えば、表示位置を固定すること、又は、複数の表示装置へ表示することによって実現することが考えられる。しかしながら、表示位置を固定することは、車両用表示装置のデザインを犠牲にするため困難であり、又、表示装置を複数用意することも、そのための多くの費用を必要とすることから、困難である。また、既に存在する表示物と同時の視認の必要性がある表示物を、運転者の視線移動を少なくして、新たに表示する場合には、既に存在する表示物を新たに表示する場合と同様、表示位置を固定することによって実現することが可能ではあるが、しかしながら、表示位置を固定することによる表示領域の問題や、注視物が限定される等の問題が存在する。
【0016】
一方、既に存在する表示物に加えて、注視させる表示物を新たに表示するため、例えば、上記特許文献1に記載の方法のように、注視させる表示物の座標および表示指令を入力し、記憶している既に表示している表示物の座標および大きさと、注視させる表示物の重なりを判断し、既に表示している表示物および注視させる表示物の表示位置の変更、または、大きさの変更の表示指令を出力して、表示物を表示装置に表示することが考えられる。しかしながら、表示物の位置の変更や大きさの変更が大き過ぎると、運転者の視線の移動が大きくなり、運転者の注意が引き寄せられてしまい、運転に危険を生じてしまう。
【0017】
また、既に存在する表示物と同時視認の必要な表示物を新たに表示する技術として、上記特許文献2に記載の方法のように、表示装置上に複数の表示物を表示する表示装置において、新たな表示物の生成指令を入力し、記憶している既に表示している表示物の座標および生成時刻と同時視認の必要性の有無の情報と新たな表示物から、非関連表示物又は空き領域を新たな表示物の表示位置として定め、上記非関連表示物又は空き領域がなければ最も時間的に早く生成された表示物の表示位置を新たな表示物の表示位置として定めるものである。即ち、表示位置を固定することや表示領域が不足した場合に注視物とは関連のない表示物の上に表示をおこなうことがこの方法の特徴である。しかしながら、この方法では、表示位置が固定されており、車載装置で用いる場合、表示物のそれぞれがその大きさや表示位置が異なるため、利用することができない。
【0018】
そこで、本発明は、上述した検討や知見等を考慮し、即ち、表示物の位置の変更や大きさの変更の量をあまり大きくすることなく、注視させる表示物を、運転者の視線の移動が少なく、そのため、運転者の注意を引き付けるなどの不具合のない、安全な運転を可能にする車両用表示装置、更には、そのための表示決定方法を提供するものであり、以下に詳述する。
【0019】
即ち、本発明では、車両情報と、車両外の情報と、表示物定義と、表示状態と、表示物評価定義とを入力とする特徴を持つ車両用表示装置、及び、そのための表示決定方法が発明された。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、以下に示す具体的な実施例に沿って、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は、後述する実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態になる表示決定方法を適用した車両用表示装置の全体構成の一例を示しており、図にも示すように、当該車両用表示装置は、概略、入力装置1010と、記憶装置1070と、中央演算処理装置1110と、出力装置1150とを備えている。
【0022】
入力装置1010は、既表示物の表示状態を入力するための表示状態入力部1020と、表示物を評価するための定義を入力するための表示物評価定義入力部1030と、表示物の定義を入力するための表示物定義入力部1040と、車両内の表示に係わる情報を入力するための車両情報入力部1050と、例えば、GPS装置からの位置データ等、車両外の表示に係わる情報を入力するための車両外情報入力部1060とを備えている。なお、本技術における入力部は、全てが同一の装置内に格納される必要なく、それぞれ別の装置内で格納する形式であっても適用可能である。また、表示物評価定義入力部1030は、表示物定義入力部1040と同一装置内に格納される形式や、記憶装置へのアクセスが可能な別の装置に格納される形式であっても、同様に、適用可能である。
【0023】
続いて、記憶装置1070は、上記表示状態入力部1020より入力された表示状態データ1080と、上記表示物評価定義入力部1030より入力された表示物評価定義データ1090と、上記表示物定義入力部1040より入力された表示物定義データ1100を保持する。なお、本技術における記憶装置内のデータは、全て同一の装置内に格納される必要なく、それぞれ、別の装置内で格納される形式であっても適用可能である。
【0024】
中央演算装置1110は、上記車両情報入力部1050で入力される車両情報と、上記車両外情報入力部1060で入力される車両外情報と、そして、上記表示物定義データ1100から入力される、注視させる表示物の情報とから、表示指令を決定する注視表示物決定部1120;当該注視表示物決定部1120により決定された注視させる表示物の情報と、上記表示指令と、表示装置上での既表示物のデータである表示状態データ1080と、表示物評価定義データ1090から、変更する表示物を決定する変更表示物決定部1130;そして、上記注視表示物決定部1120により決定された注視させる表示物の情報と、上記表示指令と、表示装置での既表示物のデータである表示状態データ1080と、上記表示物評価定義データ1090から、表示方法を決定する表示方法決定部1140を備えている。なお、本技術における中央演算装置内の実行部は、全て同一の装置内に格納される必要なく、それぞれ、別の装置内で格納される形式であっても適用可能である。
【0025】
上記にその構成を説明した車両用表示装置において、本発明に基づいて表示方法を決定する表示決定方法は、添付の
図2に示す処理フローに従って実行される。
【0026】
処理が開始されると、まず、表示物定義を取得し(ステップS2010)、表示物評価定義を取得し(ステップS2020)、更に、表示状態を取得する(ステップS2030)。続いて、車両情報を取得し(ステップS2040)、その後、車両外の情報を取得する(ステップS2050)。
【0027】
次に、上記記憶装置1070内に保持した表示物定義データ1100と、上記車両情報入力部1050からの車両情報と、上記車両外情報入力部1060からの車両外情報から、上記中央演算装置1110の注視表示物決定部1120において、注視させる表示物の有無(即ち、新たな表示をおこなうか否か?)を判定する(ステップS2060)。その結果、新たな表示をおこなわない(「No」)と判定された場合には、一連の処理を完了して終了する。
【0028】
一方、上記の判定処理において、新たな表示をおこなう(「Yes」)と判定された場合には、変更表示物決定部1130において、決定された注視させる表示物の情報と表示指令を作成し(ステップS2070)、上記表示装置上での既表示物の表示状態データである、記憶装置1070内の表示物評価定義データ1090から、注視させる表示物と既表示物の重なりの有無(即ち、注視させる表示物と同時視認の表示物に重なりはあるか否か?)の確認処理をおこなう(ステップS2080)。
【0029】
上記確認処理の結果、注視させる表示物と同時視認の表示物には重なりはない(「No」)と判定された場合には、一連の処理を完了して終了する。他方、注視させる表示物と同時視認の表示物には重なりがある(「Yes」)と判定された場合には、上記注視表示物決定部1120により決定された注視させる表示物の情報と、上記表示指令と、表示装置上での既表示物のデータである、記憶装置1070内の表示状態データ1080と上記表示物評価定義データ1090から、表示方法決定部1140において、表示物の表示方法の変更処理(即ち、表示物の表示方法の変更)を行う(ステップS2090)。なお、変更可能な表示物の表示方法としては、例えば、表示物を表示する表示装置上での位置、大きさ、色などがあり、更には、画像に代えて、音声を利用することもある。
【0030】
上記車両用表示装置では、システムが記憶装置1070内に持つ表示物定義データ1100のスキーマの一例として、
図3に示すように、名称6010、表示する状態6020、表示情報6030、標準表示位置6040、標準表示サイズ6050、注視時間6060のスキーマを備えており、当該表示物定義データ1100としては、
図3に表示物定義データ6070として示した内容を取り得る。
【0031】
加えて、上記車両用表示装置では、システムが持つ表示状態データ1080の一例として、
図4(A)及び(B)に示すように、名称7010、表示位置7020、表示サイズ7030のスキーマを備えており、当該表示状態データ1080としては、図に表示状態データ7040として示した内容を取り得る。即ち、この例では、
図4(A)に示した燃料計と速度計に関連して、ダッシュボード上の座標(図の縦と横の矢印を参照)を用いることにより表示が行われる。
【0032】
また、上記車両用表示装置では、システムが持つ表示物評価定義データ1090のスキーマの一例として、
図5に示すように、「定義」(1、2…)と共に、「表示物A」8010、「表示物B」8020、「表示物C」8030、「表示優先順位」8040のスキーマを備えており、当該表示物評価定義データ1090としては、この
図5に示すような表示物評価定義データ8050を取り得る。即ち、図の例では、「定義1」では、「燃料計」と「燃料警告」が表示され、これら表示物の表示の優先順位は、「B、A」の順となっていることを示す。また、「定義2」では、「速度超過警告」と「速度計」が表示され、これら表示物の表示の優先順位は、「A、B」の順となっていることを示している。
【0033】
加えて、上記車両用表示装置では、システムが持つ車両情報入力部1050と、車両外情報入力部1060から入力される情報のスキーマの一例として、
図6及び7に示すように、それぞれ、情報名9010と値9020のスキーマを備えており、状況に応じて、例えば、車両情報であれば、
図6(A)又は(B)において9030や9040で示すような値9020を、また、車両外情報であれば、
図7(A)又は(B)又は(C)において9050、9060、9070で示すような値を取り得る。なお、ここで、特に、
図7A)又は(B)又は(C)における値9020は、本例では、上述したGPS装置からの得られる位置情報のデータ(地球上での緯度及び経度を示す角度情報)である。
【0034】
続いて、上記注視表示物決定部1120における処理の詳細について、添付の
図8に示す処理フローに従って説明する。
【0035】
処理が開始されると、まず、上記
図2に示す処理フローと同様に、表示物定義を取得し(ステップS2010)、続いて、車両情報を取得し(ステップS2040)、そして、車両外の情報を取得する(ステップS2050)。その後、記憶装置1070内に保持した表示物定義データ1100と、上記車両情報、そして、上記車両外情報とを比較する(ステップS3010)。これにより、状況に該当する表示物、即ち、注視させる表示物の有無の判定(即ち、新たな表示をおこなうか否か?)を判定する(ステップS2060)。その結果、新たな表示をおこなわない(「No」)と判定された場合には、一連の処理を完了して終了する。
【0036】
一方、上記の判定処理において、新たな表示をおこなう(「Yes」)と判定された場合には、注視させる表示物の表示指令を作成する(ステップS3020)。その後、表示物定義データ1100と車両状態と上記車両外情報とから、注視させる表示物の表示情報を決定し(ステップS3030)、一連の処理を完了して終了する。
【0037】
このように、上述した実施例では、表示物定義データ6070と、車両情報9030と、車両外情報9050を入力し、もって、状況に該当する表示物が存在するか否かの判定を行う。該当する表示物が存在する、即ち、注視させる表示物が存在する場合には、そのため、注視させる表示物として、例えば、
図3に示した表示物定義データの名称から「燃料警告」を決定し、そのための警告文言を、「標準表示位置」である座標(25,50)の位置に、「標準表示サイズ」である横25mm、縦50mmの大きさで表示するための表示指令を決定する。
【0038】
一方、変更表示物決定部1130では、添付の
図9に示す処理フローに従って処理が実行される。
【0039】
処理が開始されると、まず、上記
図2に示す処理フローと同様に、表示物評価定義を取得し(ステップS2020)、表示状態を取得し(ステップS2030)、車両情報を取得し(ステップS2040)、そして、車両外の情報を取得する(ステップS2050)。その後、上記注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得し(ステップS4010)、表示物評価定義データ1090の表示物評価定義から、同時視認の必要な表示物の組み合わせ情報を取得し(ステップS4020)、そして、既表示物の中に注視させる表示物と同時視認の必要な表示物が存在するか否かの判定を行う(ステップS4030)。
【0040】
上記の判定の結果、同時視認の必要な表示物が存在しない(「No」)場合は、当該表示方法の一連の変更処理を終了する。一方、同時視認の必要な表示物が存在する(「Yes」)場合は、上記
図2におけると同様に、上記既表示物とその表示位置や表示サイズ、更には、上記注視させる表示物の情報から、注視させる表示物と既表示物の重なりの有無の確認を行う(ステップS2080)。
【0041】
その後、上記の判定の結果、表示物間に重なりが存在しない(「No」)と判定された場合は、当該表示方法の一連の変更処理を終了する。一方、重なりが存在する(「Yes」)場合には、上記表示物評価定義データ1090から表示物の組み合わせ内の表示優先順位情報(
図5の8040を参照)を取得し(ステップS4040)、優先度の低い表示物を判定し、優先度の低い表示物の表示方法を変更対象と決定する(ステップS4050)。
【0042】
より具体的には、上記の判定の結果、既表示物の優先度が低い場合は、表示方法の変更対象を既表示物と決定し(ステップS4060)、他方、注視させる表示物の優先度が低い場合は、表示方法の変更対象を注視させる表示物と決定する(ステップS4070)。
【0043】
上記に詳述した実施形態によれば、
図5の表示物評価定義データ8050、
図4の表示状態データ7040、
図6(A)の車両情報9030、
図7(A)の車両外情報9050を入力し、上記
図1の注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得し、上記表示物評価定義データ8050から、「燃料警告」と同時に視認が必要な表示物として「燃料計」を取得し、これにより、当該「燃料警告」と「燃料計」の表示の重なりを確認する。そして、本実施形態では、当該「燃料警告」と「燃料計」の表示に重なりが存在するため、表示物評価定義データ8050を参照することにより、「燃料警告」と「燃料計」の組み合わせにおける優先順位を確認し、優先順位の低い「燃料警告」を、表示方法の変更対象として決定することとなる。
【0044】
また、
図5の表示物評価定義データ8050、
図4の表示状態データ7040、
図6(B)の車両情報9040、
図7(B)の車両外情報9060を入力し、上記
図1の注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得し、上記表示物評価定義データ8050から、「速度超過警告」と同時視認が必要な表示物として「速度計」を取得し、これにより、「速度超過警告」と「速度計」の表示の重なりを確認する。本実施例では、「速度超過警告」と「速度計」との間に表示の重なりが存在するため、
図5の表示物評価定義データ8050から、「速度超過警告」と「速度計」との組み合わせにおける優先順位を確認し、優先順位の低い「速度計」を、表示方法の変更対象として決定する。
【0045】
更に、上記表示物方法決定部1140における処理の詳細について、添付の
図10に示す処理フローに従って説明する。
【0046】
処理が開始されると、まず、上記
図2に示す処理フローと同様に、表示物評価定義を取得し(ステップS2020)、表示状態を取得し(ステップS2030)、車両情報を取得し(ステップS2040)、そして、車両外の情報を取得する(ステップS2050)。その後、上記
図9と同様、上記注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得する(ステップS4010)。
【0047】
その後、表示方法の変更対象となる表示物を取得し(ステップS5010)、更に、上記の車両情報や車両外情報と共に、記憶装置1070の表示物定義データ1100から、注視させる表示物の注視時間を決定する処理を行う(ステップS5020)。その後、表示方法の変更対象の表示物の情報から、表示方法の変更対象の表示物の選択を行う(ステップS5030)。
【0048】
上記したステップS5030における選択の結果、選択した表示物が「既表示物」の場合、表示方法を、注視させる表示物の注視時間が経過した後には、既表示物を最小の移動距離で、当該注視させる表示物との重なりが無くなる位置に表示する表示方法に変更する(ステップS5040)。
【0049】
他方、選択した表示物が「注視させる表示物」の場合、表示方法を、注視させる表示物の注視時間が経過した後には、当該注視させる表示物を、最小の移動距離で、既表示物との重なりが無くなる位置に表示する表示方法に変更する(ステップS5050)。
【0050】
上記に詳述した実施形態によれば、
図5の表示物評価定義データ8050、
図4の表示状態データ7040、
図6(A)の車両情報9030、
図7(A)の車両外情報9050を入力し、上記注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得し、更に、上記変更表示物決定部1130で決定された表示方法の変更対象の表示物の情報を取得し、上記の車両情報や車両外情報と、上記
図3の表示物定義データ6070から、注視させる表示物である「燃料警告」の注視時間を10秒と決定する。
【0051】
そして、優先順位の低い「燃料警告」の表示方法を、
図11(A)のように行い、10秒の注視時間の経過後、「燃料警告」を、
図12(A)のように、「燃料計」との重なりが無くなる最小の移動距離となる座標位置(100,50)の位置に表示する表示方法に変更する。なお、ここで、10秒の注視時間中における表示状態データは、
図11(B)に符号10010で示すようになり、「燃料警告」の表示位置を変更させた後の表示状態データは、
図12(B)に符号10020で示すようになる。
【0052】
また、
図5の表示物評価定義データ8050、
図4の表示状態データ7040、
図6(B)の車両情報9040、
図7(B)の車両外情報9060を入力し、上記注視表示物決定部1120で決定された注視させる表示物の情報と表示指令を取得し、上記変更表示物決定部1130で決定された表示方法の変更対象の表示物の情報を取得し、上記の車両情報や車両外情報と共に、更に、
図3の表示物定義データ6070から、注視させる表示物である「速度超過警告」の注視時間を、
図7(B)の車両外情報9060、例えば、「速度計測箇所A法定速度=50」となるまでに決定する。そして、優先順位の低い「速度計」の表示方法を、車両外情報9060となった後、即ち、法定速度以下になった後に、「速度計」を、「速度超過警告」との重なりが無くなる最小の移動距離となる座標位置(250,0)に表示する表示方法に変更する。
【0053】
上記に詳細に説明したように、本実施例によれば、運転者の視線の移動を少なくして同時視認の必要性のある表示物を表示することが可能になる。これにより、運転者は安全に運転を行うことが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するためにシステム全体を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1010…入力装置、1020…表示状態入力部、1030…表示物評価定義入力部、1040…表示物定義入力部、1050…車両情報入力部、1060…車両外情報入力部、1070…記憶装置、1080…表示状態データ、1090…表示物評価定義データ、1100…表示物定義データ、1110…中央処理装置、1120…注視表示物決定部、1130…変更表示物決定部、1140…表示方法決定部、1150…出力装置、1160…表示物表示部